JP2914382B2 - サーマルプリンタのための追従性印刷ヘッドの負荷装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明はサーマルプリンタに関し、特に全印刷サイク
ル期間中印刷ヘッドの位置を制御するための機構に関す
る。

背景技術 典型的なサーマルプリンタにおいては、異なる熱転写
性有色染料の反復する一連の離間したフレーム即ち色区
画を備えたウエブ状のキャリヤが供給スプールに巻いて
ある。キャリヤは供給スプールから巻出され巻取りスプ
ールに巻取られる。キャリヤはサーマルプリンタの印刷
ヘッドと染料吸収レシーバとの間に形成されたニップを
通って動く。レシーバはドラムの形をしたプラテンに支
持される。印刷ヘッドは染料キャリヤに係合し、このキ
ャリヤをレシーバに押付ける。レシーバは例えば被覆紙
（コーテイングを施された紙）でよく、印刷ヘッドは例
えば複数個の発熱素子を有する。特定の発熱素子を付勢
すると、その発熱素子が加熱される。熱と圧力とによ
り、キャリヤ上の染料が染料吸収レシーバ上に転写せし
められる。印刷される有色染料の濃度即ちダークネス
（暗度）は発熱素子からキャリヤへ供給されるエネルギ
の関数となる。この種のサーマルプリンタは「真の連続
的な色合い（色調）」の染料濃度での染料の転写を可能
にする。このような転写は、各発熱素子に供給されるエ
ネルギを変化させ、レシーバ上での可変染料濃度の画素
を提供することにより、達成される。

多くの場合、ウエブ状のキャリヤは反復する一連の離
間した黄色染料区画（フレーム）、マゼンタ色染料区
画、シアン色染料区画を有する。キャリヤは典型的に
は、1/4ミル程度の肉厚を有する極めて薄い可撓性の染
料担持部材でできている。印刷サイクルの開始時におい
て、切断されたシートたる染料吸収レシーバをドラムの
まりに巻付け、ヘッドの下を通過できるようにするた
め、印刷ヘッドをドラムからロック解除する必要があ
る。この印刷前の作業では、印刷ヘッド又は染料キャリ
ヤがドラムに接触していない状態でドラムを回転させる
必要がある。印刷を開始するため、第１の染料区画（典
型的には、黄色染料区画）を印刷ヘッドの真下の位置へ
運ぶ。印刷ヘッドが下降し、プラテンが回転するときに
レシーバに重なったキャリヤに圧力を加える。重なった
キャリヤ及びレシーバは印刷ヘッドの下で滑動し、発熱
素子が選択的に付勢されて印刷ヘッドの下方に一列の黄
色画素を形成する。ドラムが回転して、最終画像のため
の連続する列の黄色部分を形成する。画像の黄色部分が
転写されたとき、印刷ヘッドが上昇し、次の染料区画の
ために染料吸収レシーバを再位置決めする。染料吸収レ
シーバの再位置決め期間中染料キャリヤは制御され、次
の染料区画（例えば、マゼンタ色染料区画）が印刷ヘッ
ドの下方に位置決めされる。プリンタにおいて、次の
（第２の）染料区画の印刷のための準備が整ったとき、
印刷ヘッドが下降してキャリヤに接触し、次の染料区画
の色の染料をレシーバに転写する。更に次の染料区画
（この場合、シアン色染料区画）で印刷を行なうため、
印刷ヘッドの上昇、レシーバの再位置決め、及びこの染
料区画のためのプリンタの準備を繰返す。レシーバへの
染料の転写期間中３色の染料がスーパーインポーズされ
て、全色画像が形成される。画像の３色部分が転写され
たとき、印刷工程は終了する。印刷ヘッドを再度上昇さ
せて、プラテンの回転を可能にし、画像形成済みのレシ
ーバを取出す必要がある。次の切断シートたる染料吸収
レシーバをプラテンに再装填するために、印刷ヘッドを
引続き上昇状態に保持しておく必要がある。

ドラムの印刷ヘッドの接触工程は、印刷ヘッドが反復
して正確に位置決めされうる状態で、しかも良質の画像
を得るためプラテンとの接触区域全体に亘って均一な圧
力を作用させるような状態で、行なわねばならない。サ
ーマルプリンタの印刷ヘッドの直線状配列の発熱素子
（発熱素子アレイ）はドラムに対し接線方向に位置決め
すべきであり、ドラムの表面上で半径方向にセンタリン
グさせるべきである。更に、発熱素子アレイは均一な力
でドラム表面に押付けられるべきである。製造部品は完
ぺきな所定寸法とはならないから、このような寸法誤差
による印刷の質への影響を最少化するように機構を設計
すべきである。ヘッド位置の精度は、ドラムとヘッドと
の間に介在する部品の数を最小化し、各部品の形及び特
色を考慮することにより、保証される。ヘッド支持機構
においてこの精度が得られない場合は、調整が必要とな
る。このような調整を可能にすると、機構が複雑になり
高価になってしまう。上昇・下降サイクルの後にヘッド
を同じ位置へ戻す場合は、機構に反復性が要求される。
各染料区画に対してヘッドが同じ位置へ戻らない場合
は、画像の解像度が低下してしまう。印刷期間中ヘッド
がドラムから持上がるのみならず、修理、保守時にドラ
ムから分離できるようにするのが好ましい。

発明の開示 従って、本発明の目的は、上述の諸問題点を解消又は
低減できるサーマルプリンタの印刷ヘッド追従負荷機構
を提供することである。

上記目的は、負荷状態において、ニップを形成するた
めドラムの如きプラテンに装着したレシーバ並びに染料
キャリアに対してサーマルヘッドを追従的に押付けるサ
ーマルプリンタ用の追従性ヘッド負荷機構を提供するこ
とにより、達成され、この機構の特徴とするところは、
この機構が、（イ）固定のピボットシャフトと、（ロ）
サーマルヘッドに固定された下方のブラケットであっ
て、この下方のブラケットを枢着するためピボットシャ
フトを受入れる孔をそれぞれ有するアームを備え、一方
の孔が下方のブラケットの回転運動のみを許容する公差
のない孔であり、他方の孔が下方のブラケットの回転運
動及び並進運動の両方を許容するような長軸及び短軸を
有するスロットの形をしており、上述のニップからピボ
ットシャフトの中心軸へ延びる線がスロットの長軸に垂
直となるようにスロットが形造られている、上述の下方
のブラケットと、（ハ）ピボットシャフトに枢着され無
負荷位置と負荷位置との間で可動な上方のブラケット
と、（ニ）回転可能なカム部材と、（ホ）上方のブラケ
ットと下方のブラケットとを連結し、カム部材に係合さ
せるように下方のブラケットを押圧するヘッド負荷バネ
とを備え、（ヘ）カム部材が印刷ヘッドを負荷位置へ及
び負荷位置から動かすように形造られ位置決めされてお
り、サーマルヘッドがニップを形成するようにヘッド負
荷バネにより追従的に負荷されており、それにより、負
荷力がニップを全体に亘って均一に分布し、下方のブラ
ケットにねじりモーメントが誘起される、 ことである。

図面の簡単な説明 第１図はレシーバに有色画像を形成するために使用で
きるサーマルプリンタの概略構成図、 第２図は本発明に係る追従性ヘッド負荷機構の底面
図、 第3a図ないし第3c図は第２図の３−３線における断面
図で、負荷された印刷位置、キャリヤ前進位置及び修理
・保守位置にそれぞれ位置した状態のヘッド負荷機構を
示す図、 第4a図及び第4b図は本発明に係る機構のスロット整合
構造の別々の例をそれぞれ示す概略側面図である。

発明を実施するための最良の形態 本発明の理解を容易にするため、サーマルプリンタ10
を略示する第１図をまず参照する。サーマルプリンタ10
は切断したレシーバシート12の形をした画像受取り部材
を使用し、このレシーバシートはクランプ（図示せず）
により回転ドラム16に固定される。駆動機構15によりド
ラム16を駆動する。駆動機構15はドラム16を連続的に回
転させ、従ってレシーバシート12の連続する部分は順次
印刷ヘッド18を通る。第１図を明瞭にするため、印刷ヘ
ッド18はブロックで示し、本発明のヘッド負荷機構は第
１図以外の図面に示す。サーマル印刷ヘッド18は普通の
もので、複数個の発熱素子（図示せず）を有する。追従
性ヘッド負荷機構はドラム16に装着したレシーバシート
及び染料キャリヤ14を印刷ヘッドに押付け、印刷ニップ
を形成する。染料キャリヤ14はカートリッジに装着して
あり、駆動機構23によりカートリッジの供給スプール21
から巻取りスプール22へ所定の経路に沿って駆動せしめ
られる。駆動機構23はスプール22のギヤ（図示せず）を
駆動し、染料キャリヤを前進させる。印刷期間中、印刷
ヘッドの発熱素子が印刷ヘッド制御回路24により選択的
に付勢されるときに、駆動機構15は、発熱素子の列に関
して、レシーバシート12及び（印刷ヘッド位置でレシー
バシートに摩擦係合した）キャリヤ14を連続的に前進さ
せる。マイクロコンピュータ17が駆動機構15、23の作動
を制御し、印刷ヘッド制御回路24をも制御する。

染料キャリヤ14は反復する一連の熱転写可能な染料区
画を有する。反復する各区分は典型的には、黄色染料区
画、マゼンタ色染料区画及びシアン染料区画を含むとよ
い。一連のこれら３つの染料区画レシーバシート12上に
全色画像を印刷するために使用する。本明細書におい
て、「染料」という用語は、印刷ヘッド18の個々の発熱
素子により供給されるエネルギに応答して染料キャリヤ
14からレシーバシート12へ転写される有色材料を意味す
るものとする。

ドラム16が３回の印刷サイクルにわたりレシーバシー
トを回転させ全色画像がレシーバシート上に形成された
後、サーマルヘッド18はその負荷位置（第3a図）から第
3b図に示す開位置（即ちドラムから離れた位置）へ上昇
せしめられる。次いで、駆動機構15がドラム16を連続的
に回転させ、レシーバシート12をドラム16から剥ぎ取
る。レシーバシートの装填及び取出し期間中ドラム16か
ら印刷ヘッドを引離しておくと、ドラム16上でのヘッド
の引摺りを防止でき、スプール21又は22を取外すことな
くキャリヤ14を適所に維持することができる。

ヘッド負荷機構28の底面図を示す第２図を参照する
と、ヘッド負荷機構は２つのブラケット、即ち上方のブ
ラケット29及び下方のブラケット30を有する。印刷ヘッ
ド18は適当な手段（図示せず）により下方ブラケット30
の中央部分32に固定してある。ブラケット30は中央部分
32に垂直に形成した２つの平行なアーム36、38を有す
る。ピボットシャフト39が各ピボットアーム36、38にそ
れぞれ設けた孔40a,49bを貫通している。孔40aは円形孔
で、ブラケット30の回転運動のみを許容すべく固定のピ
ボットシャフト39に関して公差のないはめ合いを行なう
ように形成してある。第２の孔40bはスロットであり、
このスロット内で下方ブラケット30が回転運動と並進運
動とを行なえるようになっている。

孔即ちスロット40bは長軸と短軸とを有する。スロッ
ト40bはレシーバシートに作用するドラム16の引摺り力
が下方ブラケット30に捻じれを生じさせないように位置
している。スロットが傾斜すると、ニップの位置におい
て下方ブラケット30がドラム表面を追従する。ヘッド18
が負荷状態になり、スロットが適正に傾斜していない状
態でドラム16が回転すると、下方ブラケット30内にねじ
りモーメントが誘起される。スロット40bは、このスロ
ットの長軸が印刷ニップとピボットシャフト39の中心軸
とを結ぶ線に対して垂直になるように、位置している。
これにより、ねじりモーメントを阻止する。このため、
ニップ全体にわたり均一な負荷力が一様に分布する。

ここで、下方ブラケットの別の構造を略示する第4a図
及び第4b図を参照すると、いずれの場合も、スロット40
bは、その長軸がピボットシャフトの中心軸と印刷ニッ
プとを結ぶ線に対して垂直になるように、位置してい
る。

下方ブラケット30はカム46に係合できる自由端部44を
有する。カム46は上方ブラケット29のアーム50、52に装
着した回転シャフト48に固定してある。圧縮バネ56が上
方ブラケット29の中央部分54と下方ブラケット30の中央
部分32とに連結している。第3a図に示すように、負荷位
置においては、バネ56が下方ブラケット30を動かし、ヘ
ッドをドラム16に係合させる。

第3a−3c図において、図を明瞭にするため、レシーバ
シート12及びキャリヤ14は図示しない。第3a図から判る
ように、リフト用カム46は、自由端部44から実際離れる
ような輪郭を有する。特定色の染料区画による画素がレ
シーバシートに形成された後、リフト用カム46は第3b図
に示す位置へ回転して自由端部44に係合し、下方ブラケ
ット30を上方に駆動し、印刷ヘッド18をドラム16から引
離す。サーマルプリンタの作動期間中全色画像が形成さ
れているときに、ラッチ機構58が上方ブラケット29を第
3a図及び第3b図の位置にラッチ止めし固定する。サーマ
ルプリンタを修理、保守したい場合、ラッチ機構58を手
動で解除して上方ブラケット29との係合を解き、上方及
び下方ブラケットを第3c図の位置へ枢動させる。この位
置のおいては、圧縮バネ56が下方ブラケットを下方へ動
かし、その自由端部44をカム46に係合させる。これによ
り、２つのブラケットを一緒に保持したままヘッド負荷
機構をドラムから引離すように枢動させることができ
る。

上方ブラケットの各アームは、このブラケットを固定
のピボットシャフト39に枢着できるようにする孔を具備
する。これらの孔は公差のないはめ合い孔にする必要は
ない。また、図示はしないが、小さな直流モータを使用
してリフト用カム46を駆動することができる。このモー
タを第２図に示すマイクロコンピュータ17により制御す
るとよい。更に、上方ブラケット29にキャリヤ感知装置
を装着するとよい。

産業上の利用可能性及び効果 サーマルヘッドを装着し負荷するためにはたった２つ
の素子を設けるだけでよい。これらの素子は２つのブラ
ケットであり、一方のブラケットはヘッドを保持し、他
方のブラケットはラッチ状態とラッチ解除状態との間で
可動である。印刷ヘッドを持上げるためにカムを使用
し、単一のピボットシャフトが２つのブラケットを一体
で枢動させる。

本発明は精度の高い印刷ヘッドの位置決めを可能にす
る。これは、プラテン（ドラム表面）上でのヘッドの位
置決めが下方ブラケットにより行なうためである。中間
部品を省略したので、公差による累計誤差が減少し、従
って位置決め誤差を低減できる。

ドラムに対する印刷ヘッドの整合性は下方ブラケット
の寸法管理により制御する。

他の機械的なヘッド持上げ機構に優る本発明のヘッド
持上げ機構の利点は、印刷ヘッドを任意の時期に容易に
昇降させることができることである。この特徴は初期化
機能や誤差修正にとって極めて有用である。

下方ブラケットに設けたスロットのため、印刷ヘッド
はドラム表面に対して均一に負荷されうる。このため、
ヘッド接触圧力の調整が不要となる。

スロットの重要な特徴は、ドラムの引摺り力に起因す
る捻じれを補償するための傾斜を提供することである。
引摺り力が大きい場合、下方ブラケットにねじりモーメ
ントが発生する。均一の負荷でない場合は、このねじり
モーメントのため、負荷バネにより誘起された負荷にバ
イアスがかかってしまう。従って、ニップ全体に亘る圧
力に変化が生じ、レシーバシート上の印刷濃度が変化し
てしまう。この不当な効果は、ニップとピボットシャフ
トの中心線とを結ぶ直線に垂直となるようにスロットを
位置決めすることにより、排除できる。この原理に基づ
き、スロットの傾斜を容易に決定できる。

２つのブラケットは共通のピボットを有するので、こ
れらのブラケットは単一の（一体の）ユニットとしてド
ラムから離れるように枢動でき、印刷区域への接近を著
しく容易にできる。２つのブラケットは実質上障害を受
けずに印刷位置へ復帰できる。このため、印刷ヘッドの
信頼ある位置決めが保証される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 モーリス，ウィリアム・アーウィン アメリカ合衆国ニューヨーク州14125, オークフィールド，ノース・パール・ス トリート 68 (56)参考文献 特開 昭60−89375（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−32765（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−11670（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−192671（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−33971（ＪＰ，Ａ) 特開 昭54−143151（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−145644（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−162041（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】負荷状態において、ニップを形成するため
   ドラムの如きプラテンに装着したレシーバ並びに染料キ
   ャリアに対してサーマル印刷ヘッドを追従的に押付ける
   サーマルプリンタ用の追従性ヘッド負荷機構であって、
   （イ）固定のピボットシャフトと、 （ロ）前記サーマル印刷ヘッドに固定された下方ブラケ
   ットと、 （ハ）前記ピボットシャフトに枢着された上方ブラケッ
   トと、 （ニ）負荷位置へ及び該負荷位置から前記サーマル印刷
   ヘッドを動かすように位置し形造られた回転可能なカム
   部材と、（ホ）前記上方ブラケットと前記下方ブラケッ
   トとを連結し、前記カム部材に係合させるように該下方
   ブラケットを押圧するヘッド負荷バネと、を備えたヘッ
   ド負荷機構において、 前記下方ブラケットが２つのアームを有し、該各アーム
   が該下方ブラケットを枢着するため前記ピボットシャフ
   トを受入れる孔をそれぞれ備え、一方の該孔が前記下方
   ブラケットの回転運動のみを許容する公差のない孔であ
   り、他方の該孔が長軸及び短軸を有するスロットの形を
   している、 ことを特徴とするヘッド負荷機構。
2. 【請求項２】請求の範囲第１項に記載のヘッド負荷機構
   において、前記下方ブラケットに関連する前記スロット
   が、前記ニップから前記ピボットシャフトの中心軸へ延
   びる線が該スロットの長軸に垂直となるように形造られ
   ている、ヘッド負荷機構。