JP2943812B2 - 柱脚部構造 - Google Patents

柱脚部構造

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JP2943812B2 JP63287191A JP28719188A JP2943812B2 JP 2943812 B2 JP2943812 B2 JP 2943812B2 JP 63287191 A JP63287191 A JP 63287191A JP 28719188 A JP28719188 A JP 28719188A JP 2943812 B2 JP2943812 B2 JP 2943812B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は鉄骨構造または鉄骨鉄筋コンクリート構造あ
るいは鉄骨構造と鉄骨鉄筋コンクリート構造との組合わ
せによる混合構造における柱脚部構造に関するものであ
る。
〔従来の技術および発明が解決しようとする課題〕
鉄骨構造物の精度は最下階の鉄骨柱の位置精度によっ
て大きく左右されるが,その鉄骨柱は基礎構造部分の精
度に大きな影響を受ける。工場において製作された鉄骨
部材は許容誤差範囲内で納入されるのが一般的であるか
ら,工事現場における鉄骨建方の誤差はアンカーボルト
の精度の影響がそのまま現れる場合が多い。従って鉄骨
建方の良否は一に上記アンカーボルトの精度にかかって
おり,正確な位置決めを行う必要がある。このため,例
えば鉄骨工事技術指針・同解説(昭和54年4月25日,日
本建築学会発行)第625頁に記載のようにアンカーボル
トを鋼製フレーム若しくは保持具によって保持し,コン
クリートの打設による衝撃や流れによる圧力によって移
動しないようにするアンカーボルト固定装置を使用する
のが通常である。
第42図は従来のアンカーボルトの固定装置の一例を示
す要部正面図である。同図において1はフレームであ
り,例えば等辺山形鋼によって角枠状に構成すると共
に,上部に上部形板2を,下端部から若干の高さの位置
に下部形板3を各々固着し,上部形板2および下部形板
3に設けた保持穴(図示せず)にアンカーボルト4を保
持するように構成する。なおアンカーボルト4の上下方
向の位置決めは,例えば角片状の定着板5を介してナッ
ト6により下部形板3を挟着する手段によって行う。上
記の構成により,予め打設した捨てコンクリート7上の
所定の位置にフレーム1を載置し,ドリルアンカー9等
を打込んで固定した後,コンクリートを打設して鎖線に
て示すようなコンクリート基礎8を形成するのである。
上記従来の固定装置を構成するフレーム1は,予め工
場において製作した後,建方現場に運搬するのが通常で
あるが,次のような問題点がある。
(1)フレーム1に突出部分が多いため,工場から現場
までの運搬途中において,フレーム1相互の重合,衝突
等によって変形を生じ,アンカーボルト4をコンクリー
ト基礎8中に高精度で埋設することが困難である。
(2)フレーム1は一般に溶接接合で組立製作されるた
め,建方現場におけるアンカーボルト4の水平方向若し
くは垂直方向の位置調整を行うことができない。
(3)アンカーボルト4の下端部は定着板5に固定する
のであるが,定着板5は水平面に対する投影面積が大で
あるため,これを収納できるようにするためにはフレー
ム1全体を大きくする必要がある。
(4)フレーム1はコンクリート基礎8の打設によって
アンカーボルト4がずれないように剛性が要求される。
このため,構成部材として比較的大寸法のものを使用す
る必要があり,コンクリート基礎8中に配設する鉄筋
(図示せず)との干渉頻度が高い。
(5)アンカーボルト4の外周にはアンボンド用の被覆
スリーブ(第42図では図示せず)によって被覆されてい
る。そして,第43図に示すようにアンカーボルト4の上
端部は被覆スリーブ11を介してフレームの上部形板2に
支持されるようになっている。しかし,上部形板2とス
リーブ11とアンカーボルト4との間には隙間があるた
め,例えば第44図のように傾斜して狂いを生じ,アンカ
ーボルト4の固定精度を高めることができない。
次に上記コンクリート基礎8上に鉄骨柱(図示せず)
を構築する場合には,鉄骨柱の柱脚部に柱脚金物(図示
せず)を一体に接合し,この柱脚金物をアンカーボルト
4によってコンクリート基礎8上に強固に固定する手段
を使用するのが通常である。このような柱脚金物の一例
は,第45図に示すような形状を有する。柱脚金物10は正
方形の底板部12と正方形の突出部13とを有する。底板部
12には,厚肉部14が4隅に設けられており,各隅にアン
カーボルト用の穴15が加工される。また突出部13は正方
形,矩形,円形,H字形などの各種鉄骨柱の横断面形状に
対応する盛り上がりを持った形状をしており,この部分
に鉄骨柱を接合するようになっている。
このような柱脚金物10は典型的には鋳造又は鍛造によ
り製造されるので,アンカーボルト用の穴15は鋳造又は
鍛造後に形成することになる。この場合,穴15の位置を
正確に決めるために,第46図に示すようにまず底板部12
の中心Aを通る直交する2本の中心線16a,16bをけが
き,次に夫々穴15の中心線17a,17bをけがきにより求め
る。このようにして求めた各中心Bにドリルで穴15を形
成する。
また第45図に示す突出部13に鉄骨柱(図示せず)を接
合する場合は,第47図の19aにて示すように突出部13の
側面に中心を示すけがきをいれ,鉄骨柱18の中心を示す
けがき19bとを合わせて溶接接合する。このようにして
柱脚金物10と鉄骨柱18とを溶接接合により一体に構成し
た柱脚部は,第47図に示すように,コンクリート基礎8
へアンカーボルト4,ナット6により固定する。
しかしながら,このようなけがき作業は柱脚金物10の
一品毎に行わなければならず,煩雑であると共に多大の
時間と工数を要する。このため,柱脚金物10を使用する
工事において施工費用が高くなるという問題点がある。
次に上記柱脚部構造においては,柱脚金物とコンクリ
ート基礎とを密着させる必要があるため,両者間にモル
タルを充填する必要がある。第48図は前記第47図に示す
柱脚部構造に対応する要部縦断面図である。同図におい
て,まず鋼材からなる鉄骨柱18に柱脚金物10を溶接によ
って一体に接合し,コンクリート基礎8上に予め設けた
中心部モルタル20を介して載置する。この場合,コンク
リート基礎8には,所定個数のアンカーボルト4を埋設
してあるので,柱脚金物10に穿設したボルト穴(図示せ
ず)によって位置決めを行なう。その後,柱脚金物10と
コンクリート基礎8との間にモルタル21を充填し,モル
タル21が充分固化した後に,アンカーボルト4に平座金
22を介装させてナット6を締結し,鉄骨柱18を固定する
のである。23は型枠であり,モルタル21を注入充填する
場合の外形寸法を規制するものである。
上記従来の柱脚部構造においては,柱脚金物10を中心
部モルタル20上に載置した後,柱脚金物10とコンクリー
ト基礎8との間隙にモルタル21を充填する際に,空気を
密閉するため空洞24を創出する現象を生じ,柱脚金物10
の底面全域にモルタル21が完全に密着しないという問題
点がある。
第49図は上記モルタル21の型枠23内における流動状態
を示す説明図である。第49図において,鎖線で示すのは
柱脚金物10の平面における外形輪郭である。なお中心部
モルタル20は図示のように平面形状を四辺形に形成する
のが最も一般的な例である。第49図に示すような状態で
モルタル21を例えばホッパ等の容器を介して矢印C方向
から注入充填すると,モルタル21は矢印Dで示す流線に
沿って流動するが,中心部モルタル20が存在するため,
一旦分割した流れが下流側において合流し,この間にお
いて柱脚金物10とコンクリート基礎8との間に存在する
空気を密閉し,複数本の斜線によって示すような空洞24
を形成するのである。
柱脚部構造に要求される性能としては,第48図におい
て柱脚金物10の剛性,アンカーボルト4の締結力と共
に,モルタル21と柱脚金物10との密着性が重要である。
しかし上記のように柱脚金物10の底面に空洞24が存在す
ると,満足すべき柱脚部構造の性能を得ることができ
ず,耐震性を著しく低下させるという問題点がある。
次に柱脚金物10とコンクリート基礎8とはアンカーボ
ルト4にナット6を螺着してその締結力によって一体に
接合されるのであるが,柱脚部に曲げモーメントが作用
した場合には,柱脚金物10が局部的にしかも複雑に変形
する。またアンカーボルト4に付加すべき張力の値が明
確にされてなく,夫々の建築物において上記張力の値が
個々別々であると同時に,性能(固定度)の評価方法も
定まっていないのが通常である。
すなわち,従来の柱脚部構造は,上述の理由で,アン
カーボルト4の性能を最大限生かした高い固定度が得ら
れないばかりか,固定度を建築物設計時に,正確に把握
することが困難であり,建築物の安全性確保という点に
おいて,大きな不安を残している。
次に柱脚部構造に作用する外力について考察する。第
50図は柱脚部構造に作用する外力を説明する図であり,
同一部分は前記第47図および第48図と同一の参照符号で
示す。第50図において鉄骨柱18には建築物の重量および
地震や暴風による軸力Nと水平力Fがかかる。水平力F
により,柱脚部を曲げようとする曲げモーメントMと,
水平方向に移動させようとするせん断力Qが発生する。
曲げモーメントM及び軸力Nに対しては,鉄骨柱18から
応力が柱脚金物10,アンカーボルト4,コンクリート基礎
8の順に伝達されるように,柱脚部構造が設計されてい
る。またせん断力Qに対しては,その値が小さい場合に
は,鉄骨柱18から柱脚金物10,コンクリート基礎8の順
に応力が伝達されるように設計されている。この場合柱
脚金物10からコンクリート基礎8への応力の伝達は,柱
脚部構造に作用する軸力Nおよびアンカーボルト4の引
張力によって生じる柱脚金物10とコンクリート基礎8と
の間の摩擦抵抗力Qa1により行われる。
またせん断力Qの値が大きく,柱脚金物10とコンクリ
ート基礎8との間の摩擦抵抗力Qa1がせん断力Qに抵抗
できない場合には,鉄骨柱18から柱脚金物10,平座金22,
アンカーボルト4,コンクリート基礎8の順に応力が伝達
されるように設計されている。このために,第51図に示
すようにアンカーボルト4と柱脚金物10の穴15とのクリ
アランスをできるだけ小さくするために,アンカーボル
ト4の外径に対してクリアランスの小さい内穴を有する
平座金22と柱脚金物10とを全周隅肉溶接する手段を採用
していた。溶接部は25により示す。
一方最近においては,耐震設計の思想から,柱脚部構
造にも,耐力的な性能を増大させるニーズが高まってお
り,これを実現するためには,機械的性能の良好な(降
伏点及び引張強さの高い)アンカーボルト4を採用する
ことが重要な要素の一つになっている。
しかし従来引張強さが50kg/mm2以上のアンカーボルト
4を柱脚部構造に用いる場合は,一般的にセット部品で
あるアンカーボルト4と同材質の平座金22等は,その炭
素含有量及び炭素当量(Ceq)が高く,柱脚金物10と溶
接できなかった。そのため,この高強度(引張強さが50
kg/mm2以上)のアンカーボルト4を用いる場合は,大き
なせん断力Qを柱脚金物10からアンカーボルト4へ伝達
できない。結果的に,この高強度のアンカーボルト4を
用いると,柱脚部構造の曲げ耐力Ma(曲げモーメントM
に抵抗する耐力)は向上するが,せん断耐力Qaは,柱脚
金物10とコンクリート基礎8との摩擦抵抗力Qa1でしか
確保できず,かえって低下するという問題点がある。
本発明の第1の目的は,アンカーボルトの固定精度の
高い柱脚部構造を提供することである。
本発明の第2の目的は,アンカーボルトの位置決めお
よび埋設作業が極めて容易である柱脚部構造を提供する
ことである。
本発明の第3の目的は,鉄骨柱と柱脚金物および柱脚
金物とコンクリート基礎との位置合わせが容易である柱
脚部構造を提供することである。
本発明の第4の目的は,柱脚金物とコンクリート基礎
との密着性が大であり,耐震性を著しく向上させた柱脚
部構造を提供することである。
本発明の第5の目的は,アンカーボルトに所定の初期
張力を付与した安全性の高い柱脚部構造を提供すること
である。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成するために,第1の発明において
は,鉄骨柱と,この鉄骨柱の脚部端面の輪郭と対応する
平面形状に形成した突出部と平板状に形成した底板部と
からなる柱脚金物とを一体に接合すると共に,前記柱脚
金物とコンクリート基礎とを,予めコンクリート基礎上
に設けた中心部モルタルと柱脚金物の設置後に注入する
モルタルとを挟持し,かつコンクリート基礎中に埋設し
てなるアンカーボルトとナットとを介して接合してなる
柱脚部構造において,捨てコンクリート上に突設した支
持部材の上端部に水平支持部材を固着し,この水平支持
部材上に,上下端にねじ部を設けてなるアンカーボルト
の上下端部に各々上部形板および下部形板をナットを介
して固着して形成したアンカーボルトフレームを固着
し,上端ねじ部を除いてアンカーボルトフレームをコン
クリート基礎中に埋設する,という技術的手段を採用し
た。
この場合において,支持部材の下端部を捨てコンクリ
ート内に埋設するか,若しくは支持部材を固定ボルトを
介して捨てコンクリート上に固定することができる。
また水平支持部材と下部形板とをボルト・ナット若し
くは溶接によって固着することができる。
次に上部形板および/または下部形板のアンカーボル
トの軸線と平行な断面における高さ寸法を構成部材の厚
さ寸法より大に形成すると好ましい。
なおアンカーボルト挿入用の穴周辺の高さ寸法を他の
部位の高さ寸法より大に形成してもよい。
次に第2の発明においては,鉄骨柱と,この鉄骨柱の
脚部端面の輪郭と対応する平面形状に形成した突出部と
平板状に形成した底板部とからなる柱脚金物とを一体に
接合すると共に,前記柱脚金物とコンクリート基礎と
を,予めコンクリート基礎上に設けた中心部モルタルと
柱脚金物の設置後に注入するモルタルとを挟持し,かつ
コンクリート基礎中に埋設してなるアンカーボルトとナ
ットとを介して接合してなる柱脚部構造において,捨て
コンクリート上に突設した支持部材の上端部に水平支持
部材を固着し,この水平支持部材上に,上部形板と下部
形板とを複数個の連結部材を介して一体的に固着して形
成した保持具を固着し,上下端にねじ部を設けてなるア
ンカーボルトを前記保持具を形成する上部形板および下
部形板に各々設けた挿通穴を介して保持し,前記保持具
と共に上端ねじ部を除いてアンカーボルトをコンクリー
ト基礎中に埋設する,という技術的手段を採用した。
この場合において,上部形板および下部形板と連結部
材とをボルト・ナットを介して固着することができる。
また水平支持部材と保持具とをボルト・ナット若しく
は溶接によって固着することができる。
次に第3の発明においては,前記第1または第2の発
明に加えて,柱脚金物の底板部の外周に柱脚金物の中心
を示すマークを予め設ける,という技術的手段を採用し
た。
更に第4の発明は,上記第1ないし第3の発明の何れ
かに加えて,柱脚金物の突出部の横断面形輪郭の一部若
しくは全部によって包囲される領域内に柱脚金物を上下
方向に貫通する穴を1個若しくは複数個設ける,という
技術的手段を採用した。
この場合において中心部モルタルに水平方向に貫通す
る溝を1個若しくは複数個設けることができる。
更に上記中心部モルタルの平面形状をモルタルの流線
に対応する形状としてもよい。
次に第5の発明においては,上記第1ないし第4の発
明の何れかに加えて,鋳造または鍛造製の柱脚金物の底
板部の肉厚を突出部と接する基部から端部に向かって漸
次減少させて形成し,軸方向不拘束状態でコンクリート
基礎中に埋設したアンカーボルトに降伏点の0.15〜1.2
倍の引張力を付与させて接合する,という技術的手段を
採用した。
また第6の発明においては,上記第1ないし第5の発
明の何れかに加えて,柱脚金物とナットとの間に溶接構
造用鋼材からなる平座金を介装させると共に,平座金の
外径および厚さを各々アンカーボルトのねじ部の外径の
1.73倍以上および0.13倍以上に形成し,アンカーボルト
を引張り強さ50〜70kg/mm2を有する材料によって形成す
る,という技術的手段を採用した。
更に第7の発明においては,上記第1若しくは第2の
発明に加えて,鋳造または鍛造製の柱脚金物の底板部の
肉厚を突出部と接する基部から端部に向かって漸次減少
させて形成すると共に,底板部の外周に柱脚金物の中心
を示すマークを予め設け,突出部の横断面内形輪郭の一
部若しくは全部によって包囲される領域内に柱脚金物を
上下方向に貫通する穴を1個若しくは複数個設け,軸方
向不拘束状態でコンクリート基礎中に埋設したアンカー
ボルトを引張り強さ50〜70kg/mm2を有する材料によって
形成する,と共に降伏点の0.15〜1.2倍の引張力を付与
させて接合し,柱脚金物とナットとの間に溶接構造用鋼
材からなる平座金を介装させると共に,平座金の外径お
よび厚さを各々アンカーボルトのねじ部の外径の1.73倍
以上および0.13倍以上に形成する,という技術的手段を
採用した。
〔実施例〕
第1図は本発明の第1実施例におけるアンカーボルト
の保持状態を示す要部正面図,第2図は第1図のE−E
線断面図であり同一部分は前記第42図と同一の参照符号
にて示す。両図において上部形板2,下部形板3は所定寸
法のピッチでアンカーボルト4の挿通穴を設ける。5は
例えば角片状の定着板であり,下部形板3の上部に設置
する。アンカーボルト4の下部ねじ部には下部ナット6
により定着板5とその下に下部形板3を挟着する。上部
形板2は上部ナット6aによりアンカーボルト4に挟着す
る。また,アンカーボルト4の軸部には被覆スリーブ11
が設けられている。これらの組立てにより例えば4本の
アンカーボルト4が保持される。
次に例えば山形鋼からなる複数の支持部材26を複数の
固定部材27に溶接等により固着し,捨てコンクリート7
上の所定の位置に固定ボルト28等により固着する。鋼材
からなる複数の水平支持部材29は所定の高さで複数の支
持部材26に溶接接合すると共に,上面は実質的に水平面
を形成するように構成する。その後水平支持部材29上に
前記アンカーボルト4等を載置し,芯出し,溶接等によ
って固着した後,コンクリートを打設すればアンカーボ
ルト4を精度よくかつ強固に,コンクリート基礎8中に
埋設することができる。
第3図は本発明の第2実施例におけるアンカーボルト
の保持状態を示す要部正面図,第4図は第3図のF−F
線断面図であり同一部分は前記第1図および第2図に示
す実施例と同一の参照符号で示す。アンカーボルト4そ
の他の構成は前記第1図および第2図の実施例と同様で
ある。捨てコンクリート7中に例えば山形鋼からなる4
本の支持部材26をモルタル30によって埋設し,支持部材
26上に水平支持部材29を上面が実質的に水平面を形成す
るように固着する。その他の構成は前記第1実施例と同
様である。
なお上記の両実施例において,上部形板2はコンクリ
ート基礎8中に埋設されず,アンカーボルト4に連結さ
れる鉄骨柱を建てる前に,上部ナット6aを取外し除去す
る。
次に鉄骨柱と接合した柱脚金物(何れも図示せず)を
コンクリート基礎8上に設置してナット6をアンカーボ
ルト4に締結すれば柱脚部構造を完成することができ
る。
上記の構成とすることにより次の作用効果が得られ
る。
(1)工場において予め所定寸法に加工した構成部材の
みを製作して建方現場において組立てることができるた
め,運搬作業が極めて容易となる。
(2)従来のフレームのように突出部分が少なく,上記
(1)と関連して運搬中の変形が殆んどないため,保持
具およびアンカーボルト4の精度が大幅に向上する。
(3)アンカーボルト4の支持態様が主にアンカーボル
ト4と上部形板2,下部形板3という少ない要素で構成さ
れているので,従来のようなフレームとコンクリート基
礎8の鉄筋との干渉頻度が大幅に低減される。
(4)下部形板3が定着板5の下側に設けられているの
で,下部形板3の直下に設けた水平支持部材29が定着板
5に干渉せず,定着板5と下部形板3とをアンカーボル
ト4の下部ねじ部に固定するナットの近隣まで広げた位
置に配置でき,水平支持部材29の間隔を大きくできる。
これがコンクリート基礎8の打設によって起こる下部形
板3の変形を小さくし,アンカーボルト4の芯ずれを防
止するのに大きく寄与する。
(5)上部形板2はアンカーボルト4の被覆スリーブ11
を介さずにアンカーボルト4に連結されるので,アンカ
ーボルト4と位置決め精度が被覆スリーブ11とアンカー
ボルト4の間隙に左右されない。
上記の構成による装置によって,アンカーボルト4を
正確に位置決めした状態でコンクリート基礎8中に埋設
することができるのである。
第5図は本発明の第3実施例における形板を示す平面
図,第6図および第7図は各々第5図におけるG−G線
断面図およびH−H線断面図である。これらの図におい
て形板30(前記実施例における上部形板2および下部形
板3に相当する)は厚さtなる鋼板によって中空四辺形
に形成すると共に,各辺の横断面を略コ字形に形成し,
高さ寸法hをtより大に形成する。形板30の角部には厚
さt1なる鋼板からなる座金31を溶接によって固着すると
共に,アンカーボルト(図示せず)挿入用の穴32を穿設
する。
以上の構成により,形板30の各辺の横断面の高さ寸法
hが鋼板の厚さtより大なる寸法に形成され,剛性を充
分に確保することができる。また角部に座金31を固着す
ることにより,アンカーボルト(図示せず)の挿通が容
易となると共に,位置決め精度が極めて良好となる。
第8図はアンカーボルトを形板に挿入した状態を示す
要部拡大断面図である。同図において,形板30の厚さ寸
法tがアンカーボルト4に設けたねじ4aのピッチ寸法p
より小であると,ねじ4aの谷部に形板30が喰込むことに
より,アンカーボルト4を挿通する穴32への挿入が困難
となるのみならず,アンカーボルト4が傾くこととな
り,位置決め精度を低下させるため不都合である。この
点前記第5図ないし第6図に示すように形板30に座金31
を設けることによって,上記不都合を解消できるのであ
る。この場合形板30の厚さt,座金31の厚さt1およびねじ
4aのピッチ寸法pの関係を(t+t1)>pとするとよ
い。但しt=t1としてもよい。
第9図および第10図は各々本発明の第4および第5実
施例における形板を示す平面図であり,同一部分は前記
第3実施例におけるものと同一の参照符号で示す。第9
図に示す第4実施例においては,形板30を中空円環状の
平面投影輪郭に形成し,中空円板状に形成した座金31を
等間隔で配設したものである。なお形板30の横断面形状
は前記第3実施例と同様に略コ字形に形成する。また第
10図に示す第5実施例における形板においては,平面投
影形状を十字形に形成したものであり,形板30の自由端
部近傍に穴32を穿設する。なお前記実施例における座金
31を省略してあるが,アンカーボルト(図示せず)の直
径,ねじピッチ等とを勘案して省略することもできる。
第11図および第12図は各々本発明の第6および第7実
施例における形板を示す平面図であり,同一部分は前記
の実施例におけるものと同一の参照符号で示す。両図に
おいて形板30は例えば溝形鋼により溶接手段を介して一
体に形成することができる。形板30が大形の場合には,
単一の鋼板によって形成することが困難な場合があり,
上記のように複数個の部材によって形成することが有効
である。
第13図は本発明の第8実施例における形板を示す平面
図,第14図および第15図は各々第13図におけるI−I線
断面図およびJ−J線断面図である。これらの図におい
て,形板30を例えば溝形鋼により溶接手段によって一体
に形成する点は前記第6および第7実施例と同様である
が,本実施例においては構成部材を角部において重合さ
せて構成した。このように構成することにより,組立て
溶接が簡単かつ容易になると共に,アンカーボルト挿入
用の穴32の周辺における厚さ寸法が大となるため,前記
のようなアンカーボルトのねじが形板に喰込むことを防
止でき,かつ喰込防止用の座金を省略できるので好まし
い。
次に第16図および第17図は各々本発明の第9実施例に
おける形板を示す要部平面図および横断面図である。形
板30の構成部材に両図に示すように平面への投影形状に
おいて長円状とした凹凸33を設けることにより,形板30
の高さ寸法hを構成部材の厚さ寸法tより大に形成す
る。
第18図は本発明の第10実施例における形板を示す平面
図,第19図は第18図におけるK−K線断面図である。両
図において34はセンターマークであり,アンカーボルト
(図示せず)挿入用の2個の穴32,32間を等分する位置
に4箇所設ける。なおセンターマーク34は形板30の成形
時および/または穴32の穿設時に同時に成形することが
できる。このようにセンターマーク34を設けることによ
り,形板30を位置決めする際に,捨てコンクリート上に
設けた柱心を示すけがき線との合わせ作業が容易とな
る。なおセンターマーク34の形状は,第19図に示すもの
と逆に上面を凹としてもよく,断面形状も任意に選定で
きる。また上記の他にポンチによって形成してもよく,
更にはけがき線とすることもできる。
上記の実施例においては,形板30を形成する材料が鋼
板である場合について記述したが,非金属材料も含む鋼
板以外の他の構造用材料であっても作用は同様である。
また形板30の平面投影形状は四辺形,円形,十字形以外
でもよく,横断面形状もまたコ字形に限定されず,例え
ば中空角筒状,中空円筒状その他の幾何学的形状を選定
でき,要するに構成部材の厚さ寸法tより大なる高さ寸
法hに形成し得るものであればよい。またアンカーボル
ト挿入用の穴32周辺に設ける座金は,必要に応じて省略
することができる。
上記の構成により,所定の剛性を有する形板30の重量
を大幅に低減することができ,ハンドリングが極めて容
易になる。また形板の構成材料の厚さを薄くすることが
できるため,製作コストを低減し得るという効果があ
る。
第20図および第21図は各々本発明の第11実施例を示す
要部正面図および同平面図,第22図は第20図におけるL
−L線断面図であり,同一部分は前記第1図〜第4図と
同一の参照符号にて示す。これらの図において,35は連
結部材であり,例えば等辺山形鋼により,両端部を直角
に折り曲げて,ボルト・ナット36を介して上部形板2お
よび下部形板3と一体的に固着し,保持具37を形成す
る。次に上部形板2および下部形板3に各々設けた所定
寸法およびピッチの挿通穴(図示せず)を介してアンカ
ーボルト4を保持する。なおアンカーボルト4を定着板
5およびナット6により,下部形板3を挟着することに
よって位置決めする手段は,前記第1図〜第4図に示す
ものと同様である。次に捨てコンクリート7に例えば等
辺山形鋼からなる4本の支持部材26を突設すると共に,
支持部材26の上端部に例えば等辺山形鋼からなる2本の
水平支持部材29を,それらの上面が実質的に水平面を形
成するように固着してアンカーフレーム38を構成する。
上記の構成により,保持具37をアンカーフレーム38上に
載置して,両者をボルト・ナット(図示せず)若しくは
溶接接合により固着した後,コンクリート打設により,
アンカーボルト4を保持具37およびアンカーフレーム38
と共に,コンクリート基礎8中に埋設することができ
る。
第23図および第24図は各々本発明の第12実施例におけ
るアンカーフレームを示す要部正面図および要部平面図
であり,同一部分は前記第20図〜第22図に示す実施例と
同一の参照符号で示す。まず第23図において,支持部材
26の上端部近傍に上下方向に延びる長穴39を穿設して,
ボルト40を貫通可能とする。このように構成することに
より,水平支持部材29を上下に移動可能とすることがで
き,上面のレベル出し,および第20図〜第22図に示すア
ンカーボルト4の上下方向の位置調整が可能である。次
に第24図において,下部形板3および水平支持部材29に
各々直交するように長穴41,42を設けてボルト43を貫通
可能とする。このように構成することにより,下部形板
3を水平面内において移動可能とし得るから,下部形板
3に設けた挿通穴3aに挿通保持するアンカーボルト(図
示せず)の水平面内における位置調整が可能である。
上記の実施例においては,保持具37のボルト・ナット
接合によって構成した例を示したが,建方現場にて溶接
接合によって構成してもよく,また両者を併用してもよ
い。また保持具37を構成する連結部材35の数量は4本に
限定せず,アンカーボルト4の配設本数その他を勘案し
て適宜選定することができる。更に保持具37およびアン
カーフレーム38の構成部材が等辺山形鋼である例を示し
たが,これに限定せず他の形鋼,管材,棒材,その他の
構造用部材の使用が可能であると共に,これらの併用も
当然に可能である。なお捨てコンクリート7に突設する
支持部材26は,捨てコンクリート7を打設後,コンクリ
ート未凝固の間に所定位置に挿し込む手段を採用しても
よい。
上記のような構成により,下記の効果を期待できる。
(1)工場において予め所定寸法に加工した構成部材の
みを製作して建方現場において組立てることができるた
め,運搬作業が極めて容易となる。
(2)従来のフレームのように突出部分が少なく,上記
(1)と関連して運搬中の変形が殆んどないため,保持
具37およびアンカーフレーム38の精度が大幅に向上す
る。
(3)構成部材相互の接合手段の全部若しくは一部をボ
ルト・ナット接合することができ,建方現場におけるア
ンカーボルト4の位置調整が可能であり,アンカーボル
ト4の位置決め精度が大幅に向上する。
(4)アンカーフレーム38の設置が極めて容易であるた
め,従来技術において必要としていた特殊工具の使用若
しくは煩雑な作業が全く不要となり,工程を大幅に短縮
し得る。
第25図は本発明の第13実施例における柱脚金物を加工
治具に載置した状態を示す斜視図である。第25図におい
て柱脚金物10は正方形の底板部12と正方形の突出部13と
を有する。底板部12には厚肉部44が4隅に設けられてい
る。また突出部13は正方形の辺のみが盛り上がった形状
であり,この部分に鉄骨柱(図示せず)を接合する。第
25図に明らかに示されるように,柱脚金物10は底板部12
の各辺の中点にマーク45があらかじめ設けられている。
このマーク45は線状突起からなっているが,本発明の柱
脚金物10はこれに限定されるものではなく,点状突起,
溝,凹み等いかなる形状のものでもよい。また突出部13
の各辺の中点にも同様のマーク46があらかじめ設けられ
ている。
このようにマーク45を有する柱脚金物10にアンカーボ
ルト用の穴15を形成するには,まず柱脚金物10を芯出し
装置付の加工機械,例えばNC加工機上の加工治具47上に
載せる。加工治具47はXY方向に延在する台48,49からな
り,各台には中心線50,51があらかじめ形成してあるの
で,各中心線50,51に各マーク45を一致させると,芯出
しが自動的に行われる。次に割出し装置によって底板部
12の各隅の厚肉部44にアンカーボルト用の穴15を自動的
に位置決めし,ドリルにより穴15を形成する。このよう
にして,けがき作業なしにアンカーボルト用の穴15を加
工することができる。
第26図は本発明の第13実施例を示す斜視図であり,前
記第25図に示す柱脚金物10と鉄骨柱およびコンクリート
基礎との接合状態を示す図である。第26図において,鉄
骨柱18と柱脚金物10との接合に際しては,まず鉄骨柱18
の各辺の中心に縦の中心線52,53をけがき,各中心線52,
53と突出部13のマーク46とを合致させる。その後溶接等
により鉄骨柱18に柱脚金物10を接合する。
さらに,第25図の柱脚金物10を用いれば,コンクリー
ト基礎8上の位置決めも容易にできる。すなわち,第26
図に示すようにコンクリート基礎8に柱の中心線54,55
をけがき,各中心線54,55に底板部12のマーク45を合致
させる。
上記のような構成による柱脚金物を用いれば,底板部
12や突出部13にけがき線を入れる作業を省略することが
できる。なお,この実施例は正方形断面柱を支持する柱
脚金物についての例であるが,矩形断面柱の場合につい
ても同様である。
第27図は本発明の第14実施例における柱脚金物を示す
斜視図である。柱脚金物10は,H形の鉄骨柱を支持するよ
うにH形の突出部13を有する。この例でも,底板部12の
各辺の中点にマーク45が,また,突出部13の各辺の中点
にマーク46がそれぞれあらかじめ設けられている。
第28図は本発明の第15実施例における柱脚金物を示す
斜視図である。柱脚金物10は丸柱用の突出部13を有し,
その突出部13の外周に90°の間隔でマーク46があらかじ
め設けられている。なお底板部12の各辺の中点にマーク
45を設ける点は前記実施例と同様である。
上記の構成により,次のような効果が得られる。
(1)柱脚金物10にアンカーボルト用の穴15を加工する
際に,けがき作業を省略することができ,柱脚金物10の
製造時の原価を低減できる。
(2)突出部13にもあらかじめマーク46を設けておけ
ば,鉄骨柱18と柱脚金物10とを溶接接合する際の鉄骨柱
18の加工において,柱脚金物10の突出部13の外周に鉄骨
柱18の中心を示すけがき作業が省略でき,鉄骨柱18の接
合時の工数低減がはかれる。
(3)さらに,鉄骨柱脚部をコンクリート基礎8上に設
置する現場作業において,コンクリート基礎8上に設け
られた鉄骨柱18の中心を示すけがきに底板部12のマーク
45を合わせることにより容易に位置決めすることがで
き,建方現場での工数の低減がはかられる。
第29図および第30図は各々本発明の第16実施例を示す
要部縦断面図および一部横断面平面図であり,同一部分
は前記第47図および第48図と同一の参照符号で示す。第
29図および第30図において,柱脚金物10は例えば鋳鋼に
より,鉄骨柱18の脚部端面の輪郭と対応する平面形状に
形成した突出部13と,平板状に形成した底板部12とを一
体に形成すると共に,アンカーボルト4と対応する位置
にボルト穴(図示せず)を穿設する。なお突出部13およ
び底板部12の平面輪郭形状は,鉄骨柱18の横断面輪郭形
状と対応させて,略正方形に形成する。次に56は穴であ
り,中心部モルタル20の平面輪郭と略対応する位置に,
柱脚金物10を上下方向に貫通するように設ける。
上記の構成により,鉄骨柱18と柱脚金物10とを溶接接
合した後,コンクリート基礎8上に予め設けた中心部モ
ルタル20上に載置して位置決めし,型枠23内にモルタル
21を矢印Cにて示すように注入充填する。この場合には
モルタル21は前記第49図に示すように流動し,特に中心
部モルタル20の近傍にて空気を密閉する傾向があるが,
第29図および第30図に示すように柱脚金物10に穴56を設
けてあるため,仮りに上記のように密閉された空気が存
在しても,穴56から容易に排出することが可能である。
従ってモルタル21の流動充填には何等の支障がなく,柱
脚金物10の底面に完全に密着させることができ,前記第
48図および第49図に示したような空洞24の発生を皆無と
することができる。
次に第31図は本発明の第17実施例を示す一部横断面平
面図であり,同一部分は前記第29図および第30図と同一
の参照符号にて示す。第31図において57は溝であり,モ
ルタル21の注入方向Cと略同一方向にかつ水平方向に貫
通するように設ける。なお柱脚金物10に設ける穴56は,
上記の溝57に臨むように設けるとよい。
上記の構成により,モルタル21を矢印C方向に注入充
填すると,モルタル21は前記実施例において記述したと
同様に流動する他,中心部モルタル20に設けた溝57にも
流動する。そして溝57内を流動するモルタル21は他の部
位を流動するモルタル21よりも早く溝57を通過して,柱
脚金物10の縁辺近傍に到達するから,空気を密閉するこ
となく,柱脚金物10の底面に完全に密着する。なお溝57
に臨ませて穴56を設けてあるため,モルタル21が溝57内
に充填され,若しくは流動する際に空気を密閉すること
があっても,容易に排出することができるのである。
第32図は本発明の第18実施例におけるモルタル部分を
示す平面図であり,同一部分は前記第29図ないし第31図
と同一の参照符号で示す。第32図において,中心部モル
タル20は平面形状を楕円に形成すると共に,モルタル21
の注入流動方向に長軸が存在するように設ける。その他
の構成は前記実施例の場合と同様である。
上記の構成により,前記実施例と同様にして鉄骨柱と
柱脚金物とを接合した状態で(何れも図示省略)中心部
モルタル20上に載置し,モルタル21を矢印C方向より注
入充填する。この場合中心部モルタル20は平面形状を楕
円に形成し,かつその長軸をモルタル21の流動方向に合
致するように設けてあるため,中心部モルタル20の外形
輪郭は矢印58で示す流線と略合致する。従って所謂流体
抵抗が少なく,中心部モルタル20の下流側における流線
の乱れを防止することができ,モルタル21による空気の
密閉作用を皆無とすることができる。
上記の実施例においては,鉄骨柱18の横断面形状なら
びに柱脚金物10の平面形状を略正方形に形成した例を示
したが,正方形以外の他の四辺形,円形その他の幾何学
的形状としても作用は同様である。また柱脚金物10は鋳
鋼によって形成する以外に,鋼板若しくは鋼材によって
形成することができる。更に柱脚金物10に設けるべき穴
56は,横断面形状を円形以外の形状とすることができる
と共に,設置個数は任意に選定できる。次に中心部モル
タル20に設けるべき水平方向の貫通溝57は,1個のみでな
く複数個としてもよい。なお中心部モルタル20の平面形
状は,正方形,楕円形以外の任意の形状とすることがで
きるが,水平方向の溝を設置しない場合には,モルタル
21の流線に対応する曲線を輪郭の一部とする形状に形成
することが好ましい。
上記の構成により,モルタル21の注入充填の際におい
て,柱脚金物10とコンクリート基礎8との間に介在した
空気は,柱脚金物10に設けた穴56から容易に排出され,
モルタル21内に空洞を形成するという不都合を完全に回
避することができるのである。
次に第33図は本発明の第19実施例における柱脚部構造
の外力に対する回転変形の挙動を示す図,第34図は同じ
く回転変形の模式図である。すなわち本発明の第19実施
例においては,第33図に示すように高い回転剛性Kを得
るために,第34図におけるアンカーボルト4に降伏点の
0.15〜1.2倍の引張力を付与させて接合したものであ
る。以下これについて詳述する。
本発明における柱脚部構造は前記実施例中においても
記述したように,柱脚金物10の回転剛性が極めて大であ
るため,変形を極めて小さくすることができ,柱脚部に
おける回転変形を略0にすることができる。また上記の
ように回転剛性の大なる柱脚金物10を使用すると共に,
アンカーボルト4に所定の引張力を付与することによ
り,柱脚部構造の回転剛性に関する評価を正確に把握で
きるようにしたものである。
実験によれば,本実施例における柱脚部構造の外力
(曲げモーメント)に対する回転変形の挙動は,第33図
中に実線で示すような単純化された形態となる。すなわ
ち,柱脚部の回転剛性(M/θ)は,第34図における柱脚
金物10の引張側アンカーボルト位置の底面10aとコンク
リート基礎8の上面8aとが離間する点a(第33図)まで
と,引張側アンカーボルト4が降伏する点b(第33図)
までと,さらにその後との3区分に分かれて変化する。
第33図中に一点鎖線で示した回転剛性は,柱脚金物10
を完全剛体とし,アンカーボルト4には張力を導入しな
い場合の回転剛性の理論値であり,幾何学的に(1)式
で与えられる。
K0:アンカーボルトに張力を導入しない場合の柱脚部の
回転剛性(tm/rad) E:アンカーボルトのヤング係数(t/cm2) AB:引張側アンカーボルト群の総断面積(cm2) l:アンカーボルト間距離(cm) L:アンカーボルト有効埋込深さ(cm) この場合における柱脚部の0〜a間での回転剛性Kは
引張接合と同様の理論式(2)に示すようにアンカーボ
ルト4に張力を導入しない場合の(1+α)倍のものが
得られる。この場合,αはアンカーボルト4とコンクリ
ート基礎8とのバネ定数比で(3)式で与えられる。
K=(1+α)K0 ……(2) Ac:コンクリート基礎の有効断面積(cm2) Ab:アンカーボルトの断面積(cm2) n :アンカーボルトとコンクリート基礎とのヤング係数
比 (1+α)の値は,一般に使用されるSS41材等のアンカ
ーボルト4では,約5〜6となり,第33図における0〜
a間ではアンカーボルト4に張力を導入することで,大
幅に高い回転剛性が得られることになる。ところが,第
33図におけるa〜b間では,柱脚金物10の底面10aがコ
ンクリート基礎8の上面8aより離間すると,アンカーボ
ルト4は張力を導入しない場合と同じ単純引張りの状態
に変化するので,回転剛性は(1)式のK0と同値とな
り,0〜a間の値を下まわる。
ここで建築業界では一般に,柱脚部の許容耐力は柱脚
部全体の降伏点の値をもって定めているので,柱脚部の
許容耐力は第33図中のMy(アンカーボルト4が降伏する
曲げモーメント)の値となる。従って柱脚部の許容耐力
がMyであり,離間モーメントMsがMyを下まわる場合は,
柱脚部の回転剛性をK′としてしか評価せざるをえず,
高い回転剛性Kを確保することが困難となる。また逆に
高い回転剛性Kを保証するためには,柱脚部の許容耐力
をMyからMsに下げて評価せざるを得なくなり,耐力的な
デメリットが生じる。
それゆえに高い回転剛性Kを保証し,本来柱脚部が保
有する高い許容耐力Myを確保するためには,MsをMyと同
値とすればよい。
ところで離間モーメントMsは,アンカーボルト4への
導入張力の値に関係し,(4)式で与えられる。
Ms≒To・l ……(4) To:アンカーボルトの導入張力の値(t/cm2) l:アンカーボルト間距離(cm) また柱脚部の許容耐力は,(5)式によって与えられ
る。
My≒y・l=σy・AB・l ……(5) Ty:アンカーボルト降伏引張力(t/cm2) σy:アンカーボルト降伏応力度(t/cm2) それゆえに,Ms=MyとするためにはTo=Ty=σy・AB
とすればよく,これがアンカーボルト4の性能を許容耐
力的にもまた回転剛性的にも最大限に発揮する方法であ
る。
従って基本的には,アンカーボルト4への導入張力を
付与する効果は,アンカーボルト4の降伏応力度の0〜
1倍までの間で発生する。
ところが,アンカーボルト4の導入張力はコンクリー
ト基礎8の乾燥収縮およびクリープによって解除される
ことが従来からわかっている。
発明者らが行ったアンカーボルト張力除荷試験結果を
第35図に示す。第35図はアンカーボルト4の張力の経時
変化(所定時間経過後の張力Tと初期導入張力Toとの
比)を調査したもので,柱脚金物10,鉄骨柱18,コンクリ
ート基礎8,アンカーボルト4で構成された,後記の第38
図および第39図に示すような実際の鉄骨建築物の鉄骨柱
脚に相当する供試体(後記表のNo.5の供試体)により行
ったものである。
この実験により,アンカーボルト4の導入張力が前記
σyの近傍では,アンカーボルト4の応力解除に一定の
規則性があることを発見した。すなわち,通常使用され
る打設後4週間以上経過したコンクリート基礎8のアン
カーボルト4に張力を導入した場合,応力解除が約4日
で安定し,約20%になる。このことは,当業者らが通常
経験している,コンクリート基礎8を打設し上記期間経
過後,アンカーボルト4を増締めする量とよく合致して
いる。
従って,上記実験結果から,アンカーボルト4にσy
の20%増の1.2σyの導入張力を付与しておけば,経時
変化後最終的にその値が1.0σyとなり理想的である。
従って,本実施例においては1.2σyを導入張力の上限
値とした。
また本実施例によるアンカーボルト4の導入張力の下
限値は以下の理由によって,0.15σyとした。すなわ
ち,アンカーボルト4の導入張力が0の場合は,柱脚部
は第36図に示すようなスリップ型となることは数多くの
実験結果から明らかであり,柱脚部に発生する曲げモー
メントが正負逆転するところでは,柱脚部に大きな曲げ
モーメントが発生しなくても,柱脚部が大幅に回転変形
を起こす形態となる。そしてこれが上部構造に悪影響を
及ぼすことにつながることは周知の事実である。ここで
柱脚部を第37図に示すような良好な性能(紡鐘形の復元
力特性)を有するものにするためには,アンカーボルト
4に導入張力の完全な解除を起こさせないことが必要条
件である。すなわち,アンカーボルト4の導入張力が,
0.1〜0.2σyの低いレベルでは,アンカーボルト4の応
力解除は,コンクリート基礎8の乾燥収縮によるものが
約0.05σy,コンクリート基礎8のクリープによるものが
約0.02σyとなり,合計約0.07σyの応力解除が起こる
ことを発見した。従って安全率を約2とし導入張力(応
力度)を最低0.15σyに設定すれば,経時的にアンカー
ボルト4の導入張力は完全には解除されず(0.08σy残
る),柱脚部の性能も第37図に示す良好な性能を確保で
きる。
従って本実施例においては,アンカーボルトの導入張
力(応力度)の下限値を0.15σyとした。
第38図および第39図は各々本発明の第19実施例におけ
る供試体を示す平面図および縦断面正面図である。この
ような供試体について柱脚部の回転剛性を測定した結果
を表に記載した。表中のKoはアンカーボルト4に張力を
導入しない場合,すなわち,従来の柱脚部構造の回転剛
性であり,Kはアンカーボルト4に張力を導入した本発明
による柱脚部構造の回転剛性である。
表からわかるように,本実施例における柱脚部の回転
剛性Kは,従来のものの回転剛性Koの5〜6倍であり,
極めて高いものである。
なお,本実施例における柱脚部において,鉄骨柱18と
接合する柱脚金物10に突出部13を設けたのは,鉄骨柱18
との溶接時の歪を柱脚金物10の底面10aに及ぼさないよ
うに考慮したものである。
また基部から端部にかけて勾配を設けて,基部を中高
にしているのでは,アンカーボルト4の導入張力の効果
を,コンクリート基礎8の全域に与えるためのものであ
る。
しかして,柱脚金物10としては,例えば特公昭51−47
963号,同52−13642号,同52−43330号,同56−30425号
等の各公報に記載された柱脚金物を用いると上記の効果
を十分に発揮させることができる。
上記のようにアンカーボルト4への導入張力(応力
度)を0.15〜1.2σyの値に設定したので,アンカーボ
ルト4の性能を許容耐力的に最大限発揮することがで
き,しかも柱脚部の回転剛性も高く評価できる。また,
地震時等の正負繰り返し応力(柱脚部に発生する曲げモ
ーメント)に対しても,良好な性能(紡鐘形復元力特
性)を確保できる。またさらに,柱脚部の力学的メカニ
ズムを単純化することにより,柱脚部の性能(回転剛性
および耐力)を正確に把握でき,建築物の安全性を高め
ることができる。
第40図は本発明の第20実施例におけるアンカーボルト
組立体を示す一部断面図である。これはアンカーボルト
4と,その上端ねじ部4aに螺着されるナット6と,被締
結体(図示せず)との間に介在する平座金22と,アンカ
ーボルト4の下端ねじ部4bに螺着される一対のナット59
a,59bと,ナット59a,59bにより固定される定着板5とか
らなる。
アンカーボルト4は,引張強さが50〜70kg/mm2の材質
からなり,具体的にはSS50,SS55,SR30,SRR40,SD30,SD3
5,SD40,SD50,S30C,S35C,S40C,S45C,S50C,S55Cからな
る。平座金22は,溶接構造用鋼材からなり,具体的には
SM50又はSMA50からなる。平座金22の外径はアンカーボ
ルト4のねじ外径の1.73倍以上で,厚さはアンカーボル
ト4のねじ外径の0.13倍以上である。また内径はアンカ
ーボルト4のねじ外径とねじ外径+2mmとの間に設定す
るのが好ましい。またナット6はアンカーボルト4と同
じ材質で形成するのが好ましい。
なおナット6を一般構造用鋼材および溶接構造用鋼
材,例えばSS41,SM41およびSMA41の何れかの材質として
もよい。またナット6の高さをアンカーボルト4のねじ
部外径の約0.92〜1.40倍としてもよい。
上記の構成により,アンカーボルト4には50〜70kg/m
m2の高い引張強さを期待できると同時に,平座金22がSM
50又はSMA50の材質であることから,平座金22と前記柱
脚金物10との良好な溶接が可能であるため,柱脚部に高
いせん断耐力Qaを確保できる。これにより,鉄骨柱18に
発生したせん断力Qを,柱脚金物10,平座金22及びアン
カーボルト4,を介してコンクリート基礎8にスムーズに
伝達できる。
また上記構成の平座金22を用いると全周隅肉溶接がで
きる。この場合,平座金22の外径寸法がアンカーボルト
4のねじ外径の1.73倍以上で,厚さがアンカーボルト4
のねじ外径の0.13倍以上であると,以下の計算からわか
るように,アンカーボルト4の全強のせん断耐力BQaを
カバーすることができる。
(1)アンカーボルトの全強せん断耐力BQa d:アンカーボルトねじ外径 f1:アンカーボルト降伏点≒2.8t/cm2 (2)平座金全周の隅肉溶接部のせん断耐力wQa D:平座金の外径≧1.73d t:平座金の厚み f2:隅肉溶接部の許容引張応力度 =3.3t/cm2 (3)平座金全周の隅肉溶接部のせん断耐力wQaがアン
カーボルトの全強せん断耐力BQaより大きくなる条件B Qa≦wQa ∴0.95d2≦7.3td ∴t≧0.13d さらに本発明の好ましい一実施例によれば,平座金22
は,その内径がアンカーボルト4のねじ外径とアンカー
ボルト4のねじ外径+2mmとの間にあるので,柱脚部に
作用するせん断力Qにより柱脚部が水平方向にずれて
も,その量は最大4mmである。従って第41図に示すよう
に,その時の建築物の1階分の鉄骨柱18の水平方向の変
位量δを1階分の高さHで割った層間変形角 は,1階分の高さHを一般的な数値である3500mmに仮定す
ると,約1/875で,現在の法的基準である1/200を十分に
満足する範囲に入る。
また前記のようにナット6を他の材質で形成した場合
には,耐力的にはアンカーボルト4と同等の性能を付与
することができると共に,平座金22と全周溶接できると
いう利点がある。このナット6は溶接できる材質である
ため,機械的性質(降伏点,引張強さ)の低いものであ
るが,JISに定められた標準的なナット(アンカーボルト
4と同材質)と同等のねじ部その他の強度を有するよう
に,アンカーボルト4と同材質のJISで定められたナッ
トの高さの1.15〜1.75倍の高さを有する。
数値の裏付は,以下のとおりである。
(1)アンカーボルトと同材質のナットのねじ部強度Ta S:アンカーボルトと同材質のナットのねじ山強度 n:アンカーボルトと同材質のナットのねじ山数 hn:アンカーボルトと同材質のナットのJISで定められた
高さ p:アンカーボルトと同材質のナットのねじピッチ (2)一般構造用鋼材等によるナットのねじ部強度Ta′ S′:ナットのねじ山の強度 n′: 〃 のねじ山数 hn′: 〃 の高さ p: 〃 のねじピッチ(上記(1)のピッチと同じ) (3)一般構造用鋼材等のナットとアンカーボルトと同
材質のナットとのねじ部強度が同等となる条件 ここで はアンカーボルトと一般構造用鋼材等によるナットの降
伏点との比で,本実施例による組合わせでは1.15〜1.75
となる。
∴1.15hn≦hn′≦1.75hn 上記のようなアンカーボルト組立体を用いて平座金22
と柱脚金物10,平座金22とナット6とをそれぞれ全周隅
肉溶接して使用すれば,柱脚部にアンカーボルト4の全
強のせん断耐力Qaを確保できると同時に,ナット6のゆ
るみをも防止できる。
上記のようなアンカーボルト組立体を,被締結体を締
結することを目的として組合わせ,鉄骨建築物の柱脚部
に用いれば,以下の効果が期待できる。
(1)柱脚部の曲げ耐力Maとせん断耐力Qaを同時に増大
することができる。(アンカーボルトには50〜70kg/mm2
の引張強さを確保すると同時に,そのアンカーボルトの
全強のせん断耐力BQaも確保できる)。
(2)50〜70kg/mm2の引張強さのアンカーボルトのゆる
み止めが可能となる。
〔発明の効果〕
本発明は以上記述のような構成および作用であるか
ら,下記のような効果を期待できる。
(1)アンカーボルトフレーム若しくは保持具は建方現
場に部材を運搬して組立てることができるため,運搬が
容易であるほか,組立てに際しても精度が得られるの
で,アンカーボルトとの位置決め精度が向上する。
(2)構成部材数が少なく全体の構造が簡素であるので
コンクリート基礎中に配設する鉄筋との干渉が低減され
る。
(3)コンクリート基礎打設の際のコンクリートの流れ
による圧力による変形が殆どなくアンカーボルトの高精
度な芯出しが可能である。
(4)アンカーボルトと上部形板とが,アンカーボルト
被覆スリーブを介さずに連結されるため,アンカーボル
トの固定精度が向上する。
(5)柱脚金物の底板部外周にマークを予め設けたもの
を使用することにより,柱脚金物にアンカーボルト用の
穴を加工する際に,けがき作業を省略することができ,
柱脚金物の製造時の原価を低減できる。
(6)突出部にもあらかじめマークを設けておけば,鉄
骨柱と柱脚金物とを溶接接合する際の鉄骨柱脚部の加工
において,柱脚金物の突出部の外周に鉄骨柱の中心を示
すけがき作業が省略でき,鉄骨柱接合時の工数低減がは
かれる。
(7)さらに,鉄骨柱脚部を基礎上に設置する現場作業
において,コンクリート基礎上に設けられた鉄骨柱の中
心を示すけがきに底板部のマークを合わせることにより
容易に位置決めすることができ,建方現場での工数の低
減がはかられる。
(8)柱脚金物の突出部の外形輪郭内に上下方向に貫通
する穴を設けることにより,柱脚金物とコンクリート基
礎との間にモルタルを注入充填する際における空気の密
閉を回避し,これに起因する空洞の発生を完全に防止す
ることができる。従ってモルタルは柱脚金物の底面に完
全に密着し,柱脚構造に要求される耐震性能を大幅に向
上させ得る。
(9)アンカーボルトへの導入張力(応力度)を0.15〜
1.2σyの値に設定することにより,アンカーボルトの
性能を許容耐力的に最大限発揮することができ,しかも
柱脚部の回転剛性を高く評価できる。
(10)地震時等の正負繰り返し応力(柱脚部に発生する
曲げモーメント)に対しても,良好な性能(紡鐘形復元
力特性)を確保できる。
(11)柱脚部の力学的メカニズムを単純化することによ
り,柱脚部の性能(回転剛性および耐力)を正確に把握
でき,建築物の安全性を高めることができる。
(12)柱脚金物とナットとの間に所定寸法の平座金を介
装させることにより,柱脚部の曲げ耐力とせん断耐力を
同時に増大させ得る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施例におけるアンカーボルトの
保持状態を示す要部正面図,第2図は第1図におけるE
−E線断面図,第3図は本発明の第2実施例におけるア
ンカーボルトの保持状態を示す要部正面図,第4図は第
3図におけるF−F線断面図,第5図は本発明の第3実
施例における形板を示す平面図,第6図および第7図は
各々第5図におけるG−G線断面図およびH−H線断面
図,第8図はアンカーボルトを形板に挿入した状態を示
す要部拡大断面図,第9図および第10図は各々本発明の
第4実施例および第5実施例における形板を示す平面
図,第11図および第12図は各々本発明の第6実施例およ
び第7実施例における形板を示す平面図,第13図は本発
明の第8実施例における形板を示す平面図,第14図およ
び第15図は各々第13図におけるI−I線断面図およびJ
−J線断面図,第16図および第17図は各々本発明の第9
実施例における形板を示す要部平面図および横断面図,
第18図は本発明の第10実施例における形板を示す平面
図,第19図は第18図におけるK−K線断面図,第20図お
よび第21図は各々本発明の第11実施例におけるアンカー
ボルト保持具を示す要部正面図および同平面図,第22図
は第20図におけるL−L線断面図,第23図および第24図
は各々本発明の第12実施例におけるアンカーフレームを
示す要部正面図および要部平面図,第25図は本発明の第
13実施例における柱脚金物を加工治具に載置した状態を
示す斜視図,第26図は本発明の第13実施例を示す斜視
図,第27図および第28図は各々本発明の第14実施例およ
び第15実施例における柱脚金物を示す斜視図,第29図お
よび第30図は各々本発明の第16実施例を示す要部縦断面
図および一部横断面平面図,第31図は本発明の第17実施
例を示す一部横断面平面図,第32図は本発明の第18実施
例におけるモルタル部分を示す平面図,第33図は本発明
の第19実施例における柱脚部構造の外力に対する回転変
形の挙動を示す図,第34図は同じく回転変形の模式図,
第35図は本発明の第19実施例におけるアンカーボルトの
張力の経時変化を示す図,第36図はアンカーボルトに張
力を導入した従来の柱脚部構造における復元力特性図,
第37図は本発明の第19実施例における復元力特性図,第
38図および第39図は各々本発明の第19実施例における供
試体を示す平面図および縦断面正面図,第40図は本発明
の第20実施例におけるアンカーボルト組立体を示す一部
断面図,第41図は本発明の第20実施例における建築物の
層間変形を示す図,第42図は従来のアンカーボルトの固
定装置の一例を示す要部正面図,第43図および第44図は
各々第42図におけるアンカーボルト上端部における上部
形板との関係を示す要部拡大縦断面図,第45図は従来の
柱脚金物の一例を示す斜視図,第46図は第45図に示す柱
脚金物の底面にけがいた夫々の中心線を示す図,第47図
は第45図に示す柱脚金物を使用して鉄骨柱をコンクリー
ト基礎に固定した状態を示す正面図,第48図は第47図に
示す柱脚部構造に対応する要部縦断面図,第49図はモル
タルの型枠内における流動状態を示す説明図,第50図は
柱脚部構造に作用する外力を説明するための図,第51図
は従来の柱脚金物に平座金を溶接した状態を示す要部拡
大縦断面図である。 4:アンカーボルト,7:捨てコンクリート,8:コンクリート
基礎,10:柱脚金物,12:底板部,13:突出部,18:鉄骨柱,20:
中心部モルタル,30:形板,45,46:マーク。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 勇 福岡県北九州市若松区北浜1丁目9番1 号 日立金属株式会社若松工場内 (72)発明者 伊藤 倫夫 福岡県北九州市若松区北浜1丁目9番1 号 日立金属株式会社若松工場内 (72)発明者 佐藤 邦昭 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (72)発明者 中村 嘉宏 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (72)発明者 富田 昭夫 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (72)発明者 山田 俊一 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (72)発明者 前田 祥三 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−150630(JP,A) 特開 昭59−150830(JP,A) 特開 昭63−51541(JP,A) 実開 昭62−194807(JP,U) 実開 昭63−165339(JP,U) 実開 昭57−12444(JP,U) 実開 昭60−63604(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04B 1/24 E02D 27/00

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄骨柱と、この鉄骨柱の脚部端面の輪郭と
    対応する平面形状に形成した突出部と平板状に形成した
    底板部とからなる柱脚金物とを一体に接合すると共に、
    前記柱脚金物とコンクリート基礎とを、予めコンクリー
    ト基礎上に設けた中心部モルタルと柱脚金物の設置後に
    注入するモルタルとを挟持し、かつコンクリート基礎中
    に埋設してなるアンカーボルトとナットとを介して接合
    してなる柱脚部構造において、捨てコンクリート上に突
    設した支持部材の上端部に水平支持部材を固着し、この
    水平支持部材上に、上下端にねじ部を設けてなるアンカ
    ーボルトの上下端部に各々上部形板および下部形板をナ
    ットを介して固着して形成したアンカーボルトフレーム
    を固着し、上端ねじ部を除いてアンカーボルトフレーム
    をコンクリート基礎中に埋設したことを特徴とする柱脚
    部構造。
  2. 【請求項2】支持部材の下端部を捨てコンクリート内に
    埋設した請求項(1)記載の柱脚部構造。
  3. 【請求項3】支持部材を固定ボルトを介して捨てコンク
    リート上に固定した請求項(1)記載の柱脚部構造。
  4. 【請求項4】水平支持部材と下部形板とをボルト・ナッ
    トを介して固着した請求項(1)ないし(3)何れかに
    記載の柱脚部構造。
  5. 【請求項5】水平支持部材と下部形板とを溶接によって
    固着した請求項(1)ないし(3)何れかに記載の柱脚
    部構造。
  6. 【請求項6】上部形板および/または下部形板のアンカ
    ーボルトの軸線と平行な断面における高さ寸法を構成部
    材の厚さ寸法より大に形成した請求項(1)ないし
    (5)何れかに記載の柱脚部構造。
  7. 【請求項7】アンカーボルト挿入用の穴周辺の高さ寸法
    を他の部位の高さ寸法より大に形成した請求項(6)記
    載の柱脚部構造。
  8. 【請求項8】鉄骨柱と、この鉄骨柱の脚部端面の輪郭と
    対応する平面形状に形成した突出部と平板状に形成した
    底板部とからなる柱脚金物とを一体に接合すると共に、
    前記柱脚金物とコンクリート基礎とを、予めコンクリー
    ト基礎上に設けた中心部モルタルと柱脚金物の設置後に
    注入するモルタルとを挟持し、かつコンクリート基礎中
    に埋設してなるアンカーボルトとナットとを介して接合
    してなる柱脚部構造において、捨てコンクリート上に突
    設した支持部材の上端部に水平支持部材を固着し、この
    水平支持部材上に、上部形板と下部形板とを複数個の連
    結部材を介して一体的に固着して形成した保持具を固着
    し、上下端にねじ部を設けてなるアンカーボルトを前記
    保持具を形成する上部形板および下部形板に各々設けた
    挿通穴を介して保持し、前記保持具と共に上端ねじ部を
    除いてアンカーボルトをコンクリート基礎中に埋設した
    ことを特徴とする柱脚部構造。
  9. 【請求項9】上部形板および下部形板と連結部材とをボ
    ルト・ナットを介して固着した請求項(8)記載の柱脚
    部構造。
  10. 【請求項10】水平支持部材と保持具とをボルト・ナッ
    トを介して固着した請求項(8)若しくは(9)記載の
    柱脚部構造。
  11. 【請求項11】水平支持部材と保持具とを溶接によって
    固着した請求項(8)若しくは(9)記載の柱脚部構
    造。
  12. 【請求項12】柱脚金物の底板部の外周に柱脚金物の中
    心を示すマークを予め設けた請求項(1)ないし(11)
    何れかに記載の柱脚部構造。
  13. 【請求項13】柱脚金物の突出部の横断面内形輪郭の一
    部若しくは全部によって包囲される領域内に柱脚金物を
    上下方向に貫通する穴を1個若しくは複数個設けた請求
    項(1)ないし(12)何れかに記載の柱脚部構造。
  14. 【請求項14】中心部モルタルに水平方向に貫通する溝
    を1個若しくは複数個設けた請求項(13)記載の柱脚部
    構造。
  15. 【請求項15】中心部モルタルの平面形状をモルタルの
    流線に対応する形状とした請求項(13)記載の柱脚部構
    造。
  16. 【請求項16】鋳造または鍛造製の柱脚金物の底板部の
    肉厚を突出部と接する基部から端部に向かって漸次減少
    させて形成し、軸方向不拘束状態でコンクリート基礎中
    に埋設したアンカーボルトに降伏点の0.15〜1.2倍の引
    張力を付与させて接合した請求項(1)ないし(15)何
    れかに記載の柱脚部構造。
  17. 【請求項17】柱脚金物とナットとの間に溶接構造用鋼
    材からなる平座金を介装させると共に、平座金の外径お
    よび厚さを各々アンカーボルトのねじ部の外径の1.73倍
    以上および0.13倍以上に形成し、アンカーボルトを引張
    り強さ50〜70kg/mm2を有する材料によって形成した請求
    項(1)ないし(16)何れかに記載の柱脚部構造。
  18. 【請求項18】鋳造または鍛造製の柱脚金物の底板部の
    肉厚を突出部と接する基部から端部に向かって漸次減少
    させて形成すると共に、底板部の外周に柱脚金物の中心
    を示すマークを予め設け、突出部の横断面内形輪郭の一
    部若しくは全部によって包囲される領域内に柱脚金物を
    上下方向に貫通する穴を1個若しくは複数個設け、軸方
    向不拘束状態でコンクリート基礎中に埋設したアンカー
    ボルトを引張り強さ50〜70kg/mm2を有する材料によって
    形成すると共に降伏点の0.15〜1.2倍の引張力を付与さ
    せて接合し、柱脚金物とナットとの間に溶接構造用鋼材
    からなる平座金を介装させると共に、平座金の外径およ
    び厚さを各々アンカーボルトのねじ部の外径の1.73倍以
    上および0.13倍以上に形成した請求項(1)若しくは
    (8)記載の柱脚部構造。
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