JP2945234B2 - 半導体薄膜の形成方法 - Google Patents

半導体薄膜の形成方法

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JP2945234B2 JP5053312A JP5331293A JP2945234B2 JP 2945234 B2 JP2945234 B2 JP 2945234B2 JP 5053312 A JP5053312 A JP 5053312A JP 5331293 A JP5331293 A JP 5331293A JP 2945234 B2 JP2945234 B2 JP 2945234B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非晶質シリコンなどの
半導体薄膜をCVD法により形成する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】CVD法により形成された直後の非晶質
シリコン薄膜には、ダングリングボンドや過剰の水素等
が存在し、構造欠陥の存在することが知られている。こ
のような非晶質シリコン薄膜を、例えば光起電力素子の
活性層として用いた場合、高い変換効率を得ることがで
きない。
【0003】そこで、このような構造欠陥をなくし、構
造緩和を引き起こして安定したSiネットワークを形成
させる方法として、形成直後の半導体薄膜に水素プラズ
マ処理を施し、薄膜中に水素を打ち込み膜特性を向上さ
せる方法が知られている。このような水素プラズマによ
る処理は、例えば、特開平4−299522号公報、及
び特開平4−299523号公報などに記載されてい
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に開示された
ような、半導体薄膜の形成と水素プラズマ処理の繰り返
しによる薄膜形成方法では、水素が打ち込まれる深さに
制限があるため、水素プラズマ処理によって打ち込まれ
る水素が各薄膜層の表面近傍に偏在し、良質な薄膜を形
成することができないという問題を生じた。
【0005】本発明の目的は、このような従来の問題点
を解消し、一回の工程で形成される半導体薄膜中の深さ
方向の水素濃度分布をより均一化することのできる半導
体薄膜の形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体薄膜の形
成方法は、基板上にRFプラズマCVD法により300
Å以上の厚みのa−Si:H膜を形成する工程と、基板
又は基板ホルダに負バイアスを印加しながら基板上に形
成したa−Si:H膜に水素プラズマ処理を施し、薄膜
の深さ方向に水素濃度分布を均一化させてa−Si:H
膜中の水素濃度を増加させる工程とを備え、上記半導体
薄膜形成工程と上記水素プラズマ処理工程を繰り返すこ
とによりa−Si:H膜からなる半導体薄膜を形成する
ことを特徴としている。
【0007】本発明によって形成される半導体薄膜は、
特に限定されるものではなく、水素プラズマ処理により
構造緩和が引き起こされ膜特性が向上するような半導体
薄膜であれば何れのものでもよい。このようなものとし
ては、非晶質シリコン、微結晶シリコン、ポリシリコン
およびこれらの少なくとも1つを主体とする混合物や、
非晶質シリコンカーバイトなどを挙げることができる。
【0008】
【0009】本発明の半導体薄膜形成工程において、一
回の工程で形成されるa−Si:H膜の厚みは、300
Å以上であり、基板バイアスを−30Vとする場合に
は、800Å程度の膜厚でも膜特性のほぼ均一なものが
得られる。
【0010】本発明において、基板が非導電性材料から
形成される場合は、導電性材料から形成される基板ホル
ダを用い、この基板ホルダに負バイアスを印加する。ま
た基板が導電性材料から形成される場合には、基板に負
バイアスを印加してもよい。基板又は基板ホルダに印加
する負バイアスの程度は、特に限定されるものではない
が、好ましくは3Vよりも絶対値の大きい負バイアスが
印加される。
【0011】本発明において、水素プラズマ処理の条件
は、形成する半導体薄膜の種類、および一回の工程で形
成する半導体薄膜の厚み等により適宜設定することがで
きる。一般的な水素プラズマ処理の条件として、基板温
度は50〜250℃が好ましく、水素ガス流量は10〜
500sccmが好ましく、RFは10〜70mW/c
2 が好ましく、圧力は0.05〜0.3torrが好
ましく、処理時間は10〜1000秒が好ましい。
【0012】
【作用】本発明に従えば、水素プラズマ処理の際、基板
又は基板ホルダに負バイアスを印加している。この負バ
イアスの印加により、プラズマで励起された水素を積極
的に基板に引きつけることができ、半導体薄膜の深さ方
向の水素濃度分布をより均一化して、従来よりも薄膜内
部まで、水素を打ち込み水素濃度を増加させることがで
きる。
【0013】
【実施例】図1は、本発明に従う半導体薄膜の形成方法
を説明するための概略構成図であり、図1(a)はCV
D法により半導体薄膜を形成する工程を示し、図1
(b)は水素プラズマ処理の工程を示している。図1
(a)を参照して、ガラスからなる基板1は、ステンレ
スからなる基板ホルダ2の上に載置されており、基板ホ
ルダ2内には基板1を加熱するためのヒーター3が設け
られている。表1に示す条件で、SiH4 ガスを流し、
基板1上に非晶質シリコン薄膜(以下、「a−Si:H
膜」という)を形成した。一回のa−Si:H膜の厚み
は約1000Åとした。
【0014】成膜後、図1(b)に示すように、基板ホ
ルダ2に負バイアス(−30V)を印加して水素ガスを
流し、水素プラズマ処理を施した。水素プラズマ処理の
条件は表1に示す条件で行った。以上のa−Si:H膜
形成工程と水素プラズマ処理の工程を5回繰り返し、ト
ータルで約5000Åの厚みのa−Si:H膜を形成し
た。
【0015】
【表1】
【0016】以上のようにして形成したa−Si:H膜
中の水素濃度をSIMSで分析した。この結果を図2に
示す。また比較として、基板に負バイアスを印加せず
に、すなわち表1における基板バイアスを0Vとした条
件で上記の実施例と同様にして水素プラズマ処理し、a
−Si:H膜と水素プラズマ処理の工程を同様に5回繰
り返して形成した薄膜についても、深さ方向の水素濃度
分布をSIMSで分析し図2に示した。
【0017】図2から明らかなように、本発明に従い基
板ホルダに−30Vのバイアスを印加した実施例では、
各a−Si:H膜の薄膜層中の水素濃度分布が、基板に
バイアスを印加していない比較例に比べて、より均一化
している。
【0018】また、表1に示す条件で一回の薄膜形成の
厚みを500Åとし、a−Si:H薄膜形成と水素プラ
ズマ処理の工程を1サイクルとして、このサイクルを2
0回繰り返して膜厚1μmのa−Si:H膜を形成し、
その膜特性を評価した。また比較として基板ホルダにバ
イアスを印加しない基板バイアス0Vのものについても
同様にa−Si:H膜を作製し、膜特性を評価した。こ
れらの結果を表2に示した。
【0019】表2から明らかなように、本発明に従う実
施例の薄膜は、吸収係数、光導電率、および光感度にお
いて優れた膜特性を示している。また欠陥密度に関して
は、減少しているものと思われるものの、測定限界値よ
り低いため、差が認められなかった。
【0020】次に、図3に示すような積層構造の光起電
力装置を作製した。図3を参照して、ガラスからなる透
孔性基板11の上に、酸化インジウム錫からなる透明導
電膜12(厚さ8000Å)、非晶質シリコンからなる
半導体層13、およびアルミニウムからなる裏面電極1
4(厚み1μm)が順次積層され形成されている。半導
体層13は、p型非晶質シリコン層13p(厚み100
Å)、非晶質シリコンからなる真性半導体層13i(厚
み5000Å)、およびn型非晶質シリコン層13n
(厚み300Å)から構成されている。この実施例の光
起電力装置では、真性半導体層13iを上記実施例と同
様にして形成した。すなわち、500Åの厚みのa−S
i:H薄膜と水素プラズマ処理(基板バイアス−30
V)の工程を1サイクルとして、これを10サイクル繰
り返して膜厚5000Åの真性半導体層13iを形成し
た。また、比較として、基板ホルダにバイアスを印加せ
ずに真性半導体層13iを形成した光起電力装置を作製
した。これらの光起電力装置における曲線因子および変
換効率を表2に併せて示す。
【0021】
【表2】
【0022】表2から明らかなように、本発明に従う実
施例の光起電力装置は、曲線因子が約3%向上してお
り、また変換効率も3%以上向上している。
【0023】
【発明の効果】本発明に従えば、基板上にRFプラズマ
CVD法により300Å以上の厚みのa−Si:H膜
形成した後、基板又は基板ホルダに負バイアスを印加し
ながら、基板上に形成したa−Si:H膜に水素プラズ
マ処理を施している。基板または基板ホルダに負バイア
スを印加しているため、プラズマによって励起された水
素が積極的に基板側に引きつけられ、薄膜の深さ方向に
水素濃度分布を均一化させてa−Si:H膜中の水素濃
度を増加させることができる。従って、本発明に従え
ば、水素濃度分布の均一な薄膜を、従来よりも短時間で
形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う半導体薄膜の形成方法を説明する
ための概略構成図であり、(a)は半導体薄膜を形成す
る工程を示す図であり、(b)は水素プラズマ処理の工
程を示す図。
【図2】本発明に従う実施例において得られた半導体薄
膜の深さ方向における水素濃度分布を示す図。
【図3】本発明に従う半導体薄膜の形成方法により真性
非晶質シリコン層を形成した光起電力装置を示す断面
図。
【符号の説明】
1…基板 2…基板ホルダ 3…ヒーター

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホルダに支持された基板上に半導体薄膜
    を形成する方法であって; 前記基板上にRFプラズマCVD法により300Å以上
    の厚みのa−Si:H膜を形成する工程と; 前記基板又は基板ホルダに負バイアスを印加しながら、
    前記基板上に形成したa−Si:H膜に水素プラズマ処
    理を施し、薄膜の深さ方向に水素濃度分布を均一化させ
    a−Si:H膜中の水素濃度を増加させる工程とを備
    え; 前記a−Si:H膜形成工程と前記水素プラズマ処理工
    程を繰り返すことによりa−Si:H膜からなる半導体
    薄膜を形成する、半導体薄膜の形成方法。
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US6559052B2 (en) * 2000-07-07 2003-05-06 Applied Materials, Inc. Deposition of amorphous silicon films by high density plasma HDP-CVD at low temperatures
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JP2021520630A (ja) * 2018-04-03 2021-08-19 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated H2プラズマを用いた流動性膜の硬化

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