JP2908356B2 - 菌糸体含有培地からの有用成分の抽出方法 - Google Patents

菌糸体含有培地からの有用成分の抽出方法

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JP2908356B2 JP8289557A JP28955796A JP2908356B2 JP 2908356 B2 JP2908356 B2 JP 2908356B2 JP 8289557 A JP8289557 A JP 8289557A JP 28955796 A JP28955796 A JP 28955796A JP 2908356 B2 JP2908356 B2 JP 2908356B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、菌糸体含有培地からの有
用成分の抽出方法に関し、さらに詳しくは担子菌類菌糸
体および培地からの有用成分を短時間に高収率で得るこ
とができるような菌糸体含有培地からの有用成分の抽出
方法に関する。
【0002】
【従来技術】古来より、椎茸、松茸、エノキ茸などの担
子菌類の茸は食用されており、中には、担子菌類サルノ
コシカケ科に属する茸のように漢方薬として重用されて
いるものもある。
【0003】一方で、このような担子菌類から有効成分
を抽出する種々の方法が提案されている。例えば、特開
昭54-46859号公報には、担子菌類を主としてバ
ガスからなる培地に接種し、菌糸を繁殖させた後、この
菌糸体繁殖培地を圧搾して、有効成分を採取する、保健
食品の製造方法が開示されている。
【0004】この方法で用いられている培地のバガス自
体の効用については、例えば、岡捨巳氏等による論文
「植物多糖の抗腫瘍作用(バガス多糖体の分留法と抗腫
瘍作用)」,GANN,39号,35〜42頁,196
8年2月刊」において、バガス多糖体の粗末から得られ
る分留物には、ガラクトース、アラビノース、キシロー
ス、マンノースと少量のグルコースが含まれ、該分留物
を静注した結果、マウスの皮下に移植したSarcom
a180(肉腫,悪性腫瘍)の成長に著明な阻害効果を
示したことが記載されており、バガス成分摂取の保健効
果も期待できる。
【0005】しかしながらこの公報に記載の方法では、
分離液中の有効成分の濃度が低く、手間のかかる濃縮操
作が必要であるなど、抽出効率が悪いという問題点があ
った。
【0006】このような問題点を解決すべく鋭意研究し
て、本願出願人は、先に、「バガスを基材とする固体培
地上に、エノキ茸菌を接種し、次いで菌糸体を増殖して
得られる菌糸体を含む固体培地を、12メッシュ通過分
が30重量%以下となるように解束し、この解束された
固体培地に、水およびセルラーゼ、プロテアーゼまたは
グルコシターゼから選ばれる酵素の1種またはそれ以上
を添加し、そして前記固体培地を酵素の存在下で粉砕お
よび擂潰してバガス繊維の少なくとも70重量%以上が
12メッシュ通過分であるようにし、次いで95℃まで
の温度に加熱することにより酵素を失活させかつ滅菌す
ることを特徴とする、エノキ茸菌糸体およびバガス培地
からの有用成分の抽出方法。」を、特願昭62-341
23号として提案した。
【0007】また特公昭60-23826号公報におい
て、本発明者らは接種菌として椎茸菌を用いた以外は上
記特願昭62-34123号記載の方法と同様の方法で
保健飲料を製造する方法を提案している。
【0008】さらにまた特願昭59-5355号(特公
平4-35149号公報)、特願昭59-5356号(特
公平4-6171号公報)においては、霊芝菌を用いた
保健飲料の製造方法を提案している。
【0009】本願出願人が提案したこれらの方法によれ
ば、上記菌糸体(エノキ茸菌糸体、椎茸菌糸体、あるい
は霊芝菌糸体)およびバガス培地からの有用成分を高濃
度で抽出することができる。しかしながら、これらの方
法では、通常、抽出効率などの観点から、酵素添加した
固体培地の擂潰・攪拌処理は、通常30〜50℃に加熱
して行われ、酵素失活処理は95℃までの温度に加熱し
て行われ、さらには滅菌処理も加熱下で行われるなど、
何回もの加熱処理を行うことが多かった。
【0010】本発明者らは、さらなる抽出効率の向上な
どを目指して鋭意研究したところ、増殖させた担子菌類
の菌糸体を含むバガス培地を圧搾して、菌糸体を含む固
体成分と搾汁液とに分離した後で、この菌糸体を含む固
体成分に特定の処理を加えると、菌糸体含有培地からの
有用成分をさらに効率よく抽出できることなどを見出し
て、本発明を完成するに至った。
【0011】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、菌糸体および
培地からの有用成分を短時間に高収率で得ることができ
るような菌糸体含有培地からの有用成分の抽出方法を提
供することを目的としている。
【0012】
【発明の概要】本発明に係る菌糸体含有培地からの有用
成分の第1の抽出方法は、バガス(bagasse)を基材と
する固体培地上に担子菌類を接種し、次いで菌糸体を増
殖して得られる菌糸体を含む固体培地を圧搾し、澄明な
搾汁液(i)を得ると共に、該搾汁液(i)が分離された菌糸
体を含む固体残渣成分(固体成分)に、水および酵素
(好ましくは菌糸体細胞壁溶解酵素を含有する酵素類
あるβ-1,3−グルカナーゼを主成分として含有する
酵素類)を添加して30〜60℃に保ちながら攪拌して
菌糸体細胞壁を溶解(分解)させ、次いで、95℃まで
の温度に加熱し上記酵素を失活させるとともに滅菌して
細胞壁溶解生成物含有液(ii)を得ることを特徴としてい
る。
【0013】本発明の好ましい態様においては、上記細
胞壁溶解生成物含有液をさらに固液分離(例:圧搾、遠
心分離)した後で、得られた分離液を上記のように、9
5℃までの温度に加熱し上記酵素を失活させるととも
に、滅菌することが好ましい。
【0014】本発明の好ましい態様においては、前記酵
素が、主成分のβ-1,3−グルカナーゼの他に、さら
にセルラーゼ、プロテアーゼ、キチナーゼの内の何れか
1種または2種以上を含有していることが好ましく、特
に前記酵素が、β-1,3−グルカナーゼを主成分と
し、さらにキチナーゼ、セルラーゼを含有しているもの
であることが好ましい。
【0015】本発明に係る第2の方法においては、バガ
スを基材とする固体培地上に担子菌類を接種し、次いで
菌糸体を増殖して得られる菌糸体を含む固体培地を圧搾
して、搾汁液(i)を得ると共に、該搾汁液(i)が分離され
た菌糸体を含む固体残渣成分(固体成分)を解束し、こ
の解束された固体残渣成分(固体成分)に、水および酵
素(好ましくは菌糸体細胞壁溶解酵素を含有する酵素類
であるβ-1,3−グルカナーゼを主成分として含有す
る酵素類)を添加して30〜60℃に保ちながら前記固
体残渣成分を粉砕および擂潰して菌糸体細胞壁を溶解さ
せ、次いで、(必要によりさらに固液分離処理して得ら
れた分離液を)95℃までの温度に加熱して上記酵素を
失活させるとともに滅菌して細胞壁溶解生成物含有液(i
i)を得ることを特徴としている。
【0016】本発明に係る上記方法によれば、担子菌類
菌糸体含有培地からの有用成分を短時間に高収率で得る
ことができる。上記の方法によれば、担子菌類の細胞壁
分解物であるβ-グルカン等が高濃度で含まれており、
特に抗腫瘍効果に優れた細胞壁溶解生成物含有液(分離
液)が得られる。さらに、これらの方法では、酵素の失
活、滅菌を行う熱処理工程が、最終工程での1回のみで
済むという効果もある。
【0017】また、前記搾汁液には、菌糸体の代謝成分
であるグルコース等と共に、免疫賦活作用、植物に対す
るホルモン作用を有するサイトカイニン様物質などが高
濃度に含まれており、通常透明であり、ドリンク剤、植
物ホルモン剤、化粧品原料等への利用が期待できる。
【0018】
【発明の具体的説明】以下本発明に係る菌糸体含有培地
からの有用成分の抽出方法について具体的に説明する。 [第1の方法]菌糸体の培養 本発明における固体培地の基材としては、バガスあるい
はバガスに米糠を添加したものが用いられる。バガスは
砂糖キビのしぼりかすであって、バガス中には菌糸体の
栄養源となる糖類および蛋白質が含まれており、このま
までも固体培地となりうるが、バガス100重量部に対
して米糠10〜30重量部を添加して固体培地とするこ
とが好ましい。
【0019】このようなバガスを基材とする固体培地
に、椎茸、エノキ茸等の担子菌類の種菌を接種する。担
子菌類が接種された固体培地を、温度および湿度さらに
は照度が調節された培養室内に所定期間放置すると、固
体培地中に担子菌類菌糸体が増殖する。なお、担子菌類
としては、通常食用されている、松茸、椎茸、エノキ
茸、平茸、なめこ、イグチ、シメジ、チチタケ等の松茸
目の茸類;和漢薬として利用され、あるいは食用される
コフキサルノコシカケ、ツガサルノコシカケ、カワラ
茸、マンネン茸(霊芝)、舞茸等のサルノコシカケ目の
茸類;通常食用されるキクラゲ、シロキクラゲ等のキク
ラゲ目あるいはシロキクラゲ目の茸類;などが挙げられ
る。
【0020】これらの担子菌類の茸の内では、培養容易
性、栄養価、薬効などの観点から、椎茸、エノキ茸、平
茸、舞茸、霊芝が好ましく用いられる。圧搾 本発明においては、上記のようにして担子菌類菌糸体が
培地中に充分蔓延し、子実体の発生直前・直後の時期
に、得られた菌糸体を含むバガス培地(バガス培地ブロ
ック、固体培地とも言う)を圧搾して、搾汁液(i)(一
次抽出液)と、菌糸体を含む固体成分(i-a)とに分離
し、搾汁液(i)を得る。なお、バガス培地の圧搾は、上
記のように子実体の発生直前・直後の時期に行うことが
好ましい。
【0021】上記圧搾操作は、通常50〜200kg/
cm2の加圧下で1〜10分間程度、好ましくは80〜
180kg/cm2の加圧下で、3〜5分間程度行われ
る。また、本発明では、このような圧搾操作は、1回で
もよく、同一または異なった圧力条件下に複数回に分け
て行うこともできる。
【0022】例えば、2回に分けて上記バガス培地の圧
搾操作を行う場合には、1回目は、50〜100kg/
cm2の加圧下で1〜10分間程度、好ましくは60〜
85kg/cm2の加圧下で、3〜5分間程度行ない、
2回目は、100〜200kg/cm2の加圧下で1〜
10分間程度、好ましくは150〜180kg/cm2
の加圧下で、3〜5分間程度行なうこともできる。この
ように複数回に分けて段階的に昇圧するように加圧し、
あるいは1回で圧搾する場合には、好ましくは徐々に昇
圧させると、培地からの搾汁液の抽出が培地表面のみに
偏ることなく、培地全体からほぼ均等に搾汁液を効率よ
く抽出することができる。
【0023】このようにして得られた固体残渣成分(i-
a)(固体成分ともいう)には、椎茸菌糸体等の菌糸体成
分がほぼそのまま含まれている。また搾汁液(i)には、
菌糸体の代謝成分であるグルコースなどと共に、免疫賦
活作用、植物に対するホルモン作用を有するサイトカイ
ニン様物質などが高濃度に含まれており、通常澄明であ
り、この搾汁液(i)は、ドリンク剤、植物ホルモン剤、
化粧品原料等への利用が期待できる。
【0024】なお、この搾汁液(i)には、細胞内物質由
来の自己消化酵素も含まれており、通常、この酵素は加
熱して失活させると、熱変性し沈澱してくる。このよう
な沈澱物にさらにプロテアーゼなどのタンパク質分解酵
素を作用させ、アミノ酸分解させてもよい。このように
すれば、その搾汁液(i)の利用価値はさらに向上する。固体成分中の菌糸体細胞壁溶解 本発明においては、次いで上記のようにして得られた菌
糸体を含む固体残渣成分(i-a)に、水および酵素(好ま
しくは細胞壁溶解酵素を含有する酵素類)を添加し、3
0〜60℃、好ましくは30〜55℃の温度に保ちなが
ら攪拌して菌糸体細胞壁を溶解させる。上記攪拌は、通
常、10〜60分間、好ましくは15〜30分間行われ
る。水量は、所望により適宜設定可能である。
【0025】酵素としては、セルラーゼ、プロテアー
ゼ、β-1,3−グルカナーゼ、キチナーゼなどが挙げ
られ、好ましくは菌糸体細胞壁溶解酵素のβ-1,3−
グルカナーゼを主成分(50.0重量%以上、好ましく
は50.0〜90.0重量%含有)とするものが望まし
く、特に好ましくはβ-1,3−グルカナーゼを主成分
とし、さらにキチナーゼ、セルラーゼを含有している酵
素類が用いられる。本発明においては、これらの酵素
は、1種単独で用いることもでき、また上記のように2
種以上適宜組み合わせて用いることもできる。なお、β
-1,3−グルカナーゼを主成分[50.0〜90.0
重量%含有]とし、さらにキチナーゼ、セルラーゼを含
有している酵素類は、例えば「ファンセラーゼ」なる商
品名で株式会社ヤクルト本社より市販されており、この
ファンセラーゼは、Trichoderma virideの一菌株が産生
する活性酵素であり、主成分のβ-1,3−グルカナー
ゼの他に、キチナーゼ、セルラーゼ等を含有しており、
茸等の細胞壁を溶解(分解)し細胞壁分解生成物を生成
させると共に、プロトプラストの調製が可能である(島
田伸一郎著「新細胞壁溶解酵素について」New Food Ind
ustry Vol.28,No.8(1986)参照)。
【0026】酵素の添加量は、用いられる酵素の種類あ
るいは菌糸体の種類などにより、一概に決定されない
が、圧搾後のバガス培地1kgに対して通常、0.01
〜1.0g、好ましくは0.3〜0.5gの量であるこ
とが好ましい。特に、ファンセラーゼでは、バガス培地
1kgに対して通常、0.05〜0.9g、好ましくは
0.2〜0.3gの量であることが望ましい。また水は
金属イオンなどのイオン類を含有しないものが好まし
く、バガス培地1kgに対して0.5〜1.5kg、好
ましくは0.7〜1.0kg添加される。なお本発明に
おいては、添加する水のpHは必ずしも調節する必要は
ないが、例えば、ファンセラーゼでは、pH4.0〜
7.0、好ましくはpH5.0〜6.0に調整すること
が好ましい。また、酵素処理温度は、ファンセラーゼで
は、40〜55℃が好ましい。加熱による酵素失活・滅菌 本発明においては、次いで、上記のように酵素処理して
得られた細胞壁溶解生成物含有液(ii)、好ましくは下記
のようにこの細胞壁溶解生成物含有液(ii)をさらに固液
分離してなる分離液(iii)を、95℃までの温度、好ま
しくは70〜90℃の温度に加熱し、添加した上記酵素
あるいはバガス中に元来含有されている酵素を失活させ
るとともに滅菌する。このような温度で加熱すると、得
られる細胞壁溶解生成物含有液(ii)(β-グルカン等)
あるいは上記分離液(iii)の変質を防止することができ
る。固液分離 なお、本発明においては、細胞壁溶解生成物含有液(ii)
を加熱して酵素を失活させるとともに滅菌処理を行った
後に固液分離してもよく、細胞壁溶解生成物含有液(β
-グルカン等)を一旦固液分離した後で、得られた分離
液(二次抽出液)を上記のように加熱し酵素を失活させ
るとともに滅菌してもよい。固液分離手段としては、前
記と同様な条件下での圧搾、あるいは遠心分離、濾過等
の方法を採用しうる。
【0027】上記のようにして得られた分離液は、乳褐
色をしており、液中には微小な浮遊物が残存することこ
とがある。この微小な浮遊物は、培地の分解物のほか
に、酵素反応および加熱によって凝固した蛋白質および
澱粉質である。この微小浮遊物は、放置することにより
沈澱させて分離するか、あるいは目の細かい濾布などを
用いることにより分離することができる。
【0028】また、このようにして得られた分離液(懸
濁液)は、必要に応じて、さらにセライト、メンブラン
フィルター等を用いて、澄明にしてもよい。このように
して得られた分離液(固体成分(i-a)からの抽出液)に
は、担子菌類の細胞壁を分解して得られた細胞壁分解物
のβ-グルカン、キチン、グルコース等が高濃度で含ま
れており、特に抗腫瘍効果に優れている。
【0029】本発明においては、このようにして得られ
た細胞壁溶解生成物含有液(ii)(好ましくはさらに固液
分離して得られた分離液(iii))を、前記圧搾工程で得
られた搾汁液(i)と一緒にして、上記のような条件下で
加熱し酵素を失活させるとともに、滅菌してもよい。こ
のように細胞壁溶解生成物含有液(ii)(好ましくは上記
分離液(iii))と上記搾汁液(i)とを一緒にして加熱し、
酵素失活と滅菌とを行う場合には、圧搾工程で得られた
搾汁液(i)の加熱殺菌と、細胞壁溶解生成物含有液(ii)
あるいは上記分離液(iii)の加熱殺菌とを別々に行う場
合に比べて、加熱殺菌工程を少なくできる。
【0030】また、本発明においては、このように酵素
失活・滅菌して得られた分離液にさらにプロテアーゼ等
のタンパク質分解酵素を作用させて、アミノ酸を生成さ
せてもよい。
【0031】
【発明の効果】本発明に係る菌糸体含有培地からの有用
成分の抽出方法によれば、担子菌類菌糸体およびバガス
培地からの有用成分を短時間に高収率で得ることができ
る。
【0032】また上記の方法によれば、担子菌類の細胞
壁分解物であるβ-グルカンなどが高濃度で含まれてお
り、特に抗腫瘍効果に優れた菌糸体溶解生成物含有液(i
i)(抽出液)と、上記搾汁液(i)とが得られ、この搾汁
液(i)には、菌糸体の代謝成分であるグルコース等と共
に、免疫賦活作用、植物に対するホルモン作用を有する
サイトカイニン様物質などが高濃度に含まれており、通
常透明であり、ドリンク剤、植物ホルモン剤、化粧品原
料等への利用が期待できる。また、これら菌糸体溶解生
成物含有液(ii)と搾汁液(i)とを一緒にして上記用途に
利用することも可能である。
【0033】
【実施例】以下、本発明について実施例に基づいてさら
に具体的に説明するが、本発明は、かかる実施例により
何等限定されるものではない。
【0034】
【実施例1】バガス90重量部、米糠10重量部からな
る固体培地に純水を適度に含ませた後に、椎茸種菌を接
種し、温度および湿度を調節した培養室内に放置し、菌
糸体を増殖せしめた。菌糸体が固体培地に蔓延した後、
菌糸体が増殖した固体培地(a)を、油圧圧搾機[有限会
社駒形機械製作所製,型式:KS−2型]を用いて、ゲ
ージ指示圧85kg/cm2で5分間圧搾(加圧)した
後、175kg/cm2でさらに5分間圧搾した(一次
抽出)。
【0035】その結果、菌糸体が増殖した上記固体培地
(a)1kg当たり、菌糸体を含む固体成分(i-a)0.55
kgと、澄明な搾汁液(i)(一次抽出液)440ml
(Brix濃度8.0%)とが得られた。
【0036】一方、上記の菌糸体を含む固体成分(i-a)
に、該固体成分(i-a)1kg当たり水1リットル、およ
び細胞壁溶解酵素の「ファンセラーゼ」((株)ヤクル
ト本社製)0.2gを加えてバガス含有混合物とした。
このバガス含有混合物を40℃の温度に保ちながら1時
間、攪拌機を用いて攪拌して菌糸体細胞壁を溶解させ
た。
【0037】次いで、得られた酵素処理物(細胞壁溶解
生成物含有液(ii))を、圧搾機を用いて固液分離し、酵
素処理抽出液(A−1)を菌糸体を含む固体成分(i-a)
1kg当たり970mlを得た。
【0038】次いで、得られた酵素処理抽出液を加熱し
て、90℃として30分間放置した。90℃への加熱に
より、酵素を失活せしめ、かつ殺菌を施した。得られた
殺菌処理抽出液を、さらに60メッシュ濾布を用いて濾
過し、微小浮遊物を含有する抽出液を、菌糸体が増殖し
た上記固体培地(a)1kg当たり950ml(Brix
濃度2.5重量%)得た(二次抽出液)。
【0039】これら一次,二次抽出液の水以外の成分に
はタンパク質,糖質,ミネラル,β-グルカン等がそれ
ぞれ含有されており、それらの含有量を表1に示した。
一方固体残査としては充分に細かく粉砕されたものが得
られ、これを乾燥した後、牛などの家畜の飼料として提
供した。
【0040】
【表1】
【0041】この表1より、本発明により得られる2種
類の抽出液中にはそれぞれの有効成分が多量に含まれて
おり、一次,二次抽出液のβ-グルカンの含有量に差が
あることが認められる。
【0042】
【実施例2】 (変速機付きギヤポンプによる解束・擂潰タイプ)バガ
ス90重量部、米糠10重量部からなる固体培地に純水
を適度に含ませた後に、エノキ茸種菌を接種し、温度お
よび湿度を調節した培養室内に放置し、菌糸体を増殖せ
しめた。菌糸体が固体培地に蔓延した後、菌糸体が増殖
した固体培地(a)を、油圧圧搾機[有限会社駒形機械製
作所製,型式:KS−2型]を用いて、ゲージ指示圧8
5kg/cm2で5分間圧搾(加圧)した後、175k
g/cm2でさらに5分間圧搾した(一次抽出)。
【0043】その結果、菌糸体が増殖した上記固体培地
(a)1kg当たり、菌糸体を含む固体成分(i-a)0.65
kgと、澄明な搾汁液(i)(一次抽出液)350ml
(Brix濃度5.7%)とが得られた。
【0044】一方、上記の菌糸体を含む固体成分(i-a)
を解束し、12メッシュ通過分が24重量%以下となる
ようにした。この解束された培地1.0kgに、純水
1.0リットルおよび酵素として精製セルラ―ゼ:0.
2gを加えてバガス含有混合物とした。
【0045】次いで40℃の温度に保持された培地含有
混合物を変速付ギヤ―ポンプにより循環させながら、ギ
ヤ―部分において粉砕および擂潰作用を固体培地に、1
50分間程度加え、バガス繊維の約80重量%が12メ
ッシュ通過分となるようにした。
【0046】その後バガス含有混合物を加熱して、90
℃として30分間放置した。90℃への加熱により、酵
素を失活せしめ、かつ殺菌を施した。得られた培地含有
混合液を60メッシュ濾布を用いて濾過し、微小浮遊物
を含有する抽出液を、菌糸体が増殖した上記固体培地
(a)1kg当たり950ml(Brix濃度1.9重量
%)得た(二次抽出液)。
【0047】これら一次,二次抽出液の水以外の成分中
にタンパク質,糖質,ミネラル,β-グルカン等がそれ
ぞれ含有されており、それらの含有量を表2に示した。
一方固体残査としては充分に細かく粉砕されたものが得
られ、これを乾燥した後、牛などの家畜の飼料として提
供した。
【0048】
【表2】
【0049】この表2より、本発明により得られる2種
類の抽出液中にはそれぞれの有効成分が多量に含まれて
おり、一次,二次抽出物のβ-グルカンの含有量に差が
あることが認められる。
【0050】
【実施例3】実施例1において、椎茸種菌に代えて、霊
芝菌を用いた以外は、実施例1と同様にして一次抽出液
を得た。
【0051】その結果、菌糸体が増殖した上記固体培地
(a)1kg当たり、菌糸体を含む固体成分(i-a)0.6k
gと、澄明な搾汁液(i)(一次抽出液)400ml(B
rix濃度7.6%)とが得られた。
【0052】一方、上記の菌糸体を含む固体成分(i-a)
に、該固体成分(i-a)1kg当たり水1リットル、およ
び細胞壁溶解酵素の「ファンセラーゼ」((株)ヤクル
ト本社製)0.15gを加えてバガス含有混合物とし
た。このバガス含有混合物を40℃の温度に保ちながら
1時間、攪拌機を用いて攪拌して菌糸体細胞壁を溶解さ
せた。
【0053】次いで、得られた酵素処理物(細胞壁溶解
生成物含有液(ii))を、圧搾機を用いて固液分離し、酵
素処理抽出液(A−1)を菌糸体を含む固体成分(i-a)
1kg当たり950mlを得た。
【0054】次いで、得られた酵素処理抽出液を加熱し
て、90℃として30分間放置した。90℃への加熱に
より、酵素を失活せしめ、かつ殺菌を施した。得られた
殺菌処理抽出液を、さらに60メッシュ濾布を用いて濾
過し、微小浮遊物を含有する抽出液を、菌糸体が増殖し
た上記固体培地(a)1kg当たり900ml(Brix
濃度3.2重量%)得た(二次抽出液)。
【0055】これら一次,二次抽出液の水以外の成分に
はタンパク質,糖質,ミネラル,β-グルカン等がそれ
ぞれ含有されており、それらの含有量を表3に示した。
一方固体残査としては充分に細かく粉砕されたものが得
られ、これを乾燥した後、牛などの家畜の飼料として提
供した。
【0056】
【表3】
【0057】
【比較例1】 (酵素擂潰法)実施例1で用いたと同様の固体培地1k
gを解束し、この解束された培地にセルラーゼ、プロテ
アーゼ:各濃度0.05%からなる酵素液3リットルを
加え、40℃の温度に保持し、攪拌およびギヤポンプに
て擂潰しつつ循環させ、1時間反応させた。反応終了
後、70℃の温度に昇温し、30分間保持し、酵素を失
活させた。遠心分離により、固液分離したところ、Br
ix濃度2.0重量%の抽出液が約2800ml抽出さ
れた。
【0058】
【比較例2】 (静置循環法)実施例1で用いたと同様の固体培地1k
gを破砕した後、ろ布に充填し、水を5リットル加え、
50℃の温度に保持し、ポンプにて液を循環し、15時
間保持したのち固液分離したところ、Brix濃度0.
7重量%の抽出液が約4400ml抽出された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 35/84 A61K 35/84 A (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 1/02 A23L 1/28 C07G 17/00 C12N 1/06 A61K 35/84

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バガスを基材とする固体培地上に担子菌類
    を接種し、次いで菌糸体を増殖して得られる菌糸体を含
    む固体培地を圧搾し、搾汁液(i)を得ると共に、 搾汁液(i)が分離された菌糸体を含む固体残渣成分に、
    水およびβ-1,3−グルカナーゼを主成分として含有
    する酵素を添加し て30〜60℃に保ちながら攪拌し
    て菌糸体細胞壁を溶解させ、 次いで、95℃までの温度に加熱し上記酵素を失活させ
    るとともに滅菌して細胞壁溶解生成物含有液(ii)を得る
    ことを特徴とする菌糸体含有培地からの有用成分の抽出
    方法。
  2. 【請求項2】前記酵素が、さらにセルラーゼ、プロテア
    ーゼ、キチナーゼの内の何れか1種または2種以上を含
    有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記酵素が、β-1,3−グルカナーゼを
    主成分とし、さらにキチナーゼ、セルラーゼを含有して
    いることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】バガスを基材とする固体培地上に担子菌類
    を接種し、次いで菌糸体を増殖して得られる菌糸体を含
    む固体培地を圧搾して、搾汁液(i)を得ると共に、 搾汁液(i)が分離された菌糸体を含む固体残渣成分を解
    束し、 この解束された固体残渣成分に、水およびβ-1,3−
    グルカナーゼを主成分として含有する酵素を添加して3
    0〜60℃に保ちながら前記固体成分を粉砕および擂潰
    して菌糸体細胞壁を溶解させ、 次いで、95℃までの温度に加熱して上記酵素を失活さ
    せるとともに滅菌して細胞壁溶解生成物含有液(ii)を得
    ることを特徴とする菌糸体含有培地からの有用成分の抽
    出方法。
  5. 【請求項5】前記酵素が、さらにセルラーゼ、プロテア
    ーゼ、キチナーゼの内の何れか1種または2種以上を含
    有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】前記酵素が、β-1,3−グルカナーゼを
    主成分とし、さらにキチナーゼ、セルラーゼを含有して
    いることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
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