JP2906951B2 - オフセット印刷機の湿し水供給装置 - Google Patents

オフセット印刷機の湿し水供給装置

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JP2906951B2
JP2906951B2 JP5294501A JP29450193A JP2906951B2 JP 2906951 B2 JP2906951 B2 JP 2906951B2 JP 5294501 A JP5294501 A JP 5294501A JP 29450193 A JP29450193 A JP 29450193A JP 2906951 B2 JP2906951 B2 JP 2906951B2
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    • B41FPRINTING MACHINES OR PRESSES
    • B41F7/00Rotary lithographic machines
    • B41F7/20Details
    • B41F7/24Damping devices
    • B41F7/26Damping devices using transfer rollers
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41FPRINTING MACHINES OR PRESSES
    • B41F33/00Indicating, counting, warning, control or safety devices
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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Rotary Presses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オフセット印刷機の湿
し水供給装置に係り、特に湿し水への外的影響を少なく
し、微量の湿し水によって版面に均一な水膜を形成させ
るのに好適な湿し水供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のオフセット印刷機の湿し水供給装
置には、代表的なものとして、水皿に浸漬された水元ロ
ーラーに呼出しローラーが間欠的に接離して水着ローラ
に間欠供給するもの、水元ローラに水着けローラーが常
時接触して連続供給するもの、水元ローラに回転ブラシ
が相対速度差をもって回転接触して水着ローラに連続供
給するもの、あるいはスプレイによって水元ローラに噴
射供給するものなどが用いられている。
【0003】これらの湿し水供給方式の例として、図2
5により詳しく説明すると、湿し水供給装置はオフセッ
ト印刷機(以下印刷機と記す)の版1の版面に湿し水を
供給するダンプニングローラ装置2および、このダンプ
ニングローラ装置に供給される湿し水を調整する湿し水
循環装置3からなっている。ダンプニングローラ装置2
において、親水性のクロムメッキが施された水元ローラ
ー20にはゴムローラー22、クロムローラー24が順
次接触している。さらに、クロムローラー24にはゴム
製の水着けローラー26を接触させ、これらのローラー
が常時接触された状態で回転されることにより水着けロ
ーラー26から版面に湿し水が供給される。湿し水循環
装置3は、定量の湿し水を収容し、水元ローラー20に
湿し水を与える水皿30内の湿し水の水量、温度、水質
などの調整を行う。
【0004】この種の湿し水供給装置は一例として、実
公平4−43321号に開示されている。また、図26
はスプレー方式の概略構成を示すもので、水着けローラ
ー26に接触するクロムローラー24のローラー幅方向
に対峙させてスプレイノズル40を配備し、湿し水供給
源4から送られる調整された湿し水をスプレーノズル4
0から噴射して供給するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の湿し
水供給方式では、水皿に湿し水を十分溜ておき、この水
皿内の湿し水に水元ローラを浸漬させて、水元ローラ表
面に湿し水を与えていた。このような方式では余分な湿
し水が水皿に溜ることになるので、水元ローラを介した
インキ、紙粉等が水皿内に溜り、時として配管内に流れ
込み、配管を詰まらせる。また、この湿し水の汚れを除
去した後、温度上昇した余分な湿し水を再調整して利用
するために、湿し水循環装置の能力を高める必要があっ
た。さらに水皿と水元ローラーを使用しない、スプレー
方式では湿し水量をローラ幅方向の面に均一に数ミクロ
ンレベルで供給することが難しく、スプレーノズルの詰
まりなどのメインテナンスも手間かがかかり、高価であ
るという問題点があった。本発明の目的は、構造が簡単
かつ小型化でき、しかもメインテナンスが容易である湿
し水供給装置を提供することにある。また他の目的は、
ダンプニングローラ群のローラ配列が自由になり、設置
スペースを小さくすることができる湿し水供給装置を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1の発明はダンプニングローラを介して湿し
水を版面に供給するオフセット印刷機の湿し水供給装置
において、湿し水供給ラインに接続され、前記ダンプニ
ングローラを構成する水元ローラのローラ幅方向に配置
された湿し水供給部材と、ローラの幅方向に配置され、
水元ローラまたは水元ローラの上流側に隣接するローラ
の表面との間で前記湿し水供給部材から給水される湿し
水を溜る水溜部を形成する、非回転の湿し水溜バーと、
湿し水戻りラインに接続され、水元ローラから回収され
る戻り湿し水を受ける戻り湿し水受け部材とを備え、湿
し水溜バーを水元ローラの外周回りに複数配置した構成
にある。
【0007】また請求項2に記載された発明は、ダンプ
ニングローラを介して湿し水を版面に供給するオフセッ
ト印刷機の湿し水供給装置において、湿し水供給ライン
に接続され、ダンプニングローラを構成する水元ローラ
のローラ幅方向に配置され、該ローラに湿し水を供給す
る給水口部を有する、固定の湿し水供給部材と、水元ロ
ーラから回収される戻り湿し水を受ける戻り湿し水受け
部材とを備え、湿し水供給部材の外周面と水元ローラの
表面との間に、湿し水供給部材の給水口部から供給され
る湿し水を溜る水溜部を設けた構成にある。
【0008】また請求項3に記載された発明は、請求項
2に記載の発明において、給水口部を湿し水供給部材の
上部に設け、かつ水元ローラとの間に形成される水溜部
に向けられているとともに、該給水口部より下の湿し水
供給部材の内部に、湿し水供給ラインから送られてくる
湿し水を一旦保持した後に、該給水口部から流出させる
ようにた構成にある。また請求項4に記載された発明
は、ダンプニングローラを介して湿し水を版面に供給す
るオフセット印刷機の湿し水供給装置において、湿し水
供給ラインに接続され、ダンプニングローラを構成する
水元ローラのローラ幅方向に給水口部を有する、固定の
湿し水供給部材と、水元ローラの表面に向かって下り勾
配のプレート面を有し、湿し水供給部材の給水口部から
供給される湿し水をプレート面で拡散させながら水元ロ
ーラに導く導水プレートと、湿し水戻りラインに接続さ
れ水元ローラから回収される戻り湿し水を受ける戻り湿
し水受け部材とを備えた構成にある。
【0009】また上記請求項4に係る発明に関連した他
の発明は、次の構成要件のいずれかを備えていることを
特徴とするものである。すなわち、 (1)導水プレートが可とう性材料で作製され、該導水
プレートの先端部分を水元ローラの表面に接触させた構
成にある。 (2)導水プレートと水元ローラの外周面との間に、湿
し水供給部材から給水される湿し水を溜る水溜部を形成
した構成にある。 (3)導水プレートの水元ローラー側で、該ローラの幅
方向全体に、前記湿し水供給部材にて給水された湿し水
を溜る水溜部を設け、該水溜部から溢流する湿し水を前
記水元ローラーに供給するようにした構成にある。
【0010】また請求項8に記載された発明は、湿し水
供給部材から給水される湿し水の供給水量を、印刷に必
要な水量に調整する湿し水供給水量調節手段を備えた構
成にある。さらに上記請求項8に係る発明に関連した他
の発明は、次の構成要件のいずれかを備えていることを
特徴とするものである。すなわち、 (1)湿し水供給量調整手段は所定の供給水量を超えた
水量の湿し水を短時間で水溜部に供給し、該水溜部に一
定量の湿し水を溜るための増量制御を行う機能を備えて
いる構成にある。 (2)水溜部の水量または戻り湿し水の水量を検出する
センサを備え、湿し水供給水量調節手段は前記センサか
らの水量信号に基づいて湿し水の戻り水量が下限を下回
らないように供給水量制御を行う構成にある。 (3)湿し水供給水量調節手段は印刷スピードに応じて
湿し水の供給水量制御を行うようにした構成にある。
【0011】
【作用】請求項1に記載の発明によると、湿し水供給部
材から給水された湿し水は複数の湿し水溜バーとローラ
との間で形成される水溜部に溜られ、この水溜部にて水
元ローラに供給される。戻り湿し水受け部材に回収さ
れ、湿し戻りラインを介して湿し水調整装置へ送られ
る。水溜部には印刷に必要な水量を溜ることにより、湿
し水供給部材から出た湿し水が水元ローラへ供給される
までの時間を短くし、その間に受ける外的影響を少なく
すると共に、戻り湿し水を少量に抑え、湿し水調整装置
の能力を小さくすることができる。請求項2に記載の発
明によると、水溜部を湿し水供給部材の外周面と水元ロ
ーラの表面との間で形成することにより、少ない部品点
数で上記同様の作用効果が得られる。請求項4に記載の
発明によると、湿し水供給部材から給水される湿し水を
導水プレートでローラ幅方向に拡散させ、直接水元ロー
ラに供給するか、あるいは導水プレートの先端部分また
は導水プレートと水元ローラとの間に形成される水溜部
を介して水元ローラに供給することにより、上記請求項
1と同様の作用効果が得られる。請求項8に記載の発明
によると、湿し水供給部材からの供給水量は水溜部の水
量、戻り湿し水の水量、あるいは印刷スピードに応じて
制御されることにより、印刷に必要な量、つまり戻りの
少ない量の湿し水を供給することができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明の湿し水供給装置の概略構成を示
す。なお、本実施例では図25に示された構成部材と同
一機能をもつ構成部材には同一符号を付け、その説明を
適宜省略する。ここで、本発明において、水元ローラは
調整された湿し水の供給源から最初に印刷に必要な量の
湿し水が与えられるローラを意味する。水元ローラ20
のローラ幅方向に湿し水供給部材としての湿し水供給パ
イプ50(以下供給パイプと記す)が配備されている。
この供給パイプ50から水元ローラ20に供給される湿
し水を溜るための湿し水溜バー60がローラ幅方向に配
備されている。図2において、湿し水溜バー60は、印
刷機のサイドフレームに固定されたブランケット61に
支持されている。
【0013】また湿し水溜バー60の両端は、ブランケ
ット61を貫通し、固定されている。少なくとも湿し水
溜バー60の一端側には湿し水溜バーを引っ張るための
張力調整手段が設けられている。ここでは、湿し水溜バ
ーをブランケットに取付けるためのネジ62によって張
力調整手段が構成されている。このように湿し水バーの
張力調整を行うことにより、図3に示す水元ローラとの
間隔Gをローラ幅方向に一定に保つことができ、印刷に
必要な量の湿し水を溜るための水溜部70がローラ幅方
向全体に形成される。ここで、間隔Gは、水元ローラの
回転方向によって異なるが、図示の如く水溜部70に対
して下から上に向かって回転する場合は、0.3mm程
度が好ましい。
【0014】水元ローラ20の下方にはゴムローラ22
に渡されずにローラ下部に回り込んで滴下する戻り湿し
水を受けるための戻り湿し水受け部材としての受皿52
が設けられている。受皿52は単に樋として作用するも
ので、集められた戻り湿し水は戻しパイプ53を通して
湿し水調整装置54に送られ、再処理される。図4に示
す受皿52は、中央部分に向かって傾斜した面52aを
もっており、互いの傾斜面が交わる最も低い中央部分に
湿し水戻りラインに接続されるドレイン52bが設けら
れている。
【0015】供給パイプ50は、図2に示すように、水
元ローラのローラ幅方向に給水口部51が設けられてい
る。給水口部51から所定水量の湿し水が出るように、
給水口部51の構造として、給水口の形状、数、配置が
選択される。例えば、給水口部51は、穴、スリットな
どの給水口をパイプ周壁を加工して形成するもの、ある
いはスプレーヘッド、給水ヘッドなどの別部品をパイプ
に取り付けるものなど各種タイプの採用が可能である。
また供給パイプ50への湿し水の送水は、図2に示す一
端からだけでなく、パイプの両端や中間から行うように
してもよい。また湿し水供給ライン55は1または複数
ラインであってもよい。
【0016】湿し水調整装置54は、印刷条件に適合す
る湿し水にするために温度制御、水質調整を行う機能を
備えており、戻り湿し水はフィルターによってろ過した
後に再調整され、利用される。湿し水供給水量調節装置
は、印刷に必要な湿し水の量を調節し、供給パイプ50
から水元ローラ20に供給する機能を備えている。図5
において、湿し水供給水量調整装置は、湿し水調整装置
54にて水質、温度などが調整された湿し水を湿し水供
給ライン55に送るポンプ56、湿し水供給ライン55
に配備された流量調整弁57、およびポンプ56と流量
調整弁57を制御するコントローラ58からなってい
る。
【0017】印刷に必要な水量と供給パイプからの供給
水量との間に関係する物理量を検出し、この物理量に基
づいて湿し水供給量を自動的に制御する。検出する物理
量として、例えば、戻りパイプ52に水量検知センサ5
9を配置し、戻り湿し水の量を検出する。この戻り湿し
水の水量信号に基づいてポンプ56の吐出し量の調整ま
たはドライバAを動作させて流量調整弁57の開度を自
動的に調整する。上記物理量として、図6に示す水溜部
70に設置された水量検知センサ59aからの水量検出
信号、また図7に示すシリンダ1の回転数を検出する回
転数検出センサ59bからの印刷スピード信号を用い、
供給水量を制御することもできる。また運転開始直後に
所定量の湿し水を水溜部に短時間で給水するため、また
は運転中に起こる水溜部の一時的な水量不足を短時間に
補うため、コントローラ58は通常、印刷に必要な水量
に対して増量した湿し水を短時間に供給する湿し水増量
制御機能を備えている。運転開始直後の増量制御は、運
転開始のスタート信号により、弁調整やポンプの吐出し
量などの制御を実行することにより、運転初期に通常の
量を超えた量の湿し水を供給する。
【0018】一方、運転中の増量制御は、水溜部に設け
られたオーバーフロー検出センサ59cが水溜部のオー
バーフローがなくなったことを検知したときや戻り湿し
水ラインに設けられた水量センサが受皿からの戻り湿し
水の量が所定量以下になったことを検知したとき、この
信号に基づいて上記の制御要素を制御することにより、
一時的に起こる水溜部の水量不足に対処することができ
る。図8は水溜部のオーバーフローを検出するための具
体例を示す。図において、水溜バー60には水溜部70
から常に少量の湿し水をオーバーフローさせておくため
のオーバーフロー用通水溝61が設けられている。この
オーバーフロー用通水溝61に対向させて近接センサ等
のオーバーフロー検出センサ59cが配置されている。
水溜部70内に印刷に必要な量の湿し水が確保されてい
るときは、オーバーフロー通水溝61からわずかに湿し
水が流れ出ており、また湿し水の水量不足を起こると流
れ出なくなるので、この状態をオーバーフロー検出セン
サ59cにて検出し、この検出信号を、例えば図6に示
すコントローラ58に取り込み、湿し水の増量制御を行
う。
【0019】本実施例では湿し水の供給水量を自動調整
するもので説明したが、マニュアル調整手段を持つも
の、調整手段を全く持たないもののいずれでも構成する
ことができる。すなわち、調整手段を持たない場合は、
例えば定量ポンプが用いられ、最大の印刷スピード時に
必要な湿し水供給水量を送る。また調整手段を持つもの
では、オペレータが流量調整弁の弁開度をマニュアル調
整で行うこともできる。また本実施例では、湿し水供給
ラインに配置された流量調整弁の弁開度などにより湿し
水の供給水量を制御しているが、湿し水供給ラインに電
磁弁を配置し、この電磁弁をパルス制御することにより
供給する湿し水の量を調節するようにしてもよい。この
場合、湿し水の増量制御では、パルス数を増加させれば
よい。
【0020】また本実施例では、水溜バーを1本で構成
しているが、図9に示すように、複数本を配備して水溜
部を水元ローラの円周方向に複数箇所設けてもよい。ま
た水溜バーは回転しないもので説明したが、図10に示
すように回転するタイプであってもよい。この場合、水
溜バーの回転方向は水元ローラの回転方向に対して同方
向または異方向のいずれでも適用可能である。水溜バー
と水元ローラの間隔は、好ましくは、水溜バーとの回転
方向が水元ローラの回転方向と同じ場合はわずか接触〜
0.15mm位に調整し、その逆の場合は0.1〜0.
3mm位に調整するのがよい。
【0021】また図11に示すように、水元ローラ20
の上流側に隣接するローラ20aに設けてもよい。さら
に、水元ローラと湿し水溜バーとの間隔Gを調整するこ
とにより、水元ローラの回転方向を実施例とは逆の方向
でも適用することができる。上記の構成による作用を説
明すると、印刷に必要な湿し水の量に応じた水量を決
め、この水量を供給パイプから水溜部に給水する。水溜
部は水元ローラの表面に湿し水を与える。水元ローラか
ら水着ローラに渡されずに回取される戻り湿し水は、受
皿のドレインに集められ、湿し水戻りラインを介して湿
し水調整装置に送られる。
【0022】図12及び図13は、水溜部の他の実施例
の構成を示す。本実施例は湿し水供給部材としてパイプ
を利用し、このパイプの外周面と水元ローラの表面との
間に、水溜部を形成したことを特徴とするものである。
供給パイプ50は、水元ローラ20の表面との間に、
0.3mm程度の間隔Gを空けて近接して配置される。
給水口部51は、水溜部70に湿し水が供給できるタイ
プであればその構造は限定されない。例えば、図12に
示すように、水溜部側のパイプ周壁に設けられた穴、ス
リットなどの給水口、または図13に示すように水溜部
の上方から給水するため、パイプ上に取付けられた給水
ヘッドによって構成される。本実施例では、湿し水供給
部材として、円形のパイプを用いているが、パイプは任
意の形状が利用できる。
【0023】図14は、湿し水供給部材として樋を用い
た水溜部の構成を示す。湿し水供給部材を樋50Aで構
成し、この樋50Aを水元ローラ20のローラ幅方向に
近接配置する。水溜部70は、水元ローラの表面と樋の
側面との間で形成する。また水元ローラ側の樋側壁に
は、図15に示すように、通水溝51aがローラ幅方向
に適宜間隔で設けられている。湿し水は、湿し水供給ラ
イン55から樋50Aに給水され、この樋の通水溝51
aから水溜部に溜られる。
【0024】図16は導水プレートを介して版面に湿し
水を供給する構成を示す。本実施例は、供給パイプから
給水された湿し水を水元ローラのローラ幅方向に拡散さ
せるための導水プレート80を設けたことを特徴とする
ものである。 導水プレート80は、供給パイプ50
の背面側に延びており、その下部から版胴1の方向に下
り勾配の傾斜面を持って形成されている。供給パイプ5
0から給水された湿し水は導水プレート80の傾斜面を
伝わるように流れ、その間に図17に示す如くローラ幅
方向に拡散されて先端部分から版面に供給される。した
がって、必要最少限の水量、すなわち戻しの少ない水量
の湿し水を水元ローラに与えることにより、版面に均一
な水膜を形成させることができる。
【0025】図18は可とう性材料によって作製された
導水プレートを用いた実施例を示す。導水プレート80
は、例えばばね鋼などの金属プレートやプラスチックプ
レートなどの可とう性材料で作製されており、導水プレ
ートの先端部分は水元ローラ20の表面に導水プレート
の復元力によって接触させる。水溜部70は、可とう性
導水プレートと水元ローラの表面との間に形成される。
供給パイプから給水された湿し水は可とう性導水プレー
ト80を伝わって水溜部70に溜られ、この水溜部で水
元ローラに渡される。このタイプは水元ローラ20の回
転によって導水プレートの巻込みを防ぐために、図示の
如く導水プレートの傾斜方向と同じ方向に水元ローラを
回転させる。
【0026】図19は導水プレートの他の実施例を示
す。本実施例は供給パイプとは反対側に位置する導水プ
レート80に、ローラ幅方向かつ下方に折曲げたプレー
ト部分81を設け、このプレート部分81を水元ローラ
に近接して配置し、プレート部分と水元ローラの表面と
の間に水溜部70を形成したことを特徴とするものであ
る。供給パイプから給水された湿し水は、導水プレート
80で拡散されながら流れ、水溜部70に溜られる。水
溜部の作用は可とう性導水プレートと同様である。図2
0は導水プレートの他の実施例を示す。本実施例では、
導水プレートの先端部分を上方に折曲げて形成した水溜
部82を設けたことを特徴とするものである。供給パイ
プ50から出た湿し水は、図21に示す如く、導水プレ
ート80によって広がりながら傾斜面上を流れ、一旦水
溜部82に溜られた後に、水溜部82から溢れ出た湿し
水を水元ローラ20に供給する。
【0027】供給パイプ50を導水プレート80に固着
した場合、水溜部に湿し水が多量に溜まり、供給パイプ
の給水口に逆流するのを防止するため、図22に示すよ
うに供給パイプ50に近くかつ給水口51を通る垂線が
導水プレート80と交わる点より上側の導水プレート8
0に、オーバーフロー時の湿し水を受皿52に流す通水
口83が設けられている。
【0028】図23はメタリングローラ間にダムを形成
した実施例の構成を示す。本実施例では水元ローラと渡
しローラとの間にダムを形成したものである。図23に
おいて、渡しローラ23は水元ローラ20の側方に接触
または極めて間隙の小さい状態にして配置し、この両部
材間に湿し水供給パイプ50から供給される湿し水を溜
る水溜部70を設ける。この水溜部70からオーバーフ
ローした湿し水は、図示を省略した受皿に回収される。
本実施例によれば、水元ローラ20と渡しローラ23が
図示の如く回転しているとき、湿し水供給パイプ50か
ら必要量の湿し水を水元ローラ側に供給すると水溜部7
0に湿し水が溜まり、ここから渡しローラ23表面に適
量の湿し水が渡される。
【0029】図24は受皿を導水プレートとして使用す
る実施例の構成を示す。本実施例では水元ローラの下方
に配置される受皿を、水元ローラの外周に沿う形状とす
るとともに、少なくとも受皿の一部は水元ローラ外周の
下面に近接して配置され、この部分に水溜部を形成する
ものである。図24において、受皿90は水元ローラ2
0の下面に対向させ、かつ接近させた位置に、湿し水を
溜る水溜部92を設け、この水溜部92から水元ローラ
の回転方向の上流側、すなわち水元ローラの側方に向か
って延びる導水プレート部93が設けられている。導水
プレート部の上方には湿し水供給パイプ50が配置され
る。また水溜部92より水元ローラの回転方向の上流側
に寄った部分にはドレイン91が設けられており、水溜
部92からオーバーフローした湿し水を戻しラインに送
るようになっている。
【0030】本実施例によれば、湿し水供給パイプ50
から給水される湿し水は導水プレート93を介して水溜
部92に供給され、この水溜部から水元ローラの下面に
与えられる。このように構成することにより、ローラの
配列設計の自由度が大きくなり、ダンプニングローラ群
のスペースを小さくすることができる。本実施例によれ
ば、湿し水は水溜部から水元ローラ全幅方向で溢流する
ため、水溜部のない導水プレートと比べてさらに少ない
湿し水供給水量により均一な水膜を版面に形成させるこ
とができる。本実施例では、導水プレートの前側を上向
き折曲げで水溜部を形成したが、これに限定されるもの
でない。要するに、ローラ幅方向に沿って湿し水を一旦
溜めた後に、水元ローラに供給する構造であれば良い。
【0031】本発明の実施例によれば、次の効果を奏す
る。 (1)受皿と水元ローラを離すことで受皿の戻り湿し水
に水元ローラが触れないので、水元ローラの熱(印刷機
の発熱)による直接的な戻り湿し水の温度上昇が抑えら
れるから、湿し水冷却能力を小さくすることができる。 (2)受皿を最小限の大きさにすることにより、熱漏洩
やインキ、紙粉等が混入しにくくすると共に、スプレー
方式の様に戻り湿し水のない一方通行の為、ローラ幅方
向に薄く均一である必要のない荒い調量の湿し水供給ノ
ズル等の湿し水供給部材で実施できる。 (3)受皿を最小限の大きさにして、戻し湿し水の受皿
内に留まる時間を短くすることにより、雰囲気温度によ
る熱影響も小さくなるため、湿し水の冷却エネルギーを
少なくすることができ、湿し水調整装置の小型化が図れ
る。
【0032】
【発明の効果】上述のように、本発明によれば、版面に
均一な水膜を形成させるための必要最少限の水量の湿し
水を供給する方式としたことにより、戻し湿し水の量が
最少限に抑えられ、湿し水調整装置の冷却能力やろ過能
力を小さくすることができると共に、湿し水供給部材や
装置のメインテンスが容易となり、かつ装置の小型化が
できることにより、コスト低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の湿し水供給装置の概略構成を示す図
である。
【図2】 湿し水供給装置の主要部の構成を示す斜視図
である。
【図3】 水溜部の拡大図である。
【図4】 戻り湿し水受け部材としての受皿の一例を示
す図である。
【図5】 湿し水供給水量を自動制御するためのシステ
ム図である。
【図6】 水溜部の水量を検出して湿し水供給水量制御
を行うためのシステム図である。
【図7】 印刷スピードを検出して湿し水供給水量制御
を行うためのシステム図である。
【図8】 水溜部のオーバーフローを検出するための実
施例を示す斜視図である。
【図9】 複数の湿し水溜バーを用いた水溜部の構成図
である。
【図10】 回転する湿し水溜バーを用いた水溜部の構
成図である。
【図11】 水元ローラに隣接するローラに設けられる
水溜部の構成図である。
【図12】 湿し水供給パイプを用いた水溜部を示し、
パイプ自体を加工して給水口を設けた構成図である。
【図13】 パイプに給水ヘッドを取付けた構成図であ
る。
【図14】 湿し水供給部材として樋を用いた水溜部の
構成図である。
【図15】 図14の部分斜視図である。
【図16】 導水プレートを用いた湿し水供給装置の概
略構成を示す図である。
【図17】 図16の上方から見た導水プレート、湿し
水供給パイプ、水元ローラの配置を示す図である。
【図18】 可とう性の導水プレートを用いた水溜部の
構成図である。
【図19】 導水プレートを用いた水溜部の構成図であ
る。
【図20】 導水プレート内に水溜部を形成した構成図
である。
【図21】 図20の上方から見た導水プレート、湿し
水供給パイプ、水元ローラの配置を示す図である。
【図22】 導水プレートにオーバーフロー時の通水口
を設けた構成図である。
【図23】 メタリングローラ間にダムを形成した水溜
部の構成図である。
【図24】 受皿を導水プレートとして使用する水溜部
の構成図である。
【図25】 従来のオフセット印刷機の湿し水供給装置
として、水元ローラを用いた方式の構成例を示す図であ
る。
【図26】 従来のオフセット印刷機の湿し水供給装置
として、スプレー方式の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1…版胴、2…ダンプニングローラ、20…水元ロー
ラ、50…湿し水供給パイプ(湿し水供給部材)、52
…受皿(戻り湿し水受け部材)、54…湿し水調整装
置、56…ポンプ、57…流量調整弁、58…コントロ
ーラ、60…湿し水溜バー、59…戻り湿し水量検出セ
ンサ、59a…水溜部の水量検出センサ、59b…シリ
ンダの回転検出センサ、59c…オーバーフロー検出セ
ンサ、61…ブラケット、70…水溜部、80…導水プ
レート、82…水溜部、83…通水口、90…導水プレ
ート兼受皿
フロントページの続き (72)発明者 大沼 拓 神奈川県横浜市緑区美しが丘1−18−3 − 2−501 (56)参考文献 特開 平2−145398(JP,A) 実開 昭61−186435(JP,U) 実開 昭59−169941(JP,U)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダンプニングローラを介して湿し水を版
    面に供給するオフセット印刷機の湿し水供給装置におい
    て、 湿し水供給ラインに接続され、前記ダンプニングローラ
    を構成する水元ローラのローラ幅方向に配置された湿し
    水供給部材と、 前記ローラの幅方向に配置され、水元ローラまたは水元
    ローラの上流側に隣接するローラの表面との間で前記湿
    し水供給部材から給水される湿し水を溜る水溜部を形成
    する、非回転の湿し水溜バーと、 湿し水戻りラインに接続され、前記水元ローラから回収
    される戻り湿し水を受ける戻り湿し水受け部材とを備
    え、 前記湿し水溜バーを水元ローラの外周回りに複数配置し
    たことを特徴とする湿し水供給装置。
  2. 【請求項2】 ダンプニングローラを介して湿し水を版
    面に供給するオフセット印刷機の湿し水供給装置におい
    て、 湿し水供給ラインに接続され、前記ダンプニングローラ
    を構成する水元ローラのローラ幅方向に配置され、該ロ
    ーラに湿し水を供給する給水口部を有する、固定の湿し
    水供給部材と、 前記水元ローラから回収される戻り湿し水を受ける戻り
    湿し水受け部材と、を備え、 前記湿し水供給部材の外周面と水元ローラの表面との間
    に、前記湿し水供給部材の給水口部から供給される湿し
    水を溜る水溜部を設けたことを特徴とする湿し水供給装
    置。
  3. 【請求項3】 前記給水口部を湿し水供給部材の上部に
    設け、かつ水元ローラとの間に形成される水溜部に向け
    られているとともに、該給水口部より下の前記湿し水供
    給部材の内部に、湿し水供給ラインから送られてくる湿
    し水を一旦保持した後に、該給水口部から流出させるよ
    うに構成された請求項2記載の湿し水供給装置。
  4. 【請求項4】 ダンプニングローラを介して湿し水を版
    面に供給するオフセット印刷機の湿し水供給装置におい
    て、 湿し水供給ラインに接続され、前記ダンプニングローラ
    を構成する水元ローラのローラ幅方向に給水口部を有す
    る、固定の湿し水供給部材と、 前記水元ローラの表面に向かって下り勾配のプレート面
    を有し、前記湿し水供給部材の給水口部から供給される
    湿し水を、前記プレート面で拡散させながら前記水元ロ
    ーラに導く導水プレートと、 湿し水戻りラインに接続され、前記水元ローラから回収
    される戻り湿し水を受ける戻り湿し水受け部材と、 を備えていることを特徴とする湿し水供給装置。
  5. 【請求項5】 前記導水プレートが可とう性材料で作製
    され、該導水プレートの先端部分を水元ローラの表面に
    接触させていることを特徴とする請求項4記載の湿し水
    供給装置。
  6. 【請求項6】 前記導水プレートと水元ローラの外周面
    との間に、湿し水供給パイプから給水される湿し水を溜
    る水溜部を形成したことを特徴とする請求項4記載の湿
    し水供給装置。
  7. 【請求項7】 前記導水プレートの水元ローラー側で、
    該ローラの幅方向全体に、前記湿し水供給部材にて給水
    された湿し水を溜る水溜部を設け、該水溜部から溢流す
    る湿し水を前記水元ローラーに供給することを特徴とす
    る請求項4記載の湿し水供給装置。
  8. 【請求項8】 湿し水供給部材から給水される湿し水の
    水量を、印刷に必要な水量に調整する湿し水供給水量調
    節手段を備えていることを特徴とする請求項1、2また
    は4のいずれかの項に記載された湿し水供給装置。
  9. 【請求項9】 前記湿し水供給量調整手段は所定の供給
    水量を超えた水量の湿し水を短時間で水溜部に供給し、
    該水溜部に一定量の湿し水を溜るための増量制御を行う
    機能を備えていることを特徴とする請求項8記載の湿し
    水供給装置。
  10. 【請求項10】 前記水溜部の水量または戻り湿し水の
    水量を検出するセンサを備え、前記湿し水供給水量調節
    手段は前記センサ信号により湿し水の戻り水量が下限を
    下回らないように供給水量制御を行うように構成されて
    いることを特徴とする請求項8記載の湿し水供給装置。
  11. 【請求項11】 前記湿し水供給水量調節手段は印刷ス
    ピードに応じて湿し水の供給水量制御を行うように構成
    されていることを特徴とする請求項8記載の湿し水供給
    装置。
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