JP2950026B2 - 絞り加工方法 - Google Patents
絞り加工方法Info
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Description
のであり、特に、成形品のゆがみの低減に関するもので
ある。
器状を成す本体部と、その本体部の外周縁に沿って形成
されたフランジ部とを有するものがある。フランジ部
は、その全部または一部が本体部と共に製品を構成し、
あるいは全部または一部が本体部から切り離されて廃棄
されるが、いずれにしても絞り加工時にはフランジ部が
しわ押さえにより押さえられて素材に引張力が与えら
れ、しわやたるみの発生が防止される。
伸び変形とフランジ部の伸び変形とに差が生ずるため、
成形品を型から外したとき、本体部には弾性回復により
縮みが生ずるのに対し、フランジ部には縮みが生ぜず、
ゆがみが生ずる。この場合、実開昭62−46123号
公報に記載の加工方法におけるように、素材を所定の形
状に成形するとともにエンボスを設けて成形品の剛性を
高めれば、ゆがみの発生を低減することができる。
うにエンボスを設けることによるゆがみの低減は、例え
ば、自動車の外板パネルなど、デザイン上、エンボスが
あってはならない成形品の場合には適用することができ
ない。エンボスを設け、後工程においてリストライクに
よりエンボスを消滅させることも考えられるが、その場
合には面歪が残り、上記外板パネルの場合、光を反射す
るハイライトラインが良好に得られないなどの不具合が
生ずるため、適当ではない。本発明は、成形品の外観を
損なうことなく、ゆがみの発生を低減することができる
絞り加工方法を提供することを課題として為されたもの
である。
1に記載の発明に係る絞り加工方法は、上記課題を解決
するために、前記本体部とフランジ部とを有する成形品
のフランジ部に前記本体部の周方向に沿った第1ビード
を形成するとともに、フランジ部の第1ビードより外周
側の部分に第1ビードと交差する方向に延びる少なくと
も1つの第2ビードを、フランジ部の素材伸び率が、本
体部の素材伸び率の0.6〜1.4倍となるように、形
成することを要旨とするものである。本体部の外周縁に
沿って形成されたフランジ部に、本体部の周方向に沿っ
て延びる第1ビードを形成すれば、本体部の絞り加工時
におけるフランジ部の本体部側への流入を抑制して素材
に引張力を与え、本体部にしわが発生することを防止す
ることができる。また、フランジ部の第1ビードより外
周側の部分に、第1ビードと交差する方向に延びる第2
ビードを設ければ、本体部の絞り加工時に本体部に生ず
る伸び変形と同じ方向の伸び変形がフランジ部にも生
じ、離型後、弾性回復により、本体部に弾性回復により
生ずる縮みと同じ方向の縮みが生ずる。この場合におい
て、第2ビードを、フランジ部の素材伸び率が本体部の
素材伸び率の0.6〜1.4倍となるように形成すれ
ば、弾性回復により生ずるフランジ部の弾性回復量と本
体部における弾性回復量との差を小さくすることがで
き、成形品のゆがみを低減させることができる。請求項
2に記載のように、第2ビードを、フランジ部の素材伸
び率が本体部の素材伸び率の0.9〜1.1倍となるよ
うに形成すれば、弾性回復量の差をさらに小さくするこ
とができ、弾性回復によって生ずるゆがみを特に良好に
低減させることができる。また、第2ビードと本体部と
の間に形成された第1ビードにより、第2ビードの形成
に伴う素材の伸び変形の不均一の影響が本体部におよぶ
ことが良好に防止できる。すなわち、上記のように第2
ビードの形成によってフランジ部に伸び変形が生ずるの
であるが、この伸び変形はフランジ部全体に均一に生ず
るのではなくある程度不均一になることを避け得ない。
第2ビードの、本体部に近い側の端の周辺においては素
材の伸び変形、特に本体部の周方向と直交する方向の伸
び変形が大きくなり、その影響によって本体部の隣接部
分の伸び変形も大きくなって、本体部に局部的なゆがみ
を生じさせる。このゆがみは、後にフランジ部が除去さ
れる場合に特に目立つ。それに対して、第2ビードと本
体部との間に第1ビードを形成すれば、第2ビード形成
に伴う素材の伸びの不均一の本体部への影響が第1ビー
ドによって低減されるため、上記本体部の局部的なゆが
みの発生を良好に防止できるのである。第1,第2ビー
ドは、本体部の形成と同じ工程において形成することが
望ましいが、本体部の形成前に別工程において形成して
もよい。第1,第2ビードを本体部の形成と同時に形成
する場合には、離型時に本体部とフランジ部とに同時に
縮みが生ずる。また、第1,第2ビードを本体部の形成
前に形成する場合には、フランジ部の縮みと本体部の縮
みとには時間的なずれが生ずるが、いずれの場合にも、
本体部のみならずフランジ部も縮むことにより結果とし
て成形品全体に縮みが生じ、本体部のみが縮む場合に比
較してゆがみの発生が低減される。このように本発明の
絞り加工方法によれば、第2ビードの形成により、フラ
ンジ部にも本体部と似た伸び変形が生じさせられて成形
品全体としてのゆがみが低減されるとともに、第1ビー
ドの形成によって、第2ビード形成時のフランジ部の伸
び変形不均一の影響による本体部の局部的なゆがみの発
生も良好に防止される。その結果、本体部にエンボスを
形成することなく、成形品のゆがみを低減することがで
き、見映えがよく、ゆがみの少ない成形品を得ることが
できる。フランジ部に第1,第2ビードが形成されて
も、後にフランジ部が除去される場合には何ら支障がな
いことは勿論、フランジ部が本体部と共に製品を構成す
る場合でもフランジ部が外に表れない場合には外観を損
なうことがないため、支障はないのである。請求項3に
記載の発明に係る絞り加工方法は、前記フランジ部に前
記本体部の周方向に沿った第1ビードを形成するととも
に、フランジ部の第1ビードより外周側の部分に、第1
ビードと交差する方向に延び、かつ、第1ビードに達す
る少なくとも1つの第2ビードを形成することを要旨と
する。本絞り加工方法においては、第2ビードが第1ビ
ードに達する状態で形成されるのであり、第1ビードと
第2ビードとの間にビードが形成されない部分が残るこ
とがない。そのため、離形後、フランジ部全体が弾性回
復によって縮むことになり、成形品のゆがみを効果的に
低減させることができる。請求項4に記載の発明に係る
絞り加工方法は、前記第1ビードと前記第2ビードとを
同時に形成するビード形成工程と、そのビード形成工程
の後に前記本体部を形成する本体部形成工程とを含むこ
とを要旨とする。本絞り加工方法においては、第1ビー
ドと第2ビードとが同時に形成され、その後に本体部が
形成される。第1ビードと第2ビードとが同時に形成さ
れるのであり、その結果、第2ビードを第1ビードに達
する形状とすることが容易となる。
に説明する。図2には、本発明の一実施例である絞り加
工方法の実施に使用される加工装置が示されている。こ
の装置は上型10と下型12とを備えており、上型10
にはしわ押さえ14と絞り加工用ポンチ16とが上下方
向に相対移動可能に設けられている。しわ押さえ14は
ホルダ18により保持されて図示しない昇降ラムにより
昇降させられるようになっている。しわ押さえ14の押
さえ面20には、矩形断面の溝22がしわ押さえ14の
内周縁にほぼ平行に環状に形成されるとともに、断面形
状が半円形を成し、溝22と直交する方向に延びる複数
の溝24が形成されている。これら溝24は、一端が溝
22に至り、他端がしわ押さえ14の外側縁に至るもの
とされている。
を保持するホルダ18の中央に上下方向に摺動可能に嵌
合されている。このポンチ16はしわ押さえ14を昇降
させる昇降ラムとは別の昇降ラムによって昇降させられ
る。絞り加工用ポンチ16は、素材のしわ押さえ14に
よって拘束された部分の内側の部分全体を絞る形状を有
しており、その下部には絞り用突部28が形成されてい
る。
型12のダイス30の外周部上面は、それぞれ溝22,
24に対応する突部(正確には溝22,24の内面から
ほぼ素材36の厚さだけ隔たった位置に外面を有する突
部)32,34を備えてしわ押さえ14の押さえ面20
に対応する形状とされ、ダイス30のしわ押さえ14と
共に素材36を挟む部分より内側には、絞り用突部28
に対応する形状の絞り穴38が形成されている。
て平板状の素材36を絞ることにより、図1に示すよう
に、フランジ部46に環状ビード48と複数のビード5
0とを有する中間成形品42が得られる。加工時には、
まず、しわ押さえ14が素材36の外周部をダイス30
の外周部に押さえ付けた後、絞り加工用ポンチ16が下
降して素材36を絞るのであり、それにより角形の容器
状を成す本体部44と、本体部44の外周縁に沿って外
向きに延び出すフランジ部46とを有する中間成形品4
2が形成される。
22,24とダイス30の突部32,34とにより、矩
形断面の環状ビード48と、本体部44の周方向と交差
する方向に延びる半円形断面の複数のビード50とが形
成される。環状ビード48は、素材36の絞り穴38内
への流入を抑えて素材36に引張力を与える役割を果た
す。
方向と直交する方向に延びる複数のビード50が形成さ
れることにより、成形時に本体部44とフランジ部46
とにほぼ同じ方向の引張応力が生じ、中間成形品42を
型から外したとき、本体部40には図1に矢印Aで示す
方向の弾性回復が生じ、フランジ部46には矢印Bで示
すように本体部44におけると同じ方向の弾性回復が生
ずる。絞りにより素材36に伸びが生じ、図3に示すよ
うに、歪ε(絞りによる素材の伸び量Δlの絞り前の素
材長さlに対する割合)が生ずるとともに引張応力が生
ずるのであるが、成形品の離型により弾性回復が生じ、
絞りによる伸びの一部が回復するのである。
面の寸法は、本体部44における素材伸び率la′/l
aとフランジ部46における素材伸び率lb′/lbと
がほぼ等しくなるように決定されている。la′は、図
1に示すように、中間成形品42の本体部44を含むC
−C′断面における厚さ方向の中間位置の断面長さであ
り、laは成形前の素材36の同じ位置における断面長
さである。また、lb′は、フランジ部46のD−D′
断面における断面長さであり、lbは成形前の素材36
の同じ位置における断面長さである。
り、本体部44における素材伸び率la′/laとフラ
ンジ部42における素材伸び率lb′/lbとがほぼ等
しくなるようにすれば、本体部44に生ずる矢印A方向
の弾性回復量とフランジ部46に生ずる矢印B方向の弾
性回復量とがほぼ等しくなり、本体部44が縮むとき、
フランジ部46も同様に縮み、ゆがみの発生が回避され
る。比較のために、ビード50を設けず、環状ビード4
8のみを設けて素材36に絞りを施した中間成形品54
を図4に示す。この中間成形品54の場合には、フラン
ジ部56にビード50が形成されないため、本体部58
のみに矢印Eで示す方向に弾性回復が生じ、二点鎖線で
示すように中間成形品54にΔHのゆがみが生じてしま
う。
ば、フランジ部46に第1ビードとしての環状ビード4
8が形成されて素材36の絞り穴38内への素材36の
流入が抑えられるとともに、第2ビードとしてのビード
50が複数形成されることによりゆがみの発生が抑制さ
れるが、フランジ部46は後に本体部44から切り離さ
れて製品にはされないため、環状ビード48および複数
のビード50を形成しても製品の外観を損なうことがな
く、見映えがよく、ゆがみの少ない製品を得ることがで
きる。しかも、環状ビード48および複数のビード50
は、フランジ部46がしわ押さえ14によってダイス3
0に押さえられるのに伴って、しわ押さえ14の溝2
2,24とダイス30の突部32,34とにより形成さ
れるため、環状ビード48および複数のビード50を形
成するために専用の型や専用の工程を必要とせず、製造
コストを低減することができる。その上、中間成形品4
2が型から外される時には、既に本体部44とフランジ
部46とに同じ方向の引張応力が生じているため、取り
外しに伴って同じ方向の弾性回復が生じ、中間成形品4
2にゆがみが生じることがなく、以後の工程実行のため
の中間成形品42の取扱いが容易となる。
り離されて廃棄されるのであるが、複数のビード50が
形成されて凹凸があるため、スクラップシュータとの接
触面積が少なくなり、摩擦抵抗が少なく、排出が容易に
なる効果も得られる。
の工程において加工する際、中間成形品42の形状のみ
で位置決めすることができない場合、ビード50を位置
決めに利用し、容易にかつ精度良く位置決めすることが
できる。
円形断面の溝とされ、隣接するビード50が距離を隔て
て形成されていたが、図5に示す中間成形品60のよう
に、断面形状がV字形を成すとともに、本体部62の周
方向に隙間なく並んだ多数のビード64としてもよい。
この場合にはビード64の集合によりフランジ部66が
構成されることとなるのであり、本体部62とフランジ
部66とにはそれぞれ、矢印F,Gで示す方向に弾性回
復が生ずる。ビード64の数および寸法は、本体部62
とフランジ部66との各弾性回復量がほぼ等しくなるよ
うに決定されることは上記実施例と同じである。
64の数および断面形状は、本体部44,62における
素材伸び率とフランジ部46,66における素材伸び率
とがほぼ等しくなるように決定されていたが、フランジ
部に本体部の周方向と交差するビードを少しでも設けれ
ば、その分だけフランジ部に弾性回復を生じさせて、ビ
ードを全く設けない場合よりはゆがみの発生を低減させ
ることができ、素材伸び率をほぼ等しくすることは不可
欠ではない。この場合、フランジ部の素材伸び率を本体
部の素材伸び率に対して、0.2〜1.8とすれば実質
的なゆがみ低減の効果を得ることができ、0.6〜1.
4とすれば低減させることができ、0.9〜1.1とす
るとき、最も効果的に低減させることができる。
ード50は、フランジ部66の面に対して一方の側にの
み突出させられていたが、両側に突出するように形成し
てもよい。ビード50は本体部44の周方向と直交する
状態で形成されていたが、状態に応じてビードの向きを
周方向と直交する方向から傾かせてもよい。
46,66はいずれも本体部44,64から切り離され
て製品にならないものであったが、本発明は、フランジ
部の一部あるいは全体が製品とされる成形品の絞り加工
にも適用することができる。
工された中間成形品を示す斜視図である。
装置を概略的に示す正面断面図である。
歪と引張応力との関係を示すグラフである。
品を示す斜視図である。
加工された中間成形品を示す斜視図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 容器状を成す本体部と、その本体部の外
周縁に沿って形成されたフランジ部とを有する成形品を
絞り加工する方法であって、 前記フランジ部に前記本体部の周方向に沿った第1ビー
ドを形成するとともに、フランジ部の第1ビードより外
周側の部分に第1ビードと交差する方向に延びる少なく
とも1つの第2ビードを、フランジ部の素材伸び率が、
本体部の素材伸び率の0.6〜1.4倍となるように、
形成することを特徴とする絞り加工方法。 - 【請求項2】 前記フランジ部の素材伸び率を、前記本
体部の素材伸び率の0.9〜1.1倍とすることを特徴
とする請求項1に記載の絞り加工方法。 - 【請求項3】 容器状を成す本体部と、その本体部の外
周縁に沿って形成されたフランジ部とを有する成形品を
絞り加工する方法であって、 前記フランジ部に前記本体部の周方向に沿った第1ビー
ドを形成するとともに、フランジ部の第1ビードより外
周側の部分に、第1ビードと交差する方向に延び、か
つ、第1ビードに達する少なくとも1つの第2ビードを
形成することを特徴とする絞り加工方法。 - 【請求項4】 前記第1ビードと前記第2ビードとを同
時に形成するビード形成工程と、そのビード形成工程の
後に前記本体部を形成する本体部形成工程とを含むこと
を特徴とする請求項3に記載の絞り加工方法。
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JP4184504A JP2950026B2 (ja) | 1992-06-17 | 1992-06-17 | 絞り加工方法 |
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JP4184504A JP2950026B2 (ja) | 1992-06-17 | 1992-06-17 | 絞り加工方法 |
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Family Applications (1)
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JP4184504A Expired - Fee Related JP2950026B2 (ja) | 1992-06-17 | 1992-06-17 | 絞り加工方法 |
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