JP2963547B2 - フルオラン化合物の結晶性溶媒和物およびその製造方法ならびにこの結晶性溶媒和物を含有する記録材料 - Google Patents

フルオラン化合物の結晶性溶媒和物およびその製造方法ならびにこの結晶性溶媒和物を含有する記録材料

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JP2963547B2 JP3001510A JP151091A JP2963547B2 JP 2963547 B2 JP2963547 B2 JP 2963547B2 JP 3001510 A JP3001510 A JP 3001510A JP 151091 A JP151091 A JP 151091A JP 2963547 B2 JP2963547 B2 JP 2963547B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感圧記録材料、感熱記
録材料等の記録材料に用いられる発色性化合物として有
用なフルオラン化合物に関し、さらに詳しくは、フルオ
ラン化合物の結晶性溶媒和物、該結晶性溶媒和物の製造
方法および該結晶性溶媒和物を含有する記録材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、無色ないし淡色の電子供与性化合
物(発色性化合物)と有機もしくは無機の電子受容性物
質(顕色剤)との呈色反応を利用し、圧力、熱または電
気等の外部エネルギーの媒介により、伝達される情報を
記録する方式として、感圧記録、感熱記録および通電感
熱記録等がある。これらの記録方式には、発色性化合物
としてフルオラン化合物が広く用いられている。このよ
うなフルオラン化合物として各種の新規な化合物または
変性した化合物が提案されている。しかし、なお、各種
の記録材料用としての特性を具備するものが開発されて
いる。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】本発明の課題は、新規なフルオラン化合物
の記録材料への適用性を更に向上させることを目的と
し、特に、感圧記録剤料として適用する際に、カプセル
オイルに対する溶解速度の改善されたフルオラン化合物
を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】本発明者等は、記録材料用の発色性化合物
として、新規フルオラン化合物について検討し、一般式
(1)
【化2】 (式中、R1 およびR2 はシクロヘキシル基、n−ブチ
ル基またはイソブチル基を示す、ただし、R1 およびR
2 がともに同一の基の場合を除く)で表されるフルオラ
ン化合物が、非常に優れた発色性化合物であることを見
い出し、先に出願した(特願平2−185327号)。
この一般式(1)で表されるフルオラン化合物は、例え
ば、感圧記録材料用として、カプセルオイルに対する溶
解度が非常に良好であり、記録材料用発色化合物として
の適用性に優れている。本発明者等は、この一般式
(1)で表されるフルオラン化合物に関して、記録材料
用としての適用性の向上について、さらに検討した結
果、一般式(1)で表されるフルオラン化合物がベンゼ
ンまたはキシレンの有機溶媒と結晶性溶媒和物を形成
し、この結晶性溶媒和物はカプセルオイルに対する溶解
速度が大きく改善されたものであることを見い出し、本
発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、一般式(1)
【化3】 (式中、R1 およびR2 はシクロヘキシル基、n−ブチ
ル基またはイソブチル基を示す、ただし、R1 およびR
2 がともに同一の基の場合を除く)で表されるフルオラ
ン化合物とベンゼンまたはキシレンの有機溶媒とより構
成されるフルオラン化合物の結晶性溶媒和物であり、ま
た、この結晶性溶媒和物を、一般式(1)で表されるフ
ルオラン化合物をベンゼンまたはキシレンのそれぞれ単
独溶媒、あるいはベンゼンまたはキシレンを50重量%以
上含有する有機溶媒中から結晶として析出させることを
特徴とする該結晶性溶媒和物の製造法である。さらには
該結晶性溶媒和物を含有することを特徴とする記録材料
である。
【0006】本発明の一般式(1)で表されるフルオラ
ン化合物の結晶性溶媒和物は、一般式(1)で表される
フルオラン化合物とベンゼンまたはキシレンとより構成
されることを特徴とする。例えば、一般式(1)におい
て、R1がシクロヘキシル基であり、R2 がn−ブチル
基であるフルオラン化合物は、ベンゼン、o−キシレン
またはm−キシレンと特に好ましい結晶性溶媒和物を形
成する。また、一般式(1)において、R1 がイソブチ
ル基であり、R2 がn−ブチル基であるフルオラン化合
物は、o−キシレン、m−キシレンまたはp−キシレン
と特に好ましい結晶性溶媒和物を形成する。
【0007】本発明の一般式(1)で表されるフルオラ
ン化合物とベンゼンまたはキシレンとより構成されるフ
ルオラン化合物の結晶性溶媒和物を製造するには、一般
式(1)で表されるフルオラン化合物をベンゼンまたは
キシレンのそれぞれの単独溶媒あるいはベンゼンまたは
キシレンを50重量%以上含有する有機溶媒中より結晶と
して析出させて製造することができる。例えば、キシレ
ンとの結晶性溶媒和物を製造するには、有機溶媒として
キシレンまたはキシレンを50重量%以上含有する有機溶
媒に一般式(1)で表されるフルオラン化合物を溶解
し、この溶媒中より結晶として析出させる。
【0008】上記の方法において、一般式(1)で表さ
れるフルオラン化合物と溶媒和物を構成するベンゼンま
たはキシレンは、好ましくはそれぞれ単独溶媒として使
用されるが、ベンゼンまたはキシレンを50重量%以上含
有するその他の有機溶媒との混合有機溶媒として使用し
てもよい。この場合、ベンゼンまたはキシレン以外の有
機溶媒としては、例えば、メタノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール等のアルコール類、またはアセト
ン、エチルエチルケトン等のケトン類、または酢酸エチ
ル等のエステル類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等
のエーテル類等が挙げられる。このような混合有機溶媒
では、ベンゼンまたはキシレンの含有率が、50重量%未
満では、目的とする結晶性溶媒和物とともに溶媒和され
ていない結晶が析出してくることがあるので好ましくな
い。結晶性溶媒和物を効率的に析出させるには、混合有
機溶媒中のベンゼンまたはキシレンの含有率が50重量%
以上であり、より好ましくは、含有率80重量%以上であ
る。さらに好ましくはベンゼンまたはキシレンを単独で
使用する。
【0009】結晶性溶媒和物の製造に使用する有機溶媒
の量は、一般式(1)で表されるフルオラン化合物に対
して、0.4 重量倍以上である。有機溶媒を多量に用いる
ことは、特に問題ではないが、結晶を析出させるために
濃縮等の操作を行なう必要が生じたりするため実用上好
ましくない。使用する有機溶媒の量は、通常、一般式
(1)で表されるフルオラン化合物に対して、0.4 〜10
0 重量倍であり、好ましくは0.5 〜50重量倍である。結
晶性溶媒和物を結晶として析出させるには、有機溶媒中
にフルオラン化合物を一旦完溶させた後、冷却し、析出
させる方法が多用される。この際、必要により、フルオ
ラン化合物を完溶させるために室温以上有機溶媒の沸点
の範囲で加熱してもよい。完溶後に攪拌下または静置し
て結晶を析出させる。析出した結晶は、公知の方法、例
えば、濾過した後、乾燥を行ない、目的とするフルオラ
ン化合物の結晶性溶媒和物を得ることができる。
【0010】上述したように製造される本発明のフルオ
ラン化合物のベンゼンまたはキシレンで溶媒和された結
晶性溶媒和物の融点を、溶媒和されていない一般式
(1)で表されるフルオラン化合物の結晶の融点ととも
に表1に示した。
【表1】
【0011】また、これらの結晶性溶媒和物のCu-Kα線
を用いて測定した粉末X線回折図を図1〜図6に示し
た。これらの粉末X線回折図から明らかなように本発明
のフルオラン化合物の結晶性溶媒和物は特有のピークを
有する結晶である。例えば、一般式(1)において、
1 がシクロヘキシル基で、R2 がn−ブチル基である
フルオラン化合物とベンゼンとから構成される結晶性溶
媒和物(以下、結晶性溶媒和物A−1と称する)は、図
1に示す粉末X線回折図において、回折角(2θ)6.
3°に強いピーク、20.1°に比較的強いピークを示
している。同様に、一般式(1)において、 R1 がシ
クロヘキシル基で、R2 がn−ブチル基であるフルオラ
ン化合物とo−キシレンとから構成される結晶性溶媒和
物(以下、結晶性溶媒和物A−2と称する)は、図2に
示す粉末X線回折図において、回折角(2θ)5.5°
に強いピーク、17.7°および18.6°に比較的強
いピークを示し、一般式(1)において、 R1 がシク
ロヘキシル基で、R2 がn−ブチル基であるフルオラン
化合物とm−キシレンとから構成される結晶性溶媒和物
(以下、結晶性溶媒和物A−3と称する)は、図3に示
す粉末X線回折図において、回折角(2θ)5.5°に
強いピーク、17.5°および18.6°に比較的強い
ピークを示している。更に、R1 がイソブチル基で、R
2 がn−ブチル基であるフルオラン化合物とo−キシレ
ンとから構成される結晶性溶媒和物(以下、結晶性溶媒
和物B−1と称する)は、図4に示す粉末X線回折図に
おいて、回折角(2θ)5.7°に強いピーク、21.
7°に比較的強いピークを示している。同様に、一般式
(1)において、R1がイソブチル基で、R2 がn−ブ
チル基であるフルオラン化合物とm−キシレンとから構
成される結晶性溶媒和物(以下、結晶性溶媒和物B−2
と称する)は、図5に示す粉末X線回折図において、回
折角(2θ)5.7°に強いピーク、17.5°、1
8.7°および20.3°に比較的強いピークを示し、
一般式(1)において、R1 がイソブチル基で、R2
n−ブチル基であるフルオラン化合物とp−キシレンと
から構成される結晶性溶媒和物(以下、結晶性溶媒和物
B−3と称する)は、図6に示す粉末X線回折図におい
て、回折角(2θ)5.6°に強いピークを示してい
る。なお、各結晶性溶媒和物の粉末X線回折図はCu−
Kα線によるX線回折法で測定したものであり、回折各
(2θ)表示において±0.2°程度の誤差は許容され
るものである。
【0012】本発明のフルオラン化合物の結晶性溶媒和
物は、一般式(1)で表されるフルオラン化合物が結晶
化する際に、ベンゼンまたはキシレンと何らかの相互作
用をして、結晶格子中にベンゼンまたはキシレンを取り
込んだ結晶であると考えられる。例えば、結晶性溶媒和
物(A−1)をDMSO-d6 中で 1H−NMRスペクトルを
測定すると、一般式(1)において、R1 がシクロヘキ
シル基、R2 がn−ブチル基であるフルオラン化合物に
由来するピークとベンゼンに由来するピークが観測され
ることより、該結晶性溶媒和物は溶液状態ではフルオラ
ン分子とベンゼン分子とに解離していることがわかる。
本発明の一般式(1)で表されるフルオラン化合物とベ
ンゼンまたはキシレンとより構成されるフルオラン化合
物の結晶性溶媒和物は、それぞれの融点以下では安定な
結晶として取り扱うことができる。一方、該結晶性溶媒
和物は、例えば、イソプロパノール、n-ブタノールまた
はアセトニトリル中で加熱処理すると容易に、ベンゼン
またはキシレンで溶媒和されていない一般式(1)で表
されるフルオラン化合物の結晶へと変換することができ
る。
【0013】本発明の結晶性溶媒和物は、前記表1に示
すように溶媒和していない化合物に比べ融点が低く、ま
た後記表2に示すようにカプセルオイルに対する溶解速
度が速く、発色性化合物として種々の記録材料への適用
性が拡大した。本発明の結晶性溶媒和物を含有する記録
材料では、一般式(1)で表されるフルオラン化合物の
結晶性溶媒和物を単独または複数で用いることも、更に
は、例えば、発色の色相などを調整するために、他の発
色性化合物、例えば、トリフエニルメタンラクトン類、
フルオラン類、スピロピラン類等の発色性化合物を所望
に応じて混合して用いることもできる。すなわち、本発
明の結晶性溶媒和物を含有する感圧記録材料は、それを
この分野で常用される溶剤、例えば、アルキルベンゼン
系(n-ドデシルベンゼン等)、アルキルビフェニル系
(トリエチルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル
等)、水素化ターフェニル系、アルキルナフタレン系
(ジイソプロピルナフタレン等)、ジアリールエタン系
(フェニルキシリルエタン、スチレン化エチルベンゼン
等)、または塩素化パラフィン系の各種溶剤の単独又は
混合溶剤に溶解し、該溶液をコアセルベーション法、界
面重合法等の方法で、ゼラチン、メラミン−アルデヒ
ド、又は尿素−アルデヒド樹脂、ポリウレタン、ポリ尿
素、ポリアミド等の隔壁を有するマイクロカプセル中に
封入し、得られたカプセルの水分散液を適当な結着剤
(例えば、澱粉糊、ラテックス等)等と共に適当な支持
体(例えば、紙、プラスチックシート、樹脂被膜された
紙等)上に塗布し、感圧記録上用シートとし、使用する
ことができる。もちろん、支持体の片面に上記のカプセ
ル分散液を塗布し、反対面に顕色剤を主体とする顕色剤
塗液を塗布した、いわゆる中用シート、更には、支持体
の同一面に上記カプセルと顕色剤が混在する塗液を塗布
するか、カプセル分散液を塗布した上に顕色剤塗液を塗
布するなどして、同一面に上記カプセルと顕色剤を共存
させた、いわゆる単体複写シートなどにも使用できる。
この場合、顕色剤としては、サリチル酸とフェノール類
とアルデヒド類(例えば、ホルムアルデヒド樹脂)によ
る共重合物、置換サリチル酸(アルキル置換、アリール
置換またはアラルキル置換体の極めて多くが知られ、例
えば、3,5-ジ-α-メチルベンジルサリチル酸がある)、
置換サリチル酸とスチレンとの共縮合樹脂、アルキルフ
ェノール類(例えば、オクチルフェノール)、フェノー
ル−アルデヒド樹脂(例えば、p-フェニルフェノールの
ノボラック樹脂)またはこれらの金属塩(例えば、亜
鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スズ、
ニッケル等の金属塩)、更には活性白土類があげられ
る。
【0014】また感熱記録材料に用いる時には本発明の
結晶性溶媒和物と顕色剤(例えば、ビスフェノールAま
たはそのハロゲン化物もしくはアルキル化物、ジヒドロ
キシジフェニルスルホンまたはそのハロゲン化物もしく
はアルキル化物、ヒドロキシ安息香酸エステル類、ハイ
ドロキノンモノエーテル類のようなフェノール類、サリ
チル酸誘導体、サリチル酸アミド誘導体、尿素誘導体、
チオ尿素誘導体等のような有機顕色剤、または酸性白
土、アタパルガイト、活性白土、塩化アルミニウム、臭
化亜鉛のような無機顕色剤)の微細水分散液に結着剤
(例えば、ポリビニルアルコールまたはその変性物、メ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、アラビアゴム、スチレン−無水
マレイン酸共重合物の塩または、イソブチレン−アクリ
ル酸−無水マレイン酸の共重合物など)、顔料(タル
ク、カオリン、炭酸カルシウム等)、更に、必要に応
じ、増感剤(高級脂肪酸アミド類、芳香族カルボン酸、
またはスルホン酸のエステル類、芳香族ないし芳香族基
置換脂肪族エーテル類、または芳香族ないし芳香族基置
換脂肪族炭化水素等一般に公知の感熱記録材用増感
剤)、その他の添加剤(例えば、紫外線吸収剤、消泡剤
等)を加え、微細分散液とし、適当な支持体(例えば、
紙、プラスチックシート、樹脂被膜された紙等)上に塗
布し、感熱記録材料として使用することができる。勿
論、水分散系でなく、溶剤を使用する系においても問題
なく使用できる。また、その他の発色性化合物を使用す
る用途(例えば、示温材料)にも使用できる。
【作用】
【0015】本発明の結晶性溶媒和物は、感圧記録材料
用の発色性化合物に求められる重要な特性であるカプセ
ルオイルに対する溶解度が、高く、かつ溶解速度が非常
に速い。本発明の結晶性溶媒和物と一般式(1)で表さ
れる溶媒和されていない結晶とのカプセルオイルに対す
る溶解速度を比較した結果を表2に示した。溶解速度は
カプセルオイルとしてSAS−296(日本石油化学
製)を用い、80℃で各化合物がカプセルオイルに対して
10重量%溶解するまでの時間を測定したものである。こ
の表2から、本発明の結晶性溶媒和物は溶媒和されてい
ない結晶に比較して、カプセルオイルに対する溶解速度
が2倍以上速いことが明らかである。
【表2】
【実施例】
【0016】以下、実施例により本発明を更に具体的に
説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるも
のではない。
【実施例1】結晶性溶媒和物(A−1)の構造 一般式(1)においてR1 がシクロヘキシル基で、R2
がn−ブチル基であるフルオラン化合物 30 gを40mlの
ベンゼンに加熱還流し溶解した。室温にまで冷却し、析
出した結晶を濾過し、n-ヘキサンで洗浄後40℃で乾燥を
行ない、25gの結晶を得た。融点 130〜135 ℃、粉末X
線回折図を図1に示した。
【実施例2】結晶性溶媒和物(A−2)の製造 実施例1においてベンゼンの代りにo-キシレンを使用し
た他は実施例1に記載した方法により23gの結晶を得
た。融点 135〜140℃、粉末X線回折図を図2に示し
た。
【実施例3】結晶性溶媒和物(A−3)の製造 実施例1においてベンゼンの代りにm-キシレンを使用し
た他は実施例1に記載した方法により22gの結晶を得
た。融点 125〜128℃、粉末X線回折図は図3に示し
た。
【実施例4】結晶性溶媒和物(B−1)の製造 一般式(1)において、R1 がイソブチル基、R2 がn
−ブチル基で表されるフルオラン化合物30gを40mlのo-
キシレンに加熱還流し、溶解した。室温にまで冷却し析
出した結晶を濾過し、n-ヘキサンで洗浄後40℃で乾燥を
行ない24gの結晶を得た。融点107〜111 ℃、粉末X線
回折図は図4に示した。
【実施例5】結晶性溶媒和物(B−2)の製造 実施例4においてo-キシレンの代りにm-キシレンを使用
した他は実施例4に記載した方法により24gの結晶を得
た。融点 115〜118 ℃、粉末X線回折図を図5に示し
た。
【実施例6】結晶性溶媒和物(B−3)の製造 実施例4においてo-キシレンの代りにp-キシレンを使用
した他は実施例5に記載した方法により25gの結晶を得
た。融点 115〜120 ℃、粉末X線回折図は図6に示し
た。
【0017】
【実施例7】結晶性溶媒和物(A−1)を用いた感熱記
録紙の作成 結晶性溶媒和物(A−1)の結晶10g、10%ポリビニー
ルアルコール水溶液5g及び水37.5gの混合物をサンド
ミルで粒径3μに微粒化した。一方、ビスフェノールA
を同様に分散し、38%の顕色剤分散液を得た。この顕色
剤分散液65.8g、上記の結晶の水分散液50g、60%軽質
炭酸カルシウム水分散液18.3g 、10%ポリビニールアル
コール水溶液88g及び水51.9gを混合した。この混合液
を白色原紙にワイヤーロッドNo.10を用い、塗布後、室
温で風乾し、感熱記録紙を得た。この感熱記録紙は加熱
により、極めて迅速に、わずかに赤味を帯びた黒色に発
色した。
【実施例8〜12】実施例7において結晶性溶媒和物
(A−1)の代りに結晶性溶媒和物(A−2)、(A−
3)、(B−1)、(B−2)および(B−3)をそれ
ぞれ用いた他は実施例7に記載した方法によりそれぞれ
感熱記録紙を作成した。それぞれの感熱記録紙は、加熱
により、極めて迅速にわずかに赤味を帯びた黒色に発色
した。
【0018】
【実施例13】結晶性溶媒和物(A−1)を用いた感圧
記録紙の作成 上用(CB)紙、及び下用(CF)紙の作成は以下のように製造
した。すなわち、エチレン−無水マレイン酸共重合物の
10%水溶液100gおよび水240 gを混合し、10%水酸化
ナトリウム水溶液でpH4.0 とし、結晶性溶媒和物(A−
1)の結晶を5重量%溶解したフェニルキシリルエタン
(日本石油化学製 SAS-296)200gを混合し、ホモミキサ
ーで乳化した後、固形分50%のメチロールメラミン水溶
液(三井東圧化学製ユーラミンT-30) 60gを加え、攪き
混ぜつつ55℃に3時間保持し、平均粒径5.0 μのマイク
ロカプセル分散液を得た。このマイクロカプセル分散液
100 gに、小麦粉澱粉粒4.0 gと20%酸化澱粉糊20gお
よび水116 gを加えて分散し、坪量40g/m2 の紙に塗
布量が固形分で5g/m2 となるように塗布し、CB紙を
得た。一方、CF紙は、顕色剤として置換サリチル酸と
スチレンの共縮合樹脂の亜鉛塩を用い、少量の高分子ア
ニオン系界面活性剤の存在下、水中で、サンドグライデ
ィングミルで微細化し、固形分40重量%の水分散液を得
た。この水分散液を用い、下記組成の水性塗料(固形分
30%)を作り、秤量40g/m2 の上質紙に乾燥塗布量5.
5 g/m2となるように塗布し、CF紙を作成した。 CB紙のマイクロカプセル塗布面と、CF紙の顕色剤
塗布面が、相対向するように重ね合わせ、筆記、加圧し
たところ、顕色剤塗布面に赤黒の発色像が得られた。こ
の発色像の耐光性、耐湿性および耐NOX 性は実用上、問
題なかった。
【実施例14〜18】実施例13において、結晶性溶媒
和物(A−1)の代りに結晶性溶媒和物(A−2)、
(A−3)、(B−1)、(B−2)および(B−3)
をそれぞれ用いた他は、実施例13に記載した方法によ
りそれぞれCB紙とCF紙を作成し、同様にして発色像
を得た。それぞれの発色像の耐光性、耐湿性および耐NO
X 性は実用上問題なかった。
【0019】
【発明の効果】本発明の結晶性溶媒和物は、記録材料、
特に感圧記録材料用の発色性化合物として使用する場
合、カプセルオイルに対する溶解速度が速く、産業利用
上有益な発色性化合物である。
【0020】
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶性溶媒和物(A−1)の粉末X線回折図を
示す。
【図2】結晶性溶媒和物(A−2)の粉末X線回折図を
示す。
【図3】結晶性溶媒和物(A−3)の粉末X線回折図を
示す。
【図4】結晶性溶媒和物(B−1)の粉末X線回折図を
示す。
【図5】結晶性溶媒和物(B−2)の粉末X線回折図を
示す。
【図6】結晶性溶媒和物(B−3)は粉末X線回折図を
示す。各図面において、横軸は回折角(2θ) を表し、
縦軸は回折強度を表す。
フロントページの続き (72)発明者 吉川 和良 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学 株式会社内 (72)発明者 山口 彰宏 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学 株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−209658(JP,A) 特開 昭60−199064(JP,A) 特開 平1−283183(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 493/10 C09B 11/28 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、R1 およびR2 はシクロヘキシル基、n−ブチ
    ル基またはイソブチル基を示す、ただし、R1 およびR
    2 がともに同一の基の場合を除く)で表されるフルオラ
    ン化合物とベンゼンまたはキシレンとから構成されるフ
    ルオラン化合物の結晶性溶媒和物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の一般式(1)で表される
    フルオラン化合物をベンゼンまたはキシレンに溶解さ
    せ、その溶液から結晶として析出させることを特徴とす
    る請求項1記載のフルオラン化合物の結晶性溶媒和物の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の一般式(1)で表される
    フルオラン化合物をベンゼンまたはキシレンを50重量
    %以上含有する有機溶媒に溶解させ、その溶液から結晶
    として析出させることを特徴とする請求項1記載のフル
    オラン化合物の結晶性溶媒和物の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の結晶性溶媒和物を含有する
    ことを特徴とする記録材料。
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