JP2927170B2 - 無電解めっき方法 - Google Patents

無電解めっき方法

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JP2927170B2 JP4637594A JP4637594A JP2927170B2 JP 2927170 B2 JP2927170 B2 JP 2927170B2 JP 4637594 A JP4637594 A JP 4637594A JP 4637594 A JP4637594 A JP 4637594A JP 2927170 B2 JP2927170 B2 JP 2927170B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1μm以下の薄膜にお
ける膜厚コントロールが容易な次亜リン酸塩を還元剤と
する無電解めっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、次亜リン酸塩を還元剤とする種々の無電解めっき
浴、特に無電解ニッケルめっき浴や無電解コバルトめっ
き浴、無電解ニッケル・コバルト合金めっき浴が提案さ
れているが、従来のこの種の無電解めっき浴は、浴温度
を90℃前後と高くしてめっきを行ない、膜形成は15
〜20μm/hrと析出速度が高く、このため1μm以
下の膜形成をコントロールし難い。また、比較的低速の
無電解めっき浴も提案されているが、nm単位での膜厚
制御を再現性よく確実に行なうことが困難である。
【0003】このようなnm単位での膜厚制御がし難い
ことは、一般に他の湿式めっきの場合も同様であり、こ
のため、めっき被膜の膜厚をnm単位でコントロールす
る場合は、もっぱらCVD,PVDなどの気相めっき法
が採用されていた。しかし、気相めっき法は、設備も大
がかりで高価なものになるという欠点があった。
【0004】本発明は、湿式めっき法による1μm以下
の膜厚制御をnm単位で再現性よく確実に可能とした次
亜リン酸塩を還元剤とする無電解めっき方法を提供する
ことと目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は、上
記目的を達成するため鋭意検討を行なった結果、次亜リ
ン酸又はその塩を還元剤とする無電解めっき浴におい
て、ニッケル及びコバルトの金属イオンを合計で0.0
1〜0.05モル/lの極低濃度で使用すると共に、こ
の金属イオンを錯化する錯化剤として硫酸アンモニウム
のみを使用したpH7〜10のめっき浴が、特に15〜
30℃でめっきを行なった場合、0〜1000nmの範
囲でも析出速度が安定し、ほぼ等しい析出速度でめっき
が行なわれ、このためCVD,PVD等の気相めっき法
と同様の精度で1μm以下の膜厚コントロールが可能に
なることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0006】従って、本発明は、被めっき物を次亜リン
酸又はその塩を還元剤として0.1〜0.5モル/l、
この還元剤により無電解析出させられるべきニッケルイ
オン及びコバルトイオンを合計で0.01〜0.05モ
ル/l、この金属イオンの錯化剤として硫酸アンモニウ
ムのみを0.1〜0.5モル/l使用し、かつニッケル
イオンとコバルトイオンとをニッケルイオンとコバルト
イオンとの総量1モルに対してコバルトイオンが0.2
〜0.5モルとなる割合で併用してなり、pHが7〜1
0である無電解めっき浴に浸漬し、温度15〜30℃で
無電解めっきして、nm単位で膜厚制御された1μm以
下の無電解めっき薄膜を得ることを特徴とする無電解め
っき方法を提供する。
【0007】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0008】本発明の無電解めっき浴は、実質的に水溶
性金属塩、還元剤として次亜リン酸又はその塩、及び硫
酸アンモニウムからなる。
【0009】この場合、水溶性金属塩としては、ニッケ
ルイオンやコバルトイオンを提供し得るもので、例えば
硫酸ニッケル、硫酸コバルトなどが例示されるが、これ
に限定されるものではない。なお、磁性特性に優れため
っき被膜を得る点からは、ニッケル塩とコバルト塩とを
併用する。この併用割合としては、ニッケルイオンとコ
バルトイオンの総量1モルに対しコバルトイオンが0.
2〜0.5モル、特に0.25〜0.45モルの範囲で
含むことが好ましく、これにより高い垂直磁気異方性を
有するニッケル−コバルト合金めっき被膜が得られる。
【0010】上記金属のめっき浴中の含有量は、金属イ
オン量として0.01〜0.05モル/lであり、より
好ましくは0.01〜0.04モル/lである。金属イ
オン量が多すぎると1μm以下の膜厚を制御するという
本発明の目的が達成し難い。
【0011】次亜リン酸又はその塩としては、次亜リン
酸ナトリウムが好適であり、その濃度は0.1〜0.5
モル/l、より好ましくは0.15〜0.5モル/l
で、その濃度が少なすぎると磁性特性が低下する場合が
生じる。
【0012】硫酸アンモニウムは上記金属塩の錯化剤と
して用いるもので、本発明では錯化剤として硫酸アンモ
ニウムのみを使用し、他の錯化剤を使用しない。硫酸ア
ンモニウムに他の錯化剤を併用した場合は、1μm以下
の膜厚において、得られためっき被膜の析出速度や被膜
物性が安定化せず、本発明の目的を達成し得ない。硫酸
アンモニウムの濃度は、めっき浴中0.1〜0.5モル
/l、特に0.2〜0.5モル/lであり、濃度が少な
すぎると磁性特性が低下する場合が生じる。
【0013】本発明のめっき浴のpHは7〜10である
が、高い垂直磁気異方性を有するめっき被膜を得るため
には、pH7.8〜8.2の範囲にあることが好まし
い。
【0014】本発明のめっき浴を用いて無電解めっきを
行なう方法は、通常の方法を採用し得、被めっき物も各
種金属や導電化処理した非導電性物質にめっきすること
もできるが、めっき濃度は1μm以下の膜厚コントロー
ルをより確実にするため、15〜30℃とする。なお、
めっき時間は、所望するめっき膜厚に応じて選定され
る。
【0015】
【発明の効果】本発明のめっき方法によれば、1μm以
下の膜厚をnm単位で再現性よくコントロールすること
ができ、また金属イオンとしてニッケルイオンとコバル
トイオンを併用し、特にコバルトイオンをニッケルイオ
ンとコバルトイオンとの総量1モルに対し0.2〜0.
5モルとすることにより、高い垂直磁気異方性を有する
めっき被膜を得ることができる。
【0016】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。
【0017】[実施例1]下記組成の無電解Ni−Co
めっき浴を調製した。 NaH2PO2・H2O 0.200モル/l (NH42SO4 0.250モル/l NiSO4・6H2O+CoSO4・6H2O 0.025モル/l pH 8.0
【0018】次に、常法に従って前処理した8μmの銅
フォイルに、上記めっき浴においてニッケルイオンとコ
バルトイオンのモル比率を種々に変えためっき浴を使用
してめっきを行なった。その時の析出速度の結果を図1
に、得られた被膜の磁気特性を図2に示す。なお、各浴
の析出速度は安定しており、ほぼ等しい析出速度でめっ
きし得るものであり、上記各浴において、0〜1000
nmの範囲で膜厚制御が可能であることが確認された。
また、[CO]/[Ni+Co]=0.3〜0.4(モ
ル比)において、2500Oe以上の高い垂直磁気異方
性が得られることが認められた。更に、XRDによる結
晶性の検討から、[(Co)]/[Ni+Co]=3.
0(モル比)において最高面間隔の増大を示した。
【0019】[実施例2]下記組成の無電解Ni−Co
めっき浴を調整した。 NaH2PO・H2O 0.200モル/l (NH42SO4 0.250モル/l NiSO4・6H2O 0.0175モル/l CoSO4・6H2O 0.0075モル/l pH(アンモニア水又は希硫酸で調整) 7.0〜10.0
【0020】次に、実施例1と同様にして銅フォイルに
種々pH値のめっき浴を使用してめっきを行なった。そ
の時の析出速度の結果を図3に、得られた被膜の磁気特
性を図4に示す。この各浴の場合も析出速度は安定して
おり、ほぼ等しい析出速度でめっきし得、0〜1000
nmの範囲で膜厚制御が可能であることが確認された。
また、pH8において高い垂直磁気異方性(Hc250
0Oe以上)が認められた。
【0021】[実施例3]実施例2のめっき浴組成にお
いて、pH8.0とし、NaH2PO2・H2O量、(N
42SO4量を種々変えためっき浴を用いて実施例2
と同様にめっきを行なった。NaH2PO2・H2O量を
変化させた浴から得られためっき被膜の磁性特性を図5
に、(NH42SO4量を変化させた浴から得られため
っき被膜の磁気特性を図6に示す。図5,6の結果か
ら、NaH2PO2・H2Oは0.15モル/l以上で、
また(NH42SO4は0.2モル/l以上で磁気特性
が一定化することが認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】めっき浴中のNiイオンとCoイオンとのモル
比と析出速度との関係を示すグラフである。
【図2】めっき浴中のNiイオンとCoイオンのモル比
とめっき被膜の磁性特性との関係を示すグラフである。
【図3】めっき浴のpHと析出速度との関係を示すグラ
フである。
【図4】めっき浴のpHとめっき被膜の磁性特性との関
係を示すグラフである。
【図5】めっき浴中のNa2HPO2・H2O濃度とめっ
き被膜の磁性特性との関係を示すグラフである。
【図6】めっき浴中の(NH42SO4濃度とめっき被
膜の磁性特性との関係を示すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被めっき物を次亜リン酸又はその塩を還
    元剤として0.1〜0.5モル/l、この還元剤により
    無電解析出させられるべきニッケルイオン及びコバルト
    イオンを合計で0.01〜0.05モル/l、この金属
    イオンの錯化剤として硫酸アンモニウムのみを0.1〜
    0.5モル/l使用し、かつニッケルイオンとコバルト
    イオンとをニッケルイオンとコバルトイオンとの総量1
    モルに対してコバルトイオンが0.2〜0.5モルとな
    る割合で併用してなり、pHが7〜10である無電解め
    っき浴に浸漬し、温度15〜30℃で無電解めっきし
    て、nm単位で膜厚制御された1μm以下の無電解めっ
    き薄膜を得ることを特徴とする無電解めっき方法。
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