JP2922714B2 - 塗り替え用塗料組成物 - Google Patents
塗り替え用塗料組成物Info
- Publication number
- JP2922714B2 JP2922714B2 JP4140098A JP14009892A JP2922714B2 JP 2922714 B2 JP2922714 B2 JP 2922714B2 JP 4140098 A JP4140098 A JP 4140098A JP 14009892 A JP14009892 A JP 14009892A JP 2922714 B2 JP2922714 B2 JP 2922714B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- monomer
- coating
- organic solvent
- repainting
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Paints Or Removers (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗装仕上げされた建築
物の壁や天井等において、劣化した塗膜を塗り替える際
に用いられる塗り替え用塗料組成物に関するものであ
る。
物の壁や天井等において、劣化した塗膜を塗り替える際
に用いられる塗り替え用塗料組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】最近、建築物の壁や天井等の内装材の表
面を、塗料によって塗装仕上げする場合が多く、建造物
の塗り替えに対する塗料の需要が高まっている。このよ
うな塗り替え作業では、単に旧塗膜の上に新たに塗料を
塗布しても、塗料の旧塗膜に対する浸透性,密着性が悪
いため、両者を強固に一体化することはできない。この
ため、従来は、予め旧塗膜上に溶剤系シーラーを塗布し
て旧塗膜を侵し、その上に塗料を塗布して両者の層間密
着性を高めるという手法が用いられてきた。
面を、塗料によって塗装仕上げする場合が多く、建造物
の塗り替えに対する塗料の需要が高まっている。このよ
うな塗り替え作業では、単に旧塗膜の上に新たに塗料を
塗布しても、塗料の旧塗膜に対する浸透性,密着性が悪
いため、両者を強固に一体化することはできない。この
ため、従来は、予め旧塗膜上に溶剤系シーラーを塗布し
て旧塗膜を侵し、その上に塗料を塗布して両者の層間密
着性を高めるという手法が用いられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、旧塗膜
の多く(特にウレタン塗膜やアルキド塗膜)は、劣化に
よって表面の架橋が進みすぎて溶剤に侵されにくくなっ
ており、溶剤系シーラーを塗布しても、充分に旧塗膜表
面を侵すことはできない。また、建造物の塗り替えは、
通常住宅密集地において行われることが多いため、臭
気,吸入毒性,引火等の問題から、溶剤系シーラーの使
用はできるだけ避けることが必要である。そこで、各種
の旧塗膜に対し密着良好な水性シーラーの開発が望まれ
ており、さらに一歩進んで、シーラーと上塗り塗料性能
を兼ね備えた塗料の開発が望まれている。
の多く(特にウレタン塗膜やアルキド塗膜)は、劣化に
よって表面の架橋が進みすぎて溶剤に侵されにくくなっ
ており、溶剤系シーラーを塗布しても、充分に旧塗膜表
面を侵すことはできない。また、建造物の塗り替えは、
通常住宅密集地において行われることが多いため、臭
気,吸入毒性,引火等の問題から、溶剤系シーラーの使
用はできるだけ避けることが必要である。そこで、各種
の旧塗膜に対し密着良好な水性シーラーの開発が望まれ
ており、さらに一歩進んで、シーラーと上塗り塗料性能
を兼ね備えた塗料の開発が望まれている。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、各種の劣化した旧塗膜に対し、優れた浸透性,
密着性を示す塗り替え用塗料組成物の提供をその目的と
する。
もので、各種の劣化した旧塗膜に対し、優れた浸透性,
密着性を示す塗り替え用塗料組成物の提供をその目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、有機溶剤を媒体として、下記の(A)成
分を5重量%以上、下記の(B)成分を0.5重量%以
上、下記の(C)成分を94.5重量%以下の割合で含
有する単量体群を重合させて三元共重合体を得、重合反
応終了後に、上記有機溶剤を回収して媒体を水と置換す
ることにより得られる、上記三元共重合体の水溶液から
なる塗り替え用塗料組成物を第1の要旨とする。
め、本発明は、有機溶剤を媒体として、下記の(A)成
分を5重量%以上、下記の(B)成分を0.5重量%以
上、下記の(C)成分を94.5重量%以下の割合で含
有する単量体群を重合させて三元共重合体を得、重合反
応終了後に、上記有機溶剤を回収して媒体を水と置換す
ることにより得られる、上記三元共重合体の水溶液から
なる塗り替え用塗料組成物を第1の要旨とする。
【0006】(A)下記の一般式(1)で表されるカチ
オン性アルカリ架橋型単量体。
オン性アルカリ架橋型単量体。
【0007】
【化3】
【0008】(B)下記の一般式(2)で表されるアル
コキシシラン単量体。
コキシシラン単量体。
【0009】
【化4】
【0010】(C)エチレン性不飽和単量体。
【0011】また、本発明は、上記水溶液中に、エチレ
ン性不飽和単量体を重合させてなる重合体が分散含有さ
れている塗り替え用塗料組成物を第2の要旨とし、上記
2種類の水溶液中のいずれかに、顔料が分散含有されて
いる塗り替え用塗料組成物を第3の要旨とする。
ン性不飽和単量体を重合させてなる重合体が分散含有さ
れている塗り替え用塗料組成物を第2の要旨とし、上記
2種類の水溶液中のいずれかに、顔料が分散含有されて
いる塗り替え用塗料組成物を第3の要旨とする。
【0012】
【作用】すなわち、本発明者らは、水性であって、各種
の劣化塗膜に対し優れた浸透性,密着性を有する水性塗
料組成物を見いだすべく、水溶性樹脂、なかでもアクリ
ル系樹脂を中心に一連の研究を行った。その結果、前記
一般式(1),(2)で表される特殊な単量体(A成
分,B成分)とエチレン性不飽和単量体(C成分)と
を、有機溶剤中で特定の割合で共重合させ、上記有機溶
剤を水で置換すると、得られる鎖状重合体は水に対して
良好な溶解性を示し、しかも旧塗膜に対し優れた浸透性
を示すことがわかった。しかも、その水溶液が水の揮散
により架橋して極めて緻密な皮膜を形成するので、充分
な耐水性,防水性,耐久性を発揮し、強固な塗膜となる
ことを見いだした。さらに、単に緻密な皮膜を形成する
だけではなく、前記一般式(1)のカチオン性に起因し
て、通常アニオン電荷を帯びる旧塗膜をポリマー中に捕
捉するため、強固な浸透補強性を発揮することがわかっ
た。
の劣化塗膜に対し優れた浸透性,密着性を有する水性塗
料組成物を見いだすべく、水溶性樹脂、なかでもアクリ
ル系樹脂を中心に一連の研究を行った。その結果、前記
一般式(1),(2)で表される特殊な単量体(A成
分,B成分)とエチレン性不飽和単量体(C成分)と
を、有機溶剤中で特定の割合で共重合させ、上記有機溶
剤を水で置換すると、得られる鎖状重合体は水に対して
良好な溶解性を示し、しかも旧塗膜に対し優れた浸透性
を示すことがわかった。しかも、その水溶液が水の揮散
により架橋して極めて緻密な皮膜を形成するので、充分
な耐水性,防水性,耐久性を発揮し、強固な塗膜となる
ことを見いだした。さらに、単に緻密な皮膜を形成する
だけではなく、前記一般式(1)のカチオン性に起因し
て、通常アニオン電荷を帯びる旧塗膜をポリマー中に捕
捉するため、強固な浸透補強性を発揮することがわかっ
た。
【0013】なお、上記水溶液に対し、適当な水分散エ
マルジョンあるいは顔料を分散含有させるようにして
も、上記と同様の効果をあげることができる。
マルジョンあるいは顔料を分散含有させるようにして
も、上記と同様の効果をあげることができる。
【0014】つぎに、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明に用いる媒体は、重合反応を行う際
には有機溶剤が用いられ、最終的な塗り替え用塗料組成
物においては、水でなければならない。上記有機溶剤と
しては、メタノール,エタノール,プロパノール,アセ
トン,メチルエチルケトン,ジオキサン,エチレングリ
コール,プロピレングリコール,グリセリン,メチルカ
ルビトール,エチルカルビトール,ブチルカルビトー
ル,メチルセロソルブ,エチルセロソルブ,酢酸,前記
アルコールの酢酸エステル類,前記カルビトールの酢酸
エステル類および上記セロソルブの酢酸エステル類等が
あげられる。上記有機溶剤は、重合反応終了後に、蒸留
等によって回収され、水に置換される。
には有機溶剤が用いられ、最終的な塗り替え用塗料組成
物においては、水でなければならない。上記有機溶剤と
しては、メタノール,エタノール,プロパノール,アセ
トン,メチルエチルケトン,ジオキサン,エチレングリ
コール,プロピレングリコール,グリセリン,メチルカ
ルビトール,エチルカルビトール,ブチルカルビトー
ル,メチルセロソルブ,エチルセロソルブ,酢酸,前記
アルコールの酢酸エステル類,前記カルビトールの酢酸
エステル類および上記セロソルブの酢酸エステル類等が
あげられる。上記有機溶剤は、重合反応終了後に、蒸留
等によって回収され、水に置換される。
【0016】また、前記一般式(1)で表されるカチオ
ン性アルカリ架橋型単量体(A成分)としては、ジメチ
ルアミノメチルアクリルアミドエピクロルヒドリン付加
物のハロゲン化塩,ジメチルアミノプロピルアクリルア
ミドエピクロルヒドリン付加物のハロゲン化塩およびア
ルキルスルホン酸塩、ジメチルアミノプロピルメタクリ
ルアミドエピクロルヒドリン付加物のハロゲン化塩およ
びアルキルスルホン酸塩,ジメチルアミノメチルアクリ
ルエステルエピクロルヒドリン付加物のハロゲン化塩,
ジメチルアミノメチルメタクリルエステルエピクロルヒ
ドリン付加物のハロゲン化塩,ジメチルアミノプロピル
アクリルエステルエピクロルヒドリン付加物のハロゲン
化塩,ジメチルアミノプロピルメタクリルエステルエピ
クロルヒドリン付加物のハロゲン化塩およびアルキルス
ルホン酸塩、あるいはそれらに対応するエポキサイド体
があげられる。このようなエポキサイド体としては、前
記一般式(1)においてQが下記の式(3)で示される
化合物があげられる。
ン性アルカリ架橋型単量体(A成分)としては、ジメチ
ルアミノメチルアクリルアミドエピクロルヒドリン付加
物のハロゲン化塩,ジメチルアミノプロピルアクリルア
ミドエピクロルヒドリン付加物のハロゲン化塩およびア
ルキルスルホン酸塩、ジメチルアミノプロピルメタクリ
ルアミドエピクロルヒドリン付加物のハロゲン化塩およ
びアルキルスルホン酸塩,ジメチルアミノメチルアクリ
ルエステルエピクロルヒドリン付加物のハロゲン化塩,
ジメチルアミノメチルメタクリルエステルエピクロルヒ
ドリン付加物のハロゲン化塩,ジメチルアミノプロピル
アクリルエステルエピクロルヒドリン付加物のハロゲン
化塩,ジメチルアミノプロピルメタクリルエステルエピ
クロルヒドリン付加物のハロゲン化塩およびアルキルス
ルホン酸塩、あるいはそれらに対応するエポキサイド体
があげられる。このようなエポキサイド体としては、前
記一般式(1)においてQが下記の式(3)で示される
化合物があげられる。
【0017】
【化5】
【0018】そして、上記カチオン性アルカリ架橋型単
量体は、全単量体に対し5%以上の割合で配合させるこ
とが必要である。すなわち、カチオン性アルカリ架橋型
単量体が5%未満では、得られる皮膜の架橋密度,耐水
性,耐溶剤性,耐湿性が不足し、充分な機械特性が発現
されず、また旧塗膜との密着性、特に耐水密着性が著し
く低下するためである。
量体は、全単量体に対し5%以上の割合で配合させるこ
とが必要である。すなわち、カチオン性アルカリ架橋型
単量体が5%未満では、得られる皮膜の架橋密度,耐水
性,耐溶剤性,耐湿性が不足し、充分な機械特性が発現
されず、また旧塗膜との密着性、特に耐水密着性が著し
く低下するためである。
【0019】一方、前記一般式(2)で表されるアルコ
キシシラン単量体(B成分)としては、ビニルトリエト
キシシラン,ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シ
ラン,3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン,3−メタクリロキシプロピルジメチルメトシキシラ
ン等があげられる。上記アルコキシシラン単量体は、全
単量体に対し0.5%以上の割合で配合することが必要
である。すなわち、アルコキシシラン単量体が0.5%
未満では、上記カチオン性アルカリ架橋型単量体の場合
と同様、得られる皮膜の機械特性,旧塗膜との密着性、
特に耐水密着性が低下するためである。
キシシラン単量体(B成分)としては、ビニルトリエト
キシシラン,ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シ
ラン,3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン,3−メタクリロキシプロピルジメチルメトシキシラ
ン等があげられる。上記アルコキシシラン単量体は、全
単量体に対し0.5%以上の割合で配合することが必要
である。すなわち、アルコキシシラン単量体が0.5%
未満では、上記カチオン性アルカリ架橋型単量体の場合
と同様、得られる皮膜の機械特性,旧塗膜との密着性、
特に耐水密着性が低下するためである。
【0020】さらに、上記A成分,B成分とともに用い
られるエチレン性不飽和単量体(C成分)としては、酢
酸ビニル,アクリル酸アルキルエステル,メタクリル酸
アルキルエステル類,スチレン,アクリロニトリル,メ
タクリロニトリル等、疎水性のエチレン性不飽和単量体
があげられる。これらは単独で用いても2種以上を併用
するようにしてもよい。また、上記A〜C成分からなる
三元共重合体の水溶液に、エチレン性不飽和単量体を重
合させてなる重合体を分散含有させてもよいが、その場
合は、上記疎水性のエチレン性不飽和単量体とともに、
アクリル酸,メタクリル酸,アクリル酸またはメタクリ
ル酸のアミド類,メチロール化アミド類,アルコキシメ
チル化アミド類,アルキルアミノエステル類,前記一般
式(1)で表されるカチオン性アルカリ架橋型単量体,
モノクロル酢酸ビニル,1−クロロ−2−ヒドロキシプ
ロピルアクリレート等の親水性単量体を用いることがで
きる。これらも、単独で用いても2種以上を併用しても
よい。上記親水性単量体は、いうまでもなく、生成重合
体が水性媒体に可溶性とならないような範囲内で使用さ
れる。
られるエチレン性不飽和単量体(C成分)としては、酢
酸ビニル,アクリル酸アルキルエステル,メタクリル酸
アルキルエステル類,スチレン,アクリロニトリル,メ
タクリロニトリル等、疎水性のエチレン性不飽和単量体
があげられる。これらは単独で用いても2種以上を併用
するようにしてもよい。また、上記A〜C成分からなる
三元共重合体の水溶液に、エチレン性不飽和単量体を重
合させてなる重合体を分散含有させてもよいが、その場
合は、上記疎水性のエチレン性不飽和単量体とともに、
アクリル酸,メタクリル酸,アクリル酸またはメタクリ
ル酸のアミド類,メチロール化アミド類,アルコキシメ
チル化アミド類,アルキルアミノエステル類,前記一般
式(1)で表されるカチオン性アルカリ架橋型単量体,
モノクロル酢酸ビニル,1−クロロ−2−ヒドロキシプ
ロピルアクリレート等の親水性単量体を用いることがで
きる。これらも、単独で用いても2種以上を併用しても
よい。上記親水性単量体は、いうまでもなく、生成重合
体が水性媒体に可溶性とならないような範囲内で使用さ
れる。
【0021】本発明の塗り替え用塗料組成物は、以上の
媒体および単量体を用い、例えばつぎのようにして製造
することができる。すなわち、まず重合媒体として有機
溶剤を用い、この媒体中に、重合開始剤を添加し、酸に
よって系を酸性に維持しながら、前記カチオン性アルカ
リ架橋型単量体(A成分),アルコキシシラン単量体
(B成分)およびエチレン性不飽和単量体(C成分)を
60〜90℃で1〜5時間かけて重合させる。なお、必
要であれば、予め、分子量調節を目的として2−メルカ
プトエタノール等の連鎖移動剤を添加する。そして、重
合反応完了後に、有機溶剤を蒸留等により回収し、媒体
を水と置換する。なお、重合後に、必要に応じて、各種
の添加剤、例えばブチルセロソルブ,ブチルカルビトー
ル,アセテート等の造膜助剤,消泡剤,顔料,増粘防止
剤等を添加することができる。このようにして、目的と
する塗り替え用塗料組成物を得ることができる。
媒体および単量体を用い、例えばつぎのようにして製造
することができる。すなわち、まず重合媒体として有機
溶剤を用い、この媒体中に、重合開始剤を添加し、酸に
よって系を酸性に維持しながら、前記カチオン性アルカ
リ架橋型単量体(A成分),アルコキシシラン単量体
(B成分)およびエチレン性不飽和単量体(C成分)を
60〜90℃で1〜5時間かけて重合させる。なお、必
要であれば、予め、分子量調節を目的として2−メルカ
プトエタノール等の連鎖移動剤を添加する。そして、重
合反応完了後に、有機溶剤を蒸留等により回収し、媒体
を水と置換する。なお、重合後に、必要に応じて、各種
の添加剤、例えばブチルセロソルブ,ブチルカルビトー
ル,アセテート等の造膜助剤,消泡剤,顔料,増粘防止
剤等を添加することができる。このようにして、目的と
する塗り替え用塗料組成物を得ることができる。
【0022】また、上記塗り替え用塗料組成物には、エ
チレン性不飽和単量体を重合させてなる重合体を分散含
有させるようにしてもよいが、その場合は、上記三元共
重合体の重合とは別に、エチレン性不飽和単量体を、公
知の乳化重合の方法に従って調製すればよい。そして、
得られたエマルジョンを、上記三元共重合体(A+B+
Cからなる共重合体)が溶解含有された媒体と混合する
ことにより、目的とする塗り替え用塗料組成物を得るこ
とができる。
チレン性不飽和単量体を重合させてなる重合体を分散含
有させるようにしてもよいが、その場合は、上記三元共
重合体の重合とは別に、エチレン性不飽和単量体を、公
知の乳化重合の方法に従って調製すればよい。そして、
得られたエマルジョンを、上記三元共重合体(A+B+
Cからなる共重合体)が溶解含有された媒体と混合する
ことにより、目的とする塗り替え用塗料組成物を得るこ
とができる。
【0023】上記製法によれば、有機溶剤を媒体とする
重合反応によって、三元共重合体を効率よく重合するこ
とができる。そして、重合反応後に上記有機溶剤を水と
置換するため、優れた特性を有する水性の塗り替え用塗
料組成物を簡単に得ることができる。
重合反応によって、三元共重合体を効率よく重合するこ
とができる。そして、重合反応後に上記有機溶剤を水と
置換するため、優れた特性を有する水性の塗り替え用塗
料組成物を簡単に得ることができる。
【0024】なお、上記製法において、重合時の媒体と
して用いる有機溶剤は、重合反応を阻害しないようなも
のを選択使用することが必要である。そして、重合開始
剤としては、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニ
トリル、2,2′−アゾビスアミノジプロパン塩酸塩,
過硫酸アンモン等があげられる。さらに、上記媒体を酸
性に維持するのは、重合中に系がゲル化することを防止
するために重要で、pH調整用の酸としては、ギ酸,酢
酸,シュウ酸等の有機酸や、塩酸,硫酸,硝酸等の無機
酸があげられる。
して用いる有機溶剤は、重合反応を阻害しないようなも
のを選択使用することが必要である。そして、重合開始
剤としては、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニ
トリル、2,2′−アゾビスアミノジプロパン塩酸塩,
過硫酸アンモン等があげられる。さらに、上記媒体を酸
性に維持するのは、重合中に系がゲル化することを防止
するために重要で、pH調整用の酸としては、ギ酸,酢
酸,シュウ酸等の有機酸や、塩酸,硫酸,硝酸等の無機
酸があげられる。
【0025】また、本発明の塗り替え用塗料組成物に顔
料を配合する場合には、アルカリ性を呈する顔料の使用
はできるだけ避けることが好ましい。顔料がアルカリ性
では、配合の際、凝集の起こる可能性があるからであ
る。したがって、顔料としては、酸化チタン,クレー等
が好適である。
料を配合する場合には、アルカリ性を呈する顔料の使用
はできるだけ避けることが好ましい。顔料がアルカリ性
では、配合の際、凝集の起こる可能性があるからであ
る。したがって、顔料としては、酸化チタン,クレー等
が好適である。
【0026】上記のようにして得られた本発明の塗り替
え用塗料組成物は、劣化した旧塗膜上に塗工される。上
記塗料組成物は、塗工されることにより、それ自身のカ
チオン電荷により旧塗膜をトラップして浸透補強効果を
発揮し、さらに水揮散による皮膜架橋により緻密な皮膜
を形成して耐水性,耐溶剤性,耐久性に優れた塗膜とな
る。この塗料組成物は、このままシーラー的機能を有す
る上塗り塗料として用いることができる。また、この塗
料組成物を塗布した上に、さらに塗料を塗布することも
できる。この場合は、上記塗料組成物が、旧塗膜と新塗
膜間の接着材として有効に作用する。
え用塗料組成物は、劣化した旧塗膜上に塗工される。上
記塗料組成物は、塗工されることにより、それ自身のカ
チオン電荷により旧塗膜をトラップして浸透補強効果を
発揮し、さらに水揮散による皮膜架橋により緻密な皮膜
を形成して耐水性,耐溶剤性,耐久性に優れた塗膜とな
る。この塗料組成物は、このままシーラー的機能を有す
る上塗り塗料として用いることができる。また、この塗
料組成物を塗布した上に、さらに塗料を塗布することも
できる。この場合は、上記塗料組成物が、旧塗膜と新塗
膜間の接着材として有効に作用する。
【0027】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
明する。
【0028】
【実施例1〜6、比較例1〜6】撹拌翼,温度計および
還流冷却器を取り付けた重合用フラスコに、イソプロピ
ルアルコールを100重量部(以下「部」と略す)と、
下記の表1,表2に示す組成からなる単量体原料を投入
するとともに、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニ
トリル1部と連鎖移動剤であるラウリルメルカプタン1
部を添加し、撹拌下、80℃で5時間重合反応を行っ
た。そして、さらに減圧蒸留装置を用いてイソプロピル
アルコールを完全に水置換して目的とする塗り替え用塗
料組成物を得た。各組成物は、いずれも均一な溶液で、
重合体濃度は30%であった。
還流冷却器を取り付けた重合用フラスコに、イソプロピ
ルアルコールを100重量部(以下「部」と略す)と、
下記の表1,表2に示す組成からなる単量体原料を投入
するとともに、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニ
トリル1部と連鎖移動剤であるラウリルメルカプタン1
部を添加し、撹拌下、80℃で5時間重合反応を行っ
た。そして、さらに減圧蒸留装置を用いてイソプロピル
アルコールを完全に水置換して目的とする塗り替え用塗
料組成物を得た。各組成物は、いずれも均一な溶液で、
重合体濃度は30%であった。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【実施例7〜9】実施例6の試料を用い、下記の表3に
従って顔料,重合体エマルジョン等を配合して目的とす
る塗り替え用塗料組成物を得た。
従って顔料,重合体エマルジョン等を配合して目的とす
る塗り替え用塗料組成物を得た。
【0032】
【表3】 *1:カネボウ・エヌエスシー社製
【0033】
【比較例7,8】実施例6品を用いずに比較例2品を用
いた。それ以外は上記実施例8,9と同様の配合組成に
して比較例7,8品を得た。
いた。それ以外は上記実施例8,9と同様の配合組成に
して比較例7,8品を得た。
【0034】これらの実施例品,比較例品について、つ
ぎに示す方法に従って、塗り替え用塗料としての適性を
評価した。これらの結果を後記の表4〜表6に示す。
ぎに示す方法に従って、塗り替え用塗料としての適性を
評価した。これらの結果を後記の表4〜表6に示す。
【0035】 <適性評価方法> 予め塩化ゴム系シーラーを塗布したスレート板上に、そ
れぞれアクリル系合成樹脂エマルジョン塗料,ウレタン
塗料(溶剤型),アルキド系塗料を塗布し、室温下で7
日間乾燥した。ついで、JIS A 6021に規定す
るアルカリ水に14日間浸漬し、さらにオゾン濃度75
pphm,温度40度に調整したオゾン劣化試験機で1
0日間、サンシャインウェザーメーターで30日間処理
を行ったものを劣化塗板とした。
れぞれアクリル系合成樹脂エマルジョン塗料,ウレタン
塗料(溶剤型),アルキド系塗料を塗布し、室温下で7
日間乾燥した。ついで、JIS A 6021に規定す
るアルカリ水に14日間浸漬し、さらにオゾン濃度75
pphm,温度40度に調整したオゾン劣化試験機で1
0日間、サンシャインウェザーメーターで30日間処理
を行ったものを劣化塗板とした。
【0036】つぎに、上記各劣化塗板に、実施例1〜8
品および比較例1〜7品をそれぞれ15%に水希釈した
ものを約100g/m2 塗布し、室温下で2日間乾燥さ
せたのち、この上にアクリル系合成樹脂エマルジョン塗
料を約400g/m2 塗布した。そして、室温下で7日
間乾燥させたのち水浸漬を行い、5日後に引き上げて、
旧塗膜と新塗膜の層間密着状態を評価した。なお、評価
は、下記の4段階評価とした。
品および比較例1〜7品をそれぞれ15%に水希釈した
ものを約100g/m2 塗布し、室温下で2日間乾燥さ
せたのち、この上にアクリル系合成樹脂エマルジョン塗
料を約400g/m2 塗布した。そして、室温下で7日
間乾燥させたのち水浸漬を行い、5日後に引き上げて、
旧塗膜と新塗膜の層間密着状態を評価した。なお、評価
は、下記の4段階評価とした。
【0037】 ○ …外観に異常なく、密着性良好。 △ …外観に異常はないが、密着性不良。 × …フクレを生じる。 ××…著しいフクレもしくは剥離を生じる。
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】上記の結果から、実施例品はいずれも比較
例品に比べてシーラーとして優れた性能を示すことがわ
かる。
例品に比べてシーラーとして優れた性能を示すことがわ
かる。
【0042】また、上記と同様の3種類の劣化塗板上
に、前記実施例9品および比較例8品を約400g/m
2 塗布し、室温下で7日間乾燥させたのち水浸漬を行っ
て5日後に引き上げた。そして、上記と同様にして旧塗
膜と新塗膜の層間密着状態を評価した。これらの結果を
下記の表7に示す。
に、前記実施例9品および比較例8品を約400g/m
2 塗布し、室温下で7日間乾燥させたのち水浸漬を行っ
て5日後に引き上げた。そして、上記と同様にして旧塗
膜と新塗膜の層間密着状態を評価した。これらの結果を
下記の表7に示す。
【0043】
【表7】
【0044】上記の結果から、実施例品は比較例品に比
べて上塗り塗料として優れた性能を示すことがわかる。
べて上塗り塗料として優れた性能を示すことがわかる。
【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明は、重合時には有
機溶剤を用い、重合完了後には上記有機溶剤を水と置換
して水性の特殊な塗り替え用塗料組成物を得るようにし
たものである。この製法によれば、効率よく三元共重合
体を得ることができ、しかも簡単に水性の塗り替え用塗
料組成物を得ることができる。そして、このようにして
得られた塗り替え用塗料組成物は、2種類の特殊な単量
体(A成分,B成分)とエチレン性不飽和単量体(C成
分)とを特定の割合で配合してなる三元共重合体を含有
しているため、得られる鎖状重合体が水に対して良好な
溶解性を示し、しかもその水溶液が水の揮散により極め
て緻密な皮膜を形成する。しかも、単に緻密な皮膜で汚
染物の滲出を防止するだけではなく、前記一般式(1)
のカチオン性に起因して、通常アニオン電荷を帯びる旧
塗膜をポリマー中に捕捉するため、旧塗膜への浸透補強
性が大きく、旧塗膜と新塗膜との密着性に優れている。
そして、本発明の塗り替え用塗料組成物は、乾燥が進み
皮膜中の水分が失われていくとともに皮膜の架橋が進ん
で複雑な三次元網状構造を形成するので、得られる皮膜
は、耐水性,耐溶剤性が非常に高く、機械的強度にも優
れ、強固な皮膜となって優れた塗工効果を有する。
機溶剤を用い、重合完了後には上記有機溶剤を水と置換
して水性の特殊な塗り替え用塗料組成物を得るようにし
たものである。この製法によれば、効率よく三元共重合
体を得ることができ、しかも簡単に水性の塗り替え用塗
料組成物を得ることができる。そして、このようにして
得られた塗り替え用塗料組成物は、2種類の特殊な単量
体(A成分,B成分)とエチレン性不飽和単量体(C成
分)とを特定の割合で配合してなる三元共重合体を含有
しているため、得られる鎖状重合体が水に対して良好な
溶解性を示し、しかもその水溶液が水の揮散により極め
て緻密な皮膜を形成する。しかも、単に緻密な皮膜で汚
染物の滲出を防止するだけではなく、前記一般式(1)
のカチオン性に起因して、通常アニオン電荷を帯びる旧
塗膜をポリマー中に捕捉するため、旧塗膜への浸透補強
性が大きく、旧塗膜と新塗膜との密着性に優れている。
そして、本発明の塗り替え用塗料組成物は、乾燥が進み
皮膜中の水分が失われていくとともに皮膜の架橋が進ん
で複雑な三次元網状構造を形成するので、得られる皮膜
は、耐水性,耐溶剤性が非常に高く、機械的強度にも優
れ、強固な皮膜となって優れた塗工効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−229765(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 143/04
Claims (3)
- 【請求項1】 有機溶剤を媒体として、下記の(A)成
分を5重量%以上、下記の(B)成分を0.5重量%以
上、下記の(C)成分を94.5重量%以下の割合で含
有する単量体群を重合させて三元共重合体を得、重合反
応終了後に、上記有機溶剤を回収して媒体を水と置換す
ることにより得られる、上記三元共重合体の水溶液から
なることを特徴とする塗り替え用塗料組成物。 (A)下記の一般式(1)で表されるカチオン性アルカ
リ架橋型単量体。 【化1】 (B)下記の一般式(2)で表されるアルコキシシラン
単量体。 【化2】 (C)エチレン性不飽和単量体。 - 【請求項2】 請求項1記載の水溶液中に、エチレン性
不飽和単量体を重合させてなる重合体が分散含有されて
いることを特徴とする塗り替え用塗料組成物。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の水溶液中に顔
料が分散含有されていることを特徴とする塗り替え用塗
料組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4140098A JP2922714B2 (ja) | 1992-05-01 | 1992-05-01 | 塗り替え用塗料組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4140098A JP2922714B2 (ja) | 1992-05-01 | 1992-05-01 | 塗り替え用塗料組成物 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16632697A Division JP3455065B2 (ja) | 1997-06-23 | 1997-06-23 | 重ね塗り塗り替え用塗料組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06157978A JPH06157978A (ja) | 1994-06-07 |
JP2922714B2 true JP2922714B2 (ja) | 1999-07-26 |
Family
ID=15260904
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4140098A Expired - Fee Related JP2922714B2 (ja) | 1992-05-01 | 1992-05-01 | 塗り替え用塗料組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2922714B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015067753A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-13 | 正宜 田辺 | 塗装面再生剤及び塗装面再生方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3011945B2 (ja) * | 1989-06-21 | 2000-02-21 | 鐘淵化学工業株式会社 | 複層塗装用硬化性組成物 |
JPH03229765A (ja) * | 1990-02-02 | 1991-10-11 | Kanebo N S C Kk | アスベスト公害排除組成物 |
-
1992
- 1992-05-01 JP JP4140098A patent/JP2922714B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06157978A (ja) | 1994-06-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5191029A (en) | Phosphorus-containing polymer compositions containing water-soluble polyvalent metal compounds | |
KR100205630B1 (ko) | 수성 수지분산체 및 코팅용 수지조성물 | |
EP0171235B1 (en) | Coating compositions especially for wood substrates which are based on non-aqueous dispersions of ethylacrylate-copolymers of defined extensibility and gel content | |
JP3358873B2 (ja) | プライマー用水溶液 | |
JP2655783B2 (ja) | プライマー用水性液 | |
JP2528193B2 (ja) | プライマ―用水性液 | |
JP3358872B2 (ja) | プライマー用水性液 | |
JP2769068B2 (ja) | カチオン性マイクロエマルジョン組成物およびその製法 | |
EP0376591A1 (en) | Phosphorus-containing polymer compositions comprising watersoluble polyvalent metal compounds | |
JP2922714B2 (ja) | 塗り替え用塗料組成物 | |
JP3455065B2 (ja) | 重ね塗り塗り替え用塗料組成物 | |
JP2557581B2 (ja) | 塗膜構造体およびその製法 | |
JPS59147058A (ja) | 彩石プラスタ−用の濃化結合剤 | |
JP3115399B2 (ja) | 無機多孔質基材用水性下塗剤 | |
JPH07247460A (ja) | 水性被覆材組成物 | |
EP0022982B1 (de) | Verdickungsmittel für physikalisch trocknende Beschichtungsstoffe und Verfahren zu dessen Herstellung | |
JPH11199825A (ja) | 水性シーラー組成物 | |
EP0594938A2 (en) | Aqueous coating composition and its preparation | |
JPH10176122A (ja) | 水性被覆組成物 | |
JP2000007882A (ja) | エマルジョン組成物 | |
JP2705869B2 (ja) | 汚染物滲出防止用シーラー組成物 | |
JP2003105254A (ja) | 水性シーラー組成物 | |
JP2752849B2 (ja) | プライマー用水性液 | |
JPH10139975A (ja) | 樹脂組成物 | |
JP2000080324A (ja) | 塗料用樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |