JP2918311B2 - 防振装置 - Google Patents

防振装置

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JP2918311B2
JP2918311B2 JP22620990A JP22620990A JP2918311B2 JP 2918311 B2 JP2918311 B2 JP 2918311B2 JP 22620990 A JP22620990 A JP 22620990A JP 22620990 A JP22620990 A JP 22620990A JP 2918311 B2 JP2918311 B2 JP 2918311B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は防振装置に関し、詳しくはコンピュータ、精
密計測機器、精密加工機器などの機器類を載置した床な
どの上部構造物を、スラブなどの下部構造物上に水平及
び鉛直変位可能に支持し、交通振動や地震動による機器
類の機能停止や機器類の横転、電気配線の断線などを未
然に防止して機器類を交通振動や地震動から保護する防
振装置に関する。
〔従来の技術〕
コンピュータ、精密計測機器、精密加工機器などの機
器類を交通振動や地震動から保護する防振装置として
は、例えば、以下のi〜iiiに示すようなものがある。
i.特開昭64-69842号公報に開示された発明は、転動球、
復元ばね、粘性ダンパ、積層ゴム構造体を組合わせ、環
境振動等のミクロンオーダの振動を積層ゴム構造体で吸
収し、地震時の大きな揺れを転動球、復元ばねで吸収す
るようにした防振装置である。
ii.特開平2-35140号公報に開示された発明は、球体及び
復元ばねを組合わせ、球体あるいは上部構造体の下面、
下部構造体の上面に弾性(粘弾性)被覆層を形成するこ
とにより、ボールベアリングの上下面とのなじみをよく
し、また、ノイズの発生を解消するようにした防振装置
である。
iii.特開昭56-46042号公報に開示された発明は、球体と
二つの湾曲盤体とを組合わせ、この湾曲盤体間に球体を
介在させることにより湾曲盤体の凹曲面と接触する球体
の転動でもって振動を吸収するようにした防振装置であ
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、前述したi〜iiiに記載した各種の防振装
置には以下に示す問題点があった。
i.特開昭64-69842号公報に開示された防振装置では、転
動球の転動に減衰作用がないので何らかの形でダンパを
別に設置しなければならない。また、この転動球の転動
が全方向に亘って自由となっているので、転動球の中立
位置を決める何らかの手段や、上記転動球を中立位置に
復帰させるための復元ばねが不可欠となってくる。更
に、転動球の加工精度や転動面の施工状熊が悪いと、複
数の転動球が均等に荷重を受けられず、場合によっては
ガタが生じることもある。
ii.特開平2-35140号公報に開示された防振装置でも、転
動球を中立位置に復帰させるためにはやはり復元ばねを
設けなければならない。また、球体で建築物などの大き
な荷重を受けると、受圧面がスポット的になるため、受
圧面での歪みが大きく、弾性(粘弾性)被覆層が破損し
やすい等の問題があった。
iii.特開昭56-46042号公報に開示された防振装置では、
湾曲盤体間での球体の転動によって支持高さが増加し、
その位置エネルギーによって元の位置に復帰させるよう
にしているが、実際上、数ヶ所で建物を支持した場合、
球体が均等に荷重を受けられず、球体が過負荷を受けた
り或いは球体と湾曲盤体間に隙間が生じたりして安定し
た防振作用が得られず、減衰作用も不十分でダンパを別
に設置しなければならない。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みて提案されたもの
で、その目的とするところは、施工やメンテナンスが容
易で実用的な防振装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明における上記目的を達成するための技術的手段
は、複数のローラを凸曲面状となるように並列させて軸
支した一対のローラセグメントを、その凸曲面を上下側
に向けて背向させ、且つ、各ローラセグメントの相互の
ローラを直交させた状態で相互に傾動可能に上下配置
し、各ローラセグメントのローラを受ける凹曲面状の転
動面を有するレールを各ローラセグメントの上下に配置
したことである。
〔作用〕
本発明に係る防振装置では、各ローラセグメントのロ
ーラがレールの転動面上をX方向及びY方向に転動し得
るので、上記ローラセグメントがXY平面のあらゆる方向
に移動可能となる。この時、ローラセグメントのローラ
が凸曲面状をなし、これをレールの凹曲面状の転動面で
受けるため、上記ローラセグメントを相互にあらゆる方
向に傾動可能とした。更に転動面に粘弾性体を用いるこ
とにより鉛直並びに水平の微小振動を絶縁し、大きい水
平振動に対してはローラの転動に伴うエネルギー吸収作
用によって振動の揺れ戻しを最小限にとどめることがで
きる。これにより、交通振動や地震動の発生時、鉛直な
らびに水平振動を速やかに吸収して優れた防振作用を発
揮する。
〔実施例〕
本発明に係る防振装置の実施例を第1図乃至第11図を
参照しながら説明する。
第1図乃至第4図に示す実施例の防振装置(1)は、
下部構造物であるスラブ(2)と、コンピュータ、精密
計測機器や精密加工機器などの機器類が載置される上部
構造物である防振床(3)との間に設置される。
この防振装置(1)は、後述する支承体(4)とその
支承体(4)の上下に配置されて防振床(3)及びスラ
ブ(2)に夫々取付けられた上下一対のレール(5)
(6)(以下上部及び下部レールと称す)とで溝成され
る。
上記支承体(4)は、一対のローラセグメント(7)
(8)(以下上部及び下部ローラセグメントと称す)を
上下に配置して上部ローラセグメント(7)と下部ロー
ラセグメント(8)とを柱状の防振ゴム体(9)で連結
した構造を有する。上部ローラセグメント(7)は複数
のローラ(10)(10)…を上方に向けて凸曲面状となる
ようにX方向に並列させて支持枠(11)に回転自在に軸
支したもので、これに対し、下部ローラセグメント
(8)は複数のローラ(12)(12)…を下方に向けて凸
曲面状となるようにY方向に並列させて支持枠(13)に
回転自在に軸支したものである。このように上部及び下
部ローラセグメント(7)(8)を、その凸曲面を上下
側に向けて背向させ、且つ、各ローラセグメント(7)
(8)の相互のローラ(10)…(12)…を直交させた状
態で、各支持枠(11)(13)の底面に防振ゴム体(9)
を加硫接着などで固着することにより相互に傾動可能に
一体化した支承体(4)が構成される。
一方、上部及び下部レール(5)(6)は上部及び下
部ローラセグメント(7)(8)のローラ(10)…(1
2)…を受ける凹曲面状の転動面(14)(15)を有す
る。具体的には、鋼板などのレールベース(16)(17)
に粘弾性体(18)(19)を加硫接着などにより一体的に
固着し、その粘弾性体(18)(19)の下面及び上面を転
動面(14)(15)とする。上部レール(5)の転動面
(14)は上部ローラセグメント(7)の凸曲面状をなす
ローラ(10)(10)…が当接して転動するようにX方向
に延びる凹曲面状をなし、下部レール(6)の転動面
(15)は下部ローラセグメント(8)の凸曲面状をなす
ローラ(12)(12)…が当接して転動するようにY方向
に延びる凹曲面状をなす。上部及び下部レール(5)
(6)のレールベース(16)(17)の両側部は、L字状
に折曲げられて粘弾性体(18)(19)の転動面(14)
(15)の両側から突出して起立するローラガイド(20)
(20)(21)(21)が形成され、このローラガイド(2
0)(20)(21)(21)により上記転動面(14)(15)
上を転動するローラ(10)…(12)…を位置規制する。
尚、上部及び下部レール(5)(6)の転動面(14)
(15)は、上述した構造以外にも粘弾性体からなるシー
ト部材を凹曲面状をなす部材に貼り付けることにより形
成してもよい。また、この転動面(14)(15)は上述し
た粘弾性体で形成することが好ましいが、この粘弾性体
がなくても、また、それ以外の材質で形成してもよいの
は勿論である。
上記構成からなる防振装置(1)を実使用するに際し
ては、上部及び下部レール(5)(6)を各レールベー
ス(16)(17)を防振床(3)の下面及びスラブ(2)
の上面にネジ止め等で取付け固定することにより実装
し、その上部レール(5)と下部レール(6)間に支承
体(4)を介在させる。この実使用状態の防振装置
(1)を建築物の一部に適用した床防振の施工例を第5
図に示す。この施工例では、後述するように復元ばねや
ダンパを別に設置することなく複数の防振装置(1)
(1)…のみで防振床(3)を支持できる。複数の防振
装置(1)(1)…はXY方向を厳密に揃えなくても防振
性能には全く支障ない。また、上記防振装置(1)
(1)…の平面的な配置パターンは、防振床(3)上に
載置される機器類(22)の配置に基づく鉛直荷重分布に
より設計される。尚、防振床(3)とその周囲の壁面と
の間には、防振床(3)が水平振動の入力により移動で
きるように間隙が設けられ、防振床(3)と壁面間に蛇
腹(23)を張設して上記間隙を塞いでいる。
次に、交通振動や地震動の発生時での防振装置(1)
の動作を以下に説明する。
交通振動や地震動による振動入力を受けた場合、防振
床(3)の下部にある上部レール(5)が静止状熊で、
スラブ(2)の上部にある下部レール(6)がXY平面内
で移動することを考えると、支承体(4)の上部ローラ
セグメント(7)のローラ(10)(10)…が上部レール
(5)の転動面(14)上をX方向に移動すると共に下部
ローラセグメント(8)のローラ(12)(12)…が下部
レール(6)の転動面(15)上をY方向に移動する。こ
の上部ローラセグメント(7)のX方向移動と下部ロー
ラセグメント(8)のY方向移動により、下部レール
(6)のスラブ(2)がXY平面のあらゆる方向に移動し
ても上部レール(5)の防振床(3)を静止状熊に保持
できる。この時、上部及び下部ローラセグメント(7)
(8)のローラ(10)…(12)…が凸曲面状をなし、こ
れを上部及び下部レール(5)(6)の凹曲面状の転動
面(14)(15)で受けているので、上部及び下部ローラ
セグメント(7)(8)を相互に傾動させる必要があ
り、これは防振ゴム体(9)の弾性変形により上部及び
下部ローラセグメント(7)(8)をあらゆる方向に傾
動可能としている。
より具体的に説明するため、例えば、静止状態にある
防振床(3)の上部レール(5)に対して、スラブ
(2)の下部レール(6)がX方向にaだけ変位した状
態を第6図に示す。この場合、支承体(4)の下部ロー
ラセグメント(8)のローラ(12)(12)…はその長手
方向変位となるので転動せず、上部ローラセグメント
(7)はそのローラ(10)(10)…が上部レール(5)
の転動面(14)を転動しながら中立位置からX方向にa
だけ移動することになる。この時、上部ローラセグメン
ト(7)のローラ(10)(10)…が凸曲面状をなし、こ
れを上部レール(5)の凹曲面状の転動面(14)で受け
ているので、防振ゴム体(9)の弾性変形により上部ロ
ーラセグメント(7)が下部ローラセグメント(8)に
対してX方向にθだけ傾動する。このように上部ローラ
セグメント(7)のローラ(10)(10)…を凸曲面状と
し、これを上部レール(5)の凹曲面状の転動面(14)
で受けることにより、防振床(3)とスラブ(2)間の
支承高さhがh+Δhに増加することで、その増加分Δ
hが最も安定した値、即ちOになろうとするため最終的
に支承高さはhに自動的に復帰する。即ち、上部ローラ
セグメント(7)を中立位置に自動的に復帰させること
ができ、復元ばねを別に設置する必要はなくなる。ま
た、上記上部ローラセグメント(7)のローラ(10)
(10)…が当接して転動する上部レール(5)の転動面
(14)を粘弾性体(18)で形成したことにより、上部ロ
ーラセグメント(7)の移動時、ローラ(10)(10)…
が粘弾性体(18)に局部的変形を与えながら転動し、こ
の局部的変形によるエネルギーロスでもってローラ(1
0)(10)…の転動を速やかに減衰させることができ、
ダンパを別に設置する必要もなくなる。また、上部ロー
ラセグメント(7)を複数のローラ(10)(10)…を並
列させて構成したから、上部ローラセグメント(7)で
の荷重負坦能力を高くすることができ、本出願人の実験
結果によれば、例えば300mm×300mmの平面スペースで20
00〜5000kgfの荷重を負坦させることが可能となる。
尚、前述ではスラブ(2)の下部レール(6)がX方
向に変位した場合について説明したが、スラブ(2)の
下部レール(6)がY方向に変位した場合でも、支承体
(4)の下部ローラセグメント(8)はそのローラ(1
2)(12)…が下部レール(6)の転動面(15)を転動
しながら中立位置からY方向に移動することになり、前
述のX方向の場合と同様であるため説明は省略する。
最後に、本発明の他の実施例を第7図乃至第11図に基
づいて説明する。この実施例が前述の実施例と異なるの
は支承体(24)のみであり、他の部分については同様で
あるため説明は省略する。この実施例の支承体(24)
は、第7図乃至第10図に示すように上下中央にくびれ部
(25)と、そのくびれ部(25)から上下方へ延びて相互
に直交配置された上部及び下部支持板部(26)(27)と
を一体的に成形するか或いは別々に組付けたナイロン等
のプラスチック製支持体(28)からなり、上部及び下部
支持板部(26)(27)の両側面に支軸(29)…(30)…
が並列状態で植設され、この支軸(29)…(30)…にロ
ーラ(31)…(32)…を貫挿した構造を有する。尚、図
示しないが上記ローラ(31)…(32)…が支軸(29)…
(30)…から抜脱しないように適宜の手段が施されてい
る。これにより上部支持板部(26)、支軸(29)及びロ
ーラ(31)(31)…からなる上部ローラセグメント(3
3)が構成され、同様に、下部支持板部(27)、支軸(3
0)及びローラ(32)(32)…からなる下部ローラセグ
メント(34)が構成される。上部ローラセグメント(3
3)と下部ローラセグメント(34)とはくびれ部(25)
により相互に傾動可能に連結される。上部及び下部ロー
ラセグメント(33)(34)では、複数のローラ(31)…
(32)…が凸曲面状となるように並列状態で上部及び下
部支持板部(26)(27)に支軸(29)…(30)…により
軸支される。
この支承体(24)を防振床(3)の上部レール(5)
とスラブ(2)の下部レール(6)間に介在させて実使
用した際、交通振動や地震動の発生時、前述の実施例で
説明した場合(第6図参照)のようにスラブ(2)がX
方向に移動した場合、第11図に示すように上部レール
(5)の転動面(14)をX方向に移動する上部ローラセ
グメント(33)は、くびれ部(25)の弾性変形により下
部ローラセグメント(34)に対してθだけ傾動する。
尚、上記実施例では、上記ローラセグメント(7)と
下部ローラセグメント(8)とを防振ゴム体(9)或い
はプラスチック製のくびれ部(25)で連結したが、本発
明はこれ以外で上部及び下部ローラセグメント(7)
(8)を相互にあらゆる方向に傾動させ得る構造であれ
ばよい。
また、上記実施例では、上部及び下部レール(5)
(6)の転動面(14)(15)を粘弾性体で形成したが、
本発明はこれに限定されることなく、上部及び下部ロー
ラセグメント(7)(8)の各ローラ(10)…(12)…
自体或いはその表面を粘弾性体で形成するようにしても
よい。
〔発明の効果〕
本発明によれば、複数のローラを凸曲面状となるよう
に並列させて軸支した一対のローラセグメントを、その
凸曲面を上下側に向けて背向させ、且つ、各ローラセグ
メントの相互のローラを直交させた状態で相互に傾動可
能に上下配置し、各ローラセグメントのローラを受ける
凹曲面状の転動面を有するレールを各ローラセグメント
の上下に配置したことにより、簡単な構造で優れた防振
性能を発揮し、レかも、施工やメンテナンスが容易な実
用的価値大なる防振装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る防振装置の一実施例を示す第2図
のX−X線に沿う断面図、第2図は防振装置の平面図、
第3図は第2図のY−Y線に沿う断面図、第4図は防振
装置の支承体を示す斜視図、第5図は防振装置を建築物
の一部に適用した床防振の施工例を示す断面図、第6図
は第1図の状態からスラブがX方向に変位した時の支承
体の移動状熊を示す断面図、第7図は本発明の他の実施
例における支承体を示す平面図、第8図は第7図のY方
向から見た正面図、第9図は第7図のX方向から見た側
面図、第10図は第7図の支承体のローラを取り外した状
態を示す斜視図、第11図は第8図の状態から上部ローラ
セグメントが傾動した状熊を示す正面図である。 (1)……防振装置、(5)(6)……レール、(7)
(8)……ローラセグメント、(10)(11)……ロー
ラ、(14)(15)……転動面、(31)(32)……ロー
ラ、(33)(34)……ローラセグメント。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16F 15/02 - 15/08 E04H 9/02 E04F 15/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のローラを凸曲面状となるように並列
    させて軸支した一対のローラセグメントを、その凸曲面
    を上下側に向けて背向させ、且つ、各ローラセグメント
    の相互のローラを直交させた状熊で相互に傾動可能に上
    下配置し、各ローラセグメントのローラを受ける凹曲面
    状の転動面を有するレールを各ローラセグメントの上下
    に配置したことを特徴とする防振装置。
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