JP2907080B2 - 電界放出型表示装置 - Google Patents

電界放出型表示装置

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JP2907080B2 JP7270737A JP27073795A JP2907080B2 JP 2907080 B2 JP2907080 B2 JP 2907080B2 JP 7270737 A JP7270737 A JP 7270737A JP 27073795 A JP27073795 A JP 27073795A JP 2907080 B2 JP2907080 B2 JP 2907080B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子源として電界
放出アレイを使用する電界放出型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体微細加工技術を駆使して基
板上にミクロンサイズの電界放出カソード(FEC:Fi
eld Emission Cathode)をアレイ状に形成して面放出型
の電子源とすることが可能となり、これを電子源として
利用する電界放出型表示装置(FED:Field Emission
Display)が開発されている。
【0003】このようなFECアレイの一例として、島
構造カソードと呼ばれるカソード電極を有するFECア
レイの断面を図6の(a)に示し、また、そのカソード
電極部を同図の(b)に示す。これらの図において、1
01はガラスなどからなる絶縁性のカソード基板、10
2は該カソード基板101上に並列に多数本設けられた
ストライプ状のカソード配線のうちの1本を示してい
る。図6の(b)に示すように、このカソード配線10
2の領域内には導体のないくり抜き部108が設けられ
ており、該くり抜き部108の内部にはカソード配線1
02から分離されて設けられた島状電極107が配設さ
れている。そして、このカソード配線102、くり抜き
部108および島状電極107の上には抵抗層103が
設けられており、この抵抗層103により島状電極10
7とカソード配線102とが電気的に接続されている。
また、島状電極107に対応する抵抗層103上に複数
個のエミッタコーン106が形成されている。さらに、
抵抗層103上のエミッタコーン106が形成されてい
ない領域には二酸化シリコン(SiO2)などからなる絶縁
層104が形成されており、該絶縁層104の上にはゲ
ート電極105が形成されている。このゲート電極10
5は、カソード配線102と直交する方向にストライプ
状に形成されている。
【0004】このような構成において、エミッタコーン
106とゲート電極105との距離をサブミクロン程度
とすることができるため、エミッタコーン106とゲー
ト電極105との間に数10ボルトのゲート−エミッタ
間電圧を印加するだけで、電子を電界放出することがで
きる。また、エミッタコーン106間のピッチは5〜1
0μm程度とすることができるため、1枚のカソード基
板101上に数万〜数10万個のFECを形成すること
ができる。そして、前記カソード基板101に所定間隔
をもって透明ガラスなどからなるアノード基板を対向配
置し、該アノード基板上に蛍光体層が塗布されているア
ノード電極を形成して、該アノード電極に正のアノード
電圧を印加することにより、前記エミッタコーン106
から電界放出された電子を該アノード電極に捕集し、該
アノード電極に塗布された蛍光体に電子が射突して、該
蛍光体を発光表示させるようにして、電界放出型表示装
置(FED)を構成することができる。このとき、一つ
あるいは複数個の島状電極107上に形成された複数個
のエミッタコーン106からなるFECアレイが、それ
ぞれ、1画素に対応することとなる。
【0005】ここで、エミッタコーン106とカソード
配線102および島状電極107との間に抵抗層103
が設けられているのは、次のような理由によるものであ
る。すなわち、エミッタコーンとゲート電極との距離が
非常に短くされているために製造の過程において塵埃な
どによりエミッタコーンとゲート電極とが短絡してしま
うことがある。ゲート電極とエミッタコーンとが一つで
も短絡していると、全てのゲート電極とエミッタコーン
間に電圧が印加されなくなり動作不能となってしまう。
また、FECの初期の動作時に局部的な脱ガスが生じ、
このガスによりエミッタコーンとゲート電極あるいはア
ノード電極間が放電を起こすことがあり、このため大電
流がカソードに流れてカソードが破壊されるということ
があった。さらに、多数のエミッタコーンのうちの電子
が放出しやすいエミッタコーンに電子の放出が集中され
るため、そのエミッタコーンに電流が集中し、画面上に
異常に明るいスポットが発生することがあった。
【0006】そこで、エミッタコーン106とカソード
配線102との間に抵抗層103を設けることにより、
あるエミッタコーン106からの放出電子が多くなる
と、該エミッタコーン106に流れる電流の増加に応じ
て前記抵抗層103により該エミッタコーン106の電
子放出を抑制する方向に電圧降下が生じ、該エミッタコ
ーン106における電子放出の暴走を食い止めることが
できる。このように、抵抗層103を設けることにより
特定のエミッタコーン106への電流の集中を防止する
ことができ、FECの製造上の歩留まりの向上や安定な
動作を図ることができるのである。
【0007】さらに、図に示すような島状電極107
を設けずに、抵抗層103の上にエミッタコーン106
を形成した場合には、カソード配線102と各エミッタ
コーン106との間の距離に応じて、カソード配線10
2と各エミッタコーン106との間の抵抗値が異なるこ
ととなる。すなわち、カソード配線102に近い位置に
形成されているエミッタコーン106については抵抗値
が低くなり、エミッタコーン群の中央部に形成されカソ
ード配線102から遠いエミッタコーンについては高い
抵抗値となる。したがって、カソード配線102の近傍
に位置する抵抗値の低いエミッタコーン106からの電
子のエミッション量は多くなるが、中央部に位置するエ
ミッタコーン106からのエミッション量は少なくな
り、エミッション量が不均一となってしまう。
【0008】そこで、カソード配線102の領域上にく
り抜き部108を設け、その内部にカソード配線102
から分離された島状電極107を形成し、該島状電極1
07に対応する部分の上にエミッタコーン106を形成
している。これにより、カソード配線102と各エミッ
タコーン106との間の抵抗値を均一にすることがで
き、各エミッタコーン106からのエミッション量を均
一なものとすることができるのである。
【0009】このような島構造カソードを用いたFED
におけるカソード基板101の上面図を図7に示す。こ
の図に示すように、カソード基板101上に表示領域に
対応するカソード領域109が形成されており、該カソ
ード領域109上には前述したようにストライプ状のカ
ソード配線102が全面に形成されている。そして、前
述したように、このカソード配線102の領域内にはく
り抜き部108が設けられて、その中に島状電極107
が形成されており、該カソード配線102と島状電極1
07は、前記くり抜き部108中の前記抵抗層103を
介して電気的に接続されている。そして、このカソード
領域109のどの位置においても、そこに形成されてい
るカソード配線102、くり抜き部108および島状電
極107はそれぞれ同一の寸法および大きさで形成され
ている。すなわち、図示するように、カソード領域10
9の例えば左上部(1)、中央部(2)および右下部
(3)のいずれにおいても、くり抜き部108の縦の長
さa、横の長さbおよび島状電極107とのギャップ幅
pはすべての位置において同一の寸法で形成されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】一般に、FEDのカソ
ードにおけるエミッション特性は、カソード領域内にお
いて均一のものとはならず、作製プロセスなどの影響に
より、バラツキが生じている。したがって、すべてのゲ
ートおよびカソードに同一の駆動電圧を印加しても、得
られるエミッション電流には、当該カソード領域内にお
ける位置によってバラツキが生じ、表示画像には輝度ム
ラが発生していた。そこでこれを解決するために、通常
は、駆動回路側で表示データのレベルを補正することに
より輝度ムラをなくすことが行われている。しかし、こ
のためには階調表示可能なドライバICが必要であっ
た。
【0011】さらに、フルカラー表示を行うFEDにお
いては、このようなエミッション電流のバラツキという
問題に加え、各発光色毎の色バランスをとることが必要
である。したがって、駆動回路により各発光色のデータ
補正を行う場合には階調表示能力の一部をこの補正に使
用することとなり、実質的に発光可能色数が減少してし
まうという問題点があった。
【0012】そこで本発明は、構造的な手段により、F
EDの輝度ムラを低減すること、および、フルカラーF
EDにおけるホワイトバランス補正を行うことを目的と
している。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の電界放出型表示装置は、カソード基板上の
カソード領域に、カソード配線と、電子を放出するエミ
ッタコーンと、前記カソード配線と前記エミッタコーン
との間に介在された抵抗層とを有する電界放出カソード
が複数個形成されている電界放出型表示装置において、
前記抵抗層により前記カソード配線と前記エミッタコー
ンとの間に直列に挿入される抵抗の抵抗値が、前記エミ
ッタコーンの前記カソード領域内における位置によるエ
ミッション量のばらつきをなくすように、当該エミッタ
コーンの前記カソード領域内の位置に応じて決定される
値とされているものである。
【0014】また、本発明の他の電界放出型表示装置
は、カソード基板上のカソード領域に形成されたストラ
イプ状のカソード配線と、該カソード配線の領域内に形
成されたくり抜き部と、該くり抜き部内に形成された島
状電極と、前記カソード配線、前記くり抜き部および前
記島状電極の上に形成された抵抗層と、前記島状電極に
対応する前記抵抗層の上に形成された複数個のエミッタ
コーンからなる電界放出アレイを有する電界放出型表
示装置において、前記カソード配線と前記島状電極との
間の距離が、前記エミッタコーンの前記カソード領域内
における位置によるエミッション量のばらつきをなくす
ように、当該エミッタコーンの前記カソード領域内の位
置に応じて決定される距離とされているものである。
【0015】さらに、本発明のさらに他の電界放出型表
示装置は、カソード基板上のカソード領域に形成された
ストライプ状のカソード配線と、該カソード配線の領域
内に形成されたくり抜き部と、該くり抜き部内に形成さ
れた島状電極と、前記カソード配線、前記くり抜き部お
よび前記島状電極の上に形成された抵抗層と、前記島状
電極に対応する前記抵抗層の上に形成された複数個のエ
ミッタコーンからなる電界放出アレイと、前記カソード
基板に所定間隔をもって対向配置され、その上にストラ
イプ状のアノード電極が形成されたアノード基板と、前
記アノード電極上の前記各電界放出アレイに対応する位
置にドット状に塗布され、それぞれ、光の3原色のいず
れかの色を発光する蛍光体ドットとを有するフルカラー
電界放出型表示装置において、前記各電界放出アレイに
対応する前記島状電極と前記カソード配線との間の距離
が、前記各電界放出アレイを同一の駆動電圧で駆動した
ときにホワイトバランスのとれた表示を行うことができ
るように、対応する前記蛍光体ドットの発光色に応じて
決定される距離とされているものである。
【0016】
【発明の実施の形態】図1に本発明の第1の実施の形態
におけるFEDのカソード基板の上面図を示す。この図
において、101はカソード基板、102はカソード配
線、107は島状電極、108はくり抜き部、109は
カソード領域であり、いずれも、前述した従来技術の場
合と同一のものである。しかしながら、本発明のこの第
1の実施の形態においては、カソード配線102の領域
に形成されているくり抜き部108の縦横の寸法aおよ
びbが、カソード領域109上の位置に応じて異なって
おり、各カソード配線102と各島状電極107との間
のギャップ幅pが、当該カソード配線102のカソード
領域109上における位置に応じて変更されている点に
特徴がある。例えば、図示するように、カソード領域1
09の左上部(1)においてはくり抜き部108の縦お
よび横がそれぞれa1およびb1とされてギャップ幅が
p1とされており、中央部(2)においてはギャップ幅
がp2とされており、右下部(3)においてはギャップ
幅がp3とされている。
【0017】このように、ギャップ幅を変更することに
より、エミッタコーン106とカソード配線102との
間に直列に挿入される抵抗値を変更することができ、こ
れにより、FECアレイからのエミッション電流の大き
さを決定することが可能となる。したがって、カソード
配線102のカソード領域109上における位置による
エミッション電流のバラツキをなくすように、ギャップ
幅pを決定することにより、輝度ムラをなくすことがで
きる。
【0018】図2を参照して、より詳細に説明する。図
2の(a)は島構造カソードの上面図、(b)はその断
面図を示している。同図(a)に示すように、カソード
電極102のくり抜き部108の縦の長さをa、横の長
さをbとし、島状電極107とカソード配線102との
間のギャップ幅をpとする。島状電極107上に形成さ
れたエミッタコーン106とカソード配線102との間
に介在する厚さtの抵抗層103により形成される直列
等価抵抗Reは、同図(b)に示すように、各エミッタ
コーン106と島状電極107との間に介在している抵
抗層103による、各エミッタコーン106と島状電極
107との間の抵抗(「コーン抵抗」と呼ぶ)Re1
と、島状電極107とカソード配線102との間のくり
抜き部108に介在している抵抗層103により形成さ
れる抵抗(「アイランド抵抗」と呼ぶ)Re2とに分解
して考えることができる。同図(c)はこのコーン抵抗
Re1を説明する図であり、同図(d)はアイランド抵
抗Re2を説明するための図である。
【0019】一般に、体積抵抗率ρ(Ω・cm)の抵抗膜
により形成される抵抗値Rは、次式で表される。 R=ρ・L/A (ここで、Aは電極対向面積、Lは
電極長さ) したがって、上記コーン抵抗Re1は、抵抗層103の
膜厚をt、エミッタコーン106の底面の直径をφとし
たとき、 Re1=ρ・t/{π・(φ/2)2 } となる。また、上記アイランド抵抗Re2は、 Re2=ρ・p/(t・L) =ρ・p2 /[t・{a・b−(a−2p)・(b−2p)}] となる。
【0020】したがって、1つの島状電極107上にn
tip 個のエミッタコーン106が形成されているとき、
1つの島状電極107あたりに働く直列等価抵抗Reの
抵抗値は、ntip 個並列に接続されたコーン抵抗Re1
の抵抗値と、アイランド抵抗Re2の抵抗値との和とな
り、次式で表される。 Re=(Re1/ntip )+Re2 =ρ・[t/{π・(φ/2)2 ・ntip } +p2 /{t・{a・b−(a−2p)・(b−2p)}}] そして、この直列等価抵抗Reによる電圧降下Vdropは
次式で表される。 Vdrop=(Itip ・ntip )・Re =Iisland・Re ここで、Itip はエミッタコーン1個当たりのエミッシ
ョン電流、Iislandは島状電極1個当たりのエミッショ
ン電流である。
【0021】したがって、FECのゲート−エミッタ間
に印加される実効印加電圧Vgeは、駆動回路から印加さ
れるゲート−カソード間電圧をVgcとすると、 Vge=Vgc−Vdrop となる。したがって、直列等価抵抗Reの値に応じてF
ECのゲート−エミッタ間に印加される実効印加電圧V
geが変化され、当該FECからのエミッション量を制御
することができる。
【0022】図3に、ギャップ幅pがp1 、p2 および
3 (p1 <p2 <p3 )であるときの、エミッタコー
ン1個当たりのエミッション電流Itip 対ゲート−カソ
ード間電圧Vgc特性の一例を示す。この図に示すよう
に、ギャップ幅pが狭いほど直列等価抵抗Reが小さく
なるため、同一のゲート−カソード間電圧Vgcに対して
大きなエミッション電流Itip が流れる。なお、(4)
は、p=0すなわちくり抜き部108および島状電極1
07を設けずにカソード配線102の上に抵抗層103
を形成し、その上にエミッタコーン106を形成した場
合の特性を示している。
【0023】次に、図4を参照して、本発明の第2の実
施形態について説明する。この実施形態は、フルカラー
表示を行うFEDに関するものである。図4において、
101はカソード基板、109はカソード領域である。
このカソード領域109上には、例えば、赤色(R)、
緑色(G)および青色(B)の3原色にそれぞれ対応し
たストライプ状のカソード配線102R、102Gおよ
び102Bが順次設けられている。そして、各カソード
配線102R、102Gおよび102Bには、前述した
場合と同様に、くり抜き部108が設けられており、各
くり抜き部108の中には島状電極107が形成されて
いる。そして、R色に対応するカソード配線102Rに
おける島状電極107とカソード配線102Rとの間の
ギャップ幅pR 、G色に対応するカソード配線102G
におけるギャップ幅pG およびB色に対応するカソード
配線102Bにおけるギャップ幅pB が、図示するよう
にそれぞれ異なる大きさ、この例においては、pB <p
R <pG となされている。
【0024】なお。このカソード基板101に所定間隔
をもって対向配置されている図示しないアノード基板に
は、前記3原色に対応したカソード配線102R、10
2Gおよび102Bにそれぞれ対向して、それぞれスト
ライプ状の、赤色に対応するアノード電極、緑色に対応
するアノード電極および青色に対応するアノード電極が
順次配列されている。そして、各色に対応するストライ
プ状アノード電極には、それぞれ、対応する各色の蛍光
体ドットが前記島状電極107に対向するように付着さ
れている。これにより、各島状電極107上の抵抗層1
03上に形成されたエミッタコーン106から電界放出
された電子が対応する各色の蛍光体ドットに射突して対
応する色の発色が行われ、フルカラーの表示が行われる
ようになされている。
【0025】一般に、蛍光体の発光輝度Yは次のように
表される。 Y=η・Va・Ia/π・Sa ここで、η:蛍光体の発光効率、Va:アノード電圧、
Ia:アノード電流、Sa:発光面積である。また、前述
したように、アノード電流Iaは、ゲート−カソード間
電圧Vgcの関数であり、Ia=f(Vgc) である。一
般に、ホワイトバランスと輝度の関係は、次のように表
される。 x={xr・(Yr/yr)+xg・(Yg/yg)+xb・(Yb/yb)}/ {(Yr/yr)+(Yg/yg)+(Yb/yb)} y=(Yr+Yg+Yb)/{(Yr/yr)+(Yg/yg)+(Yb/yb)} Y=Yr+Yg+Yb ここで、x,y:白色の色度、xr,yr:赤色蛍光体の
x,y色度、xg,yg:緑色蛍光体のx,y色度、x
b,b:青色蛍光体のx,y色度、Y:白色の発光輝
度、Yr:赤色蛍光体の発光輝度、Yg:緑色蛍光体の発
光輝度、Yb:青色蛍光体の発光輝度である。
【0026】したがって、上式に基づいて、所定の白色
色度および輝度を得られるように、各発光色に対応する
カソード配線102R、102Gおよび102B上の各
ギャップ幅pR 、pG 、pB を決定して、各色の発光体
の発光輝度Yr 、Yg およびYb を設定することによ
り、RGBに対応する各FECアレイを同一駆動電圧で
駆動しても、ホワイトバランスのとれた表示をすること
が可能となる。
【0027】以上の実施の形態においては、島状電極1
07とカソード配線102とのギャップ幅pを変更する
ことにより、エミッタコーン106とカソード配線10
2との間に直列に介在される抵抗値を制御しているが、
これに限られることはなく、他の方法によってもこの抵
抗値を制御することができる。これらについて、図5を
参照して説明する。
【0028】図5の(a)に、抵抗層の体積抵抗率ρを
変更することにより、当該抵抗値を変更する方法を示
す。この図において、カソード基板101、カソード配
線102、島状電極107は前述したものと同様のもの
である。そして、該島状電極107の上には前述したも
のと同様に抵抗層103が形成されており、該抵抗層1
03の上には複数個のエミッタコーン106が形成され
ている。この方法においては、くり抜き部のカソード配
線102と島状電極107との間に、前記抵抗層103
とは異なる体積抵抗率ρを有する抵抗層103’が形成
されており、該抵抗層103’の体積抵抗率ρは、当該
FECアレイの形成されている位置あるいは対応する発
光色に応じて所定の値に設定されている。このように構
成することにより、前述した実施形態のようにくり抜き
部の寸法を変更しなくともエミッタコーン106とカソ
ード配線102との間に挿入する抵抗の抵抗値を設定す
ることができる。
【0029】図5の(b)に示す方法は、くり抜き部1
08および島状電極107を形成しない方法である。図
5の(b)において、101はカソード基板、102は
カソード配線、103は抵抗層、106はエミッタコー
ンである。この図に示す場合には、くり抜き部および島
状電極が設けられておらず、カソード配線102の上に
抵抗層103が形成され、該抵抗層103の上にエミッ
タコーン106が複数個形成されている。そして、該抵
抗層103の厚さあるいは抵抗値が、当該FECアレイ
の形成されている位置あるいは対応する発光色に応じて
所定の抵抗値となるように設定されているものである。
また、図5の(c)に示すものは、図5の(b)に示し
た方法において、抵抗層103を、エミッタコーン10
6の下部にのみ形成した例である。
【0030】
【発明の効果】エミッタコーンとカソード配線との間に
介在される抵抗層によりエミッタコーンとカソード配線
との間に直列に挿入される抵抗の抵抗値をカソード領域
内の位置に応じた抵抗値とする本発明の電界放出型表示
装置によれば、FECのエミッション特性のばらつきを
構造的な手段により低減することができ、発光面内にお
いて均一な表示特性を有する電界放出型表示装置を提供
することができる。
【0031】また、カソード配線の領域内にくり抜き部
を設け、該くり抜き部内に島状電極を設けた島構造カソ
ードの電界放出アレイにおいて、カソード配線と島状電
極との間の距離をカソード領域内の位置に応じて変更さ
せた本発明によれば、カソード配線と島状電極間の寸法
を変更することにより、FECのエミッション特性のば
らつきを低減することができ、発光面内において輝度ム
ラのない電界放出型表示装置を提供することができる。
【0032】さらに、島構造カソードを有する各電界放
出アレイとアノード蛍光体ドットとが1対1に形成され
ているフルカラー電界放出表示装置において、各電界放
出アレイにおける島状電極とカソード配線との間の距離
を対応する表示色に応じて所定の大きさとする本発明に
よれば、構造的手段によりホワイトバランス補正を行う
ことができ、高品位な発色が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電界放出型表示装置の一実施の形態に
おけるカソード基板の構成を示す図である。
【図2】エミッタコーンとカソード配線との間に挿入さ
れる抵抗を説明するための図である。
【図3】島状電極とカソード配線との間の距離を変化さ
せたときのエミッション特性の一例を示す図である。
【図4】本発明の他の実施形態であるフルカラー電界放
出型表示装置におけるカソード基板の構成を示す図であ
る。
【図5】本発明のさらに他の実施形態を説明するための
図である。
【図6】従来の島構造電極を有するFECアレイを説明
するための図である。
【図7】従来の電界放出型表示装置におけるカソード基
板の構成を示す図である。
【符号の説明】
101 カソード基板 102 カソード配線 103、103’ 抵抗層 104 絶縁層 105 ゲート電極 106 エミッタコーン 107 島状電極 108 くり抜き部 109 カソード領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 31/12 H01J 1/30

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カソード基板上のカソード領域に、カソ
    ード配線と、電子を放出するエミッタコーンと、前記カ
    ソード配線と前記エミッタコーンとの間に介在された抵
    抗層とを有する電界放出カソードが複数個形成されてい
    る電界放出型表示装置において、前記抵抗層により前記
    カソード配線と前記エミッタコーンとの間に直列に挿入
    される抵抗の抵抗値が、前記エミッタコーンの前記カソ
    ード領域内における位置によるエミッション量のばらつ
    きをなくすように、当該エミッタコーンの前記カソード
    領域内の位置に応じて決定される値とされていることを
    特徴とする電界放出型表示装置。
  2. 【請求項2】 カソード基板上のカソード領域に形成さ
    れたストライプ状のカソード配線と、 該カソード配線の領域内に形成されたくり抜き部と、 該くり抜き部内に形成された島状電極と、 前記カソード配線、前記くり抜き部および前記島状電極
    の上に形成された抵抗層と、 前記島状電極に対応する前記抵抗層の上に形成された複
    数個のエミッタコーンからなる電界放出アレイを有す
    る電界放出型表示装置において、 前記カソード配線と前記島状電極との間の距離が、前記
    エミッタコーンの前記カソード領域内における位置によ
    るエミッション量のばらつきをなくすように、当該エミ
    ッタコーンの前記カソード領域内の位置に応じて決定
    れる距離とされていることを特徴とする電界放出型表示
    装置。
  3. 【請求項3】 カソード基板上のカソード領域に形成さ
    れたストライプ状のカソード配線と、 該カソード配線の領域内に形成されたくり抜き部と、 該くり抜き部内に形成された島状電極と、 前記カソード配線、前記くり抜き部および前記島状電極
    の上に形成された抵抗層と、 前記島状電極に対応する前記抵抗層の上に形成された複
    数個のエミッタコーンからなる電界放出アレイと、 前記カソード基板に所定間隔をもって対向配置され、そ
    の上にストライプ状のアノード電極が形成されたアノー
    ド基板と、 前記アノード電極上の前記各電界放出アレイに対応する
    位置にドット状に塗布され、それぞれ、光の3原色のい
    ずれかの色を発光する蛍光体ドットとを有するフルカラ
    ー電界放出型表示装置において、 前記各電界放出アレイに対応する前記島状電極と前記カ
    ソード配線との間の距離が、前記各電界放出アレイを同
    一の駆動電圧で駆動したときにホワイトバランスのとれ
    た表示を行うことができるように、対応する前記蛍光体
    ドットの発光色に応じて決定される距離とされているこ
    とを特徴とする電界放出型表示装置。
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