JP2976791B2 - コンクリート面の下地処理方法 - Google Patents

コンクリート面の下地処理方法

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JP2976791B2 JP5337741A JP33774193A JP2976791B2 JP 2976791 B2 JP2976791 B2 JP 2976791B2 JP 5337741 A JP5337741 A JP 5337741A JP 33774193 A JP33774193 A JP 33774193A JP 2976791 B2 JP2976791 B2 JP 2976791B2
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正博 住野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば既存コンクリー
ト床に塗装などの補修仕上げなどを施す場合において、
コンクリート床と仕上げ材との付着を良好に行えるコン
クリート面の下地処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】下地コンクリートが健全であっても塗り
床など仕上げ材に剥れや膨れを生じた場合にはコンクリ
ート床に新たに塗り床を補修施工する必要がある。
【0003】このような場合の下地処理方法としては、
従来既存塗り床材を剥がし、水洗い後コンクリートを十
分に自然乾燥させてから施工するか、ある程度乾燥させ
た後湿潤プライマーを塗布し、仕上げるかのいずれかの
方法を採用している。
【0004】しかしながら、前者の方法においては、乾
燥期間が必要なため、床仕上げまでに長期間を要する。
また後者の方法では、長年の間にプライマの付着劣化が
生じ、仕上げ材が剥がれたり膨れたりする問題があっ
た。特に、水洗い等を常時行っている工場等の塗床補修
では、これらの問題が顕著であった。
【0005】ところで、湿潤コンクリート面であっても
コンクリートに対する接着性が良好な下地処理材とし
て、アクリル樹脂、SBR、エチレン酢酸ビニル等の一
液性樹脂エマルジョンがある。
【0006】また親水性エポキシ樹脂は、水分の存在下
であっても硬化し、三次元網目構造の緻密で強靭な被膜
を形成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記一
液性樹脂エマルジョンは熱可塑性樹脂であって、水分の
蒸発によって凝集固化するタイプであるため、耐水性、
耐衝撃性に弱く、また湿潤面に塗布できたとしても完全
に乾燥するまでは仕上げ施工を待たなければならない。
【0008】また水親水性エポキシ樹脂は、仕上げ材と
の接着性は良好であるが、既に固化し、内部に多くの水
分を含んでいるコンクリートに対する接着性は比較的小
さく、そのままでは長期耐久性の上から使用することが
問題である。
【0009】この発明は以上の問題を解決するものであ
って、その目的は湿潤コンクリート面に付着性、耐水性
に優れた下地層を形成でき、下地処理後はこの表面に任
意の時期に仕上げ材による施工を行えるようにしたコン
クリート面の下地処理方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明では、湿潤コンクリートの表面に、一液性樹
脂エマルジョンに細骨材を配合したポリマーセメントモ
ルタルを一面に塗布し、次いで数時間経過後ないし翌日
に表面に親水性のエポキシ樹脂単体ないしはこれと細骨
材との混合物を塗布して下地処理層を形成することを特
徴とする。
【0011】また前記エマルジョンタイプないし親水性
のエポキシ樹脂は、乳化可能な二液反応形エポキシ樹
脂、またはアルカリ水存在下で反応可能なエポキシ樹脂
の中から選ばれるものである。
【0012】とりわけ、前記エマルジョンタイプないし
乳化可能な二液反応形エポキシ樹脂は、乳化不能エポキ
シ樹脂基剤と乳化形硬化剤との組合わせからなる二液反
応形エポキシ樹脂、乳化可能エポキシ樹脂基剤と乳化形
或いは通常タイプの硬化剤との組合わせからなる二液反
応形エポキシ樹脂、の中から選ばれたものであることが
望ましい。
【0013】
【作用】以上の処理方法によれば、ポリマーセメントモ
ルタル中の一液性樹脂エマルジョンは既に固化し、内部
に多くの水分を含むコンクリートとの付着性が良好であ
り、皮膜を形成する。また、この上に塗布される親水性
エポキシ樹脂は下層との接着性が良好であり、しかも下
層が湿潤な状態であっても硬化により、三次元網目構造
の強靭で仕上げ材との付着性の良好な下地処理層を形成
する。
【0014】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。図1(a)
〜(e)はコンクリート床表面に塗り床仕上げを施す場
合の施工手順を示すもので、(a)において、コンクリ
ート床1の表面には下地処理層2を介して既存の塗り床
3が形成され、かつ塗り床3には既に部分的に剥れや、
膨らみが生じた状態にあり、ケレンその他によって塗り
床3を下地処理層2とともに除去し、(b)に示すよう
にコンクリート床1の表面を露出させて清掃し、水洗し
ておく。
【0015】水洗し、表面が水wにより湿潤状態のコン
クリート床1には新たな下地処理層を構成するポリマー
セメントモルタルが所定の厚みで塗布され、(c)に示
すように、下層4を形成する。
【0016】このポリマーセメントモルタルを構成する
材料は、コンクリートとの接着性に富んだ一液性樹脂エ
マルジョン50〜100重量部に対し、セメント50〜
300重量部、細骨材として硅砂50〜600重量部か
らなる配合のポリマーセメントモルタルである。
【0017】このポリマーセメントモルタル中の一液性
樹脂エマルジョンとしてはアクリル樹脂エマルジョン、
SBRエマルジョン、エチレン酢酸ビニル共重合体エマ
ルジョンの中から選ぶことができ、より具体的には、ア
クリル樹脂エマルジョンはモルタック(旭化成工業社
製)、SBRエマルジョンはマノールSBR(マノール
社製)、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンはN
SハイフレックスHF−1000または同HF−2000(日本
化成社製)がある。
【0018】また水分散形エポキシ樹脂は、エマルジョ
ンタイプないし乳化可能な二液反応形エポキシ樹脂もし
くはアルカリ水存在下で反応可能な一液性または二液性
エポキシ樹脂の中から選択される。
【0019】前記エマルジョンタイプないし乳化可能な
二液反応形エポキシ樹脂としては、乳化不能エポキシ樹
脂基剤と乳化形硬化剤との組合わせからなる二液反応形
エポキシ樹脂、乳化可能エポキシ樹脂基剤と乳化形或い
は通常タイプの硬化剤との組合わせからなる二液反応形
エポキシ樹脂、の中から選択される。
【0020】これらの組合せのうち、乳化不能形エポキ
シ基剤は、水に混ぜても乳化しないものであり、具体的
商品名としてベコポックスEP128(ヘキストジャパ
ン社製)、D・E・R331C(ダウケミカル社製)が
掲げられる。したがって、このものと通常形硬化剤の組
合せは除かれ、乳化不能エポキシ基剤と乳化形硬化剤と
の組合せにより水分散が可能となる。
【0021】乳化形エポキシ基剤は、水に混ぜることに
より乳化するものであり、具体的商品名としてベコポッ
クスEP122w(ヘキストジャパン社製)が掲げら
れ、通常形硬化剤或いは乳化形硬化剤のいずれも組合せ
が可能である。
【0022】乳化形硬化剤は、自己乳化形と強制乳化形
があり、この中の自己乳化形硬化剤は、それ自体は乳化
していないが、基剤を乳化させることができる硬化剤で
あって、具体的商品名としてトーマイドTXS−53C
(富士化成工業社製)、ACRハードナーH−4121
(ACR社製)が掲げられる。また、強制乳化形硬化剤
は、それ自身が乳化し、基剤と混合することによって全
体を乳化させる硬化剤であって、具体的商品名としてア
デカハードナーEHE−027(旭電化工業社製)、エ
ポルジョンEB1(カネボウNSC社製)が掲げられ
る。
【0023】したがって、これらの基剤および硬化剤の
中から最も適した組合せの二液反応形エポキシ樹脂を得
ることができ、また場合によっては数種の基剤と数種の
硬化剤を配合して組合せることもできる。
【0024】さらにアルカリ水存在下で反応可能なエポ
キシ樹脂としては、一液性または二液性のいずれも採用
することができ、アルカリ水分の存在下で反応が進行
し、セメント中に残存する水分を取り込みつつ硬化する
ものであり、具体的には、一液性エポキシ樹脂としてエ
ポキシ樹脂EP−4124P(東武化学社製)、二液性
エポキシ樹脂(同水分の存在下で主剤と硬化剤の硬化反
応が始まる二液性エポキシ樹脂として)QQ1(エービ
ーシー商会社製)が掲げられる。
【0025】以上の組成からなるポリマーセメントモル
タルを金コテ等を用いて塗布厚み2〜5mm厚みに塗布す
る。塗布終了後この状態で数時間ないし翌日まで養生す
ることで硬化し、コンクリート1接着性のある下層4を
形成する。この放置期間内は下層4はアルカリ性に富ん
だ水分を放出し、表面は湿潤状態となっている。
【0026】この湿潤状態のまま、エポキシ樹脂、或い
はこれに細骨材として適宣量の硅砂を配合したエポキシ
樹脂モルタルを金ゴテ等によって1〜2mm厚みに塗布す
ることによって、エポキシ樹脂は水分を取り込みつつ、
これの液性によって硬化反応を開始し、数時間から翌日
までに硬化し、(d)に示すように親和性のあるエポキ
シ樹脂が混在する下層4に一体化した三次元網目状の強
靭な被膜を有する上層5を形成する。
【0027】上層5の硬化後は(c)に示すように、こ
の上層5の表面に親和性のある樹脂材料を固形分とする
塗料を塗布し、仕上げ層を6形成することによって施工
を完了する。
【0028】そして、4層にアクリル樹脂エマルジョン
を添加したポリマーセメントモルタル、5層に水分の存
在下で硬化反応の始まる二液性エポキシ樹脂のモルタル
を施工し、完成してから材令7日後の前記下地処理層4
及び5の付着強度を計測したところ、15〜20Kgf/cm
2 、であり、いずれもポリマーセメントモルタル内破断
であった。
【0029】なお、比較例としてアクリル樹脂エマルジ
ョンを添加したポリマーセメントモルタルを前記と同一
条件で塗布した場合の引張り付着力は9〜15Kgf/cm2
程度であり、したがって本発明では、ポリマーセメント
モルタルの破断強度を越える付着力があることが分か
る。
【0030】なお、以上の実施例ではこの発明を塗り床
の施工に適用した場合を示したが、付着性に優れている
ため、他の仕上げ材、例えばタイルの接着用にも適用で
きることは勿論である。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ポリマーセメントモルタル中の一液性樹脂エマルジョン
は既に固化し、内部に多くの水分を含んでいるコンクリ
ートとの付着性が良好であり、皮膜を形成する。また、
この上に塗布される親水性エポキシ樹脂は下層との接着
性が良好であり、しかも下層が湿潤な状態であっても硬
化により、三次元網目構造の強靭で仕上げ材との付着性
の良好な下地処理層を形成する。したがって、従来のい
ずれの床面補修用の下地処理方法よりも施工が簡単かつ
短時日で仕上げることが出来、遮水性およびコンクリー
ト、仕上げ材との付着性に優れた下地処理層を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は本発明方法の処理手順を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 コンクリート床 4 下層 5 上層 3 仕上げ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04G 23/02 E04F 15/12 E04G 21/02 103

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿潤コンクリートの表面に、一液性樹脂
    エマルジョンに細骨材を配合したポリマーセメントモル
    タルを一面に塗布し、次いで数時間経過後ないし翌日に
    表面に親水性のエポキシ樹脂単体ないしはこれと細骨材
    との混合物を塗布して下地処理層を形成することを特徴
    とするコンクリート面の下地処理方法。
  2. 【請求項2】 前記親水性のエポキシ樹脂は、エマルジ
    ョンタイプないし乳化可能な二液反応形エポキシ樹脂、
    またはアルカリ水存在下で反応可能なエポキシ樹脂の中
    から選ばれるものであることを特徴とする請求項1記載
    のコンクリート面の下地処理方法。
  3. 【請求項3】 前記エマルジョンタイプないし乳化可能
    な二液反応形エポキシ樹脂は、乳化不能エポキシ樹脂基
    剤と乳化形硬化剤との組合わせからなる二液反応形エポ
    キシ樹脂、乳化可能エポキシ樹脂基剤と乳化形或いは通
    常タイプの硬化剤との組合わせからなる二液反応形エポ
    キシ樹脂、の中から選ばれたものであることを特徴とす
    る請求項2記載のコンクリート面の下地処理方法。
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