JP2964830B2 - 靭性のすぐれた酸化アルミニウム基セラミックス - Google Patents
靭性のすぐれた酸化アルミニウム基セラミックスInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、すぐれた靭性を有
し、例えば切削工具として用いた場合に、鋼の連続切削
は勿論のこと、特に高靭性が要求される鋼の断続切削に
おいても切刃に欠損やチッピング（微小欠け）などの発
生なく、すぐれた切削性能を発揮する酸化アルミニウム
（以下、Ａｌ2 Ｏ3 で示す）基セラミックスに関するも
のである。
し、例えば切削工具として用いた場合に、鋼の連続切削
は勿論のこと、特に高靭性が要求される鋼の断続切削に
おいても切刃に欠損やチッピング（微小欠け）などの発
生なく、すぐれた切削性能を発揮する酸化アルミニウム
（以下、Ａｌ2 Ｏ3 で示す）基セラミックスに関するも
のである。
【０００２】
【従来の技術】従来、例えば特公昭６１−５４３１号公
報に記載されるように、分散相形成成分として、酸化ジ
ルコニウム（以下、ＺｒＯ2 で示す）、酸化ハフニウム
（以下、ＨｆＯ2 で示す）、いずれもＭｇＯ，Ｙ
2 Ｏ3 、およびＣｅＯ2 などのうちの１種または２種以
上を１〜１２モル％の割合で含有させてなる部分安定化
ＺｒＯ2 および部分安定化ＨｆＯ2 のうちの１種または
２種以上を５〜３０％の割合で含有し、残りが同じく分
散相形成成分としてのＡｌ2 Ｏ3 からなる組成（以上重
量％、以下％は重量％を示す）を有し、かついずれも組
織上塊状形状のＡｌ2 Ｏ3 と、ＺｒＯ2 、部分安定化Ｚ
ｒＯ2 ，ＨｆＯ2 、および部分安定化ＨｆＯ2 のうちの
１種または２種以上との混合微細組織を有するＡｌ2 Ｏ
3 基セラミックスが知られており、さらにこれが、高強
度とすぐれた耐摩耗性を有することから、切削工具とし
て、主に鋼などの連続切削に用いられていることも良く
知られている。
報に記載されるように、分散相形成成分として、酸化ジ
ルコニウム（以下、ＺｒＯ2 で示す）、酸化ハフニウム
（以下、ＨｆＯ2 で示す）、いずれもＭｇＯ，Ｙ
2 Ｏ3 、およびＣｅＯ2 などのうちの１種または２種以
上を１〜１２モル％の割合で含有させてなる部分安定化
ＺｒＯ2 および部分安定化ＨｆＯ2 のうちの１種または
２種以上を５〜３０％の割合で含有し、残りが同じく分
散相形成成分としてのＡｌ2 Ｏ3 からなる組成（以上重
量％、以下％は重量％を示す）を有し、かついずれも組
織上塊状形状のＡｌ2 Ｏ3 と、ＺｒＯ2 、部分安定化Ｚ
ｒＯ2 ，ＨｆＯ2 、および部分安定化ＨｆＯ2 のうちの
１種または２種以上との混合微細組織を有するＡｌ2 Ｏ
3 基セラミックスが知られており、さらにこれが、高強
度とすぐれた耐摩耗性を有することから、切削工具とし
て、主に鋼などの連続切削に用いられていることも良く
知られている。
【０００３】また、これらの従来Ａｌ2 Ｏ3 基セラミッ
クスが、上記公告公報にも記載される通り、原料粉末と
して、Ａｌ2 Ｏ3 粉末と、ＺｒＯ2 粉末、部分安定化Ｚ
ｒＯ2 粉末、ＨｆＯ2 粉末、および部分安定化ＨｆＯ2
粉末のうちの１種または２種以上を用い、これら原料粉
末を所定の配合組成に配合し、混合した後、所定形状の
圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を、酸化性雰囲気
中、１４００〜１８００℃の温度に所定時間保持の条件
で焼結し、さらに必要に応じて熱間静水圧プレス（ＨＩ
Ｐ）処理を施すことによって製造されることも知られて
いる。
クスが、上記公告公報にも記載される通り、原料粉末と
して、Ａｌ2 Ｏ3 粉末と、ＺｒＯ2 粉末、部分安定化Ｚ
ｒＯ2 粉末、ＨｆＯ2 粉末、および部分安定化ＨｆＯ2
粉末のうちの１種または２種以上を用い、これら原料粉
末を所定の配合組成に配合し、混合した後、所定形状の
圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を、酸化性雰囲気
中、１４００〜１８００℃の温度に所定時間保持の条件
で焼結し、さらに必要に応じて熱間静水圧プレス（ＨＩ
Ｐ）処理を施すことによって製造されることも知られて
いる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の例えば切
削加工分野におけるＦＡ化はめざましく、かつ一層の省
力化に対する要求も強く、これに伴ない、切削工具にも
切削条件に制約を受けない汎用性が強く求められている
が、上記の従来Ａｌ2 Ｏ3 基セラミックスは、上記の通
り連続切削ではすぐれた切削性能を発揮するものの、こ
れを靭性が要求される断続切削に用いた場合には、切刃
に欠損やチッピングが発生し易く、これが原因で比較的
短時間で使用寿命に至るのが現状である。
削加工分野におけるＦＡ化はめざましく、かつ一層の省
力化に対する要求も強く、これに伴ない、切削工具にも
切削条件に制約を受けない汎用性が強く求められている
が、上記の従来Ａｌ2 Ｏ3 基セラミックスは、上記の通
り連続切削ではすぐれた切削性能を発揮するものの、こ
れを靭性が要求される断続切削に用いた場合には、切刃
に欠損やチッピングが発生し易く、これが原因で比較的
短時間で使用寿命に至るのが現状である。
【０００５】そこで、本発明者等は、上述のような観点
から、上記の従来Ａｌ2 Ｏ3 基セラミックスに着目し、
これの靭性向上をはかるべく研究を行なった結果、上記
の従来Ａｌ2 Ｏ3 基セラミックスの製造に際して、原料
粉末として用いられているＡｌ2 Ｏ3 粉末と、ＺｒＯ2
粉末、部分安定化ＺｒＯ2 粉末、ＨｆＯ2 粉末、および
部分安定化ＨｆＯ2 粉末のうちの１種または２種以上の
ほかに、Ｌｉ，Ｎａ、およびＫからなるアルカリ金属並
びにＣａ，Ｓｒ、およびＢａからなるアルカリ土類金属
（以下、これらを総称してＡｍで表わす）の炭酸塩、硫
酸塩、硝酸塩、塩化物、蓚酸塩、および酸化物のうちの
１種または２種以上（以下、これらを総称してＡｍ化合
物という）の粉末、酸化けい素（以下、ＳｉＯ2 で示
す）粉末および／またはＳｉアルコキシドを用意し、 （１） これらの原料粉末を所定の配合割合に配合し、
混合する。 （２） 上記の原料粉末のうちのＡｍ化合物粉末と、Ｓ
ｉＯ2 粉末および／またはＳｉアルコキシドと、Ａｌ2
Ｏ3 粉末を用い、これらを所定の配合割合に配合し、混
合した後、酸化性雰囲気中、６００〜１０５０℃の温度
に加熱保持の条件で仮焼して上記Ａｍ化合物およびＳｉ
アルコキシドを酸化物とし、これにＺｒＯ2 粉末、部分
安定化ＺｒＯ2 粉末、ＨｆＯ2 粉末、および部分安定化
ＨｆＯ2粉末のうちの１種または２種以上の所定割合を
配合して、混合する。 （３） 同じく上記のＡｍ化合物粉末、ＳｉＯ2 粉末お
よび／またはＳｉアルコキシド、Ａｌ2 Ｏ3 粉末を所定
割合に配合し、混合した後、酸化性雰囲気中、１０５０
〜１５００℃の温度に加熱保持の焼結を行なってＡｍ酸
化物−Ａｌ2 Ｏ3 −ＳｉＯ2 系複合酸化物を形成し、粉
砕した後、これと、Ａｌ2 Ｏ3 粉末と、ＺｒＯ2 粉末、
部分安定化ＺｒＯ2 粉末、ＨｆＯ2 粉末、および部分安
定化ＨｆＯ2 粉末のうちの１種または２種以上を所定割
合に配合し、混合する。 以上（１）〜（３）のうちのいずれかの混合粉末を、以
下通常の条件で、圧粉体にプレス成形し、焼結すると、
焼結時にＡｍ酸化物−Ａｌ2 Ｏ3 −ＳｉＯ2 系複合酸化
物の液相を形成し、Ａｌ2 Ｏ3 はこの液相に一旦溶解
し、これより析出して成長するが、この場合前記析出Ａ
ｌ2 Ｏ3 結晶は、そのＣ面［（０００１）面］の表面エ
ネルギーが小さく、安定化した状態になっており、一方
Ａｌ2 Ｏ3 結晶は、その全体エネルギーを小さくするよ
うに成長するので、安定な面は広く、不安定な面は狭く
成長することから、前記Ｃ面にそって成長するようにな
り、この結果Ａｌ2 Ｏ3 結晶は組織上板状（細長）とな
り、このようにＡｌ2 Ｏ3 が組織上板状（細長）成長形
状を有し、上記Ａｍ酸化物−Ａｌ2 Ｏ3 −ＳｉＯ2 系複
合酸化物が粒界相として存在するＡｌ2 Ｏ3 基セラミッ
クスは、上記の塊状Ａｌ2 Ｏ3 と同じく塊状のＺｒ
Ｏ2 、部分安定化ＺｒＯ2 ，ＨｆＯ2 、および部分安定
化ＨｆＯ2 のうちの１種または２種以上との混合微細組
織を有する従来Ａｌ2Ｏ3 基セラミックスに比して、一
段とすぐれた靭性を有し、かつ高強度とすぐれた耐摩耗
性を具備するという研究結果を得たのである。
から、上記の従来Ａｌ2 Ｏ3 基セラミックスに着目し、
これの靭性向上をはかるべく研究を行なった結果、上記
の従来Ａｌ2 Ｏ3 基セラミックスの製造に際して、原料
粉末として用いられているＡｌ2 Ｏ3 粉末と、ＺｒＯ2
粉末、部分安定化ＺｒＯ2 粉末、ＨｆＯ2 粉末、および
部分安定化ＨｆＯ2 粉末のうちの１種または２種以上の
ほかに、Ｌｉ，Ｎａ、およびＫからなるアルカリ金属並
びにＣａ，Ｓｒ、およびＢａからなるアルカリ土類金属
（以下、これらを総称してＡｍで表わす）の炭酸塩、硫
酸塩、硝酸塩、塩化物、蓚酸塩、および酸化物のうちの
１種または２種以上（以下、これらを総称してＡｍ化合
物という）の粉末、酸化けい素（以下、ＳｉＯ2 で示
す）粉末および／またはＳｉアルコキシドを用意し、 （１） これらの原料粉末を所定の配合割合に配合し、
混合する。 （２） 上記の原料粉末のうちのＡｍ化合物粉末と、Ｓ
ｉＯ2 粉末および／またはＳｉアルコキシドと、Ａｌ2
Ｏ3 粉末を用い、これらを所定の配合割合に配合し、混
合した後、酸化性雰囲気中、６００〜１０５０℃の温度
に加熱保持の条件で仮焼して上記Ａｍ化合物およびＳｉ
アルコキシドを酸化物とし、これにＺｒＯ2 粉末、部分
安定化ＺｒＯ2 粉末、ＨｆＯ2 粉末、および部分安定化
ＨｆＯ2粉末のうちの１種または２種以上の所定割合を
配合して、混合する。 （３） 同じく上記のＡｍ化合物粉末、ＳｉＯ2 粉末お
よび／またはＳｉアルコキシド、Ａｌ2 Ｏ3 粉末を所定
割合に配合し、混合した後、酸化性雰囲気中、１０５０
〜１５００℃の温度に加熱保持の焼結を行なってＡｍ酸
化物−Ａｌ2 Ｏ3 −ＳｉＯ2 系複合酸化物を形成し、粉
砕した後、これと、Ａｌ2 Ｏ3 粉末と、ＺｒＯ2 粉末、
部分安定化ＺｒＯ2 粉末、ＨｆＯ2 粉末、および部分安
定化ＨｆＯ2 粉末のうちの１種または２種以上を所定割
合に配合し、混合する。 以上（１）〜（３）のうちのいずれかの混合粉末を、以
下通常の条件で、圧粉体にプレス成形し、焼結すると、
焼結時にＡｍ酸化物−Ａｌ2 Ｏ3 −ＳｉＯ2 系複合酸化
物の液相を形成し、Ａｌ2 Ｏ3 はこの液相に一旦溶解
し、これより析出して成長するが、この場合前記析出Ａ
ｌ2 Ｏ3 結晶は、そのＣ面［（０００１）面］の表面エ
ネルギーが小さく、安定化した状態になっており、一方
Ａｌ2 Ｏ3 結晶は、その全体エネルギーを小さくするよ
うに成長するので、安定な面は広く、不安定な面は狭く
成長することから、前記Ｃ面にそって成長するようにな
り、この結果Ａｌ2 Ｏ3 結晶は組織上板状（細長）とな
り、このようにＡｌ2 Ｏ3 が組織上板状（細長）成長形
状を有し、上記Ａｍ酸化物−Ａｌ2 Ｏ3 −ＳｉＯ2 系複
合酸化物が粒界相として存在するＡｌ2 Ｏ3 基セラミッ
クスは、上記の塊状Ａｌ2 Ｏ3 と同じく塊状のＺｒ
Ｏ2 、部分安定化ＺｒＯ2 ，ＨｆＯ2 、および部分安定
化ＨｆＯ2 のうちの１種または２種以上との混合微細組
織を有する従来Ａｌ2Ｏ3 基セラミックスに比して、一
段とすぐれた靭性を有し、かつ高強度とすぐれた耐摩耗
性を具備するという研究結果を得たのである。
【０００６】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、粒界相形成成分として、Ａｍ酸
化物−Ａｌ2 Ｏ3 −ＳｉＯ2 系複合酸化物：０．０５〜
５％、分散相形成成分として、ＺｒＯ2 、部分安定化Ｚ
ｒＯ2 ，ＨｆＯ2 、および部分安定化ＨｆＯ2 のうちの
１種または２種以上：５〜４０％、を含有し、残りが実
質的に同じく分散相形成成分としてのＡｌ2 Ｏ3 からな
る組成を有し、かつ上記Ａｌ2 Ｏ3 は、その主体が組織
上板状（細長）成長形状を有する靭性のすぐれたＡｌ2
Ｏ3 基セラミックスに特徴を有するものである。
なされたものであって、粒界相形成成分として、Ａｍ酸
化物−Ａｌ2 Ｏ3 −ＳｉＯ2 系複合酸化物：０．０５〜
５％、分散相形成成分として、ＺｒＯ2 、部分安定化Ｚ
ｒＯ2 ，ＨｆＯ2 、および部分安定化ＨｆＯ2 のうちの
１種または２種以上：５〜４０％、を含有し、残りが実
質的に同じく分散相形成成分としてのＡｌ2 Ｏ3 からな
る組成を有し、かつ上記Ａｌ2 Ｏ3 は、その主体が組織
上板状（細長）成長形状を有する靭性のすぐれたＡｌ2
Ｏ3 基セラミックスに特徴を有するものである。
【０００７】つぎに、この発明のＡｌ2 Ｏ3 基セラミッ
クスにおいて、成分組成を上記の通りに限定した理由を
説明する。 （ａ） Ａｍ酸化物−Ａｌ2 Ｏ3 −ＳｉＯ2 系複合酸化
物 この成分には、上記の通り焼結時に液相で存在し、Ａｌ
2 Ｏ3 を板状に成長させ、もって靭性を著しく向上させ
る作用があるが、その含有量が０．０５％未満では前記
作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が５％を
越えると硬さが低下し、かつ高温特性も劣化するように
なることから、その含有量を０．０５〜５％と定めた。
クスにおいて、成分組成を上記の通りに限定した理由を
説明する。 （ａ） Ａｍ酸化物−Ａｌ2 Ｏ3 −ＳｉＯ2 系複合酸化
物 この成分には、上記の通り焼結時に液相で存在し、Ａｌ
2 Ｏ3 を板状に成長させ、もって靭性を著しく向上させ
る作用があるが、その含有量が０．０５％未満では前記
作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が５％を
越えると硬さが低下し、かつ高温特性も劣化するように
なることから、その含有量を０．０５〜５％と定めた。
【０００８】（ｂ） ＺｒＯ2 、部分安定化ＺｒＯ2 ，
ＨｆＯ2 、および部分安定化ＨｆＯ2 これらの成分には、強度を向上させる作用があるが、そ
の含有量が５％未満では所望の強度向上効果が得られ
ず、一方その含有量が４０％を越えると急激に硬さが低
下するようになることから、その含有量を５〜４０％と
定めた。なお、以下これらの成分を総称して強度向上酸
化物という。
ＨｆＯ2 、および部分安定化ＨｆＯ2 これらの成分には、強度を向上させる作用があるが、そ
の含有量が５％未満では所望の強度向上効果が得られ
ず、一方その含有量が４０％を越えると急激に硬さが低
下するようになることから、その含有量を５〜４０％と
定めた。なお、以下これらの成分を総称して強度向上酸
化物という。
【０００９】
【実施例】つぎに、この発明のＡｌ2 Ｏ3 基セラミック
スを実施例により具体的に説明する。 実施例 １ 原料粉末として、いずれも０．１〜５μｍの範囲内の平
均粒径を有する、Ａｌ2 Ｏ3 粉末、ＺｒＯ2 粉末、Ｙ2
Ｏ3 ：３モル％含有の部分安定化ＺｒＯ2 （以下、安定
化ＺｒＯ2 （ａ）という）粉末、表１に示される各種の
Ａｍ化合物粉末、およびＳｉＯ2 粉末を用い、これら原
料粉末を表１に示される配合組成に配合し、ボールミル
で７２時間湿式混合し、乾燥した後、１ton ／cm2 の圧
力でＪＩＳ・ＳＮＧＮ１２０４０８のスローアウェイチ
ップ形状に則した圧粉体並びに靭性を評価する目的で、
曲げ強度および破壊靭性値測定用圧粉体をプレス成形
し、これらの圧粉体を、大気中、１４００〜１６５０℃
の範囲内の所定温度に１時間保持の条件で焼結すること
により表２に示される組成をもった本発明Ａｌ2 Ｏ3基
セラミックス（以下、本発明セラミックスという）１〜
９をそれぞれ製造した。
スを実施例により具体的に説明する。 実施例 １ 原料粉末として、いずれも０．１〜５μｍの範囲内の平
均粒径を有する、Ａｌ2 Ｏ3 粉末、ＺｒＯ2 粉末、Ｙ2
Ｏ3 ：３モル％含有の部分安定化ＺｒＯ2 （以下、安定
化ＺｒＯ2 （ａ）という）粉末、表１に示される各種の
Ａｍ化合物粉末、およびＳｉＯ2 粉末を用い、これら原
料粉末を表１に示される配合組成に配合し、ボールミル
で７２時間湿式混合し、乾燥した後、１ton ／cm2 の圧
力でＪＩＳ・ＳＮＧＮ１２０４０８のスローアウェイチ
ップ形状に則した圧粉体並びに靭性を評価する目的で、
曲げ強度および破壊靭性値測定用圧粉体をプレス成形
し、これらの圧粉体を、大気中、１４００〜１６５０℃
の範囲内の所定温度に１時間保持の条件で焼結すること
により表２に示される組成をもった本発明Ａｌ2 Ｏ3基
セラミックス（以下、本発明セラミックスという）１〜
９をそれぞれ製造した。
【００１０】
【表１】
【００１１】
【表２】
【００１２】実施例 ２ 原料粉末として、上記実施例１で用いた原料粉末に加え
て、同じくいずれも０．１〜５μｍの範囲内の平均粒径
を有する、Ｙ2 Ｏ3 ：２モル％含有の部分安定化ＺｒＯ
2 （以下、安定化ＺｒＯ2 （ｂ）という）粉末、ＣｅＯ
2 ：１２モル％含有のＺｒＯ2 （以下、安定化ＺｒＯ2
（ｃ）という）粉末、ＨｆＯ2 粉末、Ｙ2 Ｏ3 ：３モル
％含有の部分安定化ＨｆＯ2 （以下、安定化ＨｆＯ2 と
いう）粉末、および表３，４に示される各種のＡｍ化合
物粉末、さらに組成式：Ｓｉ（ＯＣＨ3 ），Ｓｉ（ＯＣ
2 Ｈ5 ）、およびＳｉ（ＯＣ3 Ｈ7 ）を有するＳｉアル
コキシド（表３，４では、それぞれ（１），（２）、お
よび（３）で示す）を用い、まず、これらの原料粉末の
うちのＡｍ化合物粉末と、ＳｉＯ2 粉末またはＳｉアル
コキシドをＡｌ2 Ｏ3 粉末に表３，４に示される割合
（全体に占める割合で示す）で配合し、ボールミルで７
２時間混合した後、大気中、６００〜１０５０℃の範囲
内の所定温度に１時間または２時間保持の条件で仮焼
し、ついでこれに同じく表３，４に示される割合（同じ
く全体に占める割合で示す）で強度向上酸化物粉末を配
合し、ボールミルで７２時間湿式混合し、Ｓｉアルコキ
シドを用いた場合にはこれの水添加による加水分解を行
ない、乾燥した後、実施例１におけると同一の条件で圧
粉体にプレス成形し、かつ焼結することにより表５，６
に示される組成をもった本発明セラミックス１０〜３３
をそれぞれ製造した。
て、同じくいずれも０．１〜５μｍの範囲内の平均粒径
を有する、Ｙ2 Ｏ3 ：２モル％含有の部分安定化ＺｒＯ
2 （以下、安定化ＺｒＯ2 （ｂ）という）粉末、ＣｅＯ
2 ：１２モル％含有のＺｒＯ2 （以下、安定化ＺｒＯ2
（ｃ）という）粉末、ＨｆＯ2 粉末、Ｙ2 Ｏ3 ：３モル
％含有の部分安定化ＨｆＯ2 （以下、安定化ＨｆＯ2 と
いう）粉末、および表３，４に示される各種のＡｍ化合
物粉末、さらに組成式：Ｓｉ（ＯＣＨ3 ），Ｓｉ（ＯＣ
2 Ｈ5 ）、およびＳｉ（ＯＣ3 Ｈ7 ）を有するＳｉアル
コキシド（表３，４では、それぞれ（１），（２）、お
よび（３）で示す）を用い、まず、これらの原料粉末の
うちのＡｍ化合物粉末と、ＳｉＯ2 粉末またはＳｉアル
コキシドをＡｌ2 Ｏ3 粉末に表３，４に示される割合
（全体に占める割合で示す）で配合し、ボールミルで７
２時間混合した後、大気中、６００〜１０５０℃の範囲
内の所定温度に１時間または２時間保持の条件で仮焼
し、ついでこれに同じく表３，４に示される割合（同じ
く全体に占める割合で示す）で強度向上酸化物粉末を配
合し、ボールミルで７２時間湿式混合し、Ｓｉアルコキ
シドを用いた場合にはこれの水添加による加水分解を行
ない、乾燥した後、実施例１におけると同一の条件で圧
粉体にプレス成形し、かつ焼結することにより表５，６
に示される組成をもった本発明セラミックス１０〜３３
をそれぞれ製造した。
【００１３】
【表３】
【００１４】
【表４】
【００１５】
【表５】
【００１６】
【表６】
【００１７】実施例 ３ 実施例１，２で用いた原料粉末のほかに、Ａｍ化合物粉
末として、平均粒径：２μｍのＫ2 ＮＯ3 粉末と、同１
μｍのＬｉ2 ＳＯ4 粉末を用い、これら原料粉末のうち
のＡｍ化合物粉末、ＳｉＯ2 粉末またはＳｉアルコキシ
ド、およびＡｌ2 Ｏ3 粉末を表７に示される配合組成に
配合し、ボールミルで７２時間混合した後、大気中、１
０５０〜１５００℃の範囲内の所定温度に１時間または
２時間保持の条件で焼結してＡｍ酸化物−Ａｌ2 Ｏ3 −
ＳｉＯ2 系複合酸化物（表１〜７では複合酸化物と略記
する）を形成し、これの粉砕粉末と、強度向上酸化物粉
末と、Ａｌ2 Ｏ3 粉末とを同じく表４に示される配合組
成に配合し、以後実施例２におけると同一の条件で、混
合し、乾燥し、圧粉体にプレス成形し、焼結することに
より配合組成と実質的に同一の成分組成をもった本発明
セラミックス３４〜４５をそれぞれ製造した。また、比
較の目的で、上記の原料粉末を用い、これを表８に示さ
れる配合組成に配合する以外は実施例１におけると同一
の条件で、実質的に配合組成と同じ成分組成をもった従
来Ａｌ2 Ｏ3 基セラミックス（以下、従来セラミック
ス）１〜６を製造した。
末として、平均粒径：２μｍのＫ2 ＮＯ3 粉末と、同１
μｍのＬｉ2 ＳＯ4 粉末を用い、これら原料粉末のうち
のＡｍ化合物粉末、ＳｉＯ2 粉末またはＳｉアルコキシ
ド、およびＡｌ2 Ｏ3 粉末を表７に示される配合組成に
配合し、ボールミルで７２時間混合した後、大気中、１
０５０〜１５００℃の範囲内の所定温度に１時間または
２時間保持の条件で焼結してＡｍ酸化物−Ａｌ2 Ｏ3 −
ＳｉＯ2 系複合酸化物（表１〜７では複合酸化物と略記
する）を形成し、これの粉砕粉末と、強度向上酸化物粉
末と、Ａｌ2 Ｏ3 粉末とを同じく表４に示される配合組
成に配合し、以後実施例２におけると同一の条件で、混
合し、乾燥し、圧粉体にプレス成形し、焼結することに
より配合組成と実質的に同一の成分組成をもった本発明
セラミックス３４〜４５をそれぞれ製造した。また、比
較の目的で、上記の原料粉末を用い、これを表８に示さ
れる配合組成に配合する以外は実施例１におけると同一
の条件で、実質的に配合組成と同じ成分組成をもった従
来Ａｌ2 Ｏ3 基セラミックス（以下、従来セラミック
ス）１〜６を製造した。
【００１８】
【表７】
【００１９】
【表８】
【００２０】ついで、この結果得られた各種のセラミッ
クスを切削工具として用い、 被削材：ＳＮＣＭ４４０（硬さ：ＨB ２５０）の長さ方
向２本縦溝入り丸棒、 切削速度：４００ｍ／min.、 切込み：１mm、 送り：０．１５mm／rev.、 切削時間：１５分、 の条件での鋼の湿式断続切削試験、並びに、 被削材：ＳＮＣＭ４４０（硬さ：ＨB ２５０）の丸棒、 切削速度：３００ｍ／min.、 切込み：１．５mm、 送り：０．２mm／rev.、 切削時間：１０分、 の条件での鋼の湿式連続切削試験を行ない、いずれの切
削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。これらの測
定結果を表９〜１１に示した。また、表９〜１１には曲
げ強度および破壊靭性値の測定結果も合せて示した。さ
らに、その組織を走査型電子顕微鏡により観察したとこ
ろ、本発明セラミックス１〜４５は、いずれもＡｌ2 Ｏ
3 結晶が板状（組織写真には細長い形で見える）に成長
し、一方ＺｒＯ2 およびＨｆＯ2 結晶は塊状のままで存
在する組織をもつのに対して、従来セラミックス１〜６
は、いずれも塊状のＡｌ2 Ｏ3 結晶と、同じく塊状のＺ
ｒＯ2 またはＨｆＯ2 結晶との混合組織をもつものであ
った。
クスを切削工具として用い、 被削材：ＳＮＣＭ４４０（硬さ：ＨB ２５０）の長さ方
向２本縦溝入り丸棒、 切削速度：４００ｍ／min.、 切込み：１mm、 送り：０．１５mm／rev.、 切削時間：１５分、 の条件での鋼の湿式断続切削試験、並びに、 被削材：ＳＮＣＭ４４０（硬さ：ＨB ２５０）の丸棒、 切削速度：３００ｍ／min.、 切込み：１．５mm、 送り：０．２mm／rev.、 切削時間：１０分、 の条件での鋼の湿式連続切削試験を行ない、いずれの切
削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。これらの測
定結果を表９〜１１に示した。また、表９〜１１には曲
げ強度および破壊靭性値の測定結果も合せて示した。さ
らに、その組織を走査型電子顕微鏡により観察したとこ
ろ、本発明セラミックス１〜４５は、いずれもＡｌ2 Ｏ
3 結晶が板状（組織写真には細長い形で見える）に成長
し、一方ＺｒＯ2 およびＨｆＯ2 結晶は塊状のままで存
在する組織をもつのに対して、従来セラミックス１〜６
は、いずれも塊状のＡｌ2 Ｏ3 結晶と、同じく塊状のＺ
ｒＯ2 またはＨｆＯ2 結晶との混合組織をもつものであ
った。
【００２１】
【表９】
【００２２】
【表１０】
【００２３】
【表１１】
【００２４】
【発明の効果】表１〜１１に示される結果から、本発明
セラミックス１〜４５は、いずれも従来セラミックス１
〜６に比して一段とすぐれた靭性を有し、したがってこ
れを切削工具として用いた場合、鋼の連続切削では両者
ともすぐれた切削性能を発揮するものの、高靭性が要求
される鋼の断続切削では、従来セラミックス１〜６はい
ずれも靭性不足が原因で切刃に欠損が発生し、比較的短
時間で使用寿命に至るのに対して、本発明セラミックス
１〜４５は、いずれも切刃に欠損やチッピングの発生な
く、すぐれた耐摩耗性を示すことが明らかである。上述
のように、この発明のＡｌ2 Ｏ3 基セラミックスは、高
靭性を有し、かつ高強度も具備するので、これを、例え
ば切削工具として用いた場合、断続切削および連続切削
のいずれにも適用できることから、切削加工のＦＡ化お
よび省力化にも寄与できるなど工業上有用な特性を有す
るのである。
セラミックス１〜４５は、いずれも従来セラミックス１
〜６に比して一段とすぐれた靭性を有し、したがってこ
れを切削工具として用いた場合、鋼の連続切削では両者
ともすぐれた切削性能を発揮するものの、高靭性が要求
される鋼の断続切削では、従来セラミックス１〜６はい
ずれも靭性不足が原因で切刃に欠損が発生し、比較的短
時間で使用寿命に至るのに対して、本発明セラミックス
１〜４５は、いずれも切刃に欠損やチッピングの発生な
く、すぐれた耐摩耗性を示すことが明らかである。上述
のように、この発明のＡｌ2 Ｏ3 基セラミックスは、高
靭性を有し、かつ高強度も具備するので、これを、例え
ば切削工具として用いた場合、断続切削および連続切削
のいずれにも適用できることから、切削加工のＦＡ化お
よび省力化にも寄与できるなど工業上有用な特性を有す
るのである。
Claims (1)
- 【請求項１】 重量％で、 粒界相形成成分として、Ａｍ酸化物−Ａｌ2 Ｏ3 −Ｓｉ
Ｏ2 系複合酸化物：０．０５〜５％、 分散相形成成分として、酸化ジルコニウム、部分安定化
酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、および部分安定化
酸化ハフニウムのうちの１種または２種以上：５〜４０
％、を含有し、残りが実質的に同じく分散相形成成分と
しての酸化アルミニウムからなる組成（ただし、上記Ａ
ｍはアルカリ金属およびＭｇを除くアルカリ土類金属の
うちの１種または２種以上を示す）を有し、かつ上記酸
化アルミニウムは、その主体が組織上板状（細長）成長
形状を有することを特徴とする靭性のすぐれた酸化アル
ミニウム基セラミックス。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5093626A JP2964830B2 (ja) | 1993-03-29 | 1993-03-29 | 靭性のすぐれた酸化アルミニウム基セラミックス |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5093626A JP2964830B2 (ja) | 1993-03-29 | 1993-03-29 | 靭性のすぐれた酸化アルミニウム基セラミックス |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06279100A JPH06279100A (ja) | 1994-10-04 |
| JP2964830B2 true JP2964830B2 (ja) | 1999-10-18 |
Family
ID=14087544
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP5093626A Expired - Fee Related JP2964830B2 (ja) | 1993-03-29 | 1993-03-29 | 靭性のすぐれた酸化アルミニウム基セラミックス |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2964830B2 (ja) |
-
1993
- 1993-03-29 JP JP5093626A patent/JP2964830B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH06279100A (ja) | 1994-10-04 |
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| JPS6257596B2 (ja) |
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