JP2979987B2 - 軟窒化用鋼 - Google Patents

軟窒化用鋼

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JP2979987B2 JP6316834A JP31683494A JP2979987B2 JP 2979987 B2 JP2979987 B2 JP 2979987B2 JP 6316834 A JP6316834 A JP 6316834A JP 31683494 A JP31683494 A JP 31683494A JP 2979987 B2 JP2979987 B2 JP 2979987B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟窒化処理を施すこと
により高い表面硬さと深い硬化深さ、そして熱処理歪の
低減化を図ることのできる軟窒化用鋼、特に土木機械、
産業機械等において用いられる、耐摩耗性、耐疲労性、
切削性さらに熱処理歪特性に優れた、機械構造部品用の
軟窒化用鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より実用化されている表面硬化処理
方法としては、浸炭処理と窒化処理とが代表的なもので
ある。浸炭処理は、高温のγ域において、Cを侵入・拡
散させるため、深い硬化深さが得られるが、浸炭後に焼
入れ焼戻しの熱処理が必要なために、厳しい寸法精度の
要求される歯車などの機械構造用部品に対しては熱処理
歪が問題となり、また耐焼付き性、耐かじり性にも問題
があった。
【0003】一方、窒化処理は、A1変態点以下、500 〜
550 ℃前後の温度域で、Nを侵入・拡散させ、高い表面
硬さと、耐摩耗性・耐焼付き性を向上させる処理であ
る。この方法は焼入れによる相変態を伴わないため、熱
処理歪の問題はないが、通常、処理時間が50〜100hr と
著しく長く、処理後も表面の脆い化合物層を除去する必
要があるなど、製造上に問題があった。
【0004】これに対して、軟窒化処理は、一般に 500
〜600 ℃の温度域でNとCを同時に侵入・拡散させて、
表面硬化をはかる処理であり、窒化処理に比べて処理時
間が約半分ですみ、かつ熱処理歪の少ない処理として、
近年、機械構造用部品などに急速に普及しつつある。
【0005】しかし、現在軟窒化処理して用いられてい
る構造用炭素鋼や低合金鋼では十分な表面硬さおよび硬
化深さが得られておらず、耐ピッチング性、耐スポーリ
ング性、疲労性等が十分でないことから大きな問題とな
っている。また、近年、工程省略化の要求が高く、軟窒
化鋼においても軟窒化処理前の切削性改善のため行われ
ていた焼鈍、焼戻しを省略することが求められている。
【0006】このような問題を解決するために、これま
でにもいくつかの手段が提案されており、例えば、特開
昭63−216950号公報では、化学組成の制限により表面硬
さ・硬化深さの向上および非調質化を図っている。
【0007】しかし、上記方法では、組成範囲が広くそ
の目的を達することが困難となり、また、軟窒化処理後
の熱処理歪の問題を生じ、高精度が要求される部材に適
用することができない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、以上
のような従来技術の問題を解決し、熱間圧延あるいは鍛
造まま (工程省略) で切削性に優れ、軟窒化特性にも優
れる低歪軟窒化用鋼を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】ここに、本発明者らは、
上述の目的達成のために、種々検討を重ね、以下の知見
を得、本発明を完成した。
【0010】軟窒化特性向上策 Cr、V、Alを最適量だけ添加することで、表面硬さおよ
び硬化深さを向上させ、軟窒化処理時間を短縮すること
ができる。
【0011】熱処理歪特性向上策 軟窒化処理後の熱処理歪が非常に少なくなる前組織はフ
ェライト+パーライトまたはベイナイト分率が20%未満
のフェライト+パーライト+ベイナイト組織であり、C
r、Mo、V、Ti等の調整によりその組織制御が可能とな
る。これにより、寸法精度向上のために行われてきた熱
処理後の研摩等の工程の省略が可能となる。
【0012】工程省略策 C、Si、Mn、Cr、V、Mo、B等の調整により熱間圧延後
あるいは熱間鍛造後の冷却で、熱処理なしで、機械的性
質/切削性のバランスが良好となる芯部硬さHv200〜300
の状態が得られ、硬度調整のために行われてきた焼鈍
・焼戻しの工程省略化が可能となり、コスト低減に寄与
する。また、さらなる切削性改善にはS、Pb、Caの添加
が有効となる。これらの方策より、本発明によれば軟窒
化処理時間の短縮、コスト低減を可能にすることができ
る。
【0013】ここに、本発明の要旨とするところは、重
量%で、 C:0.15 〜0.40%、 Si: 1.20%以下、 Mn:0.60 〜
1.80%、 Cr:0.20 〜2.00%、 Al: 0.02〜0.10%、 N:0.006〜
0.020 %、 V:0.05 〜0.20%、 Mo:0〜0.40%、 Ti:0〜0.020 %、B:0〜0.0050%、 S:0〜0.060 %、Pb:0 〜0.20%、 Ca:0〜0.010 %、 かつ、0.60≦C+0.1 Si+0.2 Mn+0.25Cr+1.65V+0.
55Mo+0.20Ti+8B≦1.35・・・(1) および、0.25Cr+1.15Mo+2V+1.5 Ti≦0.85 ・・・(2) 残部Feおよび不可避的不純物から成る鋼を有し、熱間圧
延あるいは熱間鍛造後冷却して、熱処理なしで、芯部硬
さがHv200 〜300 、組織がフェライト+パーライトまた
はベイナイト分率が20%未満のフェライト+パーライト
+ベイナイトの混合組織を有し、それに軟窒化処理を施
すことにより、700 Hv以上の表面硬さとHv 500で0.30mm
以上の硬化深さ、さらに10μm以下の熱処理歪特性を有
することを特徴とする軟窒化用鋼である。
【0014】かくして、本発明によれば、軟窒化処理時
間の短縮、コスト低減を可能にすることができる。本発
明は、その好適態様によれば、次の通りである。
【0015】(1) 重量%で、 C:0.15 〜0.40%、 Si: 1.20%以下、 Mn:0.60
〜1.80%、 Cr:0.20 〜2.00%、 Al: 0.02〜0.10%、 N:0.006
〜0.020 %、 V:0.05 〜0.20%を含有し、残部Feおよび不可避的不純
物、から成る鋼、 かつ、0.60≦C+0.1 Si+0.2 Mn+0.25Cr+1.65V≦1.
35、 および、 0.25Cr+2V≦0.85 の条件を有する鋼を用い、熱間圧延あるいは熱間鍛造後
冷却して、熱処理なしで、芯部硬さがHv200 〜300 、組
織がフェライト+パーライトまたはベイナイト分率が20
%未満のフェライト+パーライト+ベイナイトの混合組
織を有し、それに軟窒化処理を施すことにより、700 Hv
以上の表面硬さとHv 500で0.30mm以上の硬化深さ、さら
10μm以下の熱処理歪特性を有することを特徴とする
軟窒化用鋼。
【0016】(2) 前記鋼組成が、重量%で、Mo:0.05 〜
0.40%、Ti:0.005 〜0.020 %、B:0.0005 〜0.0050%
の一種以上を含有し、 かつ、0.60≦C+0.1 Si+0.2 Mn+0.25Cr+1.65V+0.
55Mo+0.20Ti+8B≦1.35、および、0.25Cr+1.15Mo+2V
+1.5Ti ≦0.85 の条件を有することを特徴とする上記(1) の軟窒化用
鋼。
【0017】(3) 前記鋼組成が、重量%で、S:0.005〜
0.060 %、Pb:0.02〜0.20%、Ca:0.005〜0.010 %の一
種以上を含有することを特徴とする上記(1) または(2)
の軟窒化用鋼。
【0018】
【作用】次に、本発明において鋼組成および組織を上述
のように限定した理由をその作用とともに詳述する。な
お、本明細書において特にことわりがない限り、「%」
は「重量%」である。
【0019】C: 0.15〜0.40%:Cは焼入れ性を確保し
マトリックス中に固溶して芯部強度確保のために必要な
元素である。このためには0.15%以上含有する必要があ
るが、0.40%を越える場合には、焼入れ性増大により靱
性が低下するとともに切削性が大幅に低下する。よっ
て、0.15〜0.40%の範囲とした。
【0020】Si: 1.20%以下:Siは脱酸剤として添加さ
れるが、固溶強化を示し、1.20%を越えると靱性・切削
性を悪化させるので、1.20%以下とした。下限は特に制
限されないが、好ましくは、0.20%以上である。さらに
好ましくはSi: 0.20〜1.00%である。
【0021】Mn: 0.60〜1.80%:Mnは脱酸剤として不可
欠であり、芯部強度を確保する上で有効な元素であり、
芯部硬さ確保のためには他元素との関連において0.60%
以上必要である。また、1.80%を越えると加工性・切削
性を害するので、0.60〜1.80%の範囲とした。
【0022】Cr: 0.20〜2.00%:Crは芯部強度を向上さ
せる他、軟窒化性に関しては、多く添加するほど表面硬
さ・硬化深さを上昇させる元素であるが、0.20%未満で
は軟窒化性と芯部強度の向上効果を得ることができず、
また2.00%を越えると、表面に強固な軟窒化層を形成す
るため、逆に硬化深さは減少する。よって、0.20〜2.00
%の範囲とした。好ましくは、0.50%超1.50%以下であ
る。
【0023】Al: 0.02〜0.10%:Alは溶製時に脱酸剤と
して用いられ、軟窒化による侵入Nと結合して表面硬さ
を高め、かつ硬化深さを深めるのに有効な元素である。
この効果を発揮させるには0.02%以上の含有が必要であ
り、一方、0.10%を越えると表面に強固な軟窒化層を形
成するため、逆に硬化深さは減少する。よって、0.02〜
0.10%の範囲とした。好ましくは、0.02〜0.08%であ
る。
【0024】N:0.006〜0.020 %:Nは結晶粒度を微細
化させ、芯部の靱性を向上させる。このためには、0.
006%以上の含有が必要となる。また0.02%を越
えるとV窒化物の生成が顕著になり靱性が逆に劣化し始
める。よって、0.006 〜0.020 %の範囲とした。好まし
くは、0.006 〜0.018 %である。
【0025】V: 0.05〜0.20%:Vは焼入れ性を向上さ
せると共に、軟窒化時にNとCと結合し微細なV炭窒化
物を析出することにより、表面硬さおよび表面深さを向
上させる。特に硬化深さ増加に対する寄与が大きいこと
から、耐疲労性等にきわめて効果が大きい。この効果を
出すには、0.05%以上必要となるが、0.20%超になると
含有Nと結合して粗大なV窒化物が析出し芯部靱性悪化
となる。よって、0.05〜0.20%の範囲とした。好ましく
は、0.07〜0.20%である。
【0026】本発明に係る軟窒化鋼は、以上の元素を必
須成分とするものであるが、必要に応じて、それぞれ下
記添加量のMo、Ti、Bより成る群から選ばれる1種以上
および/またはS、Pb、Caより成る群から選ばれる1種
以上を含有するものであってもよい。
【0027】Mo: 0.05〜0.40%:Moは良好な焼入れ性を
確保すると同時に靱性を向上させるのに有効な元素であ
る。本発明鋼の焼入性をさらに向上させるためには、Mo
を0.05%以上含有することが好ましい。しかし、0.40%
を越えるとかえって焼入性が低下するするため、0.05〜
0.40%の範囲とした。好ましくは、0.05〜0.35%であ
る。
【0028】Ti:0.005〜0.020 %:Tiは焼入れ性を向
上させ、B添加時のBの焼入れ性効果を向上させる効果
がある。このためには、0.005 %以上含有する必要があ
るが、0.020 %を越えると効果が飽和するとともに切削
性の低下となるため、0.005 〜0.020 %の範囲とした。
【0029】B: 0.0005〜0.0050%:Bを微量添加した
場合、焼入れ性が向上し、芯部強度向上が図られる。本
発明鋼の焼入性をさらに向上させるためには少なくとも
0.0005%以上必要であるが、0.0050%を越えるとかえっ
て焼入れ性が低下するため0.0005〜0.0050%の範囲とし
た。好ましくは、0.0005〜0.0030%である。
【0030】S: 0.005 〜0.060 %、Pb: 0.02〜0.20
%、Ca: 0.0050〜0.010 %:S、Pb、Caはいずれも被削
性を向上させるための元素である。さらに本発明鋼の被
削性の向上を行うには、これらの元素は少なくともS:
0.005%、Pb:0.02 %、Ca:0.005%以上、少なくとも1
種含有するのが好ましい。しかし、上記の上限を越えて
添加しても被削性の顕著な向上効果は認められず、かえ
って靱性を低下させることになることから、S:0.005〜
0.060 %、Pb: 0.02〜0.20%、Ca: 0.0050〜0.010 %と
した。
【0031】式(1) または(2):0.60≦C+0.1 Si+0.2 Mn+0.25Cr+1.65V (+0.55Mo+0.20Ti+8B) ≦1.35 ・・・ [切削性改善指標] 熱間圧延後または熱間鍛造後に切削加工が行える硬さに
調整し、かつ軟窒化特性が良好となる組織に調整する。
そのため、上記切削性改善指標が0.60未満になると硬さ
の不足による、機械的特性の低下を生じる。また、1.35
超になると硬さ上昇による切削性の低下が起こることに
より、歪特性が悪化することから、0.60≦C+0.1 Si+
0.2 Mn+0.25Cr+1.65V (+0.55Mo+20Ti+8B) ≦1.
35の範囲とした。
【0032】0.25Cr+2V (+1.15Mo+1.5Ti)≦0.85 ・・・ [組織制御指標] Cr、Mo、V、Tiは炭化物形成能の強い元素であるが、こ
れらの元素は、粒界に多く滞積し、冷却途中で炭化物を
形成するため、変態に必要なC元素の移動を遅らせ、CC
T 曲線上のフェライト+パーライトノーズを長時間側に
ずらす特徴がある。そのため、CCT 曲線はベイナイトノ
ーズが短時間側に飛び出す形となり、結果的にフェライ
ト、パーライト、ベイナイトの比率に影響を及ぼす。熱
間圧延、熱間鍛造後に低歪化が可能な組織はフェライト
+パーライトまたはフェライト+パーライト+ベイナイ
ト<20%未満>であるため、その組織となるよう調整す
る必要がある。そのため上記式で0.85を越えると、ベイ
ナイト分率が増加し目標の組織を得ることができず歪特
性が悪化することから、0.25Cr+1.15Mo+2V+1.5Ti ≦
0.85の範囲とした。
【0033】Hv 200〜300 :機械構造用部品 (例えば歯
車の場合) では、熱間圧延後あるいは熱間鍛造後に切削
加工を行うため、Hv 300以上になると切削加工ができに
くくなり、長時間化、コスト増大化を及ぼす。また、芯
部強度確保のための硬度がHv 200以下になると芯部強度
が低くなり、疲労強度の低下の原因となる。よって、Hv
200〜300 の範囲とした。
【0034】フェライト+パーライトまたはフェライト
+パーライト (+ベイナイト<20%未満>) 高精度用部材 (例えば歯車) に軟窒化処理を施した場
合、処理後の歪量は前組織により大きく異なる。フェラ
イト+パーライトまたはフェライト+パーライト+ベイ
ナイト<20%未満>では、過飽和固溶元素の減少、組織
の安定化等により残留応力が著しく少なく、軟窒化処理
後に残留応力解放による熱処理歪が小さい。そのため、
摺動部の騒音の低減、軟窒化処理後の研摩修正等の
工程省略化が可能となり、よって、フェライト+パーラ
イトまたはフェライト+パーライト(+ベイナイト<20
%未満>) を限定した。なお、ここにベイナイト分率は
断面上での面積割合をいう。
【0035】以上説明した本発明にかかる軟窒化用鋼
は、そのまま切削加工により所定形状に成形し、次いで
慣用の軟窒化処理を行う。本発明にかかる鋼に対して行
う軟窒化処理法は特に制限されない。
【0036】
【実施例】
(実施例1)表1および表2に示す化学成分を有する供試
鋼No.1〜42を溶製後、各々160 mm角の鋼片とし、この鋼
片を1100℃に加熱し、仕上温度950 ℃の熱間鍛造を施し
て直径30mmの丸棒とした後、放冷した。従来鋼41、42で
は、水冷後 650℃×1hrの焼戻し処理についても行っ
た。
【0037】各丸棒を冷却後、JIS 4号引張試験片、JI
S 3号シャルピー衝撃試験片、および被削性試験片 (直
径30mm×長さ35mm) をそれぞれ採取し、鍛造後の特性調
査のため引張試験、シャルピー衝撃試験、被削性試験を
行った。シャルピー衝撃試験片については、衝撃試験実
施後に母材硬さ (芯部硬さ) を測定し、ミクロ組織観察
も実施した。
【0038】被削性試験ではドリルによる被削性試験を
行った。工具は直径10mmのTiコーティング・ストレート
ドリルを用い、送り速度0.15mm/revの乾式切削を行い、
寿命判定は切削不能切削深さにより判定した。
【0039】また、軟窒化処理後の特性調査のため、硬
度測定用試験片 (直径30mm×長さ35mm) およびJIS 2号
回転曲げ疲労試験片、歪試験片 (外径25mm<内径20mm>
×厚さ5mm・・図1) を採取し、NH3 ガス: RXガス=
1:1の混合ガス中で570 ℃×4hr→油冷のガス軟窒化
処理を施し、硬度測定、疲労試験および歪量測定を行っ
た。
【0040】鍛造後の測定結果を表3に示す。表3に示
す結果より明らかなように、供試鋼No.1〜18の本発明鋼
は、芯部硬さ、ミクロ組織、引張強さ、吸収エネルギ
ー、および工具寿命共に目標値を満足している。これは
従来鋼No.41 、42 (調質) と同等の特性である。
【0041】一方、供試鋼No.19 〜40と従来鋼No.41 、
42 (放冷) の比較鋼で、切削性改善指標、組織制御指標
ともに満足している、C、Mn、Cr、Vが規定より少ない
鋼 (No.19 、22、24、26) および従来鋼 (No.41 、42)
は、フェライト+パーライト組織となっているが、芯部
硬さが大きく低下し、引張強さも目標をはずれている。
【0042】C、Si、Mn、Cr、V、Moが規定より多い鋼
(No.20 、21、23、25、27、32) では、ミクロ組織がベ
イナイト組織となっているが、芯部硬さが大きく増大
し、目標硬さをはずれている。これら芯部硬さが大きく
増大した鋼は、吸収エネルギー、工具寿命についても目
標を満足していない。
【0043】Al、Nが規定より多い鋼 (No.29 、31、3
3) では、芯部硬さ・ミクロ組織・工具寿命共に満足し
ているが、シャルピー吸収エネルギーが大きく低下して
おり、靱性の劣化が認められる。
【0044】また、化学成分は満足するが切削性改善指
標が規定より低い鋼 (No.35 、37)では、組織がフェラ
イト+パーライトとなるが、芯部硬さが大きく低下し、
目標をはずれる。
【0045】切削性指標が規定より高い鋼(No.36) で
は、ミクロ組織もベイナイトとなり、芯部硬さが大きく
増大し、吸収エネルギー、工具寿命についても目標を満
足していない。
【0046】軟窒化処理後の測定結果を表4に示す。表
4に示す結果より明らかなように、供試鋼No.1〜18の本
発明鋼は、表面硬さ、硬化深さ、疲労強度、歪量ともに
目標値を満足している。これは従来鋼No.38、39 (調質)
と比べ格段の特性の向上が認められた。
【0047】一方、供試鋼No.19 〜40と従来鋼No.41 、
42 (放冷) の比較鋼のうち、Cr、V、Alが規定より少な
い鋼 (No.24 、26、28、33) および従来鋼 (No.41 、4
2) では、表面硬さ、硬化深さ、および疲労強度共に低
く目標をはずれていた。また、Cr、V、Alが規定より多
い鋼 (No.25 、27、29、34) は表面硬さは高いが、硬化
深さは浅く、疲労強度も低下し、目標値を満足できてい
ない。
【0048】組織制御指標を満足していない鋼(No.38、
39、40) は、組織がフェライト+パーライトあるいはフ
ェライト+パーライト+ベイナイト (20%未満) を満足
できず、歪量の目標を満足できない。また、規定を満足
しているものの、成分規格をはずれた鋼(No.20、21、2
3、25、27、32) に関しても同様に目標の組織を得るこ
とができず、歪の目標値に達することができない。
【0049】(実施例2)表1および表2に示す供試鋼N
o.1、5の160 mm角の鋼片を1100℃に加熱し、仕上温度9
50 ℃の熱間鍛造後、図2(a) 〜(d) に示すヒートパタ
ーンにて放冷、水冷、塩浴保持をそれぞれ行い、実施例
1と同じ要領で試験片加工と軟窒化処理を行い、熱間鍛
造後の特性と軟窒化後の特性調査を行った。
【0050】表5、表6にヒートパターンとともにその
測定結果をまとめて示す。ベイナイト分率20%を越えた
フェライト+パーライト+ベイナイトは、芯部硬さ、シ
ャルピー衝撃吸収エネルギー、工具寿命は満足するもの
の、軟窒化処理後の表面硬さおよび硬化深さは低く、疲
労強度、歪量は目標に達していない。
【0051】マルテンサイトは、芯部硬さが高く、工具
寿命も悪くなり歪量も目標値に達することができない。
またフェライト+パーライトでも芯部硬さが低い場合、
引張強さや軟窒化処理後の表面硬さ・硬化深さも低く、
疲労強度も目標値に達することができない。
【0052】しかし、フェライト+パーライトあるいは
フェライト+パーライト+ベイナイト (20%未満) で芯
部硬さを満足したものは、工具寿命は長く、軟窒化処理
後の表面硬さ、硬化深さおよび疲労強度さらには歪量の
軽減を図ることができる。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【発明の効果】本発明にかかる軟窒化用鋼は、機械構造
用部品として加工するに際し、焼鈍・焼戻しの熱処理を
する必要がなく加工コストが安くなり、軟窒化鋼として
従来鋼にない優れた表面硬さ・硬化深さおよび疲労強度
を保有するとともに熱処理歪の更なる低減が可能となる
もので、高精度歯車等の性能を向上させ低コスト化を図
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた歪試験片の形状の説明図であ
る。
【図2】図1(a) 〜(d) は、実施例2の各ヒートパター
ンの概略説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−216950(JP,A) 特開 昭59−190321(JP,A) 特開 昭55−6456(JP,A) 特開 平5−65594(JP,A) 特開 昭64−4459(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 301 C22C 38/24 C22C 38/32 C22C 38/60 C23C 8/26

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.15 〜0.40%、 Si: 1.20%以下、 Mn:0.60
    〜1.80%、 Cr:0.20 〜2.00%、 Al: 0.02〜0.10%、 N:0.006
    〜0.020 %、 V:0.05 〜0.20%を含有し、残部Feおよび不可避的不純
    物、 から成る鋼、 かつ、0.60≦C+0.1 Si+0.2 Mn+0.25Cr+1.65V≦1.
    35、 および、0.25Cr+2V≦0.85 の条件を有する鋼を用い、熱間圧延あるいは熱間鍛造後
    冷却して、熱処理なしで、芯部硬さがHv200 〜300 、組
    織がフェライト+パーライトまたはベイナイト分率が20
    %未満のフェライト+パーライト+ベイナイトの混合組
    織を有し、それに軟窒化処理を施すことにより、700 Hv
    以上の表面硬さとHv 500で0.30mm以上の硬化深さ、さら
    に10μm以下の熱処理歪特性を有することを特徴とする
    軟窒化用鋼。
  2. 【請求項2】 前記鋼組成が、重量%で、Mo:0.05 〜0.
    40%、Ti:0.005 〜0.020 %、B:0.0005 〜0.0050%の
    一種以上を含有し、 かつ、0.60≦C+0.1 Si+0.2 Mn+0.25Cr+1.65V+0.
    55Mo+0.20Ti+8B≦1.35、および、0.25Cr+1.15Mo+2V
    +1.5Ti ≦0.85の条件を有することを特徴とする請求項
    1記載の軟窒化用鋼。
  3. 【請求項3】 前記鋼組成が、重量%で、S:0.005〜0.
    060 %、Pb:0.02〜0.20%、Ca:0.005〜0.010 %の一種
    以上を含有することを特徴とする請求項1または2記載
    の軟窒化用鋼。
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