JP2973461B2 - 超伝導素子およびその製造方法 - Google Patents

超伝導素子およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は超伝導体と半導体とにより構成される超伝導
素子およびその製造方法に関する。
〔従来の技術〕
従来の超伝導体−半導体結合素子では、例えばティー
ニシノ ら(T.NISHINO et al.)によりアイー イー
イー イー トランザクションズ オン エレクトロ
ン デバイシズ レターズ(IEEE Transactions On Ele
ctron Devices Letters)10巻,1989年2月号,61ページ
に報告されているように、2つの超伝導体から半導体へ
侵入した超伝導状態の侵入長程度の領域でスイッチング
動作を実行する。その結果、2つの超伝導体間の距離を
上記の侵入長程度にし、かつ、その間で半導体のキャリ
ア濃度を制御していた。
半導体内のキャリア濃度の制御は、半導体に電界を印
加した電界効果を使う場合と、PN接合を使う場合とが考
えられている。いずれの場合も、ゲート電極は、半導体
基板表面に対して超伝導電極と同じ側にあっても反対側
にあってもよい。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述の従来の超伝導素子の超伝導状態の侵入長は通常
の半導体を用いた場合0.1μm以下であり、ゲート電極
を半導体基板表面に対して超伝導電極と同じ側に設ける
場合には、0.1μm程度の間隔の超伝導電極間にこれを
設けなければならず、現在の微細加工技術では非常に困
難であった。
また、ゲート電極を半導体基板表面に対して超伝導電
極の反対側に設ける場合には、素子の集積化に必要なプ
レーナー構造を実現できなかった。
本発明の目的は、従来技術でも充分余裕のある微細加
工技術を適用してプレーナー構造を実現することが可能
な超伝導体−半導体結合素子およびその製造方法を提供
することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の超伝導素子は、超伝導体と半導体とにより構
成され、半導体基板の表面の所定領域に設けられた凹部
に第1の超伝導電極が埋め込まれて平坦化され、凹部の
上端部から所定間隔を介して半導体基板の表面上に第2
の超伝導電極が設けられ、第1の超伝導電極上の一部,
第2の超伝導電極上の一部,並びに前記所定間隔上を含
めた領域に絶縁層が設けられ、絶縁層上における少なく
とも前記所定間隔上を含めた領域にゲート電極が設けら
れている。
また、本発明の超伝導素子の製造方法は、半導体基板
の表面の所定領域に凹部を設ける工程と、凹部を含む半
導体基板の全面に超伝導体膜を堆積する工程と、全面に
塗布膜を塗布して凹部の領域以外の超伝導体膜表面の膜
厚が所定の値となるまでエッチバックする工程と、第2
の超伝導電極の形状に対応した形状を有するフォトレジ
スト膜を形成してエッチバックすることにより第1の超
伝導電極および第2の超伝導電極を形成する工程と、絶
縁層を形成する工程と、絶縁層上にゲート電極を形成す
る工程とを有している。
〔作用〕
本発明の超伝導素子の構造は、半導体基板表面の一部
に埋め込まれた第1の超伝導電極と半導体基板表面に設
けられた第2の超伝導電極とは半導体基板表面において
分離されている。更に、第1の超伝導電極上の一部,第
2の超伝導電極上の一部,並びに第1の超伝導電極と第
2の超伝導電極とを隔てている部分の半導体基板表面は
絶縁層で被覆されており、絶縁層上に設けられたゲート
電極と半導体基板および第1,第2の超伝導電極とは電気
的に絶縁されている。
従って、ゲート電極に電圧を印加することにより生ず
る電界効果により、第1および第2の超伝導電極の間の
半導体基板内のキャリア濃度を制御することができる。
その結果、第1および第2の超伝導電極の間の超伝導状
態が制御され、これにより第1および第2の超伝導電極
の連結される状態,連結が切断される状態を作りだすこ
とができる。
本発明の超伝導素子の構造においては、第1の超伝導
電極とは独立に第1および第2の超伝導電極の間の所定
間隔(すなわち、電界効果による超伝導状態を形成,抑
制する領域の幅)を設定することが可能であり、また、
ゲート電極の形成に特殊な微細加工技術を要することな
しにプレーナー構造を実現している。
次に、本発明の超伝導素子の製造方法は、半導体基板
表面の所定領域に所定深さの凹部を形成し、全面に凹部
の深さより膜厚の厚い超伝導膜を堆積し、全面に塗布膜
を塗布し、凹部以外の領域における超伝導膜の膜厚が凹
部の深さに等しくなるまでエッチバックを行ない、第2
の超伝導電極の形状に対応した形状を有するフォトレジ
スト膜を形成してエッチバックすることにより第1の超
伝導電極および第2の超伝導電極を形成し、絶縁層を形
成し、絶縁層上にゲート電極を形成する。第1,第2の超
伝導電極の間隔が0.1μm程度でも上述のフォトレジス
ト膜の形成は容易であり、第1,第2の超伝導電極の間の
溝が形成されていないためゲート電極の形成には何ら支
障を来たさない。
〔実施例〕
次に本発明について図面を参照して説明する。
第1図は本発明の一実施例の超伝導素子の構造を示す
断面図である。
例えばシリコンに5×1025m-3の濃度の砒素をドープ
した半導体基板1の表面の所定領域に形成された深さ20
0nmの凹部に、この深さと同じ膜厚の例えばニオブが埋
め込まれて第1の超伝導電極5が設けられる。この凹部
は、3μm×5μmの大きさとした。この凹部の上端部
から0.1μm離れた半導体基板1の表面上に膜厚200nmの
ニオブからなる第2の超伝導電極6が配置される。この
0.1μmの間隔が、第1の超伝導電極5と第2の超伝導
電極6との所定間隔となる。少なくとも第1の超伝導電
極5の表面上の一部,少なくとも第2の超伝導電極6の
表面上の一部,並びに第1の超伝導電極5と第2の超伝
導電極6との所定間隔を形成する領域の半導体基板1表
面上を含む領域に、例えば膜厚10nmの2酸化シリコンか
らなる絶縁層7が配置される。少なくとも第1の超伝導
電極5と第2の超伝導電極6との所定間隔を形成する領
域の半導体基板1表面上を含む絶縁層7上に、例えばア
ルミニウムを用いたゲート電極8が設けられている。
第2図(a)〜(e)は本発明の一実施例の製造方法
を説明するための工程順の断面図である。
シリコンに5×1025m-3の濃度の砒素をドープした半
導体基板1の表面の所定領域に、イオンミーリング法に
より深さ200nm,大きさ3μm×5μmの凹部を形成し、
続いて、ニオブからなる膜厚300nmの超伝導膜2をスパ
ッタリング法により堆積する。次に、膜厚が少なくとも
100nm以上のSOG(スピン オン グラス)からなる塗布
膜3を塗布し、表面を平坦にする〔第2図(a)〕。
本実施例では塗布膜3としてSOGを採用したが、SOGの
他にフォトレジスト膜,ポリイミド膜等を用いてもよ
い。
次に、凹部以外での超伝導膜2の膜厚が、凹部の深さ
(200nm)に等しくなるまでエッチバックする〔第2図
(b)〕。このとき、凹部における超伝導膜2の膜厚と
残留した塗布膜3の膜厚との和は、凹部の深さの2倍の
値になる。
次に、第2の超伝導電極の形成予定領域に、フォトレ
ジスト膜4によるパターンを形成する〔第2図
(c)〕。このとき、フォトレジスト膜4端部と凹部上
端部との水平間距離が、第2の超伝導電極と第1の超伝
導電極との間隔(0.1μm)を規定することになる。フ
ォトレジスト膜4の形成は、EB(エレクトロン ビー
ム)あるいはX線露光技術を用いる。
続いて、フォトレジスト膜4が完全に除去されるまで
エッチバックを行なうことにより、超伝導膜2からなる
膜厚200nmの第1の超伝導電極5が凹部に平坦に埋め込
まれた形状で形成され、超伝導膜2からなる膜厚200nm
の第2の超伝導電極6が第1の超伝導電極5から0.1μ
mの間隔を隔てて半導体基板1の表面上に形成される
〔第2図(d)〕。
更に、第1の超伝導電極5と第2の超伝導電極6との
間を含めた領域に例えばCVD法により堆積した膜厚10nm
の2酸化シリコンからなる絶縁層7を形成し、絶縁層7
上の第1の超伝導電極5と第2の超伝導電極6との間を
含む領域にアルミニウムからなるゲート電極8を形成す
る〔第2図(e)〕。
なお、本実施例では超伝導膜にニオブ,半導体基板に
シリコンを用いたが、本発明の主旨はこれらの材料に限
定されず、超伝導膜としては鉛,窒化ニオブ,イットリ
ウム系超伝導材料,バリウム系超伝導材料,タリウム系
超伝導材料などが、半導体基板としてはInAs,InGaAs,Ge
等の半導体材料が適用できる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明の超伝導素子およびその製
造方法は、超伝導電極間における半導体基板に超伝導状
態を発生させる領域の構造,およびゲート電極の構造が
従来のように複雑な,かつ微細な構造を必要とせず、プ
レーナー構造を実現できる。また、用いる製造プロセス
もプロセス余裕度の向上の困難な微細加工技術は不要で
あることから、大きなプロセス余裕度を持って製造する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の超伝導素子の構造を示す断
面図、第2図(a)〜(e)は本発明の一実施例の製造
方法を説明するための工程順の断面図である。 1……半導体基板、2……超伝導膜、3……塗布膜、4
……フォトレジスト膜、5……第1の超伝導電極、6…
…第2の超伝導電極、7……絶縁層、8……ゲート電
極。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板表面の所定領域に設けられた凹
    部に埋め込まれて平坦化された第1の超伝導電極と、前
    記半導体基板の表面上で前記第1の超伝導電極と前記凹
    部の上端部から所定の間隔を隔て相対する第2の超伝導
    電極と、前記第1の超電導電極から前記第2の超電導電
    極に延在し、少なくとも前記第1の超電導電極および前
    記第2の超電導電極の一部を覆う絶縁膜と、少なくとも
    前記所定の間隔上に形成された前記絶縁層上に形成され
    たゲート電極を有することを特徴とする超伝導素子。
  2. 【請求項2】請求項1記載の超伝導素子において、前記
    半導体基板の表面の所定領域に前記凹部を設ける工程
    と、前記凹部を含む前記半導体基板の全面に超伝導体膜
    を堆積する工程と、全面に塗布膜を塗布して前記凹部の
    領域以外の前記超伝導体膜の膜厚が所定の値になるまで
    エッチバックする工程と、前記第2の超伝導電極の形状
    に対応した形状を有するフォトレジスト膜を形成してエ
    ッチバックすることにより前記第1の超伝導電極および
    前記第2の超伝導電極を形成する工程と、前記絶縁膜上
    に前記ゲート電極を形成する工程とを有することを特徴
    とする超伝導素子の製造方法。
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