JP2933965B2 - 車両用自動変速機の操作装置 - Google Patents

車両用自動変速機の操作装置

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JP2933965B2
JP2933965B2 JP2019310A JP1931090A JP2933965B2 JP 2933965 B2 JP2933965 B2 JP 2933965B2 JP 2019310 A JP2019310 A JP 2019310A JP 1931090 A JP1931090 A JP 1931090A JP 2933965 B2 JP2933965 B2 JP 2933965B2
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H59/00Control inputs to control units of change-speed-, or reversing-gearings for conveying rotary motion
    • F16H59/02Selector apparatus
    • F16H59/08Range selector apparatus
    • F16H2059/081Range selector apparatus using knops or discs for rotary range selection

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、自動変速機の走行レンジを切り換えるた
めの油圧バルブを駆動するアクチユエータと、このアク
チユエータを制御する制御手段と、この制御手段にレン
ジ切り換え指令を出力する変速操作手段とを備えた車両
用自動変速機の操作装置に関する。
[従来の技術] 従来より、車両用自動変速機の操作装置においては、
自動変速機の走行レンジを切り換えるための油圧バルブ
に直接機械的に接続され、運転者の手により移動される
ように設定された所の、変速操作手段としてのセレクト
レバーを備えており、運転者はこのセレクトレバーを所
望の走行レンジ位置に移動させることにより、油圧バル
ブの弁位置を切り換えて、所望の走行レンジを切り換え
るように設定されている。
このような手動式の操作装置においては、セレクトレ
バーは運転席と助手席との間に配設されたフロアタイプ
や、ステアリングコラムに配設されたコラムタイプがあ
る。
[発明が解決しようとする課題] ここで、このような従来の自動変速機の操作装置にお
いては、走行レンジを切り換える際においては、運転者
は、ハンドルから手を離し、セレクトレバーを握り直し
て、これを移動させるよう動作することになる。一方、
手動変速機のシフト位置の切り換えに際しても、同様
に、運転者はハンドルから手を離して、シフトレバーを
握り直す必要が発生する。
このように、自動変速機であろうが、手動変速機であ
ろうが、従来の変速機においては、その変速操作(自動
変速機における走行レンジの切り換え操作、及び、手動
変速機におけるシフト位置の切り換え操作)を行なうた
めには、必ず、一方の手をハンドルから離してセレクト
レバーなりシフトレバーなりを握り直さねばならず、そ
の間は、片手でハンドルを握る状態、即ち、片手運転の
状態となり、安全性の観点から好ましく無いものであ
る。
この発明は上述した課題に鑑みなされたもので、この
発明の目的は、変速操作を行なうに際して、安全に車両
を走行させることの出来る車両用自動変速機の操作装置
を提供することである。
[課題を解決するための手段] 上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発
明に係わる車両用自動変速機の操作装置は、自動変速機
の走行レンジを後退レンジ、ニュートラルレンジ、前進
走行レンジのいずれかに切り換えるための油圧バルブを
駆動するアクチュエータと、このアクチュエータを制御
する制御手段と、この制御手段にレンジ切り換え指令を
出力する変速操作手段とを備えた車両用自動変速機の変
速操作装置において、前記変速操作手段は、ステアリン
グコラムの側面に取り付けられたストローク接点式のス
イッチを備え、このスイッチは、ステアリングホイール
の側縁部に手を掛けたままの状態で、この手の指によ
り、少なくとも前進走行レンジを切り換え操作可能な位
置でステアリングコラムに配設され、前記スイッチは、
自身の中心軸線まわりに回動可能であると共に、前記中
心軸線に沿って移動可能に構成され、前進走行レンジと
ニュートラルレンジとの間の走行レンジの切り換え動作
が、前記スイッチを前記中心軸線に沿った方向に移動さ
せることなく、回動することにより行われるように設定
されていると共に、ニュートラルレンジと後退レンジと
の間の走行レンジの切り換え動作が、前記スイッチを一
旦前記中心軸線に沿って移動させた状態でのみ前記回動
操作が可能に設定されている。
また、好ましくは、前記スイッチは、パーキングレン
ジ、後退レンジ、ニュートラルレンジ、前進ドライブレ
ンジ、前進2速レンジ、前進1速レンジが順次規定され
た移動経路をストローク移動可能なスイッチ本体と、こ
のスイッチ本体から前記中心軸線に交わる平面内で延出
するように突出し、前記指に係合して、前記スイッチ本
体を前記中心軸線まわりに回動せしめる指操作部と、前
記スイッチ本体から前記中心軸線に交わる平面内で延出
するように突出し、前記指に係合して、前記スイッチ本
体を前記中心軸線に沿って移動せしめる押し込み部とを
備えている。
また、好ましくは、前記スイッチにおいて、パーキン
グレンジと後退レンジとの間の走行レンジの切り換え動
作、ニュートラルレンジから後退レンジへの走行レンジ
の切り換え動作、及び、前進ドライブレンジから前進2
速レンジへの走行レンジの切り換え動作は、前記スイッ
チ本体を、一旦、前記中心軸線に沿って移動させた状態
でのみ、前記回動動作が許容されるように設定されてい
る。
また、好ましくは、前記スイッチにおいて、パーキン
グレンジと後退レンジとの間の走行レンジの切り換え動
作、及び、ニュートラルレンジから後退レンジへの走行
レンジの切り換え動作は、ステアリングホイールに手を
掛けた手の指により操作不能な範囲で設定されている。
また、好ましくは、前記スイッチにおいて、前進ドラ
イブレンジと前進1速レンジとの間の走行レンジの切り
換え動作は、ステアリングホイールに掛けた手の指によ
り操作可能な範囲で設定されている。
また、好ましくは、前記スイッチにおいて、前進ドラ
イブレンジと前進2速レンジとの間の走行レンジの切り
換え動作における前記中心軸線に沿う押し込み移動量
は、パーキングレンジと後退レンジとの間の走行レンジ
の切り換え動作、及び、ニュートラルレンジから後退レ
ンジへの走行レンジの切り換え動作における前記中心軸
線に沿う押し込み移動量よりも小さく設定されている。
[作用] 以上のように、この発明に係わる車両用自動変速機の
操作装置は構成されているので、運転者は、両手をステ
アリングホイールに掛けた状態で、一方の手、例えば、
左手の指で、このスイッチを操作して、走行レンジの切
り換えを行なうことができる。
この走行レンジの切り換え動作において、前進走行レ
ンジとニュートラルレンジとの間の走行レンジの切り換
え動作が、スイッチを中心軸線に沿った方向に移動させ
ることなく、回動することにより行われるように設定さ
れていると共に、ニュートラルレンジと後退レンジとの
間の走行レンジの切り換え動作が、スイッチを一旦前記
中心軸線に沿って移動させた状態でのみ回動操作が可能
に設定されている。
この結果、車両の走行中において、手をステアリング
ホイールから離すことなく、走行レンジの切り換え動作
が行なえると共に、この切り換え動作が極めて容易に行
なわ得ることになり、安全な車両の走行状態が達成され
る。
[実施例] 以下に、この発明に係わる車両用自動変速機の操作装
置の一実施例の構成を添付図面を参照して、詳細に説明
する。
この一実施例の操作装置10は、第1図に示すように、
自動変速機12の走行レンジの切り換え操作を電動を利用
して軽い操作力で行なうことが出来るように構成されて
おり、また、この自動変速機12は、エンジン14の駆動力
を駆動輪、この一実施例においては前輪(図示せず)に
伝達するよう構成されている。ここで、この自動変速機
12は、走行レンジを切り換えるための油圧バルブ16を備
える通常使用されているタイプであつて、その構成は周
知であるため、ここでの説明を省略する。
そして、この一実施例の操作装置10は、この発明の特
徴をなす操作スイツチ(その詳細な構成及び取り付け態
様の説明は後述する。)18の操作に応じて、上述した油
圧バルブ16を電動により駆動して走行レンジを切り換え
るため電動式走行レンジ切換装置(以下、単に、レンジ
切換装置と呼ぶ。)20を備えている。このレンジ切換装
置16は、可逆転可能な駆動モータ22と、この駆動モータ
22の駆動軸24に固定され、所定半径を有する回転アーム
26と、この回転アーム26の先端と、油圧バルブ16とを連
結する連結ワイヤ28と、操作スイツチ18から出力された
レンジ切り換え指令に基づき、駆動モータ22の駆動状態
を制御する制御ユニツト30とを備えている。
ここで、上述した自動変速機12には、第2図に示すよ
うに、油圧バルブ16による走行レンジの切り換え状態に
応じて、切り換えられた走行レンジ状態を示すインヒビ
タスイツチ32が設けられている。即ち、このインヒビタ
スイツチ32は、パーキングレンジ「P」、後退レンジ
「R」、ニユートラルレンジ「N」、前進ドライブレン
ジ「D」、前進2速レンジ「2」、そして、前進1速レ
ンジ「1」に夫々対応した接点SP、SR、SN、SD、S2、S1
と、油圧バルブ16のレンジ切り換え状態に応じて、これ
ら接点SP、SR、SN、SD、S2、S1に選択的に接触するよう
に回動する旋回レバー32aとを備えている。そして、各
接点SP、SR、SN、SD、S2、S1は、各々制御ユニツト30に
接続されており、このようにして、インヒビタスイツチ
32は、旋回レバー32aが接触した接点SP、SR、SN、SD、S
2、S1のみからインヒビタ信号を制御ユニツト30に出力
するように構成されている。
また、上述した駆動モータ22において、これのモータ
軸(図示せず)は、クラツチ機構34を介して駆動軸24に
連結されており、このクラツチ装置34は、上述した制御
ユニツト30により断続制御されるように接続されてい
る。即ち、この制御ユニツト30は、通常状態において、
クラツチ機構34を接続状態に維持して、自動変速機12が
駆動モータ22により電動駆動されるように設定され、後
述するように、制御ユニツト30における切換制御動作が
フエイルしていると判断された際に、フエイルセイフと
して、このクラツチ機構34を切断状態とし、自動変速機
12が駆動モータ22により駆動されないように設定されて
いる。
更に、この駆動モータ22にはロータリエンコーダ36が
接続されており、この駆動量が常時検出されている。こ
のロータリエンコーダ36は、制御ユニツト30に接続さ
れ、検出結果を出力している。そして、この制御ユニツ
ト30は、このロータリエンコーダ36からの出力結果を受
けて、駆動モータ22の駆動量、換言すれば、回転アーム
26の回動位置を認識するように構成されている。
一方、上述したレンジ切換装置20には、例えば、制御
ユニツト30の故障時において、手動で自動変速機12を切
り換え駆動するための、手動駆動機構38が接続されてい
る。この手動駆動機構38は、第1図に示すように、上述
した駆動軸24と平行な回動軸線回りに回転可能な回動板
40と、この回動板40の外周に形成されたピニオンギヤ42
と、このピニオンギヤ42に噛合するラツク部材44と、こ
のラツク部材44と上述した回転アーム26の先端とを互い
に連結する第1の補助連結ワイヤ46とを備えている。
尚、この第1の補助連結ワイヤ46は、上述した連結ワイ
ヤ28と一直線状になるように延出するよう設定されてお
り、回動板40の回動により、油圧バルブ16が切り換え駆
動されるようになされている。
ここで、この回動板40の中心部には、摺動回動部材と
してのレンチ48が嵌合する嵌合穴40aが形成されてお
り、このレンチ48を介して、回動板40は任意の位置に手
動により回動することが出来ることになる。尚、このよ
うな回動板40の手動回動に際して、クラツチ機構34が接
続状態であると、駆動モータ22が負荷となり、回転し難
い状態となるので、このクラツチ機構34を機械的に切断
状態とするための切り換えレバー50が設けられ、この切
り換えレバー50は第2の補助ワイヤ52を介してクラツチ
機構34に接続されている。即ち、この切り換えレバー50
が制御位置にある状態において、クラツチ機構34は制御
ユニツト30により制御可能な状態に設定され、切断位置
にある状態において、クラツチ機構34は機械的に切断状
態に設定されることとなる。
尚、この手動駆動機構38は、第3図に示すように、車
室内とエンジンルームとを区切るカウルパネルロア54の
丁度、中央下部の内方に位置するように配設されてお
り、ここに取り付けられた蓋部材54aを取り外すことに
より、回動板40が露出するように設定されている。この
ようにして、制御ユニツト30の故障時において、運転者
は、この蓋部材54aを取り外すことにより、回動板40に
アクセスして、レンチ48を介してこの回動板40を回動駆
動することにより、自動変速機12を直接手動により切り
換え駆動することが出来ることになる。
以上のように構成されるレンジ切換装置20の制御ユニ
ツト30にレンジ切り換え指令を出力するための、この発
明の特徴をなす変速操作手段としての操作スイツチ18に
ついて、第3図以降を参照して、詳細に説明する。
この操作スイツチ18は、第3図に示すように、車室内
において、ステアリングホイール56が回動自在に取り付
けられたステアリングコラム58の左側面、換言すれば、
方向指示レバー60が設けられた側とは反対側であつて、
ワイパ操作レバー62が設けられた側とは同一側に配設さ
れている。この操作スイツチ18は、所謂ストローク接点
式のスイツチとして構成され、詳細には、車幅方向に沿
つて延出する回動軸線回りに回動可能に取り付けられた
ロータリ式スイツチから構成されている。
ここで、この操作スイツチ18のステアリングコラム58
の左側面における配設位置は、第4図に示すように、略
中立位置(即ち、回転角度が0゜の位置)にあるステア
リングホイール56の所謂8時20分に位置する両脇部分を
両手で把持した状態において、運転席に着座した運転者
が正面を見た場合に、丁度、ステアリングホイール56の
空間部分を通して、操作スイツチ18を視認することが出
来るように設定されており、また、ステアリングホイー
ル56も、この視認性が確保されるように3本スポークタ
イプ、詳細には、3時、6時、9時方向に沿つて夫々延
出するように設定された3本のスポーク56a,56b,56cを
備えるように構成されている。
また、この操作スイツチ18の配設位置は、ワイパ操作
レバー62との関係においては、第5図に示すように、ワ
イパ操作レバー62がステアリングコラム58の左側面の手
前側上方に設定されているのに対して、この操作スイツ
チ18はステアリングコラム58の左側面の手前側下方に設
定されている。換言すれば、ワイパ操作レバー62と操作
スイツチ18とは、ステアリングコラム58の高さ方向中心
線Cを境に、上下に夫々離間された状態で配設されてい
る。
一方、この操作スイツチ18は、第6図に示すように、
ステアリングコラム58の左側面に一体的に固定される円
環状の取付リング64と、この取付リング64に車幅方向に
沿つて延出する軸線回りに回転自在に軸支されると共
に、軸方向に沿つて押し込み自在に支持されたスイツチ
本体66と、このスイツチ本体66の外周から半径方向外方
に突出すると共に軸方向に沿つて延出するように一体的
に形成された指操作部68と、この指操作部68のステアリ
ングコラム58側の端部に起立した状態(即ち、円周方向
に沿つて延出する状態)で一体的に形成された押込み部
70とを備えている。
ここで、第6図から明かなように、指操作部68の正面
端面の図中右端には、ホールドボタン72が、また、押込
み部70の側面の最奥部には、自動変速機12における走行
レンジの切り換えモードを切り換えるためのモード切り
換えボタン74とが夫々配設されている。
尚、ホールドボタン72は、これを押し込まない状態
で、通常のシフト変更状態が規定され、これを押し込む
ことにより、前進ドライブレンジにおいては3速に、前
進2速レンジにおいては2速に、夫々固定されるように
設定されている。また、モード切り換えボタン74は、こ
れが押し込まれない状態で、自動変速機12における走行
レンジの切り換え態様を、ねばり強い走行感を重視した
パワーモード(山道走行に好適する)に規定し、押し込
まれた状態で、経済性を重視したエコノミモード(市内
走行に最適する)にする)に規定するように設定されて
いる。
一方、上述した取付リング64の外周面には、時計方向
に沿つて、パーキングレンジを示す「P」、後退レンジ
を示す「R」、ニユートラルレンジを示す「N」、前進
ドライブレンジを示す「D」、前進2速レンジを示す
「2」、そして、前進1速レンジを示す「1」の英数字
が、順次描かれている。そして、この操作スイツチ18に
おいては、スイツチ本体66が回動することにより、その
回動位置に応じて設定された走行レンジを規定するため
のレンジ切り換え指令を出力するように構成されてお
り、詳細には、丁度、指操作部68の丁度ま横に位置する
英数字で表される走行レンジを達成するように、レンジ
切り換え指令を出力するよう構成されている。即ち、こ
の指操作部68は、現在設定されている走行レンジを指し
示す指標としても機能するものである。
ここで、図示するように、英数字「N」,「D」,
「2」,「1」は、狭い間隔d1で等間隔に順次直列状態
に並べられているが、英字「R」は英字「N」に対し
て、間隔d1より大きく設定された広い間隔d2だけ離間し
た状態で並べられ、英字「P」は英字「R」に対して上
述した狭い間隔d1で離間した状態で並べられるように設
定されている。また、英数字「N」,「D」,「2」
は、第4図に示すように、運転席に着座した運転者が正
面を見た状態において、丁度、英字「D」を真ん中に置
いて直視することが出来る位置に配設されている。この
ようにして、ニユートラルレンジ「N」,前進ドライブ
レンジ「D」,前進2速レンジ「2」の間で走行レンジ
を切り換える動作を実行した場合には、現在何れの走行
レンジが設定されているかは、指操作部68が指し示す英
数字「N」,「D」,「2」を読み取ることにより瞬時
に認識することが出来ることとなり、運転者は安心して
走行レンジを切り換えることが出来ることになる。
一方、第4図から明かなように、直視する状態におい
て、英字「R」,「P」は見ることが出来ないことにな
る。この結果、詳細は後述するが、ニユートラルレンジ
「N」から後退レンジ「R」へは、単にスイツチ本体66
を回動するのみでは移行することが出来ず、スイツチ本
体66を軸方向に押し込まなければ移行出来ないように設
定されているので、機構上、ニユートラルレンジ
「N」,ドライブレンジ「D」,前進2速レンジ「2」
の間で自由にレンジ切り換えを実行すべく、スイツチ本
体66を回動させる状態において、決して、後退レンジ
「R」が設定されないものであるが、この車は、運転者
が直視する状態において、英字「R」,「P」は見るこ
とが出来ないことにより、ニユートラルレンジ「N」か
ら後退レンジ「R」に入る心配の無いことが心理的にも
担保されることになり、運転者は心から安心して、ニュ
ートラルレンジ「N」,ドライブレンジ「D」,前進2
速レンジ「2」の間で自由に走行レンジの切り換えを実
行することが出来ることになる。
次に、この操作スイツチ18の内部構成について、第7
図乃至第10図を参照して詳細に説明する。
第7図に示すように、操作スイツチ18のスイツチ本体
66は、内方端部に、外方フランジ部66aが一体的に形成
され、車体の車幅方向に沿つて延出した軸部66bを備え
ている。この軸部66bは、自身の中心軸線回りに回転自
在に支持されると共に、軸方向に沿う移動を禁止された
状態で取り付けられている。また、この外方フランジ部
66aの内方の表面の外周部には、接触ロツド66cが幅方向
に沿つて延出した状態で、即ち、ステアリングコラム58
の表面に向けて延出するように取り付けられている。
そして、この外方フランジ部66aが対向するステアリ
ングコラムの表面には、この接触ロツド66cの回転軌跡
に沿つて、上述したインヒビタスイツチ32と同様に、パ
ーキングレンジ「P」、後退レンジ「R」、ニユートラ
ルレンジ「N」、前進ドライブレンジ「D」、前進2速
レンジ「2」、そして、前進1速レンジ「1」に夫々対
応した接点XP、XR、XN、XD、X2、X1が、接触ロツド66c
に接触可能に取り付けられている。そして、これら接点
XP、XR、XN、XD、X2、X1は、取付リング64の外周に描か
れた走行レンジを夫々表示する英数字の表示位置に応じ
た位置に配設されている。
ここで、各接点XP、XR、XN、XD、X2、X1は、各々制御
ユニツト30に接続されており、このようにして、操作ス
イツチ18においては、接触ロツド66cが接触した接点
XP、XR、XN、XD、X2、X1から、対応するレンジ切り換え
指令が制御ユニツト30に出力されることになる。
一方、このスイツチ本体66は、軸部66bに対して軸方
向に沿つて移動自在に取り付けられた移動部66dを備え
ている。即ち、この移動部66dには、軸方向に沿つて透
孔66eが形成されており、この透孔66eを軸部66bが貫通
して外方に取り出されることにより、この移動部66d
は、軸部66bの延出方向に沿つて移動可能に支持される
ことになる。ここで、この移動部66dの外周面には、上
述した指操作部68が一体的に形成されている。また、こ
の移動部66dの内方端部は、外方端部に比較して径少に
設定され、上述したリング状の取付リング64内に収納さ
れるよう設定されている。
そして、軸部66bの外方端部には、移動部66dの外方へ
の取り出しを禁止するための係止ナツト66fが螺着され
ている。一方、この移動部66dと外方フランジ部66aとの
間には、コイルスプリング66gが介設されており、移動
部66dは、このコイルスプリング66gの付勢力により、常
時、外方に向けて付勢され、これに外力が作用しない限
りにおいて、上述した係止ナツト66fに当接して、その
位置を弾性的に保持されている。このようにして、この
スイツチ本体66は、通常は外方に付勢されており、上述
した押込み部70を介して軸方向内方に押し込むことによ
り、このスイツチ本体66はコイルスプリングの付勢力に
抗して、軸方向内方へ押し込まれ得ることとなる。
尚、移動部66dの外側面には、上述した係止ナツト66f
を収納するための凹部66hが形成されており、また、こ
凹部66hを閉塞して、係止ナツト66fを目隠しするための
目隠し板66iが取り付けられている。
ここで、この操作スイツチ18は、スイツチ本体66を回
動しての走行レンジの切り換えに際して、この回動駆動
を各走行レンジ位置において正確に係止するためのデイ
テント機構76を備えると共に、ニユートラルレンジ
「N」から後退レンジ「R」への切り換え、及び、後退
レンジ「R」とパーキングレンジ「P」との間の切り換
えに際しては、単に、スイツチ本体66を回転するのみで
は切り換えられずに、このスイツチ本体66を軸方向に沿
つて内方に押し込まなければ切り換え動作を行なうこと
が出来ないような規制機構78を備えている。
これらデイテント機構76及び規制機構78のために、上
述した取付リング64の外方端は、移動部66dの径少部の
略中程まで延出している。このため、この外方端は、移
動部66dの径大部を規定する段部の端面との間に隙間G
が形成されることになるが、この隙間Gの軸方向長さ
は、後述する移動部66bの軸方向押し込み量よりも僅か
に長く設定されている。ここで、規制機構78は、この取
付リング64の内周面に形成されたガイド溝80と、このガ
イド溝80内に外方端部を嵌入されるてガイドされるよう
に、移動部66bに弾性的に進退自在に取り付けられた1
本のガイドピン82とを備えている。
このガイド溝80は、第8図に示すように、丁度、前進
1速レンジ「1」とパーキングレンジ「P」との間に渡
り形成されており、このガイド溝80とガイドピン82との
嵌合により、前進1速レンジ「1」及びパーキングレン
ジ「P」を越えて、スイツチ本体66が回動することが禁
止されている。ここで、上述したデイテント機構76は、
第7図に示すように、このガイド溝80の底面に、上述し
た配設関係に基づいて、パーキングレンジ「P」、後退
レンジ「R」、ニユートラルレンジ「N」、前進ドライ
ブレンジ「D」、前進2速レンジ「2」、そして、前進
1速レンジ「1」に夫々対応したデイテント穴76P,76R,
76N,76D,762,761を備えており、これらデイテント穴7
6P,76R,76N,76D,762,761は、取付リング64の周方向に沿
う1本の軸線l0上に位置するように設定されている。
尚、各デイテント穴76P,76R,76N,76D,762,761の底面
は、第8図に示すように、取付リング64の内周面から第
1の深さh1だけ半径方向外方に入り込んだ位置に設定さ
れている。
また、このガイド溝80は、第7図の下部に、周方向形
状を平面上に展開した状態で示すように、前進ドライブ
レンジ「D」とニユートラルレンジ「N」との間に渡り
周方向l0に沿つて直線状に形成された直線溝部80aと、
この直線溝部80aの上端において、ニユートラルレンジ
「N」から軸方向内方に延出(即ち、直線溝部80aと直
交)した第1の横溝部80bと、この第1の横溝部80bの内
方端から後退レンジ「R」まで周方向l0に対して斜めに
延出する傾斜溝部80cと、後退レンジ「R」から軸方向
内方に延出した第2の横溝部80dと、パーキングレンジ
「P」から軸方向内方に延出した第3の横溝部80eと、
これら第2及び第3の横溝部80d,80eの互いの内方端同
士を連結するよう周方向l0に平行に延出する第1の連結
溝部80fと、上述した直線溝部80aの下端において、前進
ドライブレンジ「D」から軸方向内方に延出した第4の
横溝部80gと、この第4の横溝部80gの内方端から周方向
l0に平行に前進2速レンジ「2」まで延出した第2の連
結溝部80hと、この前進2速レンジ「2」から軸方向内
方に延出した第5の横溝部80iと、この第5の横溝部80i
から週方向l0に平行に前進1速レンジ「1」まで延出し
た第3の連結溝部80jとから連続した状態で構成されて
いる。
尚、第1乃至第3の横溝部80b,80d,80eの夫々の延出
長さが、上述したスイツチ本体66の軸方向押し込み量と
して規定されるものであり、これら延出長さは共に同一
長さに設定されている。また、第4及び第5の横溝部80
g,80iの夫々の延出長さは、上述したスイツチ本体66の
軸方向押し込み量の丁度半分に設定されている。このよ
うにガイド溝80を構成することにより、前進1速レンジ
「1」からニユートラルレンジ「N」に向けての走行レ
ンジの切り換え、及び、後退レンジ「R」から前進ドラ
イブレンジ「D」に向けての走行レンジの切り換え動作
は、単に、スイツチ本体66を回動させる1動作のみで実
行することが出来ることになる。しかしながら、ニユー
トラルレンジ「N」からパーキングレンジ「P」までの
走行レンジの切り換え、パーキングレンジ「P」と後退
レンジ「R」との間の走行レンジの切り換え、並びに、
前進ドライブレンジ「D」から前進1速レンジ「1」ま
での走行レンジの切り換え動作は、各レンジを通過毎
に、一旦、スイツチ本体66を軸方向に沿つて押し込み動
作しつつ、回動させると言う2動作が必要となる。
この結果、上述したスイツチ本体66の回動動作のみで
は、ニユートラルレンジ「N」から後退レンジ「R」へ
の走行レンジの切り換え、後退レンジ「R」とパーキン
グレンジ「P」との間の走行レンジの切り換え動作、及
び、前進ドライブレンジ「D」から前進1速レンジ
「1」までの走行レンジの切り換え動作は不可能とな
り、不用意に、これら切り換え動作が行なわれることが
確実に防止されることとなり、安全走行状態が確保され
ることとなる。
特に、この一実施例においては、前進ドライブレンジ
「D」から前進2速「2」に走行レンジを切り換える際
において、一旦、スイツチ本体66を軸方向に沿つて押し
込み動作しつつ、回動させると言う2動作が必要とな
る。換言すれば、ニユートラルレンジ「N」からスイツ
チ本体66を強い操作力で押し下げたとしても、走行レン
ジは、前進ドライブレンジ「D」を通り過ぎて、前進2
速レンジ「2」に過つて設定される事が確実に防止され
る事になる。例えば、高速走行中において、走行レンジ
をニユートラルレンジ「N」に入れて、慣性走行をする
状態から、前進ドライブレンジ「D」を切り換え設定す
る場合において、過つて前進2速レンジ「2」が設定さ
れて、エンジン回転数が過度に高められ、エンジンが壊
れる事が有効に防止される事になる。
尚、前進ドライブレンジ「D」から前進2速レンジ
「2」への走行レンジの切り換え動作は、例えば、山道
走行においては頻繁に実行されるものであり、この一実
施例においては、前進ドライブレンジ「D」から前進2
速レンジ「2」への走行レンジの切り換え動作時におけ
るスイツチ本体66の軸方向の押し込み量を、ニユートラ
ルレンジ「N」から後退レンジ「R」への走行レンジの
切り換え、後退レンジ「R」とパーキングレンジ「P」
との間の走行レンジの切り換え動作時におけるスイツチ
本体66の軸方向の押し込み量の丁度半分になるように設
定して、僅かな押し込み量で走行レンジを切り換えられ
るようにして、その操作性を確保し、比較的容易に、前
進2速レンジ「2」が設定されるようにしている。
また、第8図に示すように、前進2速レンジ「2」と
ニユートラルレンジ「N」との間のガイド溝80の取付リ
ング64の内周面からの深さは、上述したデイテント穴76
P,76R,76N,76D,762,761の取付リング64の内周面からの
深さを各々規定する第1の深さh1よりも僅かに浅く設定
された第2の深さh2を有するように設定され、一方、前
進2速レンジ「2」と前進1速レンジ「1」との間のガ
イド溝80及びニユートラルレンジ「N」とパーキングレ
ンジ「P」との間のガイド溝80の深さは、上述した第2
の深さh2よりも浅い第3の深さh3を有するように設定さ
れている。
この結果、第8図から明かなように、前進1速レンジ
「1」、後退レンジ「R」、パーキングレンジ「P」に
おける夫々のデイテント穴761,76P,76Rの実質的な深さ
(=h1−h3)は、ニユートラルレンジ「N」、前進ドラ
イブレンジ「D」、前進2速レンジ「2」における夫々
のデイテント穴76N,76D,762の実質的な深さ(=h1
h2)より深くなる。
このようにして、この一実施例においては、各走行レ
ンジ設定位置において、ガイドピン82が対応するデイテ
ント穴76に嵌入することにより、操作停止位置がデイテ
ントされ、運転者は、自らが操作したスイツチ本体66の
停止状態をデイテント感に基づく感触により確認するこ
とが出来ることとなる。
また、この一実施例によれば、前進1速レンジ
「1」、後退レンジ「R」、パーキングレンジ「P」が
夫々設定された状態から、スイツチ本体66を回動し始め
るために必要な回転起動力は、ニユートラルレンジ
「N」、前進ドライブレンジ「D」、前進2速レンジ
「2」が夫々設定された状態から回転し始めるために必
要な回転起動力と比較して、大きな力が必要となるもの
である。換言すれば、運転者は、軽い回動起動力で、ニ
ユートラルレンジ「N」、前進ドライブレンジ「D」、
前進2速レンジ「2」との間で自由に走行レンジの切り
換え動作を行なうことが出来ることとなり、一方、前進
1速レンジ「1」、後退レンジ「R」、パーキングレン
ジ「P」の設定状態を他の走行レンジに切り換えさせる
場合には、対応する深いデイテント穴761,76N,76Pから
抜け出るために強い回動起動力が必要となり、本当に、
この切り換え動作を行なう必要が有るのかとの注意が喚
起されることになり、誤操作が未然に防止されることに
なる。
一方、このガイド溝80に嵌合するガイドピン82は、第
7図に示すように、突出端部の先端が丸められたピン本
体82aと、軸方向略中央部に外方フランジ部82bとから一
体的に形成されている。また、このガイドピン82は、移
動部66dの外周面に形成された凹所84に外方フランジ部8
2bより内方部分が挿入された状態で取り付けられてい
る。ここで、この凹所84は、開口部において、上述した
外方フランジ部82bよりも径大に設定された凹所本体84a
と、この凹所本体84aの開口部に形成され、外方フラン
ジ部82bが丁度挿通されるように設定された径少な内方
フランジ部84bとから構成されている。即ち、この凹所8
4は開口部が狭められた段付き穴から構成されている。
この凹所84内には、上述した段部(即ち、内方フラン
ジ部84bの内端面)に当接し、ピン本体82aの外方フラン
ジ部82bより内方部分が挿通される開口が中央に形成さ
れた係止リング86が収納されている。一方、この凹所84
内には、ガイドピン82の内端面に当接し、これを凹所84
から突出する方向に偏倚するように付勢する第1のコイ
ルスプリング88と、係止リング86の内表面に当接し、こ
れを内方フランジ部84bの段部に圧接するように付勢す
る第2のコイルスプリング90とが互いに独立した状態で
収納されている。
ここで、第9図の(A)に示すように、ガイドピン82
が各デイテント穴761,762,76D,76N,76R,76Pに入り込ん
でその位置を係止された状態において、換言すれば、ガ
イドピン82の先端が、取付リング64の内周面から深さh1
の面に当接する状態において、ガイドピン82の外方フラ
ンジ部82aは、段部に当接した係止リング86から(h1−h
2)の距離だけ離間するように設定されている。この結
果、第9図の(B)に示すように、前進2速レンジ
「2」とニユートラルレンジ「N」との間のガイド溝80
の底面にガイドピン82の先端が当接する状態において、
各デイテント穴761,762,76D,76N,76R,76Pに嵌入する状
態から、(h1−h2)の距離だけスイツチ本体66の半径方
向内方に押し込められることとなる。
この押し込み動作に際して、外方フランジ部82bは係
止リング86に当接するのみで、これを内方に押し込むこ
とがない。この結果、この押し込み動作に要する押し込
み力は、ガイドピン82にのみ係合する第1のコイルスプ
リング88の付勢力に抗する力であれば良い。
一方、第9図の(C)に示すように、ニユートラルレ
ンジ「N」とパーキングレンジ「P」との間、及び、前
進2速レンジ「2」と前進1速レンジ「1」との間のガ
イド溝80の底面にガイドピン82の先端が当接する状態
で、各デイテント穴761,762,76D,76N,76R,76Pに嵌入す
る状態から、(h1−h3)の距離だけスイツチ本体66の半
径方向内方に押し込められることとなる。ここで、上述
した説明から明かなように、 (h1−h3)>(h1−h2) であるので、この押し込み動作に際して、外方フランジ
部82bは係止リング86に当接して、更にこれを内方に押
し込むこととなる。
この結果、この押し込み動作に要する押し込み力は、
ガイドピン82に係合する第1のコイルスプリング88の付
勢力に抗する力と、係止リング86に係合する第2のコイ
ルスプリング90の付勢力との合計の付勢力に抗する力が
必要となるものである。
このようにして、この一実施例によれば、前進2速レ
ンジ「2」とニユートラルレンジ「N」との間で走行レ
ンジを切り換えるべくスイツチ本体66を回動させる(ガ
イドピン80をガイド溝82に沿つて摺動させる)際におい
て、ガイドピン80とガイド溝82との接触力(即ち、摩擦
係合力)は第1のコイルスプリング88に対抗する力のみ
で規定されることとなり、回動操作力は比較的弱くて済
むことになる。
しかしながら、ニユートラルレンジ「N」とパーキン
グレンジ「P」との間、及び、前進2速レンジ「2」と
前進1速レンジ「1」との間で走行レンジを切り換える
際において、ガイドピン80とガイド溝82との接触力は第
1及び第2のコイルスプリング88,90の付勢力に対抗す
る力で規定されることとなり、回動操作力は大きなもの
が要求されることとなる。この結果、第10図に示すよう
に、回動操作力にも強弱が与えられ、上述したデイテン
ト穴76の深さの相違に基づくスイツチ本体66の停止位置
からの回動起動力の差と相まつて、本当に、この切り換
え動作を行なう必要が有るのかとの注意が喚起されるこ
とになり、誤操作が確実に防止されることになる。
以上のように構成された操作スイツチ18は、上述した
ように、ステアリングコラム58の左側面に取り付けられ
ているものであるが、詳細には、第5図に示す運転状
態、即ち、運転者が両肘を備え付けのアームレスト92
(右肘用のアームレストは図面の都合上図示されていな
い。)に夫々掛けて、リラツクスした姿勢で両手でステ
アリングホイール56の所謂8時20分の位置を握つて運転
する状態において、第11図に示すように、左手の中指を
伸ばして、これが届く位置に、前進1速走行レンジ
「1」からニユートラルレンジ「N」までの範囲に位置
する指操作部68がもたらされるように設定されている。
換言すれば、上述した状態(姿勢)において、左手中
指の回動半径をl1(例えば、130mm)とし、指操作部68
の回動半径をl2とすると、中指の先端の回動軌跡と、前
進1速走行レンジ「1」からニユートラルレンジ「N」
までの範囲に位置する指操作部68の先端の回動軌跡とが
交わるように、操作スイツチ18の回動中心とステアリン
グホイール56の左手の握り位置との間の距離l3が規定さ
れている。即ち、以下の不等式(1)が満足される範囲
に、l3は規定されている。
l3<l1+l2 …(1) このように式(1)を規定することにより、この一実
施例においては、第12図に示すように、前進ドライブレ
ンジ「D」にある指操作部58の先端とステアリングホイ
ール56との間の距離l6は、110mmに設定されている。
また、この第11図に示すように、後退レンジ「R」に
ある指操作部68の先端とステアリングホイール56との間
の距離をl4とすると、この距離l4は以下の不等式(2)
が満足される範囲に規定されており、この一実施例にお
いては、130mmに設定されている。
l4≧l1 …(2) ここで、上述した所の、ニユートラルレンジ「N」と
後退レンジ「R」との間を隔てる間隔d2は、上述した不
等式(2)をも満足するように規定されている。
このように、この一実施例においては、操作スイツチ
18の配設位置は規定されているので、運転者は、両手で
ステアリングホイール56を握つたままの状態で、左手の
中指を伸ばして、操作スイツチ18の指操作部68を上か
ら、または、下から叩くように操作することにより、ス
イツチ本体66を前進1速レンジ「1」とニユートラルレ
ンジ「N」との間で、自由にしかも瞬時に切り換えるこ
とが出来ることになる。この結果、走行中における走行
レンジの切り換えは、両手でステアリングホイール56を
握つたままの状態で行なうことが出来ることとなり、安
全走行状態が確実に達成されることとなる。
また、この一実施例においては、左手がステアリング
ホイール56を握つた状態において、例え中指を伸ばした
としても、後退レンジ「R」が指操作部68の操作可能範
囲外にあるので、ニユートラルレンジ「N」から後退レ
ンジ「R」に切り換え操作することが不可能となる。こ
の結果、前進走行中において、指操作部68を中指で叩く
ことにより自由に走行レンジを前進1速レンジからニユ
ートラルレンジ「N」の間で切り換え操作している間に
おいて、間違つて、後退レンジ「R」が設定される事態
が確実に回避されることとなり、走行レンジの切り換え
動作における安全性が、上述した2動作の要求と相まつ
て確実に担保されることになる。
また、後退レンジ「R」またはパーキングレンジ
「P」に切り換えるためには、必ず、左手をステアリン
グホイール56から離さなければならないことになるた
め、後退レンジ「R」またはパーキングレンジ「P」へ
の切り換え動作が、心理的に抑制され、後退レンジ
「R」またはパーキングレンジ「P」への切り換え動作
に際して誤操作が未然に防止されることになり、安全走
行がこの観点からも担保されることとなる。
ここで、第11図に示すように、ワイパ操作レバー62
は、操作スイツチ18の上方であつて、これよりも距離l5
だけ後方に位置するように配設されている。従つて、ワ
イパ操作レバー62を操作する場合には、左手のステアリ
ングホイール56における握り位置を、所謂8時方向位置
(図中、符合Aで示す。)から所謂10時方向位置(図
中、符合Bで示す。)に握り換える必要が生じる。即
ち、操作スイツチ18の回動半径l1での操作回動範囲と、
ワイパ操作レバー62の回動半径l7での操作回動範囲と
は、互いに異なることとなる。
この結果、この一実施例においては、操作スイツチ18
の指操作部68を下方から叩き上げて、例えば、前進2速
レンジ「2」から前進ドライブレンジ「D」にレンジ切
り換えを行なう場合において、勢い余つて、中指が上方
に振り上げられたとしても、ワイパ操作レバー62を操作
することが無く、操作の確実性が担保されることとな
る。また、ワイパ操作レバー62を上方から押し下げて、
例えば、間欠ワイパモードを設定する場合においても、
この押し下げ動作が勢い余つて、指が下方まで振り下さ
れたとしても、操作スイツチ18の指操作部68に触れる虞
がないので、運転者は安心して、ワイパ操作レバー62を
操作することが出来るものである。
更に、この一実施例においては、操作スイツチ18にお
いて、第13図に示すように、後退レンジ「R」は、スイ
ツチ本体66の外周面であつて、ステアリングホイール56
側で接する垂直線Vより距離l8だけ前方に位置する指操
作部68により規定されるように設定されている。換言す
れば、この後退レンジ「R」は、操作スイツチ18とステ
アリングホイール56との間に立つた状態(鋭角に曲げら
れた状態)で入り込んだ膝が絶対に届かない位置に指操
作部68を介してスイツチ本体66が回動することにより規
定されるように設定されている。換言すれば、この後退
レンジ「R」は、上述した不等式(2)で示された条件
の他に、ここで説明したような膝の届かない位置に設定
される条件が加えられた位置に配設されている。
即ち、通常の運転姿勢においては、第14図に実線で示
すように、左足の膝は、決して、操作スイツチ18に届か
ないものであるが、正面衝突時や急ブレーキ作動時にお
いて、運転者がシートベルトを付けていない場合には、
自身に作用する急加速度に基づき、体が全体的に前方に
押し出されることにより、第14図に一点鎖線で示すよう
に、運転者の左足の膝が操作スイツチ18とステアリング
ホイール56との間で立つ姿勢が強制的に達成される虞が
ある。このような膝が立つた姿勢においては、この膝に
より、操作スイツチ18の指操作部68が上方に押し込めら
れ、スイツチ本体66が例えば前進ドライブレンジ「D」
から後退レンジ「R」に向けて強制的に回動されること
となる事態が発生することになる。
この場合、上述したように、前進ドライブレンジ
「D」からニユートラルレンジ「N」へは、単に、スイ
ツチ本体66の回動動作のみで切り換えられることになる
が、ニユートラルレンジ「N」から後退レンジ「R」へ
は、単にスイツチ本体66を回動操作するのみでは切り換
え動作は行なわられず、一旦、スイツチ本体66を軸方向
に沿つて内方に押し込んだ状態で、回動させなければな
らない2動作が要求されている。このため、通常の膝立
ち状態では、ガイドピン82がガイド溝82の第1の横溝部
80bを規定する端壁に当接するのみで、スイツチ本体66
はニユートラルレンジ「N」を規定する位置に保持さ
れ、後退レンジ「R」へは切り換えられ得ない事とな
る。
しかしながら、上述したような正面衝突時や急ブレー
キ時においては、上述した膝立ち状態は、強い力で達成
されることになるので、場合により、ガイドピン82は上
述した端壁を強い力で乗り越えて、後退レンジ「R」が
不本意にも設定されるようにスイツチ本体66が回動して
しまう虞がある。
この結果、例えば急ブレーキが掛けられた時に、立つ
た膝により操作スイツチ18がニユートラルレンジ「N」
から回動して、後退レンジ「R」に回動動作のみで強制
的に切り換えられたとすると、車両はブレーキにより一
旦停止した後、後退レンジ「R」の設定に基づき、引き
続き後退動作を開始することになり、危険である。
しかしながら、この一実施例においては、上述したよ
うに、後退レンジ「R」は、立つた膝が届かない位置に
設定されているので、例え、急加速度が運転者に作用し
て、膝が立つたとしても、最悪の場合でも、ニユートラ
ルレンジ「N」が設定されるのみで、決して後退レンジ
が設定されることなく、安全走行状態が確保されること
となる。
尚、第15図に示すように、運転者における最適なステ
アリングホイール把持姿勢を取ることが出来るようにす
るために、このステアリングホイール56には、二点鎖線
で示すように軸方向に沿つてスライド可能な所謂テレス
コピツク機構や、一点鎖線で示すように上下に移動可能
な所謂チルト機構が、詳細は図示していないが設けられ
ている。ここで、この一実施例においては、例えば、テ
レスコピツク機構が作動した場合において、ステアリン
グホイール56のみがステアリングコラム58から軸方向に
沿つて進退したり、チルト機構が作動した場合におい
て、ステアリングホイール56のみがステアリングコラム
58から上下動するのではなく、ステアリングコラム58も
ステアリングホイール56と一体的に移動するように設定
されている。
この結果、この一実施例においては、操作スイツチ18
とステアリングホイール56との相対位置関係は常に一定
に保持され、例え、ステアリングホイール56がテレスコ
ピツクされようが、チルトされようが、上述したような
両手でステアリングホイール56を握つた状態での走行レ
ンジの切り換え動作が確実に実行されることとなる。
ここで、再び第2図に示すように、速度計や回転計が
設けられたインスツルメントパネル94の一部には、操作
スイツチ18により設定された走行レンジに基づき、現在
設定された走行レンジを表示するための走行レンジイン
ジケータ96が設けられている。この走行レンジインジケ
ータ96においては、現在設定されている走行レンジに相
当する英数字が点灯するように設定されている。また、
この走行レンジインジケータ96の近傍には、制御ユニツ
ト30において、例えば、操作スイツチ18において指示さ
れた走行レンジと、インヒビタスイツチ32で設定された
走行レンジとが異なる場合に、フエイルであると判断し
て、フエイル発生状態を運転者に認識させるためのA/T
ワーニングランプ98が設けられている。
以上のように構成される操作装置10において、以下
に、運転者による操作スイツチ18を操作しての走行レン
ジ切り換え動作を説明する。
先ず、操作スイツチ18においてパーキングレンジ
「P」が設定されて、車両が停止している状態におい
て、運転者が図示しないドアを空けて車室内に入り込
み、第5図に示すように、運転席にゆつくりと着座し
て、図示しないブレーキペダルを踏み込んだ状態で、右
手で図示しないイグニツシヨンスイツチを回して、エン
ジン14を起動させる。この後、左手をステアリングホイ
ール56を握らずに、操作スイツチ18のスイツチ本体66を
握り込んで、これをコイルスプリング66gの付勢力に抗
して軸方向内方に押し込むことにより、パーキングレン
ジ「P」に対応するデイテント穴76Pからガイドピン82
は抜け出て、第3の横溝部80e内を摺動し、連結溝部80f
の内端部に到達して押し込み動作が停止する。この後
に、スイツチ本体66を下方に回動することにより、ガイ
ドピン82は第1の連結溝部80f内を摺動して、第2の横
溝部82dの内端部に到達して回動動作が停止する。
この後、スイツチ本体66の押し込み力を解除すること
により、コイルスプリング66gの付勢力により、スイツ
チ本体66は全体として軸方向外方に偏倚され、ガイドピ
ン82は第2の横溝部80d内を摺動して、後退レンジ
「R」に対応するデイテント穴76R内に嵌入して停止す
る。このようにして、後退レンジ「R」が切り換え設定
される。
ここで、車両を後退させる場合には、この後退レンジ
「R」が設定された状態でブレーキペダルから足を離
し、アクセルペダルを踏み込むことにより、車両は後退
することとなる。一方、車両を前進させる場合には、再
び、スイツチ本体66を左手で握り込んで下方に回動する
ことにより、ガイドピン82は、傾斜溝部80c内を摺動し
て、第1の横溝部80bの内端部に到達して停止し、引き
続き、コイルスプリング66gの付勢力により、スイツチ
本体66は軸方向外方に偏倚され、ガイドピン82は第1の
横溝部80b内を摺動して、ニユートラルレンジ「N」に
対応するデイテント穴76N内に嵌入して停止する。この
ようにして、ニユートラルレンジ「N」が切り換え設定
される。
このようにニユートラルレンジ「N」が設定された状
態において、運転者は両手の肘をアームレスト92に夫々
掛けて、ステアリングホイール56の所謂8時20分方向位
置を握り、運転姿勢を取ることになる。そして、上述し
たように、このニユートラルレンジ「N」と前進2速レ
ンジ「2」との間の走行レンジの切り換え動作は、単
に、指操作部68を叩いて、スイツチ本体66を回動駆動す
れば良いものである。従つて、運転者は両手でステアリ
ングホイール56を握つた状態を維持しつつ、左手の中指
を伸ばして、ニユートラルレンジ「N」の設定位置か
ら、更に、指操作部68を下方に叩くことになる。この叩
き下げ操作により、ガイドピン82はニユートラルレンジ
「N」に対応するデイテント穴76N内から軽く抜け出
て、直線溝部80a内を摺動して、前進ドライブレンジ
「D」に対応するデイテント穴76D内に嵌入して停止す
る。このようにして、前進ドライブレンジ「D」が極め
て容易に切り換え設定されることとなる。
このように前進ドライブレンジ「D」が設定された状
態で、運転者はブレーキペダルから足を離し、アクセル
ペダルを踏み込むことにより、車両は自動変速された状
態で前進駆動されることとなる。
この後、交差点等で車両を停止させた状態で、ニユー
トラルレンジに切り換え設定する場合には、運転者は両
手でステアリングホイール56を握つた状態で、左手の中
指を伸ばし、操作スイツチ18の指操作部68を下方から叩
き上げることにより、ガイドピン82は前進ドライブレン
ジ「D」に対応するテイテント穴76D内から軽く抜け出
て、直線溝部80a内を摺動して、ニユートラルレンジ
「N」に対応するテイテント穴76N内に嵌入して停止す
る。このようにして、ニユートラルレンジ「N」が切り
換え設定されることとなる。
一方、前進走行中において、例えば長い下り坂にかか
り、軽いエンジンブレーキを必要とする場合には、運転
者は両手でステアリングホイール56を握つた状態で、左
手の中指を伸ばし、操作スイツチ18の押込み部70をコイ
ルスプリング66gの付勢力に抗して軸方向内方に押し込
むことにより、前進ドライブレンジ「D」に対応するデ
イテント穴76Dからガイドピン82は抜け出て、第4の横
溝部80g内を摺動し、第2の連結溝部80hの上端部に到達
して押し込み動作が停止する。この後に、押込み部70を
押し込んでいた中指で指操作部68を下方に回動する(即
ち、上方から叩き下げる)ことにより、ガイドピン82は
第2の連結溝部80h内を摺動して、前進2速レンジ
「2」を規定するデイテント穴762内に嵌入して停止す
る。このようにして、前進ドライブレンジ「D」から前
進2速レンジ「2」が切り換え設定されることとなる。
また、前進2速レンジが設定された状態での前進走行
中において、例えば急な下り坂にかかり、強いエンジン
ブレーキを必要とする場合には、運転者は両手でステア
リングホイール56を握つた状態で、左手の中指を伸ば
し、操作スイツチ18の押込み部70をコイルスプリング66
gの付勢力に抗して軸方向内方に押し込むことにより、
前進2速レンジ「2」に対応するデイテント穴762から
ガイドピン82は抜け出て、第5の横溝部80i内を摺動
し、第3の連結溝部80jの上端部に到達して押し込み動
作が停止する。この後に、押込み部70を押し込んでいた
中指で指操作部68を下方に回動する(即ち、上方から叩
き下げる)ことにより、ガイドピン82は第3の連結溝部
80j内を摺動して、前進1速レンジ「1」を規定するデ
イテント穴761内に嵌入して停止する。このようにし
て、前進1速レンジ「1」が切り換え設定されることに
なる。
このように、前進2速レンジ「2」や前進1速レンジ
「1」を設定することによりエンジンブレーキは達成さ
れることになるが、このようなエンジンブレーキが高速
走行中において誤操作により設定されると、安定走行性
が損なわれる虞がある。このため、この一実施例では、
既に説明したように、前進ドライブレンジ「D」から前
進2速レンジ「2」に切り換えられる場合、及び、前進
2速レンジ「2」から前進1速レンジ「1」に切り換え
る場合には、左手はステアリングホイール56を握つたま
まの状態ではあるが、操作スイツチ18の押し込みと回動
という2動作が要求されることとなり、単に、指操作部
68を回動するのみでは、前進2速レンジ「2」または前
進1速レンジ「1」が設定されないよう構成されてい
る。
この結果、前進ドライブレンジ「D」とニユートラル
レンジ「N」との間で、軽い操作力で走行レンジの切り
換え操作を実行している状態で、安易に、前進2速レン
ジ「2」及び前進1速レンジ「1」が切り換え設定され
ることが阻止されることになり、運転者はニユートラル
レンジから前進2速レンジ「2」を切り換え設定する場
合や、前記2速レンジ「2」から前進1速レンジ「1」
を切り換え設定する場合に、特別の注意力が要求され、
誤つて前進2速レンジ「2」や前進1速レンジ「1」が
切り換え設定されることが効果的に防止されることにな
る。
また、エンジンブレーキを解除すべく、前進2速レン
ジ「2」から前進ドライブレンジ「D」を切り換え設定
する場合には、運転者は両手でステアリングホイール56
を握つた状態で、左手の中指を伸ばし、操作スイツチ18
の指操作部68を上方に回動する(即ち、下方から叩き上
げる)。この回動により、ガイドピン82は前進2速レン
ジ「2」を規定するデイテント穴762から抜け出て、第
2の連結溝部80h内を摺動し、これの上端部に達し、こ
の後、スイツチ本体66はコイルスプリング66gの付勢力
により、軸方向外方に押し出され、第4の横溝部80g内
を摺動することになる。この結果、ガイドピン82は前進
ドライブレンジ「D」に対応するデイテント穴76Dに嵌
入して停止する。このようにして、前進2速レンジ
「2」から前進ドライブレンジ「D」が切り換え設定さ
れることとなる。
また、同様にして、前進1速レンジ「1」から前進2
速レンジ「2」が切り換え設定される事になる。このよ
うにして、この一実施例においては、前進2速レンジ
「2」から前進ドライブレンジ「D」、及び、前進1速
レンジ「1」から前進2速レンジ「2」を夫々切り換え
設定するに際しては、運転者は操作スイツチ18を単に上
方に向けて回動するという1動作だけて良く、容易な操
作が達成される事になる。
即ち、この一実施例においては、車両を前進走行させ
ている間においては、運転者は両手でステアリングホイ
ール56を握つた状態を維持させつつ、走行レンジを前進
ドライブレンジ「D」とニユートラルレンジ「N」の間
で変更させる場合において、単に、左手の中指を伸ばし
て操作スイツチ18の指操作部68を上方または下方から軽
く叩くようにしてスイツチ本体66を回動させることによ
り、左手をステアリングホイール56から離すことなく、
即ち、両手でステアリングホイール56を握つた状態で、
このような前進走行における走行レンジの切り換え動作
を行なうことが出来ることとなり、ステアリングホイー
ル56の操作における安全性は高い程度で達成されること
となる。
また、前進ドライブレンジ「D」から前進2速レンジ
「2」、及び、前進2速レンジ「2」から前進1速レン
ジ「1」を切り換え設定する場合には、左手の中指を伸
ばして操作スイツチ18の押込み部70を一旦軸方向に沿つ
て押し込んだ後、指操作部68を上方強く叩くようにして
スイツチ本体66を回動させることにより、左手をステア
リングホイール56から離すことなく、即ち、両手でステ
アリングホイール56を握つた状態で、このような強力な
エンジンブレーキを掛けるための走行レンジの切り換え
動作を行なうことが出来ることとなり、ステアリングホ
イール56の操作における安全性は、同様に、高い程度で
達成されることとなる。
一方、前進走行から後退させる場合には、上述した動
作により一旦ニユートラルレンジ「N」を設定した後に
おいて、左手をステアリングホイール56から離し、この
離した左手の中指で押込み部70をコイルスプリング66g
の付勢力に抗して軸方向内方に押し込み動作する。この
押し込み動作により、ニユートラルレンジ「N」に対応
するデイテント穴76Nからガイドピン82は抜け出て、第
1の横溝部80b内を摺動し、傾斜溝部80cの下端部に到達
して押し込み動作が停止した後に、指操作部68を上方に
叩くことにより、ガイドピン82は傾斜溝部80c内を摺動
して、これの上端部に到達し、後退レンジ「R」に対応
するデイテント穴76R内に嵌入して停止する。このよう
にして、後退レンジ「R」が切り換え設定されることに
なる。
また、後退レンジ「R」からパーキングレンジ「P」
に切り換える場合には、上述したパーキングレンジ
「P」から後退レンジ「R」に切り換える動作の全く逆
の動作を実行することにより、達成されることになる。
即ち、従来の車両において、変速機が手動変速式であ
ろうと、自動変速式であろうと、また、コラムシフトレ
バーを備えるタイプであろうと、フロアシフトレバーを
備えるタイプであろうと、手動変速における変速動作ま
たは自動変速における走行レンジ切り換え動作を行なう
場合には、必ず、左手をステアリングホイール56から離
して動作せざるを得ず、所謂片手運転の状態が発生し
て、安全性の観点から好ましくなかつたが、この一実施
例においては、この問題が一挙に解決され、走行レンジ
の切り換え動作に際して、左手をステアリングホイール
56から離すことなく、換言すれば、両手でステアリング
ホイール56を握り締めたままの状態でこの切り換え動作
を行なうことが出来、安全面の上で飛躍的に改良された
新規な運転動作が達成されることとなる。
また、この一実施例によれば、変速レンジを切り換え
るための操作スイツチ18は、ステアリングコラム58の左
側面に取り付けられるよう設定されていると共に、前輪
駆動方式が採用されている。この結果、運転席と助手席
との間のフロアは、略平坦に形成され得ることとなり、
運転席回りの空間が「すつきり」と整理された状態とな
る。このようにして、あたかも、この運転席が応接室の
床上に載置された様な豪華な状況が達成され、車室内の
環境が、両腕の肘を夫々アームレスト92に掛けた状態で
リラツクスした運転姿勢を取ることが出来ることと相ま
つて、非常に「ゆつたり」とした雰囲気を醸し出すこと
となり、余裕のある安全な運転状況が自然と達成される
こととなる。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明によれば、走行レンジの
切り換え動作において、前進走行レンジとニュートラル
レンジとの間の走行レンジの切り換え動作が、スイッチ
を中心軸線に沿った方向に移動させることなく、回動す
ることにより行われるように設定されていると共に、ニ
ュートラルレンジと後退レンジとの間の走行レンジの切
り換え動作が、スイッチを一旦前記中心軸線に沿って移
動させた状態でのみ回動操作が可能に設定されているこ
とにより、変速操作を行なうのに際して安全に車両を走
行させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明に係わる車両用自動変速機の操作装置
の一実施例が適用される電動式走行レンジ切換装置の構
成を概略的に示す構成図; 第2図は第1図に示す駆動モータを制御系の接続状態を
示す結線図; 第3図は車室内における操作スイツチ及び手動駆動機構
の配設位置を示す斜視図; 第4図は操作スイツチの配設状態を、運転席に着座した
運転者から見た状態で示す正面図; 第5図は操作スイツチの配設状態を左側方から見た状態
で示す側面図; 第6図は操作スイツチの外観構成を示す斜視図; 第7図は操作スイツチの内部構成を、ガイド溝の形成パ
ターンと共に示す断面図; 第8図は取付リングに形成されたガイド溝の深さ形状を
示す断面図; 第9図はガイドピンの押し込み状態を示す断面図; 第10図は走行レンジを切り換える際の、操作スイツチの
操作力の相違する状態を示す線図; 第11図及び第12図は、夫々、操作スイツチの配設状態を
示す斜視図及び側面図; 第13図は後退レンジの設定位置を説明する側面図; 第14図は運転者の左足の膝の立つた状態を説明する側面
図;そして、 第15図はテレスコピツク機構やチルト機構が作動した場
合におけるステアリングホイールと操作スイツチの位置
関係を示す側面図である。 図中、10……操作装置、12……自動変速機、14……エン
ジン、16……油圧バルブ、18;18′……操作スイツチ、2
0……電動式走行レンジ切換装置、22……駆動モータ、2
4……駆動軸、26……回転アーム、28……連結ワイヤ、3
0……制御ユニツト、32……インヒビタスイツチ、32a…
…旋回アーム、34……クラツチ機構、36……ロータリエ
ンコーダ、38……手動駆動機構、40……回動板、42……
ピニオンギヤ、44……ラツク部材、46……第1の補助連
結ワイヤ、48……レンチ、50……切り換えレバー、52…
…第2の補助ワイヤ、54……カウルパネルロア、54a…
…蓋部材、56;56′……ステアリングホイール、56a;56
b;56c;56d;56e……スポーク、58……ステアリングコラ
ム、60……方向指示レバー、62……ワイパ操作レバー、
64……取付リング、66……スイツチ本体、66a……外方
フランジ部、66b……軸部、66c……接触ロツド、66d…
…移動部、66e……透孔、66f……係止ナツト、66g……
コイルスプリング、66h……凹部、66i……目隠し板、68
……指操作部、70……押込み部、72……ホールドボタ
ン、74……モード切り換えボタン、76……デイテント機
構、761;762;76D;76N;76R;76P……デイテント穴、78…
…規制機構、80……ガイド溝、80a……直線溝部、80b…
…第1の横溝部、80c……傾斜溝部、80d……第2の横溝
部、80e……第3の横溝部、80f……第1の連結溝部、80
g……第4の横溝部、80h……第2の連結溝部、80i……
第5の横溝部、80j……第3の連結溝部、82……ガイド
ピン、82a……ピン本体、82b……外方フランジ部、84…
…凹所、84a……第1の部分、84b……第2の部分、86…
…係止リング、88……第1のコイルスプリング、90……
第2のコイルスプリング、92……アームレスト、94……
インスツルメントパネル、96……走行レンジインジケー
タ、98……A/Tワーニングランプである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平林 繁文 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 牧野 耕樹 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 道平 修 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−136522(JP,A) 実開 平3−36555(JP,U) 実開 昭61−29937(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60K 20/00 - 20/08 F16H 59/00 - 59/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】自動変速機の走行レンジを後退レンジ、ニ
    ュートラルレンジ、前進走行レンジのいずれかに切り換
    えるための油圧バルブを駆動するアクチュエータと、 このアクチュエータを制御する制御手段と、 この制御手段にレンジ切り換え指令を出力する変速操作
    手段とを備えた車両用自動変速機の変速操作装置におい
    て、 前記変速操作手段は、ステアリングコラムの側面に取り
    付けられたストローク接点式のスイッチを備え、 このスイッチは、ステアリングホイールの側縁部に手を
    掛けたままの状態で、この手の指により、少なくとも前
    進走行レンジを切り換え操作可能な位置でステアリング
    コラムに配設され、 前記スイッチは、自身の中心軸線まわりに回動可能であ
    ると共に、前記中心軸線に沿って移動可能に構成され、 前進走行レンジとニュートラルレンジとの間の走行レン
    ジの切り換え動作が、前記スイッチを前記中心軸線に沿
    った方向に移動させることなく、回動することにより行
    われるように設定されていると共に、ニュートラルレン
    ジと後退レンジとの間の走行レンジの切り換え動作が、
    前記スイッチを一旦前記中心軸線に沿って移動させた状
    態でのみ前記回動操作が可能に設定されていることを特
    徴とする車両用自動変速機の操作装置。
  2. 【請求項2】前記スイッチは、 パーキングレンジ、後退レンジ、ニュートラルレンジ、
    前進ドライブレンジ、前進2速レンジ、前進1速レンジ
    が順次規定された移動経路をストローク移動可能なスイ
    ッチ本体と、 このスイッチ本体から少なくとも前進走行レンジ位置に
    おいてステアリングホイールに向かって突出し、前記指
    に係合して、前記スイッチ本体を前記中心軸線まわりに
    回動せしめる指操作部と、 前記スイッチ本体から少なくとも前進走行レンジ位置に
    おいてステアリングホイールに向かって突出し、前記指
    に係合して、前記スイッチ本体を前記中心軸線に沿って
    移動せしめる押し込み部とを備えていることを特徴とす
    る請求項1に記載の車両用自動変速機の操作装置。
  3. 【請求項3】前記スイッチにおいて、パーキングレンジ
    と後退レンジとの間の走行レンジの切り換え動作、ニュ
    ートラルレンジから後退レンジへの走行レンジの切り換
    え動作、及び、前進ドライブレンジから前進2速レンジ
    への走行レンジの切り換え動作は、前記スイッチ本体
    を、一旦、前記中心軸線に沿って移動させた状態での
    み、前記回動動作が許容されるように設定されているこ
    とを特徴とする請求項2に記載の車両用自動変速機の操
    作装置。
  4. 【請求項4】前記スイッチにおいて、パーキングレンジ
    と後退レンジとの間の走行レンジの切り換え動作、及
    び、ニュートラルレンジから後退レンジへの走行レンジ
    の切り換え動作は、ステアリングホイールに手を掛けた
    手の指により操作不能な範囲で設定されていることを特
    徴とする請求項3に記載の車両用自動変速機の操作装
    置。
  5. 【請求項5】前記スイッチにおいて、前進ドライブレン
    ジと前進1速レンジとの間の走行レンジの切り換え動作
    は、ステアリングホイールに掛けた手の指により操作可
    能な範囲で設定されていることを特徴とする請求項4に
    記載の車両用自動変速機の操作装置。
  6. 【請求項6】前記スイッチにおいて、前進ドライブレン
    ジと前進2速レンジとの間の走行レンジの切り換え動作
    における前記中心軸線に沿う押し込み移動量は、パーキ
    ングレンジと後退レンジとの間の走行レンジの切り換え
    動作、及び、ニュートラルレンジから後退レンジへの走
    行レンジの切り換え動作における前記中心軸線に沿う押
    し込み移動量よりも小さく設定されていることを特徴と
    する請求項5に記載の車両用自動変速機の操作装置。
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