JP2927365B2 - 定着装置および該定着装置を用いる画像記録装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、記録した被記録材上の画像の定着を促進す
るための定着装置、および該定着装置を備えた画像記録
装置に関する。

〔従来の技術〕

プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像記録装置
は、画像情報に基づいて、紙やプラスチック薄板等の被
記録材上に画像を形成していく記録部を備えている 前記画像記録装置は、記録ヘッドの種類により、イン
クジェット式、ワイヤドット式、サーマル式、レーザー
ビーム式等に分けることができる。

そのうち、特に、インクジェット式のものは、記録ヘ
ッドから被記録材にインクを吐出させて記録を行なうよ
うに構成されており、高精細な画像を高速で記録するこ
とができ、ノンインパクト方式であるため騒音が少な
く、しかも、多色のインクを使用してカラー画像を記録
するのが容易であるなどの利点を有している。

上記画像記録装置のうちでも、特にインクジェット式
の画像記録装置では、例えば、OHPシートのようにイン
クの定着速度が遅い被記録材に記録を行なう場合を考慮
して、記録画像の定着を促進するための定着手段を設け
ることが行われている。

第10図は、従来の画像記録装置における定着手段の構
成例を示す模式的側面図である。

第10図において、従来の画像記録装置における定着手
段は、記録部のプラテン62の裏側にインク定着用のヒー
ター61を配置し、記録された被記録材Ｐを該ヒーターで
加熱してインクを定着させることにより、被記録材Ｐが
排出された時点では、記録面を直接指で触っても画像が
乱れることがないように構成されていた。

〔発明が解決しようとする技術的課題〕

しかしながら、上記従来例では、インクの定着速度が
速い通常紙の場合にも不必要なヒーターが装置本体内に
組み込まれることになるので、ヒーターの設置スペース
のために画像記録装置の本体が大型化したり、ヒーター
やその制御回路等のためにコストアップになっていた。

さらに、第10図のような構成では、ヒーター61の加熱
によってOHPシート等に記録されたインクが蒸発し、そ
の水蒸気が記録ヘッド66に当たって吐出口66aで結露す
る場合があり、これによって、記録品位が低下したり、
記録不能になるなどの不具合が発生することもあった。

本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたもの
であり、本発明の目的は、画像記録装置の本体の大型化
およびコストアップを生じることなく、定着を必要とす
る被記録材の場合でも確実に定着を促進させることがで
き、しかも、記録ヘッドでの結露等による記録品位の低
下を無くし得る、定着装置および該定着装置を用いる画
像記録装置を提供することである。

〔課題解決のための手段〕

本発明の定着装置は、画像記録装置により出力された
被記録材に記録された画像の定着を促進するための定着
手段と、前記被記録材を搬送するための搬送手段と、画
像記録装置の被記録材積載用カセットの装着部に対して
着脱可能な結合手段とを有し、被記録材積載用カセット
に代えて取り付け可能である構成とすることにより、上
記目的を達成するものである。

また、本発明は、記録ヘッドにより被記録材に記録す
る記録部と被記録材を搬送するための搬送手段とを有す
る画像記録装置において、被記録材積載用カセットの装
着部に対して定着装置を着脱可能にし、前記被記録材積
載用カセットに代えて前記定着装置を装着する構成とす
ることにより、上記目的を達成するものである。

〔実施例〕

以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。

第４図は本発明による画像記録装置の一実施例を示す
縦断面図である。

第４図において、着脱可能な被記録材積載用カセット
１は、画像記録装置３の装着部４より、記録材のガイド
５の下部5aに突き当たるまで挿入することにより、画像
記録装置３の内部にセットされている。

被記録材積載用カセット１に積載された被記録材２
は、給紙ローラ７を回動させることにより、分離爪８に
よって１枚に分離され、ガイド５およびガイド６の間を
通して副走査ローラ対９へ送給される。

この被記録材２は、副走査ローラ対９により、プラテ
ン11上に沿って記録幅づつ間欠送りされる。

プラテン11に対向する位置には、ガイドレール10aに
沿って被記録材２の幅方向に往復移動する記録ヘッド10
が設けられており、画像信号に応じて該記録ヘッド10か
らインクを吐出するすることにより、記録幅づつ記録さ
れ、排紙ローラ対12によって順次排紙トレイ13上へ排出
される。

OHPシートなど、カセット給紙に適さない被記録材や
カセット１内に入れていないサイズの被記録材は、手差
しトレイ14より挿入され、手差し搬送ローラ対15によっ
て副走査ローラ対９へ送給され、以下、前述のカセット
１から給紙される被記録材２の場合と同様の手順で記録
され、排紙トレイ13上に排出される。

なお、前記記録ヘッド10は、熱エネルギーを利用して
インクを吐出するインクジェット記録ヘッドであって、
熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えたも
のである。

また、前記インクジェット記録ヘッド10は、前記電気
熱変換体によって印加される熱エネルギーにより生じる
膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる状態変化
を利用して、吐出口よりインクを吐出させ、記録を行な
うものである。

第６図は、第１図および第４図中の記録ヘッド10のイ
ンク吐出部（記録部）の構造を模式的に示す部分斜視図
である。

第６図において、被記録材に所定の隙間（例えば、約
0.5〜2.0mm程度）をおいて対面する吐出口面41には、所
定のピッチで複数の吐出口42が形成され、共通液室43と
各吐出口42とを連通する各液路44の壁面に沿ってインク
吐出用のエネルギーを発生するための電気熱変換体（発
熱抵抗体など）45が配設されている。

本実施例においては、記録ヘッド10は、前記吐出口42
が該記録ヘッドの移動方向と交叉する方向に並ぶような
位置関係で装着されている。

こうして、画像信号または吐出信号に基づいて対応す
る電気熱変換体45を駆動（通電）して、液路44内のイン
クを膜沸騰させ、その時に発生する圧力によって吐出口
42からインクを吐出させる記録ヘッド10が構成されてい
る。

第３図は本発明の一実施例による定着装置20の搬送手
段および駆動伝達機構を示す側面図であり、第１図は第
３図の定着装置20を第４図の画像記録装置３に装着した
状態を示す縦断面図である。

前記定着装置20は、前記画像記録装置３に対し、前記
被記録材積載用カセット１の装着部に該カセット１に代
えて着脱可能に装着される。

第１図および第３図において、画像記録装置３より、
定着装置20のガイド25へ搬送された被記録材は、搬送ロ
ーラ21と被記録材の記録領域外の両側端縁部のみを押し
付けるピンチローラ22によってヒーター板26上へ搬送さ
れる。

ヒーター板26の裏面には自己温調型の発熱体26aが取
り付けられている。

前記ヒーター板26上を通過する被記録材は、加熱され
た後、排紙ローラ23およびピンチローラ24によって、排
紙トレイ27上に排出される。

ここで、排紙ローラ23の周速は、搬送ローラ21の周速
よりも１％程度速くしてあるので、被記録材は、搬送ロ
ーラ21と排紙ローラ23との間で搬送方向の引張り力を与
えられ、より確実にヒーター板26に密着することができ
る。

第２図は、第１図における画像記録装置３の搬送機構
と定着装置20の搬送手段および駆動力伝達機構を示す部
分平面図である。

第２図および第３図において、定着装置20の搬送ロー
ラ21および排紙ローラ23は、駆動ギヤ28が回転すること
により、中継ギヤ列29を介して回転させられる。

定着装置20の画像記録装置３側の両側には、該画像記
録装置との結合手段（結合部）20cが設けられている。

これらの結合手段20cは、定着装置20の装着状態で
は、ほぼ画像記録装置３の内部に挿入される部分であ
る。

前記中継ギヤ列29は、第２図に示すように、前記結合
手段20cの片側の内部に組み込まれている。

第１図および第２図において、定着装置20は、画像記
録装置３の排紙トレイ13（第４図）を折りたたんだ後に
被記録材積載用カセット１を取り外し、前記結合手段20
cを画像記録装置３の装着部４（第４図、第５図）から
挿入することにより、着脱可能に取り付けられる。

第１図、第２図および第３図において、挿入した定着
装置20は、その両側の結合手段20cに設けた突き当て部2
0aが画像記録装置３の両側の係止部3a（第２図、第５
図）に突き当たり、かつ、両側の抜け止め部20bが画像
記録装置３の両側の引っ掛かることにより、画像記録装
置３の定位置に保持される。

なお、被記録材積載用カセット１の装着は、ガイド５
の下部5aにカセット１の先端を突き当てることにより位
置決めし、本体側の凹部または孔31a、31bにカセット側
の凸部1a、1bを嵌合することによって装着される。

また、定着装置20が画像記録装置３の定位置に固定さ
れた状態では、駆動ギヤ28が画像記録装置３の副走査ロ
ーラ９の端部に固定された駆動ギヤ9a（第２図、第５
図）と噛み合うので、定着装置20の搬送ローラ21および
排紙ローラ23は、副走査ローラ９の回転と同期して回転
することになる。

なお、搬送ローラ21の周速は、副走査ローラ９の周速
よりも１％程度速く設定されており、したがって、被記
録材はヒーター板26に密着し易い状態で搬送される。

定着装置20を画像記録装置３から取り外す場合は、そ
の先端部20dを上方へ持ち上げながら全体を引き出せ
ば、抜け止め部20bが前記引っ掛け部3bから外れるの
で、容易に取り外すことができる。

定着装置20を取り外した後の状態では、装着部４から
画像記録装置３内部を覗き込めば、内部の駆動ギヤ9aが
見えるが、該駆動ギヤ9aは第１図に示すように画像記録
装置３のほぼ中央部に配置されており、開口部から指を
入れて届かない位置に在るので、何ら問題は無い。

第５図は、画像記録装置３に被記録材積載用カセット
１を装着した時の装着部４の状態を示す部分平面図であ
る。

第５図において、被記録材積載用カセット１の外側端
部1aは画像記録装置３の装着部４の入口部に合わせて広
くなっているので、該被記録材積載用カセット１を画像
記録装置３内に挿入してしまえば、該記録装置側の駆動
ギヤ9a、突き当て部3aおよび引っ掛け部3bは外部から見
えなくなる。

以上のような構成によれば、画像記録装置３に定着装
置20を取り付けた状態で手差しトレイ14より被記録材を
挿入すれば、OHPシート等の定着性のわるい被記録材の
場合でも、これを完全に定着させて排紙トレイ27上に排
出することが可能になった。

また、本実施例においては、定着装置20の搬送手段2
1、23の駆動力は、画像記録装置３の駆動機構から駆動
ギヤ9aを介して直接取り入れられるので、定着装置20自
体にモーター、電源および駆動制御回路等を設ける必要
が無く、定着装置20を安価に構成することができた。

さらに、定着装置20が画像記録装置３の記録ヘッド10
から離れた位置に装着されるので、ヒーター板26の加熱
によってOHPシート等に記録されたインクが蒸発して
も、その水蒸気が記録ヘッド10に当たって吐出口近傍で
結露することが無く、正常なインク吐出状態を維持する
ことができ、記録品位を高く維持することが可能になっ
た。

なお、本実施例では、定着装置20の定着手段をヒータ
ー板26で構成したが、該定着手段としては、熱風赤外線
など他の加熱手段や乾燥手段を用いることもできる。

また、本実施例では、定着装置20の搬送手段21、23の
駆動力を画像記録装置３より駆動ギヤ9aを介して取り入
れたが、これはベルト等の他の型式の伝動機構を用いて
取り入れることもでき、さらに、定着装置自体にモータ
ー、電源および制御回路等を設けることもできる。

また、本実施例では、画像記録装置３がインクジェッ
トによる記録方式である場合を示したが、本発明は、そ
の他の種類の記録ヘッドを使用する画像記録装置および
その定着装置に対しても適用可能であり、さらに、電子
写真方式における２次定着手段においても適用すること
ができる。

また、本実施例では、被記録材積載用カセット１が１
段の場合を示したが、本発明は、２段以上の給紙カセッ
ト機構を有する画像記録装置においても実施することが
できる。

第７図は、本発明による定着装置および画像記録装置
の他の実施例を示す縦断面図である。

本実施例は、第７図に示すように、定着装置20に、手
差し給紙に使用する手差しシート搬送ガイド100を設
け、被記録材Ｐを該手差しシート搬送ガイド100に沿わ
せて矢印Ａ方向に挿入することにより、手差し給紙を行
なうように構成したものである。

第７図において、手差しシート搬送ガイド100に沿っ
て挿入される被記録材Ｐの先端が画像記録装置３の排紙
ローラ対12のニップに突き当たると、不図示の検知手段
によって被記録材Ｐの挿入が検知され、その検知信号に
基づいて排紙ローラ対12および副走査ローラ対９が逆回
転駆動され、手差しされた被記録材Ｐが画像記録装置３
のガイド101内に引き込まれる。

被記録材Ｐの後端が前記検知手段を通過すると、直ち
に副走査ローラ対９および排紙ローラ対12が正回転方向
に反転駆動され、以後、第１図に示す実施例の場合と同
様の過程を経て記録が行なわれるように構成されてい
る。

本実施例は、以上説明した点で第１図〜第６図の実施
例と相違するが、その他の部分は実質上同じ構成を有し
ており、それぞれ対応する部分を同一符号で示し、それ
らの詳細説明は省略する。

したがって、本実施例によっても、前述の実施例の場
合と同様の作用効果を達成することができる。

第８図は、本発明による定着装置および画像記録装置
のさらに他の実施例を示す縦断面図である。

本実施例は、定着装置20を画像記録装置３に装着する
ことにより、該定着装置20の突き当て部20fが該画像記
録装置３の加圧解除板112に突き当たり、該画像記録装
置３の排紙上ローラ105を被記録材の記録面と接触しな
い位置まで退避させるように構成されている。

第８図は、前記排紙上ローラ105を退避させた状態を
示す。

第９図は、第８図中の前記排紙上ローラ105を退避さ
せるための退避機構の詳細を示す側面図であり、第９図
中の（Ａ）は退避前（定着装置装着前）の状態を示し、
（Ｂ）は定着装置を装着して退避させた状態を示す。

第８図および第９図において、排紙上ローラ105はロ
ーラ軸105aによって排紙加圧板109に軸支されており、
該排紙加圧板109は排紙加圧軸110に軸支されている。

前記排紙加圧板109は、不図示の各圧バネによって、
排紙上ローラ105を排紙下ローラ12bに圧接する方向に付
勢されている。

前記加圧解除板112は、排紙加圧軸110および排紙軸11
1に対し、長孔112a、112aにより水平方向移動可能に取
り付けられている。

加圧解除板112には解除ピン135が設けられており、該
解除ピン135は、排紙加圧板109の斜め方向の長孔109aに
係合している。

なお、第９図中の矢印Ｃは定着装置20の挿入方向を示
す。

以上の構成において、定着装置20を矢印Ｃ方向に挿入
して画像記録装置３に装着すると、該定着装置の突き当
て部20fが加圧解除板112を第９図中の右方向へ押し込
み、該加圧解除板112が同方向に移動する。

加圧解除板112が移動すると、第９図の（Ｂ）に示す
ように、該加圧解除板112の解除ピン135は、長孔109aを
介して、排紙加圧板109を第９図の（Ｂ）に示す矢印ｄ
方向に押し上げる。

こうして、排紙加圧板109が排紙加圧軸110を中心に上
方へ回動することにより、排紙上ローラ105は被記録材
の記録面と接触しない位置へ退避させられる。

本実施例は、以上説明した点で第７図の実施例と相違
しているが、その他の部分では実質上同じ構成をしてお
り、それぞれ対応する部分を同一符号で示し、それらの
詳細説明は省略する。

以上説明した第８図および第９図の実施例によれば、
前述の各実施例の場合と同様の効果が得られる他、次の
ような効果が得られた。

すなわち、定着装置20を装着することにより、画像記
録装置３の排紙ローラ（排紙上ローラ）105を被記録材
の記録面から退避させるように構成したので、インクの
定着性のわるい被記録材に記録する場合、あるいは被記
録材に対して染み込みのわるいインクを使用して記録す
る場合でも、排紙上ローラ15による画像乱れを全く生じ
させることなく、該被記録材を定着装置20へ送り込むこ
とが可能となった。

なお、前記排紙上ローラ105は、その全体を退避させ
てもよく、あるいは、分割構造にし、被記録材の記録領
域外の両側端縁部のみは加圧状態のままとし、その中間
部のみを退避させるようにしてもよい。

以上説明した各実施例によれば、次のような効果が得
られた。

ｉ）OHPシートなど、通常頻繁には使用しない定着性の
わるい被記録材に対して用いる定着手段（ヒーター等）
を、画像記録装置２に着脱可能な定着装置20として構成
したので、画像記録装置本体のコストを低く抑えること
が可能になった。

ii）画像記録装置３の被記録材積載用カセット１を抜き
出し、その装着部４を利用して定着装置20を着脱可能に
装着する構成としたので、定着装置を取り付けるための
専用の装着部を設ける必要が無く、画像記録装置３の外
観を美しい状態に保つことができた。

iii）定着装置20の被記録材搬送手段21、23の駆動力
を、画像記録装置３から得るように構成したので、定着
装置20に独自の駆動源を設ける必要がなく、該定着装置
のコストを低く抑えることができた。

iv）画像記録装置３から定着装置20への駆動力の接受
を、被記録材積載用カセット１の装着部４の内部で行な
うように構成したので、装置本体の外部にギヤ等の伝動
機構が露出することがなく、また、駆動力取り入れ用の
開口部等を別に設ける必要もないので、画像記録装置３
の外観を美しい状態に保つことができた。

ｖ）画像記録装置３から定着装置20への駆動力の接受
を、被記録材積載用カセット１の装着部４の内部で行な
うように構成したので、該装着部４の内部で開口部より
入れた指が届かない位置に、定着装置20を駆動するため
のギヤ等を配置することができ、被記録材積載用カセッ
ト１を取り外したままにしても、駆動ギヤ等が外部に露
出することがなく、したがって、シャッター等を特に設
けなくとも、安全性を確保できる画像記録装置が得られ
た。

vi）定着装置20が画像記録装置３の記録ヘッド10から離
れた位置に装着されるので、ヒーター板26等の加熱によ
ってOHPシート等に記録されたインクが蒸発しても、そ
の水蒸気が記録ヘッド10に当たって吐出口近傍で結露す
ることが無く、正常なインク吐出状態を維持することが
でき、記録品位を高く維持することが可能になった。

なお、以上の実施例では、主に本発明をインクジェッ
ト方式の画像記録装置に適用する場合について説明した
が、本発明は、ワイヤドット式やサーマル式など他の種
類の記録ヘッドを使用する画像記録装置においても同様
に適用でき、同様の効果を達成し得るものがある。

また、以上の実施例では、記録ヘッド10を被記録材の
幅方向に移動させながら記録を行なうシリアル型式の画
像記録装置の場合を例に挙げて説明したが、本発明は、
紙幅方向の記録領域の全部または一部をカバーするライ
ン記録ヘッドを使用するライン型式の画像記録装置にお
いても同様に適用でき、同様の効果を達成し得るものが
ある。

さらに、以上の実施例では、１個の記録ヘッド10で記
録する画像記録装置の場合を説明したが、本発明は、異
なる色で記録する複数の記録ヘッドを備えたカラー画像
記録装置、あるいは色彩が同じで濃度が異なる複数の記
録ヘッドを使用する諧調記録用の画像記録装置など、記
録ヘッドの個数にも関係無く同様に適用でき、同様の作
用効果を達成し得るものである。

また、以上の実施例における記録ヘッド10としては、
記録部とインク溜め部を一体にしたカートリッジタイプ
の記録ヘッド、記録部（インク吐出部など）とインク溜
め部（インクタンクなど）を別体とし、例えば、カプラ
ーおよびチューブを介して結合する構造の記録ヘッド、
あるいはインク溜め部を有しない記録部のみから成る構
造の記録ヘッドなど、種々の構造の記録ヘッドを使用す
ることができる。

なお、本発明は、インクジェット記録装置に適用する
場合、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を用い
る記録ヘッドを使用するものに適用できるが、中でも、
キヤノン株式会社によって提唱されているバブルジェッ
ト方式のインクジェット記録装置において優れた効果を
もたらすものである。

かかる方式によれば、記録の高密度化、高精細化が達
成できるからである。

その代表的な構成や原理については、例えば、米国特
許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示され
ている基本的な原理を用いて行なうのが好ましい。

この方式は、所謂オンデマンド型、コンティニュアス
型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド
型の場合には、液体（インク）が保持されているシート
や液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録
情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与
える少なくとも一つの駆動信号を印加することによっ
て、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘ
ッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的にこの駆動信号
に一対一対応し液体（インク）内の気泡を形成出来るの
で有効である。

この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体
（インク）を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成す
る。

この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡
の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた液体
（インク）の吐出が達成でき、より好ましい。このパル
ス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細
書、同第4345262号明細書に記載されているようなもの
が適している。

尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特
許第4313124号明細書に記載されている条件を採用する
と、更に優れた記録を行なうことができる。

記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示さ
れているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わ
せ構成（直線状液流路又は直角液流路）の他に熱作用部
が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特
許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用
いた構成も本発明に含まれるものである。

加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリ
ットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開
昭59年第123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収す
る開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59年
第138461号公報に基づいた構成としても本発明は有効で
ある。

すなわち、記録ヘッドの形態がどのようなものであっ
ても、本発明によれば、記録を確実に効率よく行なうこ
とができるようになるからである。

さらに、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に対
応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドに対
しても、本発明は有効に適用できる。

そのような記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組
み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形
成された１個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよ
い。

加えて、上例のようなシリアルタイプのものでも、装
置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装
着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体か
らのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプ
の記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にイン
クタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッド
を用いた場合にも本発明は有効である。

また、本発明に記録装置の構成として設けられる、記
録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付
加することは本発明の効果を一層安定できるので好まし
いものである。

これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対しての、
キャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手
段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれら
の組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を
行なう予備吐出モードを行なうことも安定した記録を行
なうために有効である。

また、搭載される記録ヘッドの種類ないし個数につい
ても、例えば、単色のインクに対応して１個のみが設け
られたものの他、記録色や濃度を異にする複数のインク
に対応して複数個数設けられるものであってもよい。

すなわち、例えば、記録装置の記録モードとしては、
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによる
か、いずれでもよいが、異なる色の複色カラー又は、混
色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも
本発明は極めて有効である。

さらに加えて、以上説明した本発明実施例において
は、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以
下で固化するインクであって、室温で軟化もしくは液化
するもの、あるいは、インクジェット方式では、インク
自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってイ
ンクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するも
のが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが
液状をなすものであればよい。

加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの
固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして
使用せしめることで防止するか、または、インクの蒸発
防止を目的として放置状態で固化するインクを用いるか
して、いずれにしても、熱エネルギーの記録信号に応じ
て付与によってインクが液化し、液状インクが吐出され
るものや、記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始
めるもの等のような、熱エネルギーによって初めて液化
する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能で
ある。

このような場合のインクは、特開昭54−56847号公報
あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、
多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物とし
て保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するよ
うな形態としてもよい。

本発明においては、上述した各インクに対して最も有
効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものであ
る。

さらに加えて、本発明によるインクジェット記録装置
の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像
出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組み合
わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかなごとく、本発明の定着装置に
よれば、画像記録装置により出力された被記録材に記録
された画像の定着を促進するための定着手段と、前記被
記録材を搬送するための搬送手段と、画像記録装置の被
記録材積載用カセットの装着部に対して着脱可能な結合
手段とを有し、被記録材積載用カセットに代えて取り付
け可能である構成としたので、画像記録装置の大型化お
よびコストアップを生じることなく、定着を必要とする
被記録材の場合でも確実に定着を促進させることがで
き、しかも、記録ヘッドでの結露等による記録品位の低
下を無くし得る、定着装置が提供される。

別の本発明によれば、記録ヘッドにより被記録材に記
録する記録部と被記録材を搬送するための搬送手段とを
有する画像記録装置において、被記録材積載用カセット
の装着部に対して定着装置を着脱可能にし、前記被記録
材積載用カセットに代えて前記定着装置を装着する構成
としたので、画像記録装置の大型化およびコストアップ
を生じることなく、定着を必要とする被記録材の場合で
も確実に定着を促進させることができ、しかも、記録ヘ
ッドでの結露等による記録品位の低下を無くし得る、画
像記録装置が提供される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による定着装置が装着された画像記録装
置の一実施例を示す模式的縦断面図、第２図は第１図中
の定着装置および装着部を示す部分平面図、第３図は第
１図中の定着装置の側面図、第４図は第１図中の画像記
録装置に被記録材積載用カセットを装着した状態を示す
縦断面図、第５図は第４図中の被記録材積載用カセット
の装着部の一部を示す平面図、第６図は第１図および第
４図中の記録ヘッドのインク吐出部の構造を模式的に示
す部分斜視図、第７図は本発明による定着装置が装着さ
れた画像記録装置の他の実施例を示す模式的縦断面図、
第８図は本発明による定着装置が装着された画像記録装
置のさらに他の実施例を示す模式的縦断面図、第９図は
第８図中の排紙ローラ退避構造を示す側面図、第10図は
従来の画像記録装置の定着手段を例示する模式的側面図
である。 以下に、図面中の主要な構成部分を表す符号を列挙す
る。 １……被記録材積載用カセット、２……被記録材（カセ
ット内）、３……画像記録装置、3a……係止部、3b……
引っ掛け部、４……装着部、７……給紙ローラ、９……
副走査ローラ対、9a……駆動ギヤ、10……記録ヘッド、
11……プラテン、12……排紙ローラ対、12b……排紙下
ローラ、15……手差し搬送ローラ対、20……定着装置、
20a……突き当て部、20b……抜け止め部、20c……結合
手段、20f……突き当て部、21……排紙ローラ（定着装
置）、23……排紙ローラ（定着装置）、26……定着手段
（ヒーター板）、28……駆動ギヤ（定着装置）、29……
中継ギヤ列、42……吐出口、45……電気熱変換体、100
……手差しシート搬送ガイド、101……被記録材のガイ
ド、105……排紙上ローラ、109……排紙加圧板、110…
…排紙加圧軸、111……排紙軸、112……加圧解除板、13
5……解除ピン、Ｐ……被記録材。

Claims (16)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】画像記録装置により出力された被記録材に
   記録された画像の定着を促進するための定着手段と、前
   記被記録材を搬送するための搬送手段と、画像記録装置
   の被記録材積載用カセットの装着部に対して着脱可能な
   結合手段とを有し、被記録材積載用カセットに代えて取
   り付け可能であることを特徴とする定着装置。
2. 【請求項２】画像記録装置への手差し給紙に使用する手
   差しシート搬送ガイドを有することを特徴とする請求項
   １に記載の定着装置。
3. 【請求項３】前記結合手段に、画像記録装置本体の駆動
   機構により前記搬送手段の駆動力を得る駆動伝達機構が
   設けられていることを特徴とする請求項１または２に記
   載の定着装置。
4. 【請求項４】画像記録装置に装着された時に、該画像記
   録装置の記録部より被記録材搬送方向下流側の排紙ロー
   ラを被記録材の記録面から退避させるための突き当て部
   を有することを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記
   載の定着装置。
5. 【請求項５】記録ヘッドにより被記録材に記録する記録
   部と被記録材を搬送するための搬送手段とを有する画像
   記録装置において、被記録材積載用カセットの装着部に
   対して定着装置を着脱可能にしたことを特徴とする画像
   記録装置。
6. 【請求項６】前記定着装置が前記被記録材積載用カセッ
   トに代えて装着されることをを特徴とする請求項５に記
   載の画像記録装置。
7. 【請求項７】前記定着装置が、被記録材に記録された画
   像の定着を促進するための定着手段と、前記被記録材を
   搬送するための搬送手段と、画像記録装置の装着部に着
   脱可能な結合手段とを有することを特徴とする請求項５
   または６に記載の画像記録装置。
8. 【請求項８】前記装着部の内部に前記定着装置に駆動力
   を与えるための駆動機構を有することを特徴とする請求
   項６または７に記載の画像記録装置。
9. 【請求項９】記録部より被記録材搬送方向下流側に配設
   された排紙ローラと、該排紙ローラを選択的に被記録材
   の記録面と接触しない位置へ退避させる退避機構とを有
   し、前記定着装置を装着した時前記退避機構を作動させ
   て前記排紙ローラを退避させることを特徴とする請求項
   ６〜８に記載の画像記録装置。
10. 【請求項１０】前記記録ヘッドが、熱エネルギーを利用
    してインクを吐出する記録ヘッドであって、熱エネルギ
    ーを発生するための電気熱変換体を備えているインクジ
    ェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項６〜９
    のいずれかに記載の画像記録装置。
11. 【請求項１１】前記記録ヘッドが、前記電気熱変換体に
    よって印加される熱エネルギーにより生じる膜沸騰によ
    る気泡の成長によって生じる状態変化を利用して、吐出
    口よりインクを吐出させることを特徴とする請求項10に
    記載の画像記録装置。
12. 【請求項１２】被記録材に記録を行なう画像記録装置に
    おいて、 被記録材に記録を行なう記録手段と、 前記被記録材を搬送するための搬送手段と、 前記被記録材に記録された画像の定着を促進するための
    定着手段と前記被記録材を積載するための積載手段との
    いずれかを選択して取り外し可能に装着するための装着
    部と、 を有することを特徴とする画像記録装置。
13. 【請求項１３】前記定着手段が、手差し給紙に使用する
    手差しシート搬送ガイドを有することを特徴とする請求
    項12に記載の画像記録装置。
14. 【請求項１４】前記装着部の内部に前記定着手段に駆動
    力を与えるための駆動機構を有することを特徴とする請
    求項12または13に記載の画像記録装置。
15. 【請求項１５】前記記録手段が、熱エネルギーを利用し
    てインクを吐出する記録手段であって、熱エネルギーを
    発生するための電気熱変換体を備えていることを特徴と
    する請求項12〜14のいずれかに記載の画像記録装置。
16. 【請求項１６】前記記録手段が、前記電気熱変換体によ
    って印加される熱エネルギーにより生じる膜沸騰による
    気泡の成長によって生じる状態変化を利用して、吐出口
    よりインクを吐出させることを特徴とする請求項15に記
    載の画像記録装置。