JP2914081B2 - 乾燥装置 - Google Patents

乾燥装置

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JP2914081B2
JP2914081B2 JP5084541A JP8454193A JP2914081B2 JP 2914081 B2 JP2914081 B2 JP 2914081B2 JP 5084541 A JP5084541 A JP 5084541A JP 8454193 A JP8454193 A JP 8454193A JP 2914081 B2 JP2914081 B2 JP 2914081B2
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龍夫 藤田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、厨芥、食品、工業材料
等を乾燥する小型で簡便な装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、腐敗防止を目的とした乾燥処理
は、食品の保存法として広く行われてきた。例えば、赤
外線乾燥、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、減圧乾燥、噴霧
乾燥等がある。いずれも大型のものに適し、本発明の狙
いである小型の装置に技術的に応用し難いものが多い。
【0003】最も小型のもので実用化されているもの
は、電気を用いて衣類を乾燥する衣類乾燥機である。こ
れは衣類を水平軸で回転するドラムに入れ、熱風で乾燥
するものである。衣類は熱劣化しやすいので熱風の温度
は70℃以下としなければならないが、この温度では水
は沸騰しないため、熱風を乾燥したものとすることが必
要である。このため送風機で外気を取入れヒータで加熱
して相対湿度を低下させた空気で衣類を乾燥する。蒸発
した水蒸気を含む空気は器具外に放出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来の
構成では、1.生ごみのような塊状のものを速く乾燥で
きない、2.臭気を含むものは、臭気が排気と共に放出
される、という課題があった。本発明はこのような従来
の装置の課題を解決するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
に、本発明は被乾燥物の蒸発部と蒸発した液体の凝縮部
を有する収納室と、前記収納室を気密に閉塞する被乾燥
物の投入用の蓋と、前記蒸発部内で前記被乾燥物をその
含有液体の沸点以上の温度で加熱する加熱部と、前記凝
縮部の末端に吸排口を有する酸化触媒部を有するものと
し、前記蒸発部、前記凝縮部、前記触媒部が前記吸排口
以外は略密閉状態で乾燥操作するものであり、乾燥操作
時に被乾燥物の蒸発速度または凝縮速度の少なくとも一
方を変動させる手段を有する乾燥装置とした。
【0006】水蒸気の発生速度を変動させる手段とし
て、加熱手段の加熱速度を変動させる、被乾燥物のかく
はん手段の間欠動作による、凝縮部の強制冷却手段の間
欠動作による方法が考えられる。
【0007】また、触媒部に触媒の加熱手段を設け、か
つ前記触媒の吸排口側あるいは、触媒と凝縮部の間に蓄
熱交換体を設ける方法、この蓄熱交換体に触媒を担持す
る方法、触媒部と凝縮部の連通部を冷却する手段を設け
る方法も本発明の臭気をさらに改善する有効な手段であ
る。
【0008】さらに、蒸発部を凝縮部の内部に設けて装
置を小型化した場合、蒸発部と凝縮部を断熱壁で隔離す
れば脱臭性能と熱効率の低下は防止できる。
【0009】
【作用】大気圧下で塊状の被乾燥物の内部の液体を迅速
に気化するには沸点以上の温度で加熱する必要がある。
沸点以上で加熱すると発生した蒸気は蒸気圧によって蒸
発部から出て行くので、衣類乾燥器のような送風機が不
要となる。しかも、蒸気圧が高いために凝縮しやすいの
で、凝縮部を設ければ蒸気は液体になり、外部に蒸気を
排出しない。すなわち、原理的には蒸気を排出しないの
で装置外に臭気を出すことはない。しかし、蒸発した気
体がすべて凝縮することは、簡単な凝縮部では不可能
で、一部は器具外に気体として放出され臭気となる。
【0010】このわずかな蒸気に含まれる臭気も問題と
なる場合が多いので、脱臭部が必要である。脱臭部とし
て酸化触媒を用いている。触媒の酸化反応を促進するた
めには酸素が必要であるが、空気の少ない蒸気では反応
速度が十分に速くない問題が生じる。また、触媒が多量
に液体(水)を吸着すれば触媒反応速度が低下する。そ
こで、本発明では蒸気の発生速度を変動させた。この作
用を以下に述べる。
【0011】加熱を速めれば、蒸発により収納室の内圧
は上昇して、触媒部の吸排口から内部の気体は排出され
る。蒸発を停止すると、凝縮部に既に滞留している蒸気
は凝縮を続けているので、収納室の内圧は低下する。こ
の繰り返しにより、外気が常に往復し、触媒に十分な酸
素が供給され、かつ触媒の乾燥が促進される。
【0012】また、外気の往復は触媒温度の低下という
問題を生じる。そこで、触媒部の吸排口側、または触媒
と凝縮部の間に蓄熱交換体を設ければ、吸排時にこの熱
は触媒に回収され、触媒の脱臭能力は低下しない。
【0013】また、蒸発部を凝縮部の内部に設け、装置
を小型とした場合、蒸発部の温度で凝縮部が加熱され凝
縮性能が低下するという課題が生じる。請求項8のよう
に蒸発部と凝縮部を断熱壁で隔離することにより、凝縮
部の温度上昇は防止される。
【0014】
【実施例】本発明による一実施例の要部縦断面図を図1
に示す。1は含水性の被乾燥物2を入れる蒸発部、蒸発
部1は周囲に断熱部3を有する。断熱部3は耐熱性の
(発泡)プラスチック材料、セラミック系材料、あるい
はそれらの複合材料等と金属とから成る断熱材で構成す
ることもできるが、断熱性とコンパクト性から真空断熱
が最も好ましい。蒸発部1は凝縮部4と連通している。
凝縮部4の上部には被乾燥物2を出し入れするための蓋
5が設けられている。蓋5の中央の蒸気ガイド部6は蒸
発部1と反対方向に凹部を有する円筒状のものである。
蒸気ガイド部6の上部に位置するモータ7で回転する蒸
気ファン8が設けられている。蒸気ガイド部6と蒸気フ
ァン8の回転外周の間の空気に蒸気温度を少なくとも1
00℃以上に加熱するヒータ9が設けられている。蒸気
温度を温度検知部10で検知し、ヒータ9の通電量を制
御して所定の温度にする。加熱手段はマイクロ波、赤外
線、誘導加熱、単なる熱板加熱であっても良いもので、
被乾燥物の温度を検知し所定の温度に制御するならば、
本発明の効果は何等支障なく得られる。
【0015】蒸気ガイド部6には断熱層11が、蒸気フ
ァン8とヒータ9の下方には複数の開口を有するごみよ
け板12が、蒸発部1の下部には被乾燥物2のかくはん
板13とその駆動部14が、凝縮部4の近傍には凝縮部
4の冷却ファン15が設けられている。また、凝縮部4
の下部には凝縮水の排水管16、排水管16の下方に排
水受け17が設けられている。さらに、凝縮部4の下流
の排気管18には触媒部19が設けられ、触媒部19に
は酸化のための触媒、例えば白金族金属触媒をハニカム
状のセラミックに担持した触媒20が設けられている。
ヒータ21は触媒20の中を貫通して触媒20を活性化
温度である300℃以上に加熱する。触媒部19の末端
に吸排口22が設けられている。
【0016】次に動作について説明する。まず蓋5を開
放して中に被乾燥物2を投入し、蓋5を閉める。以下加
熱操作に移る。ヒータ9と蒸気ファン8に通電し、熱風
を発生させて被乾燥物2の加熱を開始する。同時にある
いは被乾燥物2の温度を見計らって冷却ファン15、駆
動部14の動作も開始する。駆動部14は被乾燥物2を
かくはん板13でかくはんするが、かくはん手段はミキ
サーの様な回転羽でもよく、振動であっても良い。被乾
燥物2の温度は徐々に上昇し、水蒸気が発生し始める。
均一乾燥のためには長時間、低出力の加熱源で加熱する
ことが好ましいが、放熱による電力ロスは断熱部3で防
止され、熱効率の高いものとなっている。
【0017】温度検知部10が100℃を超えると蒸発
部1内は水蒸気で充満するため、水蒸気の相対湿度を下
げるため温度検知部10の温度を100℃以上、例えば
130℃とし、水蒸気を乾き水蒸気の状態にしなければ
ならない。この乾き水蒸気が蒸気ファン8でかくはんさ
れ、被乾燥物2を効果的に乾燥する。ごみよけ板12は
開口を有するフィルターで、ヒータ9に飛散物が付着す
ることを防止する。
【0018】加熱により発生した水蒸気は蒸発部1より
凝縮部4に流出し、冷却され凝縮する。約100℃で気
化した水蒸気は同温度で気化する臭気成分を含有する。
したがって、水蒸気が室温まで冷却された場合、この凝
縮水に含まれる臭気成分の割合は、水蒸気に含まれてい
た臭気成分の割合と同一である。すなわち発生した臭気
もほとんど凝縮水とともに排水管16から装置外へ流出
させることができる。排水管16の下流側に排水受け1
7を設けた場合には、凝縮水が溜った時に取り外して廃
棄できる構成にしておくと良い。
【0019】この凝縮部4で凝縮しきれなかった少量の
水蒸気と臭気成分は排気管18を介して、触媒部19へ
と送られ、同部で脱臭後に機外へ排気されるためほぼ無
臭となる。触媒部19の触媒20はヒータ21で反応開
始温度まで加熱されているので、有機成分を無臭とす
る。触媒部19を通過する水蒸気量は少ないので、活性
炭や酸化触媒を用いたときも水分被毒は起こらず、脱臭
性能は向上する。
【0020】触媒20の酸化反応を促進するためには酸
素が必要であるが、空気の少ない蒸気では反応速度は十
分に速くない問題が生じる。また、触媒20が多量に液
体(水)を吸着すれば触媒反応速度が低下する。そこ
で、本発明では凝縮部4と蒸発部1の内圧を変動させ
た。この作用を以下に述べる。
【0021】被乾燥物2の加熱を速めれば、蒸発により
蒸発部1と凝縮部4の内圧は上昇して、触媒部19の吸
排口22から内部の気体は排出される。この気体の臭気
は触媒20で酸化されている。次に加熱を停止すると蒸
発も停止するが、凝縮部4に既に滞留している蒸気は凝
縮を続け、凝縮部4と蒸発部1の内圧は低下する。この
結果、触媒部19の流れは逆となり、外気が吸排口22
から凝縮部4に向けて流れる。このようなスターリング
ライクサイクルを繰り返すことにより、凝縮部4の下流
域(吸排口22方向)には、大気の酸素が補給され続け
る。このことにより、触媒20には酸化反応に必要な酸
素が常に供給されることになる。また、触媒20を外気
が常に往復することにより、触媒20の乾燥が促進され
ている。
【0022】このような蒸発部1と凝縮部4の内圧を変
動させる手段として、被乾燥物2を間欠的にかくはんし
ても良い。駆動手段14を停止したままヒータ9で被乾
燥物2を加熱し続けると、被乾燥物2の表面が乾いて蒸
発速度は小さくなり、内圧は低下する。被乾燥物2の表
面が蒸気温度と同一の130℃になったとき、駆動手段
14で被乾燥物2をかくはんすれば、下部の湿った被乾
燥物2と上部の高温の被乾燥物2が混合し、急激に蒸気
の発生量と内圧は増加する。この繰り返しで触媒部19
に往復流を生じて触媒20に十分な量の酸素を供給でき
る。
【0023】また、冷却手段15の操作により凝縮速度
を変化させてもよい。この場合、蒸発速度を一定とし
て、凝縮速度を大きくすれば内圧は減少し、凝縮を停止
させれば内圧は増加して、外気を触媒部19で往復させ
ることができる。この方法は、蒸発を連続して行うので
乾燥時間は速いものとなるが、凝縮部4の容量を十分に
大きくし、凝縮停止時も凝縮部4の出口温度を低いもの
としなければならない。これらの手段は単独または同時
に行っても良いものである。
【0024】触媒は、一般に高温で反応しやすい特徴を
持つため、加熱する。この場合、外気の往復は触媒20
の温度の低下、あるいはヒータ21の熱ロスという問題
を生じる。そこで触媒部19の吸排口22側にハニカム
状の金属あるいはセラミック製の蓄熱交換体23を設
け、高温の排気の熱を蓄熱し、給気時に熱回収させると
熱効率は改善される。また、給気と共に触媒20の熱は
凝縮部4方向に移動するが、触媒20と凝縮部4の間に
同様の蓄熱交換体24を設ければ、排気時にこの熱は回
収される。この蓄熱交換体に酸化触媒を担持すれば、さ
らに脱臭性能は向上する。
【0025】また、給気時に触媒20の熱が凝縮部4に
入ると、冷却されるべき凝縮部4の温度は上昇し、凝縮
性能が低下する。触媒部19と凝縮部4の連通部を冷却
する手段25を設ければ、凝縮部4の温度上昇は避けら
れ、濃度の高い蒸気が排出されないため、触媒活性が損
なわれることはない。
【0026】次に、本発明の他の実施例を図2とともに
説明する。1は含水性の被乾燥物2を入れる蒸発部、蒸
発部1は周囲に断熱壁3を有する。蒸発部1は凝縮部4
の内部に設けられている。蒸発部1は凝縮部4と上部で
連通している。凝縮部4の上部には被乾燥物2を出し入
れするための蓋5が設けられている。蓋5の中央の蒸気
ガイド部6にモータ7で回転する蒸気ファン8が設けら
れている。蒸気ファン8の外周にヒータ9が設けられて
いる。蒸気温度を温度検知部10で検知し、ヒータ9の
通電量を制御して所定の温度にする。蒸気ガイド部6に
は断熱層11が、蒸気ファン8とヒータ9の下方には複
数の開口を有するごみよけ板12が設けられている。こ
こで蒸発部1は傾斜し、内部にかくはん板13とその駆
動部14が設けられている。凝縮部4の側面には冷却フ
ァン15が設けられている。凝縮部4の下部には凝縮水
の排水管16、排水管16の下方に排水受け17が設け
られている。凝縮部4の下流の排気管18には触媒部1
9が設けられている。触媒部19には酸化触媒20、触
媒20を加熱するヒータ21、末端の吸排口22が設け
られている。
【0027】動作は前述の図1と同じであるので、説明
しない。本実施例では蒸発部1が凝縮部4の中に設けら
れているので、装置は小型となり、かつ蒸発部1は凝縮
部4と着脱できる構成にできるので、掃除が容易とな
る。この構成のままで、蒸発部1に断熱部3がなけれ
ば、蒸発部1の高温で凝縮部4が加熱され凝縮性能が低
下し、臭気が増大する。蒸発部1と凝縮部4を断熱部3
で隔離することにより、凝縮部4の温度上昇は防止さ
れ、上述の問題は避けられる。これと共に、蒸発部1の
温度低下も防止されるので熱効率が低下しないものとな
る。
【0028】
【発明の効果】本発明は上記のように極めて簡単な構成
で、生ごみや食品を乾燥でき、処理中の臭気発生も少な
い。熱効率に優れた小型な乾燥装置を提供することを可
能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における乾燥装置の縦断面図
【図2】本発明の他の実施例における乾燥装置の縦断面
【符号の説明】
1 蒸発部 2 被乾燥物 3 断熱部 4 凝縮部 8 蒸気ファン 9 ヒータ 14 駆動部 19 触媒部 20 触媒 21 ヒータ 23 蓄熱交換体 24 蓄熱交換体 25 冷却ファン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 次郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−45053(JP,A) 実開 昭63−3835(JP,U) 実開 昭56−170699(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F26B 25/00 F26B 11/10 F26B 9/06

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被乾燥物の蒸発部と、蒸発した液体の凝
    縮部と、前記蒸発部と前記凝縮部を気密に閉塞する被乾
    燥物の投入用の蓋と、前記蒸発部内で前記被乾燥物をそ
    の含有液体の沸点以上の温度で加熱する加熱部と、被乾
    燥物の撹拌手段と、前記凝縮部の末端に加熱手段を有す
    る酸化触媒部とを設け、前記触媒部は吸排口を有すると
    ともに、前記蒸発部、前記凝縮部、前記触媒部が前記吸
    排口以外を略密閉状態で乾燥操作するものであり、乾燥
    操作時に被乾燥物の蒸発速度または凝縮速度の少なくと
    も一方を変動させることにより、前記蒸発部と前記凝縮
    部の圧力を大気圧に対して正負に変動させることを特徴
    とする乾燥装置。
  2. 【請求項2】 撹拌手段の間欠動作により水蒸気の発生
    速度を変動させる請求項1記載の乾燥装置。
  3. 【請求項3】 凝縮部に強制冷却手段を設け、前記強制
    冷却手段の間欠動作により水蒸気の凝縮速度を変動させ
    る請求項1記載の乾燥装置。
  4. 【請求項4】 触媒の開口側と、前記触媒と凝縮部の間
    との少なくとも一方に蓄熱交換体を設けた請求項1記載
    の乾燥装置。
  5. 【請求項5】 蒸発部が凝縮部の内部に設けられ、前記
    蒸発部と前記凝縮部が断熱壁で隔離されている請求項1
    記載の乾燥装置。
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