JP2923077B2 - 炭素繊維強化ポリイミド系樹脂組成物 - Google Patents

炭素繊維強化ポリイミド系樹脂組成物

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JP2923077B2
JP2923077B2 JP12335091A JP12335091A JP2923077B2 JP 2923077 B2 JP2923077 B2 JP 2923077B2 JP 12335091 A JP12335091 A JP 12335091A JP 12335091 A JP12335091 A JP 12335091A JP 2923077 B2 JP2923077 B2 JP 2923077B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は炭素繊維強化ポリイミ
ド系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 従来開発されたポリイミドには優れた
特性を示すものが多いが、優れた耐熱性を有するけれど
も加工性にとぼしいとか、また加工性向上を目的として
開発された樹脂は耐熱性、耐溶剤性に劣るなど性能に一
長一短があり、さらに結晶化に伴う熱処理過程での寸法
変化が大きいなどの欠点を有している。 これらの欠点
を解決すべく、本出願人は特開昭62−236858お
よび特開昭62−253655等に、本発明の構成要素
のひとつである式(1)〔化9〕
【0003】
【化9】 で表わされる繰り返し単位を有するポリイミド樹脂を開
発した。
【0004】しかし、上記ポリイミド樹脂は、機械強度
の点ではまだ十分ではなく、さらに、結晶化に伴う熱処
理過程での寸法変化が大きく、寸法安定性に欠けるなど
の欠点を有していた。
【0005】そして、本発明者らは、上記ポリイミド樹
脂の欠点を改善するためには、上記ポリイミド樹脂にサ
ーモトロピック液晶ポリマーを配合することが有効であ
ることを見出し、特許出願した(特開平4−17537
3)。この樹脂組成物は、耐熱性、加工性などに優れて
いるため、従来、金属またはセラミックスの領域と考え
られていた分野への用途開発が進められている。しか
し、これらの樹脂組成物も、機械強度の点では未だ十分
に満足いくものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
イミド樹脂とサーモトロピック液晶ポリマーからなる樹
脂組成物において、優れた耐熱性、熱処理に伴う後結晶
化前後の優れた寸法安定性に加え、優れた機械物性を付
与することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の目的
を達成するために鋭意検討した結果、ポリイミド樹脂と
サーモトロピック液晶ポリマーを含有してなる樹脂組成
物に、炭素繊維を配合することにより、機械物性が顕著
に向上し、さらに、ポリイミド樹脂に対するサーモトロ
ピック液晶ポリマーの配合量を変え、サーモトロピック
液晶ポリマーの配合量の機械強度に及ぼす影響を検討し
た結果、ある配合量の範囲において機械強度は極大値を
有することも見出し、高強度を有する樹脂組成物を得、
本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、(1)式(1)〔化
10〕で表わされる繰り返し単位を有するポリイミド樹
脂50〜99重量%と、サーモトロピック液晶ポリマー
の1種または2種以上の混合物50〜1重量%とを含む
樹脂組成物と、この樹脂組成物100重量部に対して、
炭素繊維5〜100重量部を含有してなり370〜41
0℃の温度範囲で射出成形することを特徴とする炭素繊
維強化ポリイミド系樹脂組成物、
【0009】
【化10】 (式中、Xは直結、イオウ、炭素数1〜10の二価の炭
化水素基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、カル
ボニル基、チオ基、スルホニル基、酸素から成る群より
選ばれた基を表わし、Y,Y,YおよびYはそ
れぞれ水素、塩素または臭素から成る群より選ばれた基
を表わし、またRは炭素数4〜9の脂肪族基、炭素数
4〜10の単環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環
式芳香族基、芳香族基が直接又は架橋員より相互に連結
された非縮合多環式芳香族基から成る群より選ばれた4
価の基を表わす。) (2)サーモトロピック液晶ポリマーが、式(2)〔化
10)式(3)〔化12〕、式(4)〔化13〕および
式(5)〔化14〕の繰り返し単位を有する基本構造か
らなる群より選ばれた少なくとも1種のものであること
を特徴とする請求項1記載の炭素繊維強化ポリイミド系
樹脂組成物、
【0010】
【化11】
【0011】
【化12】
【0012】
【化13】
【0013】
【化14】 (3)式(1)で表わされる繰り返し構造単位を有する
ポリイミド樹脂の式中のR1 が、次の(a)〜(e)か
らなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1記
載の炭素繊維強化ポリイミド系樹脂組成物、 (a) 炭素数4〜9の脂肪族基 (b) 炭素数4〜10の環式脂肪族基 (c) 次式〔化15〕で表される単環式芳香族基
【0014】
【化15】 (d) 次式〔化16〕で表される縮合多環式芳香族基
【0015】
【化16】 (e)次式〔化17〕で表わされる芳香族基が直接又は
架橋員より相互に連結された非縮合多環式芳香族基
【0016】
【化17】 である。
【0017】本発明の摺動材用ポリイミド系樹脂組成物
における式(1)で表わされる繰り返し単位を基本骨格
として有するポリイミド樹脂の原料として用いるジアミ
ン成分は、式(6)〔化18〕
【0018】
【化18】 (式中、Xは前記に同じ)に示すエーテルジアミンと式
(7)〔化19〕
【0019】
【化19】 (式中、R1 は前記に同じ)に示す1種以上のテトラカ
ルボン酸二無水物とを有機溶媒の存在下または不存在下
において反応させ、得られたポリアミド酸を化学的にま
たは熱的にイミド化して製造することができる。反応温
度は通常250℃以下であり、反応圧力は特に限定され
ず、常圧で充分実施できる。また反応時間は使用するテ
トラカルボン酸二無水物、溶剤の種類、反応温度により
異なり、通常中間生成物であるポリアミド酸の生成が完
了するのに充分な時間反応させる。反応時間は24時
間、場合によっては1時間以内で充分である。
【0020】このような反応により式(1)の繰り返し
単位に対応するポリアミド酸が得られ、ついでこのポリ
アミド酸を100〜400℃に加熱脱水するか、または
通常用いられるイミド化剤を用いて化学イミド化するこ
とにより式(1)の繰り返し構造単位を有するポリイミ
ドが得られる。また、ポリアミド酸の生成と熱イミド化
反応を同時に行ってポリイミドを得ることもできる。
【0021】この方法て使用される式(6)のエーテル
ジアミンとしては、式(6)中のXが脂肪属基であるも
のとして、〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕
メタン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフ
ェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(3
−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2−〔4−
(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−2−〔4−(3
−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル〕プロパ
ン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−3
−メチルフェニル〕プロパン、2−〔4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル〕−2−〔4−(3−アミノフェ
ノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕プロパン、2,
2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−3,5−ジ
メチルフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−
アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、式中のXが
直接結合のものとして、4,4’−ビス(3−アミノフ
ェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフ
ェノキシ)−3−メチルビフェニル、4,4’−ビス
(3−アミノフェノキシ)−3,3’−ジメチルビフェ
ニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,
5−ジメチルビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノ
フェノキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルビフ
ェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)−
3,3’−ジクロロビフェニル、4,4’−ビス(3−
アミノフェノキシ)−3,5−ジクロロビフェニル、
4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3’,
5,5’−テトラクロロビフェニル、4,4’−ビス
(3−アミノフェノキシ)−3,3’−ジブロモビフェ
ニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,
5−ジブロモビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノ
フェノキシ)−3,3’,5,5’−テトラブロモビフ
ェニル、式中のXが−CO−基のものとして、ビス〔4
−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス
〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フ
ェニル〕ケトン、式中のXが−S−基のものとして、ビ
ス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィ
ド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−3−メトキ
シフェニル〕スルフィド、〔4−(3−アミノフェノキ
シ)フェニル〕〔4−(3−アミノフェノキシ)3,5
−ジメトキシフェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−
アミノフェノキシ)−3,5−ジメトキシフェニル〕ス
ルフィド、式中のXが−SO2 −基のものとして、ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、
ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキ
シ}フェニル〕スルホン、式中のXが−O−基のものと
して、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕
エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕エーテル、式中のXがその他のものとして、1,4
−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ベ
ンゼン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)
フェノキシ〕ベンゼン、1,4−ビス〔4−(3−アミ
ノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼ
ン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノ
キシ}フェニル〕スルホンなどが挙げられ、これらは単
独あるいは2種以上混合して用いられる。
【0022】また、上記熱可塑性ポリイミド樹脂の溶融
流動性を損なわない範囲で他のジアミンを混合して用い
ることもできる。混合して用いることのできるジアミン
としてはm−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジ
ルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジ
アミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェ
ニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフ
ィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,
3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミ
ノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニル
スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,
4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベ
ンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)
ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−アミノフェノキシ)
フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕スルホン等が挙げられ、これらのジア
ミンは通常30重量%以下、好ましくは5重量%以下混
合して用いられる。
【0023】また、式(1)で表されるポリイミドを製
造するのに用いられる一方の原料であるテトラカルボン
酸二無水物の具体例としては、式(7)において、式中
のR1 が脂肪族基であるエチレンテトラカルボン酸二無
水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、式中のR1
環式脂肪族基であるものとしてはシクロペンタンテトラ
カルボン酸二無水物、式中のR1 が単環式脂肪族基であ
るものとしてはピロメリット酸二無水物、1,2,3,
4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、式中のR1
次式〔化20〕で表され、
【0024】
【化20】 同式中のX1 が−CO−基である3,3’,4,4’−
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,
3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
同式中のX1 が直接結合である3,3’,4,4’−ビ
フェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,
3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、同式中の
1 が脂肪族基である2,2−ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,
3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1
−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水
物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無
水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二
無水物、同式中のX1 が−O−基であるビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、同式中のX
1 が−SO2 −基であるビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)スルホン二無水物、また、式(7)中のR1
縮合多環式芳香族基である2,3,6,7−ナフタレン
テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレ
ンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタ
レンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペ
リレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ア
ントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8
−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、同式中の
1 がその他のものとして、ビス(3,4ジカルボキ
シ)(p−フェニレンジオキシ)二無水物などであり、
これらテトラカルボン酸二無水物は単独または2種以上
混合して用いられる。
【0025】また、本発明に用いられる式(1)で表さ
れるポリイミド樹脂は、無水フタル酸、 2,3−ベンゾフ
ェノンジカルボン酸無水物、 3,4−ベンゾフェノンジカ
ルボン酸無水物、 2,3−ジカルボキシフェニルフェニル
エーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニル
エーテル無水物、 2,3−ビフェニルジカルボン酸無水
物、 3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、 2,3−ジカ
ルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、 3,4−ジカ
ルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、 2,3−ジカ
ルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、 3,4−ジ
カルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、 1,2−
ナフタレンジカルボン酸無水物、 2,3−ナフタレンジカ
ルボン酸無水物、 1,8−ナフタレンジカルボン酸無水
物、 1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、 2,3−ア
ントラセンジカルボン酸無水物、1,9 −アントラセンジ
カルボン酸無水物等のジカルボン酸無水物で封止された
ものも使用可能である。
【0026】式(1)で表わされる繰り返し単位を有す
るポリイミド樹脂の対数粘度は通常0.35〜0.65
dl/g、好ましくは0.40〜0.60dl/gの範
囲のものである。この対数粘度が上記の範囲を越えて
0.35以下であると機械物性、耐久性が不十分とな
り、また0.60以上であると成形性悪化し射出成形困
難となる。この対数粘度はパラクロロフェノール/フェ
ノール(90/10重量比)の混合溶媒中、濃度0.5
g/100mlの溶媒で加熱溶解した後、35℃に冷却
して測定される。
【0027】また、本発明で用いられるサーモトロピッ
ク液晶ポリマーは、前記の式(2)、式(3)、式
(4)、および式(5)の基本構造からなる熱可塑性樹
脂である。
【0028】これらサーモトロピック液晶ポリマーで市
販されている代表的なものには、日本石油化学(株)
「ザイダー」(商標)、住友化学工業(株)「エコノー
ル」(商標)、ポリプラスチック(株)「ベクトラ」
(商標)として市販されている本発明の炭素繊維強化ポ
リイミド系樹脂組成物において、ポリイミドとサーモト
ロピック液晶ポリマーとを含む樹脂組成物の両者の配合
割合は、ポリイミド樹脂50〜99重量%とサーモトロ
ピック液晶ポリマー50〜1重量%である。好ましくは
サーモトロピック液晶ポリマー40〜1重量%、さらに
好ましくはサーモトロピック液晶ポリマー30〜2重量
%である。
【0029】サーモトロピック液晶ポリマーの配合割合
が、50重量%を越えると得られる樹脂組成物のウエル
ド強度が低下し、また、異方性が目立つようになる。ま
た、1重量%未満では得られる樹脂組成物の成形加工性
が十分ではなく、結晶化に伴う熱処理過程での成形品の
寸法安定性も改良されない。
【0030】また、ネマチック液晶相を形成しうるこれ
らのサーモトロピック液晶ポリマーをブレンドすること
により、結晶化速度が著しく向上し、昇温過程における
結晶化発熱温度の低温側へのシフト及び降温過程におけ
る結晶化発熱温度の高温側へのシフトが可能である。
【0031】炭素繊維の添加量は、ポリマーからなる前
記樹脂組成物100重量部に対して、炭素繊維5〜10
0重量の範囲である。好ましくは、炭素繊維10〜7
0重量である。
【0032】ポリイミド樹脂とサーモトロピック液晶ポ
リマーからなる前記樹脂組成物100重量部に対して、
炭素繊維の添加量が5重量部未満では、得られる樹脂組
成物の機械特性が悪く、炭素繊維の添加量が100重量
を越えると、得られる樹脂組成物の成形加工性が十分
ではない。
【0033】本発明の炭素繊維強化ポリイミド系樹脂組
成物には、必要に応じガラス繊維、光学繊維、セラミッ
ク繊維、チタン酸カリウム繊維、金属繊維、ボロン繊
維、炭化ケイ素繊維、アスベスト、ロックウール等の繊
維状強化材、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスビーズ、
グラファイト、二硫化モリブデン、クレー、シリカ、ア
ルミナ、タルク、ケイソウ土、水和アルミナ、シラスバ
ルーン等の充填剤、滑剤、離型剤、安定剤、着色剤、結
晶核剤の他、他の熱可塑性樹脂(例えば、ポリイミド、
ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポ
リエーテルサルホン、ポリエーテルケトン、ポリテトラ
フロロエチレン等)、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ
樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドイミド樹脂等)を併
用してもよい。
【0034】本発明の炭素繊維強化ポリイミド系樹脂組
成物を調製するための諸原材料を混合する手段は、特に
限定されるものではなく、原料を個別に溶融混合機に供
給しても、また予めヘンシェルミキサー、ボールミキサ
ー、リボンブレンダー等の汎用の混合機を用いて2種以
上のものを同時に混合してもよい。通常、混合温度は、
250〜420℃、好ましくは300〜400℃であ
る。
【0035】本発明の炭素繊維強化ポリイミド系樹脂組
成物を成形方法も、圧縮成形、焼結成形等を適用し得る
ことは勿論であるが、均一溶融ブレンド体を形成し生産
性の高い射出成形もしくは押出成形を行うことができ
る。
【0036】以下、本発明を実施例および比較例により
詳細に説明する。
【0037】なお、実施例および比較例で用いたサーモ
トロピック液晶ポリマー、炭素繊維は次の通りである。 (1)サーモトロピック液晶ポリマー: 日本石油化学社製 Xydar SRT−500 住友化学工業社製 エコノール E−6000 ポリプラスチックス社 ベクトラ A−950 (2)炭素繊維: 東邦レーヨン社製 炭素繊維 HTA
【0038】
【実施例】
実施例1〜9 4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルと
ピロメリット酸二無水物を原料として得られた対数粘度
0.46dl/gのポリイミドと各種原材料を第1表に
示すような割合で乾式混合した後、二軸押出機を用いて
370〜400℃で押出して造粒し、得られたペレット
を射出成形機(シリンダー温度370〜410℃、射出
圧力900kg/cm2 、金型温度180℃)に供給
し、後述する各試験法に定められた試験片を成形し、引
張強度、引張弾性率,曲げ弾性率を測定した。各試験方
法は下記に示した。さらに、上記のペレットを射出成形
機(シリンダー温度420℃、射出圧力1500kg/
cm2 、金型温度180℃)に供給し、流動肉厚1mm
の条件下にスパイラル流動長を測定した。
【0039】1)引張強度:ASTM D−638に準
じて測定した。
【0040】2)曲げ強度:ASTM D−790に準
じて測定した。
【0041】3)曲げ弾性率:ASTM D−790に
準じて測定した。
【0042】
【比較例】比較例1〜4 諸原材料の配合割合を第2表に示したようにした以外は
全て実施例1と全く同様の操作を行って試験片を作製
し、それぞれの性質を測定し、得られた結果を第2表に
併記した。
【0043】第1表と第2表を比較すると、実施例1〜
9はいずれも優れた機械特性、成形加工性を有している
のに対し、比較例1〜4は、機械特性が劣っているか、
あるいは成形加工性が悪いかのいづれかの欠点を有して
いることは明白である。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】 本発明の炭素繊維強化ポリイミド系樹
脂組成物は、ポリイミド樹脂およびサーモトロピック液
晶ポリマーからなる樹脂組成物の特性を大きく損なうこ
となく、機械特性が非常に優れたものである。よって、
本発明の樹脂組成物は、機械特性,耐熱性,耐薬品性に
優れているため、歯車,カム,プッシング,プーリー,
プーリー,スリーブ,軸受け等の機械部品や、コネクタ
ー,ボビン,ICソケット等の電気・電子部品、またイ
ンペラ,マニホールド,バルブガイド,バルブシステ
ム,ピストンスカート,オイルパン,フロントカバー,
ロッカーカバー等の自動車部品に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 67/04 C08L 67/04 (72)発明者 堤 敏彦 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 高橋 敏明 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 大地 広泰 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−72755(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 79/08 C08K 7/06 C08L 67/00 - 67/04 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)〔化1〕で表わされる繰り返し
    単位を有するポリイミド樹脂50〜99重量%と、サー
    モトロピック液晶ポリマーの1種または2種以上の混合
    物50〜1重量%とを含む樹脂組成物と、この樹脂組成
    物100重量部に対して、炭素繊維5〜100重量
    含有してなり370〜410℃の温度範囲で射出成形す
    ることを特徴とする炭素繊維強化ポリイミド系樹脂組成
    物。 【化1】 (式中、Xは直結、イオウ、炭素数1〜10の二価の炭
    化水素基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、カル
    ボニル基、チオ基、スルホニル基、酸素から成る群より
    選ばれた基を表わし、Y,Y,YおよびYはそ
    れぞれ水素、塩素または臭素から成る群より選ばれた基
    を表わし、またRは炭素数4〜9の脂肪族基、炭素数
    4〜10の単環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環
    式芳香族基、芳香族基が直接又は架橋員より相互に連結
    された非縮合多環式芳香族基から成る群より選ばれた4
    価の基を表わす。)
  2. 【請求項2】 サーモトロピック液晶ポリマーが、式
    (2)〔化2〕、式(3)〔化3〕、式(4)〔化4〕
    および式(5)〔化5〕の繰り返し単位を有する基本構
    造からなる群より選ばれた少なくとも1種のものである
    ことを特徴とする請求項1記載の炭素繊維強化ポリイミ
    ド系樹脂組成物。 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】
  3. 【請求項3】式(1)で表わされる繰り返し構造単位を
    有するポリイミド樹脂の式中のR1 が、次の(a)〜
    (e)からなる群より選ばれた少なくとも1種である請
    求項1記載の炭素繊維強化ポリイミド系樹脂組成物。 (a) 炭素数4〜9の脂肪族基 (b) 炭素数4〜10の環式脂肪族基 (c) 次式〔化6〕で表される単環式芳香族基 【化6】 (d) 次式〔化7〕で表される縮合多環式芳香族基 【化7】 (e)次式〔化8〕で表わされる芳香族基が直接又は架
    橋員より相互に連結された非縮合多環式芳香族基 【化8】
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