JP2975970B2 - エンジンの冷却制御装置 - Google Patents

エンジンの冷却制御装置

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JP2975970B2
JP2975970B2 JP4039329A JP3932992A JP2975970B2 JP 2975970 B2 JP2975970 B2 JP 2975970B2 JP 4039329 A JP4039329 A JP 4039329A JP 3932992 A JP3932992 A JP 3932992A JP 2975970 B2 JP2975970 B2 JP 2975970B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエンジンの冷却制御装
置、特に、エンジンの冷却部位をホットゾーンとコール
ドゾーンに分けて、それぞれを冷却水により冷却制御す
るエンジンの冷却制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ロータリピストンエンジンの冷却制御装
置として、ハウジング内にコールドゾーンすなわち吸入
行程および圧縮行程が繰り返される作動室部分の周囲の
冷却水通路と、ホットゾーンすなわち爆発行程および排
気行程が繰り返される作動室部分の周囲の冷却水通路と
を区分して設け、コールドゾーンは低温に維持して吸気
充填効率を向上させるとともに、ホットゾーンはノッキ
ングを回避しつつ燃焼性向上のためある程度高温に維持
するようにしたものが従来から知られている。
【0003】また、このようにコールドゾーンとホット
ゾーンを区分して冷却する場合に、吸気充填効率を一層
高めるため、コールドゾーンとホットゾーンとで冷却系
を完全に2系統に分けてコールドゾーンを凝縮したフロ
ンなどの冷媒の蒸発熱により強力に冷却するようにした
ものが実開昭60ー108726号公報に記載されてい
る。また、特開昭60ー8428号公報には、コールド
ゾーンを積極的に冷やして吸気充填効率を向上させるた
め、冷却系をコールドゾーン用とホットゾーン用の2系
統に分けるとともに、エンジン冷間時にはコールドゾー
ンの冷却系とホットゾーンの冷却系を連通する連通路を
開きホットゾーンで加熱された冷却水をコールドゾーン
へ流すことによって暖機を促進するようにしたものが記
載されている。
【0004】また、それとは別に、例えば特開昭58ー
170818号公報に記載されているように、低温設定
および高温設定の二つのサーモバルブと高負荷時に開く
開閉弁との組み合わせによってエンジンからラジエータ
へ循環する冷却水の流れを制御し、それにより低負荷低
回転時に冷却水の温度を上げて燃焼性を高め燃費を向上
させるようにしたものが従来から知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】エンジンの燃費向上の
ためには、上記特開昭58ー170818号公報等に記
載されているようにエンジン低負荷低回転側で冷却水の
温度を高くして燃料の気化・霧化を促進し燃焼性を改善
することが必要がある。しかしながら、エンジン低負荷
低回転側の領域でこのように冷却水の温度を高くするよ
うな制御を行った場合、エンジンが急加速したような時
には、温度設定が高温側から低温側に切り換わっても冷
却水の温度は急には下がらないし、また、水温が下がっ
ても実際にコールドゾーンが冷されるのに時間がかかる
ため、吸気充填効率が低くて出力がでないといった問題
が発生する。
【0006】吸気充填効率を高めるにはコールドゾーン
を積極的に冷やして低温に維持することが必要であるこ
とは明らかであり、上記実開昭60ー108726号公
報や特開昭60ー8428号公報に記載された技術もそ
のような趣旨に基づくものである。しかし、上記のよう
に燃費向上のため低負荷低回転側で冷却水温を高くする
ような水温制御を行う場合には、単にこれら公報記載の
技術を適用するだけでは加速過渡時の上記問題を解決す
ることができない。
【0007】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であって、低負荷低回転時の燃費向上と加速時の出力向
上を両立させることのできるエンジンの冷却制御装置を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、エンジンの冷却部位を吸気ポートに近い比
較的低温に加熱されるコールドゾーンと点火プラグない
し排気ポートまわりの比較的高温に加熱されるホットゾ
ーンに分けて、これらコールドゾーンとホットゾーンの
冷却をそれぞれの冷却要求に応じて制御するようエンジ
ンの冷却制御装置を構成し、かつ、エンジン低負荷低回
転側の領域ではコールドゾーンへ流す冷却水の冷却容量
をホットゾーンへ流す冷却水の冷却容量より大きくし、
エンジン高負荷高回転側の領域ではホットゾーンへ流す
冷却水の冷却容量をコールドゾーンへ流す冷却水の冷却
容量より大きくする冷却容量可変手段を設けたものであ
る。
【0009】ここで、冷却容量可変手段は、コールドゾ
ーンおよびホットゾーンへ流すそれぞれの冷却水の流量
を変化させるものとすることができる。
【0010】また、冷却容量を可変とする手段として、
コールドゾーンとホットゾーンを一系統の冷却水通路で
結ぶとともに、エンジン低負荷低回転側の領域ではコー
ルドゾーンを経てホットゾーンへ冷却水を流しエンジン
高負荷高回転側の領域ではホットゾーンを経てコールド
ゾーンへ冷却水を流すよう流通方向切換手段により冷却
水の流通方向を切り換えるような構成を採用することも
できる。
【0011】また、コールドゾーンおよびホットゾーン
への冷却水の供給は、共通の冷却水ポンプによって行う
ようにでき、その場合には、エンジン低負荷低回転側の
領域ではコールドゾーンへの冷却水の分配量をホットゾ
ーンへの冷却水の分配量より大きくし、エンジン高負荷
高回転側の領域ではホットゾーンへの冷却水の分配量を
コールドゾーンへの冷却水の分配量より大きくするよう
分配量切換手段を設ける。
【0012】また、本発明の上記構成は、エンジン低負
荷低回転側の領域では高負荷高回転側の領域に対して冷
却水温度が高くなるようラジエータへの冷却水の流れを
制御する水温制御手段を設けた冷却制御装置に適用する
ことができ、それによって低負荷時の燃費向上を実現で
きる。
【0013】
【作用】エンジン低負荷低回転側の領域では、コールド
ゾーンへ冷却水が多量に流されてホットゾーンへの冷却
水流量が少なくされることにより、あるいは、コールド
ゾーンを流れて加熱された冷却水がホットゾーンへ流さ
れることによって、ホットゾーンの壁温が高く保たれ、
それにより燃焼性が向上し燃費が改善される。また、エ
ンジン高負荷高回転側の領域では、コールドゾーンへの
冷却水は少なくされてホットゾーンへ多量の冷却水が流
されることにより、あるいは、ホットゾーンを通ってコ
ールドゾーンへは冷却水が送られるよう流通方向が切り
換えられることによって、ホットゾーン壁面の過熱が防
止される。また、低負荷低回転時に上記のようにコール
ドゾーンへ多量の冷却水が流され、あるいは、コールド
ゾーンの方に先に冷却水が流されると、コールドゾーン
は加速により高負荷高回転側へ移行する際に予め十分に
冷却されることになり、それによってエンジン加速時の
吸気充填効率の低下が防止される。
【0014】エンジン低負荷低回転側で冷却水の温度が
高くなるようラジエータへの冷却水の流れが制御される
と、低負荷低回転時の壁温が一層高温に維持され、燃料
の気化・霧化が促進されて燃焼性の向上が一層顕著とな
る。また、このように低負荷低回転側で冷却水の温度を
高くすると一般には加速時の吸気充填効率の低下が問題
となるが、本発明では低負荷低回転時にはコールドゾー
ン側の冷却容量を大きくするような制御が行われるた
め、吸気充填効率の低下が抑制され、したがって、低負
荷低回転領域での燃費向上と加速時の出力向上の両立が
可能となる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0016】図1は本発明の第1実施例のシステム図で
ある。図おいて、1はロータリピストンエンジンのハウ
ジングであり、2はラジエータを示す。上記ハウジング
1の内部にはコールドゾーン用冷却水通路3とホットゾ
ーン用冷却水通路4が形成されている。また、ホットゾ
ーン用冷却水通路4は、リーディング側通路4aとトレ
ーリング側通路4bとに分かれ、それらがリヤ側で連通
するよう構成されている。
【0017】図2は上記ハウジング1の一部であるロー
タハウジング5の斜視図である。ハウジング1は、この
ロータハウジング5のほかサイドハウジングおよびイン
ターメディエイトハウジングによって構成され、その作
動室はロータハウジング5のトロコイド状内周面5aに
よって規定される。また、図でZCはコールドゾーンを
示し、ZHはホットゾーンを示す。コールドゾーンZC
吸気行程および圧縮行程が繰り返される作動室部分の周
囲であって、この部分にはコールドゾーン用冷却水通路
3が複数並列で軸方向に設けられている。また、ホット
ゾーンZHは爆発行程および排気行程が繰り返される作
動室部分の周囲であって、この部分にはリーディング側
通路4aとトレーリング側通路4bとからなるホットゾ
ーン用冷却水通路4がやはり軸方向に設けられている。
なお、図で6は排気ポートであり、また、折れ線の矢印
は点火プラグ位置を示している。
【0018】コールドゾーン用冷却水通路3にはフロン
ト側端部に入口が、また、リヤ側端部に出口が設けられ
ている。また、ホットゾーン用冷却水通路4の入口はリ
ーディング側通路4aのフロント側端部に設けられ、出
口はトレーリング側通路4bのフロント側端部に設けら
れている。そして、上記コールドゾーン用冷却水通路3
の入口は第1の通路7を介して冷却水ポンプ8の吐出側
に接続され、出口は第2の通路9を介してラジエータ2
に接続されている。また、ホットゾーン用冷却水通路4
の入口は第3の通路10を介し上記第1の通路7に接続
され、出口は第1の切換バルブ11を備えた第4の通路
12に接続されている。第1の切換バルブ11は、第4
の通路12を絞り13を介して上記第2の通路9に接続
された第5の通路14と絞りを介さずに第2の通路9に
接続された第6の通路15とに選択的に連通させる。
【0019】また、上記第2の通路9には、第6の通路
15との合流点下流に水温82゜Cで開弁する第1のサ
ーモバルブ16が設けられるとともに、このサーモバル
ブ16の閉弁によって連通する第1のバイパス通路17
が設けられている。また、第1のサーモバルブ16の下
流には、水温120゜C以上で開弁する第2のサーモバ
ルブ18が設けられ、また、この第2のサーモバルブ1
8の閉弁によって連通する第2のバイパス通路19が接
続されている。そして、上記第1および第2のバイパス
通路17,19は下流側で合流し、ラジエータ2と冷却
水ポンプ8とを接続する第6の通路20に接続されてい
る。また、上記第1のサーモバルブ16下流と第2のサ
ーモバルブ18下流を接続する第7の通路21が形成さ
れ、この第7の通路21には第2の切換バルブ22が設
置されている。
【0020】上記第1の切換バルブ11は、エンジンの
負荷と回転数が所定の低負荷低回転領域内のときには上
記第6の通路15を閉じて第4の通路12を第5の通路
14に連通させ、低負荷低回転領域を外れて高負荷高回
転領域に入ったときには第5の通路14を閉じて第4の
通路12を第6の通路15に連通させるよう制御され
る。また、上記第2の切換バルブ22は、エンジンの負
荷と回転数が上記低負荷低回転領域内であるか水温が1
20゜C以上であるかのいずれかの条件が成立したとき
に開弁するよう制御される。これら切換バルブ11,2
2の制御領域は図3に示すような横軸をエンジン回転数
とし縦軸をエンジン負荷とした領域図として予め規定さ
れる。ここで、図3のAは上記低負荷低回転領域に相当
し、Bは上記高負荷高回転領域に相当する。
【0021】上記のように構成された冷却制御装置にお
いては、コールドゾーン用冷却水通路3には冷却水ポン
プ8から第1の通路7を介して冷却水が供給され、ま
た、ホットゾーン用冷却水通路4にも同じ冷却水ポンプ
8から第3の通路10を介して冷却水が供給される。そ
して、コールドゾーン用冷却水通路3を循環した冷却水
は第2の通路9を通って第1のサーモバルブ16へ流
れ、一方、ホットゾーン用冷却水通路4を循環した冷却
水は、エンジン低負荷低回転時には第4の通路12から
絞り13を備えた第5の通路14に流れて第2の通路9
の流れに合流し、エンジン高負荷高回転時には第4の通
路12から絞りのない第6の通路に流れて第2の通路9
の流れに合流する。そのため、低負荷低回転時にはホッ
トゾーン用冷却水通路4を流れる冷却水の流量が低下し
てホットゾーンZHの壁温が高温に維持され、一方、コ
ールドゾーンZC側は、コールドゾーン用冷却水通路3
側の流量が増えることによって十分に冷される。また、
高負荷高回転時にはホットゾーン用冷却水通路4の流量
が多くなり、それによってホットゾーンZHの過熱が抑
制される。また、このように低負荷低回転領域でコール
ドゾーンZCが十分に冷されると、加速によって急に高
負荷高回転領域に入った時でも吸気充填効率が高いレベ
ルに維持される。また、冷却水の温度は、高負荷高回転
時には第2の切換バルブ22が開くことによって第1の
サーモバルブ16の設定温度である82゜Cに制御され
る。また、低負荷低回転時には、第2の切換バルブ22
が閉じることによって水温は第2のサーモバルブ18の
設定温度である120゜Cまで上昇し、燃焼性が向上す
る。なお、この低負荷低回転時の水温上昇による吸気充
填効率の低下は、上記のようにコールドゾーンZCへの
冷却水流量が増えることによって十分補われる。
【0022】なお、上記実施例はロータリーピストンエ
ンジンに適用したものであるが、レシプロエンジンにお
いても同様のシステムによって冷却制御を行うことが可
能である。レシプロエンジンの場合は、図4に示すよう
に吸気ポート23の周りがコールドゾーンZCであり、
燃焼室24と排気ポート25の周りがホットゾーンZH
である。そこで、この場合には、吸気ポート23の周り
のウォータジャケット26と、燃焼室24および排気ポ
ート25の周りのウォータジャケット27を区分し、上
記実施例と同様のシステムによって冷却制御を行うよう
にする。なお、図4において28はピストン、29はシ
リンダ、30はシリンダヘッド、31は吸気弁、32は
排気弁、33は点火プラグをそれぞれ示している。
【0023】図5は本発明の第2実施例を示すシステム
図である。なお、この第2実施例のシステムは図1に示
す第1実施例のシステムと大部分同じであるため、図5
では図1と共通する部分の記載を一部省略している。ま
た、図1のものと同じ部分については同一の符号を付し
ている。
【0024】この実施例では、高負荷高回転時にホット
ゾーン用冷却水通路4へ流れる冷却水の流量を積極的に
増大させるため、コールドゾーン用冷却水通路3の出口
側に接続された第2の通路9に第3の切換バルブ34を
設けるとともに、この切換バルブ34が閉じることによ
り開通して上記第2の通路9を上記第4の通路12に連
通させる第8の通路35を設け、かつ、この第8の通路
35に絞り36を介在させている。
【0025】上記第3の切換バルブ34は低負荷低回転
時に開き高負荷高回転時に閉じるよう制御される。それ
により、高負荷高回転時にはコールドゾーン用冷却水通
路3を流れる冷却水は絞り36によって絞られ、流量が
低下する。そして、その分ホットゾーン用冷却水通路4
を循環する冷却水の流量が増大するため、過熱防止が確
実となり信頼性が向上する。
【0026】図6は本発明の第3実施例をエンジン高負
荷高回転時の作動状態(a)とエンジン低負荷低回転時
の作動状態(b)で示すシステム図である。この第3実
施例のシステムでは、コールドゾーン用冷却水通路3の
入口は第1の通路7を介して冷却水ポンプ8の吐出側に
接続され、また、出口は第2の通路9を介して図示しな
いラジエータに接続されている。また、ホットゾーン用
冷却水通路4は、入口が第3の通路10を介して上記第
1の通路7に接続され、出口が第4の通路を介して上記
第2の通路9に接続されている。そして、コールドゾー
ン用冷却水通路3とホットゾーン用冷却水通路4とを相
互に連通させる連通路41が設けられるとともに、上記
第1の通路7と第3の通路10との接続部および第2の
通路9と第4の通路12との接続部にそれぞれ切換バル
ブ42,43が設けられている。なお、上記以外のシス
テム構成は上記第1実施例および第2実施例を同じであ
る。
【0027】この実施例では、エンジン低負荷低回転時
には冷却水ポンプ8の吐出側につながる第1の通路7が
コールドゾーン用冷却水通路3の入口側に開かれ、ホッ
トゾーン用冷却水通路4につながる第3の通路10が閉
じられるとともに、第2の通路9がホットゾーン用冷却
水通路4の出口につながる第4の通路12側に開かれて
コールドゾーン用冷却水通路3の出口との連通を断た
れ、また、エンジン高負荷高回転時には第1の通路7が
ホットゾーン用冷却水通路4の入口につながる第3の通
路10側に開かれ、コールドゾーン用冷却水通路3の入
口側が閉じられるとともに、第2の通路9がコールドゾ
ーン用冷却水通路3の出口につながれて第4の通路12
が閉じられよう二つの切換バルブ42,43が制御され
る。
【0028】上記のような制御が行われることにより、
エンジン低負荷低回転時には冷却水の流れは図の(b)
に示すようになり、冷却水ポンプ8によって送られた冷
却水はまずコールドゾーン用冷却水通路3に入る。そし
て、コールドゾーン用冷却水通路3を循環した冷却水が
連通路41を介してホットゾーン用冷却水通路4に流れ
る。この場合、ホットゾーン用冷却水通路4へ入る冷却
水は予めコールドゾーンを通って加熱された冷却水であ
り、したがって、ホットゾーンが高温に維持されて燃焼
性が向上する。また、エンジン高負荷高回転時には冷却
水の流れは図の(a)に示すようになり、冷却水ポンプ
8によって送られた冷却水はまずホットゾーン用冷却水
通路4へ入り、ホットゾーン用冷却水通路4を循環した
後連通路41を介してコールドゾーン用冷却水通路3に
流れる。この場合、ホットゾーン用冷却水通路4には冷
却水ポンプ8によって送られた冷却水がそのまま全部入
ることになるため、ホットゾーンが十分に冷却される。
【0029】この実施例の場合も、低負荷低回転領域で
コールドゾーンが十分冷やされるため、加速過渡時の吸
気充填効率の低下が防止される。なお、この実施例で
も、低負荷低回転時に冷却水温度を高くするよう水温制
御が行われる。
【0030】図7および図8はエンジン低負荷低回転時
にホットゾーンを高温に維持して燃焼性を向上させるた
めの改善例を示している。これら二つの例はロータリピ
ストンエンジンのロータハウジグに関するものであり、
第1乃至第3の上記各実施例に適用することができる。
なお、図7および図8では図2と共通する部分に同一の
符号を付している。
【0031】まず、図7に示す例では、ロータハウジン
グ5の内周側肉厚をホットゾーンZHのリーディング側
において排気ポート6に近付くほど大きくし(L1<L2
<L3<L4<L5)、それによってホットゾーンZHの温
度低下を抑制し、かつ、周方向の温度分布の均一化を図
るようにしている。
【0032】また、図8に示す例では、ホットゾーンZ
Hのリーディング側冷却水通路4aおよび隣接する一部
トレーリング側冷却水通路4bの作動室側壁面に、熱伝
導率の小さい金属あるいはセラミックスの断熱材50を
鋳込み、それによってやはりホットゾーンZHの温度低
下の抑制と周方向の温度分布の均一化を図るようにして
いる。この場合に、断熱材50は幅方向(軸方向)の全
域に設けてもよいが、ロータハウジング5の熱による変
形量は幅方向の両端で大きくなるため、この両端部にの
み断熱材を設けることによってロータハウジング5の変
形の均一化を図るようにすることもできる。
【0033】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されているの
で、エンジン低負荷低回転時にホットゾーンを十分に加
熱して燃料の気化・霧化を促進し燃焼性を向上させるよ
うにできるとともに、加速に際し予めコールドゾーンを
十分に冷却して過渡時の吸気充填効率の低下を抑制する
ようにでき、また、低負荷低回転時に冷却水温度を高め
て燃費を向上させるようにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のシステム図
【図2】本発明の第1実施例に係るロータリピストンエ
ンジンのコールドゾーンおよびホットゾーンを説明する
ためのロータハウジングの斜視図
【図3】本発明の第1実施例の制御に係る領域図
【図4】本発明の第1実施例に関連してレシプロエンジ
ンのコールドゾーンおよびホットゾーンを説明するため
のエンジン概略図
【図5】本発明の第2実施例のシステム図
【図6】本発明の第3実施例のシステム図
【図7】本発明の上記各実施例に適用可能なロータハウ
ジングの改善例を示す斜視図
【図8】本発明の上記各実施例に適用可能なロータハウ
ジングの他の改善例を示す斜視図
【符号の説明】
2 ラジエータ 3 コールドゾーン用冷却水通路 4 ホットゾーン用冷却水通路 8 冷却水ポンプ 11,22,34,42,43 切換バルブ 13,36 絞り 16,18 サーモバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F01P 7/16 505 F01P 7/16 502 F02B 55/10

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの冷却部位を吸気ポートに近い
    比較的低温に加熱されるコールドゾーンと点火プラグな
    いし排気ポートまわりの比較的高温に加熱されるホット
    ゾーンに分けて、これらコールドゾーンとホットゾーン
    の冷却をそれぞれの冷却要求に応じて制御するようにし
    たエンジンの冷却制御装置であって、エンジン低負荷低
    回転側の領域では前記コールドゾーンへ流す冷却水の冷
    却容量を前記ホットゾーンへ流す冷却水の冷却容量より
    大きくしエンジン高負荷高回転側の領域では前記ホット
    ゾーンへ流す冷却水の冷却容量を前記コールドゾーンへ
    流す冷却水の冷却容量より大きくする冷却容量可変手段
    を設けたことを特徴とするエンジンの冷却制御装置。
  2. 【請求項2】 冷却容量可変手段は、コールドゾーンお
    よびホットゾーンへ流すそれぞれの冷却水の流量を変化
    させるものとされた請求項1記載のエンジンの冷却制御
    装置。
  3. 【請求項3】 エンジンの冷却部位を吸気ポートに近い
    比較的低温に加熱されるコールドゾーンと点火プラグな
    いし排気ポートまわりの比較的高温に加熱されるホット
    ゾーンに分けて、これらコールドゾーンとホットゾーン
    の冷却をそれぞれの冷却要求に応じて制御するようにし
    たエンジンの冷却制御装置であって、前記コールドゾー
    ンと前記ホットゾーンを一系統の冷却水通路で結ぶとと
    もに、エンジン低負荷低回転側の領域では前記コールド
    ゾーンを経て前記ホットゾーンへ冷却水を流しエンジン
    高負荷高回転側の領域では前記ホットゾーンを経て前記
    コールドゾーンへ冷却水を流すよう前記冷却水通路を介
    する冷却水の流通方向を切り換える流通方向切換手段を
    設けたことを特徴とするエンジンの冷却制御装置。
  4. 【請求項4】 エンジンの冷却部位を吸気ポートに近い
    比較的低温に加熱されるコールドゾーンと点火プラグな
    いし排気ポートまわりの比較的高温に加熱されるホット
    ゾーンに分けて、これらコールドゾーンとホットゾーン
    の冷却をそれぞれの冷却要求に応じて制御するようにし
    たエンジンの冷却制御装置であって、前記コールドゾー
    ンへ冷却水を供給するとともに前記ホットゾーンへ冷却
    水を供給する共通の冷却水ポンプを設けるとともに、エ
    ンジン低負荷低回転側の領域では前記コールドゾーンへ
    の冷却水の分配量を前記ホットゾーンへの冷却水の分配
    量より大きくしエンジン高負荷高回転側の領域では前記
    ホットゾーンへの冷却水の分配量を前記コールドゾーン
    への冷却水の分配量より大きくする分配量切換手段を設
    けたことを特徴とするエンジンの冷却制御装置。
  5. 【請求項5】 エンジン低負荷低回転側の領域では高負
    荷高回転側の領域に対して冷却水温度が高くなるようラ
    ジエータへの冷却水の流れを制御する水温制御手段を設
    けた請求項1,2,3または4記載のエンジンの冷却制
    御装置。
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