JP2917347B2 - 浴剤組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は美肌効果、保温効果、デオドラント効果およ
び長期間の安定性に優れた浴剤組成物に関するものであ
る。

［従来の技術および課題］ 従来、浴湯に投入して用いられる浴剤組成物として、
種々のものが使用されている。例えば、粉末状や顆粒状
の浴剤組成物の場合には、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナ
トリウム、硼砂、セスキ炭酸ナトリウム等が主として用
いられ、液状の浴剤組成物の場合には、皮膚の保護ある
いは皮膚への感触をよくするために、ラノリン、ラノリ
ン誘導体、イソプロピルミリステート、イソプロピルア
ルコール、スクワラン、ピロリドンカルボン酸塩、グリ
セリン、プロピレングリコール等、各種動植物油および
そのエステル類等の柔軟剤が主剤として用いられ、これ
に色素、香料、殺菌剤等が適宜加えられている。

ところで、柔軟剤は入浴後の浴者の皮膚をなめらかに
し、しっとりとした感触を与える美肌効果を期待する上
で不可欠のものであるが、上記した従来の柔軟剤を用い
る際、その配合量を増加すれば皮膚へのべたつき感が生
じるために、使用量を制限せざるをえなかった。さらに
上述した柔軟剤は、長期間における安定性も悪く、品質
劣化の点でも問題があった。

そこで様々な研究者が、使用量の制限がなく、長期間
の安定性に優れた柔軟剤を開発すべく研究を重ね、ホホ
バ油、メドウフォーム油、ババス油、サル脂等の植物性
油脂が、浴剤組成物の柔軟剤として適していることを報
告している。しかし、これらの植物は天然には限られた
地域に分布していたり、天候により安定供給が難しかっ
たり、コストの点でも効能効果の点でも十分といえるも
のではないのが現状である。

そこで、従来柔軟剤として用いられている動植物性油
脂よりも安価で入手可能であり、かつ優れた美肌効果、
保温効果、デオドラント効果および長期間の安定性を有
する柔軟剤を含有する浴剤組成物の出現が切望されてい
た。

［課題を解決するための手段］ 本発明者は、安価で入手可能であり、かつ優れた美肌
効果、保温効果、デオドラント効果および長期間の安定
性等を有する柔軟剤を含有する浴剤組成物を求めるべく
鋭意検討を行った結果、柑橘類の種子油を浴剤組成物の
添加原料として使用すれば、上記目的に適う浴剤組成物
が得られることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。

すなわち本発明は、柑橘類の種子油を含有することを
特徴とする浴剤組成物（以下、本発明の浴剤組成物とい
う。）である。

本発明の浴剤組成物に添加する柑橘類の種子油は、柑
橘類の種子を一種またはそれ以上の有機溶媒で抽出する
ことにより得るとができる。

柑橘類とは、ミカン科ミカン亜科に属するミカン（カ
ンキツ）属、キンカン属おおびカラタチ（キコク）属の
３種を総括したものであり、具体的に例示するならば、
オレンジ、ミカン、グレープフルーツ、レモン、ライム
等が挙げられる。

抽出後は抽出溶媒を留去することにより、柑橘類の種
子油を得ることができる。

また、利用する種子は未成熟果実から採取したもので
もよいが、完熟果実から採取したものの方がより好まし
い。

得られた柑橘類の種子油の一般的な性状としては、ケ
ン化価が185〜195、ヨウ素価が95〜120であり、また脂
肪酸の組成は、リノール酸38〜50％、パルミチン酸20〜
25％、オレイン酸18〜33％、リノレン酸２〜７％、ステ
アリン酸2.5〜３％である。

本発明の浴剤組成物の有効成分とともに配合する他の
浴剤成分としては、通常浴剤原料として使用できるもの
であればいかなるものでもかまわない。具体的に例示す
るならば、その浴剤の目的とする効能、効果に応じて、
下記に示すものの中から適宜選択して用いればよい。

・無機塩類 塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝
酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硫酸アルミニウム、ポ
リリン酸ナトリウム、塩化アンモニウム、硫酸鉄、リン
酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、チオ硫酸ナトリウ
ム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、硫化
ナトリウム、ホウ砂、酸化カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、塩化カリウム、臭化カリウム、次亜硫酸ナトリウム
等。

・無機酸類 ホウ酸、メタケイ酸、無水ケイ酸等。

・有機酸塩 安息香酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、ピロリドン
カルボン酸、サリチル酸等。

・生薬類 蒼朮、白朮、荊芥、厚朴、 橙皮、当帰、生姜末、人参、桂皮、芍薬、薄荷葉、 山梔子、茯苓、独活、菖蒲、艾葉、 十薬、龍脳、黄柏、陳皮、茴香、カン皮末、カミツレ、
カノコソウ、サフラン、マツブサ等。

・油脂類 ヌカ油、米ヌカエキス、オリーブ油、大豆油、流動パ
ラフィン、白色パラフィン等。

・香料類 −天然香料− ラベンダー油、ジャスミン油、レモン油、ローズ油、
オレンジ油、パイン油、テレビン油、ベルガモット油、
菖蒲油等。

−合成香料− ゲラニオール、シトロネロール、フェニルエチルアル
コール、ベンジルアセテート等。

・色素類 赤色２号、黄色４号、緑色３号、青色１号、赤色213
号、橙色205号、黄色202号の（１）、緑色201号、緑色2
04号、青色201号、青色403号等の厚生省令タール色素別
表ＩおよびIIの色素、クロロフィル、リボフラビン、ア
ンナット、カンタキサンチン、クロシン、コチニール、
べにばな、アントラキノン等の食品添加剤として認めら
れる天然色素。

・多価アルコール類 グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール
等。

・界面活性剤類 ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシラウリルエーテ
ル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポ
リエチレングリコールモノステアレート等。

・その他 イオウ、鉱砂、湯の花、カゼイン、中性白土、サリチ
ル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム、卵黄末、いり糖、雲母末、脱脂粉乳、ポリビニルピ
ロリドン等。

なお、本発明の浴剤組成物は、上記した成分以外にも
必要に応じて、安息香酸エステル、ソルビン酸等の殺菌
防腐剤、エチレンジアミン四酢酸、NTA等の金属封鎖
剤、蛋白分解酵素等の原料も適宜使用することができ
る。

本発明の浴剤組成物は、前述した配合成分に柑橘類を
加え、均一に混合することによって得ることができ、混
合する手段は特に限定されず、均一に混合できる方法で
あればいかなる方法でもよい。

柑橘類の種子油の添加量は、浴剤組成物全量を100部
とした場合の１〜80部うが用いられる。

また、本発明の浴剤組成物の剤型としては、粉体、液
体、固体等の任意の形で用いることができる。

次に本発明の浴剤組成物が、従来の浴剤組成物に比較
して、分散性、美肌効果、保温効果、デオドラント効果
または長期間の安定性に優れていることについて実験例
を挙げて説明する。

実験例４ 〈試料調整〉 本発明の浴剤組成物と従来の浴剤組成物を下記のごと
く製造した。

・試料（本発明の浴剤組成物） 乾燥硫酸ナトリウム 40.0重量部 炭酸水素ナトリウム 55.0重量部 柑橘類の種子油 2.5重量部 レモン系調合香料 2.0重量部 軽質無水ケイ酸 0.3重量部黄色202号の（１） 0.2重量部 計 100.0重量部 上記の組成物を均一に混合し試料とした。

・試料（従来の浴剤組成物No.3） 乾燥硫酸ナトリウム 40.0重量部 炭酸水素ナトリウム 55.0重量部 オリーブ油 2.5重量部 レモン系調合香料 2.0重量部 軽質無水ケイ酸 0.3重量部黄色202号の（１） 0.2重量部 計 100.0重量部 上記の組成物を均一に混合し試料とした。

・試料（従来の浴剤組成物No.4） 乾燥硫酸ナトリウム 42.5重量部 炭酸水素ナトリウム 55.0重量部 レモン系調合香料 2.0重量部 軽質無水ケイ酸 0.3重量部黄色202号の（１） 0.2重量部 計 100.0重量部 上記の組成物を均一に混合し試料とした。

〈実験方法〉 ３つの浴槽にそれぞれ41℃のお湯を200l入れ、それぞ
れの浴湯に試料、およびを各30g添加した。

熟練したパネラー６名が、それぞれの浴槽に各３〜５
分間入浴し、入浴中の湯ざわり、入浴後のなめらかさ、
しっとり感および体臭（汗臭さ）の残存感を下記の基準
により評価した。

−評価基準− ◎：非常によい。○：よい。

△：ややよい。×：効果がない。

結果を第４表に示す。

実験例５ 実験例４で調整した試料およびを、それぞれ紙缶
に420g充填し、40℃,75％RHおよび室温の環境で６ケ月
間保存し、内容製剤の状態を観察した。その結果を第５
表に示す。

上記の結果から、柑橘類の種子油を添加した本発明の
浴剤組成物は、従来の浴剤組成物に比較して、美肌効
果、デオドラント効果および長期間の安定性に優れてい
ることが確認された。

［発明の効果］ 実験例４〜５の結果からわかるように、本発明の浴剤
組成物は、優れた美肌効果および長期間の安定性を有す
るものである。

また、柑橘類の種子油を添加する浴剤組成物は、美肌
効果に優れているばかりではなく、体臭除去（デオドラ
ント）効果も非常に優れている。加えて柑橘類の種子油
は、現在主要果実として大量に利用されている柑橘類か
ら得られ、また産業上利用されずに廃棄されている種子
から得ることができるために、従来に比較して安価にか
つ安定供給することができる。

本発明の浴剤組成物は、粉末および顆粒の場合には、
各種の無機塩類と混合しても長期間変質することがなく
安定であり、液体の場合にも分散性がよいため、各種原
料との相溶性がよく、可溶化の点でも大きな長所があ
り、長期間における乳化安定性もよい。例えば従来のバ
スオイルは、製造時には均一に溶解されていても、長期
間保存した場合に浴剤成分の酸化が起こりやすく、濁
り、分離を生じやすい。しかし、本発明の浴剤組成物を
バスオイルとした場合には、長期間安定であり、品質の
劣化は認められず、湯中に投入しても極めて優れた分離
を示す。

このように本発明の浴剤組成物は、長期間保存しても
安定であり、湯中への分散性が非常に優れ、かつ入浴後
の保温性に優れ、入浴中および入浴後にさらりとした快
適な感触を皮膚に与える等、浴剤剤て優れた性能を有す
る。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】柑橘類の種子油を含有する浴剤組成物。