JP2939554B2 - 電磁調理具 - Google Patents

電磁調理具

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JP2939554B2
JP2939554B2 JP6005481A JP548194A JP2939554B2 JP 2939554 B2 JP2939554 B2 JP 2939554B2 JP 6005481 A JP6005481 A JP 6005481A JP 548194 A JP548194 A JP 548194A JP 2939554 B2 JP2939554 B2 JP 2939554B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電磁調理器の加熱コイ
ルによって誘導加熱を受ける電磁調理具に関し、特に、
渦巻状の導線からなる加熱コイルを指向する面部が均一
に加熱される構造の電磁調理具に関する。
【0002】
【従来の技術】電磁調理器は、リッツ線等の導線を中心
より外周に向かって円形や角形に渦巻状に密接巻回した
平形の加熱コイルと、この加熱コイルと平行に配された
非磁性・電気絶縁性のトッププレートとを有し、このト
ッププレートの上に調理容器や調理板等の電磁調理具を
載せて誘導加熱を行うものである。調理容器は例えば鍋
やフライパンであり、これらはそれぞれ、磁性ステンレ
ス、鉄ホーロー、鋳鉄、チタニウム合金、これらの多層
金属等から成る。また、調理板としては、例えば鉄板、
磁性ステンレス板、チタニウム合金等が挙げられる。ト
ッププレートは非磁性材で形成するのが通常であるが、
最近は、このトッププレートそのものを鉄や磁性ステン
レス等からなる調理板として用い、直接誘導加熱するこ
とも行われている。
【0003】図11(a)は、上記電磁調理器の要部側
面図であり、加熱コイル32に高周波電流を流し、この
ときに発生する高周波磁界によって、トッププレート3
1上の調理容器30を誘導加熱する様子を示してある。
ここに、加熱コイル32は上述のような平形渦巻状のも
のであり、トッププレート31は、高周波磁界の影響を
受けない非磁性材からなる。また、鉄板や磁性ステンレ
ス板、チタニウム合金板又はこれらの多層板で形成した
トッププレート31’を調理板として使用する場合の電
磁調理器の構造例を図11(b)に示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、渦巻状導体
からなる加熱コイル32を用いた従来の電磁調理器で誘
導加熱を行うと、加熱コイル32の中心部及び周縁部の
磁束鎖交数が中間部の磁束鎖交数に比べて相対的に少な
くなる。そのため、加熱コイル32を指向する調理容器
30の面部の中心部及び周縁部における加熱が不十分に
なる一方、逆にその中間部が異常に加熱される。特に、
中心部における加熱が弱い。
【0005】例えば、図11(a)の例では、図下段に
示すように、中心部Cや周縁部Pの温度が中間部Mにお
ける最高温度に比べて約120℃の差が生じている。図
11(b)の場合も全く同様の傾向となる。このよう
に、従来の電磁調理具は、加熱温度にムラが生じ、均一
な加熱温度が要求される調理用には適さない問題点があ
った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解消するため、渦巻状の加熱コイルを指向する電磁調理
具の面部に、スリット部が形成された環状の導電板(カ
レントトランス板)を設け、該面部の加熱温度を均一化
するものである。
【0007】即ち、第一発明の電磁調理具は、渦巻状の
導線からなる電磁調理器の加熱コイルを指向する面部
に、外周縁と内周縁とを結ぶスリット部を少なくとも1
つ形成した銅製の環状導電板を電気絶縁材を介して装着
、前記加熱コイルの通電時に前記導電板と平行に置か
れた発熱体を発熱させることを特徴とする。
【0008】第二発明の電磁調理具は、上記第一の発明
の構成において、径の異なる複数の前記環状導電板を同
一平面内の同心上にそれぞれ所定間隔で配し、各環状導
電板を、電気縁材を介して前記面部に装着したことを
特徴とする。
【0009】第三発明の電磁調理具、上記第二の発明の
構成において、各導電板のスリット部を、径方向に隣設
する他の導電板のスリット部と相対的に異なる部位に形
成したことを特徴とする。
【0010】第四発明の電磁調理具は、渦巻状の導線か
らなる電磁調理器の加熱コイルを指向する面部に、所定
間隙をもって平形渦巻状に一体形成してなる所用幅の導
電板を電気絶縁材を介して装着したことを特徴とする。
【0011】第五発明の電磁調理具は、渦巻状の導線か
らなる電磁調理器の加熱コイルを指向する面部に、中心
孔部から周縁部方向に複数のスリット部を放射状に形成
するとともに少なくとも1つのスリット部を外周縁と結
んだ銅製の導電板を電気絶縁材を介して装着し、前記加
熱コイルの通電時に前記導電板と平行に置かれた発熱体
を発熱させることを特徴とする。
【0012】第六発明の電磁調理具は、上記第五発明の
構成において、更に、前記銅製の導電板の外周縁の所定
部位から中心孔部方向にスリット状切り欠き部を形成し
たことを特徴とする。
【0013】
【作用】第一発明に係る電磁調理具において、環状導電
板が電磁調理器側の渦巻状の加熱コイルと略平行に置か
れた状態では、該加熱コイルからの高周波磁界によって
環状導電板に誘導電流が流れる。この誘導電流のうち、
環状導電板の外周縁に沿って流れる電流は、スリット部
により遮断されるため、該スリット部付近の端部で向き
を変え、他方の周縁部方向に流れる(図1(b)におい
て電流I3)。この場合、環状導電板の内周縁に沿って
流れる電流は、上記外周縁に沿う誘導電流と逆向きであ
り、しかも中心部付近に集中的に流れる。この電流によ
って環状導電板の中心部近傍の磁界が相対的に強くな
る。その結果、加熱コイルを指向する面部の中心部が中
間部よりも相対的に強く加熱され、上記面部における温
度差が小さくなる。
【0014】また、第二発明に係る電磁調理具では、各
環状導電板の外周縁を流れる誘導電流は、加熱コイルの
高周波電流を相殺する向きに流れ、他方、内周縁を流れ
る電流は高周波電流を強めるように作用する。従って、
それぞれの環状導電板の幅(径方向の長さ)及びその配
設間隔を適当に選定することで、加熱コイルを指向する
面部における誘導加熱の温度分布を調節することができ
る。
【0015】なお、第三発明のように、複数の環状導電
板に形成されるスリット部の位置がそれぞれ相対的に異
なるようにする構成では、一の環状導電板の内周縁又は
外周縁に電流の流れる向きと隣設の環状導電板の外周縁
又は内周縁に流れる電流の向きが常に逆になり、急激な
温度上昇又は下降が抑制され、電磁調理具における誘導
磁界がより均一になる。
【0016】第四発明の電磁調理具では、渦巻状の各導
電板要素が一体に形成され、誘導電流が複合的に作用し
合ってその中心部近傍に流れ込むので、当該部位の誘導
磁界が上記第二及び第三発明の場合と同様、相対的に強
まり、加熱コイルを指向する面部の均一な加熱が可能に
なる。
【0017】第五発明の電磁調理具では、導電板の周方
向に流れる誘導電流は、外周縁と中心孔部とを結ぶスリ
ット部により遮断されて導電板をさらに周方向に循環で
きないため、該スリット部付近の端部で向きを変え、中
心孔部方向に流れる。この電流は、更に、放射状に形成
された各スリット部周辺の端部に沿って流れるが、導電
板の中心孔部から外周縁に向かう電流及びその逆方向の
電流は、上記加熱コイルの高周波電流による誘導磁界を
相殺しないので、中心孔部周辺の誘導磁界のみが相対的
に強くなる。従って加熱コイルを指向する面部の均一な
加熱が可能になる。
【0018】更に、第六発明の電磁調理具では、導電板
の外周縁を周方向に流れる上記誘導電流が、各スリット
状切り欠き部付近の端部で順次方向を変えながら循環す
る。従って、この切り欠き部の数を適当に変えることで
外周縁付近の磁界の強さを調節することが可能になる。
【0019】
【実施例】次に本発明の電磁調理具の実施例として、調
理容器の場合を中心に図面を参照して詳細に説明する。 (第1実施例)図1(a)は本発明の第1実施例に係る
調理容器1の側部断面図であり、その底面部に電気絶縁
部材2で被膜された環状導電板3を装着してなる。使用
時には、図示するように、この環状導電板3が電磁調理
器の加熱コイル32を指向するようにし、非金属材のト
ッププレート31上に載置される。加熱コイル32は、
従来と同様、リッツ線等の導線を平形渦巻状に多数巻回
して構成されるものである。
【0020】図1(b)は、環状導電板3と加熱コイル
32のみを平面図に示したものである。図示するよう
に、この実施例で用いる環状導電板3は、銅板等で作ら
れた導電体円板の中心部を円形にくり抜いた環状板に、
外周縁と内周縁とを結んでこれらの間の電気的接続を遮
断するスリット部4を形成したものである。
【0021】このような構造の調理容器1では、図1
(b)において、加熱コイル32に高周波電流I1を流
すと該加熱コイル32のコイル面に誘導磁界が発生する
が、同時に、その底面部に位置する環状導電板3に誘導
電流が発生する。
【0022】この誘導電流のうち、環状導電板3の外周
縁を流れる第一の誘導電流I2は、加熱コイル1の高周
波電流I1と反対方向となるが、スリット4部で遮断さ
れるために環状導電板3全体を一巡することができな
い。このため、スリット部4の付近に集められた大電流
である第二の誘導電流I3が、環状導電板3の内周縁
を、第一の誘導電流I2とは逆向きに、つまり加熱コイ
ル32の高周波電流I1と同じ方向に流れるようにな
る。この場合、第一の誘導電流I2は、加熱コイル32
の高周波電流I1と逆向きであるために相殺される。よ
ってこの部分において誘導加熱することはできないが、
環状導電板3の内周縁付近では、高周波電流I1と第二
の誘導電流I3とが同じ方向となるため、これらの電流
によって発生する磁界が強め合い、導電板3の内周縁付
近には大きな誘導磁界が発生する。
【0023】つまり、結果的には、環状導電板3の幅の
コイル電流分が集合してその内周縁付近に高周波磁界が
発生したのと同じ効果を得ることができる。そしてこの
効果を利用して、加熱コイル32において相対的に磁界
が強すぎる中間部の電流の一部を、中心部の磁界の弱い
部分に選択移動させることができ、調理容器1の底面部
(被加熱面)の中心部における加熱温度を上昇させるこ
とができるようになる。
【0024】なお、図1(b)の例は、環状導電板3に
スリット部4を1箇所だけ形成した例であるが、スリッ
ト部4は2か所以上形成するようにしても良い。例えば
図2は、中心部から等間隔に3箇所のスリット部4を形
成した例である。この場合、各誘導電流のうち、外周縁
を流れる第一の誘導電流I2は、上記高周波電流I1によ
り発生する磁界を相殺する方向、内周縁を流れる第二の
誘導電流I2は該磁界を強め合う方向に流れる。
【0025】図3上段は、この実施例の調理容器1の誘
導加熱時における要部断面図である。また図3下段は、
従来の電磁調理器によって、上記調理容器1を空炊きし
た場合の、所定時間加熱した後における表面温度分布の
測定例である。この場合、中心部Cの温度は、図11に
示した従来例における温度分布と比較した場合、中央部
Cの温度が70℃程度上昇していることが判る。なお、
図2の構成の導電板を用いた場合にもほぼ同様の結果を
得た。
【0026】(第2実施例)次に図4を参照して本発明
の第2実施例を説明する。なお、この実施例では、上記
第1実施例と同一機能の構成部品に同一符号を付して説
明する。図4はこの実施例で用いる導電板の構造を説明
する平面図であり、径の異なる複数の環状導電板5,
6,7を、使用時に上記加熱コイル32を指向する調理
容器1の底面部に配設する。その際、電気絶縁部材で被
膜するのは上記第1実施例と同様である。これら環状導
電板5,6,7は、それぞれ第1実施例で説明した環状
導電板4と相似形状であり、外周縁と内周縁とを結ぶス
リット部4を少なくとも1つ形成してなる。
【0027】また、各環状導電板5,6,7は、同一平
面内に同心上に配列されている。つまり、最も中心部に
位置する環状導電板5が、それより径の大きな環状導電
板6の内周付近に電気的接続なしで入っている。またこ
の環状導電板6が、それより径の大きな環状導電板7の
内周付近に電気的接触なしで入っている。
【0028】更に、各環状導電板5,6,7に形成され
るスリット部4は、隣設の他の導電板のスリット部と相
対的に異なる位置に形成される。図示の例では交互に1
80度差をもつ位置に形成した例を示してある。
【0029】このように構成される本実施例の調理容器
では、第1実施例の場合と同様に、各環状導電板5,
6,7の内周縁付近を流れる第二の誘導電流I3によっ
て、それぞれの環状導電板5,6,7の内周縁付近の磁
界がそれぞれ強められる。また、スリット部4が、各環
状導電板の相対的に異なる位置に形成されているから第
一の誘導電流I2と隣設の導電板の第二の誘導電流I3と
がそれぞれ異なる方向に流れ、局部的な磁界の上昇乃至
下降が抑制される。この結果、調理容器の底面部全体の
加熱温度をより均一に調節することができる。
【0030】(第3実施例)図5は本発明の第3実施例
の調理容器の底面に装着される導電板の平面図である。
なお、この実施例においても上記各実施例と同一機能の
構成部品については同一符号を付して説明する。この導
電板は、上記第2実施例で説明した導電板とほぼ同様で
あるが、次の点において異なるものである。即ち、最も
内側に位置しその一端5Aにスリット部4を有する導電
板5の他端5Bが、その外周に位置するより大きな導電
板6の一端6Aに接合され、更に、この導電板6の他端
6Bが、その外周に位置するより大きな導電板7の一端
7Aに接合されている。これにより平形渦巻状導電板を
一体に構成している。
【0031】この実施例では、上記各実施例と同様、実
際の使用時において、第一の誘導電流I2と第二の誘導
電流I3が図示のように流れるが、各導電板(要素)
5,6,7が一体に接合されているため、これら誘導電
流I2,I3が複合的に作用しあって中心部付近の誘導磁
界の強さが相対的に強まり、調理容器の底面部全体をよ
り均一に加熱することができる。
【0032】図6上段は、この実施例による調理容器
1’を誘導加熱する様子を例示したものである。また図
6下段は、本実施例の調理容器1’を第1実施例と同条
件で加熱した場合における、表面温度分布の測定例を示
したものである。図11に示した従来例の温度分布で
は、中心部Cと中間部Mの温度との間の温度差が約12
0℃であったのに対し、本実施例の場合には両者の温度
差が約40℃と改善されており、各段に優れた均一加熱
の効果が得られることが判る。
【0033】(第4実施例)図7は本発明の第4実施例
に係る調理容器の底面部に装着される導電板の平面図で
ある。この導電板8は、上記第3実施例のような3つの
導電板(要素)5,6,7を段階的に接合した形状のも
のに代えて、銅板等をプレス成形する際に、所要幅の導
電板要素をその長さ方向に丸形渦巻状に一体形成したも
のである。このような導電板8を用いることにより、上
記第3実施例と同様に、調理容器の底面部全体を均一に
加熱することができる。
【0034】(第5実施例)図8は、本発明の第5実施
例に係る調理容器の底面部に装着される導電板の平面図
である。この実施例では、その中心孔部9aから周縁部
方向に6つのスリット部4を放射状に形成した導電板9
を用いる。スリット部4の1つは、図示するように、導
電板9の外周縁と結ばれている。なお、外周縁と結ぶス
リット部4の数は複数であっても良く、スリット部の数
も任意で良い。このような導電板9を電気絶縁材で覆っ
て調理容器の底面部に装着する点については上記各実施
例と同様である。
【0035】このような構成の調理容器では、実際の使
用時において、上記各実施例と同様、導電板9の外周縁
付近に上記第一の誘導電流I2が流れる。この第一の誘
導電流I2は、図示するように、外周縁と中心孔部9a
とを結ぶスリット部4付近の端部で向きを変え、中心孔
部9a方向の第三の誘導電流I4、高周波電流I1と同一
方向の第二の誘導電流I3、外周縁方向の第四の誘導電
流I5として順次各スリット部4周辺の端部に沿って循
環する。
【0039】このとき、第二の誘導電流I3は、加熱コ
イル32の高周波電流I1による誘導磁界を強める。他
方、第三及び第四の誘導電流I4,I5は、上記高周波電
流I1による誘導磁界を相殺しないので、中間部付近の
誘導磁界を弱めることがない。結局、中心孔部9a周辺
の誘導磁界のみが相対的に強くなり、電気絶縁材を介し
て装着された調理容器の底面の中心部がその中間部より
も相対的に強く加熱され、全体の加熱温度差が小さくな
る。なお、この導電板9の径方向の大きさは、電磁調理
器の加熱コイルの径、あるいは装着される調理容器の底
面の径に応じて任意に設計することができる。従って既
存の電磁調理器による加熱分布をこの導電板9の寸法を
適当に選定することで容易に調節することが可能にな
る。
【0040】(第6実施例)図9は、本発明の第6実施
例に係る調理容器の底面部に装着される導電板部分の平
面図である。この実施例では、上記第5実施例で説明し
た導電板9を更に改良した導電板10を用いる。即ちこ
の導電板10は、図示するように、その中心孔部10a
から周縁部方向に例えば6つのスリット部4を放射状に
形成し、スリット部4の1つを導電板10の外周縁と結
ぶとともに、その外周縁の所定部位から中心孔部方向に
スリット状の切り欠き部11を形成したものである。切
り欠き部11の数は、5以下あるいは7以上であっても
良い。また、各切り欠き部11は、好ましくは、一対の
スリット部の各周縁部方向の延長線と外周縁との交点を
それぞれ求め、各交点までの距離が等しくなる外周縁の
部位を起点に中心孔部10a方向にスリット状に切り欠
いて形成する。なお、この導電板10を電気絶縁材を介
して調理容器の底面部に装着する点については上記各実
施例と同様である。
【0041】このような導電板10を用いて構成する調
理容器では、導電板10の外周縁を周方向に流れる第一
の誘導電流I2が、各切り欠き部11付近の端部で、そ
れぞれ中心孔部10a方向の第五の誘導電流I6、周縁
部方向の第六の誘導電流I7のように、それぞれ方向を
変えながら循環する。これら第五及び第六の誘導電流I
6,I7は、上述のように加熱コイル22による誘導磁界
を弱めることがない。従って、この切り欠き部11の数
を適当に変えることで外周縁付近の磁界の強さを任意に
調節することが可能になる。
【0042】(第7実施例)図10は本発明を導電性の
トッププレートに適用した場合の側部断面図である。こ
のトッププレート20は、プレート主面部21の背面側
に、電気絶縁部材22で被膜された導電板23を装着し
てなる。この導電板23は、例えば上記第1乃至第6実
施例で用いたものである。使用時には、図示するよう
に、導電板23が加熱コイル32を指向するように、こ
のトッププレート20を電磁調理器の枠体の所定部位に
セッティングする。
【0043】このような構成では、加熱コイル32に高
周波電流を流すことにより、上記第1乃至第6実施例の
場合と同様、導電板23の中心部付近の誘導磁界が相対
的に強まる。従って、トッププレート20の中心部の加
熱温度が図11(b)に示す従来のトッププレート3
1’よりも上昇し、プレート主面部21全体における加
熱温度差が小さくなる。従って、均一な加熱が要求され
る調理に適した導電性トッププレートを実現することが
できる。
【0044】なお、第1〜第7実施例の場合ともに、導
電板3,5〜10,23からの発熱を調理容器への加熱
エネルギーとして利用できるので、経済的にも有利とな
る。また、各実施例において、導電板3,5〜10,2
3を設けることにより、若干のエネルギー損失が存在す
ることが認められるが、この損失はいずれの場合も4〜
5%であり、実用上は全く問題とならない。
【0045】以上、本発明を複数の実施例を示して詳細
に説明したが、本発明は電磁調理器の加熱コイルによっ
て誘導加熱される電磁調理具の面部に導電板を配設した
点に主眼があるので、上記実施例の構成に限定されるこ
となく、その要旨を変更しない範囲で種々の設計変更が
可能である。例えば、第1〜第3実施例では、導電板
3,5〜8は環状の円板であることを前提に説明した
が、角板であっても良い。また環状板の中央部を円形に
くり抜いた例について説明したが、角形にくり抜いても
良い。また第4実施例では渦巻状の導電板9として完全
な丸形渦巻状のものを説明したが、角形渦巻状のもので
も良い。また、第5及び第6実施例では、円形の導電板
について説明したが、角板であっても良く、複数のスリ
ット部4の長さ、配列は適当に選定して良い。更に、各
導電板3〜10は、必ずしも平板構造に限定する必要は
なく、電磁調理器用容器の底面形状等に合わせて適当な
曲げを持たせることも可能である。
【0046】また、第1〜第7実施例は、電磁調理具の
例として調理容器及びトッププレートを挙げて説明した
が、調理板、あるいは同様の用途に用いる磁性容器の場
合も全く同様の説明が成り立つのはいうまでもない。
【0047】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、第一発
明の電磁調理具によれば、導電板によって加熱コイルの
磁界の強度を調節できるため、加熱コイルを指向する被
加熱物の面部の中心部における加熱温度と中間部におけ
る加熱温度との温度差を抑制できる効果がある。これに
より、平形渦巻状の加熱コイルによる誘導加熱の温度分
布が改善され、従来の問題点が解消される。
【0048】また、第二発明のように複数の導電板を同
一平面内の同心上に設けたり、あるいは第三及び第四発
明のように渦巻状の導電板を用いることで、誘導加熱に
よる温度分布をより均一化することができる。第三及び
第四発明では、導電板が一体で構成できるため、その加
工や取付けが容易であるという効果もある。
【0049】更に、第五発明によれば、導電板の中間部
に対応する部位の誘導磁界が相殺されないので、上記被
加熱物の底面部の均一加熱が図れるとともに、電磁調理
器のトッププレート上の位置合わせが容易になる効果も
ある。
【0050】また、第六発明によれば、上記第五発明に
よる効果の他、導電板の外周縁付近に対応する部位の誘
導磁界の強さが任意に調節可能になる効果がある。な
お、電磁調理具は、調理容器や調理板の他、電磁調理器
の導電性トッププレートであっても良く、適用範囲が広
範である。また、いずれの場合も導電板で発生する熱を
そのまま加熱エネルギーとして利用できるので経済的に
も有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1実施例に係る調理容器の
側部断面図であり、(b)はその底面部に設けられる導
電板と加熱コイルの関係を説明する平面図である。
【図2】第1実施例で用い得る他の導電板の平面図であ
る。
【図3】上段は図1の調理容器を誘導加熱する様子を説
明する要部断面図、下段はその場合の容器表面の温度分
布を示したグラフである。
【図4】上段は本発明の第2実施例で用いる導電板の平
面図、下段はそのA−A線断面図である。
【図5】本発明の第3実施例で用いる導電板の平面図で
ある。
【図6】上段は図5の導電板を装着した調理容器を誘導
加熱する様子を説明する要部断面図、下段はその場合の
容器表面の温度分布を示したグラフである。
【図7】本発明の第4実施例で用いる導電板の平面図で
ある。
【図8】本発明の第5実施例で用いる導電板の平面図で
ある。
【図9】本発明の第6実施例で用いる導電板の平面図で
ある。
【図10】本発明の第7実施例に係る導電性トッププレ
ートの側部断面図である。
【図11】(a)上段は従来の電磁調理器により調理容
器を誘導加熱する様子を説明する要部断面図、下段はそ
の場合の容器表面の温度分布を示したグラフであり、
(b)は電磁調理器のトッププレートを導電性部材で形
成した場合のセッティング例を示す要部側面図である。
【符号の説明】
1,1’ 調理容器(電磁調理具) 2,22 電気絶縁部材 3,5〜10,23 導電板 4 スリット部 9a,10a 中心孔部 11 スリット状切り欠き部 20 導電性トッププレート(電磁調理具) 31,31’絶縁性トッププレート 32 電磁調理器の加熱コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 網倉 弘和 東京都調布市柴崎2丁目1番地3 島田 理化工業株式会社内 (72)発明者 西崎 和人 東京都調布市柴崎2丁目1番地3 島田 理化工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−173090(JP,A) 特開 昭62−108488(JP,A) 実開 昭61−1294(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05B 6/12 314

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 渦巻状の導線からなる電磁調理器の加熱
    コイルを指向する面部に、外周縁と内周縁とを結ぶスリ
    ット部を少なくとも1つ形成した銅製の環状導電板を電
    気絶縁材を介して装着し、前記加熱コイルの通電時に前
    記導電板と平行に置かれた発熱体を発熱させることを特
    徴とする電磁調理具。
  2. 【請求項2】 径の異なる複数の前記環状導電板を同一
    平面内の同心上にそれぞれ所定間隔で配し、各環状導電
    板を、電気縁材を介して前記面部に装着したことを特
    徴とする請求項1記載の電磁調理具。
  3. 【請求項3】 各環状導電板のスリット部が、径方向に
    隣設する他の環状導電板のスリット部と相対的に異なる
    部位に形成されていることを特徴とする請求項2記載の
    電磁調理具。
  4. 【請求項4】 渦巻状の導線からなる電磁調理器の加熱
    コイルを指向する面部に、所定間隙をもって平形渦巻状
    に一体形成してなる所用幅の導電板を電気絶縁材を介し
    て装着したことを特徴とする電磁調理具。
  5. 【請求項5】 渦巻状の導線からなる電磁調理器の加熱
    コイルを指向する面部に、中心孔部から周縁部方向に複
    数のスリット部を放射状に形成するとともに少なくとも
    1つのスリット部を外周縁と結んだ銅製の導電板を電気
    絶縁材を介して装着し、前記加熱コイルの通電時に前記
    導電板と平行に置かれた発熱体を発熱させることを特徴
    とする電磁調理具。
  6. 【請求項6】 前記銅製の導電板は、その外周縁の所定
    部位から中心孔部方向にスリット状切り欠き部が形成さ
    れていることを特徴とする請求項5記載の電磁調理具。
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