JP2934776B2 - ピバリン酸ハロメチルエステル類の製造法 - Google Patents

ピバリン酸ハロメチルエステル類の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はセフェム系抗生物質〔例えば特開昭62−1959
3公報記載〕の原料として有用なピバリン酸ハロメチル
エステル類の製造法に関するものである。
(従来の技術) 従来、ピバリン酸ハロメチルエステル類の製造方法と
しては、ピバリン酸に塩化アルミニウムや塩化亜鉛触媒
の存在下、ホルムアルデヒドとハロゲン化水素を作用さ
せるいわゆるブラン−ケレ−反応により製造する方法は
知られているが、毒性を極めて高いクロロメチルメチル
エーテルやビスクロロメチルエーテル(以下ハロメチル
エーテル類という)が副生するという欠点があった。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、従来法の毒性の極めて高いハロメチルエー
テル類を副生しない、しかも工業的に実施例するに有利
なピバリン酸ハロメチルエステル類の製造法を提供する
ためになされたものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者は、毒性の極めて高いハロメチルエーテル類
を副生しないピバリン酸ハロメチルエステル類の製造法
について鋭意研究を重ねた結果、相間移動触媒の存在下
ピバリン酸の金属塩水溶液とジハロメタンを反応させ、
ピバリン酸ハロメチルエステルを製造する際、ハゲロン
原子が互いに異なるジハロメタンを用いればその目的が
達成しうることを見出し、この知見に基づき本発明をな
すに至った。
すなわち、本発明は、相間移動触媒の存在下ピバリン
酸の金属塩水溶液とブロモクロロメタン、クロロヨード
メタン、ブロモヨードメタンから選択されるジハロメタ
ンを反応させることを特徴とするピバリン酸ハロメチル
エステル類を製造する方法を提供するものである。
本発明において原料として用いられるピバリン酸の金
属塩水溶液は、ピバリン酸のアルカリ金属あるいはアル
カリ土類金属の塩などの水溶液が用いられる。ピバリン
酸のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属塩として
は、例えばピバリン酸のナトリウム、カリウム、マグネ
シウム、バリウムの塩などが挙げられる。これらのピバ
リン酸の金属塩は、ピバリン酸とアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩の水溶
液を反応させることにより容易に製造することができ、
得られたピバリン酸の金属塩水溶液は単離することなく
その水溶液のまま使用することもできるし、反応系内で
ピバリン酸の金属塩水溶液となるように反応させて使用
することもできる。なお、水は撹拌可能は量以上、好ま
しくは生成した無機塩を溶解する量以上用いるのが好ま
しい。
また、ピバリン酸、塩基、ジハロメタン、相間移動触
媒の加える順序は特に限定されるものではない。
本発明方法においては、ピバリン酸の金属塩水溶液と
ジハロメタンとの反応に際し、相間移動触媒を存在させ
ることが必要である。この相間移動触媒としては、通常
そのように称しているものなら使用して差し支えない
が、例えば第四級アンモニウム塩、第四級ピリジニウム
塩または第四級ホスホニウム塩などの第四級オニウム塩
が一般的であり、これらより選ばれた一種はるいは二種
以上を任意に用いることができる。なかでも工業的に入
手し易いテトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブ
チルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモ
ニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムブロ
ミドなどの使用が好ましい。
これらの相間移動触媒の使用量は、ピバリン酸金属塩
に対して0.001〜0倍モル、好ましくは0.005〜0.2倍モ
ルの範囲内で用いるのが好ましい。
また、ピバリン酸の金属塩水溶液と反応させるブロモ
クロロメタン、クロロヨードメタン、ブロモヨードメタ
ンから選択されるジハロメタンの使用量はピバリン酸の
金属塩に対して1〜10倍モル、好ましくは10〜50倍モル
の割合で用いられる。
本発明方法において、所望に応じ、非水溶性の不活性
有機溶媒、例えばベンゼン、トルエン、ジエチルエーテ
ルなどを用いることができる。
次に、本発明を好適に実施する具体的に態様を説明す
ると、先ず相間移動触媒とピバリン酸の金属塩水溶液と
ブロモクロロメタン、クロロヨードメタン、ブロモヨー
ドメタンから選択されるジハロメタンとを所定の割合で
混合し反応させる。反応温度としては、特に限定される
ものではなく、通常0℃〜反応系の還流温度の範囲が適
当である。また反応時間は使用される源料の種類、反応
温度、触媒等により左右される通常1〜10時間程度であ
る。反応圧は常圧、加圧いずれでおこなっても良い。反
応終了後、反応混合物を静置すると、水層と油層に分離
するので、油層のみ分取し、これを水洗した後、蒸留す
れば、ピバリン酸ハロメチルエステル類が得られる。
また、本反応においては、副生したビスピバロイルオ
キシメタンを蒸留釜残よりアルカリあるいは酸で加水分
解することによりほぼ定量的にピバリン酸に回収でき、
再使用が可能である。従ってピバリン酸は、ピバリン酸
ハロメチルエステルの生成に使用した分が消費されるの
みであり効率的である。
(発明の効果) 本発明は、相間移動触媒の存在下ピバリン酸の金属塩
水溶液とブロモクロロメタン、クロロヨードメタン、ブ
ロモヨートメタンから選択されるジハロメタンを反応さ
せたので、ハロメチルエーテル類の副生がなく、ピバリ
ン酸ハロメチルエステル類が収率良く製造できるように
なったものである。また副生したビスピバロイルオキシ
メタンは、加水分解で定量的にピバリン酸を回収、再使
用できるなどピバリン酸ハロメチルエステル類の工業的
製造法として好適である。
(実施例) 以下実施例および参考例により本発明を具体的に説明
する。
実施例1 冷却管、温度計、撹拌機を備えた200mlの反応フラス
コにブロモクロロメタンを161.7g、ピバリン酸を5.1g、
48%水酸化ナトリウム、水、テトラブチルアンモニウム
ブロミドを仕込み2.5時間反応させる。その転化率及び
ピバリン酸クロロメチルの選択率を表1に示す。(上記
反応液からは、クロロメチルメチルエーテルおよびピス
クロロメチルエーテルは検出されない。)反応終了後、
反応液を静置し、分層した油層を分液し、水洗したのち
蒸留し、沸点67℃の留分としてブロモクロロメタン153.
6g(回収率95%)を得る。更に50mmHgで減圧蒸留し、沸
点70〜72℃の留分としてピバリン酸クロロメチル2.58g
を得る。これはピバリン酸基準の収率で34.3%に相当す
る。
実施例2〜5 水、48%水酸化ナトリウム、TBABの量及び反応温度を
変え、他は実施例1と同様に反応を行った。その反応液
の転化率及びピバリン酸クロロメチルの選択率を表1に
示す。
実施例6〜8 塩基、触媒を変え、または溶媒を添加した他は実施施
例1と同様に行った。その反応液の転化率及びピバリン
酸クロロメチルの選択率を表2に示す。
また表1及び表2において、選択率及びビス体選択率
は以下の方法により算出した。
比較例 ブロモクロロメタンの代わりに、ジフロモメタン217.
3g使用し、他は実施例1と同様に行い、その結果を表2
に示す。
参考例(実施例1のピバリン酸回収) 反応液水層を塩酸酸性にする。その後ジエチルエーテ
ルで抽出、水洗、乾燥後濃縮することによって、原料の
ピバリン酸2.6g(仕込んだピバリン酸に対して51%)を
得る。更に蒸留釜残に24%水酸化ナトリウム水溶液5gを
加え、90℃で2時間加熱撹拌後冷却し、塩酸酸性とし、
エチルエーテルで抽出、水洗、乾燥後濃縮することによ
って、原料のピバリン酸0.7g(仕込み量の13.7%)を得
る。
したがって、ピバリン酸クロロメチルエステルが使用
されないピバリン酸の98.5%が回収されたことになる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 69/63 C07C 67/00 C07C 67/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相間移動触媒の存在下、ピバリン酸の金属
    塩水溶液とブロモクロロメタン、クロロヨードメタン、
    ブロモヨードメタンから選択されるジハロメタンを反応
    させることを特徴とするピバリン酸ハロメチルエステル
    類の製造法。
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