JP3368294B2 - 永久磁石用異方性希土類合金粉末の製造方法 - Google Patents
永久磁石用異方性希土類合金粉末の製造方法Info
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Description
チュエーター等に用いることが可能な高保磁力を有する
R(希土類元素)−T(鉄属元素)−(M)−B系のボ
ンド磁石用および焼結磁石用異方性永久磁石粉末の製造
方法に係り、本系粗粉砕粉を真空中または不活性ガス中
で昇温しH2ガス中で加熱処理して4相の混合組織とな
し、さらに所定雰囲気で加熱保持する脱H2処理を行
い、結晶粒を1μm以下の極微細結晶とした高保磁力を
有するR−T−(M)−B系永久磁石用異方性希土類合
金粉末の製造方法に関する。
り製造する方法は、例えば特開平1−132106号公
報に開示されている。すなわち、かかる水素処理法と
は、R−T−(M)−B系原料合金インゴットまたは粉
末を、H2ガス雰囲気またはH2ガスと不活性ガスの混合
雰囲気中で温度500℃〜1000℃に保持して上記合
金のインゴットまたは粉末にH2吸蔵させた後、H2ガス
圧力13Pa(1×10-1Torr)以下の真空雰囲気
またはH2ガス分圧13Pa(1×10-1Torr)以
下の不活性ガス雰囲気になるまで温度500℃〜100
0℃で脱H2処理し、ついで冷却することを特徴とする
R−T−(M)−B系合金磁石粉末の製造方法である。
系合金磁石粉末は、大きな保磁力と磁気異方性を有す
る。これは上記処理によって、非常に微細な再結晶粒
径、実質的には0.1μm〜1μmの平均再結晶粒径を
持つ組織となり、磁気的には正方晶Nd2Fe14B系化
合物の単磁区臨界粒径に近い結晶粒径となっており、な
おかつこれらの極微細結晶がある程度結晶方位を揃えて
再結晶しているためである。
による種々のヒートパターンが開示され、さらに、イン
ゴットの均質化処理を付加することも提案されており、
例えば、インゴットを600℃〜1200℃で均質化して、水
素、真空又は不活性ガス雰囲気中で500℃以上まで昇温
し、次いでH2又はH2と不活性ガスの混合雰囲気中で500
℃〜1000℃でH2吸蔵させ、H2ガス分圧1×10-1Torr以下
まで脱H2し、更に冷却するという製造工程が示されてい
る。さらに、特開平3-146608号公報には、水素処理中の
温度変化による特性変動を小さくする手法として、蓄熱
材とともに水素処理を行う方法が提案されている。すな
わち、水素処理法では、処理過程において大きな反応熱
を伴う化学反応が起こっており、この反応熱による温度
変化のために磁気特性にばらつきが生じる。そこで熱容
量の大きな蓄熱材を用いて反応熱による温度変化を最小
限にしようというものである。
製造されたR−T−(M)−B系磁石用合金粉末の磁気
的性質は、特に磁気異方性については不充分であり、原
料合金そのものが本質的に有する磁気異方性に達してお
らず、磁気特性的には残留磁束密度Brが小さいという
欠点があった。これは粉末粒子中に多数存在する結晶粒
の磁化容易方向が特定の一方向に十分そろっておらず、
その結果、粉末粒子の平均残留磁束密度が小さくなるこ
とによる。また、原料処理量によって磁気特性、特に保
磁力が変化するという、量産に不向きな非常に重要な問
題を内在していた。上述した蓄熱材を用いて温度変化を
小さくする方法では実用上、原料処理量に対して大きな
設備を要したり、熱容量が大きいため加熱、冷却に多大
の時間とエネルギーを要するという問題が新に生じる。
しかも、水素処理法による磁気特性、特に保磁力の変動
の原因が単に水素化時の発熱反応による温度上昇や脱水
素時の吸熱反応による温度低下ではないため、蓄熱材を
用いても保磁力のばらつきや低下の問題は解消されな
い。
る磁性粉末が再結晶集合組織を有するとしながらも、再
結晶組織に決定的な影響を与える前組織、すなわち水素
吸蔵によって生成される分解生成物の金属組織を最適化
せず、また、その組織を得るための製造条件を何等限定
していないためである。
2中で810℃まで昇温しそのまま5時間保持した後、
810℃で排気を1時間行って後、炉内にArを導入し
て急冷する方法(実施例1)、真空中で500℃、60
0℃、700℃、750℃、800℃、850℃、90
0℃、および1000℃の各温度まで昇温した後に、そ
の各保持温度で1気圧のH2を導入し、10時間保持し
た後、排気を1時間行って、更にArガスにより急冷す
るという方法(実施例2)などが示されている。但し、
これらの方法によると、水素吸蔵後、真空排気直前の中
間生成物の組織がR水素化物、T−B化合物、およびT
相の3相となってしまい(例えば、P、J、Me Gu
ines;Jourual of the Less
Common Metals 162(1990)37
9頁)、脱水素(真空排気)過程の後、得られる再結晶
組織は実質的に磁気的に等方性となり、高い残留磁化は
得られない。
石用希土類合金粉末を水素処理法により製造する方法に
おいて、原料合金そのものが本質的に有する磁気異方性
を完全に達成し、極微細結晶で高保磁力を発揮するR−
T−(M)−B系永久磁石用異方性希土類合金粉末を量
産性よく得ることができる製造方法の提供を目的として
いる。
束密度Brを大きくするため、原料組成および処理条件
の金属組織的検討を行った結果、水素化の条件を工夫す
ることで大きな異方性が得られることを見い出したもの
である。すなわち、発明者らは、水素処理法にてR−T
−(M)−B系永久磁石用希土類合金粉末を得る際に磁
性粉末を完全に異方性化する方法を目的に原料組成およ
び処理条件の金属組織的検討を種々行った結果、水素化
によって得られる中間生成物がR2T14B相を含有し、
その外にR−H、T−B化合物、T相が存在することが
高い残留磁化を得るための必須条件であること、そし
て、その中間生成物を生成させるための条件は、真空中
又は不活性ガスで750℃以上に加熱し、その後750
℃〜900℃で8時間以内の水素化を行うことが必要で
あることを知見し、この発明を完成した。さらに、脱水
素処理時の水素分圧をR水素化物の平衡水素解離圧、例
えばNdH2では850℃で1kPaより大きく下げる
ことなく、平衡水素解離圧近傍で徐々に脱水素反応を起
こさせることで、核生成量、核成長速度を適正化するこ
とにより、原料処理量にかかわらず高保磁力を得ること
ができることを知見し、この発明を完成した。
かつPrまたはNdの1種または2種をRのうち50at%以上含
有)、 T:67〜85at%(T:FeまたはFeの一部を50at%以下のCoで置
換)、 B:4〜10at%である合金鋳塊を粗粉砕して、平均粒度が50
〜5000μmの少なくとも80vol%以上が正方晶構造Nd2Fe14
B型化合物からなる粗粉砕粉となした後、前記粗粉砕粉
を原料粉末としてこれを真空中または不活性ガス中で温
度750℃以上の温度域に昇温した後、炉内に10kPa〜1000
kPaのH2ガスを導入して、前記水素ガス中で750℃〜900
℃に30分〜8時間加熱保持し、組織をR水素化物、T-B化
合物、T相、R2T14B化合物の少なくとも4相の混合組織と
した後、さらにArガス又はHeガスによる絶対圧100Pa〜5
0kPaの減圧気流中にて700℃〜900℃に5分〜8時間の保持
をする脱H2処理を行い、ついで冷却して平均結晶粒径が
0.05μm〜1μmである磁気的に異方性を有する合金粉末
を得ることを特徴とする永久磁石用希土類合金粉末の製
造方法である。
かつPrまたはNdの1種または2種をRのうち50at%以上含
有)、 T:67〜85at%(T:FeまたはFeの一部を50at%以下のCoで置
換)、 M:10at%以下(M:Al、Ti、V、Cr、Ni、Ga、Zr、Nb、Mo、I
n、Sn、Hf、Ta、Wのうち1種または2種以上)、 B:4〜10at%である合金鋳塊を粗粉砕して平均粒度が50μ
m〜5000μmの少なくとも80vol%以上が正方晶構造Nd2Fe
14B型化合物からなる粗粉砕粉となした後、前記粗粉砕
粉を原料粉末としてこれを真空中または不活性ガス中で
温度750℃以上の温度域に昇温した後、炉内に10kPa〜10
00kPaのH2ガスを導入して、前記水素ガス雰囲気中で750
℃〜900℃に30分〜8時間加熱保持し、組織をR水素化
物、T-B化合物、T相、R2T14B化合物の少なくとも4相の
混合組織とした後、さらにArガス又はHeガスによる絶対
圧100Pa〜50kPaの減圧気流中にて700℃〜900℃に5分〜8
時間の保持をする脱H2処理を行い、ついで冷却して平均
結晶粒径が0.05μm〜1μmである磁気的に異方性を有す
る合金粉末を得ることを特徴とする永久磁石用希土類合
金粉末の製造方法である。
元素は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、T
b、Dy、Ho、Er、Tm、Luが包括され、このう
ち少なくとも1種以上で、Pr、Ndのうち少なくとも
1種または2種をRのうち50at%以上含有し、さら
にRの全てがPr、Ndのうち1種または2種の場合が
ある。Rの50at%以上をPr、Ndのうち少なくと
も1種以上とするのは50at%未満では充分な磁化が
得られないためである。Rは、10at%未満ではαF
e相の析出により保磁力が低下し、また20at%を超
えると、目的とする正方晶Nd2Fe14B型化合物以外
に、Rリッチの第2相が多く析出し、この第2相が多す
ぎると合金の磁化を低下させる。従ってRの範囲は10
〜20at%とする。
する。Tが67at%未満では低保磁力、低磁化の第2
相が析出して磁気的特性が低下し、また85at%を超
えるとαFe相の析出により保磁力、角型性が低下する
ため、Tは67〜85at%とする。また、Feのみで
も必要な磁気的性質は得られるが、Coの適量の添加
は、キュリー温度の向上に有用であり、Coは必要に応
じて添加できる。FeとCoの原子比においてFeが5
0%以下となるとNd2Fe14B型化合物の飽和磁化そ
のものの減少量が大きくなってしまうため、Tのうち原
子比でFeを50%以上とした。
解反応を完全に終了させずに、母相すなわちR2T14B
相を安定化して故意に残存させるのに有効な元素が望ま
れる。特に顕著な効果を持つものとして、Ni、Ga、
Zr、Hfがある。また、Mのうち、Al、Ni、G
a、Zr、In、Sn、Hfは、脱H2処理時の再結晶
粒を0.1μm〜1μmのサイズにまで成長させ、粉末
に磁気異方性を付与するのに有用な元素である。Ti、
V、Cr、Nb、Mo、Ta、Wは、脱H2処理時の再
結晶粒が、1μm以上に粗大化するのを防止し、結果と
して保磁力が低下するのを抑制する効果を有する。従っ
て、Mとしては、上記の元素を目的に応じて組み合わせ
て用いることが得策である。添加量は、全く加えなくて
もよいが、添加する場合は10at%を超えると強磁性
でない第2相が析出して磁化を低下させることから、M
は10at%以下とした。
晶構造を安定して析出させるためには必須である。添加
量は、4at%以下ではR2T17相が析出して保磁力を
低下させ、また減磁曲線の角型性が著しく損なわれる。
また、10at%を超えて添加した場合は、磁化の小さ
い第2相が析出して粉末の磁化を低下させる。従って、
Bは、4〜10at%とした。
%以上が正方晶Nd2Fe14B型化合物としたのは、該
化合物が80vol%未満であると磁気特性が低下す
る。より具体的には、混在する第2相がαFe相の場合
は保磁力を低下させ、Rリッチ相やBリッチ相の場合に
は磁化が低下するため、正方晶Nd2Fe14B型化合物
の存在比を80vol%以上とした。体積比で80%以
上の正方晶Nd2Fe14B型化合物を有する粗粉を得る
ためには、合金の鋳塊を900℃〜1200℃の温度で
1時間以上焼鈍するか、造塊工程で鋳型の冷却速度を制
御するなど、適当に選択すれば良い。
さを変化させることなく、極微細結晶組織の集合体が得
られることを特徴とする。すなわち、正方晶Nd2Fe14B型
化合物に対し、高温、実際上は600℃〜900℃の温度範囲
でH2ガスと反応させると、RH2〜3、αFe、Fe2Bなどに相
分離し、さらに同温度域でH2ガスを脱H2処理により除去
すると、再度正方晶Nd2Fe14B型化合物の再結晶組織が得
られる。しかしながら、現実には、水素化処理条件によ
って分解生成物の結晶粒径、反応の度合いが異なり、水
素化状態の金属組織は、水素化温度750℃未満と750℃以
上で明らかに異なる。この金属組織上の違いが、脱水素
処理を行った後の磁粉の磁気的性質に大きく影響する。
さらに、脱水素化処理条件によって、正方晶Nd2Fe14B型
化合物の再結晶状態が大きく影響を受け、水素処理法に
よって作成した磁性粉の磁気的性質、特に保磁力に大き
く影響する。
法やガスアトマイズ法の他、H2吸蔵による、いわゆる
水素粉砕法を用いてもよく、工程の簡略化のためにこの
水素粉砕による粗粉砕工程と、極微細結晶を得るための
水素処理法を同一装置内で連続して行っても良い。
50μm〜5000μmに限定したのは、50μm未満
では粉末の酸化による磁性劣化の恐れがあり、また50
00μmを超えると水素処理によって大きな磁気異方性
を持たせることが困難となるからである。
中での昇温は、昇温速度、保持時間などを特に規定する
ものではなく、目的は750℃以下で水素ガスと試料を
反応させないことである。従って、750℃以下での処
理条件は、雰囲気以外は特に規定しない。なお、ここで
の不活性ガスとはArガスまたはHeガスであって、通
常不活性ガスとして扱われることの多いN2ガスは、本
系原料と高温域で反応してしまうため、不活性ガスとし
ては好ましくない。
際し、H2ガス圧力が10kPa未満では、前述の分解反応が
充分に進行せず、また1000kPaを超えると処理設備が大
きくなりすぎ、工業的にコスト面、また安全面で好まし
くないため、圧力範囲を10kPa〜1000kPaとした。さらに
好ましい圧力範囲は50kPa〜150kPaである。
ではRH2〜3、αFe、Fe2Bなどへの分解反応が起こらな
い。また、600℃〜750℃の温度範囲では分解反応がほぼ
完全に進行してしまい、分解生成物中に適量のR2T14B相
が残存せず、脱水素処理後に磁気的、また結晶方位的に
充分な異方性が得られない。また900℃を超えるとRH
2〜3が不安定となり、かつ生成物が粒成長して正方晶Nd
2Fe14B型化合物極微細結晶組織を得ることが困難にな
る。水素化の温度範囲が750℃〜900℃の領域であれば、
脱水素時の再結晶反応の核となるR2T14B相が分散して適
量残存するため、脱水素後のR2T14B相の結晶方位が残存
R2T14B相によって決定され、結果的に再結晶組織の結晶
方位が原料インゴットの結晶方位と一致し、少なくとも
原料インゴットの結晶粒径の範囲内では大きな異方性を
示す事になる。そのため、水素化処理の温度範囲を750
℃〜900℃とする。また、加熱処理保持時間について
は、上記の分解反応を充分に行わせるためには30分以上
必要であり、また、8時間を越えると残存R2T14B相が減
少するため、脱水素後の異方性が低下するので好ましく
ない、よって、30分〜8時間の加熱保持とする。
eガスの減圧気流中にて行うが、これによって原料の周
囲の実質的なH2分圧をR水素化物の平衡水素解離圧、
例えばNdH2では850℃で1kPa程度となり、脱
H2反応は徐々に進行する。雰囲気をArガス又はHe
ガスに限定したのは、コスト面でArガスが使いよく、
またH2ガスの置換性や温度制御の点からHeガスが使
いよいことによる。さらに、不活性ガスとして一般的な
N2ガスは希土類系化合物と反応して窒化物を形成する
ため不適当であり、また他の希ガスでは性能上のメリッ
トがなくコストの面でも不利である。この発明の脱H2
処理時の雰囲気の絶対圧は、10Pa未満では脱H2反
応が急激に起こり、化学反応により温度が大きく低下
し、さらに脱H2反応が急激すぎるために冷却後の磁性
粉の組織に粗大な結晶粒が混在して保磁力が大きく低下
するため好ましくなく、また50kPaを超えると脱H
2反応に時間がかかりすぎて実用上問題となるため、絶
対圧10Pa〜50kPaの範囲とする。また、脱H2
処理を減圧気流中で行うのは脱H2反応によって、原料
から放出されるH2ガスよって、炉内圧力が上昇するの
を防止するためである。実用上は、一方から不活性ガス
を導入しながら、他方から真空ポンプで排気し、圧力の
制御は、供給口、排気口のそれぞれに取り付けられた流
量調整弁を用いて行うとよい。
℃未満では、RH2〜3相からのH2の離脱が起こらないか、
正方晶Nd2Fe14B型化合物の再結晶が充分進行しない。ま
た、900℃を超えると正方晶Nd2Fe14B型化合物は生成す
るが、再結晶粒が粗大に成長し、高い保磁力が得られな
い。そのため、脱H2処理の温度範囲は700℃〜900℃とす
る。
気能力にもよるが、上記の再結晶反応を充分に行わせる
ことも重要であり、少なくとも5分以上保持する必要が
あるが、2次的な再結晶反応によって結晶が粗大化すれ
ば保磁力の低下を招くので、できる限り短時間の方が好
ましい。そのため、5分〜8時間の加熱保持で充分であ
る。脱H2処理は、原料の酸化防止の観点から、また処
理設備の熱効率の観点で、水素化処理に引き続いて行う
のがよいが、水素化処理後、一旦原料を冷却して、再び
改めて脱H2の為の熱処理を行っても良い。
物の再結晶粒径は実質的に0.05μm以下の平均再結
晶粒径を得ることは困難であり、またたとえ得られたと
しても磁気特性上の利点がない。一方、平均再結晶粒径
が1μmを超えると、粉末の保磁力が低下するため好ま
しくない。そのため、平均再結晶粒径を0.05μm〜
1μmとした。
希土類合金粉末を水素処理法により製造する方法におい
て、真空中または不活性ガス中で昇温しH2ガス中で加
熱処理して、R水素化物、T−B化合物、T相、R2T
14B化合物の少なくとも4相の混合組織とすることによ
り、原料合金そのものが本質的に有する磁気異方性を完
全に達成し、さらにArガス又はHeガスによる絶対圧
100Pa〜50kPaの減圧気流中で加熱保持する脱
H2処理を行い、極微細結晶で高保磁力を発揮するR−
T−(M)−B系永久磁石用異方性希土類合金粉末を処
理量にかかわらず量産性よく得ることができる。
No.1〜12の組成の鋳塊を、1100℃、24時
間、Ar雰囲気中で焼鈍して、鋳塊中の正方晶Nd2F
e14B型化合物の体積比を90%以上とした。この鋳塊
を、Arガス雰囲気中(O2量0.5%以下)でスタン
プミルにて平均粒度500μmに粗粉砕した後、この粗
粉砕粉を管状炉に入れ、1Pa以下にまで真空排気し
た。真空排気には、ロータリーポンプおよび油拡散ポン
プを用いた。その後、表2に示すヒートパターン、水素
化処理条件で水素化処理を行った。こうして得た水素化
原料を、引き続き表2に示す脱水素処理条件に従って脱
水素処理を行った。なお、水素導入前の昇温速度はいず
れの場合も5℃/分の条件で行った。また、冷却は脱水
素処理時に使用した雰囲気ガスの吹きつけで行った。冷
却後、原料温度が50℃以下となったところで原料を取
り出した。このときの磁性粉末(No.1〜20)の磁
気特性を表2に示す。表2において、Isの値は、He
x=0.8MA/mの時の磁化を示す。
処理量依存性を調査した。原料粒度は500μmで、750℃
までは昇温速度5℃/分で真空中で昇温し、750℃から水
素を導入した後、水素化処理は昇温速度15℃/分として8
50℃で2時間、脱水素処理はArガスによる10kPaの減圧気
流中で840℃で2時間保持、冷却条件はArガス吹付冷却に
条件を固定し、処理量を2gから2kgまで変化させ、その
ときの磁性粉末の残留磁化Br、保磁力Hcj、磁化容易方
向および困難方向の磁化Isを処理量に対してグラフ化
し、図1に示す。なお、処理量の2kgは実験装置の制約に
よるものであり、この発明の適用上限を示すものではな
い。また、磁化は、外部磁界0.8MA/mでの値としてあ
り、磁化容易方向と困難方向の値の差が大きいほど磁気
的な異方性が大きいことを示している。
の粗粉砕粉について、この粗粉砕粉を管状炉に入れ、1
Pa以下にまで真空排気した。その後、純度99.99
99%以上のH2ガスを導入しつつ、表3に示す処理条
件で水素化処理および脱水素処理を行った。ここに示し
た脱水素処理時の水素分圧または処理温度がこの発明の
範囲外である。このときの磁性粉末(No.21〜3
7)の磁気特性を表3に示す。
久磁石用異方性希土類合金粉末の製造方法は、R−T−
(M)−B合金の粗粉砕粉を、真空中または不活性ガス
中で750℃以上の温度域まで昇温した後、水素ガスを
導入して750℃〜900℃で水素中の熱処理を行うこ
とにより、再結晶時の結晶方位を決める核としてのR2
T14B相を適量残存させることができ、引き続きArガ
ス又はHeガスによる絶対圧100Pa〜50kPaの
減圧気流中にて700℃〜900℃で脱水素熱処理を行
って冷却することにより、高い保磁力と大きな磁気異方
性を同時に有する、ボンド磁石および焼鈍磁石原料とし
て最適なR−T−(M)−B系永久磁石用異方性希土類
合金粉末を安定して得ることができる。
向の磁化の変化を処理量に対して表したグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 R:10〜20at%(R:Yを含む希土類元素の少
なくとも1種で、かつPrまたはNdの1種または2種をRのう
ち50at%以上含有)、T:67〜85at%(T:FeまたはFeの一部を
50at%以下のCoで置換)、B:4〜10at%である合金鋳塊を粗
粉砕して、平均粒度が50〜5000μmの少なくとも80vol%
以上が正方晶構造Nd2Fe14B型化合物からなる粗粉砕粉と
なした後、前記粗粉砕粉を原料粉末としてこれを真空中
または不活性ガス中で温度750℃以上の温度域に昇温し
た後、炉内に10kPa〜1000kPaのH2ガスを導入して、前記
水素ガス中で750℃〜900℃に30分〜8時間加熱保持し、
組織をR水素化物、T-B化合物、T相、R2T14B化合物の少
なくとも4相の混合組織とした後、さらにArガス又はHe
ガスによる絶対圧100Pa〜50kPaの減圧気流中にて700℃
〜900℃に5分〜8時間の保持をする脱H2処理を行い、つ
いで冷却して平均結晶粒径が0.05μm〜1μmである磁気
的に異方性を有する合金粉末を得ることを特徴とする永
久磁石用希土類合金粉末の製造方法。 - 【請求項2】 R:10〜20at%(R:Yを含む希土類元素の少
なくとも1種で、かつPrまたはNdの1種または2種をRのう
ち50at%以上含有)、T:67〜85at%(T:FeまたはFeの一部を
50at%以下のCoで置換)、M:10at%以下(M:Al、Ti、V、C
r、Ni、Ga、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Hf、Ta、Wのうち1種
または2種以上)、B:4〜10at%である合金鋳塊を粗粉砕し
て平均粒度が50μm〜5000μmの少なくとも80vol%以上が
正方晶構造Nd2Fe14B型化合物からなる粗粉砕粉となした
後、前記粗粉砕粉を原料粉末としてこれを真空中または
不活性ガス中で温度750℃以上の温度域に昇温した後、
炉内に10kPa〜1000kPaのH2ガスを導入して、前記水素ガ
ス雰囲気中で750℃〜900℃に30分〜8時間加熱保持し、
組織をR水素化物、T-B化合物、T相、R2T14B化合物の少
なくとも4相の混合組織とした後、さらにArガス又はHe
ガスによる絶対圧100Pa〜50kPaの減圧気流中にて700℃
〜900℃に5分〜8時間の保持をする脱H2処理を行い、つ
いで冷却して平均結晶粒径が0.05μm〜1μmである磁気
的に異方性を有する合金粉末を得ることを特徴とする永
久磁石用希土類合金粉末の製造方法。
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