JP2905204B2 - カラー受像管の消磁方法 - Google Patents

カラー受像管の消磁方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、カラー受像管に係り、特にその消磁方法に
関する。
(従来の技術) 従来、一般に使用されているカラーテレビジョン受像
機に組込まれているカラー受像管のほとんどには、磁性
材料よりなる、いわゆるシャドウマスク、マスクフレー
ム及び内部磁気遮蔽体などが使用されている。このよう
なカラー受像管では、上記の磁性体が地磁気などの外部
浮遊磁界によって磁化され、この残留磁気によって電子
銃から射出される電子ビームの進行方向が曲げられ、色
純度の低下現象が発生する。この色純度の低下現象を防
止するため、シャドウマスク、マスクフレーム及び内部
磁気遮蔽体の残留磁気を消磁している。
このような、消磁方法として、例えば、特開昭62−92
690号公報に記載された技術があり、この特開昭62−926
90号公報の第1図に示されるような直流電源で動作する
ものもあるが、このようなカラーテレビジョン受像機の
消磁は共振回路を用いるのが一般的である。しかし、一
般に受像機に用いられる共振回路のコンデンサ及び消磁
コイルは、μF及びmHオーダーの定数であるため、消磁
周波数fは、次式より数10KHzとならざるを得ない。
このような周波数fを有する交番磁界のエネルギE
は、 のように、周波数に逆比例する。すなわち、消磁磁界の
周波数fが高くなれば、消磁エネルギは、小さくなるた
め、不要に着磁した管内磁性体を消磁する力が弱まり、
不要着磁を磁性体内に残すことになる。
もちろん、消磁周波数を100Hz以下の低周波にするこ
とも可能であるが、その場合、コンデンサ及びコイルの
C(キャパシタンス)及びL(インダクタンス)は、F
及びHオーダーの定数が必要となる。このような共振回
路は、工業用には広く用いられているが、コストは通常
の受像機の10倍以上となり、大きさも受像機を上まわ
り、家庭用には全く不向きである。
従って、実用的な共振回路を用いた場合には、垂直偏
向磁界周波数が消磁磁界周波数よりはるかに小さくな
り、垂直偏向磁界の磁性体内の磁区を動かすエネルギが
相対的に強くなるため、この垂直偏向磁界より高い周波
数で消磁しても、垂直偏向磁界の影響が強く、やはり、
十分な消磁が実施できない。従って、特開昭62−92690
号公報の第1図に示されたように、消磁完了後に垂直、
水平出力回路を動作させる遅延回路が必要となる。
ところで、電源周波数と同一で消磁を行なう場合もこ
のような遅延回路の考えはあるが、実際には、次のよう
な欠点があり実用的でない。すなわち、通常は、第2図
に示すように、電源(図示せず)から消磁回路を動作さ
せる場合は、消磁電流を徐々に減衰させるために正特性
サーミスタ(5)を用いている。第2図は参考までに遅
延回路(8)も示している。前述のような共振回路方式
では、コンデンサに充電された電荷が放電され、その充
電電荷がなくなれば、消磁磁界も徐々になくなり、減衰
交番磁界となる。しかし、このように、減衰電流を得る
ためにコンデンサを用いれば共振回路となり、数10KHz
の消磁周波数となる。従って、前述の通りの欠点を有す
るため、あえてコンデンサは使用しない。しかしなが
ら、周知のように、正特性サーミスタは、温度に対して
急激に抵抗値が変化する素子であり、電源スイッチを投
入する直前では数オームと低抵抗であっても、正特性サ
ーミスタを流れる電流によって発生するジュール熱によ
り、正特性サーミスタ本体が暖められ、急激に抵抗が増
加し、電流も急激に減少する。
すなわち、第2図に示すようにサーミスタ(5)の両
端の端子(6)、(7)間に電位降下が生じ、消磁後半
になってようやく遅延回路(8)が動作し、偏向回路、
例えば、垂直回路(図示せず)を動作させることができ
る。しかしながら、正特性サーミスタは、温度により抵
抗値が変わるため、一度使用するとサーミスタが自然冷
却するまで次の消磁が不可能になるという大きな欠点が
あり、そのまま使用すると、色純度が著しく損われた画
像を再現してしまう。
(発明が解決しようとする課題) 以上のように、消磁に共振回路を用いたり、また、消
磁電流を徐々に減衰させるために正特性サーミスタを用
いた場合、効率良く、充分な消磁を行なうことができ
ず、色純度の低下現象を抑えることができないという問
題がある。
本発明は、以上のような欠点を解消し、有効確実に消
磁し、実用状態における画質を適格に把握できるカラー
受像管の消磁方法を提供する。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 本発明は上記課題を解決するためになされたもので、
パネル、ファンネルおよびネックを有する外囲器と、前
記ネックに内装され電子ビームを放出する電子銃と、前
記パネルに対向して配置されるシャドウマスクと、シャ
ドウマスクの周辺部を支持するマスクフレーム及びマス
クフレームのネック側に取り付けられた内部磁気遮蔽体
などの磁性体と、前記外囲器に装着されると共に前記電
子ビームを偏向させる偏向装置と、前記ファンネルおよ
びパネルの少なくとも一つの外周に設けられた消磁コイ
ルとを有するカラー受像管の消磁方法において、前記偏
向装置の少なくとも垂直偏向走査回路をオフにして垂直
偏向電流を遮断した状態で、消磁コイルをオンにして商
用電源と同一周波数の消磁電流を消磁コイルに流して上
記磁性体を消磁し、この消磁が終了し消磁コイルへの消
磁電流の供給が停止された後、前記遮断状態の偏向走査
回路をオンにして偏向電流を供給することを特徴とする
カラー受像管の消磁方法である。
(作 用) 本発明は、消磁を完了させ消磁電流の供給が完全に停
止された後に偏向回路を動作させるので、偏向回路の磁
界の影響が出ないような有効確実な消磁が極めて容易に
でき、実用状態における画質を適格に評価できるもので
ある。
(実施例) 以下、本発明の一実施例について説明する。すなわ
ち、第1図に示すように、パネル(21)、ファンネル
(22)およびネック(28)からなる外囲器(23)を有
し、そのパネル(21)内面に、赤、青、緑に発光する3
色蛍光体層からなるスクリーン(24)が形成され、この
スクリーン(24)と対向しかつ所定間隔離間して、その
内側にシャドウマスク(25)が配設されている。
通常、このシャドウマスク(25)は、スクリーン(2
4)と対向する多数の電子ビーム通過孔が形成されたマ
スク本体(26)と、このマスク本体(26)の周辺部を支
持するマスクフレーム(27)とからなる。また、上記フ
ァンネル(22)のネック(28)内に、3電子ビーム(29
B)、(29G)、(29R)を放出する電子銃(30)が配設
されている。
そして、上記電子銃(30)から放出された電子ビーム
(29B)、(29G)、(29R)をファンネル(22)のコー
ン部(31)とネック(28)との境界部外側に装着された
偏向ヨーク(32)により、水平および垂直方向に偏向
し、その偏向ビームによりシャドウマスク(25)の電子
ビーム通過孔を介して、スクリーン(24)を走査するこ
とにより、スクリーン(24)上に画像や文字などを表示
するようになっている。
さらに、このスクリーン(24)上に正しく画像や文字
を表示するためには、上記電子ビーム(29B)、(29
G)、(29R)に対する地磁気などの外部磁気の影響を防
止する必要があり、そのために、マスクフレーム(27)
に取付けられた内部磁気遮蔽体(33)が配設されてい
る。上記シャドウマスク(25)のマスク本体(26)、マ
スクフレーム(27)および内部磁気遮蔽体(33)は、そ
れぞれ低炭素鋼などの磁性材料で形成されているため、
外部磁気により磁化され、その残留磁気により電子ビー
ム(29B)、(29G)、(29R)の軌道を変化させないよ
うに、残留磁気を消磁する必要がある。この消磁は、通
常、製造されたカラー受像管の特性試験等に行なわれ
る。すなわち、カラー受像管は、その製造工程におい
て、各種の特性試験が行なわれ、特に、画像評価の一項
目として色純度の測定がある。この色純度の測定は、カ
ラー受像管のコーン部(31)の外側に消磁コイル(34)
を巻装して、後述の方法により上記残留磁気を消磁した
後、行なわれる。また、上記残留磁気の消磁は、カラー
受像管に組込む時の色調整時にも行なわれ、そのため
に、特に消磁コイルを取付けたカラーテレビジョン受像
機があり、本発明でいう消磁方法は、製造工程中の消磁
はもちろん、このように、テレビセットに組込んだ消磁
コイルによる消磁にも適用できるものである。
次に、この消磁についてさらに述べると、製造された
カラー受像管を試験装置に装着後、試験装置の電源を
「オン」にする前に、カラー受像管の消磁を実施し、そ
の後試験装置の電源を「オン」とする。その後、例え
ば、ネック(28)に位置する偏向ヨーク(32)およびピ
ュリティ調整用マグネット(35)により、実用状態に近
いピュリティ調整を実施し、この状態でピュリティ品位
を評価するものである。従って、垂直偏向動作前に消磁
作用が完了するため、垂直偏向回路の磁界による悪影響
はほとんど生じず、色再現性の向上したカラー受像管が
得られる。
なお、上記の実施例では、試験装置の電源を「オン」
としない状態で消磁を実施したが、本発明はこれに限ら
れることはなく、例えば、試験装置の電源は「オン」の
状態であっても、カラー受像管の電子ビームを垂直及び
水平方向に走査する偏向装置のうち少なくとも垂直方向
走査のみが「オフ」とされていれば垂直偏向磁界による
不要着磁は全く生じないため、同様の効果が得られるこ
とは言うまでもない。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明の消磁方法によれば、地
磁気などの外部磁界により磁化され易いシャドウマス
ク、支持フレームおよび内部磁気遮蔽体などの磁性体の
消磁を有効確実に行なうことが可能となり、実用状態に
おける画質を適格に把握できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例を説明するためのカラー受
像管の断面図、第2図は、従来の遅延回路である。 21……パネル、22……ファンネル、 25……シャドウマスク、28……ネック、 30……電子銃、32……偏向ヨーク、 33……内部磁気遮蔽体、34……消磁コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中根 和則 埼玉県深谷市幡羅町1―9―2 株式会 社東芝深谷ブラウン管工場内 (56)参考文献 特開 昭58−250771(JP,A) 特公 昭58−714(JP,B2) 実公 昭58−21262(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H04N 9/29

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パネル、ファンネルおよびネックを有する
    外囲器と、前記ネックに内装され電子ビームを放出する
    電子銃と、前記パネルに対向して配置されるシャドウマ
    スクと、シャドウマスクの周辺部を支持するマスクフレ
    ーム及びマスクフレームのネック側に取り付けられた内
    部磁気遮蔽体などの磁性体と、前記外囲器に装着される
    と共に前記電子ビームを偏向させる偏向装置と、前記フ
    ァンネルおよびパネルの少なくとも一つの外周に設けら
    れた消磁コイルとを有するカラー受像管の消磁方法にお
    いて、前記偏向装置の少なくとも垂直偏向走査回路をオ
    フにして垂直偏向電流を遮断した状態で、消磁コイルを
    オンにして商用電源と同一周波数の消磁電流を消磁コイ
    ルに流して上記磁性体を消磁し、この消磁が終了し消磁
    コイルへの消磁電流の供給が停止された後、前記遮断状
    態の偏向走査回路をオンにして偏向電流を供給すること
    を特徴とするカラー受像管の消磁方法。
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