JP2958522B2 - コモンモードチョークコイルおよびその製造方法 - Google Patents

コモンモードチョークコイルおよびその製造方法

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JP2958522B2
JP2958522B2 JP6398098A JP6398098A JP2958522B2 JP 2958522 B2 JP2958522 B2 JP 2958522B2 JP 6398098 A JP6398098 A JP 6398098A JP 6398098 A JP6398098 A JP 6398098A JP 2958522 B2 JP2958522 B2 JP 2958522B2
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東 政 博 坂
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はコモンモードチョ
ークコイルに関し、特にたとえば、チップタイプの巻線
型コモンモードチョークコイルに関する。
【0002】
【従来の技術】図9は、従来のコモンモードチョークコ
イルの一例を示す正面図である。コモンモードチョーク
コイル1は、磁性体で形成されたコア2を含む。コア2
は、図10に示すように、円柱状の巻装部2aと、その
両端に形成されるフランジ部2b,2cとを含む。巻装
部2aには、2つの丸型銅線3a,3bを単層バイファ
イラ巻した巻線によって、第1のコイルと第2のコイル
とが形成される。つまり、2つの丸型銅線3a,3bを
重ねて、巻装部2aの周囲に1層だけ巻回される。丸型
銅線3a,3bは、図11に示すように、フランジ部2
c側からフランジ部2b側に向かって巻き上げられ、折
り返されてフランジ部2c側に導かれる。
【0003】一方のフランジ部2cには、図12に示す
ように、その底面に2対の電極4a,4b,4c,4d
が形成される。そして、第1のコイルの丸型銅線3aの
両端が電極4a,4bに接続され、第2のコイルの丸型
銅線3bの両端が電極4c,4dに接続される。さら
に、第1のコイルおよび第2のコイルを覆うように、磁
性体で形成されたケース5が被せられる。フランジ部2
cおよびケース5には、丸型銅線3a,3bを引き出す
ための切欠き部が形成される。
【0004】このコモンモードチョークコイル1では、
第1のコイルおよび第2のコイルを往路および復路とし
て電流が流されるが、コモンモードノイズが流れたと
き、第1のコイルおよび第2のコイルに生じるインダク
タンスによって、コモンモードノイズが除去される。特
に、丸型銅線3a,3bがバイファイラ巻されているた
め、第1のコイルと第2のコイルとの結合が大きく、大
きいインダクタンスが得られるため、効率よくコモンモ
ードノイズを除去することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の
コイルおよび第2のコイルに大電流を流そうとすれば、
丸型銅線の線径を太くする必要がある。そのため、コア
の高さを高くしなければ銅線の巻数が少なくなり、得ら
れるインダクタンスが小さくなって、コモンモードノイ
ズの除去が難しくなる。また、丸型銅線を用いた場合、
銅線を引き下ろすときに滑り落ちたりして巻回状態が乱
れることがあり、インピーダンスの周波数特性の劣化の
原因となる。さらに、コアの巻装部に巻回された銅線を
引き出すために、フランジ部やケースに切欠き部が形成
されているが、丸型銅線の線径が太くなると、切欠き部
も大きくする必要があり、フランジ部やケースの強度が
下がる傾向があった。また、フランジ部の底面におい
て、電極に丸型銅線が接続されると、丸型銅線の線径分
だけフランジ部の底面が浮き上がり、実装性が悪くなっ
たり、製品寸法の高さが高くなるという欠点があった。
【0006】それゆえに、この発明の主たる目的は、電
流容量を大きくしても、大きいインダクタンスを得るこ
とができ、インピーダンスの周波数特性の劣化を防ぐこ
とができ、ケースなどの強度を保つことができ、しかも
実装性の良好な小型のコモンモードチョークコイルを提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、巻装部とそ
の両端にフランジ部を有する磁性体で形成されたコア
と、コアの巻装部に単層バイファイラ巻される2つの巻
線からなる第1のコイルおよび第2のコイルと、フラン
ジ部の一方の底面に形成される2対の電極を含み、第1
のコイル用平角線および第2のコイル用平角線を重ね合
わせることにより実質上角形比1:1の平角線とした巻
がエッジワイズ巻され、かつ第1のコイル用平角線お
よび第2のコイル用平角線の両端が2対の電極に接続さ
れた、コモンモードチョークコイルである。このコモン
モードチョークコイルにおいて、第1のコイルおよび第
2のコイルを覆ってフランジ部の一方に当接される磁性
体で形成されたケースを含み、ケースおよび/またはフ
ランジ部には第1のコイルおよび第2のコイルの巻線を
引き出すための切欠き部が形成されてもよい。また、
の発明は、巻装部とその両端に形成されたフランジ部と
を含むコアを準備する工程と、第1のコイル用平角線お
よび第2のコイル用平角線を重ね合わせることにより実
質上1:1の平角線とした巻線を一方のフランジ部から
他方のフランジ部に向かって順次巻き上げ、所定の巻数
だけ巻回したところで折り返して一方の前記フランジ部
に導く工程と、第1のコイル用平角線および第2のコイ
ル用平角線の両端を一方のフランジ部の底面に形成され
た電極に接続する工程と、第1のコイル用平角線および
第2のコイル用平角線を覆うようにして磁性体で形成さ
れたケースを被せる工程とを含み、フランジ部およびケ
ースの少なくとも一方に切欠き部が形成され、切欠き部
から第1のコイル用平角線および第2のコイル用平角線
の両端を一方のフランジ部の底面側に引き出した、コモ
ンモードチョークコイルの製造方法である。
【0008】角形比1:1〜1:2の平角線をエッジワ
イズ巻で単層バイファイラ巻することにより、巻線の乱
れを防ぐことができ、容易に品質のよい巻線とすること
ができる。さらに、平角線の断面横方向の長さを大きく
することにより、コアの巻装部の高さを高くすることな
く、電流容量を大きくすることができる。しかも、この
場合、第1のコイルおよび第2のコイルの巻数が少なく
ならず、必要なインダクタンスを得ることができる。第
1のコイルおよび第2のコイルを構成する巻線を引き出
して、フランジ部に形成された電極に接続する際に、ケ
ースの切欠き部から巻線が引き出されるが、平角線の断
面横方向の長さを大きくしても、断面縦方向の長さを変
えなければ、ケースの切欠き部を大きくする必要がな
い。そのため、電流容量を大きくしても、ケースなどの
強度を保つことができる。さらに、角形比が1:2であ
る平角線を用いることにより、第1のコイル用と第2の
コイル用の平角線を重ねたときに、重ねられた2つの平
角線の角形比が1:1となり、コアの巻装部への巻回が
容易となる。
【0009】この発明の上述の目的,その他の目的,特
徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳
細な説明から一層明らかとなろう。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、この発明のコモンモード
チョークコイルの一例を示す斜視図であり、図2はその
正面図である。コモンモードチョークコイル10は、磁
性体で形成されたコア12を含む。コア12は、図3に
示すように、円柱状の巻装部14と、その両端のフラン
ジ部16,18とを含む。フランジ部16,18は、略
長方形に形成され、一方のフランジ部18は、他方のフ
ランジ部16より大きくなるように形成される。一方の
フランジ部18の2つの長辺部には、切欠き部20が形
成される。さらに、図4に示すように、フランジ部18
の底面には、2対の電極22a,22b,24a,24
bが形成される。
【0011】巻装部14には、図3に示すように、2つ
の平角線26,28がエッジワイズ巻でバイファイラ巻
されて巻線が形成される。平角線26,28は、断面四
角形の銅線の表面を絶縁したものである。平角線26,
28としては、その角形比(断面の縦方向と横方向の長
さの比)が1:1〜1:2の範囲にあるものが好ましい
が、特に角形比が1:2のものが望ましい。このような
角形比であれば、2つの平角線26,28を重ねること
により、角形比を1:1にすることができ、平角線2
6,28の長い断面横方向に巻回するエッジワイズ巻が
容易となる。
【0012】これらの平角線26,28は、図5および
図6に示すように、フランジ部18側からフランジ部1
6側に向かって巻き上げられ、所定の巻数だけ巻回した
ところで折り返されて、フランジ部18側に導かれる。
これらの平角線26,28の両端部は、切欠き部20か
らフランジ部18の底面側に折り返される。そして、フ
ランジ部18の底面において、平角線26の両端が電極
22a,22bに接続され、平角線28の両端が電極2
4a,24bに接続される。したがって、電極22a,
22b間に第1のコイルが形成され、電極24a,24
b間に第2のコイルが形成される。
【0013】さらに、フランジ部16側からフランジ部
18側に向かって、磁性体で形成されたケース30が被
せられ、その端部がフランジ部18に当接される。ケー
ス30は、フランジ部18の外形にほぼ一致する大きさ
に形成され、フランジ部18の切欠き部20に対応する
部分に、切欠き部32が形成される。そして、このケー
ス30の切欠き部32とフランジ部18の切欠き部20
とで形成される隙間から、平角線26,28が引き出さ
れている。また、ケース30には、フランジ部16に対
応した形状の孔が形成され、この孔部分にフランジ部1
6が配置される。したがって、コア12とケース30と
で、閉磁路が形成される。なお、この例では、フランジ
部18とケース30のいずれにも切欠き部20,32を
形成しているが、いずれか一方のみでもよく、これでも
十分効果が得られる。
【0014】このコモンモードチョークコイル10を用
いる場合、たとえば電極22a,24aに信号源が接続
され、電極22b,24bに負荷が接続される。このと
き、コモンモードノイズがあると、同位相の電流が第1
のコイルおよび第2のコイルに流れることになる。それ
により、コア12およびケース30を通る磁束が発生
し、第1のコイルおよび第2のコイルにインダクタンス
が生じて、コモンモードノイズが除去される。このよう
な巻線型のコモンモードチョークコイル10において、
第1のコイルおよび第2のコイルとなる2つの巻線を重
ねてバイファイラ巻にすることにより、これらのコイル
の間の結合が大きくなり、大きいインダクタンスを得る
ことができる。
【0015】このコモンモードチョークコイル10で
は、第1のコイルおよび第2のコイルの巻線として、平
角線26,28がエッジワイズ巻して用いられているた
め、コア12に巻回したときに、乱れることなく品質よ
く巻回することができる。そのため、安定した磁束を発
生させることができ、性能の良いコモンモードチョーク
コイルを得ることができる。特に、フランジ部18側か
らフランジ部16側に向かって巻線を巻上げ、フランジ
18側に向かって引き降ろす際、丸型線では滑り落ち
て、巻き乱れが生じる場合がある。それに対して、平角
線を用いた場合、滑り落ちることなく引き降ろすことが
でき、インピーダンスの周波数特性劣化を防ぐことがで
きる。また、平角線を用いることにより、滑り落ちるこ
となく引き降ろすことができるため、引き出し線相互を
引き離して電極22a,22b,24a,24bのいず
れかに接続できるため、ショートや絶縁抵抗の劣化のな
い、高品質のコモンモードチョークコイルを得ることが
できる。
【0016】このような平角線26,28としては、角
形比1:1〜1:2のものが用いられる。角形比1:1
の平角線26,28を用いた場合、図7に示すように、
これらを重ねて巻回するため、角形比2:1の巻線を巻
回することになる。また、角形比1:2の平角線26,
28を用いた場合、図8に示すように、平角線26,2
8を重ねることによって、角形比1:1の巻線を巻回す
ることになる。特に、角形比1:2の平角線26,28
を用いれば、これらを重ねて実質上角形比1:1の巻線
とすることができ、エッジワイズ巻によって巻回しやす
くなる。さらに、平角線26,28の断面縦方向の長さ
が同じであれば、角形比1:1の平角線を用いた場合と
比べて、コア12の巻装部14の長さを変えることな
く、電流容量を大きくすることができる。したがって、
コモンモードチョークコイル10の高さを変えることな
く、大電流化を図ることができる。
【0017】また、平角線26,28の角形比を1:1
から1:2にして、大電流化を図っても、これらの平角
線26,28の断面縦方向の長さが変わらないため、平
角線26,28を引き出すために形成されたフランジ部
18の切欠き部20やケース30の切欠き部32を大き
くする必要がない。そのため、フランジ部18やケース
30の強度を劣化させることなく、大電流化を図ること
ができる。さらに、フランジ部18の底面において、電
極22a,22b,24a,24bに平角線26,28
を接続した場合、大電流化を図っても、平角線26,2
8による浮き上がりが大きくならず、実装性の悪化を防
ぐことができるとともに、製品寸法高さが高くなること
を抑えることができる。また、単層巻を採用することに
より、多重巻を採用した場合のような線間のストレーキ
ャパシタンスの発生を少なくすることができ、高周波領
域にまでインピーダンスを伸ばすことができる。
【0018】
【発明の効果】この発明によれば、電流容量を大きくし
ても、大きいインダクタンスを得ることができ、コモン
モードノイズを除去することができる小型のコモンモー
ドチョークコイルを得ることができる。しかも、平角線
を用いたエッジワイズ巻でバイファイラ巻を採用するこ
とにより、乱れることなく巻線を形成することができ、
特性の劣化を防ぐことができる。さらに、大電流化を図
っても、ケースなどの強度を十分に保つことができ、し
かも良好な実装性を得ることができる。特に、角形比が
1:2の平角線を用いることにより、このような効果を
大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のコモンモードチョークコイルの一例
を示す斜視図である。
【図2】図1に示すコモンモードチョークコイルの正面
図である。
【図3】コアに平角線を巻回した状態を示す断面図解図
である。
【図4】コアのフランジ部の底面図である。
【図5】コアと巻線との関係を示す正面図である。
【図6】コアと巻線との関係を示す側面図である。
【図7】角形比1:1の2つの平角線を重ねた状態を示
す断面図解図である。
【図8】角形比1:2の2つの平角線を重ねた状態を示
す断面図解図である。
【図9】従来のコモンモードチョークコイルの一例を示
す正面図である。
【図10】コアに丸型銅線を巻回した状態を示す断面図
解図である。
【図11】コアと丸型銅線との関係を示す正面図であ
る。
【図12】従来のコモンモードチョークコイルに用いら
れるコアのフランジ部の底面図である。
【符号の説明】
10 コモンモードチョークコイル 12 コア 14 巻装部 16 フランジ部 18 フランジ部 20 切欠き部 22a,22b 電極 24a,24b 電極 26,28 平角線 30 ケース 32 切欠き部

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻装部とその両端にフランジ部を有する
    磁性体で形成されたコア、 前記コアの前記巻装部に単層バイファイラ巻される2つ
    の巻線からなる第1のコイルおよび第2のコイル、 前記フランジ部の一方の底面に形成される2対の電極を
    含み、前記第1のコイル用平角線および前記第2のコイル用平
    角線を重ね合わせることにより実質上角形比1:1の平
    角線とした巻線 がエッジワイズ巻され、かつ前記第1の
    コイル用平角線および前記第2のコイル用平角線の両端
    が前記2対の電極に接続された、コモンモードチョーク
    コイル。
  2. 【請求項2】 前記第1のコイルおよび前記第2のコイ
    ルを覆って前記フランジ部の一方に当接される磁性体で
    形成されたケースを含み、前記ケースおよび/または前
    記フランジ部には、前記第1のコイルおよび前記第2の
    コイルの巻線を引き出すための切欠き部が形成された、
    請求項1に記載のコモンモードチョークコイル。
  3. 【請求項3】 巻装部とその両端に形成されたフランジ
    部とを含むコアを準備する工程、 第1のコイル用平角線および第2のコイル用平角線を重
    ね合わせることにより実質上1:1の平角線とした巻線
    を一方の前記フランジ部から他方の前記フランジ部に向
    かって順次巻き上げ、所定の巻数だけ巻回したところで
    折り返して一方の前記フランジ部に導く工程、 前記第1のコイル用平角線および前記第2のコイル用平
    角線の両端を一方の前記フランジ部の底面に形成された
    電極に接続する工程、および 前記第1のコイル用平角線
    および前記第2のコイル用平角線を覆うようにして磁性
    体で形成されたケースを被せる工程を含み、 前記フランジ部および前記ケースの少なくとも一方に切
    欠き部が形成され、前記切欠き部から前記第1のコイル
    用平角線および前記第2のコイル用平角線の両端を一方
    の前記フランジ部の底面側に引き出した、コモンモード
    チョークコイルの製造方法。
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