JP2965090B2 - プレス加工性およびリン酸塩処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
プレス加工性およびリン酸塩処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用防錆鋼板とし
て好適な、プレス加工性およびリン酸塩処理性に優れた
亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法に関するものであ
る。
て好適な、プレス加工性およびリン酸塩処理性に優れた
亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、家電などの分野で高耐食
性を有する表面処理鋼板が強く求められている。この要
求に対して、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、さらにZn−Niめっき
鋼板などの合金電気めっき鋼板が開発され、さらに実用
化が進んでいる。
性を有する表面処理鋼板が強く求められている。この要
求に対して、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、さらにZn−Niめっき
鋼板などの合金電気めっき鋼板が開発され、さらに実用
化が進んでいる。
【0003】これら高耐食性を有する亜鉛系めっき鋼板
を自動車用鋼板として使用する場合、自動車製造工程に
おいて要求されるプレス加工性、溶接性、化成処理性な
どの諸性能は、従来使用されてきた冷延鋼板と同等また
はそれ以上のレベルであることが要求される。
を自動車用鋼板として使用する場合、自動車製造工程に
おいて要求されるプレス加工性、溶接性、化成処理性な
どの諸性能は、従来使用されてきた冷延鋼板と同等また
はそれ以上のレベルであることが要求される。
【0004】ところが、これら亜鉛系めっき鋼板のプレ
ス加工性を調査したところ、亜鉛系めっき鋼板は、冷延
鋼板に比べてプレス加工時の金型とめっき鋼板との摺動
抵抗が大きく、このため、従来使用されてきた冷延鋼板
に比べてプレス加工性が劣るということが明らかになっ
た。
ス加工性を調査したところ、亜鉛系めっき鋼板は、冷延
鋼板に比べてプレス加工時の金型とめっき鋼板との摺動
抵抗が大きく、このため、従来使用されてきた冷延鋼板
に比べてプレス加工性が劣るということが明らかになっ
た。
【0005】この摺動抵抗が大であると、プレス加工時
に鋼板を固定するためのプレス金型のビード部などの摺
動を激しく受ける箇所では、鋼板のスムーズな流入が妨
げられ、極端な場合、鋼板が破断することがある。プレ
ス加工における適正クッション圧(鋼板にシワが発生せ
ずかつ破断が生じないクッション圧の範囲)を亜鉛系め
っき鋼板と冷延鋼板とで比較すると、亜鉛系めっき鋼板
の適正クッション圧は冷延鋼板に比べて著しく範囲が狭
いために、生産性が悪くなるので、亜鉛系めっき鋼板の
摺動性の改善が強く望まれている。
に鋼板を固定するためのプレス金型のビード部などの摺
動を激しく受ける箇所では、鋼板のスムーズな流入が妨
げられ、極端な場合、鋼板が破断することがある。プレ
ス加工における適正クッション圧(鋼板にシワが発生せ
ずかつ破断が生じないクッション圧の範囲)を亜鉛系め
っき鋼板と冷延鋼板とで比較すると、亜鉛系めっき鋼板
の適正クッション圧は冷延鋼板に比べて著しく範囲が狭
いために、生産性が悪くなるので、亜鉛系めっき鋼板の
摺動性の改善が強く望まれている。
【0006】亜鉛系めっき鋼板の摺動性が悪いのは、亜
鉛および亜鉛合金が低融点で、しかも、他の金属、特に
プレス金型に多用されている鋳鉄などとの親和力が強
く、金型に凝着しやすい性質を有することに起因すると
考えられる。
鉛および亜鉛合金が低融点で、しかも、他の金属、特に
プレス金型に多用されている鋳鉄などとの親和力が強
く、金型に凝着しやすい性質を有することに起因すると
考えられる。
【0007】プレス加工時の摺動性は、金型と直接接触
するめっき表面の物性により大きく影響を受けるので、
めっき表層を亜鉛めっき以外のもの、例えば有機高分子
皮膜などで被覆し、めっき表層と金型との直接接触を避
け、潤滑性を与えることにより摺動性を改善する試みが
なされている。
するめっき表面の物性により大きく影響を受けるので、
めっき表層を亜鉛めっき以外のもの、例えば有機高分子
皮膜などで被覆し、めっき表層と金型との直接接触を避
け、潤滑性を与えることにより摺動性を改善する試みが
なされている。
【0008】鋼板表面の摺動性を良好にすることでその
加工性を向上せしめるものとしては、例えば特公昭61
−26600号に開示されているように、所定の有機高
分子皮膜を鋼板表面に形成させる技術がある。さらに、
潤滑処理鋼板としては、例えば金属石鹸、高級脂肪酸ワ
ックスなどを主成分とした皮膜で表面を被覆したものな
どが提案されている。
加工性を向上せしめるものとしては、例えば特公昭61
−26600号に開示されているように、所定の有機高
分子皮膜を鋼板表面に形成させる技術がある。さらに、
潤滑処理鋼板としては、例えば金属石鹸、高級脂肪酸ワ
ックスなどを主成分とした皮膜で表面を被覆したものな
どが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしこれらの有機系
皮膜を有する鋼板には以下のような問題点がある。
皮膜を有する鋼板には以下のような問題点がある。
【0010】通常亜鉛系めっき鋼板を自動車用鋼板とし
て使用する場合は、プレス加工後塗装前処理としてリン
酸塩処理を施すが、前記有機系皮膜が、リン酸塩処理の
前処理のアルカリ脱脂で完全に溶解除去されないまま、
亜鉛系めっき鋼板上に一部残存する。このためリン酸塩
処理時の正常な亜鉛または亜鉛合金のリン酸塩結晶の生
成が阻害される。この結果、塗膜の密着性が低下し、こ
れが、塗装後の耐食性を劣化させる要因となる。
て使用する場合は、プレス加工後塗装前処理としてリン
酸塩処理を施すが、前記有機系皮膜が、リン酸塩処理の
前処理のアルカリ脱脂で完全に溶解除去されないまま、
亜鉛系めっき鋼板上に一部残存する。このためリン酸塩
処理時の正常な亜鉛または亜鉛合金のリン酸塩結晶の生
成が阻害される。この結果、塗膜の密着性が低下し、こ
れが、塗装後の耐食性を劣化させる要因となる。
【0011】また、特開平1−172578号には、亜
鉛系めっき上にホウ素、リン、ケイ素、セレン、アンチ
モンおよびテルルから選ばれた1種または2種以上の半
金属の酸化物の無水アルカリ金属塩を生成させることに
よりプレス加工時の摺動性を向上させるという技術が開
示されている。しかし、この技術も前記半金属の酸化物
のアルカリ金属塩が無水結晶であるため、その溶解性は
含水結晶の溶解性に比べて著しく劣るため、リン酸塩処
理の前処理のアルカリ脱脂で皮膜が完全に溶解除去しき
れずに一部鋼板上に残存し、前述した問題点が生じてい
た。
鉛系めっき上にホウ素、リン、ケイ素、セレン、アンチ
モンおよびテルルから選ばれた1種または2種以上の半
金属の酸化物の無水アルカリ金属塩を生成させることに
よりプレス加工時の摺動性を向上させるという技術が開
示されている。しかし、この技術も前記半金属の酸化物
のアルカリ金属塩が無水結晶であるため、その溶解性は
含水結晶の溶解性に比べて著しく劣るため、リン酸塩処
理の前処理のアルカリ脱脂で皮膜が完全に溶解除去しき
れずに一部鋼板上に残存し、前述した問題点が生じてい
た。
【0012】本発明は、亜鉛系めっき鋼板の摺動性を向
上させ、かつ、リン酸塩処理性を損なうことなくプレス
加工性が著しく改善された亜鉛系めっき鋼板およびその
製造方法を提供することを目的とする。
上させ、かつ、リン酸塩処理性を損なうことなくプレス
加工性が著しく改善された亜鉛系めっき鋼板およびその
製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、亜鉛系め
っき鋼板の摩擦係数とプレス加工性との関係について検
討した。その結果、プレス加工性に優れる通常の冷延鋼
板では、摩擦係数は0.10程度であるのに対し、電気
亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっきなどの亜鉛系めっき
処理がされた亜鉛系めっき鋼板では、0.15以上の値
を示すことがあることを知見した。なお、本発明におけ
る摩擦係数は、実施例のところで述べるドロービード引
き抜き試験において、塗油状態で測定した値である。
っき鋼板の摩擦係数とプレス加工性との関係について検
討した。その結果、プレス加工性に優れる通常の冷延鋼
板では、摩擦係数は0.10程度であるのに対し、電気
亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっきなどの亜鉛系めっき
処理がされた亜鉛系めっき鋼板では、0.15以上の値
を示すことがあることを知見した。なお、本発明におけ
る摩擦係数は、実施例のところで述べるドロービード引
き抜き試験において、塗油状態で測定した値である。
【0014】このように、亜鉛系めっき鋼板が高い摩擦
係数を有するのは、亜鉛および亜鉛合金が低融点で、し
かも、他金属、特にプレス金型に多用されている鋳鉄な
どとの親和力が強く、金型に凝着しやすい性質を有する
ことに起因すると考えられた。そして、プレス加工時の
摺動性に影響を与えるのは、金型と直接接触するめっき
表面の物性であるため、めっき表面を亜鉛めっき以外の
物質で被覆し、めっき表面と金型との直接接触を避け、
潤滑性を与えることで、摺動性は改善されると考えた。
係数を有するのは、亜鉛および亜鉛合金が低融点で、し
かも、他金属、特にプレス金型に多用されている鋳鉄な
どとの親和力が強く、金型に凝着しやすい性質を有する
ことに起因すると考えられた。そして、プレス加工時の
摺動性に影響を与えるのは、金型と直接接触するめっき
表面の物性であるため、めっき表面を亜鉛めっき以外の
物質で被覆し、めっき表面と金型との直接接触を避け、
潤滑性を与えることで、摺動性は改善されると考えた。
【0015】本発明者らは、さらに検討を続け、めっき
表面に特定の無機化合物を存在させ、その際の摩擦係数
を、摩擦係数値にして0.15以下とすることにより、
望ましくは、めっき表面に何もない状態での摩擦係数の
80%以下とすることにより、先述のような実プレス上
の問題点を解決することができることを見い出した。
表面に特定の無機化合物を存在させ、その際の摩擦係数
を、摩擦係数値にして0.15以下とすることにより、
望ましくは、めっき表面に何もない状態での摩擦係数の
80%以下とすることにより、先述のような実プレス上
の問題点を解決することができることを見い出した。
【0016】ただし、この場合、プレス加工性とリン酸
塩処理性とを両立させるためには、自動車製造工程にお
いて鋼板に施されるリン酸塩処理の前工程の脱脂工程
で、前記無機化合物の大部分が溶解除去される必要があ
ることも見出した。
塩処理性とを両立させるためには、自動車製造工程にお
いて鋼板に施されるリン酸塩処理の前工程の脱脂工程
で、前記無機化合物の大部分が溶解除去される必要があ
ることも見出した。
【0017】本発明は、このような知見から完成された
ものであり、すなわち、めっき層上に無機化合物が存在
する亜鉛系めっき鋼板であって、前記無機化合物がアル
カリ金属の含水ほう酸塩皮膜であり、該皮膜の付着量が
1〜1000mg/m2 、摩擦係数が0.15以下であり、
前記皮膜がリン酸塩処理工程の前の脱脂工程終了時に
は、溶解残渣として1mg/m2 未満となることを特徴とす
るプレス加工性およびリン酸塩処理性に優れた亜鉛系め
っき鋼板を提供するものである。
ものであり、すなわち、めっき層上に無機化合物が存在
する亜鉛系めっき鋼板であって、前記無機化合物がアル
カリ金属の含水ほう酸塩皮膜であり、該皮膜の付着量が
1〜1000mg/m2 、摩擦係数が0.15以下であり、
前記皮膜がリン酸塩処理工程の前の脱脂工程終了時に
は、溶解残渣として1mg/m2 未満となることを特徴とす
るプレス加工性およびリン酸塩処理性に優れた亜鉛系め
っき鋼板を提供するものである。
【0018】また本発明は、0.1wt%以上のアルカ
リ金属の含水ほう酸塩を含有する水溶液に亜鉛系めっき
鋼板のめっき面を接触させた後、60〜400℃の温度
範囲で鋼板を加熱乾燥し、付着量が1〜1000mg/
m2 、摩擦係数が0.15以下のアルカリ金属の含水ほ
う酸塩皮膜をめっき層上に存在させ、前記皮膜がリン酸
塩処理工程の前の脱脂工程終了時には、溶解残渣として
1mg/m2 未満となることを特徴とするプレス加工性およ
びリン酸塩処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法
である。
リ金属の含水ほう酸塩を含有する水溶液に亜鉛系めっき
鋼板のめっき面を接触させた後、60〜400℃の温度
範囲で鋼板を加熱乾燥し、付着量が1〜1000mg/
m2 、摩擦係数が0.15以下のアルカリ金属の含水ほ
う酸塩皮膜をめっき層上に存在させ、前記皮膜がリン酸
塩処理工程の前の脱脂工程終了時には、溶解残渣として
1mg/m2 未満となることを特徴とするプレス加工性およ
びリン酸塩処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法
である。
【0019】特に好ましい本発明は、鋼板に溶融亜鉛め
っきを施す製造過程においては、溶融亜鉛めっきの後ま
たは溶融亜鉛めっきに引き続いて施される合金化処理の
後、鋼板の温度が60〜400℃の範囲内にある時点で
0.1wt%以上のアルカリ金属の含水ほう酸塩を含有
する水溶液をめっき面に噴霧し、付着量が1〜1000
mg/m2 、摩擦係数が0.15以下のアルカリ金属の含水
ほう酸塩皮膜をめっき層上に存在させ、前記皮膜がリン
酸塩処理工程の前の脱脂工程終了時には、溶解残渣とし
て1mg/m2 未満となることを特徴とするプレス加工性お
よびリン酸塩処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方
法である。
っきを施す製造過程においては、溶融亜鉛めっきの後ま
たは溶融亜鉛めっきに引き続いて施される合金化処理の
後、鋼板の温度が60〜400℃の範囲内にある時点で
0.1wt%以上のアルカリ金属の含水ほう酸塩を含有
する水溶液をめっき面に噴霧し、付着量が1〜1000
mg/m2 、摩擦係数が0.15以下のアルカリ金属の含水
ほう酸塩皮膜をめっき層上に存在させ、前記皮膜がリン
酸塩処理工程の前の脱脂工程終了時には、溶解残渣とし
て1mg/m2 未満となることを特徴とするプレス加工性お
よびリン酸塩処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方
法である。
【0020】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
の亜鉛系めっき鋼板は、そのめっき層上に無機化合物が
存在するものである。
の亜鉛系めっき鋼板は、そのめっき層上に無機化合物が
存在するものである。
【0021】本発明者らは、先述の亜鉛系めっき鋼板が
有する問題点を解決すべく亜鉛系めっき鋼板の表面に存
在した場合にその摺動性を著しく改善し、かつリン酸塩
処理の前に施されるアルカリ脱脂工程終了までに、完全
に溶解除去される物質を種々の無機化合物について調査
研究した結果、結晶水を含むアルカリ金属のほう酸塩で
ある無機化合物がこれに該当することを見いだした。
有する問題点を解決すべく亜鉛系めっき鋼板の表面に存
在した場合にその摺動性を著しく改善し、かつリン酸塩
処理の前に施されるアルカリ脱脂工程終了までに、完全
に溶解除去される物質を種々の無機化合物について調査
研究した結果、結晶水を含むアルカリ金属のほう酸塩で
ある無機化合物がこれに該当することを見いだした。
【0022】アルカリ金属の含水ほう酸塩が亜鉛系めっ
き鋼板の摺動性改善に有効な理由としては、これを含有
する水溶液をめっき鋼板と接触させ加熱乾燥することで
所定の付着量の皮膜を生成させた場合、めっき表面上で
アルカリ金属の含水ほう酸塩などが編目組織の強固な皮
膜を形成し、この皮膜による亜鉛系めっき層とプレス金
型との直接接触防止の効果および皮膜自体が有する潤滑
特性による摺動性の一段の向上が考えられる。
き鋼板の摺動性改善に有効な理由としては、これを含有
する水溶液をめっき鋼板と接触させ加熱乾燥することで
所定の付着量の皮膜を生成させた場合、めっき表面上で
アルカリ金属の含水ほう酸塩などが編目組織の強固な皮
膜を形成し、この皮膜による亜鉛系めっき層とプレス金
型との直接接触防止の効果および皮膜自体が有する潤滑
特性による摺動性の一段の向上が考えられる。
【0023】ここで、亜鉛系めっき鋼板としては、合金
化溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛
めっき鋼板、Zn−Ni、Zn−Feなどの亜鉛合金電
気めっき鋼板、さらに、これらの上層にFe−P、Fe
−Znなどのフラッシュめっきを施しためっき鋼板など
を挙げることができる。
化溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛
めっき鋼板、Zn−Ni、Zn−Feなどの亜鉛合金電
気めっき鋼板、さらに、これらの上層にFe−P、Fe
−Znなどのフラッシュめっきを施しためっき鋼板など
を挙げることができる。
【0024】また、無機化合物は、亜鉛系めっき鋼板の
めっき層上に存在した場合に摩擦係数を低減でき、か
つ、水洗あるいはアルカリ脱脂によってその大部分が溶
解除去されるものでなければならないが、この条件を満
足するのはアルカリ金属の含水ほう酸塩である。
めっき層上に存在した場合に摩擦係数を低減でき、か
つ、水洗あるいはアルカリ脱脂によってその大部分が溶
解除去されるものでなければならないが、この条件を満
足するのはアルカリ金属の含水ほう酸塩である。
【0025】なお、本発明に好適な無機化合物として
は、Na、Kなどのアルカリ金属のほう酸塩が挙げられ
る。
は、Na、Kなどのアルカリ金属のほう酸塩が挙げられ
る。
【0026】ところで、後述するように、本発明の亜鉛
系めっき鋼板は、該鋼板を上記無機化合物の水溶液と接
触させ、これを乾燥することによって容易に製造し得
る。従って、製造上の点からは、無機化合物は、水溶性
であることが求められる。また、コストの点からは、廉
価なもの程好ましく、さらに、無機化合物は、亜鉛系め
っき鋼板の加工工程において、リン酸塩処理工程の前の
脱脂工程終了時までに水あるいは塩基性水溶液に対する
溶解性に優れるものが好ましい。
系めっき鋼板は、該鋼板を上記無機化合物の水溶液と接
触させ、これを乾燥することによって容易に製造し得
る。従って、製造上の点からは、無機化合物は、水溶性
であることが求められる。また、コストの点からは、廉
価なもの程好ましく、さらに、無機化合物は、亜鉛系め
っき鋼板の加工工程において、リン酸塩処理工程の前の
脱脂工程終了時までに水あるいは塩基性水溶液に対する
溶解性に優れるものが好ましい。
【0027】これらの点を考慮すると、摺動性の改善に
著しく効果的であるのは、アルカリ金属の含水ほう酸塩
であり、実用可能な化合物としては、メタほう酸、四ほ
う酸、五ほう酸のNa塩、K塩、Li塩などが挙げられ
る。なお、このようなアルカリ金属の含水ほう酸塩は、
含水結晶が水洗あるいはアルカリ脱脂時の溶解性に優れ
ている。代表的なアルカリ金属の含水ほう酸塩として
は、工業的に量産可能で低廉なほう砂(四ほう酸ナトリ
ウム:Na2B4O7 ・10H2O)を挙げることができる。
著しく効果的であるのは、アルカリ金属の含水ほう酸塩
であり、実用可能な化合物としては、メタほう酸、四ほ
う酸、五ほう酸のNa塩、K塩、Li塩などが挙げられ
る。なお、このようなアルカリ金属の含水ほう酸塩は、
含水結晶が水洗あるいはアルカリ脱脂時の溶解性に優れ
ている。代表的なアルカリ金属の含水ほう酸塩として
は、工業的に量産可能で低廉なほう砂(四ほう酸ナトリ
ウム:Na2B4O7 ・10H2O)を挙げることができる。
【0028】本発明では、亜鉛系めっき上に存在するア
ルカリ金属の含水ほう酸塩の形態は、皮膜状である。
ルカリ金属の含水ほう酸塩の形態は、皮膜状である。
【0029】また、本発明では、該含水ほう酸塩がめっ
き層上に存在する亜鉛系めっき鋼板の摩擦係数が、該含
水ほう酸塩を有しない亜鉛系めっき鋼板の摩擦係数の8
0%以下であることが望ましいが、摩擦係数の値で0.
15以下であり、かつ、リン酸塩処理工程の前の脱脂工
程終了時には、溶解残渣として1mg/m2 未満となる量で
あることが必要である。
き層上に存在する亜鉛系めっき鋼板の摩擦係数が、該含
水ほう酸塩を有しない亜鉛系めっき鋼板の摩擦係数の8
0%以下であることが望ましいが、摩擦係数の値で0.
15以下であり、かつ、リン酸塩処理工程の前の脱脂工
程終了時には、溶解残渣として1mg/m2 未満となる量で
あることが必要である。
【0030】摩擦係数が、アルカリ金属の含水ほう酸塩
を有しない亜鉛系めっき鋼板の摩擦係数の80%超の場
合、プレス加工性が改良されたとはいえない。また、ア
ルカリ金属の含水ほう酸塩は、リン酸塩処理時におい
て、良好なリン酸塩の結晶の生成を阻害させないため
に、リン酸塩処理工程の前の脱脂工程終了時において、
1mg/m2 未満であることが必要である。
を有しない亜鉛系めっき鋼板の摩擦係数の80%超の場
合、プレス加工性が改良されたとはいえない。また、ア
ルカリ金属の含水ほう酸塩は、リン酸塩処理時におい
て、良好なリン酸塩の結晶の生成を阻害させないため
に、リン酸塩処理工程の前の脱脂工程終了時において、
1mg/m2 未満であることが必要である。
【0031】本発明において、亜鉛系めっき鋼板上に生
成せしめるアルカリ金属の含水ほう酸塩皮膜の付着量は
1〜1000mg/m2 と規定したが、これは次の理由によ
る。即ち、付着量1mg/m2 未満では、本発明に示したよ
うな摺動性改善の十分な効果が得られず、また付着量が
1000mg/m2 を越えると摺動性改善効果が飽和するだ
けでなく、上述のリン酸塩処理前の脱脂工程で皮膜が完
全に除去されずにめっき上に一部残存し、その後に施さ
れるリン酸塩処理に悪影響を与えるからである。
成せしめるアルカリ金属の含水ほう酸塩皮膜の付着量は
1〜1000mg/m2 と規定したが、これは次の理由によ
る。即ち、付着量1mg/m2 未満では、本発明に示したよ
うな摺動性改善の十分な効果が得られず、また付着量が
1000mg/m2 を越えると摺動性改善効果が飽和するだ
けでなく、上述のリン酸塩処理前の脱脂工程で皮膜が完
全に除去されずにめっき上に一部残存し、その後に施さ
れるリン酸塩処理に悪影響を与えるからである。
【0032】また、アルカリ金属の含水ほう酸塩の付着
量を必要量以上にすることは、リン酸塩処理前の脱脂液
の脱脂性を低下させる要因になる。図1は、合金化溶融
亜鉛めっき鋼板上に生成されたほう砂(四ほう酸ナトリ
ウム:Na2B4O7 ・5H2O)の付着量と摺動性試験における
摩擦係数および耐水二次密着性との関係を示したもので
ある。各試験方法は、実施例において述べる通りであ
る。図1に示すように、ほう砂の付着量が1mg/m2 以上
1000mg/m2 以下の場合に、良好なリン酸塩処理性を
維持したまま摺動性を顕著に改善することが可能であ
る。確実に摺動性を改善するためにはほう砂付着量10
〜1000mg/m2 が望ましい。
量を必要量以上にすることは、リン酸塩処理前の脱脂液
の脱脂性を低下させる要因になる。図1は、合金化溶融
亜鉛めっき鋼板上に生成されたほう砂(四ほう酸ナトリ
ウム:Na2B4O7 ・5H2O)の付着量と摺動性試験における
摩擦係数および耐水二次密着性との関係を示したもので
ある。各試験方法は、実施例において述べる通りであ
る。図1に示すように、ほう砂の付着量が1mg/m2 以上
1000mg/m2 以下の場合に、良好なリン酸塩処理性を
維持したまま摺動性を顕著に改善することが可能であ
る。確実に摺動性を改善するためにはほう砂付着量10
〜1000mg/m2 が望ましい。
【0033】本発明で用いるアルカリ金属の含水ほう酸
塩としては、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸のNa
塩、K塩、Li塩などがある。含水ほう酸塩の中でも、
特にアルカリ金属の含水ほう酸塩と限定した理由は、ア
ルカリ金属の塩は普通結晶水を有し水に可溶であるた
め、亜鉛系めっき鋼板を水溶液と接触させて製造する本
方法において有利であるためである。代表的なアルカリ
金属の含水ほう酸塩としては、工業的に量産可能で低廉
なほう砂(四ほう酸ナトリウム:Na2B4O7 ・10H2O)を
挙げることができる。
塩としては、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸のNa
塩、K塩、Li塩などがある。含水ほう酸塩の中でも、
特にアルカリ金属の含水ほう酸塩と限定した理由は、ア
ルカリ金属の塩は普通結晶水を有し水に可溶であるた
め、亜鉛系めっき鋼板を水溶液と接触させて製造する本
方法において有利であるためである。代表的なアルカリ
金属の含水ほう酸塩としては、工業的に量産可能で低廉
なほう砂(四ほう酸ナトリウム:Na2B4O7 ・10H2O)を
挙げることができる。
【0034】前述のようなアルカリ金属の含水ほう酸塩
皮膜を表面に有する亜鉛系めっき鋼板を製造するために
は、0.1wt%以上のアルカリ金属の含水ほう酸塩を
含有する水溶液に亜鉛系めっき鋼板を浸せき、噴霧、ま
たはロールコーターなどによる塗布などの方法で接触さ
せた後、引き続きこれを60〜400℃の温度範囲で加
熱乾燥すればよい。
皮膜を表面に有する亜鉛系めっき鋼板を製造するために
は、0.1wt%以上のアルカリ金属の含水ほう酸塩を
含有する水溶液に亜鉛系めっき鋼板を浸せき、噴霧、ま
たはロールコーターなどによる塗布などの方法で接触さ
せた後、引き続きこれを60〜400℃の温度範囲で加
熱乾燥すればよい。
【0035】アルカリ金属の含水ほう酸塩濃度を0.1
wt%以上としたのは、この濃度より低い濃度では亜鉛
系めっき上に生成させるアルカリ金属の含水ほう酸塩皮
膜の必要最少付着量1mg/m2 を得るためには鋼板に付着
させる乾燥前の水溶液量が多くなり、水溶液と接触させ
た後加熱乾燥させる本方法においては、ラインスピード
の低下など操業上不利になるためである。
wt%以上としたのは、この濃度より低い濃度では亜鉛
系めっき上に生成させるアルカリ金属の含水ほう酸塩皮
膜の必要最少付着量1mg/m2 を得るためには鋼板に付着
させる乾燥前の水溶液量が多くなり、水溶液と接触させ
た後加熱乾燥させる本方法においては、ラインスピード
の低下など操業上不利になるためである。
【0036】また、加熱乾燥時の温度範囲の下限を60
℃としたのは、これより低い温度では、先述したような
摺動性改善に有効な強固な皮膜がめっき上に生成されな
いためである。さらに、上限を400℃としたのは、こ
れを越える温度で加熱乾燥した場合アルカリ金属のほう
酸塩が含水結晶から無水結晶へと変わり、リン酸塩処理
前のアルカリ脱脂時の溶解性が低下するためである。
℃としたのは、これより低い温度では、先述したような
摺動性改善に有効な強固な皮膜がめっき上に生成されな
いためである。さらに、上限を400℃としたのは、こ
れを越える温度で加熱乾燥した場合アルカリ金属のほう
酸塩が含水結晶から無水結晶へと変わり、リン酸塩処理
前のアルカリ脱脂時の溶解性が低下するためである。
【0037】溶融亜鉛めっきについては、図2に示すそ
の製造過程において溶融亜鉛めっき後または溶融亜鉛め
っきに引き続いて施される合金化処理後の鋼板温度は高
温であるため、鋼板温度が60〜400℃の温度範囲に
ある時点で前述のアルカリ金属の含水ほう酸塩を含有す
る水溶液を噴霧し、ミスト状態で水溶液と鋼板とを接触
させることで、室温で同水溶液に接触させその後加熱乾
燥する方法で得られる皮膜と同様の皮膜を著しく低廉な
コストで製造することが可能となる。図2において、1
は鋼板、2は溶融亜鉛ポット、3は目付量制御手段、4
は合金化炉、5は冷却帯である。アルカリ金属の含水ほ
う酸塩を含有する水溶液の噴霧地点としては上記の鋼板
温度範囲の場所であれば良く、具体的な例としては後述
する実施例に記載する如く、図2中のA,B,Cなどの
位置で噴霧が可能である。
の製造過程において溶融亜鉛めっき後または溶融亜鉛め
っきに引き続いて施される合金化処理後の鋼板温度は高
温であるため、鋼板温度が60〜400℃の温度範囲に
ある時点で前述のアルカリ金属の含水ほう酸塩を含有す
る水溶液を噴霧し、ミスト状態で水溶液と鋼板とを接触
させることで、室温で同水溶液に接触させその後加熱乾
燥する方法で得られる皮膜と同様の皮膜を著しく低廉な
コストで製造することが可能となる。図2において、1
は鋼板、2は溶融亜鉛ポット、3は目付量制御手段、4
は合金化炉、5は冷却帯である。アルカリ金属の含水ほ
う酸塩を含有する水溶液の噴霧地点としては上記の鋼板
温度範囲の場所であれば良く、具体的な例としては後述
する実施例に記載する如く、図2中のA,B,Cなどの
位置で噴霧が可能である。
【0038】
【実施例】以下に、本発明を、実施例に基づき具体的に
説明する。
説明する。
【0039】(実施例) (1)試料の作製 (発明例1) 四ほう酸ナトリウム(Na2B4O7 ・10H2O )を0.6wt
%溶解させた水溶液を、片面あたりめっき付着量60g/
m2の電気亜鉛めっきを両面に施した電気亜鉛めっき鋼板
(EG)にロールコーターで塗布した後に、これを最高到
達板温200℃で加熱乾燥した。
%溶解させた水溶液を、片面あたりめっき付着量60g/
m2の電気亜鉛めっきを両面に施した電気亜鉛めっき鋼板
(EG)にロールコーターで塗布した後に、これを最高到
達板温200℃で加熱乾燥した。
【0040】(発明例2) 片面あたりめっき付着量90g/m2の溶融亜鉛めっきを両
面に施した溶融亜鉛めっき鋼板(GI)の製造過程におい
て、溶融めっきポット上の鋼板がワイピングされた直後
の箇所(図2のA部)で、四ほう酸カリウムを5wt%
溶解させた水溶液を鋼板に噴霧した。噴霧する直前の鋼
板温度は380℃であった。
面に施した溶融亜鉛めっき鋼板(GI)の製造過程におい
て、溶融めっきポット上の鋼板がワイピングされた直後
の箇所(図2のA部)で、四ほう酸カリウムを5wt%
溶解させた水溶液を鋼板に噴霧した。噴霧する直前の鋼
板温度は380℃であった。
【0041】(発明例3) 片面あたりめっき付着量45g/m2、Fe含有率9%の合金
化溶融亜鉛めっきを両面に施した合金化溶融亜鉛めっき
鋼板(GA)の製造過程において、合金化炉から出た直後
の箇所(図2のB部)で、メタほう酸ナトリウム(NaBO
2 ・4H2O)を0.7wt%溶解させた水溶液を鋼板に噴
霧した。噴霧する直前の鋼板温度は250℃であった。
化溶融亜鉛めっきを両面に施した合金化溶融亜鉛めっき
鋼板(GA)の製造過程において、合金化炉から出た直後
の箇所(図2のB部)で、メタほう酸ナトリウム(NaBO
2 ・4H2O)を0.7wt%溶解させた水溶液を鋼板に噴
霧した。噴霧する直前の鋼板温度は250℃であった。
【0042】(発明例4) 四ほう酸ナトリウム(Na2B4O7 ・10H2O)を1.0wt%
溶解させた水溶液を、片面あたりめっき付着量60g/
m2、Fe含有率10%の合金化溶融亜鉛めっきを両面に施
した合金化溶融亜鉛めっき鋼板の両面にロールコーター
で塗布した後、これを最高到達板温130℃で加熱乾燥
した。
溶解させた水溶液を、片面あたりめっき付着量60g/
m2、Fe含有率10%の合金化溶融亜鉛めっきを両面に施
した合金化溶融亜鉛めっき鋼板の両面にロールコーター
で塗布した後、これを最高到達板温130℃で加熱乾燥
した。
【0043】(比較例1) 片面あたりめっき付着量60g/m2の電気亜鉛めっきを両
面に施した電気亜鉛めっき鋼板。(発明例1の未処理材
に相当する。)
面に施した電気亜鉛めっき鋼板。(発明例1の未処理材
に相当する。)
【0044】(比較例2) 片面あたりめっき付着量30g/m2、Ni含有率11%のZn
-Ni 合金電気めっきを両面に施したZn-Ni 合金電気めっ
き鋼板。
-Ni 合金電気めっきを両面に施したZn-Ni 合金電気めっ
き鋼板。
【0045】(比較例3) めっき付着量20g/m2、Fe含有率12%の片面Zn-Fe 合
金電気めっき鋼板。
金電気めっき鋼板。
【0046】(比較例4) 片面あたりめっき付着量90g/m2の溶融亜鉛めっきを両
面に施した溶融亜鉛めっき鋼板。(発明例2の未処理材
に相当する。)
面に施した溶融亜鉛めっき鋼板。(発明例2の未処理材
に相当する。)
【0047】(比較例5) 片面あたりめっき付着量45g/m2、Fe含有率9%の合金
化溶融亜鉛めっきを両面に施した合金化溶融亜鉛めっき
鋼板。(発明例3の未処理材に相当する。)
化溶融亜鉛めっきを両面に施した合金化溶融亜鉛めっき
鋼板。(発明例3の未処理材に相当する。)
【0048】(比較例6) 片面あたりめっき付着量60g/m2、Fe含有率10%の合
金化溶融亜鉛めっきを両面に施した合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板。(発明例4の未処理材に相当する。)
金化溶融亜鉛めっきを両面に施した合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板。(発明例4の未処理材に相当する。)
【0049】(比較例7) アルミナゾル(Al2O3)を5wt%溶解させた水溶液を、
片面あたりめっき付着量60g/m2の電気亜鉛めっきを両
面に施した鋼板にロールコーターで塗布した後に、これ
を最高到達板温50℃で加熱乾燥した。
片面あたりめっき付着量60g/m2の電気亜鉛めっきを両
面に施した鋼板にロールコーターで塗布した後に、これ
を最高到達板温50℃で加熱乾燥した。
【0050】(比較例8) 片面あたりめっき付着量45g/m2、Fe含有率9%の合金
化溶融亜鉛めっきを両面に施した鋼板の製造過程におい
て、合金化炉から出た直後の箇所(図2のB部)で、硝
酸コバルト(Co(NO3)2)を3wt%溶解させた水溶液を
鋼板に噴霧した。噴霧する直前の鋼板温度は300℃で
あった。
化溶融亜鉛めっきを両面に施した鋼板の製造過程におい
て、合金化炉から出た直後の箇所(図2のB部)で、硝
酸コバルト(Co(NO3)2)を3wt%溶解させた水溶液を
鋼板に噴霧した。噴霧する直前の鋼板温度は300℃で
あった。
【0051】(比較例9) 片面あたりめっき付着量30g/m2、Ni含有率11%のZn
-Ni 合金電気めっきを両面に施した鋼板に、硫化モリブ
デン(MoS2)を10wt%含有する防錆油を2g/m2塗布
した。
-Ni 合金電気めっきを両面に施した鋼板に、硫化モリブ
デン(MoS2)を10wt%含有する防錆油を2g/m2塗布
した。
【0052】(比較例10) 片面あたりめっき付着量60g/m2、Fe含有率10%の両
面合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造過程において、合金
化炉から出た直後の箇所(図2のB部)で、四ほう酸ナ
トリウム(Na2B4O7 ・10H2O)を0.8wt%溶解させた
水溶液を鋼板に噴霧した。噴霧する直前の鋼板温度は4
20℃であった。
面合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造過程において、合金
化炉から出た直後の箇所(図2のB部)で、四ほう酸ナ
トリウム(Na2B4O7 ・10H2O)を0.8wt%溶解させた
水溶液を鋼板に噴霧した。噴霧する直前の鋼板温度は4
20℃であった。
【0053】(2)試験評価方法 下記の方法で試験評価を行ない、結果は第1表に示し
た。
た。
【0054】a)無機化合物皮膜の形態および付着量 発明例1〜4、比較例7〜10について、亜鉛系めっき
鋼板上に生成された無機化合物皮膜を、薄膜X線回折法
により同定した。また、皮膜付着量は次の方法で測定し
た。すなわち、表層の皮膜を硫酸に溶解した後、この液
をICP分光分析に供し、各元素の分析を行なった。こ
の元素分析値と上記薄膜X線回折結果から得られた皮膜
の化学組成から、亜鉛系めっき鋼板上の無機化合物皮膜
付着量を決定した。
鋼板上に生成された無機化合物皮膜を、薄膜X線回折法
により同定した。また、皮膜付着量は次の方法で測定し
た。すなわち、表層の皮膜を硫酸に溶解した後、この液
をICP分光分析に供し、各元素の分析を行なった。こ
の元素分析値と上記薄膜X線回折結果から得られた皮膜
の化学組成から、亜鉛系めっき鋼板上の無機化合物皮膜
付着量を決定した。
【0055】b)無機化合物の脱脂溶解性 日本パーカライジング社製脱脂液FC−4460(40
℃)にて、スプレー方式にて、120秒間の脱脂処理を
行なった。脱脂処理後のサンプルについて、無機化合物
の皮膜付着量を、a)に示した方法で分析した。この値
がリン酸処理工程の前の脱脂工程終了時における無機化
合物の溶解残渣である。
℃)にて、スプレー方式にて、120秒間の脱脂処理を
行なった。脱脂処理後のサンプルについて、無機化合物
の皮膜付着量を、a)に示した方法で分析した。この値
がリン酸処理工程の前の脱脂工程終了時における無機化
合物の溶解残渣である。
【0056】c)摺動性 摺動性の評価は、図3の(a)および図3の(b)に示
すドロービード引き抜き試験により行なった。
すドロービード引き抜き試験により行なった。
【0057】すなわち、図3の(a)において、ロール
を固定した場合のサンプルの引き抜きに要する力DF と
ロールを回転可能な状態にした場合の引き抜きに要する
力DR を求め、この両者から、次式によってサンプルの
摩擦係数μを算出し、摺動性を評価した。また、無機化
合物皮膜を有する試料については、同様の亜鉛系めっき
鋼板(未処理材)の摩擦係数を100%とした摩擦係数
比も算出した。
を固定した場合のサンプルの引き抜きに要する力DF と
ロールを回転可能な状態にした場合の引き抜きに要する
力DR を求め、この両者から、次式によってサンプルの
摩擦係数μを算出し、摺動性を評価した。また、無機化
合物皮膜を有する試料については、同様の亜鉛系めっき
鋼板(未処理材)の摩擦係数を100%とした摩擦係数
比も算出した。
【0058】
【数1】 ここで μ:ロールサンプル間の摩擦係数 p:ロールの径方向に負荷される力 R:ロール半径 θ:中心角 PF :中央ポンチの押え荷重 従って μ=(DF −DR) /(πPF)
【0059】なお、試験条件は以下の通りである。 サンプルサイズ 20×400 mm 摺動速度 500 mm/sec. 摺動距離 100 mm 中央ポンチの押え荷重 100 kgf 洗浄油 0.5 g/m2塗油
【0060】d)リン酸塩処理性 日本パーカライジング社製パルボンドL3020処理液
にて、リン酸塩処理を施し、X 1500でSEM によるリン酸
塩結晶の観察を行った。リン酸塩処理性は、結晶粒の大
きさから以下の判定基準に従い評価した。 平均結晶サイズ(μm) 判 定 10以下 ○ 10〜20 △ 20以上 ×
にて、リン酸塩処理を施し、X 1500でSEM によるリン酸
塩結晶の観察を行った。リン酸塩処理性は、結晶粒の大
きさから以下の判定基準に従い評価した。 平均結晶サイズ(μm) 判 定 10以下 ○ 10〜20 △ 20以上 ×
【0061】e)耐水二次密着性 リン酸塩処理後、カチオン電着塗装、中塗り、上塗り塗
装を施したサンプルを、40℃の純水に10日間浸せき
した後、セロテープによる碁盤目剥離試験を行ない、耐
水二次密着性を塗膜残存率で評価した。
装を施したサンプルを、40℃の純水に10日間浸せき
した後、セロテープによる碁盤目剥離試験を行ない、耐
水二次密着性を塗膜残存率で評価した。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】本発明により、そのリン酸塩処理性を損
なうことなくプレス加工性が著しく改善された亜鉛系め
っき鋼板が提供される。
なうことなくプレス加工性が著しく改善された亜鉛系め
っき鋼板が提供される。
【0064】本発明の亜鉛系めっき鋼板は、その表面
に、亜鉛系めっき鋼板の摺動性を向上させ、かつ、リン
酸塩処理前のアルカリ脱脂工程終了時においてほぼ完全
に溶解除去される無機化合物を有しているために、リン
酸塩処理性とプレス加工性が両立されるようになった。
本発明の亜鉛系めっき鋼板を用いることにより、プレス
加工時における生産性が飛躍的に向上する。
に、亜鉛系めっき鋼板の摺動性を向上させ、かつ、リン
酸塩処理前のアルカリ脱脂工程終了時においてほぼ完全
に溶解除去される無機化合物を有しているために、リン
酸塩処理性とプレス加工性が両立されるようになった。
本発明の亜鉛系めっき鋼板を用いることにより、プレス
加工時における生産性が飛躍的に向上する。
【0065】さらに、上記鋼板は亜鉛系めっき鋼板を
0.1wt%以上のアルカリ金属の含水ほう酸塩を含有
する水溶液と接触させ60〜400℃の温度範囲で加熱
乾燥することにより、あるいは溶融亜鉛めっきの場合は
めっき後、あるいは合金化処理後に上記水溶液を鋼板に
噴霧するだけで、簡単かつ低廉に製造することが可能で
あり、製品製造上も極めて有益である。
0.1wt%以上のアルカリ金属の含水ほう酸塩を含有
する水溶液と接触させ60〜400℃の温度範囲で加熱
乾燥することにより、あるいは溶融亜鉛めっきの場合は
めっき後、あるいは合金化処理後に上記水溶液を鋼板に
噴霧するだけで、簡単かつ低廉に製造することが可能で
あり、製品製造上も極めて有益である。
【図1】合金化溶融亜鉛めっき鋼板上に生成された四ほ
う酸ナトリウム(Na2B4O7 ・5H2O)の付着量と摺動性試
験における摩擦係数および耐水二次密着性試験における
塗膜残存率との関係を示すグラフである。
う酸ナトリウム(Na2B4O7 ・5H2O)の付着量と摺動性試
験における摩擦係数および耐水二次密着性試験における
塗膜残存率との関係を示すグラフである。
【図2】溶融亜鉛めっき製造ラインの線図である。
【図3】摺動性の評価を説明する図であり、(a)はド
ロービード引き抜き型摺動性試験機の、線図(b)はこ
の試験機での解析方法を示す図である。
ロービード引き抜き型摺動性試験機の、線図(b)はこ
の試験機での解析方法を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木 村 肇 千葉県千葉市浜野町1025番地 川鉄鋼板 株式会社製品研究所内 (72)発明者 安 田 顕 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 平2−47269(JP,A) 特開 昭49−28538(JP,A) 特開 平1−172578(JP,A) 特開 平3−249181(JP,A) 特開 平3−183797(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 22/00 - 22/86 C23C 28/00,18/12
Claims (3)
- 【請求項1】 めっき層上に無機化合物が存在する亜鉛
系めっき鋼板であって、前記無機化合物がアルカリ金属
の含水ほう酸塩皮膜であり、該皮膜の付着量が1〜10
00mg/m 2 、摩擦係数が0.15以下であり、前記皮膜
がリン酸塩処理工程の前の脱脂工程終了時には、溶解残
渣として1mg/m 2 未満となることを特徴とするプレス加
工性およびリン酸塩処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項2】 0.1wt%以上のアルカリ金属の含水
ほう酸塩を含有する水溶液に亜鉛系めっき鋼板のめっき
面を接触させた後、60〜400℃の温度範囲で鋼板を
加熱乾燥し、付着量が1〜1000mg/m 2 、摩擦係数が
0.15以下のアルカリ金属の含水ほう酸塩皮膜をめっ
き層上に存在させ、前記皮膜がリン酸塩処理工程の前の
脱脂工程終了時には、溶解残渣として1mg/m 2 未満とな
ることを特徴とするプレス加工性およびリン酸塩処理性
に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 鋼板に溶融亜鉛めっきを施す製造過程に
おいては、溶融亜鉛めっきの後または溶融亜鉛めっきに
引き続いて施される合金化処理の後、鋼板の温度が60
〜400℃の範囲内にある時点で0.1wt%以上のア
ルカリ金属の含水ほう酸塩を含有する水溶液をめっき面
に噴霧し、付着量が1〜1000mg/m 2 、摩擦係数が
0.15以下のアルカリ金属の含水ほう酸塩皮膜をめっ
き層上に存在させ、前記皮膜がリン酸塩処理工程の前の
脱脂工程終了時には、溶解残渣として1mg/m 2 未満とな
ることを特徴とする請求項2に記載のプレス加工性およ
びリン酸塩処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2449191A JP2965090B2 (ja) | 1990-04-09 | 1991-02-19 | プレス加工性およびリン酸塩処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2-93348 | 1990-04-09 | ||
JP9334890 | 1990-04-09 | ||
JP2-334296 | 1990-11-30 | ||
JP2449191A JP2965090B2 (ja) | 1990-04-09 | 1991-02-19 | プレス加工性およびリン酸塩処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04214877A JPH04214877A (ja) | 1992-08-05 |
JP2965090B2 true JP2965090B2 (ja) | 1999-10-18 |
Family
ID=26362009
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2449191A Expired - Fee Related JP2965090B2 (ja) | 1990-04-09 | 1991-02-19 | プレス加工性およびリン酸塩処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2965090B2 (ja) |
-
1991
- 1991-02-19 JP JP2449191A patent/JP2965090B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04214877A (ja) | 1992-08-05 |
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