JP2752849B2 - プライマー用水性液 - Google Patents
プライマー用水性液Info
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Description
ル等の多孔質アルカリ性無機質基材の表面改質に用いら
れるプライマー用水性液に関するものである。
のセメント系の無機建材は、表面層が脆弱なため、その
補強、ならびに表面仕上げ用の塗装等に対する接着力,
密着力の向上を目的として、その表面にプライマー液を
塗布することが行われている。このようなプライマー液
としては、従来から、合成樹脂を有機溶剤に溶解した溶
剤型のプライマー液が使用されている。しかし、上記溶
剤型のプライマー液は、溶剤が揮発性であるため、引火
しやすく、また吸入によって人体に悪影響を及ぼす等、
安全面,衛生面で問題が多い。そこで、本出願人は、有
機溶剤を用いず、水を媒体とするプライマー用水性液を
開発し、すでに出願している(特願昭62−80694
号)。また、この改良品として、新たにアルコキシシラ
ン含有単量体を共重合したプライマー用水溶液を開発
し、基材のアルカリ度に関係なく架橋して基材表面層の
補強効果に優れた水性樹脂となるものをすでに出願して
いる(特願平3−229766号)。
ライマー用水性液において、共重合成分である架橋性単
量体は、それ自体親水性単量体でもあり、乾燥塗膜中に
は未架橋の官能基等が親水性成分として残っている場合
が多く、その塗膜の耐水性は、溶剤系プライマーと同等
まで達しないのが現状である。
もので、溶剤系プライマーと同等の基材浸透性、基材補
強性、耐水性、耐久性を有するプライマー用水性液の提
供をその目的とする。
め、本発明は、媒体中に、下記の(A)および(B)成
分を主原料とする共重合体が含有され、この共重合体の
分子構造は、上記(A)成分から誘導される構造単位が
5〜99.5重量%、上記(B)成分から誘導される構
造単位が共重合体の0.5〜95重量%を占めるように
設定されているプライマー用水性液を第1の要旨とす
る。
オン性アルカリ架橋型単量体。
コキシシラン単量体。
および下記の(C)成分を主原料とする共重合体が含有
され、この共重合体の分子構造は、上記(A)成分から
誘導される構造単位が共重合体の5重量%以上、上記
(B)成分から誘導される構造単位が共重合体の0.5
重量%以上、上記(C)成分から誘導される構造単位が
共重合体の94.5重量%以下を占めるように設定され
ているプライマー用水性液を第2の要旨とし、上記2種
類のプライマー用水性液のいずれかに、エチレン性不飽
和単量体を重合させてなる重合体が分散含有されている
プライマー用水性液を第3の要旨とする。
種類にかかわらず耐用性ある強固な皮膜を形成し、しか
も耐水性に極めて優れたプライマー用水性液を見いだす
べく、水溶性樹脂、なかでもアクリル系樹脂を中心に一
連の研究を行った。その結果、前記一般式(1),
(2)で表される特殊な単量体(A成分,B成分)を特
定の割合で共重合させると、得られる鎖状重合体は水に
対して良好な溶解性を示し、しかもその水溶液が基材の
表面層に良好に浸透し、基材表面を高強度に補強すると
同時に、その乾燥皮膜は溶剤系プライマーと同等の耐水
性を有することを見出した。また、前記一般式(1)の
カチオン性に起因して、上塗り塗料の塗膜や接着剤層と
の接着性,密着性に優れていることもわかった。
皮膜が上記のように高耐水性、高強度となるのは、つぎ
のような理由によると考えられる。すなわち、本発明
の、前記一般式(1)で表されるカチオン性アルカリ架
橋型単量体(A成分)に由来する重合体構成成分が、ア
ルカリ環境下で基材中のアルカリによって活性化され、
鎖状重合体相互間に架橋反応を生じ、三次元網状構造体
皮膜を形成させる。また、前記一般式(2)で表される
シランに炭素数が1〜3のアルキル基が結合しているア
ルコキシシラン単量体(B成分)に由来する重合体構成
成分が、水性液中に存在する水分によってアルコキシ基
が加水分解され、この加水分解生成物が、この水性液塗
布後の乾燥時に、水の蒸発に伴って架橋反応を生じ、や
はり三次元網状構造体皮膜を形成させる。さらに、アル
キル基の存在により官能基が疎水化されているため、そ
の三次元網状構造体皮膜は、より一層耐水性が向上す
る。したがって、本発明のプライマー用水性液は、基材
に塗布された場合、上記カチオン性アルカリ架橋型単量
体に由来する成分による架橋反応とアルコキシシラン単
量体に由来する成分による架橋反応との相乗効果により
架橋密度が増大し、基材表面が高強度に補強されるとと
もに耐水性が発現する。そして、シランに結合している
アルキル基の効果により、皮膜の耐水性がさらに優れた
ものとなる。
カリ架橋型単量体に由来するカチオン性の構成単位を有
しているため、この皮膜の上に塗布されうる上塗り塗
料、特にアニオン系塗料に対する接着性,密着性に優れ
ている。なお、上記2種類の特殊な単量体(A成分,B
成分)と、エチレン性不飽和単量体とを共重合させる
と、一層皮膜の仕上げ層に対する密着性,接着性が向上
することがわかった。また、上記エチレン性不飽和単量
体は、単独で乳化重合等によって重合させ、これを
(A)+(B)の共重合体含有液もしくは(A)+
(B)+エチレン性不飽和単量体の共重合含有液と混合
させるようにしても、同様の効果が得られることがわか
った。
ある。しかし、共重合させるカチオン性アルカリ架橋型
単量体の溶解性を高めたり、あるいは基材に対する浸透
性を高めたりすることを目的として、水に易溶性の有機
溶剤を併用しても差し支えない。また、水に易溶性の有
機溶剤のみを用いてもよい。このような有機溶剤として
は、メタノール,エタノール,プロパノール,アセト
ン,メチルエチルケトン,ジオキサン,エチレングリコ
ール,プロピレングリコール,グリセリン,メチルカル
ビトール,エチルカルビトール,ブチルカルビトール,
メチルセロソルブ,エチルセロソルブ,酢酸,前記アル
コールの酢酸エステル類,前記カルビトールの酢酸エス
テル類および上記セロソルブの酢酸エステル類等があげ
られる。このような有機溶剤を併用する場合には、得ら
れるプライマー用水性液の安全性の観点から、媒体全体
の50重量%(以下「%」と略す)の範囲で使用するこ
とが好ましく、特に20%以下の範囲で使用することが
好ましい。なお、上記有機溶剤を使用した場合には、重
合反応終了後に、蒸留等によってこれを回収するように
してもよい。
ン性アルカリ架橋型単量体(A成分)としては、ジメチ
ルアミノメチルアクリルアミドエピクロルヒドリン付加
物のハロゲン化塩,ジメチルアミノメチルメタクリルア
ミドエピクロルヒドリン付加物のハロゲン化塩,ジメチ
ルアミノプロピルアクリルアミドエピクロルヒドリン付
加物のハロゲン化塩およびアルキルスルホン酸塩,ジメ
チルアミノプロピルメタクリルアミドエピクロルヒドリ
ン付加物のハロゲン化塩およびアルキルスルホン酸塩,
ジメチルアミノメチルアクリルエステルエピクロルヒド
リン付加物のハロゲン化塩,ジメチルアミノメチルメタ
クリルエステルエピクロルヒドリン付加物のハロゲン化
塩,ジメチルアミノプロピルアクリルエステルエピクロ
ルヒドリン付加物のハロゲン化塩,ジメチルアミノプロ
ピルメタクリルエステルエピクロルヒドリン付加物のハ
ロゲン化塩およびアルキルスルホン酸塩,あるいはそれ
らに対応するエポキサイド体があげられる。このような
エポキサイド体としては、前記一般式(1)においてQ
が下記の式(3)で示される化合物があげられる。
量体は、全単量体に対し5%以上の割合で配合させるこ
とが必要である。すなわち、カチオン性アルカリ架橋型
単量体が5%未満では、得られる皮膜の強度および上塗
り塗料,接着剤との密着性が不充分となるからである。
キシシラン単量体(B成分)としては、ビニルメチルジ
エトキシシラン,ビニルジメチルメトキシシラン,ビニ
ルメチルジエトキシシラン,ビニルジメチルエトキシシ
ラン,ビニルメチルジ(2−メトキシエトキシ)シラ
ン,ビニルジメチル(2−メトキシエトキシ)シラン,
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン,
3−メタクリロキシプロピルジメチルメトシキシラン等
があげられる。上記アルコキシシラン単量体は、全単量
体に対し0.5%以上の割合で配合することが必要であ
る。すなわち、アルコキシシラン単量体が0.5%未満
では、上記カチオン性アルカリ架橋型単量体の場合と同
様、得られる皮膜の耐水性,強度および上塗り塗料,接
着剤との密着性,接着性が不充分となるからである。
ることのできるエチレン性不飽和単量体としては、酢酸
ビニル,アクリル酸アルキルエステル,メタクリル酸ア
ルキルエステル類,スチレン,アクリロニトリル,メタ
クリロニトリル等の疎水性単量体があげられる。これら
は単独で用いても2種以上を併用するようにしてもよ
い。なお、上記エチレン性不飽和単量体によって重合体
を作製する場合には、上記疎水性単量体とともに、アク
リル酸,メタクリル酸,アクリル酸またはメタクリル酸
のアミド類,メチロール化アミド類,アルコキシメチル
化アミド類,アルキルアミノエステル類,前記一般式
(1)で表されるカチオン性アルカリ架橋型単量体,モ
ノクロル酢酸ビニル,1−クロロ−2−ヒドロキシプロ
ピルアクリレート等の親水性単量体が併用される。これ
らも、単独で用いても2種以上を併用してもよい。上記
親水性単量体は、いうまでもなく、生成重合体が水性媒
体に可溶性とならないような範囲内で使用される。上記
エチレン性不飽和単量体を、前記(A)成分と(B)成
分とともに共重合させるか、前記(A)成分と(B)成
分とは別に、乳化重合させて重合体(エマルジョン)と
し、これを(A)+(B)の共重合体を含有する媒体に
混合するようにすると、基材表面と、上塗り塗料,接着
剤等との接着性,密着性が一層向上する。また、(A)
+(B)+上記エチレン性不飽和単量体の共重合体を含
有する媒体に、上記エチレン性不飽和単量体からつくっ
た重合体(エマルジョン)を混合するようにしても、同
様の効果がある。ただし、両者を均一に混合することは
容易でないため、なるべく三者を共重合させる方が好ま
しい。
体および単量体を用い、例えばつぎのようにして製造す
ることができる。すなわち、まず重合媒体である水もし
くは有機溶剤あるいは水と有機溶剤の混合物中に、重合
開始剤を添加し、酸によって系を酸性に維持しながら、
前記カチオン性アルカリ架橋型単量体,アルコキシシラ
ン単量体およびエチレン性不飽和単量体を60〜90℃
で1〜5時間かけて滴下して重合させる。なお、必要で
あれば、予め、分子量調節を目的として2−メルカプト
エタノール等の連鎖移動剤を添加する。また、重合後
に、必要に応じて、各種の添加剤、例えばブチルセロソ
ルブ,ブチルカルビトール,アセテート等の造膜助剤,
消泡剤,顔料,増粘防止剤等を添加することができる。
このようにして、目的とするプライマー用水性液を得る
ことができる。
化重合する場合には、公知の乳化重合の方法に従えばよ
い。そして、得られたエマルジョンを、上記共重合体
(A+BもしくはA+B+エチレン性不飽和単量体から
なる共重合体)含有媒体に混合することにより、目的と
するプライマー用水性液を得ることができる。
を阻害しないようなものを選択使用することが必要であ
る。そして、重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、
アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビスアミ
ノジプロパン塩酸塩,過硫酸アンモン等があげられる。
さらに、上記媒体を酸性に維持するのは、重合中に系が
ゲル化することを防止するために重要で、pH調整用の
酸としては、ギ酸,酢酸,シュウ酸等の有機酸や、塩
酸,硫酸,硝酸等の無機酸があげられる。
マー用水性液は、コンクリート,モルタル,スレート
板,ケイカル板,ALC板等の無機基材表面にプライマ
ーとして塗布される。この塗布液は、媒体の浸透ととも
に速やかに基材の表面層に浸透し、乾燥過程において、
アルカリおよび水分によって活性化された官能基が架橋
して、耐水性,耐アルカリ性に優れた三次元網状構造の
強固な皮膜となる。その結果、溶剤系プライマーを用い
たと同様の、堅牢で耐久性のある補強が基材になされる
ようになる。しかも、本発明のプライマー用水性液は、
親水性の媒体を用いているため、有毒な溶剤が揮発する
ようなことがなく、安全性、公害防止の点で優れてお
り、実用性が極めて高い。さらに、本発明のプライマー
用水性液は、構成成分の一部がカチオンになっているた
め、そのカチオン性に起因して、プライマー塗布層の上
にさらに塗布される上塗り塗料や接着剤等に対しての親
和性,密着性が高く、表面仕上げ層を強固に基材に一体
化させることができる。
明する。
還流冷却器を取り付けた四つ口フラスコに、イソプロピ
ルアルコールを40重量部(以下「部」と略す)、水1
0部を投入し、これに重合開始剤であるアゾビスイソブ
チロニトリル1部と連鎖移動剤であるラウリルメルカプ
タン0.7部を添加した。そして、滴下ロート中に、下
記の表1,表2に示す組成からなる単量体原料を投入
し、攪拌下、イソプロピルアルコールの還流温度で3時
間かけて滴下することにより重合反応を行い、さらに3
時間完結反応を行った。このようにして得られた重合体
含有液は、いずれも均一な溶液で、重合体濃度は50
%、粘度は500〜2000cps (BM型粘度計、30
℃)、pH=4であつた。
として用いられているアクリル系エマルジョンプライマ
ー(アクリセットEMN−17E,日本触媒工業社製)
〔対照例1〕、アルカリ架橋型ポリアクリル酸エステル
エマルジョン(プライマールE−1126,ローム&ハ
ース社製)〔対照例2〕を用意した。
を、石綿セメントケイ酸カルシウム板(pH=9、比重
0.7)および中性化石綿セメントケイ酸カルシウム板
(上記石綿セメントケイ酸カルシウム板をドライアイス
中に密封して1週間放置し、pHを9から7に下げたも
の)のそれぞれに、約120g/m2 の割合で塗布し、
室温下で30分間放置して乾燥させた。そして、その上
から、アクリル系塗料(上塗り塗料)を約130g/m
2 の割合で塗布し、室温下で1週間放置して充分に乾燥
させた。つぎに、この塗装面を2mm間隔の碁盤目状に区
画分けして1cm平方の正方形内に25個の微小区画をつ
くった。そして、その表面に粘着テープ(ニチバンセロ
ハンテープ、幅24mm)を圧着したのち剥離して、基材
側に残留した微小区画の数(残留区画数)を数えた。こ
れによってプライマー層と上塗り塗料との密着性を評価
した。また、乾燥後、塗装面に区画分けを施す前に、試
料を50℃の水中に24時間浸浸したのち、上記と同様
にして耐温水密着性を評価した。そして、これらの結果
を下記の表3〜表5に示す。
例品,対照例品に比べて優れた性能を有していることが
わかる。
(エマルジョンC)を作製し、上記実施例4品と、後記
の表6に示す組成で混合することにより、プライマー用
水性液を得た。 <エマルジョンCの組成> ブチルアクリレート 50 部 メチルメタアクリレート 48 〃 ジメチルジアリルアンモニウムクロライド 2 〃 エマルゲン935(花王社製) 4 〃 水 156 〃 過硫酸アンモン 0.3〃 <エマルジョンCの一般性状> 不揮発分 38.2% 粘度 200 cps pH 2.8 最低造膜温度 5 ℃
マー用水性液について、実施例1と同様にしてその特性
を評価した。その結果を下記の表6に併せて示す。
ンを別途作製し、前記実施例品と混和させるようにして
も、良好なプライマーが得られることがわかる。
性液は、2種類の特殊な単量体を特定の割合で配合して
なる共重合体を含有しており、基材のアルカリ度にかか
わらず架橋反応を生じて耐水性,耐アルカリ性に優れた
強固な皮膜を形成する。したがって、水性でありなが
ら、従来の溶剤タイプのプライマーと同等以上の優れた
基材補強効果を奏し、しかも安全で公害源にもならな
い。さらに、上塗り塗料や接着剤等に対する親和性を発
揮し、これらからなる仕上げ剤層を、基材表面に強固に
一体化させるという優れた効果を有する。
Claims (3)
- 【請求項1】 水性媒体中に、下記の(A)および
(B)成分を主原料とする共重合体が含有され、この共
重合体の分子構造は、上記(A)成分から誘導される構
造単位が共重合体の5〜99.5重量%、上記(B)成
分から誘導される構造単位が共重合体の0.5〜95重
量%を占めるように設定されていることを特徴とするプ
ライマー用水性液。 (A)下記の一般式(1)で表されるカチオン性アルカ
リ架橋型単量体。 【化1】 (B)下記の一般式(2)で表されるアルコキシシラン
単量体。 【化2】 - 【請求項2】 水性媒体中に、上記(A),(B)およ
び下記の(C)成分を主原料とする共重合体が含有さ
れ、この共重合体の分子構造は、上記(A)成分から誘
導される構造単位が共重合体の5重量%以上、上記
(B)成分から誘導される構造単位が共重合体の0.5
重量%以上、上記(C)成分から誘導される構造単位が
共重合体の94.5重量%以下を占めるように設定され
ていることを特徴とするプライマー用水性液。 (C)エチレン性不飽和単量体。 - 【請求項3】 請求項1記載の水性液中もしくは請求項
2記載の水性液中に、エチレン性不飽和単量体を重合さ
せてなる重合体が分散含有されていることを特徴とする
プライマー用水性液。
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1992
- 1992-05-01 JP JP14009692A patent/JP2752849B2/ja not_active Expired - Fee Related
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