JP2938019B1 - 鉄骨構造物の接合構造及び接合方法 - Google Patents

鉄骨構造物の接合構造及び接合方法

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JP2938019B1
JP2938019B1 JP10112598A JP10112598A JP2938019B1 JP 2938019 B1 JP2938019 B1 JP 2938019B1 JP 10112598 A JP10112598 A JP 10112598A JP 10112598 A JP10112598 A JP 10112598A JP 2938019 B1 JP2938019 B1 JP 2938019B1
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Abstract

【要約】 【課題】 機能上の問題を生じさせることなくスプライ
スプレートが存在することに起因する施工上の困難性を
回避し、比較的簡単な構造で地震時等破壊荷重が作用し
た場合においても突然の破断が発生することのない鉄骨
構造物の接合構造を提供する。 【解決手段】 H形鋼からなる梁部材40の上フランジ
40bと上ダイアフラム16及び下フランジ40cと下
ダイアフラム12とを直にボルト接合により接合した。
上下ダイアフラム16,12には、少なくとも梁部材4
0のフランジ40b,40cとの接合部に、凸部を形成
するなどの加工を施して、梁部材40を接合する際に上
下ダイアフラム16,12と梁部材40との間の摩擦力
を増加させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄骨構造物におけ
る柱部材と梁部材の接合構造及び接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】大型建築物の構造として、従来より、鉄
骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄
筋コンクリート造(SRC造)等が知られており、構造
物の用途や規模などによってこれらが使い分けられてい
る。この中で、鉄骨造や鉄骨鉄筋コンクリート造は柱や
梁の大部分を工場製作することができ、現場での作業が
少ないため短期間での構築が可能であり、近年多くの現
場で採用されるようになった。
【0003】上記した鉄骨造や鉄骨鉄筋コンクリート造
において特に技術を要するのは、柱部材と梁部材との接
合部であり、一般に仕口と呼ばれる接合部材を用いてそ
の接合が行われている。柱にコラムを用い、梁部材にH
形鋼(ビルトアップH形鋼を含む)を用いた、いわゆる
柱梁接合仕口の形式として、一般に、通しダイアフラム
方式、内ダイアフラム方式、外ダイアフラム方式の3方
式が知られている。
【0004】通しダイアフラム方式は、コラム(柱体)
を梁部材の上下フランジ位置で切断し、この部分にコラ
ム外径よりも40〜50mm大きいダイアフラムを挿入
配置したもので、梁部材のフランジはダイアフラムに溶
接し、また梁部材のウエブはコラムに直接溶接して一体
化する構造である。この方式は、ALC等の外壁との納
まりもよく採用例が多いが、一方、加工上の問題とし
て、コラムを何箇所も切断し、再び1本の柱にする必要
があるため、柱の芯出しが難しく、加工工数が増し、溶
接量も他の方式に比べ多くなるなどの問題を有する。
【0005】一方内ダイアフラム方式は、梁部材せいの
中央付近で一度コラムを切断し、コラムの内側に、梁の
上下フランジの位置でダイアフラムを溶接し、再びコラ
ムを一体化して、これを梁部材に溶接する方式である。
これは上階と下階の柱径が異なる場合は採用できず、ま
た、内ダイアフラムの取付け深さがコラム径を超えると
溶接が困難になるため、梁部材のせいも必然的に制約を
受けるなどの問題を有する。
【0006】また外ダイアフラム方式は、柱貫通方式と
もよばれる方式で、全くコラムを切断することなく、梁
部材のフランジの幅を広げたり、梁部材のフランジ位置
のコラム外面にダイアフラムを取り付けるようにしたも
ので、コラムを切断する必要がないという長所を有する
反面、コラム内側の補強が困難で、また、他の方式に比
べ応力の流れは複雑である。
【0007】図10及び図11は従来の外ダイアフラム
方式による接続構造を示すもので、図10は縦断面図、
図11は平面図をそれぞれ示す。
【0008】同図において、90は中空の柱体、91は
外ダイアフラム方式の接合部材を構成する上ダイアフラ
ム体、92は同じく下ダイアフラム体、93は接続用梁
材、94は接続用梁材93に接続される梁材、95は接
続用梁材93と梁材94をボルト接合するためのスプラ
イスプレート(添え板)である。
【0009】上記構成において、上ダイアフラム体91
及び下ダイアフラム体92は、それぞれ4つの分割プレ
ート91a〜91d、92a〜92dによって構成さ
れ、この分割プレート91a〜91d、92a〜92d
の各々の端面同士、分割プレート91a〜91d、92
a〜92dと柱体90の接合面、及び、接続用梁材93
と分割プレート91a91b,91d,92a,92
b,92dとの接合面はそれぞれ溶接Wによって接合さ
れている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の鉄骨
構造物における梁部材と柱部材の接合には、スプライス
プレート95を使用し、このスプライスプレート95を
上下一対、接続用梁材93と梁材94の間に掛け渡し、
これをボルト接合により接合している。
【0011】このため、スプライスプレート95と接続
用梁材93および梁材94のボルト孔の位置合わせに手
間を要するばかりでなく、部品点数が多くなりこれがコ
ストダウンの一阻害要因となっている。
【0012】一方、阪神大震災における壊滅的な構造物
の破壊を契機として、鉄骨構造物における破壊の状況に
ついて調査研究が行われたが、その結果、特に上記した
外ダアフラム方式の仕口構造においては、梁部材と接合
部材の溶接部からの破断が顕著に認められた。
【0013】鋼材の一接合手段としての溶接は、その技
術の進歩に伴い強度的にもかなりの信頼性を得ているも
のの、依然として職人芸的な要素も強く残っており、ま
た機械化されたものにおいても溶接時に発生する熱によ
り母材自体が弱体化する危険性が残されている。さらに
は、無垢の鋼板と比較した場合、溶接部では依然として
脆性破壊の危険性が高く残されており、このことが地震
発生時における壊滅的な破壊の一因になっていると考え
られる。
【0014】特に図10、図11に示す構造において
は、上ダイアフラム体91及び下ダイアフラム体92
を、それぞれ4つの分割プレート91a〜91d、92
a〜92dによって構成しているため、破壊荷重が作用
するとこの接合部で破断し、上ダイアフラム体91及び
下ダイアフラム体92が一体として作用しない。
【0015】すなわち、連続した一枚板からなる無垢材
料(本明細書においては溶接していない材料の意味に用
いる)の場合、例えば、引張り力が作用するとまず材料
自体の大きな伸びが発生し、最終的に延性破断に至り、
その破壊のメカニズムが予想できるのに対し、溶接によ
る接合部があると、突然引張り破断が発生し、破壊メカ
ニズムの予想は困難である。
【0016】上記したように、地震時における壊滅的な
破壊の一因は、外ダイアフラム方式の場合、ダイアフラ
ムと梁フランジとの接合に用いられた溶接またはダイア
フラムと柱の溶接、さらにはダイアフラム体を構成する
分割プレートの溶接が完全に破断し、これによって梁部
材や柱が落下したことにあると報告されている。したが
って、壊滅的な破壊を防ぎ地震発生時においても人的被
害を防ぐためには、構造材のある程度の変形を許容した
上で、完全な破断による梁部材及び柱の落下を防ぐこと
がなによりも重要であると言える。
【0017】本発明の第一の目的は、機能上なんら問題
を生じさせることなくスプライスプレートが存在するこ
とに起因する施工上の困難性を回避することにあり、第
二の目的は、比較的簡単な構造で地震時等破壊荷重が作
用した場合においても突然の破断が発生することのない
接合構造を提供することにあり、さらに、第三の目的は
施工性に優れた鉄骨構造物における柱体と梁部材との接
合方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、梁と柱の接合構造について基本に立ち
返り鋭意研究の結果、ダイアフラムにボルト接合部
(孔)を形成し、このダイアフラムと梁部材とを直接ボ
ルト接合することを思い付き本発明を完成するに至った
ものである。
【0019】すなわち本発明は、H形鋼からなる梁部材
と柱体とを上下ダイアフラムを有する接合部材で接合す
る鉄骨構造物の接合構造であって、前記梁部材の上フラ
ンジと前記上ダイアフラム及び下フランジと下ダイアフ
ラムとを直にボルト接合により接合したことを特徴とす
る。
【0020】このような接合構造によって、従来柱体と
梁部材の接合に必要であったスプライスプレートを用い
ることなく、従来よりもよりシンプルな構造で柱体と梁
部材の接合が可能となる。また、上下のダイアフラムと
梁部材とのボルトによる接合が可能となり、巨大地震等
のように設計荷重以上の荷重が載荷された際には、従来
の溶接部のように突然破断することなく、ダイアフラ
ム、梁部材のフランジの延性破壊、またボルトの剪断破
壊により破壊することとなる。
【0021】本発明のダイアフラムは、いわゆる外ダイ
アフラム方式や内ダイアフラム方式に特に限定されない
が、外ダイアフラム方式の場合、さらに上記構造に加
え、前記上下ダイアフラムが溶接部を含まない一枚板か
ら構成され、かつ前記接合部材を構成する上下ダイアフ
ラムに前記柱体の全周を包囲する欠切部を有するものと
することが望ましい。
【0022】これによって、従来のように、複数の分割
プレートの端面での破断が無くなり、ダイアフラムが一
体として作用するようになり、結果として破断に対する
耐力が向上する。ここで、「柱体の全周を包囲する切欠
部を形成し」との表現は、一枚板の内部に柱体の外形よ
り若干大きめの切欠を形成することの他、柱体の断面が
矩形の場合、柱体の少なくとも2面が上下ダイアフラム
本体の切欠部端面に溶接接合され、さらにダイアフラム
本体の残る他の端面に溶接接合された鉛直スティフナに
柱体の残る面が溶接又はボルト等により接合された構造
を含む。
【0023】また、前記上下ダイアフラムには、梁部材
であるH形鋼を接合する際にダイアフラムとH形鋼との
間の摩擦力を増加させるために、少なくともH形鋼のフ
ランジとの接合部に、凸部を形成するなどの加工を施す
ことが望ましい。この加工は、ダイアフラムを鋳鋼製と
する場合には鋳造の過程において、例えば逆V字状の小
さい凸部を接合用のボルト孔周辺部に形成するようにし
てもよく、またダイアフラムの材料として鋼板を用いる
場合は、圧延により表面に小さな凸部を形成した鋼板を
用いるようにしてもよい。
【0024】従来のスプライスプレートを使用した接合
方法の場合は、スプライスプレートの両面とダイアフラ
ムまたはH形鋼のフランジとが摩擦面(接合面)となる
ので摩擦面は二面となり、スプライスプレートとダイア
フラムまたはH形鋼のフランジとの間の摩擦はさほど問
題にはならないが、本発明においてはスプライスプレー
トを使用しないため、摩擦面は一面しかなく、摩擦力の
不足が問題となる。本発明では、上記した摩擦力を増加
させる手段によってこの問題を解消することができる。
【0025】本発明の効果は、接合構造における最弱部
を、前記接合部材と梁部材とのボルト接合部とし、破壊
荷重載荷時には、前記柱体と接合部材の溶接部が破断す
る前に、前記ボルトのせん断破壊あるいは接合部材又は
梁部材の延性破壊により破壊するように接合することに
よって発揮することができる。
【0026】さらに本発明は、H形鋼からなる梁部材と
柱体とを上下ダイアフラムを有する接合部材で接合する
鉄骨構造物の接合方法であって、工場で前記柱体と下ダ
イアフラムとを溶接接合すると共に、前記柱体を貫通す
る切欠部を有する上ダイアフラムを前記柱体に貫通させ
所定の接合位置よりも前記下ダイアフラムから離れた位
置に仮止めし、この状態で前記柱体を現場にて建て込
み、次いで、前記梁部材の下フランジと接合部材の下ダ
イアフラムとをボルト接合により接合し、その後、前記
仮止めを外して前記上ダイアフラムと梁部材の上フラン
ジとを密着させてボルト接合すると共に前記上ダイアフ
ラムと柱体とを溶接接合することを特徴とする。
【0027】本発明の施工方法は、上記した「梁部材の
上フランジと前記上ダイアフラム及び下フランジと下ダ
イアフラムとを直にボルト接合により接合する」接合構
造によって可能になるもので、上ダイアフラムを所定の
接合位置に仮止め状態とすることによって、梁部材の位
置合わせの際、上ダイアフラムに拘束されることなく行
うことができるようになり、これによって梁部材の位置
合わせ作業性を大幅に向上させることが可能となる。本
発明においては、上ダイアフラムはいわゆる外ダイアフ
ラムタイプであるが、下ダイアフラムは外ダイアフラム
または内ダイアフラムに限定されない。
【0028】また上記施工方法に使用する構造体として
は、柱体と下ダイアフラムとを溶接接合すると共に、前
記柱体を貫通する切欠部を有する上ダイアフラムを前記
柱体に貫通させ所定の接続位置よりも前記下ダイアフラ
ムから離れた位置に仮止めされものを使用することがで
きる。
【0029】一般にラーメン構造物に作用する曲げモー
メントは、接合部近傍では接合部が最も大きく応力度も
高く、接合部から離れるにしたがって小さくなる傾向が
ある。したがって、本発明のように、ダイアフラムと柱
体の溶接部における破断に先だって梁部材または接合ボ
ルト等のいずれかの延性破壊により破壊するようにする
には、ボルト接合部すなわち柱体の外周面から接合部材
先端までの距離は、接点すなわちダイアフラムと柱体の
溶接部からできる限り近い方が望ましいが、施工上及び
製作上の都合を考慮すると50cm以内が望ましい。
【0030】また本発明の鉄骨構造物の接合構造は、梁
部材が交叉する4方向のもの、主に壁部に用いられる3
方向のもの、さらにコーナ部に用いられる2方向のもの
などに適用可能である。その際4方向のものについて
は、無垢の一枚板からなるダイアフラムを用いたもの、
それ以外のものについてはダイアフラム本体と鉛直ステ
ィフナの組み合わせからなるものを採用することが望ま
しい。
【0031】
【発明の実施の形態】以下本発明の特徴を図面に示す実
施の形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実
施形態の接合構造を示す斜視図、図2は図1に示す接合
構造の正面図である。
【0032】同図において、10は中空で断面が正方形
の柱体(コラム)、12は下ダイアフラム、14はガゼ
ットプレート、16は上ダイアフラムで、これら下ダイ
アフラム12と上ダイアフラム16およびガゼットプレ
ート14で柱体10とH形鋼からなる梁部材40を連結
する接合部材を構成している。
【0033】上ダイアフラム16と下ダイアフラム12
とは同一形状のいわゆる外ダイアフラム方式のダイアフ
ラムで、一枚板からなる無垢材料の中央部に、柱体10
の外形よりも2mm程度大きい切欠部(図示せず)、す
なわち柱体の全周を包囲する切欠部を形成しており、上
ダイアフラム16と下ダイアフラム12に形成されたこ
の切欠部に柱体10を差し込んで、全周を溶接によって
接合している。
【0034】また上ダイアフラム16および下ダイアフ
ラム12には先端側にそれぞれボルト孔(小円で示す)
を二列合計10個形成し、さらに梁部材40の上フラン
ジ40b、下フランジ40cにも上下ダイアフラム1
6,12のボルト孔に対応するボルト孔が形成され、梁
部材40の上フランジ40bと上ダイヤフラム16及び
梁部材40の下フランジ40cと下ダイヤフラム12と
を密着させ直にボルト接合により接合している。
【0035】これによって、従来柱体と梁部材の接合に
必要であったスプライスプレートを用いることなく、従
来よりもよりシンプルな構造で柱体と梁部材の接合が可
能となる。
【0036】また、上下ダイアフラム体16,12を、
一枚板を素材とし、この上下ダイアフラム16,12に
形成された切欠部に柱体10をはめ込むように取付け、
さらにその柱体10との接触面全てを溶接等により接合
することによって、従来のように、複数の分割プレート
の端面での破断が無くなり、ダイアフラムが一体として
作用するため、結果として破断に対する耐力が向上す
る。また、ダイアフラムが一体物であるので、現場施工
となる上ダイアフラム16と柱体10との溶接は部分溶
け込み溶接(図2のA部参照)であっても接合強度とし
ては十分であり、現場での作業性が良くなる。下ダイア
フラム12と柱体10との溶接は工場施工となるので、
隅肉溶接(図2のB部参照)としている。
【0037】さらに、ガゼットプレート14と柱体10
の突き合わせ面も同様に溶接によって接合され、したが
って、柱体10と接合部材とは、上下ダイアフラム1
6,12とガゼットプレート14端面の合計12個所の
溶接によって接合されている。本実施の形態において
は、現場施工上の理由から、柱体10の各面に設けるガ
ゼットプレート14は一枚とし、この一枚のガゼットプ
レート14に梁部材40のウエブ40aをボルト接合に
より接合している。
【0038】上下ダイアフラム16,12は鋳鋼製であ
り、図示しないがフランジ40b,40cとの接合部に
は、ボルト孔の周辺部に摩擦力を増大させるための小さ
い逆V字状の凸部が形成されている。これによって、ボ
ルト接合した状態でのダイアフラム16,12とフラン
ジ40b,40c摩擦力が高まり荷重に対する耐力が向
上する。
【0039】この接合構造においては、上下ダイアフラ
ム16,12及びガゼットプレート14からなる接合部
材と梁部材40とをボルト接合し、この接合部を本接合
構造における最弱部としており、巨大地震のように設計
荷重以上の荷重が載荷された際には、溶接部のように突
然破断することなく、まず上下ダイアフラム16,12
と梁部材40のフランジ40b,40cとが滑りを生
じ、しかる後に、梁部材40のフランジ40b,40c
あるいはボルトのいずれかの延性破壊により破壊する。
このように破断に至る前の段階で滑りすなわち変形が発
生することにより、地震エネルギーを吸収し、溶接部の
ような突然の破断を効果的に防ぐことができる。
【0040】次いで、図3〜図6を参照しながら、図1
および図2に示す接合構造の施工手順について説明す
る。
【0041】図3は本発明の実施に使用する構造体の斜
視図で、同図に示すように、柱体10と外ダイアフラム
方式の下ダイアフラム12とが全周にわたって工場で溶
接接合され、さらに柱体10を貫通する切欠部を有する
外ダイアフラム方式の上ダイアフラム16を柱体10に
貫通させ所定の接続位置よりも約15cm程度上方に仮
止めされている。したがって、この状態では上ダイアフ
ラム16と柱体10とは溶接されていない。図中20は
上ダイアフラム16を柱体10に仮止めするための断面
L字状の取り付け金具で、取り付け金具20を上ダイア
フラム16に溶接により取り付け、この取り付け金具2
0に設けた孔(図示せず)と柱体10に設けた孔(図示
せず)にボルトを挿通することにより、上ダイアフラム
16を所定の接続位置よりも約15cm程度上方に仮止
めする。この状態まで工場製作し、図に示すように工事
現場で立て込みを行う。
【0042】次いで、図4に示すように、H形鋼からな
る梁部材40をクレーン(図示せず)によって吊り込
み、矢印方向に移動させて、図5に示すように、梁部材
40のウエブ40aのボルト孔がガゼットプレート14
のボルト孔に整合するようにする。その後、ガゼットプ
レート14とウエブ40aおよび梁部材40の下フラン
ジ40cと下ダイアフラム12とをそれぞれボルト接合
する。その際、上ダイアフラム16は所定位置よりも離
れた位置に仮止めされているため、下ダイアフラム12
と上ダイアフラム16の間の空間を広く取ることがで
き、したがって、上ダイアフラム16に拘束されること
なく梁部材40の接続作業を行うことができるようにな
り、これによって梁部材40の位置合わせ作業性が向上
する。
【0043】次いで、上ダイアフラム16を仮止めして
いるボルト(図示せず)を外し、図6に示すように、上
ダイアフラム16と上フランジ40bとを密着状態とす
る。
【0044】次いで、上ダイアフラム16と上フランジ
40bとをボルト接合し、さらに、上ダイアフラム16
と柱体10の接合面を全周にわたって溶接して図1およ
び図2に示す通り接合を完了する。
【0045】図7は上記接合構造を三方向の接合に適用
する場合のダイアフラムの一例を示す斜視図で、本実施
形態では上記接合構造を適用するにあたり、一枚板から
なるダイアフラムに相当するものとして、ダイアフラム
本体と鉛直スティフナを鋳造により一体成形したものを
用いた。
【0046】図7に示すように、本実施の形態の三方向
用ダイアフラム30は、中央に柱体10を貫通する断面
の矩形状切欠31aを形成したダイアフラム本体31
と、この切欠31aの開口部の一辺を閉塞するように、
ダイアフラム本体31と面が直交する方向に配置された
鉛直スティフナ32により構成されている。32aは鉛
直スティフナ32の水平方向に形成されたスリットで、
この部分からダイアフラム30の鉛直スティフナ32と
柱体10とを溶接で接合するためのものである。このダ
イアフラム30は鋳鋼製であるので、鋳造の過程におい
て逆V字状の小さい凸部を接合用のボルト孔周辺部31
bに形成して、ダイアフラム30と梁部材であるH形鋼
との間の摩擦力を増加させるようにしている。
【0047】このダイアフラム30は上記したようにダ
イアフラム本体31と鉛直スティフナ32が一体成形さ
れている。本発明者の試験によれば、ダイアフラム本体
31と鉛直スティフナ32を一体成形した本実施形態の
ダイアフラム30は、先に説明した一枚板からなる4方
向のダイアフラムと略同等の強度が確認できた。
【0048】次いで、梁部材に地震時の荷重を作用させ
た実際の実験結果にもとづいて本発明の優位性について
説明する。図8は本発明のボルト接合による接合構造に
おける履歴曲線、図9は従来技術で説明した接合構造に
おける履歴曲線を示し、同図において横軸は梁部材の変
形量、縦軸は縦方向の荷重をそれぞれ表す。
【0049】実験結果は、本発明の接合構造では滑りを
起こした後の挙動が安定し、破断などの極端な耐力の低
下がみられなかったのに対し、従来の接合構造では、梁
部材の挙動の特徴が現れ、初期の載荷段階では全塑性モ
ーメントに至らず、十分に変形した後にフランジ溶接部
の破断を生じた。
【0050】また、同図で明らかなように、本発明の接
合構造ではボルトの滑りを伴うため、従来の接合構造に
くらべ履歴曲線が大きく異なるが、履歴曲線の内部の面
積というのは、この接合部が吸収したエネルギーに相当
するものであり、地震時におけるエネルギーの消費に相
当し、履歴曲線の内部の面積が大きい本発明の接合構造
の方が従来の接合構造にくらべより地震力を減衰させる
効果に優れていることが判る。また、従来の接合構造の
場合、突然引張り破断が発生するが、本発明の接合構造
の場合、ボルトの滑りとか、ボルトでボルト孔に欠損し
た断面の部分で引張り破断を引き起こすという、破壊の
メカニズムがわかりやすいため、設計の時点でこの履歴
曲線を予想することができ、耐震設計に反映しやすいこ
とが確認できた。
【0051】また上記以外に、短期荷重を想定した荷重
においては弾性的な荷重変形関係を示し、その後の載荷
で、全塑性モーメントを越えた時点でボルト接合部の最
初の滑りを生じている。さらに荷重が反転した逆側で全
塑性モーメントに至らず滑りを生じ、滑り直後は耐力が
低下したが、変形に伴って耐力が復帰しており、支圧状
態になった。滑りを再度生じた後には大きな変形を加え
た後に耐力が復帰した。一般に言われているように、滑
りを生じた後の摩擦面の劣化やボルト張力の低下に伴
い、スリップ型の荷重変形関係となったが、大変形を受
けてもボルト接合部のすべり耐力は完全には消失しなか
った。
【0052】このように、本実施形態の接合構造によれ
ば、比較的簡単な構造で地震時等破壊荷重が作用した場
合においても突然の破断が発生することのない信頼性の
高い外ダイアフラム方式の接合構造を得ることができ
る。
【0053】なお、上記した3方向の接合構造でも、ダ
イアフラム本体と鉛直スティフナを組み合わせたダイア
フラム、特に一体成形したダイアフラムとすることによ
り、第1の実施形態の場合と同様、従来の接合構造にく
らべ明らかな優位性が確認できた。
【0054】
【発明の効果】本発明によって以下の効果を奏すること
ができる。
【0055】(1)梁部材の上フランジと上ダイアフラ
ム及び下フランジと下ダイアフラムとを直にボルト接合
により接合する構造とすることにより、従来柱体と梁部
材の接合に必要であったスプライスプレートを用いるこ
となく、従来よりもよりシンプルな構造で柱体と梁部材
の接合が可能となる。また、上下のダイアフラムと梁部
材とのボルトによる接合が可能となり、巨大地震等のよ
うに設計荷重以上の荷重が載荷された際には、従来の溶
接部のように突然破断することなく、ダイアフラム、梁
部材のフランジの延性破壊、またボルトの剪断破壊によ
り破壊することとなる。
【0056】(2)上下ダイアフラムが溶接部を含まな
い一枚板から構成され、かつ接合部材を構成する上下ダ
イアフラムに柱体の全周を包囲する欠切部を有するもの
とすることによって、複数の分割プレートの端面での破
断が無くなり、ダイアフラムが一体として作用するよう
になり、結果として破断に対する耐力が向上する。
【0057】(3)上下ダイアフラムと上下フランジと
の接合面に、摩擦力を増加させるための加工を施すこと
によって、この摩擦力で荷重に対する耐力を向上させる
ことができる。
【0058】(4)破壊荷重裁荷時には、前記柱体と接
合部材の溶接部が破断する前に、前記ボルトのせん断破
壊あるいは接合部材又は梁部材の延性破壊ににより破壊
するように接合する構造とすることによって、従来の溶
接部の破断のように突然破断することなく、破壊時のシ
ミュレーションが容易になる。
【0059】(5)上ダイアフラムを所定の接合位置よ
りも下ダイアフラムから離れた位置に仮止めして、梁部
材を接合位置まで移動した後、仮止めを外して上ダイア
フラムと梁部材の上フランジとを密着させて接合するこ
とによって、梁部材の位置合わせの際、上ダイアフラム
に拘束されることなく行うことができるようになり、こ
れによって梁部材の位置合わせ作業性を大幅に向上させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態における接合構造を示す斜
視図である。
【図2】 図1に示す接合構造の正面図である。
【図3】 図1に示す接合構造の施工手順を示す説明図
である。
【図4】 図1に示す接合構造の施工手順を示す説明図
である。
【図5】 図1に示す接合構造の施工手順を示す説明図
である。
【図6】 図1に示す接合構造の施工手順を示す説明図
である。
【図7】 三方向の接合に使用するダイアフラムの他の
実施形態を示す斜視図である。
【図8】 本発明工法の試験結果を示すグラフである。
【図9】 従来工法の試験結果を示すグラフである。。
【図10】 従来の外ダイアフラム方式による接合構造
を示す縦断面図である。
【図11】 図10に示す接合構造の平面図である。
【符号の説明】 10 柱体 12 下ダイアフラム 14 ガゼットプレート 16 上ダイアフラム 20 取り付け金具 30 三方向用ダイアフラム 31 ダイアフラム本体 31a 切欠 31b ボルト孔周辺部 32 鉛直スティフナ 32a スリット 40 梁部材 40a ウエブ 40b 上フランジ 40c 下フランジ

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 H形鋼からなる梁部材と柱体とを上ダイ
    アフラムと下ダイアフラムを有する接合部材接合する
    鉄骨構造物の接合構造であって、前記柱体と前記下ダイ
    アフラムとを予め接合すると共に、前記柱体を貫通する
    切欠部を有する前記上ダイアフラムを前記柱体に所定の
    接合位置よりも離れた位置に仮止めし、次いで、前記梁
    部材の下フランジと前記下ダイアフラムとをボルト接合
    により接合し、その後に、前記仮止めを外して前記上ダ
    イアフラムと前記梁部材の上フランジとを密着させ、
    記梁部材の上フランジと前記上ダイアフラム及び前記梁
    部材の下フランジと前記下ダイアフラムとを直にボルト
    接合により接合し、設計荷重載荷時における最弱部を前
    記接合部材と梁部材とのボルト接合部としたことを特徴
    とする鉄骨構造物の接合構造。
  2. 【請求項2】 前記柱体にガゼットプレートを溶接接合
    し、同ガゼットプレートと前記梁部材のウエブとをボル
    ト接合したことを特徴とする請求項1記載の鉄骨構造物
    の接合構造。
  3. 【請求項3】 前記上ダイアフラムと下ダイアフラム
    は、溶接部を含まない一枚板から構成され、かつ前記柱
    体の全周を包囲する欠切部を有するものであることを特
    徴とする請求項1,2記載の鉄骨構造物の接合構造。
  4. 【請求項4】 前記梁部材の上フランジと前記上ダイア
    フラムとの接合面、及び前記梁部材の下フランジと前記
    下ダイアフラムとの接合面に、摩擦力を増加させるため
    の加工を施したことを特徴とする請求項1〜3記載の鉄
    骨構造物の接合構造。
  5. 【請求項5】 破壊荷重載荷時には、前記柱体と前記接
    合部材の溶接部が破断する前に、前記ボルト接合部にお
    けるボルトのせん断破壊あるいは接合部材又は梁部材の
    延性破壊により破壊するように接合したことを特徴とす
    る請求項1〜4記載の鉄骨構造物の接合構造。
  6. 【請求項6】 H形鋼からなる梁部材と柱体とを上ダイ
    アフラムと下ダイアフラムを有する接合部材で接合する
    鉄骨構造物の接合方法であって、 工場で前記柱体と前記下ダイアフラムとを溶接接合する
    と共に、前記柱体を貫通する切欠部を有する前記上ダイ
    アフラムを前記柱体に貫通させ所定の接合位置よりも前
    記下ダイアフラムから離れた位置に仮止めし、 この状態で前記柱体を現場にて建て込み、次いで、前記
    梁部材の下フランジと前記下ダイアフラムとをボルト接
    合により接合し、その後、前記仮止めを外して前記上ダ
    イアフラムと前記梁部材の上フランジとを密着させてボ
    ルト接合すると 共に前記上ダイアフラムと前記柱体とを
    溶接接合することを特徴とする鉄骨構造物における柱体
    と梁部材との接合方法。
  7. 【請求項7】 H形鋼からなる梁部材と柱体とを上ダイ
    アフラムと下ダイアフラムを有する接合部材で接合する
    鉄骨構造物の接合構造用の構造体であって、前記柱体と
    前記下ダイアフラムとを溶接接合すると共に、前記柱体
    を貫通する切欠部を有する前記上ダイアフラムを前記柱
    体に貫通させ所定の接合位置よりも前記下ダイアフラム
    から離れた位置に仮止めしたことを特徴とする鉄骨構造
    物の接合構造用構造体。
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