JP2977495B2 - 低騒音ローラチェーン - Google Patents

低騒音ローラチェーン

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    • F16G13/00Chains
    • F16G13/02Driving-chains
    • F16G13/06Driving-chains with links connected by parallel driving-pins with or without rollers so called open links

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Gears, Cams (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ローラがスプロケ
ット歯面と噛み合う際に発生する騒音を低減させる構造
を備えた低騒音ローラチェーンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ローラチェーンがスプロケットと
噛み合う際に、ローラとスプロケット歯面との間の衝突
によって生じる騒音を低減するために、例えば、特開昭
62−62037号公報に記載されているように、ロー
ラを3層構造とし、中間層にクッション材を介装したも
のが知られている。
【0003】図3に示すように、前記騒音低減構造を備
えたローラチェーン11は、通常のローラチェーンと同
様に、ブシュ12の両端がそれぞれ対の内プレート1
3,13に嵌着され、さらに、前記ブシュ12の外周に
は両側の内プレート13,13の間において、スプロケ
ットの歯面と噛み合うローラ14が回転自在に嵌装され
ている。
【0004】また、ブシュ12の内部をチェーンピン1
5が回動自在に貫通して、その両端がそれぞれ内プレー
ト12,12の両外側に配置された対の外プレート1
6,16に嵌着されている。なお、ローラチェーン11
の幅方向に隣接する内プレート12と外プレート16の
間には、ブシュ12とチェーンピン15間を潤滑する潤
滑油の流失を防止するためにOリング17,17が介装
されている。
【0005】前記ローラチェーン11では、ローラ14
は内側から順にインナーローラ部14A、クッション部
14B、アウターローラ部14Cの3つの層で構成され
ていて、中間のクッション部14Bは、ローラ14がス
プロケットの歯面と衝突した際に衝撃を吸収して衝突騒
音を低減させる役割を果たしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述した図3に示す構
造のローラチェーンでは、通常のローラチェーンに使用
されている鋼製ローラと同様な条件の使用に耐えるため
に、クッション部の材料にある程度の機械的強度が必要
となる。ところが、クッション部の強度を高くすると緩
衝効果が薄れてしまうため、機械的強度との兼ね合い
で、あまり大きな騒音低減効果を得られない問題があっ
た。
【0007】そこで、本発明は前述したような従来技術
の問題を解決し、優れた騒音低減効果が得られる低騒音
ローラチェーンを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的のため、本発明
の低騒音ローラチェーンは、中央部外周に略円筒状の大
径部が設けられたブシュと、前記ブシュの両端にそれぞ
れ嵌着されている内プレートと、前記大径部の外周面と
の間に油膜層を形成可能な間隙を介して対向する内周面
を有し、両側の内プレートの間で前記ブシュ外周面に回
転自在に外嵌された中空薄肉円筒形ローラと、前記ブシ
ュ外周面の大径部両外側部分と前記中空薄肉円筒形ロー
ラ内周面との隙間を密封する一対のOリングと、両側の
内プレートの両外側に配置された外プレートと、前記ブ
シュ内を回動自在に貫通して両端が両側の外プレートに
嵌着されているチェーンピンとを備えており、前記一対
のOリングと中空薄肉円筒形ローラ内周面とブシュ外周
面との間に形成される隙間に潤滑油が密封されている。
前記構成の低騒音ローラチェーンにおいては、前記大径
部外周面に潤滑油を貯留する油溝が形成されていること
が望ましい。
【0009】
【作用】本発明の低騒音ローラチェーンでは、スプロケ
ットと噛み合っていない状態では、一対のOリングの弾
性によってブシュ大径部の外周面と中空薄肉円筒形ロー
ラの内周面との間に円周方向に一様な隙間が保たれ、前
記隙間に潤滑油が侵入して油膜層が形成されている。
【0010】そして、前記中空薄肉円筒形ローラがスプ
ロケットの歯面と噛み合うときに、スプロケット歯面か
ら中空薄肉円筒形ローラの外周面に衝撃荷重が加えられ
ると、前記大径部両側のOリングは弾性変形して中空薄
肉円筒形ローラの内周面と大径部外周面との間の隙間は
負荷側で狭くなり、前記隙間に満たされている潤滑油
は、隙間が拡がっている反負荷側へ流動する。
【0011】この際、潤滑油の粘性抵抗によって発生す
る圧力が、前記大径部外周面上に中空薄肉円筒形ローラ
を支持するとともに、前記粘性抵抗によって中空薄肉円
筒形ローラとスプロケットの歯面との衝突のエネルギー
が消散されるが、中空薄肉円筒形ローラは通常のローラ
と比較して質量が小さいので衝突のエネルギーの減衰性
は極めて高く、優れた騒音低減効果が得られる。
【0012】なお、ブシュに設けられた大径部外周面に
潤滑油を貯留する油溝が形成されている場合、スプロケ
ットの歯面と中空薄肉円筒形ローラとの衝突時に、前記
隙間の負荷側から反負荷側への潤滑油の流れが前記油溝
の存在によって撹乱され、衝突のエネルギーの消費量が
増加して騒音低減効果はより大きくなる。また、油溝内
に潤滑油が貯留されているため、長期に亘って中空薄肉
円筒形ローラの内周面と大径部外周面との間の油膜層が
維持される。
【0013】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明
する。図1は、本発明の低騒音ローラチェーンの第1実
施例を示す横断面図であって、低騒音ローラチェーン1
は、中空円筒状のブシュ本体2Aと略円筒状の大径部2
Bとから構成されているブシュ2を有し、ブシュ本体2
Aの両端がそれぞれ対の内プレート3,3に嵌着されて
いる。前記大径部2Bは中空に形成されてブシュ本体2
Aに外嵌されており、また、大径部2Bの外周面の軸方
向中央位置には円周方向に断面矩形状の油溝Gが形成さ
れている。
【0014】両側の内プレート3,3の間において、ブ
シュ2には中空薄肉円筒形ローラ4が回転自在に外嵌さ
れている。前記中空薄肉円筒形ローラ4は、継目の無い
シームレス構造で、通常のローラチェーンに用いられる
ローラに比べて浸炭焼き入れ等によって機械的強度を上
げるとともに、表面硬度を高めて耐摩耗性を向上させて
いる。
【0015】大径部2Bの外径と中空薄肉円筒形ローラ
4の内径とは0.1mm〜0.5mm程度の直径差があり、前
記直径差によって両者の間に潤滑油の油膜層が形成可能
な隙間Sが形成されている。また、ブシュ2の内部をチ
ェーンピン5が回動自在に貫通してその両端がそれぞれ
内プレート2,2の両外側に配置された対の外プレート
6,6に嵌着されている。
【0016】一方、ブシュ本体2A外周面の大径部2B
の両外側には、中空薄肉円筒形ローラ4内周面とブシュ
本体2A外周面との間の環状の隙間を密封するOリング
7,7がそれぞれ嵌装されていて、前記隙間S並びに油
溝G内、及び、大径部2Bの両側端面とそれぞれのOリ
ング7,7との間の隙間S’内にグリース等の潤滑油L
が封入されている。前記中空薄肉円筒形ローラ4は、前
記一対のOリング7,7の弾性によってブシュ2の中心
と同心に位置するように保持されており、中空薄肉円筒
形ローラ4に外力が作用していない状態では、隙間Sが
円周方向に一様に保たれ、前記隙間Sに潤滑油が侵入し
て油膜層が形成されている。
【0017】また、ブシュ2の内部には、チェーンピン
5が回動自在に貫通して、その両端がそれぞれ内プレー
ト3,3の両外側に配置された対の外プレート6,6に
嵌着されている。なお、中空薄肉円筒形ローラ4の肉厚
は、ブシュ本体2Aとの間にOリング7を介装している
ため、通常のローラチェーンに用いられているローラの
肉厚の70%以下とすることが好ましい。
【0018】前述したように構成されている低騒音ロー
ラチェーン1は、図示していないスプロケットと噛み合
っていない状態では、一対のOリング7,7の弾性によ
って、ブシュ2の大径部2Bの外周面と中空薄肉円筒形
ローラ4の内周面との間に円周方向に隙間Sが一様に保
たれ、前記隙間Sに潤滑油Lが侵入して油膜層が形成さ
れている。
【0019】そして、前記中空薄肉円筒形ローラ4がス
プロケットの歯面と噛み合い、衝撃荷重が中空薄肉円筒
形ローラ4の外周面に加えられると、大径部2Bの両側
のOリング7,7は弾性変形して、中空薄肉円筒形ロー
ラ4の内周面と大径部2B外周面との間の隙間Sは負荷
側で狭くなり、隙間Sに満たされている潤滑油Lは、隙
間Sが拡げられる反負荷側へ流動する。
【0020】この際、潤滑油Lの粘性抵抗によって負荷
側の隙間S内では潤滑油の圧力が高まって、大径部2B
外周面上に中空薄肉円筒形ローラ4を支持するととも
に、前記粘性抵抗によってスプロケットの歯面と中空薄
肉円筒形ローラ4間の衝突のエネルギーが消費されて、
前記衝突で発生する騒音が低減される。
【0021】一方、大径部2B外周面に形成されている
油溝Gは、前記隙間Sの負荷側から反負荷側への潤滑油
Lの流れを撹乱し、潤滑油Lの流動による衝撃エネルギ
ーの消費量を増加して騒音低減効果を増す。また、油溝
G内に潤滑油Lを貯留しているため、中空薄肉円筒形ロ
ーラ4の内周面と大径部2B外周面との間の隙間S内の
潤滑油Lが欠乏して油膜層切れを生じることが防止され
る。
【0022】図2は、本発明の低騒音ローラチェーンの
第2実施例を示す横断面図であり、同図に示す低騒音ロ
ーラチェーン1’は、ブシュ2’以外の部分について
は、前述した図1に示す低騒音ローラチェーン1と構造
上異なるところはなく、両方の実施例で共通している部
材は、図2中においても図1のものと同一の番号を用い
て示している。
【0023】図2に示す低騒音ローラチェーン1’のブ
シュ2’は、ブシュ本体2’Aと大径部2’Bとが一体
に形成され、また、大径部2’Bの外周面には、円周方
向の断面半円形状の油溝G’が軸方向に間隔をあけて3
カ所形成されていて、隙間S内での潤滑油Lの流れを撹
乱する作用を前述した第1実施例のものよりもより高め
ている。本実施例では、ブシュ2’がブシュ本体2’A
と大径部2’Bを一体にして単一の部品として形成され
ているため、前述した第1実施例のものと比較して部品
点数が少なくなり、組立や部品の管理が容易となる長所
がある。
【0024】なお、本発明の低騒音ローラチェーンで
は、前述した第1実施例及び第2実施例のように、ブシ
ュの大径部外周面に油溝を形成することが騒音低減効果
を高めることで好ましいが、ブシュの加工を簡略化して
製造コストを低減するために、前記油溝を省略して大径
部外周面を平滑な円筒面としてもよい。また、油溝の形
状は前述した各実施例に示した形状に限定するものでは
なく、ねじ状に形成したり、格子状または網目状に形成
してもよい。
【0025】さらに、油溝を形成する代わりに、大径部
外周面全体に独立した多数の潤滑油を貯留可能な凹部を
散在させたり、ショットピーニング加工等によって無数
の微少な凹凸を形成して潤滑油の流れを撹乱する効果を
得るようにしてもよい。
【0026】次に、図4は、前述した本発明の第1実施
例の構造の低騒音ローラチェーン(A)を図3に示した
従来の低騒音ローラチェーン(B)と、従来の一般的な
低騒音構造を有しないローラチェーン(C)に対して、
チェーン速度(m/分)と発生する騒音のレベル(dB
A)との関係を実測したグラフである。
【0027】図4に示すように、実測したチェーン速度
の範囲において、本発明の低騒音ローラチェーン(A)
は、従来の一般的な低騒音構造を有しないローラチェー
ン(C)と比較して騒音レベルが6dBA〜7.5dBA
低減し、また、従来の低騒音ローラチェーン(B)と比
較して4.5dBA〜6dBA低減しており、衝撃力緩和
と振動減衰性に優れており、騒音低減効果が極めて大き
いことがわかる。
【0028】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の低騒音
ローラチェーンによれば、質量の小さい中空薄肉円筒形
ローラをブシュの大径部外周面に潤滑油の油膜層を介し
て支持しているため、前記中空薄肉円筒形ローラがスプ
ロケットの歯面に噛み合う際の衝突のエネルギーの減衰
性が極めて高く、優れた騒音低減効果が得られる。
【0029】しかも、中空薄肉円筒形ローラがスプロケ
ットの歯面に衝突する直前まで、ブシュ大径部の両側に
嵌装されているOリングの弾性によって、ブシュ大径部
外周面と中空薄肉円筒形ローラ内周面との間の潤滑油が
満たされている隙間が円周方向に一様に保持されている
ため、中空薄肉円筒形ローラ外周面のどの位置でスプロ
ケット歯面との衝突しても一様な騒音低減効果が得られ
る。
【0030】そして、特にブシュに設けられた大径部外
周面に潤滑油を貯留する油溝が形成されている場合に
は、スプロケットの歯面と中空薄肉円筒形ローラとの衝
突時に、ブシュ大径部外周面と中空薄肉円筒形ローラ内
周面との隙間の負荷側から反負荷側への潤滑油の流れが
前記油溝によって撹乱されるため、衝突エネルギーの消
費量が増加して騒音低減効果をより高めることができ
る。
【0031】また、油溝内に潤滑油が貯留されているた
め、中空薄肉円筒形ローラの内周面と大径部外周面との
間の隙間内の油膜層の欠乏を防止でき、外部からの潤滑
油の供給なしに長期に亘って騒音低減効果を維持するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の低騒音ローラチェーンの第1実施例
を示す横断面図。
【図2】 本発明の低騒音ローラチェーンの第2実施例
を示す横断面図。
【図3】 従来の低騒音ローラチェーンの1例を示す横
断面図。
【図4】 従来のローラチェーン及び従来の低騒音ロー
ラチェーンに対する本発明の低騒音ローラチェーンの騒
音レベルの比較図。
【符号の説明】
1,1’ 低騒音ローラチェーン 2,2’ ブシュ 2A,2’A ブシュ本体 2B,2’B 大径部 3 内プレート 4 中空薄肉円筒形ローラ 5 チェーンピン 6 外プレート 7 Oリング S,S’ 隙間 G,G’ 油溝 L 潤滑油
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16G 13/02 - 13/07

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中央部外周に略円筒状の大径部が設けら
    れたブシュと、 前記ブシュの両端にそれぞれ嵌着されている内プレート
    と、 前記大径部の外周面との間に油膜層を形成可能な間隙を
    介して対向する内周面を有し、両側の内プレートの間で
    前記ブシュ外周面に回転自在に外嵌された中空薄肉円筒
    形ローラと、 前記ブシュ外周面の大径部両外側部分と前記中空薄肉円
    筒形ローラ内周面との隙間を密封する一対のOリング
    と、 両側の内プレートの両外側に配置された外プレートと、 前記ブシュ内を回動自在に貫通して両端が両側の外プレ
    ートに嵌着されているチェーンピンとを備え、 前記一対のOリングと中空薄肉円筒形ローラ内周面とブ
    シュ外周面との間に形成される隙間に潤滑油が密封され
    ていることを特徴とする低騒音チェーン。
  2. 【請求項2】 前記大径部外周面には潤滑油を貯留する
    油溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載の
    低騒音ローラチェーン。
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