JP2946901B2 - ビスカスダンパ装置 - Google Patents
ビスカスダンパ装置Info
- Publication number
- JP2946901B2 JP2946901B2 JP3357444A JP35744491A JP2946901B2 JP 2946901 B2 JP2946901 B2 JP 2946901B2 JP 3357444 A JP3357444 A JP 3357444A JP 35744491 A JP35744491 A JP 35744491A JP 2946901 B2 JP2946901 B2 JP 2946901B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- viscous damper
- crankshaft
- viscous
- casing
- ratio
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Vibration Prevention Devices (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トラック用ディーゼル
エンジン等のクランク軸に装着され、同クランク軸の捩
り振動を低減するビスカスダンパ装置に関するものであ
る。
エンジン等のクランク軸に装着され、同クランク軸の捩
り振動を低減するビスカスダンパ装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】トラック等の車両に搭載される直列6気
筒ディーゼルエンジンのように、軸線方向の長さが大き
いクランク軸を有するエンジンにおいては、運転中に生
起するトルク変動によってクランク軸に大きい振幅の捩
り振動が発生し易く、エンジン騒音の増大やクランク軸
の捩り破損を招く不具合がある。そこで、上記クランク
軸の捩り振動を抑制し低減する有効な手段の一つとして
ビスカスダンパが実用に供されている。いま、従来のビ
スカスダンパの典型的な構成の一例を、便宜的に本発明
の一実施例を示す図1を援用して説明すると、図中符号
10は総括的にビスカスダンパを示し、同ダンパは、ク
ランク軸(図示せず)に固定されて同クランク軸と一体
に回転する円板状のダンパプレート12及び同ダンパプ
レートの外周部分にクランク軸と同心に形成された環状
のケーシング14を具えている。
筒ディーゼルエンジンのように、軸線方向の長さが大き
いクランク軸を有するエンジンにおいては、運転中に生
起するトルク変動によってクランク軸に大きい振幅の捩
り振動が発生し易く、エンジン騒音の増大やクランク軸
の捩り破損を招く不具合がある。そこで、上記クランク
軸の捩り振動を抑制し低減する有効な手段の一つとして
ビスカスダンパが実用に供されている。いま、従来のビ
スカスダンパの典型的な構成の一例を、便宜的に本発明
の一実施例を示す図1を援用して説明すると、図中符号
10は総括的にビスカスダンパを示し、同ダンパは、ク
ランク軸(図示せず)に固定されて同クランク軸と一体
に回転する円板状のダンパプレート12及び同ダンパプ
レートの外周部分にクランク軸と同心に形成された環状
のケーシング14を具えている。
【0003】上記環状ケーシング14は、クランク軸線
を含む平面内の断面形状が略長方形をなし、その内部に
好ましくは鉄系材料で作られた環状の慣性体16が収容
されている。ケーシング14の内壁面と上記慣性体16
の外周面との間には、クランク軸線方向の隙間ha及び
半径方向の隙間hrが設けられ、これらの隙間ha及び
hrを含むケーシング14の内部空所には、適宜の粘性
液18が充填されている。また、上記慣性体16の内周
面と、対向するケーシング14の内周面との間に、慣性
体16とケーシング14とが直接接触することを防止す
るためのテフロン樹脂等からなるベアリング20が介装
されている。通常のビスカスダンパ10では、上記粘性
液18としてシリコンオイルが用いられ、その粘度は一
般に10万〜20万CSt(at25℃)程度である。
を含む平面内の断面形状が略長方形をなし、その内部に
好ましくは鉄系材料で作られた環状の慣性体16が収容
されている。ケーシング14の内壁面と上記慣性体16
の外周面との間には、クランク軸線方向の隙間ha及び
半径方向の隙間hrが設けられ、これらの隙間ha及び
hrを含むケーシング14の内部空所には、適宜の粘性
液18が充填されている。また、上記慣性体16の内周
面と、対向するケーシング14の内周面との間に、慣性
体16とケーシング14とが直接接触することを防止す
るためのテフロン樹脂等からなるベアリング20が介装
されている。通常のビスカスダンパ10では、上記粘性
液18としてシリコンオイルが用いられ、その粘度は一
般に10万〜20万CSt(at25℃)程度である。
【0004】上記ビスカスダンパ10は、クランク軸の
捩り振動に際して、ケーシング14の内壁面と慣性体1
6の外周面との間に生起する相対回転変位をシリンコン
オイル18の粘性に基づく剪断抵抗によって制振効果を
生起するものである。従って、制振能力の向上を図るに
は、慣性体16の慣性モーメントを増大する必要があ
り、ビスカスダンパ10が大型化するので、クランク軸
の重量負担が大きくなると共に、取付けスペースが大き
くなってエンジンの他の部品との干渉を回避することが
難しくなる等の問題があった。
捩り振動に際して、ケーシング14の内壁面と慣性体1
6の外周面との間に生起する相対回転変位をシリンコン
オイル18の粘性に基づく剪断抵抗によって制振効果を
生起するものである。従って、制振能力の向上を図るに
は、慣性体16の慣性モーメントを増大する必要があ
り、ビスカスダンパ10が大型化するので、クランク軸
の重量負担が大きくなると共に、取付けスペースが大き
くなってエンジンの他の部品との干渉を回避することが
難しくなる等の問題があった。
【0005】上記通常のビスカスダンパにおける問題点
を解消するために、本出願人は先に昭和61年特許願第
241427号「ビスカスダンパ」を提案した。この既
提案のビスカスダンパは、上記ケーシング14に充填さ
れるシリコンオイルの粘度を30万CSt(at25
℃)以上とし、同ケーシングの内壁面と上記慣性体16
の外周面との隙間ha及びhrを0.3〜0.5mmと
すると共に、クランク軸系の慣性モーメントIeとダン
パの慣性モーメントIdとの比、即ち慣性モーメント比
μ=(Id/Ie)を0.3以下とすることを要旨とす
るものである。
を解消するために、本出願人は先に昭和61年特許願第
241427号「ビスカスダンパ」を提案した。この既
提案のビスカスダンパは、上記ケーシング14に充填さ
れるシリコンオイルの粘度を30万CSt(at25
℃)以上とし、同ケーシングの内壁面と上記慣性体16
の外周面との隙間ha及びhrを0.3〜0.5mmと
すると共に、クランク軸系の慣性モーメントIeとダン
パの慣性モーメントIdとの比、即ち慣性モーメント比
μ=(Id/Ie)を0.3以下とすることを要旨とす
るものである。
【0006】上記既提案のビスカスダンパでは、ケーシ
ング14内に充填されるシリコンオイルの粘度が30万
CSt(at25℃)以上で、通常のダンパに使用され
ているシリコンオイルの粘度より十分大きいため、シリ
コンオイルが一種のばねとして作用することとなる。従
って、このビスカスダンパを装着したクランク軸の振動
モデルは、図2に示すとおりである。図中Ieはクラン
ク軸系全体の合成慣性モーメント、Idはビスカスダン
パ系の慣性モーメント、Kdはビスカスダンパ系のばね
定数、Keはクランク軸系のばね定数、Cdはビスカス
ダンパ系の減衰係数、Ceはクランク軸系の減衰係数で
ある。
ング14内に充填されるシリコンオイルの粘度が30万
CSt(at25℃)以上で、通常のダンパに使用され
ているシリコンオイルの粘度より十分大きいため、シリ
コンオイルが一種のばねとして作用することとなる。従
って、このビスカスダンパを装着したクランク軸の振動
モデルは、図2に示すとおりである。図中Ieはクラン
ク軸系全体の合成慣性モーメント、Idはビスカスダン
パ系の慣性モーメント、Kdはビスカスダンパ系のばね
定数、Keはクランク軸系のばね定数、Cdはビスカス
ダンパ系の減衰係数、Ceはクランク軸系の減衰係数で
ある。
【0007】上記のように粘度を十分大きくして通常の
剪断抵抗による減衰作用を生起するだけでなく、ばね作
用を生起するシリコンオイルを使用すると共に、ビスカ
スダンパの減衰係数Cdに大きな影響を及ぼす上記隙間
ha及びhrを0.3〜0.5mmの小さい隙間とし、
更に慣性モーメント比μを0.3以下とすることによっ
て、上記特許願の添付明細書中に詳細に説明されている
ように、エンジンの常用回転数領域内において、クラン
ク軸の捩り振動を効果的に低減し得る小型軽量で安価な
ビスカスダンパを実現することができた。
剪断抵抗による減衰作用を生起するだけでなく、ばね作
用を生起するシリコンオイルを使用すると共に、ビスカ
スダンパの減衰係数Cdに大きな影響を及ぼす上記隙間
ha及びhrを0.3〜0.5mmの小さい隙間とし、
更に慣性モーメント比μを0.3以下とすることによっ
て、上記特許願の添付明細書中に詳細に説明されている
ように、エンジンの常用回転数領域内において、クラン
ク軸の捩り振動を効果的に低減し得る小型軽量で安価な
ビスカスダンパを実現することができた。
【0008】しかしながら上記既提案のビスカスダンパ
では、エンジンが常用回転数領域を越えて過回転即ちオ
ーバランした場合、クランク軸の捩り振動を抑制する効
果が十分でなく、エンジン騒音が著しく増大するという
問題があり、また何等かの理由でオーバラン状態が長い
時間継続した場合、クランク軸が捩りによって破損する
懸念があることが認められた。
では、エンジンが常用回転数領域を越えて過回転即ちオ
ーバランした場合、クランク軸の捩り振動を抑制する効
果が十分でなく、エンジン騒音が著しく増大するという
問題があり、また何等かの理由でオーバラン状態が長い
時間継続した場合、クランク軸が捩りによって破損する
懸念があることが認められた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、エンジンの
常用回転数領域及びオーバラン領域の双方においてクラ
ンク軸の捩り振動を効果的に低減することができる小型
軽量かつ安価なビスカスダンパ装置を提供することを目
的とするものである。
常用回転数領域及びオーバラン領域の双方においてクラ
ンク軸の捩り振動を効果的に低減することができる小型
軽量かつ安価なビスカスダンパ装置を提供することを目
的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために創案されたもので、クランク軸に装着され
同クランク軸と一体に回転する環状のケーシングと、同
ケーシング内にその内壁面との間に所定の間隙を隔てて
収容された環状の慣性体と、上記ケーシング内壁面と慣
性体との間の隙間に充填されたシリコンオイル等の粘性
液とを有するビスカスダンパにおいて、上記ビスカスダ
ンパ系の固有振動数fdとクランク軸系の固有振動数f
eとの比(fd/fe)が、0.6≦fd/fe≦0.
7であり、且つ上記ビスカスダンパの減衰係数をCd、
上記ビスカスダンパ系の慣性モーメントをIdとしたと
き、該ビスカスダンパ系の減衰比εd=Cd/(2Id
×2πfe)で表される減衰比εdが、0.2≦εd≦
0.3であると共に、上記所定の間隙を0.7mm±1
0%に設定し、且つ上記粘性液の粘度を30万CSt
(at25℃)設定したことを特徴とするビスカスダン
パ装置を提案するものである。
成するために創案されたもので、クランク軸に装着され
同クランク軸と一体に回転する環状のケーシングと、同
ケーシング内にその内壁面との間に所定の間隙を隔てて
収容された環状の慣性体と、上記ケーシング内壁面と慣
性体との間の隙間に充填されたシリコンオイル等の粘性
液とを有するビスカスダンパにおいて、上記ビスカスダ
ンパ系の固有振動数fdとクランク軸系の固有振動数f
eとの比(fd/fe)が、0.6≦fd/fe≦0.
7であり、且つ上記ビスカスダンパの減衰係数をCd、
上記ビスカスダンパ系の慣性モーメントをIdとしたと
き、該ビスカスダンパ系の減衰比εd=Cd/(2Id
×2πfe)で表される減衰比εdが、0.2≦εd≦
0.3であると共に、上記所定の間隙を0.7mm±1
0%に設定し、且つ上記粘性液の粘度を30万CSt
(at25℃)設定したことを特徴とするビスカスダン
パ装置を提案するものである。
【0011】
【実施例】以下本発明の実施例を添付図面について具体
的に説明する。(なお、従来のビスカスダンパに関し図
1及び図2を援用して既に説明した事項については、再
述を省略する。)本発明によれば、図1に示されている
ような構造を有するビスカスダンパ10において、クラ
ンク軸系の固有振動数feとビスカスダンパ系の固有振
動数fdとの比(fd/fe)が0.6≦fd/fe≦
0.7に設定される。ここに、上記クランク軸系の固有
振動数fe=1/2π・√Ke/Ieで表わされ、一方
ビスカスダンパ系の固有振動数fd=1/2π・√Kd
/Idである。
的に説明する。(なお、従来のビスカスダンパに関し図
1及び図2を援用して既に説明した事項については、再
述を省略する。)本発明によれば、図1に示されている
ような構造を有するビスカスダンパ10において、クラ
ンク軸系の固有振動数feとビスカスダンパ系の固有振
動数fdとの比(fd/fe)が0.6≦fd/fe≦
0.7に設定される。ここに、上記クランク軸系の固有
振動数fe=1/2π・√Ke/Ieで表わされ、一方
ビスカスダンパ系の固有振動数fd=1/2π・√Kd
/Idである。
【0012】また、上記ビスカスダンパ10では、その
減衰比εdが、0.2≦εd≦0.3になるように設定
される。ここに上記減衰比εd=Cd/(2Id×2π
fe)である。更に、上記ビスカスダンパ10のケーシ
ング14内に充填されるシリコンオイル18には、通常
採用される低粘度のものではなく、高粘度のもの、即ち
30万CSt(at25℃)±10%のものが使用され
る。また、上記ケーシング14の内壁面と慣性体16の
外周面との隙間ha及びhr(図示のように通常haと
hrは略等しく設定される)は、前記既提案の発明にお
ける0.3〜0.5mmよりも大きく、0.7mm±1
0%に設定される。
減衰比εdが、0.2≦εd≦0.3になるように設定
される。ここに上記減衰比εd=Cd/(2Id×2π
fe)である。更に、上記ビスカスダンパ10のケーシ
ング14内に充填されるシリコンオイル18には、通常
採用される低粘度のものではなく、高粘度のもの、即ち
30万CSt(at25℃)±10%のものが使用され
る。また、上記ケーシング14の内壁面と慣性体16の
外周面との隙間ha及びhr(図示のように通常haと
hrは略等しく設定される)は、前記既提案の発明にお
ける0.3〜0.5mmよりも大きく、0.7mm±1
0%に設定される。
【0013】この隙間ha及びhrは、上記シリコンオ
イル18の粘度と共に、ダンパ系の減衰係数Cd、した
がって上記減衰比εdに関連し、またシリコンオイル1
8の粘度はダンパ系のばね定数Kdに関連する。
イル18の粘度と共に、ダンパ系の減衰係数Cd、した
がって上記減衰比εdに関連し、またシリコンオイル1
8の粘度はダンパ系のばね定数Kdに関連する。
【0014】図3は、上記固有振動数比fd/fe及び
減衰係数比εdをパラメータとしたときのクランク軸捩
り振動のピーク振巾θc(deg)と周波数比λ(加振
角振動数ωとクランク軸系固有角振動数ωeとの比、即
ちω/ωeである。)との関係を示した線図である。同
図において斜線を施した領域Sが上述した本発明に係る
ビスカスダンパ10が属する領域である。
減衰係数比εdをパラメータとしたときのクランク軸捩
り振動のピーク振巾θc(deg)と周波数比λ(加振
角振動数ωとクランク軸系固有角振動数ωeとの比、即
ちω/ωeである。)との関係を示した線図である。同
図において斜線を施した領域Sが上述した本発明に係る
ビスカスダンパ10が属する領域である。
【0015】図3において、本発明の領域S以外のA,
B及びC点と、領域S内のD点における捩り振動のピー
ク振巾θcと周波数との関係が図4に示されている。上
記A点は、シリコンオイルの粘度が60万CSt、上記
隙間ha及びhrが夫々0.5mmの場合に相当し、B
点はシリコンオイルの粘度が30万CSt、上記隙間h
a及びhrが夫々0.5mm、C点はシリコンオイルの
粘度が10万CSt、上記隙間ha及びhrが夫々0.
5mmの場合に相当する。また本発明に係るD点は、シ
リコンオイル粘度が30万CSt、上記隙間ha及びh
rが夫々0.7mmの場合である。同図4から明らかな
ように、本発明に係るD点のピーク振巾θcは、他の3
点A,B,Cのピーク振巾θcより十分低く、かつその
周波数は最も大きい。
B及びC点と、領域S内のD点における捩り振動のピー
ク振巾θcと周波数との関係が図4に示されている。上
記A点は、シリコンオイルの粘度が60万CSt、上記
隙間ha及びhrが夫々0.5mmの場合に相当し、B
点はシリコンオイルの粘度が30万CSt、上記隙間h
a及びhrが夫々0.5mm、C点はシリコンオイルの
粘度が10万CSt、上記隙間ha及びhrが夫々0.
5mmの場合に相当する。また本発明に係るD点は、シ
リコンオイル粘度が30万CSt、上記隙間ha及びh
rが夫々0.7mmの場合である。同図4から明らかな
ように、本発明に係るD点のピーク振巾θcは、他の3
点A,B,Cのピーク振巾θcより十分低く、かつその
周波数は最も大きい。
【0016】図5はビスカスダンパを装着した直列6気
筒のトラック用ディーゼルエンジンにおいて、上記C点
に相当する通常のビスカスダンパを具えた場合、及び本
発明の領域S内の上記D点に相当するビスカスダンパを
具えた場合におけるクランク軸捩り振動の回転6次、4
・5次及び3次成分のピーク振巾θcを実測し、エンジ
ン回転数Neに関し図示したものである。図中の点線が
上記通常のビスカスダンパを具えたクランク軸、実線が
上記本発明に係るビスカスダンパを具えたクランク軸を
示し、また一点鎖線で示したNecが常用回転数の上限
値である。
筒のトラック用ディーゼルエンジンにおいて、上記C点
に相当する通常のビスカスダンパを具えた場合、及び本
発明の領域S内の上記D点に相当するビスカスダンパを
具えた場合におけるクランク軸捩り振動の回転6次、4
・5次及び3次成分のピーク振巾θcを実測し、エンジ
ン回転数Neに関し図示したものである。図中の点線が
上記通常のビスカスダンパを具えたクランク軸、実線が
上記本発明に係るビスカスダンパを具えたクランク軸を
示し、また一点鎖線で示したNecが常用回転数の上限
値である。
【0017】図5に良く示されているように、通常のビ
スカスダンパを装着したクランク軸と較べ本発明に係る
ビスカスダンパを装着したクランク軸では、6次、4・
5次及び3次の捩り振動の振巾ピークθcが、図中に夫
々矢印で示されているように、すべて低減し、かつ高回
転数側に移行している。換言すれば、本発明に係るビス
カスダンパを装着したクランク軸では、常用回転数領域
における捩り振動のピーク振巾θcが低減すると共に、
オーバラン領域における3次の捩り振動が有効に抑制さ
れ、従ってオーバラン時のエンジン騒音が低減される。
従って、何等かの理由で或る程度長い時間オーバラン運
転が行なわれた場合でも、クランク軸が捩り破損を起す
ようなことがない。
スカスダンパを装着したクランク軸と較べ本発明に係る
ビスカスダンパを装着したクランク軸では、6次、4・
5次及び3次の捩り振動の振巾ピークθcが、図中に夫
々矢印で示されているように、すべて低減し、かつ高回
転数側に移行している。換言すれば、本発明に係るビス
カスダンパを装着したクランク軸では、常用回転数領域
における捩り振動のピーク振巾θcが低減すると共に、
オーバラン領域における3次の捩り振動が有効に抑制さ
れ、従ってオーバラン時のエンジン騒音が低減される。
従って、何等かの理由で或る程度長い時間オーバラン運
転が行なわれた場合でも、クランク軸が捩り破損を起す
ようなことがない。
【0018】次に図6は、図1に示したビスカスダンパ
10において、シリコンオイルとして粘度30万CSt
(at25℃)のものを使用し、ケーシング14の内壁
面と慣性体16の外周面との隙間ha及びhrを種々に
変化させて、クランク軸捩り振動のピーク振巾θcを調
べた結果を示す線図である。図中に実線で示した曲線E
から明らかなように、ha(hr)=0.7mmにおい
てピーク振巾θcが最小になり、その前後約10%、即
ちhaが略0.6ないし0.8mmの範囲で振巾低減効
果が著しく優れている。
10において、シリコンオイルとして粘度30万CSt
(at25℃)のものを使用し、ケーシング14の内壁
面と慣性体16の外周面との隙間ha及びhrを種々に
変化させて、クランク軸捩り振動のピーク振巾θcを調
べた結果を示す線図である。図中に実線で示した曲線E
から明らかなように、ha(hr)=0.7mmにおい
てピーク振巾θcが最小になり、その前後約10%、即
ちhaが略0.6ないし0.8mmの範囲で振巾低減効
果が著しく優れている。
【0019】更に、図7は、図6と同様のシリコンオイ
ルを使用したビスカスダンパにおいて、上記隙間haを
種々に変化させて4・5次の捩り振動に関する共振ピー
ク回転数Nepを調べた結果を示す線図である。図中に
実線の曲線Fで示されているように、ha=0.7mm
の前後10%即ち略0.6ないし0.8の範囲でピーク
回転数Nepの増大が略飽和することが明らかである。
ルを使用したビスカスダンパにおいて、上記隙間haを
種々に変化させて4・5次の捩り振動に関する共振ピー
ク回転数Nepを調べた結果を示す線図である。図中に
実線の曲線Fで示されているように、ha=0.7mm
の前後10%即ち略0.6ないし0.8の範囲でピーク
回転数Nepの増大が略飽和することが明らかである。
【0020】
【発明の効果】以上を総合して、本発明に係るビスカス
ダンパ装置は、クランク軸に装着され同クランク軸と一
体に回転する環状のケーシングと、同ケーシング内にそ
の内壁面との間に適宜の間隙を隔てて収容された環状の
慣性体と、上記ケーシング内壁面と慣性体との間の隙間
に充填されたシリコンオイル等の粘性液とを有するビス
カスダンパにおいて、上記ビスカスダンパ系の固有振動
数fdとクランク軸系の固有振動数feとの比(fd/
fe)が、0.6≦fd/fe≦0.7であり、且つ上
記ビスカスダンパの減衰係数をCd、上記ビスカスダン
パ系の慣性モーメントをIdとしたとき、該ビスカスダ
ンパ系の減衰比εd=Cd/(2Id×2πfe)で表
される減衰比εdが、0.2≦εd≦0.3であると共
に、上記所定の間隙を0.7mm±10%に設定し、且
つ上記粘性液の粘度を30万CSt(at25℃)に設
定したことを特徴し、エンジンの常用回転数領域及びオ
ーバラン領域における捩り振動を効果的に抑制し、特に
オーバラン領域でのエンジン騒音を低減することができ
るので、産業上極めて有益である。
ダンパ装置は、クランク軸に装着され同クランク軸と一
体に回転する環状のケーシングと、同ケーシング内にそ
の内壁面との間に適宜の間隙を隔てて収容された環状の
慣性体と、上記ケーシング内壁面と慣性体との間の隙間
に充填されたシリコンオイル等の粘性液とを有するビス
カスダンパにおいて、上記ビスカスダンパ系の固有振動
数fdとクランク軸系の固有振動数feとの比(fd/
fe)が、0.6≦fd/fe≦0.7であり、且つ上
記ビスカスダンパの減衰係数をCd、上記ビスカスダン
パ系の慣性モーメントをIdとしたとき、該ビスカスダ
ンパ系の減衰比εd=Cd/(2Id×2πfe)で表
される減衰比εdが、0.2≦εd≦0.3であると共
に、上記所定の間隙を0.7mm±10%に設定し、且
つ上記粘性液の粘度を30万CSt(at25℃)に設
定したことを特徴し、エンジンの常用回転数領域及びオ
ーバラン領域における捩り振動を効果的に抑制し、特に
オーバラン領域でのエンジン騒音を低減することができ
るので、産業上極めて有益である。
【図1】本発明に係るビスカスダンパの一実施例を示す
要部断面図である。
要部断面図である。
【図2】本発明に係るビスカスダンパを装着したクラン
ク軸の等価振動モデルを示した図面である。
ク軸の等価振動モデルを示した図面である。
【図3】ビスカスダンパとクランク軸との固有振動数比
及び減衰比をパラメータとしたときの捩り振動のピーク
振巾と周波数比との関係を、従前のビスカスダンパと本
発明に係るビスカスダンパとを対比して示した線図であ
る。
及び減衰比をパラメータとしたときの捩り振動のピーク
振巾と周波数比との関係を、従前のビスカスダンパと本
発明に係るビスカスダンパとを対比して示した線図であ
る。
【図4】図3に示されている従前のビスカスダンパ及び
本発明に係るビスカスダンパを装着したクランク軸の捩
り振動ピーク振巾と振動周波数との関係を示した線図で
ある。
本発明に係るビスカスダンパを装着したクランク軸の捩
り振動ピーク振巾と振動周波数との関係を示した線図で
ある。
【図5】従前のビスカスダンパ及び本発明に係るビスカ
スダンパの捩り振動ピーク振巾とエンジン回転数との関
係を示した線図である。
スダンパの捩り振動ピーク振巾とエンジン回転数との関
係を示した線図である。
【図6】図1における隙間haとクランク軸捩り振動ピ
ーク振巾との関係を示す線図である。
ーク振巾との関係を示す線図である。
【図7】図1における隙間haとクランク軸捩り振動の
ピーク回転数との関係を示す線図である。
ピーク回転数との関係を示す線図である。
10 ビスカスダンパ 14 ケーシング 16 慣性体 18 シリコンオイル
Claims (1)
- 【請求項1】 クランク軸に装着され同クランク軸と一
体に回転する環状のケーシングと、同ケーシング内にそ
の内壁面との間に所定の間隙を隔てて収容された環状の
慣性体と、上記ケーシング内壁面と慣性体との間の隙間
に充填されたシリコンオイル等の粘性液とを有するビス
カスダンパにおいて、 上記ビスカスダンパ系の固有振動数fdクランク軸系の
固有振動数feとの比(fd/fe)が、0.6≦fd
/fe≦0.7であり、且つ上記ビスカスダンパの減衰
係数をCd、上記ビスカスダンパ系の慣性モーメントを
Idとしたとき、該ビスカスダンパ系の減衰比εd=C
d/(2Id×2πfe)で表される減衰比εdが、
0.2≦εd≦0.3であると共に、上記所定の間隙を
0.7mm±10%に設定し、且つ上記粘性液の粘度を
30万CSt(at25℃に)に設定したことを特徴と
するビスカスダンパ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3357444A JP2946901B2 (ja) | 1991-12-03 | 1991-12-03 | ビスカスダンパ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3357444A JP2946901B2 (ja) | 1991-12-03 | 1991-12-03 | ビスカスダンパ装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05157137A JPH05157137A (ja) | 1993-06-22 |
JP2946901B2 true JP2946901B2 (ja) | 1999-09-13 |
Family
ID=18454156
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3357444A Expired - Fee Related JP2946901B2 (ja) | 1991-12-03 | 1991-12-03 | ビスカスダンパ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2946901B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB9511739D0 (en) * | 1995-06-09 | 1995-08-02 | Holset Engineering Co | Torsional vibration damper |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6357938A (ja) * | 1986-08-25 | 1988-03-12 | Mitsubishi Motors Corp | ビスカスダンパ |
-
1991
- 1991-12-03 JP JP3357444A patent/JP2946901B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05157137A (ja) | 1993-06-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US3296887A (en) | Vibration damper | |
JPS6222020B2 (ja) | ||
JP2946901B2 (ja) | ビスカスダンパ装置 | |
JP2007315416A (ja) | ビスカスラバーダンパー | |
US4462270A (en) | Friction index modifier for damper | |
JPS6319440A (ja) | ダンパフライホイ−ル装置 | |
JP2006090528A (ja) | 回転軸用制振装置 | |
JPH0732998Y2 (ja) | トーショナルダンパ | |
KR20020044218A (ko) | 변속기 입력축 댐퍼를 이용한 엔진의 비틀림 진동저감장치 | |
JPS6315626Y2 (ja) | ||
JPH034052A (ja) | 粘性流体封入式ダンパプーリ | |
JPH0129304Y2 (ja) | ||
JPH08145117A (ja) | ダイナミックダンパ | |
JP3532612B2 (ja) | トーショナルダンパ | |
JPS632582Y2 (ja) | ||
JPH0366968A (ja) | ダンパープーリ | |
JPH0717869Y2 (ja) | ビスカスダンパ | |
JPH054596Y2 (ja) | ||
KR200179587Y1 (ko) | 내연기관용 크랭크 축의 비스코스 댐퍼 | |
JPH08200449A (ja) | ねじり振動減衰粘性ダンパ | |
JP3207482B2 (ja) | エンジンの回転体のダンパー装置 | |
JPH0533812Y2 (ja) | ||
JPH035698Y2 (ja) | ||
JPH0429149Y2 (ja) | ||
JPH056241U (ja) | ダンパ装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19990601 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees | ||
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R371 | Transfer withdrawn |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371 |