JP2981451B2 - 台所用濃縮液体洗浄剤組成物 - Google Patents

台所用濃縮液体洗浄剤組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は台所用濃縮液体洗浄
剤組成物、さらに詳細には希釈(例えば6倍程度)した
洗剤液を従来の台所洗剤と同様に使用するタイプの洗剤
であって、起泡力や汚垢洗浄力に優れるとともに、低温
安定性や色相安定性が優れており、かつ希釈した液の粘
度が従来の台所洗剤と同程度であることを特徴とする台
所用濃縮液体洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】消費者
の環境に対する意識が益々高まってきている今日、衣料
用洗剤、台所用洗剤などの洗浄剤において、包装容器な
どの廃棄物の低減化への努力がなされている。例えば、
衣料用洗剤では組成物の濃縮度を上げ、一回当たりの洗
浄剤の使用量を低減し、容器をコンパクト化することで
廃棄物を少量化している。液体洗浄剤における詰替用の
スタンディングパウチは成形ボトルに比べて使用するプ
ラスチックの種類や量が少なく、長期的に廃棄量を減ら
すことに貢献している。最近では台所用洗剤においても
組成物の濃縮化が行われてきており、容器がコンパクト
化された商品がある。
【0003】一方、これら濃縮型の衣料用洗剤や台所用
洗剤に使用される界面活性剤のうち、コスト・洗浄力と
もに優れた界面活性剤として現在最も汎用されているも
のは直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩であるが、濃縮
型の台所用液体洗剤として用いる場合には欠点がある。
例えば、単独では手荒れを起こしやすいため、他の界面
活性剤を補助的に添加配合する必要がある。この場合、
良く知られた方法としてはポリオキシエチレンアルキル
エーテル硫酸エステル塩を添加する方法(特開昭49−
13205号、特公平3−56278号公報)、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテルを添加する方法(特開昭
53−86707号、特公昭60−4870号、特公平
1−54400号公報)、高級脂肪酸アルカノールアミ
ドを添加する方法(特公昭63−28120号、特開平
5−320698号、特開平7−316589号、特開
平8−3587号公報)などがある。これら補助活性剤
の併用により手荒れ性は軽減できるが、一方、組成物の
粘度が著しく上昇したり、低温安定性が悪くなったり、
洗浄性能が低下するなどの欠点が生じるため、濃縮型の
洗浄剤組成物として好ましい形態のものはできない状況
にあった。
【0004】ところが最近になって、直鎖アルキルベン
ゼンスルホン酸の対イオンにアルカノールアミンを用い
ることで濃縮型の洗浄剤組成物を調製する方法が見つか
ってきている(特開平7−118695号公報、特開平
8−319500号公報)。これらの公報中には、配合
に水を用いないものがあり、活性剤成分80%以上の高濃
縮組成が可能であるとされている。特開平7−1186
95号では、界面活性剤濃度15%に希釈しても従来の台
所洗剤と同程度の粘度を有する点が特徴とされている。
また、特開平8−319500号では、配合に水を使用
しないため、調製時に増粘やゲル化の心配がない点が特
徴とされている。しかしながら、この2つの公報に記載
された組成物は、いずれも、製品として要求されるべき
起泡力、汚垢洗浄力、低温安定性、色相安定性といった
性能をすべて満足するものはなく、改善の余地が残され
ていた。特に色相安定性については、調製直後は淡黄色
であっても数ヶ月間光にさらされるだけで茶色く変色す
る傾向があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる実状において本発
明者らは、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を含有す
る濃縮型の液体洗浄剤組成物の配合について鋭意検討し
た結果、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩と特定の界
面活性剤とからなる高洗浄性組成物において、炭素数7
〜12のアリールカルボン酸の塩又はエステルを添加配合
することによって組成物の低温安定性及び色相安定性が
著しく改善されることを見出し、本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明は、 (a)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩 40〜70重量
% (b)ポリオキシエチレンアルキルエーテル 10〜40重
量% (c)高級脂肪酸ジエタノールアミド 10〜40重量% (d)炭素数7〜12のアリールカルボン酸又はその塩も
しくはエステル 0.1〜5重量% を必須成分として含み、かつ(a)、(b)及び(c)
成分の総量が組成物中70〜90重量%である台所用濃縮液
体洗浄剤組成物(ポリオキシエチレンアルキルエーテル
硫酸エステル塩を含有するものを除く)を提供するもの
である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いる成分(a)におい
て、アルキル基の炭素数10〜13のものが90重量%以上含
まれていることが洗浄性能の点から望ましい。また、2
−φ異性体の含有量は5重量%以上、好ましくは10重量
%以上、より好ましくは15重量%以上であることが洗浄
性能及び低温安定性の点から望ましい。塩を形成する対
イオンとしてはアルカリ金属、アンモニウム及びアルカ
ノールアミンからなる群より選ばれる1種以上が良く、
低温安定性の面からアルカノールアミン塩を含むことが
望ましい。成分(a)の配合割合は組成物中において40
〜70重量%であり、40重量%未満では起泡力が劣り、70
重量%を越えると低温安定性が損なわれる。
【0008】本発明で用いる成分(b)において、アル
キル基は1級又は2級であり、1級と2級を併用しても
よい。アルキル基の炭素数は8〜18が好ましく、起泡力
の点で特に10〜14が好ましい。エチレンオキサイドの平
均付加モル数は1〜20が好ましく、洗浄力の点で特に2
〜15が好ましい。成分(b)の配合割合は組成物中にお
いて10〜40重量%であり、10重量%未満では低温安定性
が劣り、40重量%を越えると起泡力が劣る。
【0009】本発明で用いる成分(c)において、アル
キル基は1級又は2級であり、好ましくは1級である。
アルキル基の炭素数は8〜18が好ましく、起泡力の点で
特に10〜16が好ましい。原料脂肪酸としては、ラウリン
酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸などが挙げられ
る。成分(c)の配合割合は組成物中において10〜40重
量%であり、10重量%未満では起泡力が劣り、40重量%
を越えると低温安定性が損なわれる。
【0010】本発明で用いる成分(d)は、組成物の低
温安定性及び色相安定性を向上させる上で必須となる成
分である。成分(d)として、安息香酸(塩)、サリチ
ル酸(塩)、フタル酸(塩)、イソフタル酸(塩)、テ
レフタル酸(塩)、アントラニル酸(塩)、p−オキシ
安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル、p−オキ
シ安息香酸n−プロピル、p−オキシ安息香酸イソプロ
ピル、β−オキシナフトエ酸など及びこれらのエステル
が挙げられる。このうち、最も好ましいものは安息香酸
(塩)又はそのエステルであり、特に安息香酸塩が好ま
しい。成分(d)の配合割合は組成物中において 0.1〜
5重量%であり、 0.1重量%未満及び5重量%を越える
場合には低温安定性や色相安定性が劣る。
【0011】本発明の組成物には、減粘剤として、 (e)エタノール (f)プロピレングリコール (g)ポリエチレングリコール のうち少なくとも1種以上を5〜20重量%配合すること
が好ましい。このうち、(g)のポリエチレングリコー
ルの平均分子量は5000未満が望ましく、特に2500以下が
好ましい。5000以上であると低温安定性が損なわれる。
【0012】本発明の洗浄剤組成物は上記(a)〜
(d)成分を必須として含有し、残部は水と任意に配合
される成分であるが、組成物の粘度は、液吐出性の面か
ら20℃で100〜 1000mPa・sであることが望ましい。ま
た、原液を希釈して使う場合を考慮し、原液を6倍希釈
した水溶液の粘度が従来の台所洗剤の粘度範囲、具体的
には20℃で50〜500mPa・sの範囲にあることが使い勝手
の上で望ましい。
【0013】本発明の洗浄剤組成物には、上記(a)〜
(d)の必須成分及び必要に応じて配合される(e)〜
(g)成分の他に、更に公知の洗浄剤用の界面活性剤
を、起泡力や汚垢洗浄力を向上する目的で適宜添加配合
することができる。かかる界面活性剤としてはα−オレ
フィンスルホン酸塩(アルキル炭素数8〜18)、α−ス
ルホ脂肪酸エステル塩(アルキル炭素数8〜18)等の陰
イオン性界面活性剤、第3級アルキルアミンオキシド等
の非イオン性界面活性剤が挙げられる。このうち、特に
好ましいものはドデシルジメチルアミンオキシドなどの
モノ長鎖アルキル型の第3級アミンオキサイドである。
これらの界面活性剤の配合割合は、例えば第3級アルキ
ルアミンオキシドの場合は 0.1〜10重量%である。 0.1
重量%未満では洗浄力向上効果が低く、10重量%より多
く添加すると汚垢洗浄力が損なわれる。
【0014】本発明の台所用濃縮液体洗浄剤組成物の原
液のpHは 5.0〜8.0 が好ましく、特に 6.0〜7.5 が好
ましい。
【0015】また、本発明の台所用濃縮液体洗浄剤組成
物には、組成物の低温安定性や洗浄性能を損なわない範
囲で他の任意成分を添加することができる。例えば、粘
土鉱物等の粘度調整剤、方解石、珪石、リン酸カルシウ
ム、ゼオライト、ポリエチレン、ナイロン、ポリスチレ
ン等の水不溶性研磨剤、グリセリン、ソルビトール等の
保湿剤、その他酵素、香料、色素、防腐剤、防かび剤等
を添加配合することができる。
【0016】
【発明の効果】本発明の台所用濃縮液体洗浄剤組成物
は、起泡力や汚垢洗浄力が高く、しかも低温安定性や色
相安定性に優れた洗浄剤組成物である。また、本発明の
組成物は、原液が適度な粘度を有するとともに、水で6
倍程度に希釈した希釈液も従来の台所用液体洗浄剤組成
物と同等の適度な粘度を有するため、使い勝手が非常に
よい。
【0017】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
尚、以下の例において「%」は「重量%」を表す。
【0018】実施例1 下記の表1に示す組成物を調製し、下記の試験方法及び
評価基準によって評価を行った。得られた結果を表1に
示す。尚、本実施例は、直鎖アルキルベンゼンスルホン
酸塩の対イオンの種類及びその組み合わせを変えた例で
ある。
【0019】実施例2 下記の表2に示す組成物を調製し、下記の試験方法及び
評価基準によって評価を行った。得られた結果を表2に
示す。尚、本実施例は、実施例1と異なるポリオキシエ
チレンアルキルエーテルを用いた例である。
【0020】実施例3 下記の表3に示す組成物を調製し、下記の試験方法及び
評価基準によって評価を行った。得られた結果を表3に
示す。尚、本実施例は、実施例1と異なる高級脂肪酸ジ
エタノールアミドを用いた例である。
【0021】実施例4 下記の表4に示す組成物を調製し、下記の試験方法及び
評価基準によって評価を行った。得られた結果を表4に
示す。尚、本実施例は、成分(d)を変えた例である。
【0022】実施例5 下記の表5に示す組成物を調製し、下記の試験方法及び
評価基準によって評価を行った。得られた結果を表5に
示す。尚、本実施例は、減粘剤(e)〜(g)の組み合
わせを変えた例である。
【0023】比較例1 下記の表6に示す組成物を調製し、下記の試験方法及び
評価基準によって評価を行った。得られた結果を表6に
示す。尚、これら比較例は、必須成分である成分(b)
が含まれていないものである。
【0024】比較例2 下記の表7に示す組成物を調製し、下記の試験方法及び
評価基準によって評価を行った。得られた結果を表7に
示す。尚、これら比較例は、必須成分である成分(d)
が含まれていないものである。
【0025】比較例3 下記の表8に示す組成物を調製し、下記の試験方法及び
評価基準によって評価を行った。得られた結果を表8に
示す。尚、これら比較例は、成分(d)を5重量%を超
える量で配合したものである。
【0026】比較例4 下記の表9に示す組成物を調製し、下記の試験方法及び
評価基準によって評価を行った。得られた結果を表9に
示す。尚、これら比較例は、本発明の成分(d)以外の
カルボン酸を配合したものである。
【0027】比較例5 本発明の成分(d)には、防腐剤として汎用される物質
も含まれる。特開平7−118695号には、組成物に
防腐剤を配合してもよい旨の記載があるが、本発明にお
ける色相改善効果は本発明の成分(d)のアリールカル
ボン酸又はその塩もしくはそのエステルに特有である。
これを確かめるため、下記の表10に示す組成物を調製
し、下記の試験方法及び評価基準によって評価を行っ
た。得られた結果を表10に示す。
【0028】<試験方法及び評価基準> (1)起泡力 洗剤濃度 0.5%の洗剤溶液中に市販のバターを 0.1%添
加した溶液の起泡力を測定する。測定法は、直径5cmの
ガラス円筒に上記の溶液を40ml入れ、15分間回転攪拌を
行い、停止直後の泡高さを測定する。評価基準は、泡高
さ90mm以上を◎、80mm以上90mm未満を○、70mm以上80mm
未満を△、70mm未満を×とした。
【0029】(2)汚垢洗浄力 被験者10人に対し、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナ
トリウムの15%水溶液(洗剤A)と、測定洗剤を重量基
準で6倍希釈した水溶液(洗剤B)を用いて、それぞれ
の洗剤水溶液をスポンジ(予め水20gを含ませてある)
に1g付けて実際に洗浄操作を行ってもらい、洗剤A
(対照)との比較で洗剤B(サンプル)の汚垢洗浄力を
評価した、洗浄対象はサラダ油/牛脂を重量比で1/1
としたもの2gを塗ったメラミン皿10枚である。被験者
に下記の評点で採点してもらい、10人の平均点が 4.5以
上を◎、 3.5以上 4.5未満を○、 2.5以上 3.5未満を
△、 2.5未満を×とした。 洗剤Bが良い 5点 洗剤Bがやや良い 4点 2つとも変わらない 3点 洗剤Aがやや良い 2点 洗剤Aが良い 1点。
【0030】(3)低温安定性 洗剤の原液を 100mlのガラス製容器に入れ、−20℃で24
時間保冷したのち、5℃で24時間保冷する操作を10回繰
り返す。繰り返し操作が終わったときの洗剤の外観を観
察し、初期の状態と比較する。ほとんど変化していない
ものを○、やや変化が生じているものを△、明らかに変
化が生じているものを×とした。
【0031】(4)色相安定性 洗剤の原液を 100mlのポリプロピレン製容器に入れ、日
光の良く当たる室外に放置しておく。積算照度計で 500
00カウント経過した後の色を肉眼観察し、初期の状態と
比較する。ほとんど変化していないものを○、やや変化
が生じているものを△、明らかに変化が生じているもの
を×とした。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】
【表9】
【0041】
【表10】
【0042】(注) *1:商品名ネオペレックスFS(花王株式会社製)を中
和して調製 *2:商品名エマルゲン108 (花王株式会社製)、アル
キル基炭素数12、エチレンオキサイド平均付加モル数6 *3:商品名アミノーンL-02(花王株式会社製) *4:商品名ソフタノール70(日本触媒株式会社製)、
アルキル基炭素数12〜14、エチレンオキサイド平均付加
モル数7 *5:商品名アミノーンPK-02S(花王株式会社製) *6:商品名ソフタノール33(日本触媒株式会社製)、
アルキル基炭素数12〜14、エチレンオキサイド平均付加
モル数6
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C11D 1:72 1:52 3:20) (56)参考文献 特開 平2−151700(JP,A) 特開 平10−219282(JP,A) 特開 平10−77497(JP,A) 特開 平10−77500(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C11D 17/08 C11D 1/24 C11D 1/72 C11D 1/52 C11D 3/20

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩 40〜70重量
    % (b)ポリオキシエチレンアルキルエーテル 10〜40重
    量% (c)高級脂肪酸ジエタノールアミド 10〜40重量% (d)炭素数7〜12のアリールカルボン酸又はその塩も
    しくはエステル 0.1〜5重量% を必須成分として含み、かつ(a)、(b)及び(c)
    成分の総量が組成物中70〜90重量%である台所用濃縮液
    体洗浄剤組成物(ポリオキシエチレンアルキルエーテル
    硫酸エステル塩を含有するものを除く)
  2. 【請求項2】 (a)成分が、直鎖アルキルベンゼンス
    ルホン酸アルカノールアミン塩である請求項1記載の台
    所用濃縮液体洗浄剤組成物。
  3. 【請求項3】 (d)成分が、安息香酸又はその塩もし
    くはエステルである請求項1又は2記載の台所用濃縮液
    体洗浄剤組成物。
  4. 【請求項4】 減粘剤として、 (e)エタノール (f)プロピレングリコール (g)ポリエチレングリコール のうち少なくとも1種以上を5〜20重量%含有する請求
    項1〜3のいずれかに記載の台所用濃縮液体洗浄剤組成
    物。
  5. 【請求項5】 原液の粘度が 100〜 1000mPa・s(20
    ℃)であり、かつ原液をイオン交換水で6倍希釈(重量
    基準)したときの粘度が50〜500mPa・s(20℃)である
    請求項1〜4のいずれかに記載の台所用濃縮液体洗浄剤
    組成物。
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