JP2976763B2 - 低熱膨張合金の製造方法 - Google Patents

低熱膨張合金の製造方法

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JP2976763B2
JP2976763B2 JP5226621A JP22662193A JP2976763B2 JP 2976763 B2 JP2976763 B2 JP 2976763B2 JP 5226621 A JP5226621 A JP 5226621A JP 22662193 A JP22662193 A JP 22662193A JP 2976763 B2 JP2976763 B2 JP 2976763B2
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expansion alloy
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昌明 宮内
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に半導体製造装置、
理化学機器、粒子加速器、医療機器、ブラウン管等の真
空中または高純度ガス雰囲気に装入又は装着される部
品、及びその構成用部材として使用される低熱膨張合金
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体製造装置、表面解析装置、粒子加
速器、ブラウン管等の真空を利用した装置・機器におい
て、真空中に装入される部品やその構成部品にはステン
レス鋼や、熱膨張が問題となる場合には低熱膨張合金が
用いられている。低熱膨張合金としては、Fe−Ni系
合金(例えばFe−36Ni合金、Fe−42Ni合
金)やFe−Ni−Cr系合金(例えばFe−36Ni
−0.5Cr合金、Fe−42Ni−6Cr合金)やF
e−Ni−Cr−Co系合金(例えばFe−36Ni−
1Cr−0.5Co、Fe−31Ni−1Cr−5C
o、Fe−35Ni−1Cr−1Co)やFe−Ni−
Co系合金(例えばFe−30Ni−17Co合金、F
e−29Ni−6Co合金、Fe−28.5Ni−1
6.5Co合金、Fe−31Ni−5Co合金)等の合
金が使用されている。
【0003】しかし、これらのステンレス鋼や低熱膨張
合金の部品・部材の表面に吸着しているガスや水分が真
空機器中において放出され、真空装置・機器の真空度を
悪くし、また雰囲気を汚染するため、その部品・部材の
製造時或いは装置の組立時に数百度の温度に加熱し、長
時間脱ガスするベーキング処理を行っている。
【0004】上記部品・部材の材質がステンレス鋼の場
合は、この対策として表面に窒化ボロンを析出させるこ
とが有効であることが知られている。即ち、特公昭62
−39234号公報には窒化ボロンを鋼材表面に析出さ
せた鋼材が提案されている。窒化ボロンの析出方法とし
ては、ボロン(B)、窒素(N)及びセリウム(Ce)
を添加したオーステナイト系ステンレス鋼を真空中で7
00〜900℃に加熱することによっている。
【0005】また、特開平2−57667号公報には、
B、N、Ca、およびMgを添加した鋼材を、10-5
orr以下の真空度もしくは99.99%以上の不活性
ガス雰囲気において650〜850℃の温度で加熱する
ことにより、窒化ボロンを前記ステンレス鋼材の表面に
析出させる方法が提案されている。
【0006】本願の発明者らは、すでに特開平3−04
2367号公報により、Bを0.005〜0.05%を
含有し、かつNを0.08〜0.3%含有するオーステ
ナイト系ステンレス鋼を、水素、窒素、またはアルゴン
等の不活性ガスに水素を全圧の1vol%以上添加した
混合ガス中で、600〜900℃の温度で加熱すること
により、表面に窒化ボロンを析出させたステンレス鋼の
製造方法を提案した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述の真空装
置が高性能になるにしたがい、装置を構成する部品・部
材に対する要求も厳しくなっている。ステンレス鋼は一
般に熱膨張が大きいため、ステンレス鋼に代わり低熱膨
張合金が用いられることが多くなってきた。例えば、大
画面のブラウン管に使用されているシャドウマスクには
前述のインバー合金等が使用されつつある。
【0008】しかし、前述の低熱膨張合金の場合も、そ
の合金の表面におけるガスの吸着或いは放出があり、こ
れを低減する有効な解決策はなく、従来通り長時間加熱
による脱ガスが行なわれている。よって、低熱膨張合金
であるインバー合金等の使用範囲が拡大するに従って、
この合金表面に吸着されるガス、即ち加熱処理によって
放出されるガスを低減する技術の開発が望まれている。
また、この低熱膨張合金であるインバー合金等は、真空
装置用の部材ばかりでなく、高純度の不活性雰囲気中
(例えば、Ar,N2 ,He等)で使用される部材にも
使用される。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は低熱膨張合金で
あるインバー合金等について上記した問題を解決すべく
検討を重ねた結果、本発明者らはガス・水分等の吸着に
対する窒化ボロンの抵抗性に注目し、低熱膨張合金に添
加するB量及びN量、その他種々の析出条件(固溶化処
理温度、析出温度、析出時の雰囲気等)を研究した結
果、適正な化学成分、固溶化処理温度、析出処理温度、
雰囲気等を選択することにより窒化ボロンが合金表面の
大部分を覆うように析出する条件を見い出し、本発明を
完成したもので、下記の通りである。
【0010】(1)請求項1の発明は下記の工程を備え
た低熱膨張合金の製造方法( 成分組成は特に指定する場
合を除きwt% である)である。 (a)主成分として、 Ni:30 〜50 %、 B:0.001 〜0.02 %、 N:0.002〜0.015 %を含有し、 残部がFeおよび不可避的不純物からなっている低熱膨張
合金を用意する工程と、 (b)前記低熱膨張合金を下記の(1) 及び(2) 式から定
まる温度TS1とTS2(°K、ただし、≧1273°K)のいずれか
高い温度以上の温度Tsで固溶化処理を行う工程と、 mN =326.6(mB /TS1)1/2−(TS1−1273)2/1500-----(1) mN =187500/TS2−105 -----(2) ここで、上式中mN は前記 N含有量をwt ppmで表示した
ものであり、mBは前記B 含有量をwt ppmで表示したも
のである (c)その後、前記合金を非酸化性雰囲気で、923 〜(T
s −100)°K の範囲に加熱もしくは保持し、前記低熱膨
張合金の表面に窒化ボロンを析出させる工程。
【0011】(2)請求項2の発明は、請求項1に記載
した成分組成が、更に、Cr:0.5〜10%を含有する場合の
請求項1に記載した低熱膨張合金の製造方法( 成分組成
は特に指定する場合を除きwt% である)である。
【0012】(3)請求項3の発明は、請求項2に記載
した成分組成が、更に、Co:0.5〜20%を含有する場合の
請求項2に記載した低熱膨張合金の製造方法( 成分組成
は特に指定する場合を除きwt% である)である。
【0013】(4)請求項4の発明は、請求項1に記載
した成分組成が、更に、Co:0.5〜20%を含有する場合の
請求項1に記載した低熱膨張合金の製造方法( 成分組成
は特に指定する場合を除きwt% である)である。
【0014】
【作用】以下、請求項に記載した主成分である成分組成
の限定理由を説明する。Ni:Niは低熱膨張合金の基
本成分であり、Niが30%未満では低熱膨張特性が損
なわれ、また、50%を超えるとコスト上昇を招く割り
には低熱膨張特性は飽和する。したがって、適正な成分
組成の範囲は30〜50%である。
【0015】Cr:CrはFe−Ni系低熱膨張合金
の有効な添加元素であり、Cr添加量が0.5〜10%
の範囲で優れた低熱膨張合金が存在する。従ってCrの
添加量は0.5〜10%とする.
【0016】Co:CoはFe−Ni系低熱膨張合金及
びFe−Ni−Cr系低熱膨張合金への有効な添加元素
であり、且つNiの代替え元素としても働き、Co添加
量が0.5〜20%の範囲で優れた低熱膨張合金が存在
する。従って本発明の合金ではCoの添加量は0.5〜
20%とする。
【0017】 B:窒化ボロンを合金の表面に析出させ
るためには、合金中にB及びNを含有する必要があり、
このB及びNの適正な範囲がある。Bに関しては、0.
001%未満では窒化ボロンの析出が充分でなく、合金
表面の一部しか覆わない。一方、0.02%を超えると
かえって窒化ボロンの析出効率が悪くなる。したがっ
て、Bの含有範囲を0.001〜0.02%とする。
【0018】N:0.002%以上とする。窒化ボロン
を形成するための必須の元素であり、Bの含有量を考慮
すると、0.002%以上含有しないと窒化ボロンが合
金表面の一部しか覆わない。そこで、上記の通りとす
る。Nの含有量に関してはオーステナイト系ステンレス
鋼においてはBを0.005〜0.05%である場合に
おいて、N含有量は0.08〜0.3%が良いとされて
いる。一方、本発明に係る低熱膨張合金においては、N
含有量は、N含有量の上限は特に限定する必要はない
が、Niを多量に含有する合金にはNが固溶しにくいた
め、0.015%を超えて含有させることは溶製技術上
困難である。
【0019】その他の元素について 本発明に係る低熱膨張合金においては、Feに対し主成
分として、Ni,Cr,Co等を添加した合金系が基本
となるが、製造においては、実際上低熱膨張合金という
特性を損なわない範囲で、その他の成分が含有していて
もよい。かかる元素としては以下のものがある。
【0020】Cは0.05%以下、Siは0.03%以
下、Mnは1.5%以下、更に合金中の不純物としてP
は0.02%以下、Sは0.02%以下を含有すること
ができ、またSol.Alは0.1%以下含有することができ
る。C,Si,Mnについては上記成分組成範囲を超え
ると、低熱膨張性をそこなうためであり、従って下限で
ある0%であてもよい。PとSはいずれも不純物である
から、下限である0%であってもよい。
【0021】Sol.Alは本発明の合金を溶製し、鋳造する
際、0.001%以上含有していることが鋳造時の気泡
発生を防止するため望ましく、他方非金属介在物は少な
いほうが望ましいので0.03%以下が望ましい。
【0022】これらの成分組成を有する低熱膨張合金は
現実には板、パイプ、各種の鍛造品、その他の形状にお
いて製造される。これらの素材からすでに述べたような
真空装置等の部品として使用するためには最終部品に加
工した後、以下に述べるような熱処理を行ない、これら
の部品の表面に窒化ボロンをほぼ全面に析出させること
が重要である。
【0023】ここで窒化ボロンとは、走査型オージェ電
子分光装置による解析結果では主にBNと推定される
が、その他BとNとの種々の結合状態の窒化ボロンをも
含むと推定される。以下この窒化ボロンを析出させるた
めの熱処理条件について述べる。
【0024】固溶化処理 上記B及びNを含有する低熱膨張合金を固溶化処理を施
し、窒化ボロンの析出処理を行なうが、この固溶化処理
温度 Ts は1273°K 未満では固溶するB及びNが少
なく、窒化ボロンの析出量は僅かである。従って固溶化
処理温度は1273°K 以上が必要である。固溶化処理
温度として1273°K 以上に加熱し、少なくとも3分
以上保持し、その後これに急冷処理を施す。
【0025】固溶化処理温度としては上限がないが、省
エネルギーの点から1473°K 程度がよい。更に、固
溶化処理温度Tsは、下式(1)及び(2)より定まる T
s1及び Ts2のいずれよりも高い温度以上であることが必
要である。 mN =326.6(mB /TS1)1/2−(TS1−1273)2/1500-----(1) mN =187500/TS2−105 -----(2) ここで、mN は窒素含有量をwt ppmで表示したものであ
り、mB は B 含有量をwt ppmで表示したものである。
上記式の意義は実施例で具体的に説明するが、定性的に
は、既に析出している窒化ボロンを可能な限りマトリッ
クス中に固溶させるためである。
【0026】固溶化処理のための雰囲気に関しては、こ
の合金の加工プロセスにより異なる。固溶化処理し、そ
の後急冷した合金を最終的な部品・部材に加工し窒化ボ
ロンの析出処理を行う場合は上記固溶化処理は酸化性雰
囲気でもよい。上記加工時に表面の酸化膜を削除できる
ためである。
【0027】しかし、この合金を最終的な部品・部材に
加工し、固溶化処理し、続いて窒化ボロンの析出処理を
行う場合は固溶化処理のために加熱する際、非酸化雰囲
気で行うことが望ましい。合金の表面酸化を防止し、窒
化ボロンの表面への析出を円滑にするためである。
【0028】窒化ボロンの析出処理 固溶化処理のため1273°K 以上の温度 Ts に保持
し、その後急冷処理を施し、その後非酸化性雰囲気で 9
23〜(TS −100)°K に加熱し、窒化ボロンを表面に析出
させる。又は、非酸化性雰囲気で1273°K 以上の温
度 TS に加熱し、一旦 923〜(TS −100)°K の範囲に急
冷し、窒化ボロンを析出させ、その後室温まで冷却する
こともできる。
【0029】酸化性雰囲気の場合には表面に酸化皮膜が
生成し、窒化ボロンの析出は不十分となるためである。
従って、例えば真空中、水素中、又は全圧で1%以上の
水素を含む不活性ガス(アルゴン,窒素等)のような非
酸化性雰囲気中での処理が必要である。
【0030】また、析出温度が927°K 未満ではB及
びNの合金中拡散が遅く表面に充分な窒化ボロンが析出
しない。一方、(TS −100)°K を超えると固溶化処理温
度に近い温度となり析出処理温度で過飽和となるB及び
Nが減少し、やはり窒化ボロンの析出量が減少する。よ
って、窒化ボロンの析出処理温度の適正範囲は 923〜(T
S −100)°K とした。また、析出処理時間には特に制限
はないが、1分〜6分程度で充分な窒化ボロン膜が形成
される。
【0031】
【実施例】実施例 1 前述のような本発明の具体的な実施例について以下説明
する。表1に示す組成の合金を真空中で溶製した後、15
23°K で熱間圧延により12mm厚の板にした。これら
の板を1323°K の温度で30分間固溶化処理し、水冷し
た後、10mm角×1mm厚のサンプルに加工した。こ
のサンプルの表面をバフ研磨し、電解研磨した後、真空
(1×10-5Torr以下)において、1103°K で1
時間析出処理をした。
【0032】析出処理をしたサンプルは、走査型オージ
ェ電子分光装置で窒化ボロンの表面被覆率( % ) を測定
した。図1にBとNの含有量と表面の被覆率の関係を示
す。図1は次のような考察の結果である。固溶化処理温
度Tsは、例えば式(2)から求められるTs2 との関係で
は、Ts≧Ts2 である。そこで、式(2)を変形すると 、 Ts≧Ts2 =187500/(mN +105) -------(3) 従って、式(3)から、 mN 187500 /Ts−105 -------(4)
【0033】すなわち、固溶化処理温度Tsと窒素含有量
との関係を式(4) の様に変形して、図1に示したもので
ある。式(2) についても同様である。図1の結果によれ
ば、固溶化処理温度Tsが前述の式(1)と(2)でそれ
ぞれ与えられるTs1 及びTs2よりも高い場合には窒化ボ
ロンの表面被覆率は90%以上と非常に高い被覆率で窒
化ボロン皮膜が合金表面に析出していることがわかる。
【0034】これに対し、固溶化処理温度Tsが、上記式
でそれぞれ与えられるTs1 及びTs2の一方または双方よ
りも低い場合には、ほとんどが60%以下で、高いもの
でも70〜80%程度の低い被覆率である。従って、本
発明により真空中等に使用される部品はガス吸着に対し
高い抵抗性を有する優れた特性をもつ製品を製造するこ
とができることが確認された。
【0035】
【表1】
【0036】実施例 2 表2に示す成分組成組成のFe−42Ni鋼を真空中で
溶製し、1523°K で熱間圧延により12mm厚の板にし
た。これらの板を1373°K の温度で30分間固溶化処理
し、水冷した後、10mm角×1mm厚および100m
m角×1.2mm厚のサンプルに加工した。これらのサ
ンプルの表面をバフ研磨および電解研磨した後、真空
(1×10-5Torr以下)において種々の温度で
時間析出処理をした。析出処理をした10mm角のサン
プルを用い、走査型オージェ電子分光装置で窒化ボロン
の表面被覆率を測定した。
【0037】また、100mm角×1.2mm厚のサン
プルを用い昇温脱離試験(TDS試験)により1073
°K までのガス放出量を測定し、窒化ボロン析出処理を
しないサンプルと比較した。ここで、昇温脱離試験(T
DS試験)とは、上記サンプルを約10-11Torr の真空
中で15°K /minで1073°K まで昇温し、その
間におけるガス放出量を質量分析計で測定する試験であ
る。測定したガスはH2,2 , CO及びCO2 であ
る。表3に窒化ボロンの析出条件、表面被覆率、ガス放
出率の比較結果を示した。表3中、○は窒化ボロン析出
材と非析出材とのガス放出比が0.1より小さく、△は
このガス放出比が0.1〜0.5であり、×はこのガス
放出比が0.5以上の場合である。以下、図5、図7、
及び図9についても同様である。
【0038】表3から、本発明によるものは窒化ボロン
の表面被覆率が90%以上と高く、ガス放出量も著しく
低減できた。これに対し、比較例ではほとんどの場合被
覆率は60%以下で、高い場合でも80%程度であっ
た。ガス放出量も比較例に比べて、著しく少なかった。
従って、本発明にかかる低熱膨張合金は真空中で使用す
る部品・部材に適した材料である。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】実施例 3 表4に示す成分組成組成のFe−Ni−Cr鋼を真空で
溶製し、1523°K で熱間圧延により12mm厚の板にし
た。これらの板を1373°K の温度で30分間固溶化処理
し、水冷した後、10mm角×1mm厚および100m
m角×1.2mm厚のサンプルに加工した。これらのサ
ンプルの表面をバフ研磨および電解研磨した後、窒素中
(純度99.999%)において種々の温度で1時間
析出処理をした。析出処理をした10mm角のサンプル
を用い、走査型オージェ電子分光装置で窒化ボロンの表
面被覆率を測定した。また、100mm角×1.2mm
厚のサンプルを用い昇温脱離試験(TDS試験)により
1073°K までのガス放出量を測定し、窒化ボロン析
出処理をしないサンプルと比較した。結果を表5に示し
た。
【0042】表5から、本発明によるものは窒化ボロン
の表面被覆率が90%以上と高く、ガス放出量も著しく
低減できた。これに対し、比較例ではほとんどの場合被
覆率は60%以下で、高い場合でも80%程度であっ
た。ガス放出量も比較例に比べて、著しく少なかった。
従って、本発明にかかる低熱膨張合金は真空中で使用す
る部品・部材に適した材料である。
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】実施例 4 表6に示す成分組成組成のFe−Ni−Cr−Co鋼を
真空で溶製し、1523°K で熱間圧延により12mm厚の
板にした。これらの板を1423°K の温度で30分間固溶
化処理し、水冷した後、10mm角×1mm厚および1
00mm角×1.2mm厚のサンプルに加工した。これ
らのサンプルの表面をバフ研磨および電解研磨した後、
水素中(純度99.99%)において種々の温度で
時間析出処理をした。析出処理をした10mm角のサン
プルを用い、走査型オージェ電子分光装置で窒化ボロン
の表面被覆率を測定した。また、100mm角×1.2
mm厚のサンプルを用い昇温脱離試験(TDS試験)に
より1073°K までのガス放出量を測定し、窒化ボロ
ン析出処理をしないサンプルと比較した。結果を表7に
示した。
【0046】表7から、本発明によるものは窒化ボロン
の表面被覆率が90%以上と高く、ガス放出量も著しく
低減できた。これに対し、比較例ではほとんどの場合被
覆率は60%以下で、高い場合でも80%程度であっ
た。ガス放出量も比較例に比べて、著しく少なかった。
従って、本発明にかかる低熱膨張合金は真空中で使用す
る部品・部材に適した材料である。
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】実施例 5 表8に示す成分組成組成のFe−Ni−Co鋼を真空で
溶製し、1523°K で熱間圧延により12mm厚の板にし
た。これらの板を1473°K の温度で30分間固溶化処理
し、水冷した後、10mm角×1mm厚および100m
m角×1.2mm厚のサンプルに加工した。これらのサ
ンプルの表面をバフ研磨および電解研磨した後、Arと
水素ガス中(水素は1vol.%)において種々の温
で1時間析出処理をした。析出処理をした10mm角
サンプルを用い、走査型オージェ電子分光装置で窒化
ボロンの表面被覆率を測定した。また、100mm角×
1.2mm厚のサンプルを用い昇温脱離試験(TDS試
験)により1073°K までのガス放出量を測定し、窒
化ボロン析出処理をしないサンプルと比較した。結果を
表9に示した。
【0050】表9から、本発明によるものは窒化ボロン
の表面被覆率が90%以上と高く、ガス放出量も著しく
低減できた。これに対し、比較例ではほとんどの場合被
覆率は60%以下で、高い場合でも80%程度であっ
た。ガス放出量も比較例に比べて、著しく少なかった。
従って、本発明にかかる低熱膨張合金は真空中で使用す
る部品・部材に適した材料である。
【0051】
【表8】
【0052】
【表9】
【0053】本発明はこのような実施例に限定されるも
のでないことは無論であり、前記した本発明の趣旨に照
らし適宜設計変更して実施できることは当然であり、こ
のように設計変更することは本発明の範囲である。
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造方法
による低熱膨張合金は長時間のベーキング処理や長時間
排気するといった不経済な処理することなく、真空また
は高純度の不活性ガス雰囲気で使用できる真空装置用部
品・部材の素材とすることができる。従って、本発明の
低熱膨張合金を用いて製作した真空装置用部品・部材を
利用した半導体製造装置、理化学機器、粒子加速器、医
療機械、ブラウン管等の装置はその性能を向上させるこ
とが可能であり、工業的にもその効果の大きい発明であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】窒化ボロンの合金表面被覆率(H)とB濃度及
びN濃度との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江畑 明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22D 6/00 C22C 19/00 - 19/07 C22C 38/00 - 38/60

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の工程を備えた低熱膨張合金の製造
    方法(成分組成は特に指定する場合を除きwt% であ
    る)。 (a)主成分として、 Ni:30 〜50 %、 B:0.001 〜0.02 %、 N:0.002〜0.015 %を含有し、 残部がFeおよび不可避的不純物からなっている低熱膨張
    合金を用意する工程と、 (b)前記低熱膨張合金を下記の(1) 及び(2) 式から定
    まる温度TS1とTS2(°K、ただし、≧1273°K)のいずれか
    高い温度以上の温度Tsで固溶化処理を行う工程と、 mN =326.6(mB /TS1)1/2−(TS1−1273)2/1500-----(1) mN =187500/TS2−105 -----(2) ここで、上式中mN は前記N含有量をwt ppmで表示した
    ものであり、 mB は前記B 含有量をwt ppmで表示したものである
    (c)その後、前記合金を非酸化性雰囲気で、923 〜(T
    s −100)°K の範囲に加熱もしくは保持し、前記低熱膨
    張合金の表面に窒化ボロンを析出させる工程。
  2. 【請求項2】 前記合金が更に、Cr:0.5〜10% を含有す
    ることを特徴とする請求項1記載の低熱膨張合金の製造
    方法( 成分組成は特に指定する場合を除きwt% であ
    る)。
  3. 【請求項3】 前記合金が更に、Cr:0.5〜10%、Co:0.5
    〜20% を含有することを特徴とする請求項1記載の低熱
    膨張合金の製造方法(成分組成は特に指定する場合を除
    きwt% である)。
  4. 【請求項4】 前記合金が更に、Co:0.5〜20% を含有す
    ることを特徴とする請求項1記載の低熱膨張合金の製造
    方法( 成分組成は特に指定する場合を除きwt% であ
    る)。
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