JP2978004B2 - 磁気異方性を有する希土類系複合磁石の製造方法 - Google Patents
磁気異方性を有する希土類系複合磁石の製造方法Info
- Publication number
- JP2978004B2 JP2978004B2 JP4191729A JP19172992A JP2978004B2 JP 2978004 B2 JP2978004 B2 JP 2978004B2 JP 4191729 A JP4191729 A JP 4191729A JP 19172992 A JP19172992 A JP 19172992A JP 2978004 B2 JP2978004 B2 JP 2978004B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- atomic
- less
- powder
- compound
- alloy
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F1/00—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
- H01F1/032—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
- H01F1/04—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
- H01F1/047—Alloys characterised by their composition
- H01F1/053—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
- H01F1/055—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
- H01F1/057—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B
- H01F1/0571—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes
- H01F1/0575—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes pressed, sintered or bonded together
- H01F1/0578—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes pressed, sintered or bonded together bonded together
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Power Engineering (AREA)
- Powder Metallurgy (AREA)
- Hard Magnetic Materials (AREA)
- Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、各種モーター、アク
チュエーター等に用いることが可能な高保磁力を有する
R(希土類元素)-T(鉄属元素)-M(添加元素)-B-C系希土類
系複合磁石の製造方法に係り、特に本系粗粉砕粉をH2ガ
ス中で加熱処理、並びに所定雰囲気で加熱保持する脱H2
処理を行い、結晶粒を1μm以下の極微細結晶とした、磁
気的に高い異方性を有し高保磁力を有するR-T-M-B-C系
永久磁石用合金粉末を用いて複合磁石化した磁気的異方
性を有する希土類系複合磁石の製造方法に関する。
チュエーター等に用いることが可能な高保磁力を有する
R(希土類元素)-T(鉄属元素)-M(添加元素)-B-C系希土類
系複合磁石の製造方法に係り、特に本系粗粉砕粉をH2ガ
ス中で加熱処理、並びに所定雰囲気で加熱保持する脱H2
処理を行い、結晶粒を1μm以下の極微細結晶とした、磁
気的に高い異方性を有し高保磁力を有するR-T-M-B-C系
永久磁石用合金粉末を用いて複合磁石化した磁気的異方
性を有する希土類系複合磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】永久磁石用希土類合金粉末の、水素処理
法による製造方法は、例えば特開平1−132106号
公報に開示されている。前記水素処理法とは、R−T−
M−B系原料合金インゴットまたは粉末を、H2ガス雰
囲気またはH2ガスと不活性ガスの混合雰囲気中で温度
500℃〜1000℃に保持して上記合金のインゴット
または粉末にH2を吸蔵させた後、H2ガス圧力13Pa
(1×10-1Torr)以下の真空雰囲気またはH2ガ
ス分圧13Pa(1×10-1Torr)以下の不活性ガ
ス雰囲気になるまで、温度500℃〜1000℃で脱H
2処理し、ついで冷却することを特徴とする、R−T−
M−B系合金粉末の製造方法である。
法による製造方法は、例えば特開平1−132106号
公報に開示されている。前記水素処理法とは、R−T−
M−B系原料合金インゴットまたは粉末を、H2ガス雰
囲気またはH2ガスと不活性ガスの混合雰囲気中で温度
500℃〜1000℃に保持して上記合金のインゴット
または粉末にH2を吸蔵させた後、H2ガス圧力13Pa
(1×10-1Torr)以下の真空雰囲気またはH2ガ
ス分圧13Pa(1×10-1Torr)以下の不活性ガ
ス雰囲気になるまで、温度500℃〜1000℃で脱H
2処理し、ついで冷却することを特徴とする、R−T−
M−B系合金粉末の製造方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記方法で製造された
R−T−M−B系合金粉末は、大きな保磁力と磁気的異
方性を有する。これは、上記処理によって、非常に微細
な再結晶粒径、実質的には0.1〜1μmの平均再結晶
粒径を持つ組織となり、磁気的には正方晶Nd2Fe14
B系化合物の単磁区臨界粒径に近い結晶粒径となってお
り、なおかつこれらの極微細結晶が、ある程度結晶方位
を揃えて再結晶しているためである。また、上記の製造
方法で得られたR−T−M−B系合金粉末は、粉砕や加
圧等の外部からの応力によって特性が変化することがな
く、また、25μm以下の微粉末領域でも保磁力が低下
することがなく、この特性はバインダーと混合して成形
体となす複合磁石用原料として適している。
R−T−M−B系合金粉末は、大きな保磁力と磁気的異
方性を有する。これは、上記処理によって、非常に微細
な再結晶粒径、実質的には0.1〜1μmの平均再結晶
粒径を持つ組織となり、磁気的には正方晶Nd2Fe14
B系化合物の単磁区臨界粒径に近い結晶粒径となってお
り、なおかつこれらの極微細結晶が、ある程度結晶方位
を揃えて再結晶しているためである。また、上記の製造
方法で得られたR−T−M−B系合金粉末は、粉砕や加
圧等の外部からの応力によって特性が変化することがな
く、また、25μm以下の微粉末領域でも保磁力が低下
することがなく、この特性はバインダーと混合して成形
体となす複合磁石用原料として適している。
【0004】ところが、上記方法で製造されたR−T−
M−B系磁石用合金粉末の磁気的性質は、特に磁気的異
方性については不充分であり、原料合金そのものが本質
的に有する磁気的異方性に達しておらず、磁気特性的に
は残留磁束密度Brが小さいという欠点があった。
M−B系磁石用合金粉末の磁気的性質は、特に磁気的異
方性については不充分であり、原料合金そのものが本質
的に有する磁気的異方性に達しておらず、磁気特性的に
は残留磁束密度Brが小さいという欠点があった。
【0005】この発明は、R-T-M-B系合金粉末の磁気的
異方性を向上させて、複合磁石化した際の残留磁束密度
Brが高くすぐれた磁気特性を有するR-T-M-B系複合磁石
の製造方法の提供を目的としている。
異方性を向上させて、複合磁石化した際の残留磁束密度
Brが高くすぐれた磁気特性を有するR-T-M-B系複合磁石
の製造方法の提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は上記残留磁束
密度Brを大きくするため、原料組成の検討を行った結
果、大きな磁気的異方性を得ることができる置換元素及
び添加元素を見い出したものである。すなわち、Bの一
部をCで置換することによって、安定して大きな磁気的
異方性を得ることを知見したものである。さらに、A
l,Cr,Ni,Ga,Zr,In,Sn.Hf,T
i,V,Nb,Mo,Ta,Wの1種または2種以上を
添加することにより磁気特性を改善向上することを見い
出した。さらに、かかる成分系の組成範囲を限定し、水
素処理法における水素圧力を10kPa以上とし、脱水
素工程の水素圧力を10Pa以下とすることにより、安
定して磁気的異方性を有する粉末を製造することがで
き、この異方性粉末をバインダーと結合した複合磁石用
の原料として用いることができることを知見し、この発
明を完成した。
密度Brを大きくするため、原料組成の検討を行った結
果、大きな磁気的異方性を得ることができる置換元素及
び添加元素を見い出したものである。すなわち、Bの一
部をCで置換することによって、安定して大きな磁気的
異方性を得ることを知見したものである。さらに、A
l,Cr,Ni,Ga,Zr,In,Sn.Hf,T
i,V,Nb,Mo,Ta,Wの1種または2種以上を
添加することにより磁気特性を改善向上することを見い
出した。さらに、かかる成分系の組成範囲を限定し、水
素処理法における水素圧力を10kPa以上とし、脱水
素工程の水素圧力を10Pa以下とすることにより、安
定して磁気的異方性を有する粉末を製造することがで
き、この異方性粉末をバインダーと結合した複合磁石用
の原料として用いることができることを知見し、この発
明を完成した。
【0007】すなわち、この発明は、R:10〜20原子%(R;
希土類元素の少なくとも1種でかつPrまたはNdの1種また
は2種をRのうち50原子%以上含有)、T:67〜85原子%(T:Fe
またはFeの1部を50原子%以下のCoにて置換)、B,Cの量が
B+C=4〜10原子% C/(B+C)=0.01〜0.8 を満足する値
を有する組成の合金鋳塊を粗粉砕後、前記粗粉砕粉を原
料粉末として、10kPa〜1000kPaのH 2 ガス中で500℃〜900
℃に15分〜8時間加熱保持し、更にH 2 分圧10Pa以下にて5
00℃〜900℃に15分〜8時間保持の脱H 2 処理を行った後に
冷却して、合金粉末の70vol%以上が正方晶Nd2Fe14B型結
晶構造を有する化合物で、かつ該化合物のうち体積比で
少なくとも50%以上の再結晶粒径が0.05〜1μmで、平均
粒径が10〜1000μmからなり、その磁化容易方向の残留
磁束密度が0.9〜1.6Tの磁気的異方性を有する合金粉末
を、バインダーと結合したことを特徴とする磁気的異方
性を有する希土類系複合磁石の製造方法である。
希土類元素の少なくとも1種でかつPrまたはNdの1種また
は2種をRのうち50原子%以上含有)、T:67〜85原子%(T:Fe
またはFeの1部を50原子%以下のCoにて置換)、B,Cの量が
B+C=4〜10原子% C/(B+C)=0.01〜0.8 を満足する値
を有する組成の合金鋳塊を粗粉砕後、前記粗粉砕粉を原
料粉末として、10kPa〜1000kPaのH 2 ガス中で500℃〜900
℃に15分〜8時間加熱保持し、更にH 2 分圧10Pa以下にて5
00℃〜900℃に15分〜8時間保持の脱H 2 処理を行った後に
冷却して、合金粉末の70vol%以上が正方晶Nd2Fe14B型結
晶構造を有する化合物で、かつ該化合物のうち体積比で
少なくとも50%以上の再結晶粒径が0.05〜1μmで、平均
粒径が10〜1000μmからなり、その磁化容易方向の残留
磁束密度が0.9〜1.6Tの磁気的異方性を有する合金粉末
を、バインダーと結合したことを特徴とする磁気的異方
性を有する希土類系複合磁石の製造方法である。
【0008】また、この発明は、R:10〜20原子%(R;希土
類元素の少なくとも1種でかつPrまたはNdの1種または2
種をRのうち50原子%以上含有)、T:67〜85原子%(T:Feま
たはFeの1部を50原子%以下のCoにて置換)、M;10原子%以
下(M;Al、Ti、V、Cr、Ni、Ga、Zr、Nb、Mo、In、Sn、H
f、Ta、Wのうち1種または2種以上)、B,Cの量が B+C=4
〜10原子% C/(B+C)=0.01〜0.8 を満足する値を有する
組成の合金鋳塊を粗粉砕後、前記粗粉砕粉を原料粉末と
して、10kPa〜1000kPaのH 2 ガス中で500℃〜900℃に15分
〜8時間加熱保持し、更にH 2 分圧10Pa以下にて500℃〜90
0℃に15分〜8時間保持の脱H 2 処理を行った後に冷却し
て、合金粉末の70vol%以上が正方晶Nd2Fe14B型結晶構造
を有する化合物で、かつ該化合物のうち体積比で少なく
とも50%以上の再結晶粒径が0.05〜1μmで、平均粒径が1
0〜1000μmからなり、その磁化容易方向の残留磁束密度
が0.9〜1.6Tの磁気的異方性を有する合金粉末を、バイ
ンダーと結合したことを特徴とする磁気的異方性を有す
る希土類系複合磁石の製造方法である。
類元素の少なくとも1種でかつPrまたはNdの1種または2
種をRのうち50原子%以上含有)、T:67〜85原子%(T:Feま
たはFeの1部を50原子%以下のCoにて置換)、M;10原子%以
下(M;Al、Ti、V、Cr、Ni、Ga、Zr、Nb、Mo、In、Sn、H
f、Ta、Wのうち1種または2種以上)、B,Cの量が B+C=4
〜10原子% C/(B+C)=0.01〜0.8 を満足する値を有する
組成の合金鋳塊を粗粉砕後、前記粗粉砕粉を原料粉末と
して、10kPa〜1000kPaのH 2 ガス中で500℃〜900℃に15分
〜8時間加熱保持し、更にH 2 分圧10Pa以下にて500℃〜90
0℃に15分〜8時間保持の脱H 2 処理を行った後に冷却し
て、合金粉末の70vol%以上が正方晶Nd2Fe14B型結晶構造
を有する化合物で、かつ該化合物のうち体積比で少なく
とも50%以上の再結晶粒径が0.05〜1μmで、平均粒径が1
0〜1000μmからなり、その磁化容易方向の残留磁束密度
が0.9〜1.6Tの磁気的異方性を有する合金粉末を、バイ
ンダーと結合したことを特徴とする磁気的異方性を有す
る希土類系複合磁石の製造方法である。
【0009】組成の限定理由 この発明に使用する原料合金に用いるR、すなわち希土
類元素は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、
Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Luが包括され、この
うち少なくとも1種以上でかつPr、Ndのうち少なく
とも1種または2種をRのうち50原子%以上含有し、
さらにRの全てがPr、Ndのうち1種または2種の場
合がある。Rの50原子%以上をPr、Ndのうち少な
くとも1種以上とするのは50原子%未満では充分な磁
化が得られないためである。
類元素は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、
Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Luが包括され、この
うち少なくとも1種以上でかつPr、Ndのうち少なく
とも1種または2種をRのうち50原子%以上含有し、
さらにRの全てがPr、Ndのうち1種または2種の場
合がある。Rの50原子%以上をPr、Ndのうち少な
くとも1種以上とするのは50原子%未満では充分な磁
化が得られないためである。
【0010】Rは、10原子%未満ではαFe相の析出
により保磁力が低下し、また20原子%を超えると、目
的とする正方晶Nd2Fe14B型化合物以外に、Rリッ
チの第2相が多く析出し、この第2相が多すぎると合金
の磁化を低下させる。従って、Rの範囲は10〜20原
子%とする。
により保磁力が低下し、また20原子%を超えると、目
的とする正方晶Nd2Fe14B型化合物以外に、Rリッ
チの第2相が多く析出し、この第2相が多すぎると合金
の磁化を低下させる。従って、Rの範囲は10〜20原
子%とする。
【0011】Tは鉄族元素であって、FeまたはFeの
1部を50%以下のCoにて置換できる。Tは、67原
子%未満では低保磁力、低磁化の第2相が析出して磁気
的特性が低下し、85原子%を超えるとαFe相の析出
により保磁力、角型性が低下するため、67〜85原子
%とする。また、Coの50%以下の添加はキュリー温
度の向上に有効であるが、FeとCoの原子比において
Feが50%未満となるとNd2Fe14B型化合物の飽
和磁化そのものの減少量が大きくなってしまうため、T
のうち原子比でFeを50%以上とした。
1部を50%以下のCoにて置換できる。Tは、67原
子%未満では低保磁力、低磁化の第2相が析出して磁気
的特性が低下し、85原子%を超えるとαFe相の析出
により保磁力、角型性が低下するため、67〜85原子
%とする。また、Coの50%以下の添加はキュリー温
度の向上に有効であるが、FeとCoの原子比において
Feが50%未満となるとNd2Fe14B型化合物の飽
和磁化そのものの減少量が大きくなってしまうため、T
のうち原子比でFeを50%以上とした。
【0012】Mのうち、Al、Cr、Ni、Ga、Z
r、In、Sn、Hfは、脱H2処理時の再結晶粒を
0.05〜1μmのサイズにまで成長させ、粉末に磁気
的異方性を付与するのに有効な元素であり、C添加時に
も磁気的異方性を安定して得るために必要である。T
i、V、Nb、Mo、Ta、Wは、脱H2処理時の再結
晶粒が、1μm以上に粗大化するのを防止し、結果とし
て保磁力が低下するのを抑制する効果を有する。従っ
て、Mとしては全く加えない場合もあるが、上記の元素
を目的に応じて組み合せて用いることが得策である。添
加量は10原子%を越えると強磁性でない第2相が析出
して磁化を低下させることから、Mは10原子%以下が
望ましい。
r、In、Sn、Hfは、脱H2処理時の再結晶粒を
0.05〜1μmのサイズにまで成長させ、粉末に磁気
的異方性を付与するのに有効な元素であり、C添加時に
も磁気的異方性を安定して得るために必要である。T
i、V、Nb、Mo、Ta、Wは、脱H2処理時の再結
晶粒が、1μm以上に粗大化するのを防止し、結果とし
て保磁力が低下するのを抑制する効果を有する。従っ
て、Mとしては全く加えない場合もあるが、上記の元素
を目的に応じて組み合せて用いることが得策である。添
加量は10原子%を越えると強磁性でない第2相が析出
して磁化を低下させることから、Mは10原子%以下が
望ましい。
【0013】Bについては、正方晶Nd2Fe14B型結
晶構造を安定して析出させるためには必須であるが、一
部を後述のCで置換することが可能である。添加量は、
BとCの和が4原子%以下ではR2T17相が析出して保
磁力を低下させ、また減磁曲線の角型性が著しく損なわ
れる。また、10原子%を越えて添加した場合は、磁化
の小さい第2相が析出して粉末の磁化を低下させるの
で、BとCの和は4〜10原子%とした。また、C/
(B+C)=0.01〜0.8に限定した理由は、0.
01未満では、水素処理後の合金粉末の磁気的異方性の
改善効果がなく、0.8を越えるとR炭化物が生成しや
すく、かつ高温域でTh2Zn17型構造が安定化する恐
れがあり、αFeの析出量が多くなって、鋳塊中の正方
晶比率が低下し、残留磁束密度が減少するだけでなく、
水素処理後の合金粉末の保磁力が大きく低下するので好
ましくなく、C/(B+C)のさらに好ましい範囲は
0.1〜0.5である。
晶構造を安定して析出させるためには必須であるが、一
部を後述のCで置換することが可能である。添加量は、
BとCの和が4原子%以下ではR2T17相が析出して保
磁力を低下させ、また減磁曲線の角型性が著しく損なわ
れる。また、10原子%を越えて添加した場合は、磁化
の小さい第2相が析出して粉末の磁化を低下させるの
で、BとCの和は4〜10原子%とした。また、C/
(B+C)=0.01〜0.8に限定した理由は、0.
01未満では、水素処理後の合金粉末の磁気的異方性の
改善効果がなく、0.8を越えるとR炭化物が生成しや
すく、かつ高温域でTh2Zn17型構造が安定化する恐
れがあり、αFeの析出量が多くなって、鋳塊中の正方
晶比率が低下し、残留磁束密度が減少するだけでなく、
水素処理後の合金粉末の保磁力が大きく低下するので好
ましくなく、C/(B+C)のさらに好ましい範囲は
0.1〜0.5である。
【0014】合金粉末組織の限定理由 この発明において、正方晶Nd2Fe14B型化合物の存
在比率は、70vol%未満であると、磁気特性、特に
残留磁束密度が低下する。より具体的には、混在する第
2相がαFe相の場合は保磁力を低下させ、Rリッチ相
やBリッチ相の場合には磁化が低下する。従って、正方
晶Nd2Fe14B型化合物の存在比を70vol%以上
とした。体積比で70%以上の正方晶Nd2Fe14B型
化合物を有する粗粉砕粉を得るためには、望ましくは合
金鋳塊の段階で800℃〜1200℃の温度で1時間以
上焼鈍するか、造塊工程で鋳型の冷却速度を制御するな
どの手段を適宜選定すれば良い。この鋳塊における正方
晶の存在比率は、水素処理後にもほぼそのまま維持され
る。
在比率は、70vol%未満であると、磁気特性、特に
残留磁束密度が低下する。より具体的には、混在する第
2相がαFe相の場合は保磁力を低下させ、Rリッチ相
やBリッチ相の場合には磁化が低下する。従って、正方
晶Nd2Fe14B型化合物の存在比を70vol%以上
とした。体積比で70%以上の正方晶Nd2Fe14B型
化合物を有する粗粉砕粉を得るためには、望ましくは合
金鋳塊の段階で800℃〜1200℃の温度で1時間以
上焼鈍するか、造塊工程で鋳型の冷却速度を制御するな
どの手段を適宜選定すれば良い。この鋳塊における正方
晶の存在比率は、水素処理後にもほぼそのまま維持され
る。
【0015】この発明において、正方晶Nd2Fe14B型化合
物は、結晶粒径1μm以下で高保磁力が得られるが、1μm
を越える再結晶粒径を有するものがあったとしても、1
μm以下の結晶が体積比で50%以上存在すれば、全体とし
ては高保磁力を維持できる。また、0.05μm以下の結晶
は、事実上作製困難であり、たとえ得られたとしても、
磁気特性的に特に優れたところはない。従って、主相で
あるNd2Fe14B型化合物の再結晶粒径は、体積比で50%以
上の部分を0.05〜1μmの結晶が占めていることが好まし
い。さらに好ましくは、0.1〜0.5μmの結晶が体積比で8
0%以上を占めていればよい。
物は、結晶粒径1μm以下で高保磁力が得られるが、1μm
を越える再結晶粒径を有するものがあったとしても、1
μm以下の結晶が体積比で50%以上存在すれば、全体とし
ては高保磁力を維持できる。また、0.05μm以下の結晶
は、事実上作製困難であり、たとえ得られたとしても、
磁気特性的に特に優れたところはない。従って、主相で
あるNd2Fe14B型化合物の再結晶粒径は、体積比で50%以
上の部分を0.05〜1μmの結晶が占めていることが好まし
い。さらに好ましくは、0.1〜0.5μmの結晶が体積比で8
0%以上を占めていればよい。
【0016】残留磁束密度の限定理由 この発明による永久磁石用合金粉末は、磁気的に高い異
方性を有することが特徴である。この合金粉末の主相で
あるNd2Fe14B型化合物の飽和磁化は1.6Tであ
り、合金粉末の残留磁束密度が1.6Tを越えることは
不可能である。一方、残留磁束密度が0.9T未満であ
ると、理論的には0.8Tの残留磁束密度が得られる等
方性永久磁石用希土類合金粉末に対して、磁気特性的に
優位性がなく、実用的な意味がない。そこで、残留磁束
密度の値は、0.9〜1.6Tとした。
方性を有することが特徴である。この合金粉末の主相で
あるNd2Fe14B型化合物の飽和磁化は1.6Tであ
り、合金粉末の残留磁束密度が1.6Tを越えることは
不可能である。一方、残留磁束密度が0.9T未満であ
ると、理論的には0.8Tの残留磁束密度が得られる等
方性永久磁石用希土類合金粉末に対して、磁気特性的に
優位性がなく、実用的な意味がない。そこで、残留磁束
密度の値は、0.9〜1.6Tとした。
【0017】製造条件 また、この発明の磁気的異方性を有する希土類系複合磁
石の製造方法を説明すると、 1) R:10〜20原子%(R;希土類元素の少なくとも1種でか
つPrまたはNdの1種または2種をRのうち50原子%以上含
有)、T:67〜85原子%(T:FeまたはFeの1部を50原子%以下
のCoにて置換)、あるいはさらに、M;10原子%以下(M;A
l、Ti、V、Cr、Ni、Ga、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Hf、Ta、
Wのうち1種または2種以上)を含有し、B,Cの量が B+C=4
〜10原子% C/(B+C)=0.01〜0.8 を満足する値を有する
組成の合金鋳塊を粗粉砕後、 2) 前記粗粉砕粉を原料粉末として、10kPa〜1000kPaの
H2ガス中で500℃〜900℃に15分〜8時間加熱保持し、 3) 更にH2分圧10Pa以下にて500℃〜900℃に15分〜8時
間保持の脱H2処理を行なったのち冷却して、 4) 合金粉末の70vol%以上が正方晶Nd2Fe14B型結晶構造
を有する化合物で、かつ該化合物のうち体積比で少なく
とも50%以上の再結晶粒径が0.05〜1μmで、平均粒径が1
0〜1000μmからなり、その磁化容易方向の残留磁束密度
が0.9〜1.6Tを有する合金粉末を得たのち、 5)該合金粉末をバインダーと結合して複合磁石化する。
石の製造方法を説明すると、 1) R:10〜20原子%(R;希土類元素の少なくとも1種でか
つPrまたはNdの1種または2種をRのうち50原子%以上含
有)、T:67〜85原子%(T:FeまたはFeの1部を50原子%以下
のCoにて置換)、あるいはさらに、M;10原子%以下(M;A
l、Ti、V、Cr、Ni、Ga、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Hf、Ta、
Wのうち1種または2種以上)を含有し、B,Cの量が B+C=4
〜10原子% C/(B+C)=0.01〜0.8 を満足する値を有する
組成の合金鋳塊を粗粉砕後、 2) 前記粗粉砕粉を原料粉末として、10kPa〜1000kPaの
H2ガス中で500℃〜900℃に15分〜8時間加熱保持し、 3) 更にH2分圧10Pa以下にて500℃〜900℃に15分〜8時
間保持の脱H2処理を行なったのち冷却して、 4) 合金粉末の70vol%以上が正方晶Nd2Fe14B型結晶構造
を有する化合物で、かつ該化合物のうち体積比で少なく
とも50%以上の再結晶粒径が0.05〜1μmで、平均粒径が1
0〜1000μmからなり、その磁化容易方向の残留磁束密度
が0.9〜1.6Tを有する合金粉末を得たのち、 5)該合金粉末をバインダーと結合して複合磁石化する。
【0018】水素処理法は、所要粒度の粗粉砕粉が外観
上その大きさを変化させることなく、極微細結晶組織の
集合体が得られることを特徴とする。すなわち、正方晶
Nd2Fe14B型化合物に対し、高温でH2ガスと反応さ
せると、RH2■3、αFe、Fe2Bなどに相分離し、
さらにH2ガスを脱H2処理により除去すると、再度正方
晶Nd2Fe14B型化合物の再結晶組織が得られる。
上その大きさを変化させることなく、極微細結晶組織の
集合体が得られることを特徴とする。すなわち、正方晶
Nd2Fe14B型化合物に対し、高温でH2ガスと反応さ
せると、RH2■3、αFe、Fe2Bなどに相分離し、
さらにH2ガスを脱H2処理により除去すると、再度正方
晶Nd2Fe14B型化合物の再結晶組織が得られる。
【0019】出発原料の粗粉砕法は、従来の機械的粉砕
法やガスアトマイズ法の他、H2吸蔵による、いわゆる
水素粉砕法を用いてもよく、工程の簡略化のためにこの
水素粉砕による粗粉砕工程と、極微細結晶を得るための
水素処理法を同一装置内で連続して行なっても良い。ま
た、得られた粗粉砕粉の平均粒度は50〜1000μm
が好ましい。
法やガスアトマイズ法の他、H2吸蔵による、いわゆる
水素粉砕法を用いてもよく、工程の簡略化のためにこの
水素粉砕による粗粉砕工程と、極微細結晶を得るための
水素処理法を同一装置内で連続して行なっても良い。ま
た、得られた粗粉砕粉の平均粒度は50〜1000μm
が好ましい。
【0020】この発明において、H2ガス中での加熱に
際し、H2ガス圧力が10kPa未満では、前述の分解
反応が充分に進行せず、また1000kPaを超えると
処理設備が大きくなりすぎ、工業的にコスト面、また安
全面で好ましくないため、圧力範囲を10kPa〜10
00kPaとした。さらに好ましくは50kPa〜15
0kPaである。
際し、H2ガス圧力が10kPa未満では、前述の分解
反応が充分に進行せず、また1000kPaを超えると
処理設備が大きくなりすぎ、工業的にコスト面、また安
全面で好ましくないため、圧力範囲を10kPa〜10
00kPaとした。さらに好ましくは50kPa〜15
0kPaである。
【0021】H2ガス中での加熱処理温度は、500℃
未満ではRH2■3、αFe、Fe2Bなどへの分解反応
が起こらず、また900℃を超えるとRH2■3が不安定
となり、かつ生成物が粒成長して正方晶Nd2Fe14B
型化合物の極微細結晶組織を得ることが困難になるた
め、温度範囲を500℃〜900℃とする。また、加熱
処理保持時間については、上記の分解反応を充分に行わ
せるため、15分〜8時間の加熱保持が必要である。
未満ではRH2■3、αFe、Fe2Bなどへの分解反応
が起こらず、また900℃を超えるとRH2■3が不安定
となり、かつ生成物が粒成長して正方晶Nd2Fe14B
型化合物の極微細結晶組織を得ることが困難になるた
め、温度範囲を500℃〜900℃とする。また、加熱
処理保持時間については、上記の分解反応を充分に行わ
せるため、15分〜8時間の加熱保持が必要である。
【0022】この発明の脱H2処理時のH2分圧は、10
Paを超えると下記の温度範囲、すなわち900℃以下
ではRH2■3相の分解条件に至らないか、平衡論的には
分解条件に達していたとしても実用的な脱H2速度が得
られないため、脱H2処理時のH2分圧は10Pa以下と
した。
Paを超えると下記の温度範囲、すなわち900℃以下
ではRH2■3相の分解条件に至らないか、平衡論的には
分解条件に達していたとしても実用的な脱H2速度が得
られないため、脱H2処理時のH2分圧は10Pa以下と
した。
【0023】この発明において、脱H2処理の温度が5
00℃未満ではRH2■3相からのH2の離脱が起こら
ず、そのため正方晶Nd2Fe14B型化合物が再結晶し
ない。また、900℃を超えると正方晶Nd2Fe14B
型化合物は生成するが、再結晶粒が粗大に成長し、高い
保磁力が得られない。そのため、脱H2処理の温度範囲
は500℃〜900℃とする。また、加熱処理保持時間
は、上記の再結晶反応を充分に行わせるためには15分
〜8時間の加熱保持が必要である。
00℃未満ではRH2■3相からのH2の離脱が起こら
ず、そのため正方晶Nd2Fe14B型化合物が再結晶し
ない。また、900℃を超えると正方晶Nd2Fe14B
型化合物は生成するが、再結晶粒が粗大に成長し、高い
保磁力が得られない。そのため、脱H2処理の温度範囲
は500℃〜900℃とする。また、加熱処理保持時間
は、上記の再結晶反応を充分に行わせるためには15分
〜8時間の加熱保持が必要である。
【0024】脱H2処理後の正方晶Nd2Fe14B型化合
物の再結晶粒径は実質的に0.05μm以下の平均再結
晶粒径を得ることは困難であり、また、たとえ得られた
としても、磁気特性上の利点がない。一方、平均再結晶
粒径が1μmを超えると、粉末の保磁力が低下するため
好ましくない。そのため、平均再結晶粒径を0.05〜
1μmとした。
物の再結晶粒径は実質的に0.05μm以下の平均再結
晶粒径を得ることは困難であり、また、たとえ得られた
としても、磁気特性上の利点がない。一方、平均再結晶
粒径が1μmを超えると、粉末の保磁力が低下するため
好ましくない。そのため、平均再結晶粒径を0.05〜
1μmとした。
【0025】この発明において用いられるバインダー
は、樹脂や金属を問わず特にその種類を限定するもので
ないが、後述の成形法に応じて最適のバインダーが適宜
選定される。例えば、圧縮成形法による場合はエポキシ
系のような熱硬化性樹脂が用いられることが多く、成形
後に硬化処理として加熱を行う。また、射出成形法では
ナイロン系のような熱可塑性樹脂が用いられ、硬化処理
を特に必要としない。金属バインダーの場合は、主に複
合磁石の使用条件によってバインダーとして用いられる
金属の融点が選択される。また、樹脂バインダーの透水
性を嫌う場合や、樹脂バインダーからの放出ガスを嫌う
場合には、金属バインダーが選択される。例えば、Z
n、In、Sn、Pbおよびこれらの合金があり、融点
が150〜500℃の範囲にある金属や合金から適宜選
定される。この発明において、バインダー量は樹脂バイ
ンダーの場合は0.5〜20wt%であるが、圧縮成形
法の場合は1〜10wt%が好ましく、押出し成形の場
合は1〜10wt%が好ましく、射出成形、シート状成
形の場合は3〜20wt%、成形後に含浸させる場合は
成形体の空孔率で決定されるが0.5〜5wt%、ま
た、金属バインダーの場合は、5〜50wt%である。
上記のバインダー量はその下限値よりも少ない場合は、
成形が困難になり、内部に空孔が多く残留して強度不足
となり、また脱粒が起こりやすく、さらに成形時の外部
磁界による配向が困難となり、磁石特性が劣化する。バ
インダー量がその上限値より多い場合は、磁束密度、エ
ネルギー積等の磁石特性が劣化するため好ましくない。
は、樹脂や金属を問わず特にその種類を限定するもので
ないが、後述の成形法に応じて最適のバインダーが適宜
選定される。例えば、圧縮成形法による場合はエポキシ
系のような熱硬化性樹脂が用いられることが多く、成形
後に硬化処理として加熱を行う。また、射出成形法では
ナイロン系のような熱可塑性樹脂が用いられ、硬化処理
を特に必要としない。金属バインダーの場合は、主に複
合磁石の使用条件によってバインダーとして用いられる
金属の融点が選択される。また、樹脂バインダーの透水
性を嫌う場合や、樹脂バインダーからの放出ガスを嫌う
場合には、金属バインダーが選択される。例えば、Z
n、In、Sn、Pbおよびこれらの合金があり、融点
が150〜500℃の範囲にある金属や合金から適宜選
定される。この発明において、バインダー量は樹脂バイ
ンダーの場合は0.5〜20wt%であるが、圧縮成形
法の場合は1〜10wt%が好ましく、押出し成形の場
合は1〜10wt%が好ましく、射出成形、シート状成
形の場合は3〜20wt%、成形後に含浸させる場合は
成形体の空孔率で決定されるが0.5〜5wt%、ま
た、金属バインダーの場合は、5〜50wt%である。
上記のバインダー量はその下限値よりも少ない場合は、
成形が困難になり、内部に空孔が多く残留して強度不足
となり、また脱粒が起こりやすく、さらに成形時の外部
磁界による配向が困難となり、磁石特性が劣化する。バ
インダー量がその上限値より多い場合は、磁束密度、エ
ネルギー積等の磁石特性が劣化するため好ましくない。
【0026】成形方法は特に限定しないが、磁界を印加
して成形できる方法として一般的なのは、圧縮成形法と
射出成形法である。また、ヨーク材との一体成形も可能
である。押出し成形法は特に、長尺形状の磁石を生産す
るには生産性のよい方法である。また、ベースフィルム
上にシート状スラリーを作製し、必要形状に打ち抜いて
硬化処理を行い、薄肉磁石を製作することができる。更
に、原料粉末のみを磁界中で成形、取り出した後、前記
バインダーを含浸させることもできる。
して成形できる方法として一般的なのは、圧縮成形法と
射出成形法である。また、ヨーク材との一体成形も可能
である。押出し成形法は特に、長尺形状の磁石を生産す
るには生産性のよい方法である。また、ベースフィルム
上にシート状スラリーを作製し、必要形状に打ち抜いて
硬化処理を行い、薄肉磁石を製作することができる。更
に、原料粉末のみを磁界中で成形、取り出した後、前記
バインダーを含浸させることもできる。
【0027】
【作用】この発明によるR−T−B系複合磁石は、Bの
一部をCで置換することによって、安定して大きな磁気
的異方性が得られて残留磁束密度Brを大きくすること
ができ、さらに、Al,Cr,Ni,Ga,Zr,I
n,Sn.Hf,Ti,V,Nb,Mo,Ta,Wの1
種または2種以上を添加することにより磁気特性を改善
向上することが可能である。さらに、特定組成範囲のR
−T−M−B−C系合金粗粉砕粉を用いて、水素処理法
における水素圧力を10kPa以上とし、脱水素工程の
水素圧力を10Pa以下とすることにより、平均結晶粒
径が0.05〜1μmの再結晶粒よりなる磁気的に異方
性の大きな、高い保磁力を有する磁粉を安定して得るこ
とができ、バインダーと結合した複合磁石の磁気特性が
向上する。
一部をCで置換することによって、安定して大きな磁気
的異方性が得られて残留磁束密度Brを大きくすること
ができ、さらに、Al,Cr,Ni,Ga,Zr,I
n,Sn.Hf,Ti,V,Nb,Mo,Ta,Wの1
種または2種以上を添加することにより磁気特性を改善
向上することが可能である。さらに、特定組成範囲のR
−T−M−B−C系合金粗粉砕粉を用いて、水素処理法
における水素圧力を10kPa以上とし、脱水素工程の
水素圧力を10Pa以下とすることにより、平均結晶粒
径が0.05〜1μmの再結晶粒よりなる磁気的に異方
性の大きな、高い保磁力を有する磁粉を安定して得るこ
とができ、バインダーと結合した複合磁石の磁気特性が
向上する。
【0028】
【実施例】実施例1 高周波誘導溶解法によって溶製して得られた、表1に示
すNo.1〜14の組成の鋳塊を、1100℃、24時
間、10Pa以下の真空中で焼鈍して、鋳塊中の正方晶
Nd2Fe14B型化合物の体積比を90%以上とした。
この鋳塊を、Arガス雰囲気中(O2量0.5%以下)
でスタンプミルにて平均粒度100μmに粗粉砕した
後、この粗粉砕粉を管状炉に入れ、1Pa以下にまで真
空排気した。その後、純度99.9999%以上の10
0kPaのH2ガスを導入しつつ、原料温度800℃に
て2時間保持した。引き続き原料を800℃に保持した
まま、H2ガスの供給を止め、ロータリーポンプ、油拡
散ポンプによって炉内を真空排気し、1時間保持した。
このときの原料処理室内の圧力は最終的に0.05Pa
まで低下した。その後炉内に純度99.999%以上の
Arガスを導入すると共に原料を冷却し、原料温度が5
0℃以下となったところで原料を取り出した。得られた
各磁石用粉末は、結晶粒径が0.05〜1μmのものが
体積比で80%〜95%の範囲にあり、平均粒径は0.
3μm〜0.5μmの範囲であった。それぞれの保磁力
HcJ、磁化I、磁化容易方向の残留磁束密度Brを測
定して表1に示す。なお、磁化の値は外部磁界0.8M
A/mの時の値で、磁界中で配向して測定した。この原
料粉末にバインダーとして、熱硬化性エポキシ樹脂を3
wt%混合した後、0.8MA/mの磁界中、3.0t
on/cm2の圧力で圧縮成形し、さらに150℃、1
時間の条件で樹脂の硬化処理を行って希土類複合磁石を
作製した。各磁石の保磁力HcJ、磁化I、磁化容易方
向の残留磁束密度Brを測定して表2に示す。
すNo.1〜14の組成の鋳塊を、1100℃、24時
間、10Pa以下の真空中で焼鈍して、鋳塊中の正方晶
Nd2Fe14B型化合物の体積比を90%以上とした。
この鋳塊を、Arガス雰囲気中(O2量0.5%以下)
でスタンプミルにて平均粒度100μmに粗粉砕した
後、この粗粉砕粉を管状炉に入れ、1Pa以下にまで真
空排気した。その後、純度99.9999%以上の10
0kPaのH2ガスを導入しつつ、原料温度800℃に
て2時間保持した。引き続き原料を800℃に保持した
まま、H2ガスの供給を止め、ロータリーポンプ、油拡
散ポンプによって炉内を真空排気し、1時間保持した。
このときの原料処理室内の圧力は最終的に0.05Pa
まで低下した。その後炉内に純度99.999%以上の
Arガスを導入すると共に原料を冷却し、原料温度が5
0℃以下となったところで原料を取り出した。得られた
各磁石用粉末は、結晶粒径が0.05〜1μmのものが
体積比で80%〜95%の範囲にあり、平均粒径は0.
3μm〜0.5μmの範囲であった。それぞれの保磁力
HcJ、磁化I、磁化容易方向の残留磁束密度Brを測
定して表1に示す。なお、磁化の値は外部磁界0.8M
A/mの時の値で、磁界中で配向して測定した。この原
料粉末にバインダーとして、熱硬化性エポキシ樹脂を3
wt%混合した後、0.8MA/mの磁界中、3.0t
on/cm2の圧力で圧縮成形し、さらに150℃、1
時間の条件で樹脂の硬化処理を行って希土類複合磁石を
作製した。各磁石の保磁力HcJ、磁化I、磁化容易方
向の残留磁束密度Brを測定して表2に示す。
【0029】比較例 表1に示すNo.15〜17の3種類の組成の粗粉砕粉
について、実施例と同様の処理を行い、水素処理による
永久磁石用合金粉末を得た。得られた比較例による磁石
用粉末の保磁力HcJ、磁化I、残留磁束密度Brを測
定して表1に示す。また、実施例1と同様にバインダー
として、熱硬化性エポキシ樹脂を3wt%混合して希土
類複合磁石を作製し、各磁石の保磁力HcJ、磁化I、
磁化容易方向の残留磁束密度Brを測定して表2に示
す。
について、実施例と同様の処理を行い、水素処理による
永久磁石用合金粉末を得た。得られた比較例による磁石
用粉末の保磁力HcJ、磁化I、残留磁束密度Brを測
定して表1に示す。また、実施例1と同様にバインダー
として、熱硬化性エポキシ樹脂を3wt%混合して希土
類複合磁石を作製し、各磁石の保磁力HcJ、磁化I、
磁化容易方向の残留磁束密度Brを測定して表2に示
す。
【0030】実施例2 表1に示すNo.6〜14の9種類の組成の磁石用粉末
に、アミノシラン系カップリング材を0.5wt%、チ
タネート系カップリング材を0.5wt%、Arガス中
で混合し、続いてバインダーとしてナイロン12を8w
t%混合し、Arガス中、230℃で15分間混練して
コンパウンドを作製した。このコンパウンドを射出成形
機に装填し、280℃、印加磁界0.8MA/mの条件
で射出成形を行い、希土類複合磁石を作製した。各磁石
の保磁力HcJ、磁化I、磁化容易方向の残留磁束密度
Brを測定して表2に示す。
に、アミノシラン系カップリング材を0.5wt%、チ
タネート系カップリング材を0.5wt%、Arガス中
で混合し、続いてバインダーとしてナイロン12を8w
t%混合し、Arガス中、230℃で15分間混練して
コンパウンドを作製した。このコンパウンドを射出成形
機に装填し、280℃、印加磁界0.8MA/mの条件
で射出成形を行い、希土類複合磁石を作製した。各磁石
の保磁力HcJ、磁化I、磁化容易方向の残留磁束密度
Brを測定して表2に示す。
【0031】実施例3 表1に示すNo.6〜14の9種類の組成の磁石用粉末
に、バインダーとしてZn粉末を25wt%混合した
後、0.8MA/mの磁界中、3.0ton/cm2の
圧力で圧縮成形を行い、取り出した後にArガス雰囲気
で425℃で15分間の熱処理を行って希土類複合磁石
を作製した。各磁石の保磁力HcJ、磁化I、磁化容易
方向の残留磁束密度Brを測定して表2に示す。
に、バインダーとしてZn粉末を25wt%混合した
後、0.8MA/mの磁界中、3.0ton/cm2の
圧力で圧縮成形を行い、取り出した後にArガス雰囲気
で425℃で15分間の熱処理を行って希土類複合磁石
を作製した。各磁石の保磁力HcJ、磁化I、磁化容易
方向の残留磁束密度Brを測定して表2に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】この発明の組成によるR−T−M−B−
C系永久磁石用粉末は、特定組成範囲のR−T−M−B
−C系粗粉砕粉を、例えば水素吸蔵合金より放出された
高純度のH2ガス中で、水素圧力を10kPa以上の加
熱処理並びに水素圧力を10Pa以下の所定雰囲気で加
熱保持する脱H2処理を行うことで、平均結晶粒径が
0.05〜1μmの再結晶粒よりなる磁気的に異方性の
大きな、高い保磁力を有する磁性合金粉末を得ることが
でき、種々バインダーと結合させて高性能複合磁石を製
造できる。
C系永久磁石用粉末は、特定組成範囲のR−T−M−B
−C系粗粉砕粉を、例えば水素吸蔵合金より放出された
高純度のH2ガス中で、水素圧力を10kPa以上の加
熱処理並びに水素圧力を10Pa以下の所定雰囲気で加
熱保持する脱H2処理を行うことで、平均結晶粒径が
0.05〜1μmの再結晶粒よりなる磁気的に異方性の
大きな、高い保磁力を有する磁性合金粉末を得ることが
でき、種々バインダーと結合させて高性能複合磁石を製
造できる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−232301(JP,A) 特開 昭63−209107(JP,A) 特開 昭63−211706(JP,A) 特開 平4−269805(JP,A) 特開 平4−268704(JP,A) 特開 平4−268703(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01F 1/08 B22F 3/00 C22C 38/00 303 H01F 41/02
Claims (2)
- 【請求項1】 R:10〜20原子%(R;希土類元素の少なくと
も1種でかつPrまたはNdの1種または2種をRのうち50原子
%以上含有)、T:67〜85原子%(T:FeまたはFeの1部を50原
子%以下のCoにて置換)、B,Cの量が B+C=4〜10原子% C
/(B+C)=0.01〜0.8 を満足する値を有する組成の合金鋳
塊を粗粉砕後、前記粗粉砕粉を原料粉末として、10kPa
〜1000kPaのH 2 ガス中で500℃〜900℃に15分〜8時間加熱
保持し、 更にH 2 分圧10Pa以下にて500℃〜900℃に15分〜8時間保
持の脱H 2 処理を行った後に冷却して 、合金粉末の70vol%
以上が正方晶Nd2Fe14B型結晶構造を有する化合物で、か
つ該化合物のうち体積比で少なくとも50%以上の再結晶
粒径が0.05〜1μmで、平均粒径が10〜1000μmからな
り、その磁化容易方向の残留磁束密度が0.9〜1.6Tの磁
気的異方性を有する合金粉末を、バインダーと結合した
ことを特徴とする磁気的異方性を有する希土類系複合磁
石の製造方法。 - 【請求項2】 R:10〜20原子%(R;希土類元素の少なくと
も1種でかつPrまたはNdの1種または2種をRのうち50原子
%以上含有)、T:67〜85原子%(T:FeまたはFeの1部を50原
子%以下のCoにて置換)、M;10原子%以下(M;Al、Ti、V、C
r、Ni、Ga、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Hf、Ta、Wのうち1種
または2種以上)、B,Cの量が B+C=4〜10原子% C/(B+C)
=0.01〜0.8 を満足する値を有する組成の合金鋳塊を粗
粉砕後、前記粗粉砕粉を原料粉末として、10kPa〜1000k
PaのH 2 ガス中で500℃〜900℃に15分〜8時間加熱保持
し、更にH 2 分圧10Pa以下にて500℃〜900℃に15分〜8時
間保持の脱H 2 処理を行った後に冷却して、合金粉末の70
vol%以上が正方晶Nd2Fe14B型結晶構造を有する化合物
で、かつ該化合物のうち体積比で少なくとも50%以上の
再結晶粒径が0.05〜1μmで、平均粒径が10〜1000μmか
らなり、その磁化容易方向の残留磁束密度が0.9〜1.6T
の磁気的異方性を有する合金粉末を、バインダーと結合
したことを特徴とする磁気的異方性を有する希土類系複
合磁石の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4191729A JP2978004B2 (ja) | 1992-06-24 | 1992-06-24 | 磁気異方性を有する希土類系複合磁石の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4191729A JP2978004B2 (ja) | 1992-06-24 | 1992-06-24 | 磁気異方性を有する希土類系複合磁石の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0613215A JPH0613215A (ja) | 1994-01-21 |
JP2978004B2 true JP2978004B2 (ja) | 1999-11-15 |
Family
ID=16279523
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4191729A Expired - Fee Related JP2978004B2 (ja) | 1992-06-24 | 1992-06-24 | 磁気異方性を有する希土類系複合磁石の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2978004B2 (ja) |
-
1992
- 1992-06-24 JP JP4191729A patent/JP2978004B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0613215A (ja) | 1994-01-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5565043A (en) | Rare earth cast alloy permanent magnets and methods of preparation | |
JP3250551B2 (ja) | 異方性希土類磁石粉末の製造方法 | |
JPH09165601A (ja) | 永久磁石用異方性希土類合金粉末及び異方性ボンド磁石の製造方法 | |
JP2000096102A (ja) | 耐熱希土類合金異方性磁石粉末 | |
JP2024133523A (ja) | 希土類焼結ネオジム-鉄-ボロン磁石の製造方法 | |
JP5288276B2 (ja) | R−t−b系永久磁石の製造方法 | |
JPH04245403A (ja) | 希土類−Fe−Co−B系異方性磁石 | |
JP3540438B2 (ja) | 磁石およびその製造方法 | |
JP3368295B2 (ja) | 永久磁石用異方性希土類合金粉末の製造方法 | |
JP3368294B2 (ja) | 永久磁石用異方性希土類合金粉末の製造方法 | |
EP2645381B1 (en) | Process for producing R-T-B-based rare earth magnet particles | |
JP3597615B2 (ja) | R−t−b系異方性ボンド磁石の製造方法 | |
JPH09148163A (ja) | R−t−b系異方性ボンド磁石の製造方法 | |
US5076861A (en) | Permanent magnet and method of production | |
JP3634565B2 (ja) | 永久磁石用異方性希土類合金粉末の製造方法 | |
JP4534553B2 (ja) | R−t−b系焼結磁石及びその製造方法 | |
JP2978004B2 (ja) | 磁気異方性を有する希土類系複合磁石の製造方法 | |
JP3196224B2 (ja) | 希土類−Fe−Co−B系異方性磁石 | |
JP3423965B2 (ja) | 永久磁石用異方性希土類合金粉末の製造方法 | |
JPH10172850A (ja) | 異方性永久磁石の製造方法 | |
JP3086334B2 (ja) | 永久磁石用異方性希土類合金粉末 | |
JP2002025813A (ja) | 異方性希土類磁石粉末 | |
JPS6077959A (ja) | 永久磁石材料の製造方法 | |
JP3178848B2 (ja) | 永久磁石の製造方法 | |
JP3481653B2 (ja) | 永久磁石用異方性希土類合金粉末の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |