JP2966512B2 - スピーカの製造方法 - Google Patents

スピーカの製造方法

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【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は、スピーカの製造方法に関する。
(ロ) 従来の技術 従来のスピーカにおいて、第4図に示すように、ボイ
スコイル1が巻回されたボイスコイルボビン2が、セン
ターポール3と、マグネット4の上部に設置されたトッ
ププレート5との間に形成された磁気ギャップ6に挿入
され、その状態でボイスボビン2とコーン紙から成る振
動板7とダストプルーフ8とを接着する接着個所9には
主に溶剤溶液型が使用されている。また、上記の個所の
接着にアクリル系2液混合型接着剤を使用することも多
くなった。更に、エポキシ樹脂系接着剤を用いることが
近年試みられている。なお、第4図に示すスピーカは、
ボイスコイルボビン2に錦糸線10を取り付けた直接リー
ド方式である。そしてダンパ11とボイスコイルボビン2
を接着する接着個所12には溶剤溶液型接着剤を用いてい
る。
ここで、近年のコンパクトディスクなどのデジタルソ
ースの急速な普及により、スピーカへの音質向上の要求
は一段と強まっている。特に音のキメ細かさ、音の解像
度に関する改良が急がれているが、上記接着個所9は振
動する部分であるため剛性の高い接着が要求されてお
り、接着剤の硬化後の接着剤硬度(ショアかたさ)はエ
ポキシ樹脂系が約80〜85、アクリル系2液混合型が約60
〜65であり、溶剤溶液型は柔らかいため測定不能であ
る。よって、音質向上にとってはエポキシ樹脂系接着剤
が一番望ましい。
(ハ) 発明が解決しようとする課題 スピーカの製造方法としては、第4図に示すようにス
ペーサゲージ13を磁気ギャップ6に挿入し、ボイスコイ
ルボビン2とダンパ11及び振動板7を接着し、接着が完
了した後スペーサゲージ13を抜き取り、ダストプルーフ
8の接着等の工程に進む。従って、ボイスコイルボビン
2と振動板7とダストプルーフ8の間の接着にエポキシ
樹脂系の接着剤を用いようとすればボイスコイルボビン
2と振動板7の間に接着剤を塗布し、接着剤が硬化後、
スペーサゲージ13を抜き取りボイスコイルボビンとダス
トプルーフ8間に再度塗布する必要がある。更に、エポ
キシ樹脂系接着剤は固形分が約100%、乾燥時間が常温
で約1日と長いので振動系の重量増加に伴う特性劣化や
工程が複雑になり、また、接着剤の乾燥のためにスピー
カの完成までに常温で2日かかり生産性が悪いと言った
問題があった。更に、エポキシ樹脂系接着剤は一般に硬
化後には無色透明となるのでスピーカの完成後、ボイス
コイルボビンが見える場合があり、外観商品の場合には
問題になる。
(ニ) 課題を解決するための手段 本発明は上記欠点に鑑み為されたもので、ボイスコイ
ルボビンと振動板とを接着する接着面の全域、または前
記振動板の裏面と前記ボイスコイルボビンの接着面の全
域または一部に溶剤溶液型接着剤を塗布し、前記ボイス
コイルボビンと前記振動板を接着し、前記溶剤溶液型接
着が乾燥した後、エポキシ樹脂系接着剤を前記ボイスコ
イルボビンと前記振動板を接着する前記接着面の全域に
塗布し、前記ボイスコイルボビンと前記振動板を完全に
接着すると共に、当該エポキシ樹脂系接着剤にてダスト
プルーフも同時に接着することによりスピーカを製造す
る。
(ホ) 作用 本発明によれば、ボイスコイルボビンと振動板が強固
に接着されるため、キメ細かく、解像度の高い音の再生
ができる。
(ヘ) 実施例 本発明の実施例を図面を用いて説明する。また、従来
技術と同一部品には同一符号を付し説明を省略する。第
1図は本発明の第1実施例を製造方法を説明するための
図である。第1実施例はボイスコイルボビン2に錦糸線
10を取り付けた直接リード方式のスピーカに適用した例
であり、ダンパ11と振動板7のボイスコイルボビン2に
対する取り付け位置の間隔が広くなっているスピーカに
も適用できる。まず第1図(a)に示すようにスペーサ
ゲージ13を磁気ギャップ6に挿入した状態で、ボイスコ
イルボビン2とダンパ11間に溶剤溶液型接着剤14を塗布
し、コーン紙により形成されている振動板7をボイスコ
イルボビン2に挿入後、振動板7とボイスコイルボビン
2間の全周に溶剤溶液型接着剤15を塗布する。次に、第
1図(b)に示すように溶剤溶液型接着剤14,15が、乾
燥した後(通常、常温で4〜5時間以上)、スペーサゲ
ージ13を抜き取り、ボイスコイルボビン2と振動板7間
の全周にエポキシ樹脂系接着剤16を塗布する。塗布後、
第1図(c)に示すようにエポキシ樹脂系接着剤16が乾
燥する前に、ダストプルーフ8をボイスコイルボビン2
が覆われるようにボイスコイルボビン2に取り付ける。
その後、乾燥工程に移行する。
なお、上記第1実施例において、溶剤溶液型接着剤と
しては黒色に着色されたクロロプレンゴム系を使用し、
エポキシ樹脂系接着剤としては常温硬化二液型のもの
で、硬化剤の主成分としてポリアミドのものを使用して
いる。
次に、第2図を用いて第2実施例を説明する。第2実
施例はダンパ11と振動板7がボイスコイルボビン2の取
り付位置の間隔が殆どないスピーカに適用した例であ
る。第2図(a)に示されているようにスペーサゲージ
13を磁気ギャップ6に挿入した状態でボイスコイルボビ
ン2とダンパ11を接着するために第1実施例と同じく溶
剤溶液型接着剤14をボイスコイルボビン2とダンパ11の
あいだに塗布し、直ちに振動板7をボイスコイルボビン
2に挿入する。ここで、ボイスコイルボビン2とダンパ
11の間に塗布された溶剤溶液型接着剤14は毛細管現象に
より上昇し振動板7とボイスコイルボビン2の間に浸透
する。溶剤溶液型接着剤14が乾燥した後、第2図(b)
に示すようにスペーサゲージ13を抜き取り、振動板7と
ボイスコイルボビン2の間にエポキシ樹脂系接着剤16を
塗布する。次の工程からは第1実施例と同様にダストプ
ルーフ8を取り付け、乾燥工程に移行する。
更に、第3実施例を第3図を用いて説明する。第3実
施例は直接リード方式のスピーカやダンパと振動板が広
く離れてボイスコイルボビンに取り付けられているスピ
ーカに適用した例である。まず、第3図(a)に示され
ているようにスペーサゲージ13により磁気ギャップ6内
に正しく保持されているボイスコイルボビン2と、ダン
パ11の間に溶剤溶液型接着剤14を塗布し、ボイスコイル
ボビン2の錦糸線10の上部に溶剤溶液型接着剤15を全周
または一部に塗布し、振動板7をボイスコイルボビン2
に挿入する。次に第3図(b)に示されているように、
溶剤溶液型接着剤14,15の乾燥後、スペーサゲージ13を
抜き取り、ボイスコイルボビン2と振動板7の間の全周
にエポキシ樹脂系接着剤16を塗布し、ダストプルーフ8
をボイスコイルボビン2にエポキシ樹脂系接着剤16が乾
燥する前にボイスコイルボビン2が覆われるように取り
付け、乾燥工程に移行する。
なお、上記3つの実施例において使用するエポキシ樹
脂系接着剤として、速乾タイプ(硬化剤にポリチオール
を主成分としたもの)を使用してもよい。
(ト) 発明の効果 以上のように本発明によれば、乾燥時間の短い溶剤溶
液型接着剤を用いてボイスコイルボビンと振動板を接着
した後、接着剤硬度の大きいエポキシ樹脂系接着剤を用
いてボイスコイルボビンと振動板を完全に接着する際
に、同時にダストプルーフも接着することによって、2
回の接着工程における乾燥時間の短縮が図れると共に、
大きな接着剤硬度を得ることができるので、音質の優れ
たスピーカの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図から第3図は本発明の実施例を説明するための図
であり、第1図は第1実施例を説明するための断面図、
第2図は第2実施例を説明するための断面図、第3図は
第3実施例を示すための断面図であり、第4図は従来技
術を説明するための図である。 2……ボイスコイルボビン、7……振動板、8……ダス
トプルーフ、14,15……溶剤溶液型接着剤、16……エポ
キシ樹脂系接着剤。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ボイスコイルボビンと振動板とを接着する
    接着面の全域、または前記振動板の裏面と前記ボイスコ
    イルボビンの接着面の全域または一部に溶剤溶液型接着
    剤を塗布し、前記ボイスコイルボビンと前記振動板を接
    着し、前記溶剤溶液型接着が乾燥した後、エポキシ樹脂
    系接着剤を前記ボイスコイルボビンと前記振動板を接着
    する前記接着面の全域に塗布し、前記ボイスコイルボビ
    ンと前記振動板を完全に接着すると共に、当該エポキシ
    樹脂系接着剤にてダストプルーフも同時に接着すること
    を特徴とするスピーカの製造方法。
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