JP2913974B2 - 後輪舵角制御装置 - Google Patents

後輪舵角制御装置

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JP2913974B2
JP2913974B2 JP34622091A JP34622091A JP2913974B2 JP 2913974 B2 JP2913974 B2 JP 2913974B2 JP 34622091 A JP34622091 A JP 34622091A JP 34622091 A JP34622091 A JP 34622091A JP 2913974 B2 JP2913974 B2 JP 2913974B2
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原平 内藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基本的には車速信号に
応じて後輪に補助舵角を与え、ハンドル角が大となった
場合には、ハンドル角に対応したハンドル角信号に応じ
て後輪を逆相側へ転舵する成分を追加する後輪舵角制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ハンドル角応動の後輪舵角制御装
置としては、例えば、特開昭61−18572号公報に
記載のものが知られていて、この従来出典には、実ハン
ドル角が小さい域での後輪同相転舵による安定性と実ハ
ンドル角が大きい域での後輪逆相転舵による回頭性との
両立を図る装置が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の後輪舵角制御装置にあっては、ハンドル角信号のみ
に応じて後輪舵角を制御する装置であり、基本的には車
速信号に応じて後輪に補助舵角を与える本発明とは技術
ベースが異なるものの、従来の技術思想を応用して、基
本的には車速信号に応じて後輪に補助舵角を与え、実ハ
ンドル角が大となった場合には、実ハンドル角に対応し
た実ハンドル角信号に応じて後輪を逆相側へ転舵する成
分を追加する後輪舵角制御装置とした場合には、下記の
問題が生じる。
【0004】(1)旋回性を向上させる目的で小さい実
ハンドル角から逆相方向へ転舵させるようにすると、速
く大きなハンドル角によるレーンチェンジ時に、後輪転
舵角が同相成分が少ない転舵角か逆相の転舵角となる
為、安定性が低下する。
【0005】(2)後輪の制御出力部分に1次遅れ要素
を設け、素早いレーンチェンジに追従しないようにする
と、レーンチェンジ時の安定性は向上するが、旋回中の
動きも同様に遅くなってしまう為、旋回中に十分なアン
ダーステアの低減が図れず旋回性に劣ってしまう。
【0006】本発明は、上記のような問題に着目してな
されたもので、基本的には車速信号に応じて後輪に補助
舵角を与え、ハンドル角が大となった場合には、ハンド
ル角に対応したハンドル角信号に応じて後輪を逆相側へ
転舵する成分を追加する後輪舵角制御装置において、旋
回性向上とレーンチェンジ時の安定性向上の両立を図る
ことを第1の課題とする。
【0007】また、後輪舵角制御装置において、高い旋
回性向上とレーンチェンジ時の高い安定性向上の両立を
図ることを第2の課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記第1の課題を解決す
るため請求項1記載の後輪舵角制御装置では、実ハンド
ル角の増加時には、実ハンドル角に対応した実ハンドル
角信号とは別途に該信号の増加を規制した計算用ハンド
ル角信号を設定し、この計算用ハンドル角信号を用いて
後輪舵角を制御する手段とした。
【0009】即ち、図1のクレーム対応図に示すよう
に、後輪に補助舵角を与える後輪補助舵角付与手段a
と、車速を検出して車速信号を出力する車速検出手段b
と、実ハンドル角を検出して実ハンドル角信号を出力す
る実ハンドル角検出手段cと、検出される実ハンドル角
の増加時に、実ハンドル角信号の増加を規制する規制手
段dと、前記規制手段dにより処理された実ハンドル角
信号に基づき計算用ハンドル角を設定して計算用ハンド
ル角を出力する計算用ハンドル角設定手段eと、基本的
には前記車速信号に応じて設定される制御定数に基づき
後輪に補助舵角を与え、計算用ハンドル角が基本制御に
より後輪に同相の補助舵角が与えられるハンドル角より
大となった場合には、計算用ハンドル角信号に応じて後
輪を逆相側へ転舵する成分を追加する後輪舵角制御を行
なう後輪舵角制御手段fとを備えていることを特徴とす
る。
【0010】上記第2の課題を解決するため請求項2記
載の後輪舵角制御装置では、請求項1記載の後輪舵角制
御装置において、前記規制手段dを、実ハンドル角が計
算用ハンドル角より大きい場合であって、実ハンドル角
が設定ハンドル角速度より大きい速度で減少している場
合は、計算用ハンドル角信号の増加を禁止し、それ以外
の実ハンドル角の増加時にはローパスフィルタをかけて
計算用ハンドル角信号の増加を規制する手段としたこと
を特徴とする。
【0011】
【作用】請求項1記載の発明の作用を説明する。
【0012】旋回時やレーンチェンジ時には、後輪舵角
制御手段fにおいて、基本的には車速信号に応じて後輪
に補助舵角を与え、計算用ハンドル角が基本制御により
後輪に同相の補助舵角が与えられるハンドル角より大と
なった場合には、計算用ハンドル角信号に応じて後輪を
逆相側へ転舵する成分を追加する後輪舵角制御がを行な
われる。ここで、計算用ハンドル角は、計算用ハンドル
角設定手段eにおいて、実ハンドル角を検出する実ハン
ドル角検出手段cにより検出される実ハンドル角の増加
時に、実ハンドル角信号の増加を規制する規制手段dに
より処理された信号に基づき設定される。
【0013】従って、遅く小さなハンドル角となる旋回
時には、規制手段dによる規制が緩やかで実ハンドル角
信号にほぼ追従するような計算用ハンドル角信号に基づ
き、計算用ハンドル角信号に応じて後輪を逆相側へ転舵
する成分が追加されることになり、旋回中に十分なアン
ダーステアの低減が図られる。また、速く大きなハンド
ル角となるレーンチェンジ時には、規制手段dによる規
制が大きく効き、実ハンドル角信号に追従遅れを持つ計
算用ハンドル角信号に基づき、計算用ハンドル角信号に
応じて後輪を逆相側へ転舵する遅れをもつ小さな逆相成
分が追加されるのみとなり、車速信号に応じて与えられ
る同相の後輪舵角が確保される。
【0014】請求項2記載の発明の作用を説明する。
【0015】請求項2では、規制手段dを、実ハンドル
角が計算用ハンドル角より大きい場合であって、実ハン
ドル角が設定ハンドル角速度より大きい速度で減少して
いる場合は、計算用ハンドル角信号の増加を禁止し、そ
れ以外の実ハンドル角の増加時にはローパスフィルタを
かけて計算用ハンドル角信号の増加を規制する手段とし
た為、遅く小さなハンドル角となる旋回時には、ほぼロ
ーパスフィルタのみにより小さく規制を受けるにとどま
り、旋回中に十分なアンダーステアの低減が図られる。
また、速く大きなハンドル角となるレーンチェンジ時に
は、計算用ハンドル角信号の増加の禁止を含めて大きく
規制されることになり、逆相成分の追加がさらに小さく
抑えられ、車速信号に応じて与えられる同相の後輪舵角
が十分に確保される。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0017】構成を説明する。
【0018】図2は本発明実施例の後輪舵角制御装置が
適用された四輪操舵車両を示す全体システム図である。
【0019】図2において、1はそれぞれ前輪、2はそ
れぞれ後輪であり、操向ハンドル3への操舵入力をステ
アリングギヤ4を介して前輪1に伝達することにより通
常通りの主操舵を可能にするとともに、ステアリングギ
ヤ4のケースをアクチュエータ5によりストロークさせ
ることで主操舵角に対し最大α度までの補助操舵を可能
にとしている。また、後輪2はアクチュエータ6(後輪
補助舵角付与手段に相当)のストロークにより最大β度
までの補助操舵を可能としている。本実施例では、α度
>β度と仮定する。前・後補助操舵系は、上記アクチュ
エータ5,6の他に、オイルポンプ7、分流弁12およ
び舵角制御弁14,15を備え、オイルポンプ7は、リ
ザーバ8内のオイルを吸入して主回路9に吐出し、分流
弁12により主回路9上のオイルを前輪補助操舵回路1
0および後輪補助操舵回路11に分配する。分流弁12
は、シャトルスプール12aをバネ12b,12cによ
り中立位置に弾支して構成するとともに、スプール12
aの両端に圧力室12d,12eを画成する。これらの
圧力室12d,12eは、スプール12aに形成した異
径のオリフィス12f,12gを介して主回路9に連通
させるとともに、同じくスプール12aに形成した横孔
12h,12iおよび出力ポート12j,12kを介し
て補助操舵回路11,10に連通させる。これらの横孔
12h,12iは夫々圧力室12d,12eの圧力に応
動するスプール12aのストロークに応じて出力ポート
12j,12kとの連通度を加減して、以下の分流機能
を果たすことになる。
【0020】すなわち、回路10の要求流量Qf は、前
輪補助操舵アクチュエータ5のピストン受圧面積Aとピ
ストン移動速度vとの積(Qf =A・v)で表わされ、
例えば、アクチュエータ5のストロークをδ,前輪操舵
周波数をfとすると、(v=2π・f・δ)となるか
ら、Qf =A・2π・f・δ)となる。また、回路11
の要求流量Qr も同様にして求まり、ポンプ7の吐出量
をQO を(QO =Qf +Qr )とすると、所要要求流量
f ,Qr を得る分配比は、オリフィス12g,12f
の径を(Qf/QO ),(Qr/QO )に対応して設定する
ことで得られる。舵角制御弁14,15は、各々圧力制
御弁から構成され、これらは補助操舵回路10,11お
よび共通なドレン回路13とアクチュエータ5,6との
間に介挿される。一方の舵角制御弁14はソレノイド1
4a,14bのオフ時(非通電時)に図示の中立位置と
なって回路10からのオイルを全量ドレーン回路13に
戻し、アクチュエータ5の両室5a,5bを無圧状態に
保つ。この時アクチュエータ5は内蔵バネ5c,5dに
より中立位置にされ、ステアリングギヤ4を前輪1が補
助操舵されない位置に保つ。また、舵角制御弁14はソ
レノイド14aのオン時(通電時)室5aを加圧し、室
5bをドレンしてアクチュエータ5を伸長動作させ、ス
テアリングギヤ4を車幅方向右行させることにより前輪
1を左転舵方向に補助操舵する。さらに、舵角制御弁1
4は、ソレノイド14bのオン時、室5bを加圧、室5
aをドレンしてアクチュエータ5を収縮動作させ、ステ
アリングギヤ4を車幅方向左行させることにより前輪1
を右転舵方向に補助操舵する。なお、他方の舵角制御弁
15およびアクチュエータ6も上記一方側の舵角制御弁
14およびアクチュエータ5と同様の機能であるため、
対応部分を同じサフィックスa〜dを付して符号にて示
すにとどめ、その詳細説明を省略する。
【0021】コントローラ16は、上記舵角制御弁1
4,15の各ソレノイド14a,14b,15a,15
bをオン/オフ制御するもので、このコントローラ16
は、操向ハンドル3のハンドル角θを検出する舵角セン
サ17(実ハンドル角検出手段に相当)と、車速Vを検
出する車速センサ18(車速検出手段に相当)と、後輪
側アクチュエータ6のストロークを検出するストローク
センサ19と、横加速度Ygを検出する横加速度センサ
20からの信号を入力し、後述する制御則を実行して補
助舵角制御を行なう。
【0022】基本的な後輪舵角制御則は車速対応による
後輪2の位相反転制御であり、これにハンドル角が大と
なった場合にハンドル角に応じて後輪2を逆相側へ転舵
する成分を追加している。この後輪2の位相反転制御
は、後輪2を一瞬逆相転舵してヨーレイトを立ち上がら
せた後、同相側に反転ししてヨーレートの増加を抑え車
体を安定させる制御であり、低・中速域で効果的であ
る。また、前輪側は、ハンドル角の増大に対し前輪1に
切り増し補助舵角を与え、ヨーレートと横加速度の周波
数特性のフラット化することで車体横すべり角を零と
し、安定性と応答性とを高いレベルでバランスさせる制
御である。
【0023】作用を説明する。
【0024】図3,図4及び図5はコントローラ16で
行なわれる後輪補助舵角制御作動の流れを示すフローチ
ャートで、以下、各ステップについて説明する(後輪舵
角制御手段に相当)。
【0025】ステップ101では、ハンドル角θ,車速
V,横加速度Ygの各検出信号を入力する。
【0026】ステップ102では、ハンドル角θに基づ
いてハンドル角速度θ’とハンドル角加速度θ”が下記
の式により計算される。
【0027】θ’=(d/dt)・θ θ”=(d/dt)・θ’ ステップ103では、位相反転制御パラメータである
k,τ,τ’が車速Vに応じて下記の式で計算される。
【0028】k=f1(V) τ=f2(V) τ’=f3(V) ステップ104では、位相反転制御での後輪補助舵角δ
rsが下記に式により計算される。
【0029】δrs=k・θ+τ・θ’+τ’・θ” この後輪補助舵角δrsは、パラメータk,τ,τ’を車
速対応値としていることで、高車速側で同相で、低車速
側で逆相の値として求められる。
【0030】ステップ105では、位相変更ハンドル角
θ0 が下記の式により計算される。
【0031】 θ0 =f4(V,Yg) =γ・Yg・{A0 +(A1/V2 )} A0,A1 ;車両諸元により定まる定数 γ;特性変更のパラメータ ステップ201では、入力した実際のハンドル角θが1
制御周期前の計算用ハンドル角θXOより大きいか否かが
判断される。
【0032】ステップ202では、実際のハンドル角速
度θ’が正か負かでハンドル切り増し方向か切り戻し方
向かが判断される。
【0033】ステップ203では、ステップ202でハ
ンドル切り増しと判断された時、ハンドル角θと1制御
周期前の計算用ハンドル角θXOとの差が設定値A3 以上
であるかどうかが判断される。
【0034】ステップ204では、ステップ202でハ
ンドル切り戻しと判断された時、ハンドル角速度θ’の
絶対値|θ’|(切り戻し速度)が設定値A4 より速い
かどうかが判断される。
【0035】以上のステップ201〜ステップ204に
おいて、現在、ハンドル角がレーンチェンジなのか旋回
中なのかが識別判断され、以下の処理により、レーンチ
ェンジ中ならばハンドル角θに追従しないようにする。
【0036】ステップ205では、計算用ハンドル角θ
X の計算基準ハンドル角θA が実際のハンドル角θのま
まで設定される。このθA =θで設定される条件は、ス
テップ201でθ≦θXOであり、計算用ハンドル角θX
が実際のハンドル角θより大きいので減少させる時、ス
テップ203でθ−θXO≦A3 であり、計算用ハンドル
角θXOの増加がフィルタ値より少ない時である。
【0037】ステップ206では、計算基準ハンドル角
θA が単位時間当りの変化量をA3 としてローパスフィ
ルタにかけられる。このθA =θ+A3 で設定される条
件は、ステップ201,202,203の条件を全て満
足する時、つまり、1制御周期前の計算用ハンドル角θ
XOより実際のハンドル角θが大きく、ハンドルは切り増
し中で、かつ、θとθXOとの差が設定値A3 以上である
場合、あるいは、ステップ201,202,204で、
ステップ201の条件は満足するが他の条件を満足しな
い時、つまり、1制御周期前の計算用ハンドル角θXO
り実際のハンドル角θが大きく、切り戻し中であり、か
つ、切り戻し速度がゆっくりしている場合である。
【0038】ステップ207では、計算基準ハンドル角
θA が1制御周期前の計算用ハンドル角θXOとして設定
され、計算基準ハンドル角θA の増加が禁止される。こ
のθA=θXOで設定される条件は、ステップ201,2
02,204で、ステップ202の条件のみを満足しな
い時、つまり、1制御周期前の計算用ハンドル角θXO
り実際のハンドル角θが大きいが、ハンドルが設定値A
4 より速い速度で切り戻されている場合である。以上の
ステップ201〜ステップ207は、規制手段に相当す
る。
【0039】ステップ106では、計算基準ハンドル角
θA が位相変更ハンドル角θ0 以上かどうかが判断され
る。
【0040】そして、θA <θ0 の時には、ステップ1
07へ進み、後輪もどし舵角の計算用ハンドル角θX
が、θX =θA に設定される。
【0041】また、θA ≧θ0 の時には、ステップ10
8へ進み、後輪もどし舵角の計算用ハンドル角θX が下
記の式で計算される(ステップ106〜ステップ108
は計算用ハンドル角設定手段に相当)。
【0042】θX =θA +k1・θ’+k2 ・ θ” 但し、θ0 ≦θX ≦k3・|θ−θ0 | ステップ109では、仮後輪もどし舵角にかける1次遅
れフィルターの時定数Tが後輪もどし舵角計算用ハンド
ル角θX と位相変更ハンドル角θ0 に基づいて下記の式
により計算される(図8)。
【0043】T=f5・(θ0 ,θX ) ステップ110では、1次遅れフィルターにかける前の
仮後輪もどし舵角δrc’が下記の式により計算される
(図7)。
【0044】δrc’=f6・(θX ,θ0 ) ステップ111では、仮後輪もどし舵角δrc’に1次遅
れフィルターをかけて後輪もどし舵角δrcが下記の式に
より計算される。
【0045】δrc={1/(1+Ts)}・δrc’ s;ラプラス演算子 ステップ112では、位相反転制御による後輪補助舵角
δrsが同相か逆相かが判断される。
【0046】そして、車速対応の後輪補助舵角δrsが逆
相の場合には、ステップ113へ進み、後輪補助舵角δ
rsをそのまま後輪補助舵角制御値δr (=δrs)とし、
位相反転制御のみで制御指令を出力する。一方、車速対
応の後輪補助舵角δrsが同相の場合には、ステップ11
4へ進み、位相反転制御による後輪補助舵角δrsから後
輪もどし舵角δrcを差し引いた値を後輪補助舵角制御値
δr (=δrs−δrc)として制御指令を出力する(図
6)。
【0047】次に、本制御による各作用について説明す
る。
【0048】(イ)位相変更ハンドル角θ0 の変更 位相反転制御により同相に転舵されている後輪2を逆相
に変更するハンドル角である位相変更ハンドル角θ0
は、前輪1の横力が飽和する点とほぼ一致するように、
車速Vと横加速度Ygにより上記ステップ105で推定
計算される。
【0049】このうち、図6に示すように、車速Vの増
加に対しては、スタビリティファクタ分のアンダーステ
アを打ち消すように、位相変更ハンドル角θ0 を減少す
る。
【0050】一方、横加速度Ygに対しては、低μ路走
行時には、タイヤ横力CFのタイヤスリップ角SAに対
する特性が、図10に示すように低下し、コーナリング
パワーCP及び最大横力CFmax が減少し、早期に前輪
1の横力が飽和する為、図6に示すように、横加速度Y
gが小さいほど位相変更ハンドル角θ0 を減少し、横加
速度Ygが大きいほど位相変更ハンドル角θ0 を増大す
る。
【0051】このように、前輪1の横力が飽和したと判
断される位相変更ハンドル角θ0 は、ハンドル角θから
計算される仮想横加速度Yg* と、横加速度センサ20
からの実横加速度Ygとの比較により求めることができ
る。
【0052】即ち、仮想横加速度Yg* が実横加速度Y
gに比べて著しく大きい場合は、車両は既にアンダース
テアの状態にあり、前輪1の横力は飽和している為、車
両のアンダーステアを低減させて車両にヨー方向の運動
をさせるべく後輪2の横力を減少、つまり、後輪2の舵
角を逆相側に戻す必要がある。
【0053】そのためには、下記の式で位相変更ハンド
ル角θ0 を求めればよい。
【0054】 Yg* =A/{kS +(1/V2 )}・θ …(1) γ=Yg* /Yg …(2) 但し、Aはホイールベース,ステアリングギヤレシオで
決まる定数 kS はスタビリティファクタ γは特性変更のパラメータ 上記(1) 式のハンドル角θを位相変更ハンドル角θ0
すると、 θ0 =(1/A)・{kS +(1/V2 )}・Yg* …(1)' 上記(1)'式と(2) 式により、 θ0 =(1/A)・{kS +(1/V2 )}・γ・Yg…(3) ステップ105の説明で記載した θ0 =γ・Yg・{A0 +(A1/V2 )} と(3) 式とを対比すると、 kS /A=A0 ,1/A=A1 に相当する。
【0055】従って、旋回走行時には、ハンドル角θに
対して後輪2の逆相転舵が開始される位相変更ハンドル
角θ0 を、車速Vと横加速度Ygにより、前輪1の横力
が飽和するのに合わせて後輪2を逆相に転舵するように
している為、路面摩擦係数や旋回状況にかかわらず最適
の旋回性能を達成することができる。
【0056】(ロ)計算用ハンドル角の設定 ステップ201〜ステップ204において、現在、ハン
ドル角がレーンチェンジなのか旋回中なのかが識別判断
され、ステップ205〜ステップ207の処理により、
レーンチェンジ中ならば計算基準ハンドル角θA が実際
のハンドル角θに追従しないように規制される。
【0057】この結果、レーンチェンジ等での素早いハ
ンドルのソーイングに対しては、図9に示すように、ハ
ンドル角θが実線特性を示すのに対し、ローパスフィル
タ効果と増加禁止効果により計算基準ハンドル角θA
点線特性を示し、ハンドル角θに対して大きな追従遅れ
となる。
【0058】この結果、仮後輪もどし舵角δrc’も図9
の実線特性で示すハンドル角θに応動する場合の特性に
比べ、図9の点線特性で示す計算基準ハンドル角θA
応動する場合の特性を小さくできる。
【0059】従って、、レーンチェンジ時に位相反転制
御による同相量に小さな後輪もどし舵角δrcを加えるだ
けで後輪舵角制御が行なわれることになり、同相成分の
大きな後輪舵角により車両安定性を図ることができる。
この時の変化速度の設定値A3は、旋回等へのターンイ
ンに追従できる速度として設定される為、旋回中の後輪
もどしが追従遅れなく実行され、旋回でのアンダーステ
アが抑制される。
【0060】尚、後述するように、後輪もどし舵角に1
次遅れフィルターにかけ、レーンチェンジに追従しない
方向で旋回中のアンダーステア低減との両立を行なうこ
とができるが、レーンチェンジにほとんど追従しないよ
うに遅れ要素を入れると、旋回中の動きも同様に遅くな
ってしまう為、完全に両立させるには、上記のように、
ハンドル角θ自体に規制を与えることが必要である。
【0061】さらに、ステップ106でθA <θ0 の時
には、ステップ107で計算用基準ハンドル角θA がそ
のまま計算用ハンドル角θX とされ、θA ≧θ0 の時に
は、ステップ108で式に基づく計算により計算用ハン
ドル角θX とされる。
【0062】これは、位相変更ハンドル角θ0 以上の計
算用基準ハンドル角θA では、前輪1のタイヤスリップ
角が大きい為、前輪1の横力が飽和しており、位相変更
ハンドル角θ0 以下での前輪1の横力が増加しつつある
時のヨーモーメントの変化スピードと同等の力を後輪2
のみで発生するためには、より大きく速く後輪2の横力
を変化させなくてはならないことによる。また、計算用
ハンドル角θX に上限であるk3・|θ−θ0 |を設定し
ているのは、ハンドル操作の途中でθA <θ0 からθA
≧θ0 となった時の急変を防止するためである。
【0063】従って、前輪1の横力が飽和している限界
領域では、ハンドル角をそのまま用いる場合に比べ応答
良くしかも高速で後輪2が逆相に転舵され、前輪1での
横力減少が後輪2での高応答逆相転舵でカバーされ、旋
回方向ヨーモーメントによる舵の効きが確保される。
【0064】(ハ)後輪もどし舵角の設定 ステップ110では、図7に示すように、1次遅れフィ
ルターにかける前の仮後輪もどし舵角δrc’が計算用ハ
ンドル角θX に対してプログレッシブに増加する値とし
て計算される。
【0065】従って、ハンドル角θが位相変更ハンドル
角θ0 より小さい前輪1のグリップ領域では、後輪もど
し舵角δrcが小さく後輪2の同相制御による安定性が得
られ、ハンドル角θが位相変更ハンドル角θ0 より大き
い前輪1の横力が飽和している限界領域では、計算用ハ
ンドル角θX が大きいほど大きな逆相方向の後輪もどし
舵角δrcにより後輪2が戻されて、旋回方向のヨーモー
メントを増すことで舵の効きが得られる。つまり、レー
ンチェンジ等での安定性と旋回限界での舵の効きを両立
させる。
【0066】さらに、ステップ109では、図8に示す
ように、ハンドル角θが位相変更ハンドル角θ0 より小
さい時には計算用ハンドル角θX が増大するほど小さな
時定数Tとされ、ハンドル角θが位相変更ハンドル角θ
0 以上の時には時定数Tが零とされる。そして、ステッ
プ111では、計算用ハンドル角θX に対しプログレッ
シブに増加する仮後輪もどし舵角δrc’に時定数Tによ
る1次遅れフィルターをかけて後輪もどし舵角δrcが得
られることになる。
【0067】従って、前輪1のグリップ領域では1次遅
れが効いて同相量が多くなりレーンチェンジ等の安定性
が向上するし、前輪1の横力が飽和している限界領域で
は遅れなく応答して舵の効きが確保される。
【0068】(ニ)位相反転制御 ステップ112で車速対応の後輪補助舵角δrsが逆相の
場合、ステップ113で後輪補助舵角δrsがそのまま後
輪補助舵角制御値δr とされることで、位相反転制御の
みで旋回初期やレーンチェンジ開始時の回頭性がそのま
ま生かされる。ステップ112で車速対応の後輪補助舵
角δrsが同相の場合、ステップ114で位相反転制御に
よる後輪補助舵角δrsから後輪もどし舵角δrcを差し引
いた値が後輪補助舵角制御値δr とされることで、位相
反転制御にハンドル角対応による逆相成分の追加が生か
されて、アンダーステアを抑えた旋回性の向上とレーン
チェンジ時の安定性向上の両立が達成される。
【0069】効果を説明する。
【0070】(1)ハンドル角θが1制御周期前の計算
用ハンドル角θXOより大きい場合であって、ハンドル角
速度θ’の増加時で、かつ、ハンドル角速度θ’が設定
値A4より以下の場合は、ハンドル角の増加を禁止し、
それ以外のハンドル角θの増加時にはローパスフィルタ
をかけてハンドル角θの増加を規制する手段を設け、こ
の規制処理により得られた計算用ハンドル角θX を用い
て後輪舵角を制御する装置とした為、高い旋回性向上と
レーンチェンジ時の高い安定性向上の両立を図ることが
できる。
【0071】(2)ハンドル角θに対して後輪2の補助
舵角を同相から逆相に変更する位相変更ハンドル角θ0
を、車速Vと横加速度Ygとのパラメータで変化させる
手段を設けた為、路面摩擦係数や旋回状況にかかわらず
最適の旋回性能を達成することができる。
【0072】(3)計算用ハンドル角θX が位相変更ハ
ンドル角θ0 以上の時に後輪もどし舵角δrcを得る計算
用ハンドル角θX を、ハンドル角速度θ’とハンドル角
加速度θ”を加味して設定する手段を設けた為、前輪1
の横力が飽和している限界領域で応答良く舵の効きを確
保することができる。
【0073】(4)計算用ハンドル角θX に対してプロ
グレッシブに増加する逆相方向への後輪もどし舵角δrc
を得る手段を設けた為、前輪1のグリップ領域でのレー
ンチェンジ等の安定性と前輪1の横力が飽和している限
界領域での舵の効きを両立させることができる。
【0074】(5)計算用ハンドル角θX に対してプロ
グレッシブに増加する仮後輪もどし舵角δrc’に、位相
変更ハンドル角θ0 以下で与えられる時定数Tによる1
次遅れフィルターをかけて後輪もどし舵角δrcを得る手
段を設けた為、前輪1のグリップ領域ではよりレーンチ
ェンジ等の安定性を向上させ、前輪1の横力が飽和して
いる限界領域では遅れなく応答して舵の効きを確保する
ことができる。
【0075】以上、実施例を図面により説明してきた
が、具体的な構成は実施例に限られるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加等があ
っても本発明に含まれる。
【0076】例えば、実施例では、前後輪に共に補助舵
角を与える車両への適用例を示したが、後輪のみに補助
舵角を与える車両に適用することもできる。
【0077】実施例では、基本制御則として車速対応の
後輪位相反転制御とする例を示したが、後輪1次遅れ制
御等、他の制御則により後輪に補助舵角を与えるものに
も適用できる。
【0078】
【発明の効果】以上説明してきたように請求項1記載の
本発明にあっては、基本的には車速信号に応じて後輪に
補助舵角を与え、ハンドル角が大となった場合には、ハ
ンドル角に対応したハンドル角信号に応じて後輪を逆相
側へ転舵する成分を追加する後輪舵角制御装置におい
て、実ハンドル角の増加時には、実ハンドル角に対応し
た実ハンドル角信号とは別途に該信号の増加を規制した
計算用ハンドル角信号を設定し、基本的には車速信号に
応じて後輪に補助舵角を与え、計算用ハンドル角が基本
制御により後輪に同相の補助舵角が与えられるハンドル
角より大となった場合には、計算用ハンドル角信号に応
じて後輪を逆相側へ転舵する成分を追加する後輪舵角制
御を行なう手段とした為、旋回性向上とレーンチェンジ
時の安定性向上の両立を図ることができるという効果が
得られる。
【0079】請求項2記載の本発明にあっては、後輪舵
角制御装置において、請求項1記載の規制手段を、旋回
時とレーンチェンジ時とを識別してそれぞれで規制効果
を変える手段とした為、高い旋回性向上とレーンチェン
ジ時の高い安定性向上の両立を図ることができるという
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の後輪舵角制御装置を示すクレーム対応
図である。
【図2】実施例の後輪舵角制御装置が適用された四輪操
舵車両を示す全体システム図である。
【図3】コントローラでの後輪舵角制御作動の流れを示
すフローチャートの前半部を示す図である。
【図4】コントローラでの後輪舵角制御作動の流れを示
すフローチャートの中間部を示す図である。
【図5】コントローラでの後輪舵角制御作動の流れを示
すフローチャートの後半部を示す図である。
【図6】計算用ハンドル角に対する実後輪補助舵角特性
図である。
【図7】計算用ハンドル角に対する仮後輪もどし舵角特
性図である。
【図8】計算用ハンドル角に対する時定数特性図であ
る。
【図9】レーンチェンジ時における実際のハンドル角と
計算用ハンドル角との関係特性とそれぞれに応動した仮
後輪もどし舵角特性を示すタイムチャートである。
【図10】路面μをパラメータとした場合のタイヤスリ
ップ角に対する横力特性図である。
【符号の説明】
a 後輪補助舵角付与手段 b 車速検出手段 c 実ハンドル角検出手段 d 規制手段 e 計算用ハンドル角設定手段 f 後輪舵角制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B62D 117:00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 後輪に補助舵角を与える後輪補助舵角付
    与手段と、 車速を検出して車速信号を出力する車速検出手段と、 実ハンドル角を検出して、実ハンドル角信号を出力する
    実ハンドル角検出手段と、 検出される実ハンドル角の増加時に、実ハンドル角信号
    の増加を規制する規制手段と、 前記規制手段により処理された実ハンドル角信号に基づ
    き計算用ハンドル角を設定して計算用ハンドル角を出力
    する計算用ハンドル角設定手段と、 基本的には前記車速信号に応じて設定される制御定数に
    基づき後輪に補助舵角を与え、計算用ハンドル角が基本
    制御により後輪に同相の補助舵角が与えられるハンドル
    角より大となった場合には、計算用ハンドル角信号に応
    じて後輪を逆相側へ転舵する成分を追加する後輪舵角制
    御を行なう後輪舵角制御手段と、 を備えていることを特徴とする後輪舵角制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の後輪舵角制御装置におい
    て、 前記規制手段を、実ハンドル角が計算用ハンドル角より
    大きい場合であって、実ハンドル角が設定ハンドル角速
    度より大きい速度で減少している場合は、計算用ハンド
    ル角信号の増加を禁止し、それ以外の実ハンドル角の増
    加時にはローパスフィルタをかけて計算用ハンドル角信
    号の増加を規制する手段としたことを特徴とする後輪舵
    角制御装置。
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