JP2908041B2 - 積層不織布及びその使用方法 - Google Patents

積層不織布及びその使用方法

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JP2908041B2 JP41229490A JP41229490A JP2908041B2 JP 2908041 B2 JP2908041 B2 JP 2908041B2 JP 41229490 A JP41229490 A JP 41229490A JP 41229490 A JP41229490 A JP 41229490A JP 2908041 B2 JP2908041 B2 JP 2908041B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は嵩高な衣服、フィルタ
ー、ブラジャーカップ、肩パッド、蒲団、キルティング
生地などの素材として使用することのできる積層不織布
及びその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、嵩高な衣服、フィルターなど
には、空気を多量に含んでいる嵩高な不織布が使用され
ている。このため、このような嵩高な不織布を運搬した
り、保管することは空気を運搬したり、保管しているよ
うなものなので、1度に大量に運搬したり保管すること
は、広いスペースを必要とし、コスト的に極めて不利で
あった。
【0003】なお、このような嵩高な不織布を加工する
段階では、嵩高で柔らかいので、取り扱い難く、作業性
が悪いという欠点もあった。
【0004】また、嵩高な不織布を運搬、保管する段階
では、少なからず圧力がかかるので、変形したり、運
搬、保管前の厚みよりも薄くなるなど、厚みが一定せ
ず、品質の低下という問題が生じていた。
【0005】更には、嵩高な不織布は使用用途によって
厚みが異なるため、使用用途によって必要とされる厚み
の不織布を製造する必要があるため、生産効率が悪いの
であった。
【0006】上記のような欠点を克服するために、特公
昭60ー58086号公報においては、嵩高な不織布をフィルム
に包装し、その内部の空気を減圧下に抜き取り、容積を
小さくして運搬、保管しておき、使用時に熱風を吹込ん
で、もとの嵩高な状態に復元するという方法が採られて
いる。しかしながら、この方法では、内部の空気を抜き
取る時に、嵩高な不織布の構成繊維の配置に影響を及ぼ
し、シワが発生したり、変形してしまうため、もとの形
状への回復性が極めて悪いものであった。また、内部の
空気の抜き取りと熱風による復元の2段階の操作を必要
とするため、極めて作業性も悪かった。更には、このよ
うな嵩高な不織布を加工する段階では、嵩高であるため
に、作業性が悪いことだけでなく、厚みの異なる嵩高な
不織布は種類ごとに製造しなければならず、生産効率が
悪い、という欠点については全く解決されていなかっ
た。
【0007】また、別の方法として、高巻縮繊維を構成
繊維とする不織布を生産する時に、低融点樹脂粉末を使
用して圧縮固定しておき、実際に使用する時に熱を加え
ることによって、該低融点樹脂粉末を再溶融させて嵩を
回復させ、冷却することによって、該低融点樹脂粉末を
再固化させて、新規形状を保持させる方法が知られてい
る。このような不織布は運搬、保管時のコスト的メリッ
ト、加工性の点では優れているものの、嵩が回復した後
の形状保持性の点でやや問題があると共に、厚みの異な
る嵩高な不織布を種類ごとに製造しなければならず、生
産効率が悪い、という欠点については全く解決されてい
なかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の積層不織布は
上記の問題を解決するためになされたものであり、特
に、嵩高な不織布の生産効率を向上させることのできる
積層不織布及びその使用方法を提供することを主たる目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】巻縮繊維を、該巻縮繊維
よりも低い溶融温度をもつ仮接着剤により、圧縮状態で
固定した圧縮ウエブが、2種類以上積層されている積層
不織布である。
【0010】この積層不織布の各層の仮接着剤の溶融温
度差が10℃以上あれば、必要とする厚みを得ることが容
易である。
【0011】前記の積層不織布を構成する少なくとも1
層の仮接着剤の溶融温度よりも高い温度で熱処理すれ
ば、必要とする嵩をもつ不織布が得られる。
【0012】
【作用】本発明の積層不織布は巻縮繊維よりも低い溶融
温度をもつ仮接着剤により、圧縮状態で固定されている
圧縮ウエブが、2種類以上積層されているので、次のよ
うな特徴を有する。
【0013】第1に、積層不織布は圧縮状態にあり、嵩
のない状態にあるため、運搬、保管時に広い空間を必要
としないため、コスト的なメリットを有しているばかり
でなく、加工性も格段に向上する。更には、運搬、保管
する段階で圧力がかかっても、緻密な不織布であるの
で、変形して、品質の低下を招くというようなことはな
い。
【0014】第2に、圧縮ウエブを形成する仮接着剤の
種類が層により異なるので、何層の圧縮ウエブの仮接着
剤の固定力を除去するかにより、様々な厚みをもった不
織布を得ることができるので、厚みごとに製造しなけれ
ばならないという問題も解決される。なお、圧縮ウエブ
の種類とは仮接着剤の溶融温度のみに着目して区別して
いる。
【0015】本発明の圧縮ウエブは巻縮繊維よりも低い
溶融温度をもつ仮接着剤により、圧縮状態で固定されて
いる嵩のないウエブであり、仮接着剤の溶融温度よりも
高い温度で熱処理することにより、歪んだ巻縮繊維が元
の状態に戻ろうとする反発力が働いて、嵩を増大させる
ことができるウエブである。
【0016】そのため、圧縮ウエブを構成する巻縮繊維
として、巻縮が顕在化、或いは潜在化した巻縮率等の大
きい繊維を含んでいるのが好ましい。なお、前述のよう
に、巻縮繊維は嵩増大のために重要な働きをするので、
巻縮率、残留巻縮率、および巻縮弾性率が大きい繊維が
用いられ、これらの値は次のように定義される。
【0017】試料に初期荷重をかけた時の長さ(a)
と、これに1デニール当たり500mgfの荷重をかけた時の
長さ(b)を測定し、次に全荷重を除き、2分間放置
後、初期荷重をかけた時の長さ(c)を測定し、次の式
により巻縮率(%)及び残留巻縮率(%)を算出する。な
お、長さの単位はミリメートル(mm)であり、試験回数
は20回とし、その平均値をとる。
【0018】
【0019】このように定義される巻縮率、残留巻縮
率、巻縮弾性率がそれぞれ、12〜70%、7〜70%、30〜
100%である巻縮繊維であり、特に、巻縮率20〜70%、
残留巻縮率15〜70%、巻縮弾性率60〜100%である巻縮
繊維が嵩を増大しやすいので好ましい。なお、この数値
は巻縮が顕在化している場合の数値であり、巻縮が潜在
化している場合には、顕在化した時の数値を表す。
【0020】このような巻縮率、残留巻縮率、巻縮弾性
率をもつ巻縮繊維としては、中空繊維、繊度6デニール
以上の太い繊維、巻縮半径の大きい繊維、または加熱な
どにより収縮して三次元スパイラル構造となる繊維(以
下、単に「高巻縮繊維」という)、機械的に巻縮を付与
された巻縮数の多い繊維、巻縮数4〜20個/25mm程度の
繊維があるが、嵩の増大性、作業性の点から、高巻縮繊
維を使用するのが好ましい。
【0021】高巻縮繊維の例としては、複合繊維で巻縮
が顕在化、或いは潜在化している繊維、単一成分で特定
の熱履歴で巻縮が顕在化、或いは潜在化している繊維な
どがある。この高巻縮繊維として、低融点ポリエステル
成分と高融点ポリエステル成分の2成分からなるサイド
バイサイド型の繊維を例示することができる。
【0022】このような巻縮繊維を仮接着剤で固定する
ことにより圧縮ウエブを得るが、この仮接着剤は一時的
に嵩のない、密度の高い不織布にして取り扱いやすく
し、嵩を増大させる時には、熱で溶融して固定力を低下
させ、巻縮繊維の反発力によって嵩を増大させるもので
ある。
【0023】そのため、巻縮繊維に影響を与えないよう
に、仮接着剤の溶融温度は巻縮繊維の溶融温度よりも低
いことが必要で、好ましくは、溶融温度差が10℃以上あ
るのが好ましく、より好ましくは、溶融温度差が20℃以
上あるのが良い。
【0024】ここで、「溶融温度」とは、乾熱の場合、
一般的に融点といっている固体の融解によって生じる、
固相と液相の平衡状態にあるときの温度を示し、湿熱の
場合、水の存在下で軟化し液相となる非結晶性物質の、
水の存在下での固相と液相の平衡状態にあるときの温度
を示す。
【0025】上記の乾熱と湿熱における溶融温度が異な
る場合の仮接着剤の一例として、ポリビニルアルコール
があり、乾熱状態では120〜150℃程度の溶融温度を示す
が、100℃程度の水蒸気による湿熱状態では膨潤し、軟
化して溶融状態になり、接着力が生じる。
【0026】仮接着剤の形態としては、例えば、繊維
状、粉末状のものがある。
【0027】繊維状の仮接着剤として、熱融着性繊維が
あげられる。この熱融着性繊維の中にも、単一成分から
なる熱融着性繊維、低融点成分を含む複合繊維があり、
複合繊維を用いた場合には、低融点成分のみが融着する
ので、風合を損うことがない。
【0028】複合繊維の例としては、低融点ポリエステ
ル−高融点ポリエステル、低融点ポリアミド−高融点ポ
リエステル等を組合せたものがあり、その形態として
は、サイドバイサイド型、芯鞘型、海島型などがある。
単一成分からなる熱融着性繊維としては、未延伸ポリエ
ステル、低融点ポリエステル、低融点ポリアミドなどが
ある。
【0029】一方、粉末状の仮接着剤を使用する場合、
低融点粉末樹脂と水溶性粉末樹脂がある。低融点粉末樹
脂としてはポリアミド、ポリエチレン、エチレンー酢酸
ビニル共重合体などが好適に使用できる。また、水溶性
粉末樹脂としてポリビニルアルコールが好適に用いられ
る。
【0030】本発明の積層不織布は圧縮ウエブの仮接着
剤の溶融温度によって、厚みを自由に調節できるよう
に、仮接着剤の溶融温度は各圧縮ウエブによって異なっ
ており、嵩が増大し、所望の厚みが得られるように、各
圧縮ウエブの仮接着剤の溶融温度差は10℃以上あるのが
好ましく、20℃以上あるのがより好ましい。
【0031】例えば、積層不織布が3層の圧縮ウエブか
らなり、各々の圧縮ウエブの仮接着剤の溶融温度がそれ
ぞれ80℃、100℃、120℃とした場合、該積層不織布に90
℃の熱処理を施すと、仮接着剤の溶融温度が80℃の圧縮
ウエブの嵩のみが増大する。同様に、110℃の熱処理を
施すと、仮接着剤の溶融温度が80℃及び100℃である圧
縮ウエブの嵩が共に増大し、130℃の熱処理を施すと、
3層全体が圧縮ウエブの嵩を増大するので、熱処理温度
を選択することにより、所望の厚みの不織布を得ること
ができる。
【0032】しかし、上記3層の仮接着剤の溶融温度が
80℃、85℃、90℃というように、溶融温度差が10℃より
も小さい場合には、例えば、83℃程度の熱処理を施す
と、温度制御が難しく、各々の仮接着剤の溶融特性によ
り、1層のみではなく、2層、場合によっては3層全体
が嵩を増大してしまうため、必ずしも所望の厚みの不織
布を得られないことになる。
【0033】なお、使用する仮接着剤を選定する場合、
仮接着剤の溶融温度差は、熱処理が乾熱であるか、湿熱
であるかも考慮する必要がある。これは、前述のよう
に、ポリビニルアルコールの場合、乾熱状態では120〜1
50℃程度の溶融温度を示すが、湿熱状態では100℃程度
の水蒸気で膨潤、軟化し溶融状態になり、固定力が生じ
るためである。
【0034】例えば、80℃の溶融温度をもつ仮接着剤か
らなる圧縮ウエブの層と、ポリビニルアルコールを仮接
着剤とする圧縮ウエブの層の2層からなる積層不織布の
場合、乾熱により100℃で熱処理した時には、溶融温度
が80℃の仮接着剤からなる圧縮ウエブのみしか嵩を増大
しないのに対して、湿熱により100℃で熱処理した時に
は、積層不織布全体が嵩を増大することになる。
【0035】本発明の圧縮ウエブは巻縮繊維を仮接着剤
により、圧縮した状態で固定することにより製造しても
良いが、嵩を増大した後の形状保持性をより向上させる
ために、予め、嵩高の状態で形状を固定する、繊維結合
用接着剤を使用するのが好ましい。
【0036】この繊維結合用接着剤としては、熱硬化型
樹脂及び熱接着性繊維に大別される。
【0037】熱硬化型樹脂としては、アクリル酸エステ
ル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ポリ酢酸ビニ
ル系、ポリ塩化ビニル系、合成ゴム系、ポリウレタン
系、ポリエステル系等のエマルジョン、ラテックスで、
自己架橋型や架橋剤を添加したものなどが挙げられる。
【0038】これらの中でもアクリル酸エステル系エマ
ルジョンが好んで用いられる。これは圧縮ウエブの巻縮
繊維としてポリエステル繊維が用いられることが多いの
で、疎水面に対する接着性、耐水性が良好であることに
加えて、皮膜の軟らかい接着剤から硬い接着剤までを自
由に設計することができるためである。
【0039】また、熱硬化型樹脂でなくても、仮接着剤
よりも10℃以上高い溶融温度をもつ樹脂であれば、加熱
および再加熱の影響が少ないので、使用することができ
る。
【0040】また、熱接着性繊維としては、例えば、未
延伸ポリエステル、低融点ポリエステル、低融点ポリア
ミドなどの樹脂からなる全溶融型繊維、或いはこれらの
樹脂を一成分とする複合繊維などが挙げられる。ただ
し、熱接着性繊維の溶融温度は仮接着剤の溶融温度より
も10℃以上、好ましくは20℃以上高いことが望ましく、
通常は溶融温度が100〜230℃であるものが好ましい。
【0041】なお、巻縮繊維が低融点成分を含む複合繊
維である場合には、低融点成分を繊維同士の固定に利用
することができる。ただし、この場合も複合繊維の低融
点成分の溶融温度は仮接着剤の溶融温度よりも高くしな
ければならない。
【0042】以上のような巻縮繊維、仮接着剤、必要に
応じて繊維結合用接着剤からなる嵩高な不織布は加熱加
圧することによって、仮接着剤を溶融固化させ、嵩高な
不織布の厚みの1/5〜1/30倍程度の厚みを持つ積層不織
布が得られる。
【0043】なお、「厚さ」とは、250mm×250mmの試片
に対して、1cm2あたり0.01gの荷重をかけて測定した厚
さのことである。
【0044】本発明の積層不織布の製造方法は主として
繊維結合用接着剤、積層方法によって異なる。
【0045】本発明の積層不織布は巻縮繊維、仮接着
剤、繊維結合用接着剤が圧縮ウエブ層ごとに異なってい
ても、仮接着剤の溶融温度によって影響を受けなけれ
ば、任意に組合わせて製造することができる。
【0046】簡略化のために、2種類の圧縮ウエブを製
造するのに、繊維結合用接着剤として熱硬化型樹脂、仮
接着剤として熱融着性繊維を使用した場合、積層方法に
よって製造方法が異なる。
【0047】第1の方法は、繊維結合用接着剤で形状を
固定する前の嵩高な状態で積層する場合、巻縮繊維と熱
融着性繊維とを混合し、カーディング等の手段により第
1の繊維ウエブを形成し、該繊維ウエブ上に溶融温度の
異なる熱融着性繊維を混合してなる第2の繊維ウエブを
積層し、熱硬化型樹脂により嵩高な状態での形状を保持
させる。
【0048】この積層した繊維ウエブに対して、いずれ
の熱融着性繊維の溶融温度よりも高く、巻縮繊維、熱硬
化型樹脂の溶融温度よりも低い温度で熱処理を施すと同
時に加圧し、熱融着性繊維を溶融させて圧縮状態で固定
することにより、積層不織布を得ることができるが、圧
縮状態での固定を確実にするために、冷却するのが好ま
しい。また、予め熱を加えた後、温度が下がらないうち
に圧縮して固定しても良い。
【0049】なお、繊維ウエブを加熱し圧縮するには、
ローラープレスによる方法とフラットプレスによる方法
等があり、ローラープレスによる方法によれば、連続的
に加熱圧縮できる。
【0050】また、圧縮する方法においても、全面圧
縮、点状圧縮等があり、点状圧縮によれば部分的に溶融
させて仮接着を行なうことになるので、嵩増大のための
再加熱により容易に嵩を増大することができる。
【0051】第2の方法は、繊維結合用接着剤で各々の
形状を固定した後に積層する場合、層間剥離が生じない
ように、更に繊維ウエブ間に接着剤を介在させるなどの
手段を講じる必要がある。なお、積層するのは嵩高の状
態でも良いし、圧縮した圧縮ウエブの状態で積層しても
良く、圧縮する方法は上記の方法と同様に行なうことが
できる。
【0052】このように、熱硬化型樹脂を使用する場
合、その使用量は固形分換算で、繊維ウエブの3〜50重
量%、好ましくは5〜30重量%で、3重量%よりも少な
い場合には、嵩を増大した後の耐久性や強度が不足し、
50重量%よりも多い場合には、圧縮し難くなる。
【0053】また、繊維結合用接着剤として全溶融型繊
維を使用した場合には、繊維ウエブ中に30〜55重量%、
好ましくは35〜50重量%含有させ、複合繊維を使用した
場合には、繊維ウエブ中に30〜95重量%、好ましくは40
〜90重量%含有させるのが好ましい。
【0054】また、仮接着剤の使用量が多い場合には嵩
の増大を妨げることになり、逆に少ない場合には十分な
仮接着を行なえなくなるので、仮接着剤が熱融着性繊維
である場合には、繊維ウエブの5〜40重量%、好ましく
は10〜30重量%であり、低融点樹脂粉末の場合には、繊
維ウエブの5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%使用
するのが良い。
【0055】以上に示した積層不織布の製造方法は熱硬
化型樹脂を繊維結合用接着剤として使用した場合につい
て例示したのみであって、熱硬化型樹脂の代りに熱接着
性繊維を使用した場合には、巻縮繊維と混合、分散させ
る必要が生じる。なお、各層の圧縮ウエブの製造方法が
各々異なるような場合には、上記以外の製造方法により
積層不織布が製造される。
【0056】圧縮ウエブの積層順序としては、どのよう
に積層しても良いが、3層以上の積層不織布の場合、構
成する各圧縮ウエブは異なる種類である必要はなく、2
種類以上あれば良い。
【0057】このように製造された積層不織布は巻縮繊
維、繊維結合用接着剤を使用している場合には、巻縮繊
維及び繊維結合用接着剤の溶融温度よりも低い温度であ
り、少なくとも1層の仮接着剤の溶融温度よりも高い温
度で熱処理することにより嵩を増大させる。なお、熱処
理は乾熱であっても湿熱であっても構わない。
【0058】例えば、積層不織布が3層からなり、該積
層不織布を構成する圧縮ウエブの仮接着剤の溶融温度が
上層から順に100℃、80℃、120℃とした場合、該積層不
織布に90℃の熱処理を施すと、仮接着剤の溶融温度が80
℃である中間の圧縮ウエブのみが増大する。この状態
は、両端が緻密な圧縮ウエブで、中間が嵩のある不織布
であるため、嵩高な不織布で問題となる綿抜けを防止す
ることができる。
【0059】また、110℃の熱処理を施すことにより、
上層の圧縮ウエブの嵩を増大させると、片面のみに緻密
な圧縮ウエブを有している。そのため、フィルターとし
て使用すると効率良く除塵することができる。更に、13
0℃の熱処理を施すことにより、3層全体を増大させ、
嵩を増大させることができる。なお、この嵩を増大させ
る順序は自由であり、最初から110℃の温度で熱処理を
施したり、130℃の温度で熱処理を施しても良い。
【0060】なお、熱処理を施すことによって、完全に
積層不織布の嵩を増大させた場合、復元率では70%以
上、膨張度では5倍以上の値を示す。ここで、復元率、
膨張度は次に定義する式によって求めたものである。
【0061】 再加熱し、嵩増大した後の厚み 復元率(%)=────────────────×100 加熱し、圧縮する前の厚み 再加熱し、嵩増大した後の厚み 膨張度(倍)=──────────────── 加熱し、圧縮した後の厚み
【0062】本発明の積層不織布の少なくとも片面に接
着剤を付着させれば表地、裏地、或いはフィルター用途
の場合には裏打ち材と接着できるため、加工工程での作
業性が更に向上する。なお、積層不織布全体の嵩を増大
させる場合には、該接着剤が嵩の増大を妨げないよう
に、該接着剤が積層不織布の表面部分にのみ存在するよ
うにするのが好ましいが、嵩を増大させない層が表面層
にある場合には、該表面層に接着剤を付着させるのが良
い。
【0063】以上のように、本発明の積層不織布は嵩高
な衣服、フィルター、ブラジャーカップ、肩パッド、蒲
団、キルティング生地などの素材として使用することに
より、用途によって適宜厚みを変えることができるの
で、厚みの異なる2種類以上の不織布を製造する必要は
なく、本発明のような積層不織布を製造すれば良いの
で、生産効率が良くなる。
【0064】更には、積層不織布は圧縮状態にあり、嵩
のない状態にあるため、運搬、保管時に広い空間を必要
としないため、コスト的なメリットを有しているばかり
でなく、加工性も格段に向上する。また、運搬、保管す
る段階で圧力がかかっても、緻密な不織布であるので、
変形して、品質の低下を招くということもない。
【0065】以下に、本発明の実施例を示すが、以下の
実施例に限定されるものではない。
【実施例】(実施例1)巻縮繊維として高巻縮ポリエス
テル繊維(融点:256℃、繊度2デニール、繊維長64m
m)90重量%、及び仮接着剤として低融点芯鞘型複合ポ
リエステル繊維(芯:ポリエスエル(融点256℃)、
鞘:低融点ポリエステル(融点87℃)、繊度3デニー
ル、繊維長51mm)10重量%用いて、カーディングするこ
とにより、目付30g/m2の繊維ウエブAを形成した。
【0066】他方、巻縮繊維として上記と同じ高巻縮ポ
リエステル繊維90重量%、及び仮接着剤として、低融点
芯鞘型複合繊維(芯:ポリエステル(融点256℃)、
鞘:ポリエチレン(融点130℃)、繊度2デニール、繊
維長51mm)10重量%用いて、カーディングすることによ
り、目付30g/m2の繊維ウエブBを形成した。
【0067】このようにして得られた繊維ウエブAと繊
維ウエブBを積層した後、自己架橋型アクリル酸エステ
ルエマルジョンにより繊維間を結合し、目付66g/m2で、
厚み22mmの嵩高な積層ウエブを得た。
【0068】この積層ウエブを温度135℃のヒートロー
ルでゲージ圧2kg/cm2の条件で点状に圧縮して、布状の
圧縮ウエブA及びBからなる積層不織布を得た。
【0069】30日後、得られた積層不織布に対して、10
0℃の水蒸気を30秒施したところ、圧縮ウエブAのみが
嵩を増大した。この時の復元率は45%、膨張度は7倍で
あった。
【0070】続いて、150℃で乾熱処理を施したとこ
ろ、圧縮ウエブBも嵩を増大した。この時の全体の復元
率は85%、膨張度は14倍であった。
【0071】更に、嵩の増大した積層不織布の耐ドライ
クリーニング性、及び耐洗濯性について調べたところ、
それぞれ5級、3級で十分な耐性を有するものであっ
た。なお、耐ドライクリーニング性、及び耐洗濯性の試
験方法、及び評価方法は以下の通りである。
【0072】耐洗濯性:250mm×250mmの試片をナイロン
タフタで包み、自動反転式洗濯機を用い、水温40±3
℃、0.2%無リン合成洗剤溶液32リットルで、浴比50:
1になるように負荷布を加え、強水流にて90分間洗濯
し、水洗、脱水、風乾した後、表面状態を観察し、評価
を下記の等級で表わす。
【0073】5級 外観変化のないもの 4級 軽微な綿寄りがあるもの 3級 中程度の綿寄り及び凹凸があるもの 2級 大きな綿寄り及び凹凸があるもの 1級 著しく変形し部分的に破壊しているもの
【0074】耐ドライクリーニング性:250mm×250mmの
試片をナイロンタフタで包み、商業用パークレンクリー
ナーを用い、洗濯物重量が500gになるように負荷布を加
え、洗濯温度25℃で8分洗濯し、排液1分、脱液4分、
乾燥5分(60℃)、脱臭2分の工程を3回繰り返す。そ
の後、表面状態を観察し、評価を上記の耐洗濯性と同じ
等級で表わす。
【0075】(実施例2)実施例1の繊維ウエブAと全
く同様にして、目付20g/m2の繊維ウエブCを形成した。
【0076】他方、巻縮繊維として繊維ウエブCと同じ
高巻縮ポリエステル繊維90重量%、及び仮接着剤とし
て、低融点芯鞘型複合繊維(芯:ポリエステル(融点25
6℃)、鞘:低融点ポリエステル(融点110℃)、繊度2
デニール、繊維長51mm)10重量%用いて、カーディング
することにより、目付20g/m2の繊維ウエブDを形成し
た。
【0077】また、巻縮繊維として繊維ウエブCと同じ
高巻縮ポリエステル繊維90重量%、及び仮接着剤とし
て、低融点芯鞘型複合繊維(芯:ポリエステル(融点17
0℃)、鞘:低融点ポリエチレン(融点130℃)、繊度2
デニール、繊維長51mm)10重量%用いて、カーディング
することにより、目付20g/m2の繊維ウエブEを形成し
た。
【0078】このようにして得られた繊維ウエブC、
D、Eを積層した後、自己架橋型アクリル酸エステルエ
マルジョンにより繊維間を結合し、目付66g/m2で、厚み
22mmの嵩高な積層ウエブを得た。
【0079】この積層ウエブを温度140℃のヒートロー
ルでゲージ圧2kg/cm2の条件で点状に圧縮して、布状の
圧縮ウエブC、D及びEからなる積層不織布を得た。
【0080】30日後、得られた積層不織布に対して、10
0℃の水蒸気を30秒施したところ、圧縮ウエブCのみが
嵩を増大した。この時の復元率は45%、膨張度は5倍で
あった。
【0081】続いて、120℃で乾熱処理を施したとこ
ろ、圧縮ウエブDが嵩を増大した。この時の復元率は65
%、膨張度は7倍であった。
【0082】更に、150℃で乾熱処理を施したところ、
圧縮ウエブEも嵩を増大した。この時の復元率は90%、
膨張度は10倍であった。
【0083】(実施例3)実施例1の繊維ウエブAと全
く同様にして、目付30g/m2の繊維ウエブFを形成した。
【0084】他方、巻縮繊維として繊維ウエブFと同じ
高巻縮ポリエステル繊維90重量%、及び仮接着剤とし
て、低融点芯鞘型複合繊維(芯:ポリエステル(融点25
6℃)、鞘:低融点ポリエステル(融点100℃)、繊度3
デニール、繊維長51mm)10重量%用いて、カーディング
することにより、目付30g/m2の繊維ウエブGを形成し
た。
【0085】このようにして得られた繊維ウエブFと繊
維ウエブGを積層した後、自己架橋型アクリル酸エステ
ルエマルジョンにより繊維間を結合し、目付66g/m2で、
厚み18mmの嵩高な積層ウエブを得た。
【0086】この積層ウエブを温度110℃のヒートロー
ルでゲージ圧2kg/cm2の条件で点状に圧縮して、布状の
圧縮ウエブF及びGからなる積層不織布を得た。
【0087】30日後、得られた積層不織布に対して、95
℃の乾熱処理を施したところ、圧縮ウエブFのみが嵩を
増大した。この時の復元率は30%、膨張度は4倍であっ
た。
【0088】続いて、150℃で乾熱処理を施したとこ
ろ、圧縮ウエブGも嵩を増大した。この時の全体の復元
率は92%、膨張度は13倍であった。
【0089】(比較例)実施例1の繊維ウエブAと全く
同様にして、目付30g/m2の繊維ウエブHを形成した。
【0090】他方、巻縮繊維として上記と同じ高巻縮ポ
リエステル繊維90重量%、及び仮接着剤として、低融点
芯鞘型複合繊維(芯:ポリエステル(融点256℃)、
鞘:ポリエステル(融点93℃)、繊度3デニール、繊維
長51mm)10重量%用いて、カーディングすることによ
り、目付30g/m2の繊維ウエブIを形成した。
【0091】このようにして得られた繊維ウエブHと繊
維ウエブIを積層した後、自己架橋型アクリル酸エステ
ルエマルジョンにより繊維間を結合し、目付66g/m2で、
厚み18mmの嵩高な積層ウエブを得た。
【0092】この積層ウエブを温度110℃のヒートロー
ルでゲージ圧2kg/cm2の条件で点状に圧縮して、布状の
圧縮ウエブH及びIからなる積層不織布を得た。
【0093】30日後、得られた積層不織布に対して、90
℃の乾熱処理を施したところ、圧縮ウエブHのみの増大
ではなく、圧縮ウエブIの嵩増大が多少みられ、厚みの
一定しないむらのある嵩高な不織布となった。
【0094】
【発明の効果】本発明の積層不織布は用途によって適宜
厚みを変えることができるので、厚みごとに不織布を製
造する必要はなく、1種類の積層不織布を製造すれば良
いので、生産効率が良くなる。
【0095】更に、本発明の積層不織布は圧縮状態で、
嵩がないので、運搬、保管時に広い空間を必要とせず、
コスト的なメリットを有しているばかりでなく、加工性
も格段に向上する。また、運搬、保管する段階で圧力が
かかっても、圧縮された緻密な不織布であるため、変形
して、品質の低下を招くということもない。
【0096】このように、嵩高な商品の材料として極め
て優れた特徴をもつので、嵩高な衣服、フィルター、ブ
ラジャーカップ、肩パッド、蒲団、キルティング生地な
どの素材として極めて有効である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻縮繊維を、該巻縮繊維よりも低い溶融
    温度をもつ仮接着剤により、圧縮状態で固定した圧縮ウ
    エブが、2種類以上積層されていることを特徴とする積
    層不織布。
  2. 【請求項2】 各層の仮接着剤の溶融温度差が10℃以上
    あることを特徴とする請求項1記載の積層不織布。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の積層不織
    布を構成する少なくとも1層の仮接着剤の溶融温度より
    も高い温度で熱処理することを特徴とする積層不織布の
    使用方法。
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