JP2918778B2 - 塗布装置 - Google Patents
塗布装置Info
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- JP2918778B2 JP2918778B2 JP34896293A JP34896293A JP2918778B2 JP 2918778 B2 JP2918778 B2 JP 2918778B2 JP 34896293 A JP34896293 A JP 34896293A JP 34896293 A JP34896293 A JP 34896293A JP 2918778 B2 JP2918778 B2 JP 2918778B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、走行する支持体に塗
布液を塗布する塗布装置に係り、特に可撓性ウエブに磁
性分散液を塗布する塗布装置に関する。
布液を塗布する塗布装置に係り、特に可撓性ウエブに磁
性分散液を塗布する塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、薄膜塗布の高速化等の要請から、
エクストルージョン型塗布装置が各方面で採用されてい
る(特開昭 58-104666号、特開昭 60-238179号、特開昭
62-117666号及び特開平2-265672号の各公報に記載の発
明)。これらのエクストルージョン型塗布装置は、その
先端(以下、ダイヘッドと称する)に上流側リップ及び
下流側リップを備え、これらのリップ間に塗布液(例え
ば磁性分散液)を押出し可能なスロット部が形成され、
上流側リップ及び下流側リップに対向して走行する支持
体(例えばウエブ)に上記塗布液を塗布するものであ
る。
エクストルージョン型塗布装置が各方面で採用されてい
る(特開昭 58-104666号、特開昭 60-238179号、特開昭
62-117666号及び特開平2-265672号の各公報に記載の発
明)。これらのエクストルージョン型塗布装置は、その
先端(以下、ダイヘッドと称する)に上流側リップ及び
下流側リップを備え、これらのリップ間に塗布液(例え
ば磁性分散液)を押出し可能なスロット部が形成され、
上流側リップ及び下流側リップに対向して走行する支持
体(例えばウエブ)に上記塗布液を塗布するものであ
る。
【0003】図5(A)及び図6(A)に示すように、
このようなエクストルージョン型塗布装置1、11の上
流側リップ2、12や下流側リップ3、13のうち、下
流側リップ3、13は、その先端面(塗布作業面)の形
状が平面あるいは単一円弧面に形成されている。この理
由の一つは加工容易性である。つまり、下流側リップ3
及び13は、超硬合金等の高硬度な材料にて構成され、
然も高度な加工精度(サブミクロン単位)が要求され
る。このため、下流側リップ3及び13の塗布作業面は
平面や単一円弧面等単純な形状に限定されているのであ
る。尚、図5及び図6中の符号4、14はスロット部を
示す。
このようなエクストルージョン型塗布装置1、11の上
流側リップ2、12や下流側リップ3、13のうち、下
流側リップ3、13は、その先端面(塗布作業面)の形
状が平面あるいは単一円弧面に形成されている。この理
由の一つは加工容易性である。つまり、下流側リップ3
及び13は、超硬合金等の高硬度な材料にて構成され、
然も高度な加工精度(サブミクロン単位)が要求され
る。このため、下流側リップ3及び13の塗布作業面は
平面や単一円弧面等単純な形状に限定されているのであ
る。尚、図5及び図6中の符号4、14はスロット部を
示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、下流側リッ
プ3及び13の塗布作業面は、塗布速度や塗布膜厚、更
には塗布品種等の塗布操作領域に極めて密接な関係があ
り、この塗布操作領域を考慮してその形状が決定されな
ければならない。
プ3及び13の塗布作業面は、塗布速度や塗布膜厚、更
には塗布品種等の塗布操作領域に極めて密接な関係があ
り、この塗布操作領域を考慮してその形状が決定されな
ければならない。
【0005】例えば、下流側リップ3の塗布作業面が平
面の塗布装置1では、図5(A)及び(B)に示すよう
に、下流側リップ3の塗布作業面とウエブ5との間に押
出されてウエブ5に作用する塗布液6の液圧は、下流側
リップ3の塗布作業面の上流端(点b)に対応した位置
と、下流端(点c)の直前に対応した位置とにおいて圧
力が集中し、大きくなる。点b対応位置にて塗布液6の
液圧を所定値以上に設定することは、塗布液6のビード
部7(塗布液6が上流側リップ2の端点aとウエブ5と
の間に張り出した部分)を安定化して良好な塗布膜8を
形成する上で重要である。しかし、それ以外の位置にお
いては、液圧を低く設定して、ウエブ5に作用する負荷
を低減する必要がある。この塗布装置1の場合では、上
述のように、塗布液6の液圧が点b対応位置と点c対応
位置との間で大きくなってしまうので、良好な塗布を実
現できる塗布操作領域の範囲が極めて狭いものとなって
しまう。
面の塗布装置1では、図5(A)及び(B)に示すよう
に、下流側リップ3の塗布作業面とウエブ5との間に押
出されてウエブ5に作用する塗布液6の液圧は、下流側
リップ3の塗布作業面の上流端(点b)に対応した位置
と、下流端(点c)の直前に対応した位置とにおいて圧
力が集中し、大きくなる。点b対応位置にて塗布液6の
液圧を所定値以上に設定することは、塗布液6のビード
部7(塗布液6が上流側リップ2の端点aとウエブ5と
の間に張り出した部分)を安定化して良好な塗布膜8を
形成する上で重要である。しかし、それ以外の位置にお
いては、液圧を低く設定して、ウエブ5に作用する負荷
を低減する必要がある。この塗布装置1の場合では、上
述のように、塗布液6の液圧が点b対応位置と点c対応
位置との間で大きくなってしまうので、良好な塗布を実
現できる塗布操作領域の範囲が極めて狭いものとなって
しまう。
【0006】また、下流側リップ13の塗布作業面が単
一円弧面の塗布装置11では、図6(A)及び(B)に
示すように、下流側リップ13の塗布作業面とウエブ5
との間に押出されてウエブ5に作用する塗布液6の液圧
は、点cの直前に対応した位置において集中はしない
が、点bc間において必要以上の圧力が生成されてしま
う。この傾向は、円弧面の曲率半径が小さくなるほど著
しい。このため、塗布操作条件が僅かに変更されると、
例えば図6(B)の破線に示すように塗布液の圧力が変
動し、ウエブ5に作用する負荷が増大してしまう。この
ため、この塗布装置11の場合にも、良好な塗布を実現
できる塗布操作領域の範囲が狭くなってしまう。
一円弧面の塗布装置11では、図6(A)及び(B)に
示すように、下流側リップ13の塗布作業面とウエブ5
との間に押出されてウエブ5に作用する塗布液6の液圧
は、点cの直前に対応した位置において集中はしない
が、点bc間において必要以上の圧力が生成されてしま
う。この傾向は、円弧面の曲率半径が小さくなるほど著
しい。このため、塗布操作条件が僅かに変更されると、
例えば図6(B)の破線に示すように塗布液の圧力が変
動し、ウエブ5に作用する負荷が増大してしまう。この
ため、この塗布装置11の場合にも、良好な塗布を実現
できる塗布操作領域の範囲が狭くなってしまう。
【0007】この発明は、上述の事情を考慮してなされ
たものであり、良好な塗布を実現できる塗布操作条件の
範囲を拡大できる塗布装置を提供することを目的とす
る。
たものであり、良好な塗布を実現できる塗布操作条件の
範囲を拡大できる塗布装置を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、上流側リップ及び下流側リップを備え、これらのリ
ップ間に塗布液を押出し可能なスロット部が形成され、
上記上流側リップ及び下流側リップに対向して走行する
支持体に上記塗布液を塗布する塗布装置において、上記
上流側リップ及び上記下流側リップにより上記支持体が
屈曲して走行可能とされ、上記下流側リップには、上記
支持体に対向して上記塗布液に接する塗布作業面が上記
支持体側に凸に湾曲して形成され、この塗布作業面の上
記支持体走行方向長さが約 1mm以下に設定されるととも
に、該下流側リップの塗布作業面が曲率半径約20mm以
下、5mm 以上の円弧面に形成されたものである。
は、上流側リップ及び下流側リップを備え、これらのリ
ップ間に塗布液を押出し可能なスロット部が形成され、
上記上流側リップ及び下流側リップに対向して走行する
支持体に上記塗布液を塗布する塗布装置において、上記
上流側リップ及び上記下流側リップにより上記支持体が
屈曲して走行可能とされ、上記下流側リップには、上記
支持体に対向して上記塗布液に接する塗布作業面が上記
支持体側に凸に湾曲して形成され、この塗布作業面の上
記支持体走行方向長さが約 1mm以下に設定されるととも
に、該下流側リップの塗布作業面が曲率半径約20mm以
下、5mm 以上の円弧面に形成されたものである。
【0009】請求項2に記載の本発明は、上流側リップ
と少なくとも2つの下流側リップとを備え、上記上流側
リップと上記下流側リップの1つとの間、並びに上記下
流側リップ間のそれぞれに塗布液を押出し可能なスロッ
ト部が形成され、上記上流側リップ及び上記下流側リッ
プに対向して走行する支持体に上記塗布液を塗布する塗
布装置において、上記上流側リップ及び下流側リップに
より上記支持体が屈曲して走行可能とされ、上記それぞ
れの下流側リップには、上記支持体に対向して上記塗布
液に接する塗布作業面が形成され、少なくとも支持体走
行方向上流側の下流側リップの塗布作業面は上記支持体
側に凸に湾曲し、かつ支持体走行方向長さが約1mm 以下
に設定されるとともに、上気凸に湾曲した塗布作業面
は、曲率半径約20mm以下、 5mm以上の円弧面に形成され
たものである。
と少なくとも2つの下流側リップとを備え、上記上流側
リップと上記下流側リップの1つとの間、並びに上記下
流側リップ間のそれぞれに塗布液を押出し可能なスロッ
ト部が形成され、上記上流側リップ及び上記下流側リッ
プに対向して走行する支持体に上記塗布液を塗布する塗
布装置において、上記上流側リップ及び下流側リップに
より上記支持体が屈曲して走行可能とされ、上記それぞ
れの下流側リップには、上記支持体に対向して上記塗布
液に接する塗布作業面が形成され、少なくとも支持体走
行方向上流側の下流側リップの塗布作業面は上記支持体
側に凸に湾曲し、かつ支持体走行方向長さが約1mm 以下
に設定されるとともに、上気凸に湾曲した塗布作業面
は、曲率半径約20mm以下、 5mm以上の円弧面に形成され
たものである。
【0010】
【作用】従って、請求項1及び請求項3に記載の発明に
係る塗布装置によれば、上流側リップ及び下流側リップ
により支持体が屈曲して走行可能とされ、下流側リップ
には、支持体に対向して塗布液に接する塗布作業面が支
持体側に曲率半径約20mm以下、5mm 以上の円弧面をなす
凸に湾曲して形成され、この湾曲した塗布作業面の支持
体走行方向長さが約 1mm以下に設定されたことから、下
流側リップの湾曲した塗布作業面と支持体との間に押出
された塗布液の液圧は、この塗布作業面の上流端で最大
となり、下流へ向かって漸次減少し、下流端で最小とな
る。この結果、塗布速度や塗布液粘度等の塗布操作条件
が異なって、上記湾曲した塗布作業面と支持体間の塗布
液の液圧が変動しても、この液圧の変動は許容範囲内に
納まる。このため、良好な塗布を実現できる塗布操作領
域の範囲を拡大できる。
係る塗布装置によれば、上流側リップ及び下流側リップ
により支持体が屈曲して走行可能とされ、下流側リップ
には、支持体に対向して塗布液に接する塗布作業面が支
持体側に曲率半径約20mm以下、5mm 以上の円弧面をなす
凸に湾曲して形成され、この湾曲した塗布作業面の支持
体走行方向長さが約 1mm以下に設定されたことから、下
流側リップの湾曲した塗布作業面と支持体との間に押出
された塗布液の液圧は、この塗布作業面の上流端で最大
となり、下流へ向かって漸次減少し、下流端で最小とな
る。この結果、塗布速度や塗布液粘度等の塗布操作条件
が異なって、上記湾曲した塗布作業面と支持体間の塗布
液の液圧が変動しても、この液圧の変動は許容範囲内に
納まる。このため、良好な塗布を実現できる塗布操作領
域の範囲を拡大できる。
【0011】
【実施例】図1は、この発明に係る塗布装置の第1実施
例を示すダイヘッド等の断面図である。図2は、図1の
一部を拡大して示す断面図である。図3は、図1のダイ
ヘッドのリップとウエブとの間に押出された塗布液の液
圧を塗布作業面長さとの関係で示すグラフである。
例を示すダイヘッド等の断面図である。図2は、図1の
一部を拡大して示す断面図である。図3は、図1のダイ
ヘッドのリップとウエブとの間に押出された塗布液の液
圧を塗布作業面長さとの関係で示すグラフである。
【0012】図1に示す塗布装置20はエクストルージ
ョン型塗布装置であり、連続的に走行する支持体に塗布
液を塗布するものである。ここで、支持体としてはプラ
スチック、紙、布あるいは金属等の可撓性シートまたは
ウエブである。また、塗布液としては磁性分散液、感光
液、感熱分散液あるいは粘着液であり、それぞれ磁気記
録媒体、写真フィルム、感熱紙あるいは粘着テープを製
造するものである。この実施例では、支持体としてウエ
ブ21を用い、塗布液として磁性分散液22を用いて、
磁気記録媒体を製造する場合を示す。
ョン型塗布装置であり、連続的に走行する支持体に塗布
液を塗布するものである。ここで、支持体としてはプラ
スチック、紙、布あるいは金属等の可撓性シートまたは
ウエブである。また、塗布液としては磁性分散液、感光
液、感熱分散液あるいは粘着液であり、それぞれ磁気記
録媒体、写真フィルム、感熱紙あるいは粘着テープを製
造するものである。この実施例では、支持体としてウエ
ブ21を用い、塗布液として磁性分散液22を用いて、
磁気記録媒体を製造する場合を示す。
【0013】塗布装置20はダイヘッド23を有し、こ
のダイヘッド23に上流側リップ24及び下流側リップ
25が形成される。これらの上流側リップ24及び下流
側リップ25間にスロット部26が形成され、このスロ
ット部26が液バッファ部27に連通される。上流側リ
ップ24及び下流側リップ25は、ウエブ21の幅と略
同一幅に設定される。また、スロット部26及び液バッ
ファ部27は、上流側リップ24及び下流側リップ25
の全幅方向に延在して構成される。
のダイヘッド23に上流側リップ24及び下流側リップ
25が形成される。これらの上流側リップ24及び下流
側リップ25間にスロット部26が形成され、このスロ
ット部26が液バッファ部27に連通される。上流側リ
ップ24及び下流側リップ25は、ウエブ21の幅と略
同一幅に設定される。また、スロット部26及び液バッ
ファ部27は、上流側リップ24及び下流側リップ25
の全幅方向に延在して構成される。
【0014】液バッファ部27は液供給系28に接続さ
れ、この液供給系28からの磁性分散液22を、塗布幅
方向において塗布量が一定となるように分配させ、スロ
ット部26へ供給する。ここで、ウエブ21は、一対の
ガイドローラ30及び31等に案内されて、上記上流側
リップ24及び下流側リップ25に対向し、背面が支持
されることなく走行する。この走行するウエブ21に、
塗布装置20のスロット部26から磁性分散液22が連
続的に押出されて塗布され、ウエブ21の幅方向に均一
な塗布膜32が形成される。
れ、この液供給系28からの磁性分散液22を、塗布幅
方向において塗布量が一定となるように分配させ、スロ
ット部26へ供給する。ここで、ウエブ21は、一対の
ガイドローラ30及び31等に案内されて、上記上流側
リップ24及び下流側リップ25に対向し、背面が支持
されることなく走行する。この走行するウエブ21に、
塗布装置20のスロット部26から磁性分散液22が連
続的に押出されて塗布され、ウエブ21の幅方向に均一
な塗布膜32が形成される。
【0015】上記ウエブ21は、図1の破線で示すよう
に、ガイドローラ30及び31間に張り渡されるが、ダ
イヘッド23の上流側リップ24及び下流側リップ25
に押圧されて、屈曲角θに屈曲された状態で走行する。
この屈曲角θは、ガイドローラ30及び31近傍でウエ
ブ21が撓む撓み角θ1 、θ2 の和で示される(θ=θ
1 +θ2 )。この屈曲角θは、塗布作業中に磁性分散液
22のビード部33を安定化するためのものであり、約
5度以上に設定される。
に、ガイドローラ30及び31間に張り渡されるが、ダ
イヘッド23の上流側リップ24及び下流側リップ25
に押圧されて、屈曲角θに屈曲された状態で走行する。
この屈曲角θは、ガイドローラ30及び31近傍でウエ
ブ21が撓む撓み角θ1 、θ2 の和で示される(θ=θ
1 +θ2 )。この屈曲角θは、塗布作業中に磁性分散液
22のビード部33を安定化するためのものであり、約
5度以上に設定される。
【0016】上記ビード部33は、図2に示すように、
磁性分散液22が上流側リップ24の端点Aとウエブ2
1との間に円弧状に張り出した部分であり、塗布作業中
にこのビード部33が安定に維持されないと、塗布膜3
2に塗布欠陥(ウエブ21の走行方向に発生するスジ故
障や、塗布膜32の表面光沢度の低下等)が引き起こさ
れる。ビード部33を安定維持するためには、ウエブ2
1の張力を大きくしたり、上記屈曲角θを大きくして、
スロット部26から吐出された直後の磁性分散液22の
液圧を高めることが考えられる。しかし、上記張力の増
大にはウエブ21の引張強さの点から限界があるので、
屈曲角θを増大させてビード部33を安定維持している
のである。
磁性分散液22が上流側リップ24の端点Aとウエブ2
1との間に円弧状に張り出した部分であり、塗布作業中
にこのビード部33が安定に維持されないと、塗布膜3
2に塗布欠陥(ウエブ21の走行方向に発生するスジ故
障や、塗布膜32の表面光沢度の低下等)が引き起こさ
れる。ビード部33を安定維持するためには、ウエブ2
1の張力を大きくしたり、上記屈曲角θを大きくして、
スロット部26から吐出された直後の磁性分散液22の
液圧を高めることが考えられる。しかし、上記張力の増
大にはウエブ21の引張強さの点から限界があるので、
屈曲角θを増大させてビード部33を安定維持している
のである。
【0017】また、上記下流側リップ25の先端面で、
ウエブ21に対向し磁性分散液22と接する面は、塗布
に寄与する塗布作業面29である。この塗布作業面29
は、ウエブ21側に凸に湾曲し、ウエブ21の走行方向
に沿い、塗布作業面29の上流端(スロット部26の開
口端)Bから下流端Cの区間にて曲率半径R1 (R1≦2
0mm)の湾曲面に形成される。更に、塗布作業面29
は、ウエブ21の走行方向長さL1 が約 1mm以下に設定
される。
ウエブ21に対向し磁性分散液22と接する面は、塗布
に寄与する塗布作業面29である。この塗布作業面29
は、ウエブ21側に凸に湾曲し、ウエブ21の走行方向
に沿い、塗布作業面29の上流端(スロット部26の開
口端)Bから下流端Cの区間にて曲率半径R1 (R1≦2
0mm)の湾曲面に形成される。更に、塗布作業面29
は、ウエブ21の走行方向長さL1 が約 1mm以下に設定
される。
【0018】従って、下流側リップ25の塗布作業面2
9とウエブ21との間に押出されてウエブ21に作用す
る磁性分散液22の液圧は、図3の実線に示すように、
塗布作業面29の上流端B(スロット部26の開口端)
に対応する位置で最大となり、下流に向かって漸次減少
し、塗布作業面29の下流端Cに対応する位置において
最小となる。
9とウエブ21との間に押出されてウエブ21に作用す
る磁性分散液22の液圧は、図3の実線に示すように、
塗布作業面29の上流端B(スロット部26の開口端)
に対応する位置で最大となり、下流に向かって漸次減少
し、塗布作業面29の下流端Cに対応する位置において
最小となる。
【0019】ここで、実験例を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】この実験では、ウエブ21として肉厚10μ
m のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを
用い、このウエブ21への張力を 0.5〜 2kg/100mm、ウ
エブ21の屈曲角θをθ= 5〜10度とし、塗工速度を50
〜300m/minとして塗工が実施された例である。また、塗
工面質評価において、「不良」とは、塗布膜32がウエ
ブ21の走行方向においてスジ故障を発生したり、塗布
膜32の表面光沢度が極端に低い場合を言う。また、
「可」とは、上記スジ故障等が稀に発生したり、良好な
塗布領域が限られている場合を言う。更に、「良」と
は、塗布膜32にスジ故障が発生せず、表面光沢度も良
好な場合を言う。
m のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを
用い、このウエブ21への張力を 0.5〜 2kg/100mm、ウ
エブ21の屈曲角θをθ= 5〜10度とし、塗工速度を50
〜300m/minとして塗工が実施された例である。また、塗
工面質評価において、「不良」とは、塗布膜32がウエ
ブ21の走行方向においてスジ故障を発生したり、塗布
膜32の表面光沢度が極端に低い場合を言う。また、
「可」とは、上記スジ故障等が稀に発生したり、良好な
塗布領域が限られている場合を言う。更に、「良」と
は、塗布膜32にスジ故障が発生せず、表面光沢度も良
好な場合を言う。
【0022】表1に示すように、タイプA、B、Cで
は、塗布作業面29が平面の場合であり(図5参照)、
このとき、特に塗布作業面29のウエブ21走行方向長
さL1がL1 =2.0mm の場合に、塗布膜32が不良とな
っている。他のタイプでも可となるためには、塗工速度
に限定がある。また、タイプD、E、Fでは、塗布作業
面29が円弧面であるが、塗布作業面のウエブ走行方向
長さL1 がL1 =2.0mmと長い場合である(図6参
照)。このときには、塗布作業面29の曲率半径R1が2
0、10、5mm のすべての場合について塗布膜32が不良
となっている。
は、塗布作業面29が平面の場合であり(図5参照)、
このとき、特に塗布作業面29のウエブ21走行方向長
さL1がL1 =2.0mm の場合に、塗布膜32が不良とな
っている。他のタイプでも可となるためには、塗工速度
に限定がある。また、タイプD、E、Fでは、塗布作業
面29が円弧面であるが、塗布作業面のウエブ走行方向
長さL1 がL1 =2.0mmと長い場合である(図6参
照)。このときには、塗布作業面29の曲率半径R1が2
0、10、5mm のすべての場合について塗布膜32が不良
となっている。
【0023】さて、タイプG、H、Jでは、塗布作業面
29が円弧面であり、この塗布作業面のウエブ走行方向
長さL1 が 1mm以下の場合である。このとき、塗布作業
面29の曲率半径R1 が小さく、ウエブ走行方向長さL
1 が小さいほど、塗布膜32が良好であることがわか
る。また、タイプI、K、Lでは、塗布作業面29の曲
率半径R1 及びウエブ走行方向長さL1 がともに小さい
場合である。この場合には、塗工速度が50〜300mm/min
の全領域について塗布膜32が良好になっている。
29が円弧面であり、この塗布作業面のウエブ走行方向
長さL1 が 1mm以下の場合である。このとき、塗布作業
面29の曲率半径R1 が小さく、ウエブ走行方向長さL
1 が小さいほど、塗布膜32が良好であることがわか
る。また、タイプI、K、Lでは、塗布作業面29の曲
率半径R1 及びウエブ走行方向長さL1 がともに小さい
場合である。この場合には、塗工速度が50〜300mm/min
の全領域について塗布膜32が良好になっている。
【0024】上述のように、塗布作業面29がウエブ2
1側に凸な円弧面であり、この塗布作業面29のウエブ
21走行方向長さL1 が約1mm 以下に設定されたので、
下流側リップ25の塗布作業面29とウエブ21との間
に押出されてウエブ21に作用する磁性分散液22の液
圧は、塗布作業面29の上流端Bの対応位置で最大とな
り、下流側へ向かい漸次減少し、塗布作業面29の下流
端Cの対応位置で最小となる。このため、塗布速度、塗
布膜圧、塗布品種等の塗布操作領域が変更されたとして
も、下流側リップ25の塗布作業面29とウエブ21と
の間の塗布液22の液圧の変化は、図3の破線で示す小
さな範囲Mに納まり、液圧が所定値以上になってウエブ
21に作用する負荷を増大させることがない。この結
果、良好な塗布を実現できる塗布操作領域の範囲を拡大
することができる。
1側に凸な円弧面であり、この塗布作業面29のウエブ
21走行方向長さL1 が約1mm 以下に設定されたので、
下流側リップ25の塗布作業面29とウエブ21との間
に押出されてウエブ21に作用する磁性分散液22の液
圧は、塗布作業面29の上流端Bの対応位置で最大とな
り、下流側へ向かい漸次減少し、塗布作業面29の下流
端Cの対応位置で最小となる。このため、塗布速度、塗
布膜圧、塗布品種等の塗布操作領域が変更されたとして
も、下流側リップ25の塗布作業面29とウエブ21と
の間の塗布液22の液圧の変化は、図3の破線で示す小
さな範囲Mに納まり、液圧が所定値以上になってウエブ
21に作用する負荷を増大させることがない。この結
果、良好な塗布を実現できる塗布操作領域の範囲を拡大
することができる。
【0025】図4は、この発明に係る塗布装置の第2実
施例におけるダイヘッドの一部を示す断面図である。こ
の第2実施例においても、前記各実施例と同様な部分
は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
施例におけるダイヘッドの一部を示す断面図である。こ
の第2実施例においても、前記各実施例と同様な部分
は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0026】この実施例における塗布装置36では、下
流側リップが下流側第1リップ37と下流側第2リップ
38とから構成され、これらの下流側第1リップ37及
び下流側第2リップ38間に第2スロット部39が形成
される。下流側第1リップ37は、上側リップ24に近
接してスロット部26を構成し、下流側第2リップ38
は、下流側第1リップ37との間で上記第2スロット部
39を構成する。尚、この実施例では、スロット部26
を以下第1スロット部26と称する。
流側リップが下流側第1リップ37と下流側第2リップ
38とから構成され、これらの下流側第1リップ37及
び下流側第2リップ38間に第2スロット部39が形成
される。下流側第1リップ37は、上側リップ24に近
接してスロット部26を構成し、下流側第2リップ38
は、下流側第1リップ37との間で上記第2スロット部
39を構成する。尚、この実施例では、スロット部26
を以下第1スロット部26と称する。
【0027】これらの第1スロット部26及び第2スロ
ット部39からウエブ21へ、同一種類或いは異種類の
磁性分散液22が押し出されて塗布され、多層状態の塗
布膜40が形成される。
ット部39からウエブ21へ、同一種類或いは異種類の
磁性分散液22が押し出されて塗布され、多層状態の塗
布膜40が形成される。
【0028】上記下側第1リップ37の塗布作業面41
と下側第2リップ38の塗布作業面42とは、ウエブ2
1側に凸に湾曲して形成される。このうち、塗布作業面
41は、曲率半径R2 (R2 ≦20mm)の円弧面に形成さ
れ、ウエブ21の走行方向長さL2 が約 1mm以下に設定
される。塗布作業面42については、ウエブ21の走行
方向長さが 1mm以下であってもよく、またそれ以上であ
ってもよ良い。
と下側第2リップ38の塗布作業面42とは、ウエブ2
1側に凸に湾曲して形成される。このうち、塗布作業面
41は、曲率半径R2 (R2 ≦20mm)の円弧面に形成さ
れ、ウエブ21の走行方向長さL2 が約 1mm以下に設定
される。塗布作業面42については、ウエブ21の走行
方向長さが 1mm以下であってもよく、またそれ以上であ
ってもよ良い。
【0029】従って、この第2実施例においても、塗布
作業面41とウエブ21との間に押出されてウエブ21
に作用する磁性分散液22の液圧は、第1スロット部2
6の対応位置で大きくなり、ウエブ22の流れに沿って
漸次減少する。このため、この第2実施例においても、
前記第1実施例と同様に、良好な塗布を実現できる塗布
操作領域の範囲を拡大できる。
作業面41とウエブ21との間に押出されてウエブ21
に作用する磁性分散液22の液圧は、第1スロット部2
6の対応位置で大きくなり、ウエブ22の流れに沿って
漸次減少する。このため、この第2実施例においても、
前記第1実施例と同様に、良好な塗布を実現できる塗布
操作領域の範囲を拡大できる。
【0030】尚、この第2実施例では、下側第1リップ
37の塗布作業面41及び下側第2リップ38の塗布作
業面42がともに湾曲な場合を述べたが、塗布作業面4
1のみが湾曲で塗布作業面42が平面形状であっても良
い。
37の塗布作業面41及び下側第2リップ38の塗布作
業面42がともに湾曲な場合を述べたが、塗布作業面4
1のみが湾曲で塗布作業面42が平面形状であっても良
い。
【0031】以上、本発明の実施例を図面により詳述し
たが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があっても本発明に含まれる。
たが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があっても本発明に含まれる。
【0032】
【発明の効果】以上のように、この発明に係る塗布装置
によれば、良好な塗布を実現できる塗布操作領域の範囲
を拡大することができる。
によれば、良好な塗布を実現できる塗布操作領域の範囲
を拡大することができる。
【図1】図1は、この発明に係る塗布装置の第1実施例
を示すダイヘッド等の断面図である。
を示すダイヘッド等の断面図である。
【図2】図2は、図1の一部を拡大して示す断面図であ
る。
る。
【図3】図3は、図1のダイヘッドのリップとウエブと
の間に押出された塗布液の液圧を塗布作業面長さとの関
係で示すグラフである。
の間に押出された塗布液の液圧を塗布作業面長さとの関
係で示すグラフである。
【図4】図4はこの発明に係る塗布装置の第2実施例に
おけるダイヘッドの一部を示す断面図である。
おけるダイヘッドの一部を示す断面図である。
【図5】図5(A)は、第1従来例の塗布装置の一部を
拡大して示す断面図であり、図5(B)は、図5(A)
の塗布装置における塗布液の液圧を塗布作業面長さとの
関係で示すグラフである。
拡大して示す断面図であり、図5(B)は、図5(A)
の塗布装置における塗布液の液圧を塗布作業面長さとの
関係で示すグラフである。
【図6】図6(A)は、第2従来例の塗布装置の一部を
拡大して示す断面図であり、図6(B)は、図6(A)
の塗布装置における塗布液の液圧を塗布作業面長さとの
関係で示すグラフである。
拡大して示す断面図であり、図6(B)は、図6(A)
の塗布装置における塗布液の液圧を塗布作業面長さとの
関係で示すグラフである。
20 塗布装置 21 ウエブ 22 磁性分散液 24 上流側リップ 25 下流側リップ 29、41 塗布作業面 36 塗布装置 37 第1下側リップ 38 第2下側リップ 39 第2スロット部 L1 、L2 塗布作業面のウエブ走行方向長さ R1 、R2 塗布作業面の曲率半径 θ 屈曲角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 陳 永展 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式 会社内 (56)参考文献 特開 平5−208165(JP,A) 特開 平4−4071(JP,A) 特開 昭63−88080(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B05C 5/02 B05D 1/26
Claims (2)
- 【請求項1】 上流側リップ及び下流側リップを備え、
これらのリップ間に塗布液を押出し可能なスロット部が
形成され、上記上流側リップ及び下流側リップに対向し
て走行する支持体に上記塗布液を塗布する塗布装置にお
いて、 上記上流側リップ及び上記下流側リップにより上記支持
体が屈曲して走行可能とされ、 上記下流側リップには、上記支持体に対向して上記塗布
液に接する塗布作業面が上記支持体側に凸に湾曲して形
成され、この塗布作業面の上記支持体走行方向長さが約
1mm以下に設定されるとともに、該下流側リップの塗布
作業面が曲率半径約20mm以下、5mm 以上の円弧面に形成
されたことを特徴とする塗布装置。 - 【請求項2】 上流側リップと少なくとも2つの下流側
リップとを備え、上記上流側リップと上記下流側リップ
の1つとの間、並びに上記下流側リップ間のそれぞれに
塗布液を押出し可能なスロット部が形成され、上記上流
側リップ及び上記下流側リップに対向して走行する支持
体に上記塗布液を塗布する塗布装置において、 上記上流側リップ及び下流側リップにより上記支持体が
屈曲して走行可能とされ、 上記それぞれの下流側リップには、上記支持体に対向し
て上記塗布液に接する塗布作業面が形成され、少なくと
も支持体走行方向上流側の下流側リップの塗布作業面は
上記支持体側に凸に湾曲し、かつ支持体走行方向長さが
約1mm 以下に設定されるとともに、上気凸に湾曲した塗
布作業面は、曲率半径約20mm以下、 5mm以上の円弧面に
形成されたことを特徴とする塗布装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34896293A JP2918778B2 (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 塗布装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34896293A JP2918778B2 (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 塗布装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07185433A JPH07185433A (ja) | 1995-07-25 |
JP2918778B2 true JP2918778B2 (ja) | 1999-07-12 |
Family
ID=18400569
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34896293A Expired - Lifetime JP2918778B2 (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 塗布装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2918778B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4984312B2 (ja) * | 2001-09-10 | 2012-07-25 | 大日本印刷株式会社 | 塗工装置 |
-
1993
- 1993-12-28 JP JP34896293A patent/JP2918778B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07185433A (ja) | 1995-07-25 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19990406 |