JP2954282B2 - α―オレフィン重合体の製造 - Google Patents

α―オレフィン重合体の製造

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JP2954282B2
JP2954282B2 JP14468390A JP14468390A JP2954282B2 JP 2954282 B2 JP2954282 B2 JP 2954282B2 JP 14468390 A JP14468390 A JP 14468390A JP 14468390 A JP14468390 A JP 14468390A JP 2954282 B2 JP2954282 B2 JP 2954282B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 <技術分野> 本発明は、チーグラー型触媒用固体触媒成分、および
これを用いてなるα−オレフィン重合用触媒、並びにこ
のオレフィン重合用触媒を用いたα−オレフィン重合体
の製造法に関するものである。
本発明による固体触媒成分をチーグラー型触媒の遷移
金属成分としてα−オレフィンの重合を行なうと、高活
性で、立体規則性に優れた重合体を、副生重合体の派生
を少なくして製造することが可能である。
<従来技術> 従来提案されているチタン、マグネシウムおよびハロ
ゲンを必須成分として含有する固体触媒成分と有機アル
ミニウム化合物からなるオレフィン重合用触媒は、活性
は極めて高いけれども製品重合体の立体規則性が問題と
なる場合には重合時に電子供与性化合物を使用する必要
があった。
しかしながら、この様な第3成分(外部ドナー)とし
て電子供与性化合物を使用する触媒は、有機アルミニウ
ム化合物と電子供与性化合物が反応するために重合速度
が低下することや、重合温度を上昇させると前記反応が
促進されることから重合温度を高めて重合量アップ(製
造効率アップ)を図ることが制限されることなどから、
製品重合体の分子量制御をはじめ製品重合体性能を制御
することが困難となる問題がある。また、立体規則性を
充分保つためには、実質的にかなりの量の電子供与性化
合物を必要とするため、脱触工程を省略すると電子供与
性化合物に起因する臭気が問題となる。
従って、上記問題点を解消するために、第3成分(外
部ドナー)として電子供与性化合物を使用しないで高立
体規則性重合体を高い触媒収率で製造できる触媒系の開
発が望まれている。
特開昭58−138715号公報には外部ドナーを使用しな
い、4価チタン、マグネシウム、ハロゲン及び電子供与
体を必須成分として含有するチタン複合体(1)と、Si
−O−C結合を有する有機ケイ素化合物(2)とを、有
機アルミニウム化合物の共存下で反応させるか、または
該チタン複合体を有機アルミニウム化合物で処理した
後、該有機ケイ素化合物と反応させて得られた固体成分
と、有機アルミニウムから形成される触媒系で重合する
方法が開示されている。
しかしながら、この提案では上記問題点の解消は進ん
でいるが、得られる製品重合体の性能面での限界があり
更に触媒の経時劣化、重合時のチタン成分と有機アルミ
ニウム化合物の使用量の量比に制約があるなどまだ改良
すべき点が多い。
特開昭62−187707号公報の提案によれば、特殊な有機
アルコキシケイ素化合物を用いることにより、重合時の
有機アルミニウム化合物の使用量の制約はかなり解消さ
れるようである。しかし、分子量制御や共重合体の製造
等を目的とした場合、脱触工程を省略可能な触媒収率が
常に得られてはおらず、さらなる改良が望まれる。
一方、分子量分布の制御や活性の改良を目的としてリ
ンやホウ素のアルコキシ化合物を有する提案がなされて
いる(特開昭52−124084号、同56−26904号、特公昭59
−23561号、特公平1−49165号、同1−49283号各公
報)。
しかしこれらの提案による効果は本発明の知る限りで
は不充分であるようである。また、これらの技術からで
はフェノキシ基を含有する化合物の優位性は全く予想す
ることは出来ない。
〔発明の概要〕
<要旨> 本発明は、上記の問題点に解決を与えることを目的と
するものである。
したがって、本発明によるチーグラー型触媒用固体成
分は、下記の成分(i)、成分(ii)及び成分(iii)
を接触させて得られたものであること、を特徴とするも
のである。
成分(i) 下記の成分(イ)、成分(ロ)および成分(ハ)を接
触させて得られる固体成分、 成分(イ):チタン、マグネシウムおよびハロゲンを
必須成分として含有する固体成分、 成分(ロ):M(OPh)nXm-nで表わされる化合物(ここ
で、Mはホウ素アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコ
ニウム、リンあるいはバナジウムを、mはMの原子価に
相当する数を、nは1〜mの整数を、Phはフェニル基あ
るいは置換フェニル基を、Xは水素、酸素、ハロゲン、
炭素数1〜10の炭化水素残基またはアルコキシ基を表わ
す。) 成分(ハ):ケイ素のハロゲン含有化合物、リンのハ
ロゲン含有化合物、ハロゲン及びインターハロゲンから
選ばれる1種以上の化合物、 成分(ii) R1▲R2 3-n▼Si(OR3 であらわされるケイ素化合物 (ここで、R1は炭素数1〜20の分岐鎖状炭化水素残基
を、R2はR1と同一かもしくは異なる炭素数1〜20の炭化
水素残基を、R3は炭素数1〜12の炭化水素残基を表わ
す。nは1≦n≦3である。) 成分(iii) 有機アルミニウム化合物。
また、本発明によるα−オレフィン重合用触媒は、下
記の成分(A)及び成分(B)よりなること、を特徴と
するものである。
成分(A) 下記の成分(i)、成分(ii)及び成分(iii)を接
触させて得られるチーグラー型触媒用固体触媒成分。
成分(i) 下記の成分(イ)、成分(ロ)および成分(ハ)を接
触させて得られる固体成分、 成分(イ):チタン、マグネシウムおよびハロゲンを
必須成分として含有する固体成分、 成分(ロ):M(OPh)nXm-nで表わされる化合物(ここ
で、Mはホウ素、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジル
コニウム、リンあるいはバナジウムを、mはMの原子価
に相当する数を、nは1〜mの整数を、Phはフェニル基
あるいは置換フェニル基を、Xは水素、酸素、ハロゲ
ン、炭素数1〜10の炭化水素残基またはアルコキシ基を
表わす。) 成分(ハ):ケイ素のハロゲン含有化合物、リンのハ
ロゲン含有化合物、ハロゲン及びインターハロゲンから
選ばれる1種以上の化合物、 成分(ii) R1▲R2 3-n▼Si(OR3 であらわされるケイ素化合物 (ここで、R1は炭素数1〜20の分岐鎖状炭化水素残基
を、R2はR1と同一かもしくは異なる炭素数1〜20の炭化
水素残基を、R3は炭素数1〜12の炭化水素残基を表わ
す。nは1≦n≦3である。) 成分(iii) 有機アルミニウム化合物。
成分(B) 有機アルミニウム化合物。
また、本発明によるα−オレフィン重合体の製造法
は、下記の成分(A)及び成分(B)よりなる重合用触
媒にα−オレフィンを接触させて重合させること、を特
徴とするものである。
成分(A) 下記の成分(i)、成分(ii)及び成分(iii)を接
触させて得られるチーグラー型触媒用固体触媒成分。
成分(i) 下記の成分(イ)、成分(ロ)および成分(ハ)を接
触させて得られる固体成分、 成分(イ):チタン、マグネシウムおよびハロゲンを
必須成分として含有する固体成分、 成分(ロ):M(OPh)nXm-nで表わされる化合物(ここ
で、Mはホウ素、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジル
コニウム、リンあるいはバナジウムを、mはMの原子価
に相当する数を、nは1〜mの整数を、Phはフェニル基
あるいは置換フェニル基を、Xは水素、酸素、ハロゲ
ン、炭素数1〜10の炭化水素残基またはアルコキシ基を
表わす。) 成分(ハ):ケイ素のハロゲン含有化合物、リンのハ
ロゲン含有化合物、ハロゲン及びインターハロゲンから
選ばれる1種以上の化合物、 成分(ii) R1▲R2 3-n▼Si(OR3 であらわされるケイ素化合物 (ここで、R1は炭素数1〜20の分岐鎖状炭化水素残基
を、R2はR1と同一かもしくは異なる炭素数1〜20の炭化
水素残基を、R3は炭素数1〜12の炭化水素残基を表わ
す。nは1≦n≦3である。) 成分(iii) 有機アルミニウム化合物。
成分(B) 有機アルミニウム化合物。
<効果> 本発明のチーグラー型触媒用固体触媒成分ならびにこ
の固体触媒成分よりなるα−オレフィン重合用触媒は、
重合時に電子供与性化合物(外部ドナー)を使用せず
に、あるいは少量使用するのみで高活性で重合体の立体
規則性を高く保つことが可能であり、また、活性の持続
性が高いなど公知触媒の問題点を解消するものである。
この重合触媒の利点は、本発明によるα−オレフィン重
合体の製造法の利点としてもとらえることができる。
このような特色は、工業生産上きわめて有利なことで
あり、触媒の特色として重要な点である。このような効
果が発現する理由についてはまだ充分解析できていない
が、チタンのハロゲン化状態を変化させることなくフェ
ノキシ基含有化合物をマグネシウム担体上に配位させる
ことで、立体規則性活性点を安定化し、被毒や分解を抑
えて高活性及び活性持続性を発現しているか、あるいは
マグネシウム担体の効果を高め、活性点の重合速度定数
を高めているものと思われる。
〔発明の具体的説明〕
≪α−オレンフィン重合用触媒≫ 本発明のα−オレフィン重合用触媒は、特定の成分
(A)および成分(B)よりなるものである。ここで
「よりなる」ということは、成分が挙示のもの(すなわ
ち、(A)および(B)のみであるということを意味す
るものではなく、合目的的な第三成分の共存を排除しな
い。
成分(A) 本発明の触媒の成分(A)は、下記の成分(i)ない
し成分(iii)を接触させて得られるチーグラー触媒用
固体触媒成分である。ここで、「接触させて得られる」
ということは挙示の成分(すなわち(i)〜(iii))
のみの接触によるものだけを意味するものではなく、合
目的的な他の成分の共存を排除しない。
成分(i) 成分(i)は下記の成分(イ)、(ロ)および(ハ)
を触媒させて得られる固体成分である。ここで「接触さ
せて得られる」ということは対象が挙示のもの(すなわ
ち成分(イ)、(ロ)および(ハ))のみであることを
意味するものではなく、合目的的な他成分の共存を排除
しない。
成分(イ) 成分(イ)は、チタン、マグネシウムおよびハロゲン
を必須成分として含有する固体成分である。ここで「必
須成分として含有する」ということは、挙示の三成分の
外に合目的的な他元素を含んでいてもよいこと、これら
の元素はそれぞれが合目的的な任意の化合物として存在
してもよいこと、ならびにこれら元素は相互に結合した
ものとして存在してもよいこと、を示すものである。チ
タン、マグネシウムおよびハロゲンを含む固体成分その
ものは公知のものである。例えば、特開昭53−45688
号、同54−3894号、同54−31092号、同54−39483号、同
54−94591号、同54−118484号、同54−131589号、同55
−75411号、同55−90510号、同55−90511号、同55−127
405号、同55−147507号、同55−155003号、同56−18609
号、同56−70005号、同56−72001号、同56−86905号、
同57−90807号、同56−155206号、同57−3803号、同57
−34103号、同57−92007号、同57−121003号、同58−53
09号、同58−5310号、同58−5311号、同58−8706号、同
58−27732号、同58−32604号、同58−32605号、同58−6
7703号、同58−117206号、同58−127708号、同58−1837
08号、同58−183709号、同59−149905号、同59−149906
号、同60−130607号、同61−55104号、同61−204204
号、同62−508号、同62−15209号、同62−20507号、同6
2−184005号、同62−236805号、同63−113004号、特開
平1−139601号、同1−215806号公報等に記載のものが
使用される。
本発明において使用されるマグネシウム源となるマグ
ネシウム化合物としては、マグネシウムハライド、ジア
ルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライ
ド、マグネシウムオキシハライド、ジアルキルマグネシ
ウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネ
シウムのカルボン酸塩等があげられる。これらのうちで
好ましいものはマグネシウムハライド、ジアルコキシマ
グネシウム、アルコキシマグネシウムハライドである。
また、チタン源となるチタン化合物は、一般式Ti(OR
44-nXn(ここでR4は炭化水素残基であり、好ましくは
炭素数1〜10程度のものであり、Xはハロゲンを示し、
nは0≦n≦4の数を示す。)で表わされる化合物があ
げられる。具体例としては、TiCl4、TiBr4、Ti(OC
2H5)Cl3、Ti(OC2H52Cl2、Ti(OC2H53Cl、Ti(O
−iC3H7)Cl3、Ti(O−nC4H9)Cl3、Ti(O−nC4H92
Cl2、Ti(OC2H5)Br3、Ti(OC2H5)(OC4H92Cl、Ti
(O−nC4H93Cl、Ti(O−C6H5)Cl3、Ti(O−iC
4H92Cl2、Ti(OC5H11)Cl3、Ti(OC6H13)Cl3、Ti(O
C2H5、Ti(O−nC3H7、Ti(O−nC4H9、Ti
(O−iC4H9、Ti(O−nC6H13、Ti(O−nC8H
17、Ti〔OCH2CH(C2H5)C4H9などが挙げられ
る。
また、TiX′(ここではX′はハロゲンを示す)に
後述する電子供与体を反応させた分子化合物を用いるこ
ともできる。具体例としては、TiCl4・CH3COC2H5、TiCl
4・CH3CO2C2H5、TiCl4・C6H5NO2、TiCl4・CH3COCl、TiC
l4・C6H5COCl、TiCl4・C6H5CO2C2H5、TiCl4・ClCOC
2H5、TiCl4・C4H4O等があげられる。
これらのチタン化合物の中でも好ましいものは、TiCl
4、Ti(OEt、Ti(OBu)、Ti(OBu)Cl3等であ
る。
ハロゲン源としては、上述のマグネシウム及び(又
は)チタンのハロゲン化合物から供給されるのが普通で
あるが、アルミニウムのハロゲン化物やケイ素のハロゲ
ン化物、リンのハロゲン化物といった公知のハロゲン化
剤から供給することもできる。
触媒成分中に含まれるハロゲンはフッ素、塩素、臭
素、ヨウ素又はこれらの混合物であってよく、特に塩素
が好ましい。
本発明に用いる固体成分は、上記必須成分の他にSiCl
4、CH3SiCl3等のケイ素化合物、メチルハイドロジェン
ポリシロキサン等のポリマーケイ素化合物、Al(OiC
3H7、AlCl3、AlBr3、Al(OC2H5、Al(OCH32C
l等のアルミニウム化合物及びB(OCH3、B(OC
2H5等のホウ素化合物、等の他成分の使用も可能で
あり、これがケイ素、アルミニウム、及びホウ素、等の
成分として固体成分中に残存することは差支えない。
更に、この固体成分を製造する場合に、電子供与体を
内部ドナーとして使用して製造することもできる。
この固体成分の製造に利用できる電子供与体(内部ド
ナー)としては、アルコール類、フェノール類、ケト
ン、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸又は無機酸類
のエステル類、エーテル類、酸アミド類、酸無水物類の
ような含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリ
ル、イソシアネートのような含窒素電子供与体などを例
示することができる。
より具体的には、(イ)メタノール、エタノール、プ
ロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノー
ル、ドデカノール、オクタデシルアルコール、ベンジル
アルコール、フェニルエチルアルコール、クミルアルコ
ール、イソプロピルベンジルアルコールなどの炭素数1
ないし18のアルコール類、(ロ)フェノール、クレゾー
ル、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノ
ール、クミルフェノール、ノニルフェノール、ナフトー
ルなどのアルキル基を有してよい炭素数6ないし25のフ
ェノール類、(ハ)アセトン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノ
ンなどの炭素数3ないし15のケトン類、(ニ)アセトア
ルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒ
ド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ナフトアルデ
ヒドなどの炭素数2ないし15のアルデヒド類、(ホ)ギ
酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸
プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、酢酸セ
ロソルブ、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、吉草酸エ
チル、ステアリン酸エチル、クロル酢酸メチル、ジクロ
ル酢酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチ
ル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチ
ル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチ
ル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息
香酸フェニル、安息香酸ベンジル、安息香酸セロソル
ブ、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸
アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニ
ス酸エチル、エトキシ安息香酸エチル、フタル酸ジエチ
ル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、γ−ブチ
ロラクトン、α−バレロラクトン、クマリン、フタリ
ド、炭酸エチレンなどの炭素数2ないし20の有機酸エス
テル類、(ヘ)ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、フェニル
トリエトキシシランなどのケイ酸エステルのような無機
酸エステル類、(ト)アセチルクロリド、ベンゾイルク
ロリド、トルイル酸クロリド、アニス酸クロリド、塩化
フタロイル、イソ塩化フタロイルなどの炭素数2ないし
15の酸ハライド類、(チ)メチルエーテル、エチルエー
テル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アルミ
エーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジフェニ
ルエーテルなどの炭素数2ないし20のエーテル類、
(リ)酢酸アミド、安息香酸アミド、トルイル酸アミド
などの酸アミド類、(ヌ)メチルアミン、エチルアミ
ン、ジエチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、
トリベンジルアミン、アニリン、ピリジン、ピコリン、
テトラメチルエチレンジアミンなどのアミン類、(ル)
アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリルなどの
ニトリル類、などを挙げることができる。これら電子供
与体は、二種以上用いることができる。これらの中で好
ましいのは有機酸エステルおよび有機酸ハライドであ
り、特に好ましいのは酢酸セロソルブエステル、フタル
酸エステルおよびフタル酸ハライドである。
上記各成分の使用量は、本発明の効果が認められるか
ぎり任意のものでありうるが、一般的には、次の範囲内
が好ましい。
チタン化合物の使用量は、使用するマグネシウム化合
物の使用量に対してモル比で1×10-4〜1000の範囲内が
よく、好ましくは0.01〜10の範囲内である。ハロゲン源
としてそのための化合物を使用する場合は、その使用量
はチタン化合物および(または)マグネシウム化合物が
ハロゲンを含む、含まないにかかわらず、使用するマグ
ネシウムの使用量に対してモル比で1×10-2〜1000、好
ましくは0.1〜100、の範囲内である。
ケイ素、アルミニウムおよびホウ素化合物の使用量
は、上記のマグネシウム化合物の使用量に対してモル比
で1×10-3〜100、好ましくは0.01〜1、の範囲内であ
る。
電子供与性化合物の使用量は、上記のマグネシウム化
合物の使用量に対してモル比で1×10-3〜10、好ましく
は0.01〜5、の範囲内である。
成分(イ)の固体成分は、上述のチタン源、マグネシ
ウム源およびハロゲン源、更には必要により電子供与体
等の他成分を用い公知の方法で製造できるが、例えば以
下の様な製造法が好ましい。
(イ) ハロゲン化マグネシウムと必要に応じて電子供
与体とチタン含有化合物とを接触させる方法。
(ロ) アルミナまたはマグネシアをハロゲン化リン化
合物で処理し、それにハロゲン化マグネシウム、電子供
与体、チタンハロゲン含有化合物またはタングステン含
有化合物を接触させる方法。
(ハ) ハロゲン化マグネシウムとチタンテトラアルコ
キシドおよび特定のポリマーケイ素化合物を接触させて
得られる固体成分に、チタンハロゲン化合物および(ま
たは)ケイ素のハロゲン化合物を接触させる方法。
このポリマーケイ素化合物としては、下式で示される
ものが適当である。
(ここで、Rは炭素数1〜10程度の炭化水素残基、nは
このポリマーケイ素化合物の粘度が1〜100センチスト
ークス程度となるような重合度を示す。) これらのうちでは、メチルハイドロジェンポリシロキ
サン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサ
ン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサ
ン、エチルハイドロジェンポリシロキサン、フェニルハ
イドロジェンポリシロキサン、シクロヘキシルハイドロ
ジェンポリシロキサンなどが好ましい。
(ニ) 上記(ハ)の製造方法で得られる固体成分に、
電子供与体およびタングステンのハロゲン化合物を接触
させる方法。
(ホ) マグネシウム化合物をチタンテトラアルコキシ
ドおよび電子供与体で溶解させて、ハロゲン化剤または
チタンハロゲン化合物で析出させた固体成分に、チタン
化合物を接触させる方法。
(ヘ) グリニャール試薬等の有機マグネシウム化合物
をハロゲン化剤、還元剤等と作用させた後、これに必要
に応じて電子供与体とチタン化合物を接触させる方法。
(ト) アルコキシマグネシウム化合物にハロゲン化剤
および(または)チタン化合物を電子供与体の存在もし
くは不存在下に接触させる方法。
このようにしてチタン、マグネシウムおよびハロゲン
を必須として含有する固体成分(イ)が得られる。
成分(ロ) 成分(ロ)は、一般式M(OPh)nXm-nであらわされる
化合物である。ここでMはホウ素、アルミニウム、ケイ
素、チタン、ジルコニウム、リンあるいはバナジウム
を、mはMの原子価に相当する数を、nは1〜mの整数
を、Phはフェニル基あるいは置換フェニル基を、Xは水
素、酸素、ハロゲン、炭素数1から10の炭化水素残基ま
たはアルコキシ基をあらわす。
このような成分(ロ)のPhとしての置換フェニル基の
置換基は、低級アルキルが好ましい。また、Xとしての
ハロゲンは塩素、臭素およびヨウ素が好ましく、Xとし
ての炭化水素残基(C1〜C10)はアルキル基ならびにフ
ェニル基および低級アルキル置換フェニル基が好まし
く、Xとしてのアルコキシ基は炭素数1〜8のものが好
ましい。したがって、このような本発明の成分(ロ)の
好ましい具体例としては、例えば、(イ)ホウ酸トリフ
ェニル、ホウ酸トリ(o−クレジル)、ホウ酸ジフェニ
ル、エチルジフェノキシホウ素等のホウ素化合物、
(ロ)アルミニウムトリフェノキシド、エチルアルミニ
ウムジフェノキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシ
ド等のアルミニウム化合物、(ハ)テトラフェノキシシ
ラン、エチルトリフェノキシシラン、ジフェニルジフェ
ノキシシラン等のシラン化合物、(ニ)テトラフェノキ
シチタン、トリフェノキシチタニウムクロリド、ビスシ
クロペンタジエニルチタニウムジフェノキシド等のチタ
ン化合物、(ホ)テトラフェノキシジルコニウム、ジフ
ェノキシジルコニウムジクロリド等のジルコニウム化合
物、(ヘ)亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニ
ル、リン酸トリフェニル、亜リン酸トリクレジル、フェ
ニル亜リン酸ジフェニル等のリン化合物、(ト)トリフ
ェノキシバナジウム、オキシバナジウムトリフェノキシ
ド等のバナジウム化合物、等を挙げることができる。こ
れらのうちでは、ホウ酸トリフェニル、テトラフェノキ
シシラン、亜リン酸トリフェニル等のように全てフェノ
キシ基の化合物が好ましい。
成分(ハ) 成分(ハ)は、ケイ素のハロゲン含有化合物、リンの
ハロゲン含有化合物、ハロゲン及びインターハロゲンか
ら選ばれる1種以上の化合物である。
成分(ハ)を構成するハロゲン原子としては、塩素、
臭素、ヨウ素が好ましい。成分(ハ)が、ケイ素もしく
はリンのハロゲン含有化合物である場合には、ケイ素も
しくはリンには少なくとも一つの上記ハロゲン原子が結
合していればよい。その場合、ケイ素もしくはリンの残
りの原子価は、例えば低級アルキル(炭素数1〜12程
度)、フェニルあるいは低級アルキル置換フェニル等で
充足されるのが普通である。
同一化合物分子中に複数のハロゲン原子が存在する場
合には、そのハロゲンは同種または異種のものであって
もよいこと、ならびに成分(ハ)は複数種の化合物の混
合物からなるものでもよいことはいうまでもない。
成分(ハ)として好ましい化合物の具体例としては、
例えば(い)ケイ素のハロゲン含有化合物、例えば四塩
化ケイ素、四臭化ケイ素、トリクロルシラン、メチルト
リクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルト
リクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニル
ジクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、トリメ
チルクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニ
ルトリブロモシラン、ジメチルジブロモシラン、ビニル
ジメチルブロモシラン等、(ろ)リンのハロゲン含有化
合物、例えば五塩化リン、五臭化リン、三塩化リン、三
臭化リン、オキシ三塩化リン等、(は)ハロゲンないし
インターハロゲン化合物、例えば塩素、臭素、ヨウ素、
一塩化ヨウ素、三塩化ヨウ素、一臭化ヨウ素、三臭化ヨ
ウ素等がある。これらのうちでは、四ハロゲン化ケイ
素、五ハロゲン化リンおよびインターハロゲン化合物、
特に四塩化ケイ素、五塩化リンおよび三塩化ヨウ素、が
好ましい。
<成分(i)の調製> 成分(i)は、上記の成分(イ)ないし(ハ)を接触
させて得られる固体成分である。各成分の使用量は、本
発明の効果が認められる限り任意のものであるが、一般
的には次の範囲内が好ましい。
成分(ロ)の使用量は、成分(イ)のマグネシウム化
合物の使用量に対してモル比で1×10-4〜1000、好まし
くは1×10-3〜10、の範囲内である。成分(ハ)の使用
量は、成分(イ)中のチタン化合物に対してモル比で0.
01〜1000、好ましくは0.1〜300、の範囲である。
成分(イ)、(ロ)、(ハ)の接触順序および接触回
数は特に制限はないが、例えば、(い)成分(イ)と成
分(ロ)を反応させ、次いで成分(ハ)と接触させる方
法、(ろ)成分(イ)に、成分(ロ)と成分(ハ)の反
応物を接触させる方法、(は)成分(イ)と成分(ハ)
を反応させ、次いで、成分(ロ)を接触させる方法、
(に)成分(イ)と(ハ)を反応させ、次いて成分
(ロ)と成分(ハ)を接触させる方法、(ほ)成分
(イ)、(ロ)、(ハ)を同時に接触させる方法、など
が挙げられる。
接触温度は、−50〜200℃程度、好ましくは0〜120℃
程度である。
成分(ii) 成分(ii)は、一般式 (ここで、R1は炭素数1〜20の分岐鎖状炭化水素残基
を、R2はR1と同一かもしくは異なる炭素数1〜20の炭化
水素残基を、R3は炭素数1〜12の炭化水素残基を表わ
す。nは1≦n≦3の数である。)で表わされるケイ素
化合物である。
ここで、R1はケイ素原子に隣接する炭素原子から分岐
しているものが好ましい。その場合の分岐基は、アルキ
ル基、シクロアルキル基またはアリール基(たとえば、
フェニル基またはメチル置換フェニル基)であることが
好ましい。さらに好ましいR1は、ケイ素原子に隣接する
炭素原子、すなわちα−位炭素原子、が2級または3級
の炭素原子であるものであり、とりわけ、ケイ素原子に
結合している炭素原子が3級のものが好ましい。R1の炭
素数は3〜20、好ましくは4〜10である。R2は炭素数1
〜20、好ましくは1〜10、の分岐あるいは直鎖状の脂肪
族炭化水素基であることがふつうである。R3は脂肪族炭
化水素基、好ましくは炭素数1〜4の鎖状脂肪族炭化水
素基、であることがふつうである。
以下に成分(ii)の具体例を示す。
成分(iii) 成分(iii)は有機アルミニウム化合物である。
成分(iii)の有機アルミニウム化合物としては成分
(B)として記載した化合物(詳細後記)と同様なもの
を使用することができる。成分(iii)として使用する
好ましい有機アルミニウム化合物の具体例としては、
(イ)トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリn−プロピルアルミニウム、トリn−ブチルア
ルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ヘ
キシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、
(ロ)ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミ
ニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジエ
チルアルミニウムアイオダイド、イソブチルアルミニウ
ムクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチ
ルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジ
クロリドなどのアルキルアルミニウムハライド、(ハ)
ジエチルアルミニウムヒドリドなどのアルキルアルミニ
ウムヒドリド、(ニ)ジエチルアルミニウムエトキシ
ド、ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのアルキル
アルミニウムアルコキシド、(ホ)メチルアルミノキサ
ン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン
などのアルミノキサン(アルモキサンともいう)、等が
例示される。これらは、単独であるいは2種以上の混合
物として使用することができる。また、ブチルリチウ
ム、ブチルエチルマグネシウム、ジエチル亜鉛、チタノ
センジメチル等の有機金属化合物との混合、あるいは錯
体として使用することも可能である。
<成分(A)の調製> 成分(i)〜(iii)の接触方法および使用量は、本
発明の効果が認められる限り任意のものでありうるが、
一般的には次の条件が好ましい。
成分(i)と成分(ii)の量比は、成分(i)を構成
するチタン成分に体する成分(ii)のケイ素の原子比
(ケイ素/チタン)で0.01〜1000、好ましくは0.1〜10
0、の範囲である。成分(iii)の成分(i)に対する量
比は、有機アルミニウム化合物のアルミニウム/チタン
原子比で0.01〜1000、好ましくは0.1〜300、の範囲であ
る。
成分(i)ないし(iii)の接触順序は特に制限はな
いが、例えば(イ)成分(i)と成分(ii)を接触さ
せ、次に成分(iii)と接触させる方法、(ロ)成分
(i)と成分(iii)を接触させ、次いで成分(ii)と
接触させる方法、(ハ)成分(ii)と成分(iii)を予
め接触させたものを成分(i)と接触させる方法、
(ニ)成分(i)、(ii)および(iii)を同時に接触
させる方法等がある。なお、各工程の間に洗浄工程をお
こなうことは問題ない。
接触温度は、−50〜200℃程度、好ましくは0〜100℃
程度、である。接触方法としては、回転ボールミル、振
動ミル、ジェットミル、媒体攪拌粉砕機などによる機械
的な方法、不活性稀釈剤の存在下に、攪拌により接触さ
せる方法などがあげられる。このとき使用する不活性稀
釈剤としては、脂肪族または芳香族の炭化水素およびハ
ロ炭化水素、ポリシロキサン等があげられる。
これらの接触に際しては、本発明の効果を損なわない
限りにおいて、成分(i)〜(iii)以外のその他の成
分、たとえばメチルハイドロジェンポリシロキサン、ホ
ウ酸エチル、アルミニウムトリイソプロポキシド、三塩
化アルミニウム、四塩化ケイ素、四価のチタン化合物、
三価のチタン化合物等を共存させることも可能である。
本発明の成分(A)の調製時あるいは調製後に任意成
分として、オレフィンやジエン化合物等のエチレン性不
飽和化合物を使用することも可能である。そのようなエ
チレン性不飽和化合物の具体例としては、エチレン、プ
ロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1
−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、
3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−ヘキセ
ン、3−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メ
チル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−
メチル−2−ペンテン、3−メチル−2−ペンテン、4
−メチル−2−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、2,
3−ジメチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテ
ン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−
オクテン、2−オクテン、3−オクテン、4−オクテ
ン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ド
デカン、1−トリデカン、1−テトラデカン、1−ペン
タデカン、1−ヘキサデカン、1−ヘプタデカン、1−
オクタデカン、1−ノナデカン、スチレン、α−メチル
スチレン、ジビニルベンゼン、1,3−ブタジエン、イソ
プレン、ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキ
サジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、2,
3−ペンタジエン、2,6−オクタジエン、cis−2,trans4
−ヘキサジエン、trans2,trans4−ヘキサジエン、1,2−
ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−ヘプタジエ
ン、1,6−ヘプタジエン、2,4−ヘプタジエン、ジクロロ
ペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロ
ヘキサジエン、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘプ
タジエン、1,3−ブタジエン、4−メチル−1,4−ヘキサ
ジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,9−デカジ
エン、1,13−テトラデカジエン等があげられる。これら
は、必要に応じて有機アルミニウム化合物と共に成分
(A)と接触させれば重合するのがふつうであり、従っ
てそのようにして製造した成分(A)は所謂予備重合を
終えたものということになる。
これらのエチレン性不飽和化合物は成分(A)の調製
時に重合するものと考えられ、従ってその使用量は、こ
れら化合物の使用前の成分(A)に対し0.01〜100重量
倍、好ましくは0.1〜10重量倍、である。
成分(B) 成分(B)は、有機アルミニウム化合物である。具体
例としては、R5 3-nAlXnまたは、R6 3-mAl(OR7(こ
こで、R5及びR6は同一または異なってもよい炭素数1〜
20程度の炭化水素残基または水素原子、R7は炭素数1〜
20程度の炭化水素残基、Xはハロゲン、nおよびmはそ
れぞれ0≦n<3、0<m<3の数である。)で表わさ
れるものがある。具体的には、(イ)トリメチルアルミ
ニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアル
ミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルア
ルミニウム、トリデシルアルミニウム、などのトリアル
キルアルミニウム、(ロ)ジエチルアルミニウムモノク
ロライド、ジイソブチルアルミニウムモノクロライド、
エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニ
ウムジクロライド、などのアルキルアルミニウムハライ
ド、(ハ)ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソ
ブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミ
ニウムハイドライド、(ニ)ジエチルアルミニウムエト
キシド、ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのアル
ミニウムアルコキシド、(ホ)メチルアルモキサン、エ
チルアルモキサン、イソブチルアルモキサンなどのアル
モキサン、などがあげられる。
これら(イ)〜(ホ)の有機アルミニウム化合物に他
の有機金属化合物、たとえば、 R8 3-aAl(OR9(ここで、1≦a≦3、R8およびR9
同一または異なってもよい炭素数1〜20程度の炭化水素
残基である。)で表わされるアルキルアルミニウムアル
コキシド併用することもできる。例えば、トリメチルア
ルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドの併用、
ジエチルアルミニウムモノクロライドとジエチルアルミ
ニウムエトキジドとの併用、エチルアルミニウムジクロ
ライドとエチルアルミニウムジエトキシドとの併用、ト
リエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシ
ドとジエチルアルミニウムクロライドとの併用があげら
れる。
成分(B)の使用量は、重量比で成分(B)/成分
(A)が0.01〜1000、好ましくは0.1〜100、の範囲であ
る。
第三成分(任意成分) 本発明のα−オレフィン重合用触媒は、特定の成分
(A)及び成分(B)よりなるものである。ここで「よ
りなる」ということは、成分が挙示のもの(すなわち成
分(A)及び成分(B))のみであるということを意味
するものはなく、合目的的な第三成分の共存を排除しな
いということは前記した通りである。
そのような合目的的な第三成分の代表的なものとして
は、電子供与性化合物、例えばエーテル類、エステル
類、アミン類、無機アルコキシ化合物、その他、を挙げ
ることができる。
具体的には、(イ)エーテル類、例えばジフェニルジ
メトキシメタン、オイカリプトール、2,5−ジメチルヘ
キサヒドロフラン等、(ロ)エステル類、例えば安息香
酸エチル、p−トルイル酸エチル、p−トルイル酸メチ
ル等の有機カルボン酸エステル類、(ハ)アミン類、例
えば2,2−6,6,テトラメチルピペリジン、2,6−ジメチル
ピペリジン、ジ tert ブチルアミン、ジイソブチルメ
チルアミン、(ニ)無機アルコキシ化合物、例えばホウ
酸トリエチル、ホウ酸トリメチル、亜リン酸トリエチ
ル、フェニルジエトキシリン、トリス(ジフェニルメト
キシ)アルミニウム、ビス(ジフェニルメトキシ)アル
ミニウムエチル、ケイ酸エチル、フェニルトリエトキシ
シラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメ
トキシシラン、ジイソブイルジメトキシシラン、ジ te
rt ブチルジメトキシシラン、tert ブチルメチルジメ
トキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラ
ン、フェニルイソプロピルジメトキシシラン、ノルボル
ニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルメチルモノメ
トキシシラン、ジフェニルイソプロピルモノメトキシシ
ラン、を例示することが出来る。
これらの第三成分の使用量は、本発明の効果が認めら
れるかぎり任意のものでありうるが、一般的に次の範囲
内が好ましい。成分(A)中のチタン成分に対してモル
比で、0.01〜300、好ましくは0.1〜100、の範囲であ
る。
<触媒の形成> 本発明による触媒は、成分(A)および(B)からな
るものであって、このような触媒は両成分および必要に
応じて第三成分を、重合槽内であるいは重合させるべき
オレフィンの共存下に、あるいは重合槽外であるいは重
合させるべきオレフィンの存在下に、一時に、段階的
に、あるいは分割して数回にわたって接触させることに
よって形成させることができる。
成分(A)および(B)の接触場所への供給方法には
特に制限はないが、それぞれヘキサン、ヘプタン等の脂
肪族炭化水素溶液に分散させて、それぞれ別々に重合槽
に添加しあるいはあらかじめ接触させて重合槽に添加す
るのがふつうである。成分(A)は、固体の状態で成分
(B)とは別々に重合槽に添加してもよい。
<オレフィンの重合> 本発明の触媒は、通常のスラリー重合に適用されるの
はもちろんであるが、実質的に溶媒を用いない液相無溶
媒重合、溶液重合、または気相重合法にも適用される。
また連続重合、回分式重合または予備重合を行なう方式
にも適用される。スラリー重合の場合の重合溶媒として
は、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、
ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族または芳香族炭化水
素の単独あるいは混合物が用いられる。重合温度は室温
から200℃程度、好ましくは50〜150℃、であり、そのと
き分子量調節剤として補助的に水素を用いることができ
る。スラリー重合のとき、成分(A)の使用量は、0.00
01〜0.1グラム成分(A)/リットル溶剤の範囲内が好
ましい。
本発明の触媒系で重合するオレフィン類は、一般式R
−CH=CH2(ここでRは水素原子または炭素数1〜10の
炭化水素残基であり、分枝基を有してもよい。)で表わ
されるものである。具体的には、エチレン、プロピレ
ン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メ
チルペンテン−1などのオレフィン類がある。好ましく
はエチレンおよびプロピレンである。これらの重合の場
合に、エチレンに対して50重量パーセントまで、好まし
くは20重量パーセントまで、の上記オレフィンとの共重
合を行なうことができ、プロピレンに対して30重量パー
セントまでの上記オレフィン、特にエチレン、との共重
合を行なうことができる。その他の共重合性モノマー
(たとえば酢酸ビニル、ジオレフィン等)との共重合を
行なうこともできる。
〔実験例〕
実施例−1 〔成分(A)の製造〕 充分に窒素置換したフラスコに脱水および脱酸素した
n−ヘプタン200ミリリットルを導入し、次いでMgCl2
0.1モル、Ti(O−nC4H9を0.2モル導入し、95℃で
2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次
いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークス
のもの)を12ミリリットル導入し、3時間反応させた。
生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。ついで充
分に窒素置換したフラスコに前記と同様に精製したn−
ヘプタンを50ミリリットル導入し、上記で合成した固体
成分をMg原子換算で0.03モル導入した。ついでn−ヘプ
タン25ミリリットルにSiCl40.05モルを混合して30℃、3
0分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。
反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでn−ヘプ
タン25ミリリットルにフタル酸クロライド0.003モルを
混合して90℃、30分間でフラスコへ導入し、95℃で1時
間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄して成
分(イ)を得た。次いで四塩化ケイ素2ミリリットル、
ヘプタン80ミリリットルを導入して、90℃で2時間反応
させた。次いで、ホウ酸トリフェニル1.0グラム、四塩
化ケイ素2.0ミリリットルを追加し、90℃で2時間反応
させた。反応終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄して固
体成分(i)を得た。この成分(i)中にはチタンが1.
15重量パーセント含まれていた。
次に、充分に窒素置換したフラスコにn−ヘプタンを
80ミリリットル、上記で得た成分(i)を4グラム、次
いで成分(ii)として(CH33CSi(CH3)(OCH3
2.2ミリモル、成分(iii)としてn−ヘプタンに希釈し
たトリエチルアルミニウムを1.71グラム(15ミリモル)
を15℃条件下30分かけて滴下した。滴下終了後、30℃に
昇温し、2時間にわたって各成分を接触させた。接触終
了後、n−ヘプタンで充分洗浄して成分(A)とした。
この成分(A)中にはチタンが1.05重量パーセント含ま
れていた。
〔プロピレンの重合〕
撹拌および温度制御装置を有する内容積1.5リットル
のスチレン鋼製オートクレーブに、充分に脱水および脱
酸素したn−ヘプタンを500ミリリットル、成分(B)
としてトリエチルアルミニウム125ミリグラム、および
上記で合成した触媒成分(A)を15ミリグラム導入し
た。次いで、H2を60ミリリットル導入し、昇温昇圧し、
重合圧力=5kg/cm2G、重合温度=75℃、重合時間=2時
間の条件で重合を行なった。重合終了後、得られたポリ
マースラリーを過により分離し、ポリマーを乾燥し
た。
その結果、195.3グラムのポリマーが得られた。また
過液からは0.43グラムのポリマーが回収された。従っ
て触媒あたりの活性は、13000グラムポリマー/グラム
固体触媒、チタン原子あたりは124.3×104グラムポリマ
ー/グラムチタンであった。ポリマーは、MFR=1.15グ
ラム/10分、ポリマーの嵩比重は0.425であった。また、
プレス成型により得たシートを密度勾配管によりポリマ
ー密度を測定した結果は0.9071グラム/ミリリットルで
あった。
実施例−2 〔成分(A)の製造〕 実施例−1で得た成分(イ)に、四塩化ケイ素4ミリ
リットルとn−ヘプタン80ミリリットルを導入し、90℃
で2時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで充分
に洗浄して新たな成分(イ)を得た。次いで、成分
(ロ)としてホウ酸トリフェニル0.5グラム、成分
(ハ)として四塩化ケイ素を2ミリリットル、n−ヘプ
タン80ミリリットル導入し、90℃で2時間反応させた。
反応終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄して固体成分
(i)を得た。この成分(i)中にはチタンが1.05重量
パーセント含まれていた。
次いで、得られた固体成分(i)を用いる以外は全て
実施例−1と同一条件で成分(ii)および成分(iii)
と接触させて成分(A)を得た。この成分(A)中には
チタンが0.98重量パーセント含まれていた。
〔プロピレンの重合〕
上記の成分(A)を用い、実施例−1と同一条件で重
合をおこなった。結果を表−1に示す。
比較例−1、2、3、4 実施例−2で成分(ロ)、成分(ハ)、成分(ii)あ
るいは成分(iii)を使用しない以外は全て実施例−2
と同一条件で成分(A)を製造し、プロピレンの重合を
実施した。結果を表−1に示す。
実施例−3、比較例−5 実施例−2及び比較例−1の成分(A)を用い、プロ
ピレンの重合を2時間から6時間に変更して実施した。
結果を表−1に示す。
実施例−4〜8および比較例6〜8 実施例−2の成分(ロ)、成分(ハ)のかわりに表−
2に示す化合物を使用する以外は全て実施例−2と同一
条件で成分(A)を製造し、プロピレンの重合をおこな
った。結果を表−2に示す。
実施例−9および比較例−9 〔プロピレン/エチレンのブロック共重合〕 内容積1.5リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロ
ピレンで充分置換した後、充分に脱水および脱酸素した
n−ヘプタン500ミリリットル導入し、実施例−1で得
られた成分(A)を17.9ミリグラム、あるいは比較例−
1で得られた成分(A)を24.4ミリグラム、トリエチル
アルミニウムを125ミリグラムをプロピレン雰囲気下で
導入した。
反応系に水素を200ミリリットル導入した後、温度を7
5℃にしてプロピレンを0.917グラム/分の一定速度で導
入した。3時間後、プロピレンの導入を停止し、重合を
75℃で継続した。圧力が2kg/cm2Gとなった時点で中間サ
ンプルとして1/10サンプリングした。さらに気相部を0.
2kg/cm2Gまでパージした後、第三成分としてホウ酸メチ
ル(B(OCH3)を0.025ミリモル導入した。次い
で、プロピレンを0.133グラム/分、エチレンを2.00グ
ラム/分、それぞれ定速で65℃条件下、1.5時間導入し
た。導入終了後、重合を継続し圧力が1.0kg/cm2Gとなっ
た時点で気相部をパージし重合を停止した。結果を表−
3に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は、チーグラー触媒に関する本発明の技術内容の
理解を助けるためのものである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−277202(JP,A) 特開 昭55−90510(JP,A) 特開 昭58−67703(JP,A) 特開 昭58−27704(JP,A) 特開 昭57−31909(JP,A) 特開 昭54−62288(JP,A) 特開 昭55−104303(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 4/658

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の成分(i)、成分(ii)及び成分
    (iii)を接触させて得られたものであることを特徴と
    する、チーグラー型触媒用固体触媒成分。 成分(i) 下記の成分(イ)、成分(ロ)および成分
    (ハ)を接触させて得られる固体成分、 成分(イ):チタン、マグネシウムおよびハロゲンを必
    須成分として含有する固体成分、 成分(ロ):M(OPh)nXm-nで表わされる化合物(ここ
    で、Mはホウ素、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジル
    コニウム、リンあるいはバナジウムを、mはMの原子価
    に相当する数を、nは1〜mの整数を、Phはフェニル基
    あるいは置換フェニル基を、Xは水素、酸素、ハロゲ
    ン、炭素数1〜10の炭化水素残基またはアルコキシ基を
    表わす。) 成分(ハ):ケイ素のハロゲン含有化合物、リンのハロ
    ゲン含有化合物、ハロゲン及びインターハロゲンから選
    ばれる1種以上の化合物、 成分(ii) R1R2 3-nSi(OR3であらわされるケイ素
    化合物(ここで、R1は炭素数1〜20の分岐鎖状炭化水素
    残基を、R2はR1と同一かもしくは異なる炭素数1〜20の
    炭化水素残基を、R3は炭素数1〜12の炭化水素残基を表
    わす。nは1≦n≦3である。) 成分(iii) 有機アルミニウム化合物。
  2. 【請求項2】下記の成分(A)及び成分(B)よりなる
    ことを特徴とする、α−オレフィン重合用触媒。 成分(A) 下記の成分(i)、成分(ii)及び成分
    (iii)を接触させて得られるチーグラー型触媒用固体
    触媒成分。 成分(i) 下記の成分(イ)、成分(ロ)および成分
    (ハ)を接触させて得られる固体成分、 成分(イ):チタン、マグネシウムおよびハロゲンを必
    須成分として含有する固体成分、 成分(ロ):M(OPh)nXm-nで表わされる化合物(ここ
    で、Mはホウ素、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジル
    コニウム、リンあるいはバナジウムを、mはMの原子価
    に相当する数を、nは1〜mの整数を、Phはフェニル基
    あるいは置換フェニル基を、Xは水素、酸素、ハロゲ
    ン、炭素数1〜10の炭化水素残基またはアルコキシ基を
    表わす。) 成分(ハ):ケイ素のハロゲン含有化合物、リンのハロ
    ゲン含有化合物、ハロゲン及びインターハロゲンから選
    ばれる1種以上の化合物、 成分(ii) R1R2 3-nSi(OR3であらわされるケイ素
    化合物(ここで、R1は炭素数1〜20の分岐鎖状炭化水素
    残基を、R2はR1と同一かもしくは異なる炭素数1〜20の
    炭化水素残基を、R3は炭素数1〜12の炭化水素残基を表
    わす。nは1≦n≦3である。) 成分(iii) 有機アルミニウム化合物。 成分(B) 有機アルミニウム化合物。
  3. 【請求項3】下記の成分(A)及び成分(B)よりなる
    重合用触媒にα−オレフィンを接触させて重合させるこ
    とを特徴とする、α−オレフィン重合体の製造法。 成分(A) 下記の成分(i)、成分(ii)及び成分
    (iii)を接触させて得られるチーグラー型触媒用固体
    触媒成分。 成分(i) 下記の成分(イ)、成分(ロ)および成分
    (ハ)を接触させて得られる固体成分、 成分(イ):チタン、マグネシウムおよびハロゲンを必
    須成分として含有する固体成分、 成分(ロ):M(OPh)nXm-nで表わされる化合物(ここ
    で、Mはホウ素、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジル
    コニウム、リンあるいはバナジウムを、mはMの原子価
    に相当する数を、nは1〜mの整数を、Phはフェニル基
    あるいは置換フェニル基を、Xは水素、酸素、ハロゲ
    ン、炭素数1〜10の炭化水素残基またはアルコキシ基を
    表わす。) 成分(ハ):ケイ素のハロゲン含有化合物、リンのハロ
    ゲン含有化合物、ハロゲン及びインターハロゲンから選
    ばれる1種以上の化合物、 成分(ii) R1R2 3-nSi(OR3であらわされるケイ素
    化合物(ここで、R1は炭素数1〜20の分岐鎖状炭化水素
    残基を、R2はR1と同一かもしくは異なる炭素数1〜20の
    炭化水素残基を、R3は炭素数1〜12の炭化水素残基を表
    わす。nは1≦n≦3である。) 成分(iii) 有機アルミニウム化合物。 成分(B) 有機アルミニウム化合物。
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