JP2955693B2 - 紡機用金属トラベラ - Google Patents
紡機用金属トラベラInfo
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- JP2955693B2 JP2955693B2 JP16839491A JP16839491A JP2955693B2 JP 2955693 B2 JP2955693 B2 JP 2955693B2 JP 16839491 A JP16839491 A JP 16839491A JP 16839491 A JP16839491 A JP 16839491A JP 2955693 B2 JP2955693 B2 JP 2955693B2
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、精紡機，撚糸機等に用
いるトラベラの糸通過部の耐摩耗，耐久性を向上せしめ
た紡機用金属トラベラに関する。
いるトラベラの糸通過部の耐摩耗，耐久性を向上せしめ
た紡機用金属トラベラに関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、紡機用金属トラベラにおいては、
糸が糸通過部を高速で通過する運転条件或は、糸に特殊
な添加剤を含む運転条件の下では糸通過部の耐摩耗性が
要求される。従ってこの耐摩耗性を向上させるために、
糸通過部の表面に硬化処理としてクロムめっきや、梨地
クロムめっきを施したトラベラが使用されている。
糸が糸通過部を高速で通過する運転条件或は、糸に特殊
な添加剤を含む運転条件の下では糸通過部の耐摩耗性が
要求される。従ってこの耐摩耗性を向上させるために、
糸通過部の表面に硬化処理としてクロムめっきや、梨地
クロムめっきを施したトラベラが使用されている。
【０００３】然るに、従来のクロムめっきや梨地クロム
めっきの硬さはＨｖ１０００〜１２００程度であり、操
業条件の高速化及び紡出する糸の特殊化により、従来ト
ラベラでは糸通過部の摩耗が早期に発生し、糸質の低
下、糸毛羽や糸切れを引起こして安定な紡調が得られ
ず、短寿命となり、トラベラ交換の手間が増大するとい
う問題点がある。
めっきの硬さはＨｖ１０００〜１２００程度であり、操
業条件の高速化及び紡出する糸の特殊化により、従来ト
ラベラでは糸通過部の摩耗が早期に発生し、糸質の低
下、糸毛羽や糸切れを引起こして安定な紡調が得られ
ず、短寿命となり、トラベラ交換の手間が増大するとい
う問題点がある。
【０００４】また、上記と同様にリングとの接触部分の
摩擦も過酷となり、これに伴って母材の耐摩耗性もより
高いものが要求されている。
摩擦も過酷となり、これに伴って母材の耐摩耗性もより
高いものが要求されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の問題点に鑑みて、操業条件の高速化及び紡出する糸の
特殊化に対応して、金属トラベラの糸通過部の耐摩耗性
を著しく向上すると共に、母材金属の耐摩耗性をも向上
せんとしたものである。
の問題点に鑑みて、操業条件の高速化及び紡出する糸の
特殊化に対応して、金属トラベラの糸通過部の耐摩耗性
を著しく向上すると共に、母材金属の耐摩耗性をも向上
せんとしたものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明の紡機用金属トラ
ベラは、母材金属をＣ：0.７〜0.９％、Ｃr ：3.５〜4.
５％、Ｗ：１０〜２２％、Ｖ：0.８〜2.３％等の元素を
含む高速度鋼線材を用いて所定のトラベラサークルを形
成し、少なくとも糸と接触する糸通過部に、炭素を２〜
４％含むクロムめっき層を設け、熱処理を施して母材金
属の硬さがＨｖ７００以上でかつ、クロムめっき層の硬
さをＨｖ１５００以上とした紡機用金属トラベラを得る
ことによる。
ベラは、母材金属をＣ：0.７〜0.９％、Ｃr ：3.５〜4.
５％、Ｗ：１０〜２２％、Ｖ：0.８〜2.３％等の元素を
含む高速度鋼線材を用いて所定のトラベラサークルを形
成し、少なくとも糸と接触する糸通過部に、炭素を２〜
４％含むクロムめっき層を設け、熱処理を施して母材金
属の硬さがＨｖ７００以上でかつ、クロムめっき層の硬
さをＨｖ１５００以上とした紡機用金属トラベラを得る
ことによる。
【０００７】
【実施例】以下、本発明の一実施例を詳細に説明する。
【０００８】図１は本発明の実施の１例を示す紡機用金
属トラベラの一部破断正面図であり、図２は同部分拡大
断面組織図である。図に示す様に高速度鋼線材を用い
て、所要のサークル形状１に成形した縦形トラベラ又は
横形トラベラを形成する。
属トラベラの一部破断正面図であり、図２は同部分拡大
断面組織図である。図に示す様に高速度鋼線材を用い
て、所要のサークル形状１に成形した縦形トラベラ又は
横形トラベラを形成する。
【０００９】上記トラベラは１２９０℃から油焼入処理
した後、研磨を行ない、下記に示すクロム酸−シュウ酸
浴（シュウ酸浴）と電着条件によりクロムめっきを行な
い、図１及び図２に示す如く、高速度鋼母材２の表面に
厚さ３０μの炭素化合物３を含有するクロムめっき層４
を形成する。
した後、研磨を行ない、下記に示すクロム酸−シュウ酸
浴（シュウ酸浴）と電着条件によりクロムめっきを行な
い、図１及び図２に示す如く、高速度鋼母材２の表面に
厚さ３０μの炭素化合物３を含有するクロムめっき層４
を形成する。
【００１０】上記クロムめっきトラベラは、引続き無酸
化雰囲気中で６００℃で１時間の熱処理を行ない、本発
明の紡機用金属トラベラを形成した。
化雰囲気中で６００℃で１時間の熱処理を行ない、本発
明の紡機用金属トラベラを形成した。
【００１１】 めっき条件 浴組成 クロム酸 ２００g/l シュウ酸 ６４０g/l 硫酸アンモニウム ７５g/l 電着条件 電流密度 ２０Ａ／ｄm2 浴温 ６０℃ ＰＨ ２
【００１２】上記の浴組成でクロムめっきを行なった場
合、めっき上がりでの硬度はＨｖ１０００〜１２００程
度となり、従来のクロムめっき（サージェント浴）との
差がでない。然るにこれを５００〜６５０℃で熱処理を
行う事によりめっき層中の炭素が、クロム炭化物の生成
によりＨｖ１５００以上のめっき硬度が得られるが、従
来のサージェント浴によるクロムめっきでは、Ｈｖ６０
０以下に軟化する。
合、めっき上がりでの硬度はＨｖ１０００〜１２００程
度となり、従来のクロムめっき（サージェント浴）との
差がでない。然るにこれを５００〜６５０℃で熱処理を
行う事によりめっき層中の炭素が、クロム炭化物の生成
によりＨｖ１５００以上のめっき硬度が得られるが、従
来のサージェント浴によるクロムめっきでは、Ｈｖ６０
０以下に軟化する。
【００１３】また、通常の硬鋼線材に上記シュウ酸浴組
成でクロムめっきを行なうと、５００〜６５０℃での熱
処理により、めっき層の硬度はＨｖ１５００以上となる
が、母材の硬度は反対にＨｖ５００以下に軟化してしま
い、母材の耐摩耗性が著しく悪くなる。これに対して本
発明では高速度鋼を焼入したあと６００℃で熱処理を行
なう事により、２次硬化を利用して母材の硬度を確保し
たものである。
成でクロムめっきを行なうと、５００〜６５０℃での熱
処理により、めっき層の硬度はＨｖ１５００以上となる
が、母材の硬度は反対にＨｖ５００以下に軟化してしま
い、母材の耐摩耗性が著しく悪くなる。これに対して本
発明では高速度鋼を焼入したあと６００℃で熱処理を行
なう事により、２次硬化を利用して母材の硬度を確保し
たものである。
【００１４】上記実施例で得られた金属トラベラのクロ
ムめっき層に含まれる炭素の含有率は3.５％で、熱処理
後のめっき層硬度はＨｖ１８５０、母材の硬度はＨｖ８
３０であった。
ムめっき層に含まれる炭素の含有率は3.５％で、熱処理
後のめっき層硬度はＨｖ１８５０、母材の硬度はＨｖ８
３０であった。
【００１５】尚、上記クロムめっき層に含まれる炭素の
含有率は２〜４％の範囲にあることが好ましく、２％未
満では熱処理を行なっても所望の硬度が得られず、又、
４％を超えるとめっき層がもろくなり好ましくない。
含有率は２〜４％の範囲にあることが好ましく、２％未
満では熱処理を行なっても所望の硬度が得られず、又、
４％を超えるとめっき層がもろくなり好ましくない。
【００１６】上記実施例で得られた本発明の紡機用金属
トラベラ（Ａ）と、従来のサージェント浴硬質クロムめ
っき処理を施した紡機用金属トラベラ（Ｂ）、また、従
来の硬鋼線材で形成した金属トラベラに本発明によるシ
ュウ酸浴クロムめっきを施し、６００℃で熱処理を施し
た比較例とする金属トラベラ（Ｃ）を用いて、以下に示
す紡出条件により紡出テストを実施した。
トラベラ（Ａ）と、従来のサージェント浴硬質クロムめ
っき処理を施した紡機用金属トラベラ（Ｂ）、また、従
来の硬鋼線材で形成した金属トラベラに本発明によるシ
ュウ酸浴クロムめっきを施し、６００℃で熱処理を施し
た比較例とする金属トラベラ（Ｃ）を用いて、以下に示
す紡出条件により紡出テストを実施した。
【００１７】紡出条件 糸 ：ポリエステルフイラメント ４０デニール リング ：縦形焼結リング ＳＴＳｎ １４０mmφ トラベラ：縦形 ＳＳＢ No. ３３ スピンドル回転数：１００００r.p.m.
【００１８】上記紡出テストの結果、従来の紡機用金属
トラベラ（Ｂ）は２〜３時間で糸通過部が摩耗し、白粉
の発生や糸毛羽が多くなり繊維が疵つき紡出が困難とな
ったのに対し、本発明の紡機用金属トラベラ（Ａ）は２
０時間の運転後でも摩耗が発生せず、またリングとの接
触部は、めっきは磨滅しているが母材の硬度が高く、摩
耗は少なくて優れた耐摩耗性を有するものである事が確
認された。
トラベラ（Ｂ）は２〜３時間で糸通過部が摩耗し、白粉
の発生や糸毛羽が多くなり繊維が疵つき紡出が困難とな
ったのに対し、本発明の紡機用金属トラベラ（Ａ）は２
０時間の運転後でも摩耗が発生せず、またリングとの接
触部は、めっきは磨滅しているが母材の硬度が高く、摩
耗は少なくて優れた耐摩耗性を有するものである事が確
認された。
【００１９】比較例（Ｃ）は２０時間の運転後でも糸通
過部の摩耗は発生しなかったが、リングとの接触部は母
材硬度が低いため摩耗が多くトラベラの飛散が発生し
た。
過部の摩耗は発生しなかったが、リングとの接触部は母
材硬度が低いため摩耗が多くトラベラの飛散が発生し
た。
【００２０】
【発明の効果】本発明品は上記の構成としたので、クロ
ムめっき層の硬度がＨｖ１５００以上と高くなり、しか
も母材硬度もＨｖ７００以上と高くすることが出来、糸
通過部分の耐摩耗性が著しく向上し、糸による摩耗も解
消され、糸毛羽や白粉の発生することもない。また、リ
ングとの耐摩耗性も改良される。そのため糸に与えるダ
メージが無くなり、安定した連続運転が長期にわたって
でき、しかも、トラベラ寿命も延長できる等の優れた効
果を有する発明である。
ムめっき層の硬度がＨｖ１５００以上と高くなり、しか
も母材硬度もＨｖ７００以上と高くすることが出来、糸
通過部分の耐摩耗性が著しく向上し、糸による摩耗も解
消され、糸毛羽や白粉の発生することもない。また、リ
ングとの耐摩耗性も改良される。そのため糸に与えるダ
メージが無くなり、安定した連続運転が長期にわたって
でき、しかも、トラベラ寿命も延長できる等の優れた効
果を有する発明である。
【図１】本発明の紡機用金属トラベラの正面図である。
【図２】本発明の紡機用金属トラベラの部分拡大断面組
織図である。
織図である。
１ サークル形状 ２ 高速度鋼製母材 ３ 炭素化合物 ４ クロムめっき層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) D01H 7/60
Claims (1)
- 【請求項１】 母材金属がＣ：0.７〜0.９％、Ｃr ：3.
５〜4.５％、Ｗ：１０〜２２％、Ｖ：0.８〜2.３％を含
有する高速度鋼線材を用いて所定のトラベラサークルを
形成し、上記サークルの少なくとも糸と接触する糸通過
部に、炭素を２〜４％含有するクロムめっき層を設けて
なり、且つ、母材金属の硬さがＨｖ７００以上で、クロ
ムめっき層の硬さがＨｖ１５００以上であることを特徴
とする紡機用金属トラベラ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP16839491A JP2955693B2 (ja) | 1991-07-09 | 1991-07-09 | 紡機用金属トラベラ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP16839491A JP2955693B2 (ja) | 1991-07-09 | 1991-07-09 | 紡機用金属トラベラ |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH059818A JPH059818A (ja) | 1993-01-19 |
| JP2955693B2 true JP2955693B2 (ja) | 1999-10-04 |
Family
ID=15867306
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP16839491A Expired - Lifetime JP2955693B2 (ja) | 1991-07-09 | 1991-07-09 | 紡機用金属トラベラ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2955693B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US9233063B2 (en) | 2009-12-17 | 2016-01-12 | Air Products And Chemicals, Inc. | Polymeric compositions for personal care products |
| CN103014953A (zh) * | 2012-12-29 | 2013-04-03 | 重庆金猫纺织器材有限公司 | 纺纱用bs（蓝宝石）钢丝圈加工工艺 |
| CN110760901A (zh) * | 2019-12-17 | 2020-02-07 | 常熟市恒丰机械制造有限公司 | 一种船用舵杆的表面处理工艺 |
| CH719102A1 (de) * | 2021-11-01 | 2023-05-15 | Braecker Ag | Spinn- oder Zwirnring sowie zugehöriger Ringläufer. |
-
1991
- 1991-07-09 JP JP16839491A patent/JP2955693B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH059818A (ja) | 1993-01-19 |
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