JP2957482B2 - 表面分析法およびその装置 - Google Patents

表面分析法およびその装置

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JP2957482B2
JP2957482B2 JP8205011A JP20501196A JP2957482B2 JP 2957482 B2 JP2957482 B2 JP 2957482B2 JP 8205011 A JP8205011 A JP 8205011A JP 20501196 A JP20501196 A JP 20501196A JP 2957482 B2 JP2957482 B2 JP 2957482B2
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克哉 高橋
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  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面および吸着物
の分析、特に低真空または大気圧下において非破壊で微
小領域における元素あるいは化学状態の情報を得る表面
分析方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】製品の微細化、高精度化、高性能化に伴
い、各種表面の分析技術が不可欠である。特に、表面お
よび吸着物の微小領域における元素あるいは化学状態の
情報を得る分析手法が強く求められている。これらの要
求に対し、従来からXPS(X線光電子分光法)、UP
S(真空紫外光電子分光法)、AES(オージェ電子分
光法)、TOF−SlMS(飛行時間型二次イオン質量
分析法)などを用いた表面分析方法が提案されている。
【0003】これらの方法は、電子、イオン、真空紫外
線、X線などのマイクロビームを試料の微小領域に照射
して、試料面から放出される電子や二次イオンなどを観
測するものである。分析は高真空下にて行われ、一般に
装置は大規模かつ高価であり、操作は煩雑で、概ねナノ
メートルオーダーの深さ分解能とマイクロメートルオー
ダーの表面分解能を有する。また、しばしばビームの照
射により試料の表面はダメージを受け、分析初期の化学
状態が損なわれる。
【0004】特開平2−114159号、特開平6−1
60314号および特開平7−110311号には、軟
X線ないし真空紫外線の微小領域への照射により試料面
から放出される電子を観測し、上記微小領域における構
成元素に関する分析を行う方法及び装置が開示されてい
る。エネルギー分析器などの装置構成要素の都合上分析
は超高真空下にて行われ、また、積分変換、逆変換等の
複雑なデータ処理を要するため計算機も大がかりになる
という問題がある。一方、特開平1−295145号に
は、可視光線ないし真空紫外線の照射により試料面から
放出される電子を観測し、大気圧下においてマイクロメ
ートルオーダーという比較的厚い薄膜の膜厚を定量する
方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法における第
1の問題点は、特開平7−110311号に開示されて
いる装置をはじめとする多くの表面分析装置が高真空下
にて分析を行うため、そして、エネルギー検出器をはじ
めとする高真空用検出器は検出信号のデータ変換および
データ解析が複雑になるため、装置が大規模かつ高価に
なる、保守や操作か複雑になる、ランニングコストが高
くなる、分析時間が長い、など数多くの欠点を有するこ
とである。
【0006】第2の問題点は、XPS、AESなど電子
またはイオンを試料に照射する装置において、電子およ
びイオンビームの照射によりしばしば試料の表面がダメ
ージを受けることである。従って、繰り返し分析するこ
とができないばかりでなく、試料の経時変化に着目する
場合や試料に刺激を加えることにより生ずる試料の変化
を観測しようとするとき、ビームの照射によって被るダ
メージが分析結果に影響を及ぼす。特に、材料受け入れ
検査や製品の抜き取り検査などのように、材料若しくは
製品の表面状態の高精度かつ迅速な分析が定常的に、又
は高頻度に要求される工程においては、特開平7−11
0311号の方法では装置が大かかりになり過ぎ、特開
平1−295145号の方法では実用的検出感度が得ら
れない。
【0007】本発明は、前記の従来の問題点を鑑み、試
料にダメージを与えない可視光線ないし真空紫外線のマ
イクロビームを試料の微小領域に照射し、試料面から放
出される比較的低エネルギーの電子を低真空または大気
圧下において検出ならびに解析する表面分析方法および
その装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、可視光線ない
し真空紫外線の照射により試料面から放出される電子を
観測する表面分析において、可視光線ないし真空紫外線
を試料の微小領域に照射し、照射により試料面から放出
される電子の検出信号が最大となるピーク波長、ピーク
強度または照射により電子が放出し始めるしきい値を比
較参照することにより、真空下において又は大気圧下に
おいて照射領域における試料および吸着物の元素あるい
は化学状態の情報を得る表面分析法であって、前記試料
にガスによる刺激を加えながら試料面からの放出電子を
検出する表面分析法である。また、本発明は、可視光線
ないし真空紫外線を試料の微小領域に照射することによ
り放出される電子を検出し、真空下又は大気圧下におい
て試料および吸着物の元素あるいは化学状態の情報を得
る表面分析装置であって、試料をガスにより刺激する手
段と、可視光線ないし真空紫外線を発生する手段と、
射させる可視光線ないし真空紫外線の単色性を高める手
段(以下、分光特性を向上させる手段という)と、入射
させる可視光線ないし真空紫外線の波長を変化あるいは
固定させる手段と、可視光線ないし真空紫外線を試料の
微小領域に集光させる手段と、試料面から放出される電
子を検出する手段と、検出信号のピーク波長、ピーク強
度またはしきい値を解析する手段とを備えた表面分析装
置である。
【0009】
【発明の実施の形態】光源より発せられた可視光線ない
し真空紫外線は、後段の分光器における分光特性を向上
させるためスリットにて調整され、分光器にて分光させ
る。分光された光線は、ピンホールにて試料と目的に応
じた入射光集光点の形状および面積に絞られ、マイクロ
ビームとなる。マイクロビームはレンズ、そして場合に
よっては反射鏡などを介して試料上へ導かれ、試料の微
小領域へ照射される。試料に対するマイクロビームの照
射によって放出される比較的低エネルギーの電子は、低
真空または大気圧下において十分な感度を以て検出する
ことのできる検出器にて検出される。検出信号はコンピ
ュータにて解析され、試料および吸着物の元素あるいは
化学状態の情報が得られる。また、試料にガスによる
激を加え
【0010】以下に、本発明の実施形態の一例について
図1および図2を参照して説明する。図1は表面分析装
置の構成例、図2は検出信号の解析方法をそれぞれ示す
図である。
【0011】本発明の表面分析法の一例は、可視光線な
いし真空紫外線の照射により試料9面から放出される電
子(e-)を観測する表面分析であって、可視光線ない
し真空紫外線8の波長を変化させながら試料9の微小領
域8’に照射し、照射により試料9面から放出される電
子(e-)の検出信号のピーク波長22、ピーク強度2
1またはしきい値23を比較参照することにより、低真
空下において照射領域における試料9および試料9の吸
着物の元素あるいは化学状態の情報を得る方法であり、
前記試料9にガスによる刺激を加えながら試料9面から
の放出電子(e - )を検出する表面分析法である。
【0012】本発明の表面分析装置の一例は、可視光線
ないし紫外線を試料9の微小領域に照射することにより
放出される電子(e-)を検出し、試料9および試料9
の吸着物の元素あるは化学状態の情報を得る表面分析装
置であって、試料9にガスによる刺激を加える手段であ
る刺激機構12と、可視光線ないし紫外線を発生する手
段である光源1と、分光特性を向上させる手段であるス
リット2と、入射させる可視光線ないし紫外線の波長を
固定させる手段である分光器3と、入射光集光点8’の
形状および面積を変化させる手段であるピンホール4
と、可視光線ないし紫外線を試料9の微小領域に集光さ
せる手段であるコリメートレンズ5、反射鏡6及びコン
デンスレンズ7と、移動機構11を備えた試料台10を
移動させることによって試料9に対する入射光8の入射
光集光点8’の位置含わせを行う手段と、試料9を入射
光集光点8’に位置合わせするために試料9と入射光集
光点8’とを視認する手段と、試料9面から放出される
電子(e- )を検出する手段である検出器13と、検出
信号のピーク波長22、ピーク強度21またはしきい値
23を解析する手段であるコンピュター14とを備え
た、大気圧下で試料および吸着物の元素或いは化学状態
の情報を得る装置である。
【0013】なお、試料9を入射光集光点8’に位置合
わせするために試料9と入射光集光点8’とを視認する
手段の例は、ガラス板もしくはレンズを備えた窓等の試
料窓17である。視認する手段である試料窓17によ
り、入射光を可視光線に調整することで、入射光集光点
8’の位置を視認できるので、試料9面に正確に入射光
8を照射できるという特徴がある。
【0014】図1および図2を参照して、本発明を更に
詳しく説明する。光源1から発せられた可視光線ないし
真空紫外線は、後段の分光器3における分光特性を向上
させる手段であるスリット2によって調整され、コンピ
ュータ14によって制御された分光器3によって所定の
波長に分光される。また、分光特性とは、後段の分光器
3における光線の単色性を指し、分光特性を向上させる
とは、入射光8の単色性を高めることを意味する。入射
光8の単色性が高いほどよりシャープなピークが得ら
れ、より高精度な定性分析が可能となる。 光線は、も
ともとの光束の径より小さな集光点へは決して収束しな
いため、分光された光線はピンホール4によって試料9
と目的に応じた集光点(入射光集光点)8’の形状およ
び面積に絞り、マイクロビームと成す。
【0015】マイクロビームの光束はコリメートレンズ
5によって平行にされ、反射鏡6、コンデンスレンズ7
を経て試料台10上に置かれた試料9面上の微小領域に
入射光8として集光される。入射光8の照射によって試
料9より放出される電子はコンピュータ14によって制
御された検出器13によって検出され、得られた検出信
号はコンピュータ14によって解析され、解析結果は必
要に応じモニタ15やレコーダ16等の外部出力装置か
ら出力される。
【0016】検出器13にはガイガー−ミュラー(Ge
iger‐Muler)計数管や微小電流計といった低
真空もしくは大気圧下にて十分な感度を以て上記電子を
検出することのできるものを用いる。また、上記検出器
の検出信号のデータ処理は比較的容易なことから、コン
ピュータ14はパソコンレベルのものを用いることが可
能である。なお、上記構成例において最低限低真空下に
設置する必要がある構成要素は、試料9、試料台10
(上半分)、移動機構11、刺激機構12、検出器13
の5つである。入射光8の減衰を極力抑えるため、コン
ピュータ14、モニタ15、レコーダ16を除く全構成
要素を低真空下に設置することも可能である。必要真空
度は10-2Torr程度であり、迅速に試料の導入およ
び交換を行うことができる。
【0017】データは、通常生データのピーク波長22
またはピーク強度21、さらに、図2(b)に示すよう
に波長をエネルギーに、強度を強度の平方根にそれぞれ
変換することで求められるしきい値23、以上3つの値
に着目し、得られた3つの値から試料9の表面および吸
着物の元素あるいは化学状態の情報を知ることができ
る。ここで、化学状態の情報とは、試料9の定性分析或
いは定量分析に基づく情報が挙げられる。これらの値を
求めるために複雑な計算を必要としないため、パソコン
レベルのコンピュータにおいても実用的な速度でデータ
解析が容易に行える。必要に応じ、分光器3で分光する
波長を種々変えながら分析を行うことも可能である。波
長を変えながら分析を行うと、波長を変えない場合に比
較して、ピーク波長22が未知の試料の分析及び複数の
ピークに着目した分析が可能になる。
【0018】ここで、ピーク強度21は、図2(a)に
示すように、着目する元素あるいは化学状態に対応する
波長における電子の検出信号の最大値を、ピーク波長2
2は着目する元素あるいは化学状態に対応する波長にお
ける電子の検出信号が最大値となる波長を、しきい値2
3は、図2(b)に示すように、波長をエネルギーに、
強度を強度の平方根にそれぞれ変換した上で基線とピー
ク上昇曲線の接線を引いたとき、それらの交点における
エネルギーをそれぞれ示している。則ち、しきい値23
は、電子を放出し始める波長(エネルギー)を意味して
いる。しきい値23とピーク波長22は物質固有の値を
有している。従って、これらの値から試料の定性分析が
可能となる。また、既知の物質に着目する場合、入射光
8の波長を当該物質のピーク波長22に固定し、ピーク
強度21を他の試料と比較することで定量分析が可能と
なる。ピーク強度21は放出される電子の数に比例して
おり、物質の絶対量を意味しているからである。
【0019】ただし、他の多くの分析データと同様、複
数のピークがオーバーラップする場合やピークが経時的
にシフトする場合など必ずしも検出信号が最大となる強
度や波長にのみ着目するとは限らない。従って、原則的
にはピーク強度21、ピーク波長22またはしきい値2
3はそれぞれ上記のように定義されるが、必要に応じ適
宜これらの値を定義することも可能である。また、コン
ピュータ14の制御によって検出信号の経時変化を観測
することも可能である。このような方法で、例えば、油
膜の表面分散速度の測定が可能である。
【0020】次に、上記実施形態例において2次元分布
を得る方法を示す。試料台10をコンピュータ14によ
って制御された移動機構11によって操作し、試料9面
上の被分析領域を、着目する元素あるいは化学状態に対
応した波長に分光された入射光8の集光点へと移動さ
せ、入射光8の照射によって試料9面上から放出される
着目する元素あるいは化学状態に対応したエネルギーを
有する電子を検出器13によって検出する。これら一連
の操作を、コンピュータ14を制御することによって入
射光8の集光点を試料9面上で走査させながら行い、得
られた検出信号をコンピュータ14によって解析するこ
とで試料9の表面および吸着物の元素あるいは化学状態
の2次元分布を知ることができる。
【0021】次に、上記実施形態例において種々の刺激
によって生ずる試料の変化を観測する方法について説明
する。刺激機構12を備えた試料台10を用い、コンピ
ュータ14を制御しながら試料9に対し単発的に、断続
的に或いは連続的に種々の刺激を加え、種々の刺激に対
応した検出信号の変化を観測することができる。上記刺
激機構12によって試料9に加えられる刺激としてはガ
スが挙げられる。このような刺激を与える方法によっ
て、例えば、貴金属材料に対する有機ガスの吸着または
反応挙動や、試料表面の吸着物質の変性あるいは脱着挙
動などの温度依存性に関する情報等を知ることができ
る。
【0022】次に、上記実施形態例において大気圧下に
て分析を行う方法について説明する。大気圧下にて分析
を行うためには、試料9から放出される比較的低エネル
ギーの電子を十分な感度を以て検出できなければならな
い。上記の条件を満足する検出器13としては微小電流
計などが挙げられる。
【0023】なお、上述した実施形態例の組み合わせも
本発明に含まれるものとする。また、上述の実施形態例
においては、入射光8を集光する手段をコリメートレン
ズ5、反射鏡6、コンデンスレンズ7という構成として
例示したが、これ以外の装置構成、たとえば、反射鏡6
を介さず光源1から試料台10までのすべての構成部品
を直線的に配置する、といった幾何学上の違いを有する
構成、あるいは、入射光8を集光する手段にアロマティ
ックレンズを用いることにより波長の違いによる入射光
集光点8’の収差を緩和させる、といった原理的には同
じだが構成部品(光学系)を他の部品(光学系)で代替
した機能上の違いを有する構成などにおいても同様に適
用できることは言うまでもない。
【0024】
【参考例】以下に、参考例により具体的実験結果の一例
を示す。 (参考例1) 左半分に膜厚およそ5nm(ナノメーター)のCuの酸
化膜が形成されているCu試片を準備した。この試片の
銅酸化物の2次元分布を、図1に示す装置を用いて、次
のようにして測定した。入射光8の波長はCuのピーク
波長である260nm固定、入射光集光点8’は直径1
00μmの円形とし、Cu試片の9mm×7mmの範囲
について表面分解能100μmにて2次元マッピングを
行った。実験は5.5×10-2Torrにて行った。検
出器13にはガイガー−ミュラー計数管を、コンピュー
タにはPC 8800(日本電気社製)をそれぞれ用い
た。
【0025】則ち、用いた表面分析装置は、図1に示す
ように、紫外線(260nm)をCu試片9の微小領域
8’に照射することにより放出される電子(e-)を検
出し、試料9の銅酸化膜の2次元分布を得るものであっ
て、紫外線を発生する光源1と、分光特性を向上させる
スリット2と、紫外線の波長を260nmに固定させる
分光器3と、入射光集光点8’の形状または面積を変化
させるためのピンホール4と、紫外線を試料9の微小領
域8’(直径100μmの円形)に集光させるコリメー
トレンズ5、反射鏡6及びコンデンスレンズ7と、試料
9に対する入射光集光点8’の位置合わせならびに入射
光集光点8’を試料9面上で走査させるための試料台1
0、移動機構11等と、試料9を入射光集光点8’に位
置含わせするために試料9と入射光集光点8’とを視認
するための試料窓17と、試料9面から放出される電子
(e-)を検出するガイガー−ミュラー計数管13と、
検出信号のピーク波長22、ピーク強度21、しきい値
23を解析するためのコンピューター14とを備えたも
のであった。
【0026】また、その表面分析法は、低真空下(5.
5×10-2Torr)における紫外線(260nm)の
照射により試料9面から放出される電子(e-)を観測
する表面分析法であって、一定波長(260nm)に固
定した真空紫外線8を試料(Cu試片)9の微小領域
(直径100μmの円形)に照射し、移動機構11を備
えた試料台10を移動させることによって入射光集光点
8’を試料9面上で走査させながら、照射により試料9
面から放出される電子(e-)をガイガー−ミュラー計
数管13で検出し、その検出信号をコンピューター14
に入力してピーク波長22、ピーク強度21、しきい値
23を求め、該ピーク強度21の大きさをレコーダー
(記録計)16により濃淡で記録することにより得られ
た、低真空下(5.5×10-2Torr)において照射
領域における試料9の元素(銅酸化物)の2次元分布を
得る方法であった。
【0027】以上の様にして求めた試片9表面の銅酸化
物の2次元分布を図3に示す。図3に示すように、左側
の銅酸化膜の部分((3〜5)mm×(0〜7)mmの
範囲)のピーク強度は小さく、右側のCuの部分((6
〜9)mm×(0〜7)mmの範囲)のピーク強度は大
であった。則ち、試片の銅酸化物(酸化膜)の2次元分
布を濃淡で表示することができた。
【0028】なお、銅酸化膜の膜厚はESCAのデプス
プロファイル測定により求めた。ここで、ピーク強度2
1は銅酸化膜の絶対量、つまり膜厚に比例する。従っ
て、ピーク強度21の2次元分布の濃淡は銅酸化膜の絶
対量の分布状態を示しており、本実施例は、分析箇所を
変えながらおのおののピーク強度21を求め、銅酸化物
の定量分析をしていることにほかならない。
【0029】(参考例2) 入射光8の波長を、340〜140nmの範囲で変化さ
せながら、参考例1のCu試片9に照射し、照射により
試料9面から放出される電子(e-)の検出信号のピー
ク波長22、ピーク強度21及びしきい値23を求める
ことにより、低真空下(5.5×10-2Torr)にお
いて照射領域における試片9のCuのピーク波長22、
しきい値23を求めた。その結果、Cuのピーク波長2
2、しきい値23としてそれぞれ260nm、400n
mという値を得ることができた。
【0030】図3からも明らかなように、本参考例にお
いてナノメートルオーダーの薄膜をマイクロメートルオ
ーダーの表面分解能で2次元マッピングが可能であり、
本参考例は、低真空または大気圧下において、従来の分
析方法よりも分析精度を落とすことなく、従来の分析方
法に比較して迅速に高精度な非破壊表面分析を提供す
る。特に、接点材、端子材等の材料受け入れ検査や継電
器、コネクタ等の製品の抜き取り検査などのように、材
料もしくは製品の表面状態の高精度かつ迅速な分析が定
常的に、または高頻度に要求される工程において真価を
発揮する。さらに、本表面分析装置をオンラインに組み
込むことで、製品最表面の微小汚れセンサーなどに応用
することも可能である。
【0031】
【発明の効果】以上のように本発明は、試料にダメージ
を与えない可視光線ないし真空紫外線のマイクロビーム
を試料の微小領域に照射し、照射によって放出される比
較的低エネルギーの電子を低真空または大気圧下におい
て十分な感度を以て検出することができ、装置構成も簡
素なため、迅速、簡便、安価な非破壊表面分析を高精度
に行うことが可能である。また、マイクロビームの照射
による試料のダメージがないため、試料の経時変化や外
部から与えられた刺激による変化の観測に有効である。
従って、本発明によれば、貴金属材料に対する有機ガス
の吸着または反応挙動や、試料表面の吸着物質の変性あ
るいは脱着挙動などの温度依存性に関する情報等を知る
ことができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態例に係る表面分析装置の
構成を示す図である。
【図2】 ピーク波長、ピーク強度及びしきい値による
検出信号の解析方法を示す図であって、(a)はピーク
波長とピーク強度、(b)はしきい値を示す。
【図3】 試片の銅酸化物の2次元分布を示す図であ
る。
【符号の説明】
1・・光源、2・・スリット、3・・分光器、4・・ピ
ンホール、5・・コリメートレンズ、6・・反射鏡、7
・・コンデンスレンズ、8・・入射光、8’・・入射光
集光点、9・・試料、10・・試料台、11・・移動機
構、12・・刺激機構、13・・検出器、14・・コン
ピュータ、15・・モニタ、16・・レコーダ、17・
・試料窓、21・・ピーク強度、22・・ピーク波長、
23・・しきい値
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−90845(JP,A) 特開 昭63−58140(JP,A) 特開 平1−163647(JP,A) 特開 平5−215699(JP,A) 特開 平6−186179(JP,A) 実開 平2−150555(JP,U) 特公 昭61−18145(JP,B2) 水野薫,「大気中紫外線迎起低速光電 子計数法を用いた表面分析」,防食技 術,(1989),Vol.38,No.2, p107−p113 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 23/00 - 23/227 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可視光線ないし真空紫外線の照射により
    試料面から放出される電子を観測する表面分析におい
    て、可視光線ないし真空紫外線を試料の微小領域に照射
    し、照射により試料面から放出される電子の検出信号
    最大となるピーク波長、ピーク強度または照射により電
    子が放出し始めるしきい値を比較参照することにより、
    真空下において又は大気圧下において照射領域における
    試料および吸着物の元素あるいは化学状態の情報を得る
    表面分析法であって、前記試料にガスによる刺激を加え
    ながら試料面からの放出電子を検出することを特徴とす
    る表面分析法。
  2. 【請求項2】 可視光線ないし真空紫外線を試料の微小
    領域に照射することにより放出される電子を検出し、真
    空下又は大気圧下において試料および吸着物の元素ある
    いは化学状態の情報を得る表面分析装置であって、試料
    をガスにより刺激する手段と、可視光線ないし真空紫外
    線を発生する手段と、入射させる可視光線ないし真空紫
    外線の単色性を高める手段と、入射させる可視光線ない
    し真空紫外線の波長を変化あるいは固定させる手段と、
    可視光線ないし真空紫外線を試料の微小領域に集光させ
    る手段と、試料面から放出される電子を検出する手段
    と、検出信号のピーク波長、ピーク強度またはしきい値
    を解析する手段とを備えた表面分析装置。
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水野薫,「大気中紫外線迎起低速光電子計数法を用いた表面分析」,防食技術,(1989),Vol.38,No.2,p107−p113

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