JP2980775B2 - 嵩高弾性糸およびその製造方法 - Google Patents

嵩高弾性糸およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、弾性糸を、少なくとも
2種以上の捲縮糸が、被覆してなる嵩高弾性糸に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、弾性糸と熱可塑性合成繊維か
らなる被覆弾性糸を製造する方法として、コアスパン
法、中空スピンドルによるカバリング法などが採用され
てきた。しかしながら、これらの方法は加工速度が遅
い、編成、製織時の取扱いが難しい等の欠点を有してい
た。
【0003】このような欠点を改良するため、例えば特
公昭50-5305 号公報には、延伸された弾性糸と熱可塑性
の非弾性繊維束を引き揃えて仮撚した後、リラックスを
与える方法、特公昭60-20489号公報には、ポリブチレン
テレフタレートと該フィラメントより伸度の大なるポリ
エステルフィラメントとを混繊・交絡した後、同時延伸
仮撚加工することにより、伸縮性に富む被覆巻付糸を得
る方法が開示されている。しかしこれらの方法はいずれ
も、弾性糸をただ1種類の熱可塑性繊維で被覆している
だけであり、被覆が不十分で、織編物等に加工する際
に、弾性糸にのみ応力が集中して、糸ズレや弾性糸の目
むき(弾性糸の切断、塑性変形あるいは被覆糸のズレに
より、弾性糸が外へ飛び出す現象)が発生し、商品の外
観を損ねるだけでなく、伸縮性が低下して使用不能とな
る場合もあるという致命的な欠点を有していた。
【0004】また、特公昭49-40017号公報には、弾性糸
の芯糸に、熱可塑性合成繊維の鞘糸を略並行状態に、被
覆するように配列せしめた糸に仮撚を施すとともに、該
糸の加撚域に別の繊維糸を供給して巻き付かせる方法が
開示されている。しかしこの方法では、弾性糸と被覆糸
および巻付糸間に混繊・交絡部が存在しないので、やは
り弾性糸に応力が集中し、目むきの発生が防止できない
ばかりか、巻付糸がきつく締まって硬い風合の織編物し
か得られない。
【0005】さらに、これらの被覆弾性糸は、被覆効果
を向上させるために加撚が行われるのが一般的である
が、加撚を行なうと風合が硬くなり、織編物にした場合
の品位が損なわれるという欠点をも有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の被覆弾性糸の欠点である目むきが防止でき、嵩高弾性
糸にソフトでスムーズな伸縮間を付与し、しかも嵩高性
に富んで、ソフトな風合とスパンライクな外観を有する
嵩高弾性糸を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意検討した結果、後述の多段応力緩和
機能を付与した嵩高弾性糸を用いるとき、無撚状態にお
いても弾性糸の目むきが防止でき、嵩高性に富んで、ソ
フトな風合とスパンライクな外観を有する嵩高弾性糸が
得られることを究明した。かくして本発明によれば、 (1)弾性糸を、下記(イ)〜(ニ)の特性を有する捲
縮糸(A)および捲縮糸(B)が被覆し、その際、弾性
糸と捲縮糸(A)との間および捲縮糸(A)と捲縮糸
(B)との間には部分的に混繊・交絡部が付与されてお
り、糸全体としての切断伸度が10〜70%、ヤング率
が800kg/mm2以下、捲縮率が8〜60%である
ことを特徴とする嵩高弾性糸。 (イ)捲縮糸(B)の、捲縮糸(A)に対する糸足差が
5%以上 (ロ)捲縮糸(B)の、捲縮糸(A)に対する切断伸度
差が10%以上 (ハ)捲縮糸(B)を構成する単繊維の切断伸度のバラ
ツキが10%以上 (ニ)捲縮糸(B)の応力率が70%以下 および、 (2)緊張状態にある弾性糸と、伸度差を有する少なく
とも2種以上の熱可塑性合成繊維を同時に混繊・交絡し
た後、同時延伸仮撚、熱固定および解撚することを特徴
とする嵩高弾性糸の製造方法が提供される。
【0008】以下、本発明を添付図面を参照しつつ説明
する。〔図1〕は本発明の一実施態様を表わす側面図で
ある。まず弾性糸1を第一ローラー2と第二ローラー3
の間で 2〜5 倍に延伸した後、熱可塑性合成繊維aおよ
びbを供給し、第二ローラー3と第三ローラー4の間に
設けた交絡ノズル5で交絡させる。この時の圧空圧力は
1〜6kg/cm2 、オーバーフィード率は0.5 〜4 %が適当
である。この交絡処理を行なうことにより、糸間のズレ
が防止でき、また仮撚加工中の断糸を著しく減少するこ
ともできる。該交絡糸は、第三ロ−ラー4と延伸ローラ
ー6との間に設けた加熱板8と、仮撚ディスク7を用い
て同時延伸仮撚を行なう。加熱板の温度は、弾性糸や熱
可塑性合成繊維aあるいはbの融着や劣化が起きない範
囲で適宜設定すればよいが、好ましくは100 〜200 ℃で
ある。また、延伸倍率は、使用する熱可塑性合成繊維の
伸度に応じ適宜設定すればよいが、好ましくは 1.1〜
1.9倍である。仮撚ディスク7の周速度は糸速度の 2倍
程度が好ましい。次いで熱固定、解撚された交絡糸は巻
取り機9で巻取られ、嵩高弾性糸10を得る。
【0009】本発明に使用する弾性糸は、ポリウレタン
糸、ゴム糸あるいはポリブチレンテレフタレ−トやブロ
ック共重合ポリエーテル・エステル弾性糸などのうち、
200〜900 %の伸度を有するもので、耐熱性や耐薬品性
の点からブロック共重合ポリエーテル・エステル弾性糸
を使用することが好ましい。また、紡糸条件等を調整
し、弾性糸の伸度を予め低下させておけば、弾性糸の前
延伸を省略することもできる。
【0010】捲縮糸(A) および(B) は熱可塑性合成繊維
マルチフィラメントからなる仮撚捲縮糸で、例えばポリ
エステルマルチフィラメントの半延伸糸を〔図1〕の
a、ポリエステルマルチフィラメントの未延伸糸を〔図
1〕のbに用いて同時延伸仮撚加工を行なえば良い。こ
の際、前記熱可塑性合成繊維マルチフィラメント間の伸
度差は50%以上必要であり、この差が50%以下では捲縮
糸(A) と捲縮糸(B) に所望の糸足差、切断伸度差を付与
することが困難となる。
【0011】前記熱可塑性合成繊維マルチフィラメント
には、本発明の目的を損なわない範囲で改質剤、酸化防
止剤、難撚剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、着色剤、安定
剤、無機粒子等を添加してもよい。また、前記熱可塑性
合成繊維マルチフィラメントは、同一の紡糸キャップよ
り紡糸されたものでもよく、例えば特公平2-8043号公報
に開示の原糸を用いれば、仮撚加工での原糸クリールが
1本省略でき、作業性が向上する。
【0012】捲縮糸(B) の、捲縮糸(A) に対する糸足差
は 5%以上、また切断伸度差は10%以上必要である。こ
の糸足差が5 %未満あるいは切断伸度差が10%未満で
は、後述の多段応力緩和機能を持たせることができな
い。但し、あまり大き過ぎると糸ズレ等の原因になるの
で、糸足差は100 %以下、切断伸度差は150 %以下が好
ましい。
【0013】また、捲縮糸(B) の切断伸度のバラツキ
(図2のRで示される)は10%以上必要である。バラツ
キが10%未満の場合には、捲縮糸(B) の応力が揃い過ぎ
てソフトでスムーズな伸縮感が得られない。但しあまり
大き過ぎると単糸切れ等が発生するので、100 %以下に
留めることが好ましい。
【0014】さらに、捲縮糸(B) の応力率は70%以下、
好ましくは50%以下である。応力率とは、切断応力(図
2のdで示される)に対する10%伸張応力(図2のcで
示される)の比で、この値が70%を越える場合にはソフ
トな伸縮性能が得られない。
【0015】このような特性を有する捲縮糸(A) および
捲縮糸(B) は、前記熱可塑性合成繊維マルチフィラメン
トの紡糸速度、延伸倍率および延伸温度、あるいは同時
延伸仮撚時の延伸倍率、加熱板温度、仮撚ディスクの周
速度等を適宜調整することにより得られる。
【0016】上記の本発明の要件を満足する嵩高弾性糸
は、切断伸度が10〜70%、好ましくは20〜60%である。
伸度が10%未満の場合には、弾性糸の伸張効果が現れる
前に切断が起こり、一方70%を越えると、弾性糸に応力
がかかりすぎて弾性糸の劣化を早めるばかりでなく、復
元力が弱まって塑性変形を起こす可能性がある。また、
捲縮率は 8〜60%、好ましくは20〜45%で、 8%未満で
は伸縮性能が阻害され、一方60%を越えると弾性糸の伸
張が進みすぎるので好ましくない。さらに、ヤング率は
800kg/mm2 以下にする必要がある。800kg/mm2 を越える
と伸縮させるのに強い力が必要になり、良好な伸縮性能
を得ることができない。
【0017】
【作用】本発明は以上の構成を採っているので以下の作
用を奏する。本発明の嵩高弾性糸では、弾性糸と捲縮糸
(A) および捲縮糸(A) と捲縮糸(B) が混繊・交絡部を有
しており、しかも捲縮糸(A) と捲縮糸(B) が適度な糸足
差および切断伸度差を有しているので、多段応力緩和機
能が働き、無撚状態においても目むきが防止できるだけ
でなく、着用感に優れたソフトでスムーズな伸縮特性が
得られる。即ち、多段応力緩和機能とは、嵩高弾性糸が
伸張された場合、まず芯部の弾性糸が伸張され、次に捲
縮糸(A) に伸張応力が伝わり、捲縮糸(A) の捲縮が伸張
応力に抵抗している間にさらに次の捲縮糸(B) の伸張が
起こるといった、嵩高弾性糸全体で伸張応力に抵抗する
ことを可能とする機能である。さらに、捲縮糸(B) が応
力分散を起こしやすい物性を有しているため、ソフトで
スムーズな伸縮感も付与できる。これに対して、従来の
被覆弾性糸では、巻付糸の被覆が不十分であり、しかも
弾性糸のみが伸張応力に抵抗し、必要以上に伸張される
ために劣化が早まり、目むき等の現象が発生する。
【0018】言い換えれば、本発明の嵩高弾性糸の多段
応力緩和機能は、 弾性糸と捲縮糸(A) および捲縮糸(B) に適度の混繊・
交絡部を付与すること 捲縮糸(A) と捲縮糸(B) に特定の糸足差および切断伸
度差を付与すること 捲縮糸(B) に応力分散が起こりやすい物性を付与する
こと の3つの構成要件を同時に満足することによって初めて
得られる。
【0019】さらに、本発明の嵩高弾性糸は、強撚を行
なっても嵩高でソフトな風合を維持することが可能であ
る。即ち、捲縮糸(A) と捲縮糸(B) が糸足差を持った状
態で交絡されているので、多くの繊維間空隙を有してお
り、このような糸を撚糸した場合には、外周部の繊維は
内部に撚込まれることなく、外周部にそのままの状態で
残る、いわゆる撚食現象を起こす。従って、外周部の捲
縮糸(B) が、あたかも撚がないかのように自由に動ける
ので、風合が硬くなることを防止できる。
【0020】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例における各物性は下記の方法
で測定したものである。
【0021】(1) 嵩高弾性糸の切断伸度 東洋ボールドウィン製引張試験機(タイプRTM-100 )を
用い、試料長200mm 、引張速度200mm/分の条件で測定を
行なった。本発明の嵩高弾性糸は多段応力緩和機能を有
しているため、構成繊維の破断が逐次発生し、破断点が
不明瞭となるので、最大応力点における伸度を切断伸度
とした。測定は10回実施し、その平均値で表した。
【0022】(2) 嵩高弾性糸のヤング率 東洋ボールドウィン製引張試験機(タイプRTM-100 )を
用い、試料長250mm 、引張速度 50mm/分、チャートスピ
ード200mm/分の条件で記録した荷伸曲線の初期接線勾配
の最大値から常法により算出した。測定は10回実施し、
その平均値で表した。
【0023】 (3) 嵩高弾性糸の捲縮率嵩高弾性糸を綛状にし、この綛
に2mg/デニールの軽荷重を吊るした後、更に0.2g/デニ
ールの重荷重を吊し、 1分間放置した後綛の長さ(l0 )
を読み取る。次に重荷重を外し、沸騰水中で20分間処理
した後取り出して軽荷重を外し24時間風乾する。風乾後
軽荷重および重荷重を吊し、 1分間放置後綛の長さ
(l1 ) を読み取る。次に重荷重を外し、綛の長さ(l2 )
を読み取る。捲縮率は次式により算出する。 捲縮率(%)=( l1 − l2 )/( l0 )×100 測定は 5回実施し、その平均値で表した。
【0024】(4) 糸足差 嵩高弾性糸を50cm取り出し、糸の一端に0.2g/デニール
の荷重を吊す。次に糸のほぼ中間の部分に 5cm間隔で1
ヶ所マーキングを行ない、この部分を切り取って試料と
する。該試料より捲縮糸(A) および捲縮糸(B) の単繊維
を各々10本取り出し、1/30g/デニールの荷重を吊してそ
の長さを測定する。捲縮糸(A) および捲縮糸(B) の単繊
維の平均長さをそれぞれ lA および lB とすると、糸足
差は次式により表される。 糸足差(%)=( lB − lA )/ lA ×100 測定は10回実施し、その平均値で表した。
【0025】(5) 捲縮糸の切断伸度 東洋ボールドウィン製引張試験機(タイプUTM-II-20 )
を用い、試料長20mm、引張速度200mm/分の条件で、捲縮
糸を構成する単繊維10本につき測定を行ない、最大応力
点における伸度を切断伸度として、10本の平均値を求め
た。測定は 5回実施しその平均値で表した。
【0026】(6) 単繊維の切断伸度のバラツキ 東洋ボールドウィン製引張試験機(タイプUTM-II-20 )
を用い、試料長20mm、引張速度200mm/分の条件で単繊維
10本につき測定を行ない、最大応力点における伸度を切
断伸度として、10本中の最大値(図2のH)と最小値
(図2のL)の差(図2のR)を求めた。測定は 5回実
施し、その平均値で表した。
【0027】(7) 捲縮糸の応力率 上記(6) の測定における荷伸曲線から、10%伸張時の応
力の平均値σ10(図2のc)および切断応力の平均値σ
B (図2のd)を求め、次式により算出した。 応力率(%)=σ10/σB ×100 測定は 5回実施し、その平均値で表した。
【0028】
【実施例1】弾性糸として、切断伸度が800 %の、ポリ
ブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリ
オキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブ
ロック共重合ポリエーテルエステル未延伸モノフィラメ
ント(70デニール)を用い、捲縮糸として、切断伸度が
135 %の、ポリエステルマルチフィラメント半延伸糸
(115 デニール/15フィラメント)および切断伸度が33
0 %の、ポリエステルマルチフィラメント未延伸糸(15
0 デニール/48フィラメント)を用いて〔図1〕に示す
装置に供給した。
【0029】まず弾性糸1を第一ローラー2と第二ロ−
ラ−3で 4倍に延伸した後、第二ローラー3の上流側で
前記2種類のポリエステルマルチフィラメントと引揃
え、第三ローラー4との間に設けたインターレースノズ
ル5に通して圧空圧4kg/cm2 、オーバーフィード率2.5
%で約60ケ/mの交絡を付与した。次いで、第三ローラー
4と延伸ローラー6との間に設けた加熱板8と仮撚ディ
スク7との間で同時延伸仮撚、熱固定、解撚を行なった
後、巻き取り機9で巻き取って嵩高弾性糸10を得た。こ
の時の延伸倍率は1.6 倍、加熱板の温度は160 ℃、仮撚
ディスクの周速度は 600m/分、延伸ローラー速度は 300
m/分であった。
【0030】得られた嵩高弾性糸の切断伸度は35%、ヤ
ング率は300kg/mm2 、捲縮率は35%であった。また、捲
縮糸(A) の切断伸度は45%、捲縮糸(B) の切断伸度は70
%で捲縮糸(B) の、捲縮糸(A) に対する糸足差は30%、
切断伸度のバラツキは45%、応力率は38%であった。
【0031】この嵩高弾性糸に150t/mのS撚をかけて、
経100 本/インチ、緯60本/インチの密度で平織に製織
した後、常法に従い精錬、プレセット、染色、ファイナ
ルセットを行なった。得られた織物は、ソフトでスパン
ライクな風合と外観を有しており、良好な伸縮性能を示
した。また、該織物の経および緯方向にそれぞれ30%の
伸張を与えた時の外観を観察した結果、目むきの発生は
全く見られなかった。
【0032】
【実施例2】実施例1と同じ弾性糸を用い、捲縮糸とし
て、切断伸度が80%の、ポリエステルマルチフィラメン
ト延伸糸(90デニール/12フィラメント)および切断伸
度が190 %の、ポリエステルマルチフィラメント半延伸
糸(120 デニール/36フィラメント)を用いて、実施例
1と同様の方法で嵩高弾性糸10を得た。この時の弾性糸
の延伸倍率は 4倍、インターレースノズルの圧空圧は5k
g/mm2 、オーバーフィード率は 2%、同時延伸仮撚倍率
は1.25倍、加熱板の温度は200 ℃、仮撚ディスクの周速
度は1400m/分、延伸ローラー速度は 700m/分であった。
【0033】得られた嵩高弾性糸の切断伸度は45%、ヤ
ング率は500kg/mm2 、捲縮率は25%であった。また、捲
縮糸(A) の切断伸度は35%、捲縮糸(B) の切断伸度は70
%で捲縮糸(B) の、捲縮糸(A) に対する糸足差は20%、
切断伸度のバラツキは30%、応力率は42%であった。
【0034】この嵩高弾性糸に1500t/m のS撚をかけ
て、経90本/インチ、緯55本/インチの密度で2/2 ツイ
ルに製織した後、実施例1と同様に精錬、プレセット、
染色、ファイナルセットを行なった。得られた織物は、
ソフトでスパンライクな風合と外観を有しており、良好
な伸縮性能を示した。また、実施例1と同様に、該織物
の経および緯方向にそれぞれ30%の伸張を与えても、目
むきの発生は全く見られなかった。
【0035】
【比較例1】実施例1と同じ弾性糸を用い、捲縮糸とし
て、切断伸度が130 %の、ポリエステルマルチフィラメ
ント半延伸糸(225 デニール/36フィラメント)1本だ
けを用いて、実施例1と同様の方法で被覆弾性糸10を得
た。この時の弾性糸の延伸倍率は 3倍、インターレース
ノズルの圧空圧は3kg/mm2 、オーバーフィード率は 2
%、同時延伸仮撚倍率は1.5 倍、加熱板の温度は150
℃、仮撚ディスクの周速度は 600m/分、延伸ローラー速
度は 300m/分であった。得られた被覆弾性糸の切断伸度
は30%、ヤング率は900kg/mm2 、捲縮率は10%であっ
た。
【0036】この嵩高弾性糸に150t/mのS撚をかけて、
経103 本/インチ、緯63本/インチの密度で平織に製織
した後、実施例1と同様に精錬、プレセット、染色、フ
ァイナルセットを行なった。得られた織物は、弾性糸の
被覆が不完全で品位が低く、伸縮性能もスムースさに欠
けるものであった。また、実施例1と同様に、該織物の
経および緯方向にそれぞれ30%の伸張を与えた場合、目
むきの発生が見られた。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、無撚状態においても弾
性糸の目むきが防止でき、また強撚を行なっても嵩高性
に富んで、ソフトな風合とスパンライクな外観およ
良好な伸縮性能すなわちソフトでスムーズな伸縮感
を有する嵩高弾性糸が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の嵩高弾性糸の製造装置の側面図。
【図2】本発明の嵩高弾性糸を構成する捲縮糸の単繊維
荷伸曲線。
【符号の説明】
1 弾性糸 2 第1ローラー 3 第2ローラー 4 第3ローラー 5 交絡ノズル 6 延伸ローラー 7 仮撚ディスク 8 加熱板 9 巻き取り機 10 嵩高弾性糸 a 熱可塑性合成繊維 b 熱可塑性合成繊維 c 単繊維の10%伸張応力の平均値 d 単繊維の切断応力の平均値 H 単繊維の切断伸度の最大値 L 単繊維の切断伸度の最小値 R 単繊維の切断伸度のバラツキ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D02J 1/00 D02J 1/00 K D03D 15/00 D03D 15/00 C (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D02G Fタームテーマコード4L036

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弾性糸を、下記(イ)〜(ニ)の特性を有
    する捲縮糸(A)および捲縮糸(B)が被覆し、その
    際、弾性糸と捲縮糸(A)との間および捲縮糸(A)と
    捲縮糸(B)との間には部分的に混繊・交絡部が付与さ
    れており、糸全体としての切断伸度が10〜70%、ヤ
    ング率が800kg/mm2以下、捲縮率が8〜60%
    であることを特徴とする嵩高弾性糸。 (イ)捲縮糸(B)の、捲縮糸(A)に対する糸足差が
    5%以上 (ロ)捲縮糸(B)の、捲縮糸(A)に対する切断伸度
    差が10%以上 (ハ)捲縮糸(B)を構成する単繊維の切断伸度のバラ
    ツキが10%以上 (ニ)捲縮糸(B)の応力率が70%以下
  2. 【請求項2】該捲縮糸(B)の、捲縮糸(A)に対する
    糸足差が、20〜100%の範囲にある請求項1記載の
    嵩高弾性糸。
  3. 【請求項3】該捲縮糸(B)を構成する単繊維の切断伸
    度のバラツキが、30〜100%の範囲にある請求項1
    または2記載の嵩高弾性糸。
  4. 【請求項4】緊張状態にある弾性糸と、伸度差を有する
    少なくとも2種以上の熱可塑性合成繊維を同時に混繊・
    交絡した後、同時延伸仮撚、熱固定および解撚すること
    を特徴とする嵩高弾性糸の製造方法。
  5. 【請求項5】該同時延伸仮撚の延伸倍率が、1.1〜
    1.9倍の範囲にある請求項4記載の嵩高弾性糸の製造
    方法。
JP4164857A 1992-06-23 1992-06-23 嵩高弾性糸およびその製造方法 Expired - Fee Related JP2980775B2 (ja)

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