JP2953636B2 - 薄膜半導体の製造法 - Google Patents
薄膜半導体の製造法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機能性膜、特に水素化
非晶質シリコン太陽電池や、撮像デバイス、画像入力用
ラインセンサー、光センサー、電子写真用感光体デバイ
ス、および超格子構造デバイス等の半導体デバイスのナ
ローギャップ材料としての用途に有用なゲルマニュウム
添加水素化非晶質シリコン(以後「a−SiGe:H」
と略記する)薄膜半導体材料の製造方法に関するもので
ある。
非晶質シリコン太陽電池や、撮像デバイス、画像入力用
ラインセンサー、光センサー、電子写真用感光体デバイ
ス、および超格子構造デバイス等の半導体デバイスのナ
ローギャップ材料としての用途に有用なゲルマニュウム
添加水素化非晶質シリコン(以後「a−SiGe:H」
と略記する)薄膜半導体材料の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体膜、絶縁膜、光導電膜、磁
性膜、あるいは金属膜等の非晶質および多結晶質の機能
性膜は、所望される物理的特性や用途等の観点から個々
に適した成膜法が採用されている。
性膜、あるいは金属膜等の非晶質および多結晶質の機能
性膜は、所望される物理的特性や用途等の観点から個々
に適した成膜法が採用されている。
【0003】例えば、必要に応じて水素原子(H)等の
補償剤で不対電子が補償された非晶質や多結晶質の非単
結晶シリコン(以後「NON−Si:H」と略記し、そ
のなかでも殊に非晶質シリコンを示す場合には「a−S
i:H」、多結晶質シリコンを示す場合には「poly
−Si:H」と記す)膜等のシリコン堆積膜(尚、いわ
ゆる微結晶シリコン(μc−Si:H)は、a−Si:
Hの範疇にはいる)や、これに他の元素を化合して合金
化し、その光学的禁制帯幅Eg opt(以後「光学的バンド
ギャップ」と略記する)を制御可能とした高光感度ワイ
ドギャップ材料としての炭素添加水素化非晶質シリコン
(以後「a−SiC:H」と略記する)膜や、高光感度
ナローギャップ材料としてのゲルマニュウム添加水素化
非晶質シリコン膜、あるいは誘電体材料としての窒素添
加水素化非晶質シリコン(以後「a−SiN:H」と略
記する)膜や、酸素添加水素化非晶質シリコン(以後
「a−SiO:H」と略記する)膜(尚、これらシリコ
ン合金材料についても、微結晶は非晶質の範疇にはい
る)などの形成には、真空蒸着法、プラズマ化学気相成
長法(以後「プラズマCVD法」と略記する)、熱化学
気相成長法(以後「熱CVD法」と略記する)、反応性
スパッタリング法、イオンプレーティング法、光CVD
法等が試みられており、一般的には、プラズマCVD法
が広く用いられており、企業化されている。
補償剤で不対電子が補償された非晶質や多結晶質の非単
結晶シリコン(以後「NON−Si:H」と略記し、そ
のなかでも殊に非晶質シリコンを示す場合には「a−S
i:H」、多結晶質シリコンを示す場合には「poly
−Si:H」と記す)膜等のシリコン堆積膜(尚、いわ
ゆる微結晶シリコン(μc−Si:H)は、a−Si:
Hの範疇にはいる)や、これに他の元素を化合して合金
化し、その光学的禁制帯幅Eg opt(以後「光学的バンド
ギャップ」と略記する)を制御可能とした高光感度ワイ
ドギャップ材料としての炭素添加水素化非晶質シリコン
(以後「a−SiC:H」と略記する)膜や、高光感度
ナローギャップ材料としてのゲルマニュウム添加水素化
非晶質シリコン膜、あるいは誘電体材料としての窒素添
加水素化非晶質シリコン(以後「a−SiN:H」と略
記する)膜や、酸素添加水素化非晶質シリコン(以後
「a−SiO:H」と略記する)膜(尚、これらシリコ
ン合金材料についても、微結晶は非晶質の範疇にはい
る)などの形成には、真空蒸着法、プラズマ化学気相成
長法(以後「プラズマCVD法」と略記する)、熱化学
気相成長法(以後「熱CVD法」と略記する)、反応性
スパッタリング法、イオンプレーティング法、光CVD
法等が試みられており、一般的には、プラズマCVD法
が広く用いられており、企業化されている。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】例えば、スペクト
ル分布をもった太陽光のエネルギーを有効に吸収・変換
するための積層(タンデム)型ヘテロ接合太陽電池の開
発などの目的に、a−Si:H膜を合金化し、その光学
的バンドギャップを制御して積層することが一般に行な
われている。ことに、a−SiC:H膜は光学的バンド
ギャップを2.0eV程度まで制御できることから高光
感度ワイドギャップ材料として太陽電池の窓層に、また
a−SiGe:H膜は光学的バンドギャップを1.1e
V程度まで制御できることから高光感度ナローギャップ
材料として太陽電池の長波長光吸収層として太陽電池の
光電変換特性等の改良に欠くことのできないシリコン半
導体合金材料である。
ル分布をもった太陽光のエネルギーを有効に吸収・変換
するための積層(タンデム)型ヘテロ接合太陽電池の開
発などの目的に、a−Si:H膜を合金化し、その光学
的バンドギャップを制御して積層することが一般に行な
われている。ことに、a−SiC:H膜は光学的バンド
ギャップを2.0eV程度まで制御できることから高光
感度ワイドギャップ材料として太陽電池の窓層に、また
a−SiGe:H膜は光学的バンドギャップを1.1e
V程度まで制御できることから高光感度ナローギャップ
材料として太陽電池の長波長光吸収層として太陽電池の
光電変換特性等の改良に欠くことのできないシリコン半
導体合金材料である。
【0005】一般に、ナローギャップ材料としてのa−
SiGe:H膜の形成は、シラン(SiH4 )ガスおよ
びゲルマン(GeH4 )ガスからなる混合ガスをグロー
放電分解して、SiH3 やGeH3 などの活性な前駆体
を生成し、これを加熱した成膜基板表面に輸送してシリ
コン(Si)、ゲルマニュウム(Ge)、および水素
(H)などの元素が相互に結合した合金状態の不規則網
目構造を形成してa−SiGe:H膜を堆積する方法が
用いられてきた。このa−SiGe:H膜の光学的バン
ドギャップの大きさは上記原料ガスであるところのシラ
ンガスとゲルマンガスとの流量混合比率に依ってほぼ連
続的に制御することができ、シランガス混合量を増やせ
ば光学的バンドギャップをa−Si:H膜にほぼ等しい
1.8eV程度まで大きくすることができる。また逆に
ゲルマンガスの混合量を増やすと光学的バンドギャップ
がa−Ge:H膜に近い1.1eV程度にまで小さくす
ることができ、光学的バンドギャップが1.55eVか
ら1.8eVの領域では暗導電率σd が10-11 シーメ
ンス/cm(s/cm)のオーダーで、しかも明導電率
σp が10-5s/cmのオーダーと高い光感度を有する
極めて応用範囲の広い合金膜である。ところが、光電変
換材料として高い光感度を要求されるにもかかわらず、
前記光学的バンドギャップを1.55eVより下げるた
めにゲルマンガスの混合量を増やすと、膜中の不対電子
(いゆるダングリング・ボンド)の密度(スピン密度)
が1016個/cm3 以上に増加し、かつ低密度構造とな
る為、暗導電率σd は10-9s/cmのオーダーにまで
増加し、同時に明導電率σpは10-8s/cmのオーダ
ーにまで低下して、光電変換特性の一つの目安となる明
/暗導電率比(S/N比)は1桁程度に低下するという
問題があった。
SiGe:H膜の形成は、シラン(SiH4 )ガスおよ
びゲルマン(GeH4 )ガスからなる混合ガスをグロー
放電分解して、SiH3 やGeH3 などの活性な前駆体
を生成し、これを加熱した成膜基板表面に輸送してシリ
コン(Si)、ゲルマニュウム(Ge)、および水素
(H)などの元素が相互に結合した合金状態の不規則網
目構造を形成してa−SiGe:H膜を堆積する方法が
用いられてきた。このa−SiGe:H膜の光学的バン
ドギャップの大きさは上記原料ガスであるところのシラ
ンガスとゲルマンガスとの流量混合比率に依ってほぼ連
続的に制御することができ、シランガス混合量を増やせ
ば光学的バンドギャップをa−Si:H膜にほぼ等しい
1.8eV程度まで大きくすることができる。また逆に
ゲルマンガスの混合量を増やすと光学的バンドギャップ
がa−Ge:H膜に近い1.1eV程度にまで小さくす
ることができ、光学的バンドギャップが1.55eVか
ら1.8eVの領域では暗導電率σd が10-11 シーメ
ンス/cm(s/cm)のオーダーで、しかも明導電率
σp が10-5s/cmのオーダーと高い光感度を有する
極めて応用範囲の広い合金膜である。ところが、光電変
換材料として高い光感度を要求されるにもかかわらず、
前記光学的バンドギャップを1.55eVより下げるた
めにゲルマンガスの混合量を増やすと、膜中の不対電子
(いゆるダングリング・ボンド)の密度(スピン密度)
が1016個/cm3 以上に増加し、かつ低密度構造とな
る為、暗導電率σd は10-9s/cmのオーダーにまで
増加し、同時に明導電率σpは10-8s/cmのオーダ
ーにまで低下して、光電変換特性の一つの目安となる明
/暗導電率比(S/N比)は1桁程度に低下するという
問題があった。
【0006】一般に、a−SiGe:H膜の低密度化構
造形成の原因としては、グロー放電分解によりシランガ
スおよびゲルマンガスから生成される堆積に主に関与す
る前駆体の内、SiH3 前駆体に比べてGeH3 前駆体
の方が堆積表面における表面拡散係数(表面での前駆体
の移動し易さの目安となる)が小さいために、ゲルマン
ガスの混合率を大きくしてGeH3 前駆体の量を増やし
た場合には、安定なサイトに取り込まれて緻密な膜を形
成する前駆体の量(この場合は前記SiH3 前駆体)が
相対的に低下することが考えられる。しかも、表面を含
む成長層を形成するGe原子に結合している水素は、S
i原子に結合している水素に比べて切れ易く、400℃
付近にその低温側での放出ピークを持ち、300℃以下
の低温領域においてもその一部の水素分子(H2 )をそ
の表面から放出して、その後に不対電子を生じる。その
ため、成長表面の水素被覆率が低下して安定なサイトが
減少し、前記前駆体の表面拡散係数がさらに小さくな
り、しかも成長層(その表面を含む)には多量の不対電
子が生じ、緻密な不規則網目構造を形成することが一層
できにくくなる。ここで言う膜密度の低下は、マイクロ
・ボイド(その内面に多数の水素結合を有する「微小空
孔」を意味し、a−SiGe:H膜の場合は主にSi−
H結合によって形成される)や多量の不対電子(a−S
iGe:H膜の場合は、帰属する元素はGe)などの構
造欠陥の存在を示唆し、このため構造欠陥に由来する移
動度の低下、およびダングリング・ボンドなどの局在準
位密度の増加に由来する暗導電率の増加や明導電率の低
下など、特性を低下させる要因となっている。
造形成の原因としては、グロー放電分解によりシランガ
スおよびゲルマンガスから生成される堆積に主に関与す
る前駆体の内、SiH3 前駆体に比べてGeH3 前駆体
の方が堆積表面における表面拡散係数(表面での前駆体
の移動し易さの目安となる)が小さいために、ゲルマン
ガスの混合率を大きくしてGeH3 前駆体の量を増やし
た場合には、安定なサイトに取り込まれて緻密な膜を形
成する前駆体の量(この場合は前記SiH3 前駆体)が
相対的に低下することが考えられる。しかも、表面を含
む成長層を形成するGe原子に結合している水素は、S
i原子に結合している水素に比べて切れ易く、400℃
付近にその低温側での放出ピークを持ち、300℃以下
の低温領域においてもその一部の水素分子(H2 )をそ
の表面から放出して、その後に不対電子を生じる。その
ため、成長表面の水素被覆率が低下して安定なサイトが
減少し、前記前駆体の表面拡散係数がさらに小さくな
り、しかも成長層(その表面を含む)には多量の不対電
子が生じ、緻密な不規則網目構造を形成することが一層
できにくくなる。ここで言う膜密度の低下は、マイクロ
・ボイド(その内面に多数の水素結合を有する「微小空
孔」を意味し、a−SiGe:H膜の場合は主にSi−
H結合によって形成される)や多量の不対電子(a−S
iGe:H膜の場合は、帰属する元素はGe)などの構
造欠陥の存在を示唆し、このため構造欠陥に由来する移
動度の低下、およびダングリング・ボンドなどの局在準
位密度の増加に由来する暗導電率の増加や明導電率の低
下など、特性を低下させる要因となっている。
【0007】このようなa−SiGe:H膜の特性低下
を改善するための具体的な手段としては、例えば松田ら
が雑誌「ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド
・フィジックス (Japanese Journal of Applied Physic
s)」第25巻、第1号(1986年1月)のL54頁に
発表している様に、前記原料ガスとしてのシランガスと
ゲルマンガスとの混合ガスに、さらに水素分子(H2 )
ガスを混合して同時にグロー放電分解する方法がある。
この方法の特徴は、ゲルマンガスの混合率の増加によっ
て生じる成長表面の結合水素の不足をグロー放電分解に
よって生成された原子状水素により補ってGe−H結合
を復興し、成長表面の水素被覆率を高めることで、前記
前駆体にとって安定なサイト数を増やして緻密な膜を形
成することにある。この方法により、光学的バンドギャ
ップが1.4eVの場合にも10-4s/cm近くに明導
電率を改善することができる様になった。しかし、光学
的バンドギャップの減少に伴う暗導電率の増加傾向は従
来のものと変わらず、この時の暗導電率は10-8s/c
mに近いため、明/暗導電率比3.5桁程度の高い光感
度を要求されるナローギャップ材料としては十分とはい
えなかった。
を改善するための具体的な手段としては、例えば松田ら
が雑誌「ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド
・フィジックス (Japanese Journal of Applied Physic
s)」第25巻、第1号(1986年1月)のL54頁に
発表している様に、前記原料ガスとしてのシランガスと
ゲルマンガスとの混合ガスに、さらに水素分子(H2 )
ガスを混合して同時にグロー放電分解する方法がある。
この方法の特徴は、ゲルマンガスの混合率の増加によっ
て生じる成長表面の結合水素の不足をグロー放電分解に
よって生成された原子状水素により補ってGe−H結合
を復興し、成長表面の水素被覆率を高めることで、前記
前駆体にとって安定なサイト数を増やして緻密な膜を形
成することにある。この方法により、光学的バンドギャ
ップが1.4eVの場合にも10-4s/cm近くに明導
電率を改善することができる様になった。しかし、光学
的バンドギャップの減少に伴う暗導電率の増加傾向は従
来のものと変わらず、この時の暗導電率は10-8s/c
mに近いため、明/暗導電率比3.5桁程度の高い光感
度を要求されるナローギャップ材料としては十分とはい
えなかった。
【0008】一般に、このようにして形成されたa−S
iGe:H膜の全膜中含有水素量はa−Si:H膜同様
10原子%(at.%)程度であり、シリコン原子ある
いはゲルマニュウム原子とSi−H結合、Si−H2 結
合、あるいはGe−H結合、Ge−H2 結合などの形態
で結合していることが分かっている。
iGe:H膜の全膜中含有水素量はa−Si:H膜同様
10原子%(at.%)程度であり、シリコン原子ある
いはゲルマニュウム原子とSi−H結合、Si−H2 結
合、あるいはGe−H結合、Ge−H2 結合などの形態
で結合していることが分かっている。
【0009】ところが、近年、a−Si:H膜の研究か
ら、シリコン原子に比べて電気陰性度の大きいこれら水
素原子が、隣接するシリコン原子どうしの結合角や結合
距離に「ゆらぎ」を生ぜしめ、a−Si:H特有の価電
子帯側の裾状の準位を形成することが指摘されている。
また、内面に水素原子が結合したマイクロ・ボイドや、
界面にSi−H2 結合の形態で水素が多数存在している
微結晶粒界などの、中、長距離の巨視的構造でとらえた
構造欠陥が、伝導帯側の裾状の準位の形成、およびa−
Si:Hの移動度やライフ・タイムなどの電気特性に深
く関与していると考えられている。さらにまた、a−S
i:Hに特有の性質である光照射下でのスピン密度の増
加(いわゆる光劣化)も、近年の研究から、水素原子と
シリコン原子との電気陰性度の違いから生ずるというモ
デルが提唱されている。
ら、シリコン原子に比べて電気陰性度の大きいこれら水
素原子が、隣接するシリコン原子どうしの結合角や結合
距離に「ゆらぎ」を生ぜしめ、a−Si:H特有の価電
子帯側の裾状の準位を形成することが指摘されている。
また、内面に水素原子が結合したマイクロ・ボイドや、
界面にSi−H2 結合の形態で水素が多数存在している
微結晶粒界などの、中、長距離の巨視的構造でとらえた
構造欠陥が、伝導帯側の裾状の準位の形成、およびa−
Si:Hの移動度やライフ・タイムなどの電気特性に深
く関与していると考えられている。さらにまた、a−S
i:Hに特有の性質である光照射下でのスピン密度の増
加(いわゆる光劣化)も、近年の研究から、水素原子と
シリコン原子との電気陰性度の違いから生ずるというモ
デルが提唱されている。
【0010】シリコン原子と同じ大きさの電気陰性度を
持つゲルマニュウム原子に対する水素原子の振舞いもこ
れと同様に考えることができ、a−Ge:H膜や、その
合金系であるところのa−SiGe:H膜においてもま
た「ゆらぎ」や「光劣化」などの現象について無視でき
ない。
持つゲルマニュウム原子に対する水素原子の振舞いもこ
れと同様に考えることができ、a−Ge:H膜や、その
合金系であるところのa−SiGe:H膜においてもま
た「ゆらぎ」や「光劣化」などの現象について無視でき
ない。
【0011】このように、最近の水素に対する認識とし
ては、a−SiGe:H膜に対しても、その形成段階に
おいて水素原子を補充して緻密な不規則網目構造を形成
することで初期の光電変換特性を満足するに留まらず、
膜中含有水素量をさらに低減し、同時に緻密性を保持、
促進して微小構造欠陥の少ない不規則網目構造を形成す
ることで、光電変換デバイスとして連続光照射下での光
電変換特性の低下を防ぎ、さらには電子デバイス材料と
しての更なる電気特性及び安定性の改善を行なうことが
要求されている。
ては、a−SiGe:H膜に対しても、その形成段階に
おいて水素原子を補充して緻密な不規則網目構造を形成
することで初期の光電変換特性を満足するに留まらず、
膜中含有水素量をさらに低減し、同時に緻密性を保持、
促進して微小構造欠陥の少ない不規則網目構造を形成す
ることで、光電変換デバイスとして連続光照射下での光
電変換特性の低下を防ぎ、さらには電子デバイス材料と
しての更なる電気特性及び安定性の改善を行なうことが
要求されている。
【0012】本発明は、以上の様な従来技術の問題点に
鑑み、緻密で微小構造欠陥が少なく水素含有量の少ない
a−SiGe:H膜を得ることを目的とするものであ
る。
鑑み、緻密で微小構造欠陥が少なく水素含有量の少ない
a−SiGe:H膜を得ることを目的とするものであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、シリコ
ン原子を有するガスとゲルマニュウム原子を有するガス
との混合ガスをプラズマ生起させて基板上に、シリコン
原子とゲルマニュウム原子とを有する薄膜半導体を堆積
させることによって薄膜半導体を製造する薄膜半導体の
製造法において、前記薄膜半導体の前記基板上への堆積
期間中、前記基板の温度を100℃〜300℃の温度範
囲内に設定し、該薄膜半導体の堆積成長中の堆積膜表面
をマイクロ波電力の印加によって活性化された水素ガス
及び/又は重水素ガスによって晒す工程と、前記シリコ
ン原子を有するガスとゲルマニュウム原子を有するガス
との混合ガスの供給を止め前記薄膜半導体の前記基板上
への堆積を中断した状態で堆積膜表面をマイクロ波電力
の印加によって活性化された水素ガス及び/又は重水素
ガスによって晒す工程とを有することを特徴とする薄膜
半導体の製造法、が提供され、また、基板の温度を10
0℃〜300℃の温度範囲内に設定して、シリコン原子
を有するガスとゲルマニュウム原子を有するガスとをグ
ロー放電分解して基板上に堆積膜を形成しながら、マイ
クロ波電力の印加によって水素原子及び/又は重水素原
子を有するガスをグロー放電分解して前記堆積膜の成長
面に供給する工程と、前記シリコン原子を有するガスと
ゲルマニュウム原子を有するガスとの供給を止め、マイ
クロ波電力の印加によって水素原子及び/又は重水素原
子を有するガスをグロー放電分解して前記堆積膜に供給
する工程とを有し、これによって、前記基板上に、シリ
コン原子と、ゲルマニュウム原子と、水素原子及び/又
は重水素原子と、を有する薄膜半導体を製造することを
特徴とする薄膜半導体の製造法、が提供される。また、
本発明によれば、シラン系ガスとゲルマン系ガスとの混
合ガスよりなる原料ガスをグロー放電分解して成膜基板
上にゲルマニュウム添加水素化非晶質シリコン薄膜を堆
積させるゲルマニュウム添加水素化非晶質シリコン薄膜
の製造方法において、前記成膜基板を100〜300℃
に加熱保持してゲルマニュウム添加水素化非晶質シリコ
ン成長層を形成しながら、その表面を前記原料ガスのグ
ロー放電分解手段とは異なる分解手段にて生成した原子
状水素及び/または原子状重水素にさらしてゲルマニュ
ウム添加水素化非晶質シリコン薄膜を堆積させる第1の
工程と、前記シラン系ガスとゲルマン系ガスとの供給の
みを停止して堆積を中断し、前記成長層の表面を前記原
子状水素及び/または原子状重水素にさらして処理する
第2の工程とを交互に繰り返して行うことを特徴とす
る、ゲルマニュウム添加水素化非晶質シリコン薄膜の製
造方法、が提供される。
ン原子を有するガスとゲルマニュウム原子を有するガス
との混合ガスをプラズマ生起させて基板上に、シリコン
原子とゲルマニュウム原子とを有する薄膜半導体を堆積
させることによって薄膜半導体を製造する薄膜半導体の
製造法において、前記薄膜半導体の前記基板上への堆積
期間中、前記基板の温度を100℃〜300℃の温度範
囲内に設定し、該薄膜半導体の堆積成長中の堆積膜表面
をマイクロ波電力の印加によって活性化された水素ガス
及び/又は重水素ガスによって晒す工程と、前記シリコ
ン原子を有するガスとゲルマニュウム原子を有するガス
との混合ガスの供給を止め前記薄膜半導体の前記基板上
への堆積を中断した状態で堆積膜表面をマイクロ波電力
の印加によって活性化された水素ガス及び/又は重水素
ガスによって晒す工程とを有することを特徴とする薄膜
半導体の製造法、が提供され、また、基板の温度を10
0℃〜300℃の温度範囲内に設定して、シリコン原子
を有するガスとゲルマニュウム原子を有するガスとをグ
ロー放電分解して基板上に堆積膜を形成しながら、マイ
クロ波電力の印加によって水素原子及び/又は重水素原
子を有するガスをグロー放電分解して前記堆積膜の成長
面に供給する工程と、前記シリコン原子を有するガスと
ゲルマニュウム原子を有するガスとの供給を止め、マイ
クロ波電力の印加によって水素原子及び/又は重水素原
子を有するガスをグロー放電分解して前記堆積膜に供給
する工程とを有し、これによって、前記基板上に、シリ
コン原子と、ゲルマニュウム原子と、水素原子及び/又
は重水素原子と、を有する薄膜半導体を製造することを
特徴とする薄膜半導体の製造法、が提供される。また、
本発明によれば、シラン系ガスとゲルマン系ガスとの混
合ガスよりなる原料ガスをグロー放電分解して成膜基板
上にゲルマニュウム添加水素化非晶質シリコン薄膜を堆
積させるゲルマニュウム添加水素化非晶質シリコン薄膜
の製造方法において、前記成膜基板を100〜300℃
に加熱保持してゲルマニュウム添加水素化非晶質シリコ
ン成長層を形成しながら、その表面を前記原料ガスのグ
ロー放電分解手段とは異なる分解手段にて生成した原子
状水素及び/または原子状重水素にさらしてゲルマニュ
ウム添加水素化非晶質シリコン薄膜を堆積させる第1の
工程と、前記シラン系ガスとゲルマン系ガスとの供給の
みを停止して堆積を中断し、前記成長層の表面を前記原
子状水素及び/または原子状重水素にさらして処理する
第2の工程とを交互に繰り返して行うことを特徴とす
る、ゲルマニュウム添加水素化非晶質シリコン薄膜の製
造方法、が提供される。
【0014】本発明において、前記第1の工程1回にお
いて堆積される堆積層の厚みが10〜60Åであるのが
好ましい。また、本発明においては、前記原料ガスにお
けるゲルマン系ガスのシラン系ガスに対する混合比率の
増加に対応して、前記原子状水素及び原子状重水素の供
給量を増やすのが好ましい。更に、本発明において、前
記原子状水素及び/または原子状重水素の生成を、分子
状水素ガス及び/または分子状重水素ガスをグロー放電
分解することにより行うことができ、また別法として分
子状水素ガス及び/または分子状重水素ガスを熱分解す
ることにより行うことができる。
いて堆積される堆積層の厚みが10〜60Åであるのが
好ましい。また、本発明においては、前記原料ガスにお
けるゲルマン系ガスのシラン系ガスに対する混合比率の
増加に対応して、前記原子状水素及び原子状重水素の供
給量を増やすのが好ましい。更に、本発明において、前
記原子状水素及び/または原子状重水素の生成を、分子
状水素ガス及び/または分子状重水素ガスをグロー放電
分解することにより行うことができ、また別法として分
子状水素ガス及び/または分子状重水素ガスを熱分解す
ることにより行うことができる。
【0015】
【作用】本発明は、300℃以下の低い温度に保持した
成膜基板上に、シラン系ガスとゲルマン系ガスとを主と
する原料ガスをグロー放電分解してSiH3 前駆体およ
びGeH3 前駆体を生成させ、付着させる過程におい
て、堆積したゲルマニュウム原子との結合から放出され
て不足する成長表面の水素を原子状水素にさらして補う
ことで、成長表面でのGeH3 前駆体の表面拡散係数を
高めて安定なサイトに取り込まれ易くして緻密な構造の
a−SiGe:H膜を形成する。さらにこれに引き続い
て、原料ガスの供給を停止して堆積を中断し、原子状水
素の供給だけは継続して、その成長層に前記原子状水素
を表面から注入、拡散せしめることで、成長層における
ゲルマニュウム原子の不対電子を前記原子状水素で補償
し、かつマイクロ・ボイド内面の結合水素を前記原子状
水素により切断して分子状水素として膜外に脱離、放出
させて膜中含有水素量を低減し、同時にSi−Si結合
の復興を促すことで前記マイクロ・ボイドを凝縮し、さ
らに緻密で膜中含有水素量の少ない不規則網目構造を形
成するものである。
成膜基板上に、シラン系ガスとゲルマン系ガスとを主と
する原料ガスをグロー放電分解してSiH3 前駆体およ
びGeH3 前駆体を生成させ、付着させる過程におい
て、堆積したゲルマニュウム原子との結合から放出され
て不足する成長表面の水素を原子状水素にさらして補う
ことで、成長表面でのGeH3 前駆体の表面拡散係数を
高めて安定なサイトに取り込まれ易くして緻密な構造の
a−SiGe:H膜を形成する。さらにこれに引き続い
て、原料ガスの供給を停止して堆積を中断し、原子状水
素の供給だけは継続して、その成長層に前記原子状水素
を表面から注入、拡散せしめることで、成長層における
ゲルマニュウム原子の不対電子を前記原子状水素で補償
し、かつマイクロ・ボイド内面の結合水素を前記原子状
水素により切断して分子状水素として膜外に脱離、放出
させて膜中含有水素量を低減し、同時にSi−Si結合
の復興を促すことで前記マイクロ・ボイドを凝縮し、さ
らに緻密で膜中含有水素量の少ない不規則網目構造を形
成するものである。
【0016】ここで、堆積中の成長層表面における結合
水素の不足分を補う事も重要であるが、本発明の本質
は、前記成長層すなわち成長表面から10〜60Å程度
の数原子層程度の厚みに堆積した領域の不規則網目構造
形成過程において、さらにその上部に堆積を継続する事
で内部層界面側から凍結、凝固しはじめ、膜中含有水素
量が多く、構造欠陥を含む内部層を形成する様になる以
前に、堆積を中断し、原子状水素によりこの形成過程の
段階で成長層内部の改質を行う事で構造欠陥や膜中含有
水素量を低減し、これを繰り返して均一な膜中含有水素
量を有し且つ構造欠陥の少ない緻密な不規則網目構造を
形成する事にある。
水素の不足分を補う事も重要であるが、本発明の本質
は、前記成長層すなわち成長表面から10〜60Å程度
の数原子層程度の厚みに堆積した領域の不規則網目構造
形成過程において、さらにその上部に堆積を継続する事
で内部層界面側から凍結、凝固しはじめ、膜中含有水素
量が多く、構造欠陥を含む内部層を形成する様になる以
前に、堆積を中断し、原子状水素によりこの形成過程の
段階で成長層内部の改質を行う事で構造欠陥や膜中含有
水素量を低減し、これを繰り返して均一な膜中含有水素
量を有し且つ構造欠陥の少ない緻密な不規則網目構造を
形成する事にある。
【0017】すでに説明したように、光学的バンドギャ
ップを小さくするために前記原料ガスにおけるゲルマン
ガスの混合率を増加すると、成長層表面および成長層内
部における結合水素量が低下し、その量は一定ではなく
ゲルマンガスの混合率の増加すなわち成長層におけるゲ
ルマニュウム原子の相対的増加により、不足する結合水
素の量も増加するという問題がある事に留意しなければ
ならない。したがって、ガス混合率を変更する場合は、
それに対応して供給する原子状水素の量を変えるのが好
ましい。本発明では、堆積の主体である原料ガスと処理
用水素ガスとを別々に取り扱う事で、この問題を解決し
ている。なお、第1の工程(堆積工程)における原子状
水素の供給量と第2の工程(原子状水素のみでの処理を
行なう工程)における原子状水素供給量とは同量である
必要はなく、むしろ堆積中の過剰な原子状水素の供給は
前記SiH3 前駆体やGeH3 前駆体と原子状水素との
再結合を促してSiH4 やGeH4 などのガス分子を生
成し堆積速度の低下を招くことから、相対的に第1の工
程での供給量を少なくし第2の工程での供給量を多くす
る方が好ましい。
ップを小さくするために前記原料ガスにおけるゲルマン
ガスの混合率を増加すると、成長層表面および成長層内
部における結合水素量が低下し、その量は一定ではなく
ゲルマンガスの混合率の増加すなわち成長層におけるゲ
ルマニュウム原子の相対的増加により、不足する結合水
素の量も増加するという問題がある事に留意しなければ
ならない。したがって、ガス混合率を変更する場合は、
それに対応して供給する原子状水素の量を変えるのが好
ましい。本発明では、堆積の主体である原料ガスと処理
用水素ガスとを別々に取り扱う事で、この問題を解決し
ている。なお、第1の工程(堆積工程)における原子状
水素の供給量と第2の工程(原子状水素のみでの処理を
行なう工程)における原子状水素供給量とは同量である
必要はなく、むしろ堆積中の過剰な原子状水素の供給は
前記SiH3 前駆体やGeH3 前駆体と原子状水素との
再結合を促してSiH4 やGeH4 などのガス分子を生
成し堆積速度の低下を招くことから、相対的に第1の工
程での供給量を少なくし第2の工程での供給量を多くす
る方が好ましい。
【0018】一方、原子状重水素にさらした場合も、原
子状水素に比べてその平均拡散長が短いことからくる前
記成長層への注入、拡散量の違いはあるものの、作用そ
のものはほとんど変わらず、供給量を増やせば原子状水
素と同等の効果がある。
子状水素に比べてその平均拡散長が短いことからくる前
記成長層への注入、拡散量の違いはあるものの、作用そ
のものはほとんど変わらず、供給量を増やせば原子状水
素と同等の効果がある。
【0019】
【実施例】図1は、本発明の一実施例に用いるプラズマ
CVD装置を示す断面図である。真空槽11の内部には
成膜基板1がセットされた金属製基板ホルダー12を支
持する電気的に接地された上部電極13が配置されてい
る。該上部電極13には成膜基板1および金属製基板ホ
ルダー12を加熱保持するためのヒータ14が内蔵され
ている。また、上部電極13と対向して、これと平行
に、周波数13.56MHzの高周波電源15が接続さ
れた下部電極16が配置されている。また、真空槽11
には、原料ガス導入管17および水素ガス導入管18さ
らに排気管19が接続されている。原料ガス導入管17
には、高速開閉バルブ20を介してT字配管21が接続
されており、その上流側には他の排気装置(図示せず)
が接続されている。また、水素ガス導入管18には周波
数2.45GHzのマイクロ波電源22に接続されたア
プリケータ型放電管23が接続されている。また、排気
管19には、コンダクタンス・バルブ24を介して真空
ポンプ25が接続されている。なお、この装置には真空
槽11以外に、金属製基板ホルダー12を成膜基板1ご
と大気中から搬入及び搬出するために、ゲートバルブで
真空槽11と接続された第2の真空槽が併設されている
が、本発明の作用とは直接関係ないので図示を省略し
た。また、この第2の真空槽には金属製基板ホルダー1
2ごと成膜基板1を搬送する手段が備えられているが、
これも同じ理由で図示しない。
CVD装置を示す断面図である。真空槽11の内部には
成膜基板1がセットされた金属製基板ホルダー12を支
持する電気的に接地された上部電極13が配置されてい
る。該上部電極13には成膜基板1および金属製基板ホ
ルダー12を加熱保持するためのヒータ14が内蔵され
ている。また、上部電極13と対向して、これと平行
に、周波数13.56MHzの高周波電源15が接続さ
れた下部電極16が配置されている。また、真空槽11
には、原料ガス導入管17および水素ガス導入管18さ
らに排気管19が接続されている。原料ガス導入管17
には、高速開閉バルブ20を介してT字配管21が接続
されており、その上流側には他の排気装置(図示せず)
が接続されている。また、水素ガス導入管18には周波
数2.45GHzのマイクロ波電源22に接続されたア
プリケータ型放電管23が接続されている。また、排気
管19には、コンダクタンス・バルブ24を介して真空
ポンプ25が接続されている。なお、この装置には真空
槽11以外に、金属製基板ホルダー12を成膜基板1ご
と大気中から搬入及び搬出するために、ゲートバルブで
真空槽11と接続された第2の真空槽が併設されている
が、本発明の作用とは直接関係ないので図示を省略し
た。また、この第2の真空槽には金属製基板ホルダー1
2ごと成膜基板1を搬送する手段が備えられているが、
これも同じ理由で図示しない。
【0020】この装置を用いて行われた本発明の一実施
例を、図2を参照して述べる。
例を、図2を参照して述べる。
【0021】まず、コンダクタンス・バルブ24を全開
にして、真空ポンプ25で内部を真空排気した真空層1
1のヒータ14に通電し、上部電極13を加熱保持し
た。次に、ゲートバルブ(図示せず)を全開にし、真空
に排気した第2の真空槽(図示せず)内の基板ホルダー
12を搬送手段(図示せず)により真空槽11内に移送
し、上部電極13により支持した。その後、搬送手段は
第2の真空槽内へと戻し、ゲートバルブを閉じた。
にして、真空ポンプ25で内部を真空排気した真空層1
1のヒータ14に通電し、上部電極13を加熱保持し
た。次に、ゲートバルブ(図示せず)を全開にし、真空
に排気した第2の真空槽(図示せず)内の基板ホルダー
12を搬送手段(図示せず)により真空槽11内に移送
し、上部電極13により支持した。その後、搬送手段は
第2の真空槽内へと戻し、ゲートバルブを閉じた。
【0022】この状態で、加熱し基板温度が安定したと
ころで、高速開閉バルブ20を開け、原料ガス導入管1
7からシラン(SiH4 )ガスおよびゲルマン(GeH
4 )ガスをそれぞれ20sccmづつの流量で導入し
た。ここで、原料ガス混合率xとしてゲルマンガス流量
を全混合ガス流量(シランガス流量とゲルマンガス流量
との合計)で割った値を採用することとし、本実施例で
はこの原料ガス混合率xは0.5であった。さらに、水
素ガス導入管18から分子状水素ガスを100sccm
導入した。この状態で、真空槽11内の圧力は0.30
Torrであった。次に、コンダクタンス・バルブ24
の開口度を調節して真空槽11内の圧力を0.50To
rrまで高めた。このとき、基板温度は250℃で安定
していた。ここで、マイクロ波電源22からアプリケー
タ型放電管23に電力500Wのマイクロ波電力を供給
して前記水素ガスをグロー放電分解して原子状水素を生
成し、水素ガス導入管18を経て真空槽11内に導入
し、図2の(a)に示すように、成膜基板1の表面に原
子状水素2aを供給した。次に、高周波電源15から電
力密度0.12W/cm2 の高周波電界を下部電極16
に印加し、上部電極13との間でグロー放電を起こし
た。このグロー放電により、シランガスとゲルマンガス
とが分解し、図2の(a)に示すように、SiH3 前駆
体3とGeH3 前駆体4とが生成し、成膜基板1の表面
に堆積速度2Å/secでa−SiGe:H膜の成長層
5が堆積する。このとき、a−SiGe:H特有の不規
則網目構造の大枠ができあがるが、その成長表面からは
ゲルマニュウム原子の結合水素が放出される為、表面の
水素被覆率が低下する。これを前記原子状水素2aが補
充し、表面水素2bを形成する。これにより、前記Si
H3 前駆体3およびGeH3 前駆体4にとって安定なサ
イトが多数回復すると同時に、表面拡散係数が向上し
て、緻密な不規則網目構造が形成される。しかしなが
ら、この成長層内部の水素含有量はシリコン原子の結合
水素として依然10at.%程度存在し、マイクロ・ボ
イドや、ゲルマニュウム原子との結合から水素が放出さ
れるために生じた不対電子等も存在する。さらに、堆積
を継続して、その厚みが数原子層以上になると、成膜基
板側内部から不規則網目構造の凝固が始まり、内部層
5’が形成されるようになる。
ころで、高速開閉バルブ20を開け、原料ガス導入管1
7からシラン(SiH4 )ガスおよびゲルマン(GeH
4 )ガスをそれぞれ20sccmづつの流量で導入し
た。ここで、原料ガス混合率xとしてゲルマンガス流量
を全混合ガス流量(シランガス流量とゲルマンガス流量
との合計)で割った値を採用することとし、本実施例で
はこの原料ガス混合率xは0.5であった。さらに、水
素ガス導入管18から分子状水素ガスを100sccm
導入した。この状態で、真空槽11内の圧力は0.30
Torrであった。次に、コンダクタンス・バルブ24
の開口度を調節して真空槽11内の圧力を0.50To
rrまで高めた。このとき、基板温度は250℃で安定
していた。ここで、マイクロ波電源22からアプリケー
タ型放電管23に電力500Wのマイクロ波電力を供給
して前記水素ガスをグロー放電分解して原子状水素を生
成し、水素ガス導入管18を経て真空槽11内に導入
し、図2の(a)に示すように、成膜基板1の表面に原
子状水素2aを供給した。次に、高周波電源15から電
力密度0.12W/cm2 の高周波電界を下部電極16
に印加し、上部電極13との間でグロー放電を起こし
た。このグロー放電により、シランガスとゲルマンガス
とが分解し、図2の(a)に示すように、SiH3 前駆
体3とGeH3 前駆体4とが生成し、成膜基板1の表面
に堆積速度2Å/secでa−SiGe:H膜の成長層
5が堆積する。このとき、a−SiGe:H特有の不規
則網目構造の大枠ができあがるが、その成長表面からは
ゲルマニュウム原子の結合水素が放出される為、表面の
水素被覆率が低下する。これを前記原子状水素2aが補
充し、表面水素2bを形成する。これにより、前記Si
H3 前駆体3およびGeH3 前駆体4にとって安定なサ
イトが多数回復すると同時に、表面拡散係数が向上し
て、緻密な不規則網目構造が形成される。しかしなが
ら、この成長層内部の水素含有量はシリコン原子の結合
水素として依然10at.%程度存在し、マイクロ・ボ
イドや、ゲルマニュウム原子との結合から水素が放出さ
れるために生じた不対電子等も存在する。さらに、堆積
を継続して、その厚みが数原子層以上になると、成膜基
板側内部から不規則網目構造の凝固が始まり、内部層
5’が形成されるようになる。
【0023】この内部層5’が形成される直前、すなわ
ち堆積を開始してから25秒後、成長層5の厚みが50
Åになったところで、高速開閉バルブ20を閉じて真空
槽11への原料ガスの供給を停止し、堆積を中断した。
このとき、原料ガスは、T字配管21から他の排気装置
(図示せず)へと、流れを滞留することなく排気され
た。この間、図2の(b)に示すように、マイクロ波グ
ロー放電分解で生成された原子状水素2aは継続して成
長層5の表面に供給された。この原子状水素は、成長層
5表面の水素被覆率をさらに向上させると同時に、その
一部は成長層5内部に注入、拡散する拡散水素2cとな
り、前記マイクロ・ボイド内面のSi−H結合の水素を
切断して解離した原子状水素2dを生成し、前記拡散水
素2cと化合して分子状水素6を生成して成長層5の表
面から脱離、放出される。この時、切断されたシリコン
結合どうしは再結合してSi−Si結合を復興させ、前
記マイクロ・ボイドを凝縮してさらに緻密な網目構造と
する。また、拡散水素2cの一部は前記ゲルマニュウム
原子の不対電子を補償して、構造欠陥をさらに低減す
る。これにより、成長層5の含有水素量は5at.%程
度に低下する。主にこれは、マイクロ・ボイド内面に5
〜8個程度結合していると試算されている水素が放出さ
れた効果であると考えられる。この、原子状水素処理の
時間は、上記堆積条件で形成した上記の膜厚程度では、
40秒程度でその効果すなわち含有水素量の低下は飽和
する。
ち堆積を開始してから25秒後、成長層5の厚みが50
Åになったところで、高速開閉バルブ20を閉じて真空
槽11への原料ガスの供給を停止し、堆積を中断した。
このとき、原料ガスは、T字配管21から他の排気装置
(図示せず)へと、流れを滞留することなく排気され
た。この間、図2の(b)に示すように、マイクロ波グ
ロー放電分解で生成された原子状水素2aは継続して成
長層5の表面に供給された。この原子状水素は、成長層
5表面の水素被覆率をさらに向上させると同時に、その
一部は成長層5内部に注入、拡散する拡散水素2cとな
り、前記マイクロ・ボイド内面のSi−H結合の水素を
切断して解離した原子状水素2dを生成し、前記拡散水
素2cと化合して分子状水素6を生成して成長層5の表
面から脱離、放出される。この時、切断されたシリコン
結合どうしは再結合してSi−Si結合を復興させ、前
記マイクロ・ボイドを凝縮してさらに緻密な網目構造と
する。また、拡散水素2cの一部は前記ゲルマニュウム
原子の不対電子を補償して、構造欠陥をさらに低減す
る。これにより、成長層5の含有水素量は5at.%程
度に低下する。主にこれは、マイクロ・ボイド内面に5
〜8個程度結合していると試算されている水素が放出さ
れた効果であると考えられる。この、原子状水素処理の
時間は、上記堆積条件で形成した上記の膜厚程度では、
40秒程度でその効果すなわち含有水素量の低下は飽和
する。
【0024】次に、高速開閉バルブ20を開けて原料ガ
スを真空槽11に供給し、図2の(c)に示すように、
堆積を再開した。成長層5の堆積のメカニズムは、図2
の(a)において説明したものと同様であるが、図2の
(b)において原子状水素処理された成長層の上にさら
に成長層5および内部層5’が堆積すると、前記原子状
水素処理された成長層は、構造が凝固、安定し、緻密で
欠陥の少ない不規則網目構造を有する低水素含有a−S
iGe:H膜7となる。以上のような工程を交互に繰り
返して行ない、その膜厚が6000Åに達したところで
前記高周波電力およびマイクロ波電力の供給を停止し、
かつ前記原料ガスおよび水素ガスの供給をも停止して、
堆積および原子状水素処理を完了した。次に、成膜基板
1を第2の真空槽(図示せず)に移送し、冷却後大気中
に搬出した。
スを真空槽11に供給し、図2の(c)に示すように、
堆積を再開した。成長層5の堆積のメカニズムは、図2
の(a)において説明したものと同様であるが、図2の
(b)において原子状水素処理された成長層の上にさら
に成長層5および内部層5’が堆積すると、前記原子状
水素処理された成長層は、構造が凝固、安定し、緻密で
欠陥の少ない不規則網目構造を有する低水素含有a−S
iGe:H膜7となる。以上のような工程を交互に繰り
返して行ない、その膜厚が6000Åに達したところで
前記高周波電力およびマイクロ波電力の供給を停止し、
かつ前記原料ガスおよび水素ガスの供給をも停止して、
堆積および原子状水素処理を完了した。次に、成膜基板
1を第2の真空槽(図示せず)に移送し、冷却後大気中
に搬出した。
【0025】同様にして、赤外吸収分光法(以下、FT
−IR法)による元素結合形態および膜中含有水素量測
定のため、n型単結晶シリコン基板を用いてa−SiG
e:H膜を堆積した。
−IR法)による元素結合形態および膜中含有水素量測
定のため、n型単結晶シリコン基板を用いてa−SiG
e:H膜を堆積した。
【0026】また、上記実施例の他にガス混合率xの値
のみを変化させ、その他の条件は同一にしてa−SiG
e:H膜を作製した。
のみを変化させ、その他の条件は同一にしてa−SiG
e:H膜を作製した。
【0027】図3は、上記の実施例の方法で堆積時の圧
力を0.50Torrに固定し、原料ガス混合率xを
0.0〜0.7まで変えて作製したa−SiGe:H膜
の光学的禁制帯幅Eg optの値を示す。図中、比較のため
に原子状水素処理を行なわないで成膜(連続堆積)した
a−SiGe:H膜の光学的禁制帯幅の値も示した。双
方とも、ガス混合率xの増加とともに光学的禁制帯幅が
減少する傾向は同様である。しかし、その値は本発明実
施例では原子状水素処理を行なわなかった場合に比べ
て、ガス混合率x=0.0(すなわち、ゲルマンガス流
量0sccm)にして作製した膜において、既に0.1
7eVほど小さい。これは原子状水素処理によりa−S
iGe:Hネットワークに関連した構造変化が生じたこ
と、すなわち含有水素量が減少したことを示す。また、
原子状水素処理なしの従来法では光学的禁制帯幅を1.
3eVにするためのガス混合率は0.6程度であった
が、原子状水素処理を行なうと0.4程度でよい。
力を0.50Torrに固定し、原料ガス混合率xを
0.0〜0.7まで変えて作製したa−SiGe:H膜
の光学的禁制帯幅Eg optの値を示す。図中、比較のため
に原子状水素処理を行なわないで成膜(連続堆積)した
a−SiGe:H膜の光学的禁制帯幅の値も示した。双
方とも、ガス混合率xの増加とともに光学的禁制帯幅が
減少する傾向は同様である。しかし、その値は本発明実
施例では原子状水素処理を行なわなかった場合に比べ
て、ガス混合率x=0.0(すなわち、ゲルマンガス流
量0sccm)にして作製した膜において、既に0.1
7eVほど小さい。これは原子状水素処理によりa−S
iGe:Hネットワークに関連した構造変化が生じたこ
と、すなわち含有水素量が減少したことを示す。また、
原子状水素処理なしの従来法では光学的禁制帯幅を1.
3eVにするためのガス混合率は0.6程度であった
が、原子状水素処理を行なうと0.4程度でよい。
【0028】図4は、FT−IR法で測定したSi−H
結合、Ge−H結合、およびGe−Hn 結合から生じる
吸収係数の値と原料ガス混合率xとの関係を示す。波数
2000cm-1のSi−H結合の伸縮モードと波数19
90cm-1のGe−Hn 結合のピークは近接しており分
離が難しく、それぞれの結合水素量の定量化は出来ない
が、波数1880cm-1のGe−H結合から結合水素が
シリコン原子とゲルマニュウム原子のどちらに主に結合
しているかが区別できる。原子状水素処理によりSi−
H結合およびGe−Hn 結合のピークが従来方法より大
きく減少し、Ge−H結合はほとんど従来方法と変わら
ないことから、この処理によりシリコン原子との結合水
素が減少し、ガス混合率x=0.5あたりでほぼSi−
H結合とGe−H結合の吸収係数が等しくなる。
結合、Ge−H結合、およびGe−Hn 結合から生じる
吸収係数の値と原料ガス混合率xとの関係を示す。波数
2000cm-1のSi−H結合の伸縮モードと波数19
90cm-1のGe−Hn 結合のピークは近接しており分
離が難しく、それぞれの結合水素量の定量化は出来ない
が、波数1880cm-1のGe−H結合から結合水素が
シリコン原子とゲルマニュウム原子のどちらに主に結合
しているかが区別できる。原子状水素処理によりSi−
H結合およびGe−Hn 結合のピークが従来方法より大
きく減少し、Ge−H結合はほとんど従来方法と変わら
ないことから、この処理によりシリコン原子との結合水
素が減少し、ガス混合率x=0.5あたりでほぼSi−
H結合とGe−H結合の吸収係数が等しくなる。
【0029】図5は、ガス混合率x=0.5の条件でマ
イクロ波放電管に流した水素ガス流量と光学的禁制帯幅
との関係を示す。この時の真空槽内圧力およびマイクロ
波電力はそれぞれ0.5Torr、500Wとした。分
子状水素はマイクロ波プラズマによりほぼ100%分解
され、従って原子状水素の供給量は水素ガス流量により
決まる。ガス混合率x=0.5における光学的禁制帯幅
は、水素ガス流量80sccmあたりからその減少が止
まり、100sccmで図3に示した値になる。これ以
外のガス混合率においてもこの傾向は同様で、光学的禁
制帯幅が最小となる最適な供給量がガス混合率の増加に
応じて増加する。図6に、ガス混合率xと光学的禁制帯
幅が最小となる最適水素ガス流量との関係を示す。
イクロ波放電管に流した水素ガス流量と光学的禁制帯幅
との関係を示す。この時の真空槽内圧力およびマイクロ
波電力はそれぞれ0.5Torr、500Wとした。分
子状水素はマイクロ波プラズマによりほぼ100%分解
され、従って原子状水素の供給量は水素ガス流量により
決まる。ガス混合率x=0.5における光学的禁制帯幅
は、水素ガス流量80sccmあたりからその減少が止
まり、100sccmで図3に示した値になる。これ以
外のガス混合率においてもこの傾向は同様で、光学的禁
制帯幅が最小となる最適な供給量がガス混合率の増加に
応じて増加する。図6に、ガス混合率xと光学的禁制帯
幅が最小となる最適水素ガス流量との関係を示す。
【0030】図7は、光学的禁制帯幅とガス混合率とを
変えた場合の、a−SiGe:H膜のAM−1照射光強
度100mW/cm2 下での明導電率σp (s/cm)
及び暗導電率σd (s/cm)の変化を示す。原子状水
素処理した場合の光学的禁制帯幅の減少に伴う暗導電率
σd の増加は処理しなかったもの(従来方法で作製した
もの)と変わらなかったが、明導電率σp の値は光学的
禁制帯幅1.7eV程度でも10-4s/cmのオーダー
となり、処理しなかったものと比べて約1/2桁程度向
上した。また従来、明導電率が大きく低下するといわれ
ている1.4eV以下の領域においても1桁程度向上
し、1.2eVあたりでは6×10-5s/cmとなっ
た。また、この時の明/暗導電率比は2桁程度になり、
光感度が大幅に向上した。
変えた場合の、a−SiGe:H膜のAM−1照射光強
度100mW/cm2 下での明導電率σp (s/cm)
及び暗導電率σd (s/cm)の変化を示す。原子状水
素処理した場合の光学的禁制帯幅の減少に伴う暗導電率
σd の増加は処理しなかったもの(従来方法で作製した
もの)と変わらなかったが、明導電率σp の値は光学的
禁制帯幅1.7eV程度でも10-4s/cmのオーダー
となり、処理しなかったものと比べて約1/2桁程度向
上した。また従来、明導電率が大きく低下するといわれ
ている1.4eV以下の領域においても1桁程度向上
し、1.2eVあたりでは6×10-5s/cmとなっ
た。また、この時の明/暗導電率比は2桁程度になり、
光感度が大幅に向上した。
【0031】なお、原子状重水素にさらした場合も同様
の作用があるが、原子状水素に比べて膜中の拡散係数が
小さい為、その供給量および処理時間は多めにするのが
好ましい。なお、原子状重水素にさらす場合には、前記
水素ガス供給管18から水素ガスの代わりに重水素ガス
を供給するだけでよい。
の作用があるが、原子状水素に比べて膜中の拡散係数が
小さい為、その供給量および処理時間は多めにするのが
好ましい。なお、原子状重水素にさらす場合には、前記
水素ガス供給管18から水素ガスの代わりに重水素ガス
を供給するだけでよい。
【0032】次に、本発明の他の実施例を示す。
【0033】原子状水素あるいは原子状重水素の生成方
法としては、前記実施例における方法以外に、マイクロ
波電源22およびアプリケータ23の代わりに、図8に
示す様に、水素ガス導入管18に、高周波電源26に接
続した容量結合型高周波放電管27を接続し、水素ガス
をグロー放電分解することもできる。ただし、この場合
はマイクロ波プラズマによるグロー放電分解に比べてガ
スの分解効率が劣る為、先に説明した最適水素ガス流量
等の条件が変わる。
法としては、前記実施例における方法以外に、マイクロ
波電源22およびアプリケータ23の代わりに、図8に
示す様に、水素ガス導入管18に、高周波電源26に接
続した容量結合型高周波放電管27を接続し、水素ガス
をグロー放電分解することもできる。ただし、この場合
はマイクロ波プラズマによるグロー放電分解に比べてガ
スの分解効率が劣る為、先に説明した最適水素ガス流量
等の条件が変わる。
【0034】さらにまた、原子状水素あるいは原子状重
水素の生成方法として、図9に示すように、水素ガス導
入管18に1500℃以上に加熱できる熱分解炉28を
接続して、ここで水素ガスを熱分解して原子状水素を生
成し、これを真空槽11に供給して前記基板1を原子状
水素にさらすこともできる。
水素の生成方法として、図9に示すように、水素ガス導
入管18に1500℃以上に加熱できる熱分解炉28を
接続して、ここで水素ガスを熱分解して原子状水素を生
成し、これを真空槽11に供給して前記基板1を原子状
水素にさらすこともできる。
【0035】また、本発明において、原料ガス中のシラ
ン系ガスやゲルマン系ガスとしては、前記実施例に示さ
れているシラン(SiH4 )ガスやゲルマン(GeH
4 )ガス以外に、ジシラン(Si2 H6 )ガスやジゲル
マン(Ge2 H6 )ガス等の高次ガスを使用することも
できる。また、これらのガスをアルゴン(Ar2 )ガス
やヘリュウム(He2 )ガス等の不活性ガスで希釈して
使用することもできる。
ン系ガスやゲルマン系ガスとしては、前記実施例に示さ
れているシラン(SiH4 )ガスやゲルマン(GeH
4 )ガス以外に、ジシラン(Si2 H6 )ガスやジゲル
マン(Ge2 H6 )ガス等の高次ガスを使用することも
できる。また、これらのガスをアルゴン(Ar2 )ガス
やヘリュウム(He2 )ガス等の不活性ガスで希釈して
使用することもできる。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、シラン系ガスとゲルマ
ン系ガスとを原料ガスとし、これらをグロー放電分解し
て100〜300℃に加熱保持した成膜基板上に成長層
を形成しながら、その表面を前記原料ガスのグロー放電
分解手段とは異なる分解手段にて生成した原子状水素及
び/または原子状重水素にさらしてa−SiGe:H膜
を堆積させる第1の工程と、前記シラン系ガスとゲルマ
ン系ガスとの供給のみを停止して堆積を中断し、前記成
長層の表面を前記原子状水素及び/または原子状重水素
にさらして処理する第2の工程とを交互に繰り返して行
い、成長層の改質を行って徐々に厚い膜を形成すること
により、緻密で膜中含有水素量が少なく且つゲルマニュ
ウム原子の不対電子が水素により補償された不規則網目
構造を形成することができる。かくして、原料ガスの組
成を適宜選択することにより、光学的禁制帯幅の値を例
えば1.65eVから1.16eVまで自由に制御で
き、かつその時の明導電率を従来よりも1桁程度も向上
させたa−SiGe:H膜を製造することができること
から、光電変換特性に優れたヘテロ接合太陽電池や光セ
ンサーを実現する上で極めて有用な高光感度ナローギャ
ップ材料を提供することができる。
ン系ガスとを原料ガスとし、これらをグロー放電分解し
て100〜300℃に加熱保持した成膜基板上に成長層
を形成しながら、その表面を前記原料ガスのグロー放電
分解手段とは異なる分解手段にて生成した原子状水素及
び/または原子状重水素にさらしてa−SiGe:H膜
を堆積させる第1の工程と、前記シラン系ガスとゲルマ
ン系ガスとの供給のみを停止して堆積を中断し、前記成
長層の表面を前記原子状水素及び/または原子状重水素
にさらして処理する第2の工程とを交互に繰り返して行
い、成長層の改質を行って徐々に厚い膜を形成すること
により、緻密で膜中含有水素量が少なく且つゲルマニュ
ウム原子の不対電子が水素により補償された不規則網目
構造を形成することができる。かくして、原料ガスの組
成を適宜選択することにより、光学的禁制帯幅の値を例
えば1.65eVから1.16eVまで自由に制御で
き、かつその時の明導電率を従来よりも1桁程度も向上
させたa−SiGe:H膜を製造することができること
から、光電変換特性に優れたヘテロ接合太陽電池や光セ
ンサーを実現する上で極めて有用な高光感度ナローギャ
ップ材料を提供することができる。
【図1】本発明の実施に用いる装置の断面図である。
【図2】本発明の工程の説明のための模式的断面図であ
る。
る。
【図3】本発明の実施により得られるa−SiGe:H
膜の特性の一例を示す図である。
膜の特性の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施により得られるa−SiGe:H
膜の特性の一例を示す図である。
膜の特性の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施により得られるa−SiGe:H
膜の特性の一例を示す図である。
膜の特性の一例を示す図である。
【図6】本発明の処理条件の例を示す図である。
【図7】本発明の実施により得られるa−SiGe:H
膜の特性の一例を示す図である。
膜の特性の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施に用いる装置の断面図である。
【図9】本発明の実施に用いる装置の断面図である。
1 成膜基板 2a〜2d 原子状水素 3 SiH3 前駆体 4 GeH3 前駆体 5 成長層 5’ 内部層 6 分子状水素 11 真空槽 12 基板ホルダー 13 上部電極 14 ヒータ 15 高周波電源 16 下部電極 17 原料ガス導入管 18 水素ガス導入管 19 排気管 20 高速開閉バルブ 21 T字配管 22 マイクロ波電源 23 アプリケータ 24 コンダクタンス・バルブ 25 真空ポンプ 26 高周波電源 27 容量結合型高周波放電管 28 熱分解炉
Claims (4)
- 【請求項1】 シリコン原子を有するガスとゲルマニュ
ウム原子を有するガスとの混合ガスをプラズマ生起させ
て基板上に、シリコン原子とゲルマニュウム原子とを有
する薄膜半導体を堆積させることによって薄膜半導体を
製造する薄膜半導体の製造法において、前記薄膜半導体
の前記基板上への堆積期間中、前記基板の温度を100
℃〜300℃の温度範囲内に設定し、該薄膜半導体の堆
積成長中の堆積膜表面をマイクロ波電力の印加によって
活性化された水素ガス及び/又は重水素ガスによって晒
す工程と、前記シリコン原子を有するガスとゲルマニュ
ウム原子を有するガスとの混合ガスの供給を止め前記薄
膜半導体の前記基板上への堆積を中断した状態で堆積膜
表面をマイクロ波電力の印加によって活性化された水素
ガス及び/又は重水素ガスによって晒す工程とを有する
ことを特徴とする薄膜半導体の製造法。 - 【請求項2】 前記薄膜半導体は、非晶質シリコン・ゲ
ルマニュウム合金を有する半導体である請求項1に記載
の薄膜半導体の製造法。 - 【請求項3】 基板の温度を100℃〜300℃の温度
範囲内に設定して、シリコン原子を有するガスとゲルマ
ニュウム原子を有するガスとをグロー放電分解して基板
上に堆積膜を形成しながら、マイクロ波電力の印加によ
って水素原子及び/又は重水素原子を有するガスをグロ
ー放電分解して前記堆積膜の成長面に供給する工程と、
前記シリコン原子を有するガスとゲルマニュウム原子を
有するガスとの供給を止め、マイクロ波電力の印加によ
って水素原子及び/又は重水素原子を有するガスをグロ
ー放電分解して前記堆積膜に供給する工程とを有し、こ
れによって、前記基板上に、シリコン原子と、ゲルマニ
ュウム原子と、水素原子及び/又は重水素原子と、を有
する薄膜半導体を製造することを特徴とする薄膜半導体
の製造法。 - 【請求項4】 前記薄膜半導体は、水素原子が添加され
た非晶質シリコン・ゲルマニュウム合金を有する半導体
である請求項3に記載の薄膜半導体の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17575791A JP2953636B2 (ja) | 1991-06-21 | 1991-06-21 | 薄膜半導体の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17575791A JP2953636B2 (ja) | 1991-06-21 | 1991-06-21 | 薄膜半導体の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04373122A JPH04373122A (ja) | 1992-12-25 |
JP2953636B2 true JP2953636B2 (ja) | 1999-09-27 |
Family
ID=16001724
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17575791A Expired - Fee Related JP2953636B2 (ja) | 1991-06-21 | 1991-06-21 | 薄膜半導体の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2953636B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101507967B1 (ko) | 2008-09-23 | 2015-04-03 | 삼성디스플레이 주식회사 | 비정질 실리콘층 형성 방법 및 이를 이용한 액정표시장치 제조 방법 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010153610A (ja) * | 2008-12-25 | 2010-07-08 | Hiroshima Univ | 半導体製造装置、ゲルマニウムドットの製造方法およびそれを用いた半導体メモリの製造方法 |
CN110970287B (zh) * | 2018-09-28 | 2022-12-02 | 长鑫存储技术有限公司 | 制备非晶硅薄膜的方法 |
CN110923660B (zh) * | 2019-12-16 | 2022-05-20 | 上海华虹宏力半导体制造有限公司 | 改善掺杂非晶硅薄膜方块电阻面内均一性的方法 |
-
1991
- 1991-06-21 JP JP17575791A patent/JP2953636B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH04373122A (ja) | 1992-12-25 |
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