JP2969100B2 - 透水性ブロック - Google Patents

透水性ブロック

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JP2969100B2
JP2969100B2 JP1041998A JP1041998A JP2969100B2 JP 2969100 B2 JP2969100 B2 JP 2969100B2 JP 1041998 A JP1041998 A JP 1041998A JP 1041998 A JP1041998 A JP 1041998A JP 2969100 B2 JP2969100 B2 JP 2969100B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、降雨時における表
面水の吸水機能を有し、舗装材等として使用される透水
性ブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、特に市街地の道路などにおける降
雨時の表面水を効率よく吸収して排出するために、連続
気孔を有するアスファルトやブロックなど、透水性を有
するブロックが舗装材として使用されるようになった。
このような透水性ブロックによると、舗装表面の水が連
続気孔を通じて速やかに吸水され、表面の水たまりなど
を効果的に防ぐことができる。
【0003】このような透水性ブロックとして、実公平
4−37921号公報および特開平5−24955号公
報に記載のものがある。実公平4−37921号公報に
記載の透水性ブロックは、多数の小粒径骨材を結合材に
より個化して空隙率20〜80%の連続気孔を有する板
状体とし、この板状体の表面を骨材も含め切削研磨して
平滑としたものである。この透水性ブロックによれば、
透水性が良好であるとともに、表面が切削研磨されてい
るので、研磨面が光沢を有し、美観に優れるとされてい
る。
【0004】また特開平5−24955号公報に記載の
透水性ブロックは、骨材とバインダとしてのセメントを
主要材料とし、これを混合攪拌したブロック材料を成形
型内に充填して成形した透水性ブロックであり、脱型後
の硬化したブロックの表面を研磨したものである。この
透水性ブロックによれば、表面が研磨されているので、
骨材から遊離した状態のセメント分が内在している部分
が除去され、残部でブロックが形成されているので、ブ
ロックの透水性能を安定的に維持することができるとさ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、実公平4−
37921号公報に記載の透水性ブロックにおいては、
バインダとしてエポキシ系樹脂、ポリエスエテル系樹
脂、アクリル系樹脂、セメント等が用いられているが、
樹脂系のバインダに比べ、セメントは経済性には優れる
ものの、骨材どうしの接合強度に劣り、空隙率が20〜
80%では、製品として充分な強度を確保するのが困難
である。
【0006】また、特開平5−24955号公報に記載
の透水性ブロックにおいては、表層部材料と下層部材料
とで、粒径の異なる砕石を用いているため、表層部下面
と下層部上面との間に境界面が生じやすく、これが硬化
時あるいは後に施す表面加工処理の際の表層部分の剥離
の原因となる。
【0007】さらに、上記公報に記載の透水性ブロック
は、いずれも表面を切削研磨したものであるので、外観
が良いという利点はあるものの、研磨作業に手間を要
し、コスト高になることは避けられない。また、研磨時
の削り粉などが骨材の間に詰まって透水性を低下させる
原因ともなる。さらに、舗装材として使用された場合、
雨天時に表面が濡れたときに滑りやすくなるという欠点
がある。
【0008】本発明が解決すべき課題は、バインダとし
てセメントを用いた透水性ブロックにおいて、十分な強
度を確保したうえで、透水性を向上させ、かつ舗装材と
して使用されたときの滑り止め効果を高めることにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の透水性ブロック
は、骨材として粒径範囲が2.5〜5mmの砕石を用
い、バインダとしてセメントを用いて連続空隙率が10
〜20%の範囲に成形したブロック体の、表層の未凝固
のセメントをブラシで除去して表面に凹凸を形成させ
とともに、エア吹き付けによるセメント除去を施した透
水性ブロックである。ブロックの形状は、例えば、20
〜100mm程度の厚みを有し、縦300mm程度、横
300mm程度のものが好適に使用される。
【0010】本発明の透水性ブロックにおいては、ブロ
ック体を表層部と基層部の二層にする場合でも、二層の
砕石の粒径範囲を2.5〜5mmとすることによって、
型枠に打設する時点で表層部と基層部との境界が出来に
くくなり、この境界からの分離を少なくすることができ
る。
【0011】また、連続空隙率を10〜20%とするこ
とによって、接合強度に劣るセメントをバインダとして
用いた場合にも、所定の強度を維持し、かつ透水性に優
れた透水性ブロックとなる。連続空隙率が10%未満で
あると舗装材として使用した場合、目詰まりが発生しや
すく、長期間にわたって所定の吸水効果を維持すること
ができず、また連続空隙率が20%を超えると、舗装材
としての強度が不足する。
【0012】さらに、成形したブロック体の、表層の未
凝固のセメントをブラシで除去することによって、表層
は砕石が露出して表面に凹凸が形成されるとともに、砕
石どうしの間にセメントが残留していないので、透水性
が向上し、かつ、舗装材として使用した場合、雨天のと
きでも滑りにくくなる。
【0013】前記のセメント除去は、回転ブラシを用い
ることによって機械的にセメントを除去することができ
る。ブラシは適度の弾性を有しているので、砕石を脱落
させることなく、セメントのみを除去することができ
る。
【0014】ここで、セメント除去に先立って、型成形
し脱型した後のブロック体の表層にセメントの凝固を遅
延させる遅延剤を被覆することができる。遅延剤を被覆
しなくてもセメントの除去は可能ではあるが、表層に遅
延剤を被覆しておけば、内部のセメントは凝固し、表層
のセメントのみが未凝固の状態でセメント除去作業がで
きるので、作業が行いやすくなる。
【0015】また、セメント除去に、ブロック体に対し
てエアを吹き付けて、エア自体でセメントを除去すると
ともに、ブラシで除去したセメントが砕石の間に詰まら
ないようにすることが、透水性の確保に効果的である。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は本発明の透水性ブロックを
示す断面図、図2は同じく斜視図である。本実施形態の
透水性ブロックは、ブロック体を表層部と基層部の二層
により形成したものである。
【0017】図1および図2において、10は平板状の
透水性ブロックで、表層部aと基層部bの二層構造であ
り、表層部aの骨材として粒径範囲が2.5〜5mmの
種石(御影石)を使用し、また基層部bの骨材として粒
径範囲が2.5〜5mmの一般の砕石を使用している。
表層部a及び基層部bとも、バインダとして普通ポルト
ランドセメントを、骨材の20〜30重量%、また水を
同様に7〜9重量%使用している。
【0018】これによって表層部a及び基層部bとも、
連続空隙率が10〜20%の範囲となるように成形して
いる。表層部aの表面(上面)は、後述するように、ブ
ラシを用いた洗い出し処理が施されている。また、平板
状の透水性ブロック10の角部10aは欠けが生じやす
いため、図2の部分拡大図に示すように、面取りを施し
ている。透水性ブロック10の寸法は、厚みLは60m
mで、表層部aの厚みl1 は10mm、基層部bの厚み
l2 は50mmである。
【0019】図3は上記透水性ブロック10の製造工程
を示すフロー図で、同図に示すように、表層部と基層部
の材料をそれぞれ配合し、まず型枠に基層部のコンクリ
ートを規定量打設する。その後、微振動をかけて基層コ
ンクリートを型枠内に充填し、表面をほぼ平坦にして、
基層部を形成する。次にその上から表層部のコンクリー
トを規定量打設し、その上から約80Kgの力を加えプ
レス成形する。プレス成形後、ブロック体を脱型し、表
層部の表面に遅延剤を被覆する。この遅延剤は、セメン
トの凝固を遅延させるためのもので、たとえば、有限会
社フォセコ・ジャパン・リミテッド製のプレコエクスポ
ザール(商品名)を使用する。
【0020】表層部の表面に遅延剤を被覆した状態で約
12時間養生し、表層部表面のセメント以外のセメント
が凝固した時点で、表面の洗い出しを行う。洗い出し
は、回転ブラシを用いて表面の未凝固のセメントを機械
的に除去する。図4は本実施形態において用いた回転ブ
ラシを示す図で、同図の(a)は平面図、(b)は底面
図、(c)は側面図である。
【0021】回転ブラシ20は、平面形状が概略ロ字形
のフレーム21に合成樹脂製植毛22を取り付けたもの
であり、この回転ブラシ20を回転機械に装着し、回転
ブラシ20とブロック体を相対的に移動させながら洗い
出しを行う。この洗い出し作業中に、ブロックの上下方
向からエアを吹き付けて、エア自体によるセメントの除
去とともに、回転ブラシ20により表層から除去された
セメントが骨材どうしの間に詰まらないようにする。
【0022】この洗い出しにより、ブロック体表層部a
の表面の未凝固セメントが除去され、図1に示すよう
に、表面は骨材が露出した凹凸状態となる。これによ
り、透水性が高く、かつ、舗装材として使用した場合、
雨天のときでも滑りにくい透水性ブロック製品が得られ
る。
【0023】〔実験例〕表層部と基層部とに使用する骨
材の粒径および連続空隙率と透水性ブロックの特性との
関係について実験を行った結果を、図5および図6に示
す。供試材の表層部の材料配合は、骨材100重量部に
対してセメント30重量部、水9重量部であり、基層部
の配合は、骨材100重量部に対してセメント23重量
部、水7重量部である。供試材の厚みは60mmで、表
層部の厚みは10mm、基層部の厚みは50mmであ
る。
【0024】図5は骨材の粒径別の連続空隙率と圧縮強
度との関係を示すグラフであり、図6は骨材の粒径別の
連続空隙率と透水係数との関係を示すグラフである。
【0025】図5に示すように、粒径2.5〜5mmの
骨材(7号砕石に相当)は、粒径5mm以上の骨材(6
号砕石、5号砕石に相当)に比べて全般的に圧縮強度が
高く、とくに連続空隙率が10〜20%の範囲において
その差が大きい。圧縮強度は、連続空隙率が大きくなる
ほど低下するが、粒径2.5〜5mmの骨材の場合は、
連続空隙率が20%のときの圧縮強度が約22N/mm
2 で、舗装用コンクリート平板として要求される最低曲
げ強度12KN(厚さ60mm)を満足し、かつ境界層
の剥離の発生を防止するに十分な結合力を保持してい
る。
【0026】これに対し、粒径5mm以上の骨材は、連
続空隙率が10〜20%の範囲の粒径2.5〜5mmの
骨材と同等な圧縮強度を得るためには、連続空隙率を1
5%以下にしなければならないが、大きい粒径で低い空
隙率を得ることは容易ではないので、粒径5mm以上の
骨材は本発明の透水性ブロックの材料として適していな
いことがわかる。
【0027】また図6に示すように、粒径2.5〜5m
mの骨材は、粒径5mm以上の骨材に比べて連続空隙率
の変化にかかわらず透水係数に大きな差がなく、安定し
ており、製品の空隙率にある程度のばらつきがあった場
合でも、舗装面全体に均一かつ良好な透水機能をもつ透
水性ブロックを得ることができる。また、社団法人日本
道路協会の透水性舗装材の規格による透水係数1.0×
10-2cm/s以上を十分に満足する。
【0028】以上のことから、骨材の粒径が2.5〜5
mmの範囲内であれば、結束力と透水係数が最良の状態
となり、十分な強度、つまり、骨材どうしの強固な結束
力を有するので、骨材の剥離がなく、かつ良好な透水機
能をもち、強度と透水係数のバランスの良い透水性ブロ
ックを得ることができる。
【0029】
【発明の効果】本発明によって以下の効果を奏すること
ができる。
【0030】(1)骨材の粒径範囲を2.5〜5mmと
し、連続空隙率を10〜20%とすることによって、所
定の強度と透水性を維持することができ、さらに表層の
未凝固のセメントをブラシで除去して表面に凹凸を形成
させることにより、透水性が高く、かつ、舗装材として
使用した場合、雨天のときでも滑りにくい透水性ブロッ
ク製品を得ることができる。
【0031】(2)ブラシによるセメント除去とともに
エア吹き付けによるセメント除去を施すことにより、ブ
ラシで除去したセメントが砕石の間に詰まることがな
く、良好な透水性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の透水性ブロックを示す断
面図である。
【図2】 図1に示す透水性ブロックの斜視図である。
【図3】 透水性ブロックの製造工程を示すフロー図で
ある。
【図4】 実施形態において用いた回転ブラシを示す図
である。
【図5】 骨材の粒径および連続空隙率と圧縮強度との
関係を示すグラフである。
【図6】 骨材の粒径および連続空隙率と透水係数との
関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 透水性ブロック 20 回転ブラシ 21 フレーム 22 合成樹脂製植毛 a 表層部 b 基層部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 骨材として粒径範囲が2.5〜5mmの
    砕石を用い、バインダとしてセメントを用いて連続空隙
    率が10〜20%の範囲に成形したブロック体の、表層
    の未凝固のセメントをブラシで除去して表面に凹凸を形
    成させるとともに、エア吹き付けによるセメント除去を
    施した透水性ブロック。
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