JP2905150B2 - 遮水用複合シート - Google Patents

遮水用複合シート

Info

Publication number
JP2905150B2
JP2905150B2 JP8220674A JP22067496A JP2905150B2 JP 2905150 B2 JP2905150 B2 JP 2905150B2 JP 8220674 A JP8220674 A JP 8220674A JP 22067496 A JP22067496 A JP 22067496A JP 2905150 B2 JP2905150 B2 JP 2905150B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
sheet
composite sheet
reactive compound
reaction layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP8220674A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09109299A (ja
Inventor
徹男 三宅
彬夫 余川
晋央 大西
健一 河本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KUREHA ERASUTOMAA KK
Toyo Kasei Kogyo Co Ltd
Original Assignee
KUREHA ERASUTOMAA KK
Toyo Kasei Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KUREHA ERASUTOMAA KK, Toyo Kasei Kogyo Co Ltd filed Critical KUREHA ERASUTOMAA KK
Priority to JP8220674A priority Critical patent/JP2905150B2/ja
Publication of JPH09109299A publication Critical patent/JPH09109299A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2905150B2 publication Critical patent/JP2905150B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、廃棄物処分場、
貯水池、鉱山、トンネルの掘削工事、ケイソンおよび各
種の鉄筋コンクリート建築物の防水工事に使用するため
に好適な遮水用複合シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記廃棄物処分場等の防水工事に使用さ
れる遮水用複合シートとして、特開平2−176012
号公報には、遮水性を有する遮水層と、水に接触すると
膨張して遮水性を生じる材料からなる補修層とを積層し
てなる遮水構造物が開示されている。しかしながら、こ
の遮水構造物は、水と反応する補修層が遮水層間に連続
して配置されているため、水平部分の施工では問題がな
いものの、施工部分が傾斜している場合は、補修層を構
成する遮水性化合物が底部に垂れ下がる問題や、一度の
漏水で遮水構造物全体が固化し、次の漏水が生じた際に
は対応できず、いわゆる自己修復機能が失われるという
問題があった。
【0003】また、特開平6−286062号公報に
は、水膨潤性および水架橋性を備えたゴムからなる中間
シートの上下両面にゴムや樹脂からなる遮水シートをサ
ンドイッチ状に積層し、かつ繊維シートで補強し、施工
後に釘やガラス、岩の角等で穴が開き、漏水が始まる
と、上記の中間シートが水を吸収し、膨潤して穴を塞
ぎ、同時に架橋が進行して短時間で漏水を止め、かつ漏
水停止後も水に溶解することなく止水効果を永続させる
ものが開示されている。
【0004】しかしながら、この場合は、ゴムに吸水性
材料と水架橋性を付与するシランカップリング剤等とを
添加し、シート状に成形して中間シートとし、これを通
常のゴムからなる遮水シートで被覆していたので、施工
前の保存期間が長くなると、僅かな欠陥から大気中の水
分を吸収して中間シートの一部または全体に架橋が生
じ、そのため施工後の自己修復機能が半減し、また施工
に際して遮水用複合シートを接合するためにミシンで縫
製すると、ミシン孔から入る水分で中間シートの広い範
囲に架橋が生じて自己修復機能が失われるため、ミシン
孔を防水剤で塞ぐ必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、ミシン縫
製でミシン孔が開いたり、施工後の釘や岩等で穴が開い
たりしたとき、水と反応して上記のミシン孔等を自動的
に塞ぐ自己修復機能を備え、その止水効果が永続的であ
って、ミシン孔の防水処理が不要であり、しかも水と反
応する反応性化合物が一方に偏在することがなく、かつ
孔開き部の付近のみが上記の自己修復機能を発揮し、孔
開き部から離れた部分では自己修復機能が失われずに保
存され、施工前の長期保存が可能で、施工後に自己修復
機能が最大限に発揮される遮水用複合シートを提供する
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の遮水用複合シ
ートは、水と反応、硬化して耐水性構造を形成する粉末
状または液状の反応性化合物、この反応性化合物を大気
から遮断して保護する高分子材料からなる上下2枚の遮
水シートおよびこの2枚の遮水シート間に上記の反応性
化合物を所定量ずつ分離して一様な分布密度に保持する
ための多数の小室を形成する耐水性高分子材料からなる
支持シートを備え、この小室に上記の反応性化合物が収
容されて上下2枚の遮水シート間に反応層が形成されて
いることを特徴とする。なお、反応性化合物としては、
セメント、水ガラス等の水と反応して硬化する無機化合
物および触媒の存在下もしくは不存在下で水と反応して
重合可能な液状のモノマー、オリゴマー、ポリマー等の
有機化合物(重合性化合物)が例示される。
【0007】この発明の遮水用複合シートは、遮水シー
ト内に反応性化合物を所定量ずつ分離して一様な分布密
度に保持するための多数の小室を備えているため、施工
前の保存中に反応性化合物が大気中の水分と触れて反応
することがない。そして、施工の際に遮水用複合シート
の2枚をミシン縫製で接合し、接合部にミシン孔が形成
されると、大気中の水分がミシン孔を通じて反応性化合
物と接するため、この反応性化合物が耐水性構造を形成
してミシン孔を塞ぎ、しかもミシン孔の生じた小室とは
別の小室内の反応性化合物が水分を吸収することはな
く、その自己修復機能が保存される。また、施工後に釘
その他で穴が開いて漏水が始まった場合は、穴が開いた
小室の反応性化合物のみが水と反応し、他の小室の反応
性化合物が水と反応することはなく、その自己修復機能
が保存される。
【0008】この発明の反応性化合物としては、上記の
ように無機化合物や有機化合物があるが、重合触媒の存
在下で水と反応して耐水性構造を形成する重合性化合物
としては、分子鎖末端に水酸基、シリル基またはメルカ
プタン基を有する液状ポリマーやオリゴマー、例えばイ
ソプレン、ブタジエン、スチレン−ブタジエン、アクリ
ロニトリルブタジエンゴム、オキシプロピレン、シリコ
ン(オキシテトラメチレン)グリコール、オレフィング
リコールおよびε−カプロラクトン等のような液状のモ
ノマー、オリゴマーおよびポリマー、特に液状のオリゴ
マーおよびポリマーの使用が好ましい。そして、重合触
媒としては、アミン類、イソシアネート類およびスズ化
合物が例示され、使用する重合性化合物に応じて適当な
ものが選択される。
【0009】上記重合性化合物等の反応性化合物を大気
から遮断して保護する遮水シートは、耐水性を有し、上
記の反応性化合物を大気中の水分から遮断し、上記の反
応性化合物が大気中の水分と接触するのを防ぐものであ
り、ゴムまたは合成樹脂からなるシートが好ましい。ゴ
ムとしては、天然ゴムおよびIR、SBR、BR、EP
M、EPDM、IIR、臭素化IIR、塩素化IIR、
塩素化ポリエチレンゴム、CSM、CR、NBR、FP
M、Q等の合成ゴムが例示され、合成樹脂としてはPV
C、高密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、塩素化ポ
リエチレン等が例示される。
【0010】上下2枚の遮水シート間に小室を形成する
支持シートとしては、耐水性を有する熱可塑性合成樹脂
フィルムで遮水シートと同程度の大きさの袋を作り、反
応性化合物を封入した後、表裏のフィルムを融着して多
数の小室を作ったものが例示される。この支持シート
は、上下の遮水シート間に1層または2層以上に重ねて
介在させて反応層とすることができる。また、支持シー
トは、上下の遮水シート間を縦横に仕切って円形、方
形、菱形、六角形など任意形状の多数の小室を形成する
耐水性の網状シートでもよく、この場合は、耐水性の仕
切り壁で囲まれた上記の小室に反応性化合物が所定量ず
つ分けて充填される。なお、上記小室の面積は、1〜1
00cm2 が好ましい。
【0011】上記の網状シートは、遮水シートと同様の
広幅シートに任意形状の孔を多数個打ち抜いて格子状に
作ることができる。また、狭い幅のシートに多数の短い
切り込みを長さ方向と平行に、かつ千鳥状に入れ、これ
を遮水シートと同じ幅に広げて作ることができる。そし
て、上記の各小室に繊維シート、例えば不織布の小片を
充填することができる。また、不織布、織物、編物等の
繊維シートにゴム、合成樹脂等の高分子材料を上記仕切
り壁の形に含浸、硬化させることにより、上記の網状シ
ートおよび繊維シートを複合一体化した形態の支持シー
トとし、耐水性の仕切り壁を繊維シートの組織中に形成
することもでき、この場合は小室内の繊維シートに反応
性化合物を含浸させ、その偏在を一層少なくすることが
でき、かつ遮水用複合シートを補強することができる。
【0012】上記の繊維シートは、ガラス繊維やカーボ
ン繊維、金属繊維等の無機繊維、天然繊維や人造繊維等
の有機繊維(捲縮繊維や弾性繊維を含む)およびフィブ
リル化したフィルムのような繊維状材料からなる織物、
編物、不織布、すだれ織り等が例示される。特に繊維間
空隙が広い不織布は、反応性化合物を含浸させ易い点で
特に好ましい。なお、不織布を構成する繊維は、綿、レ
ーヨン、ナイロン等の親水性繊維およびポリエステル、
ポリプロピレン等の疎水性繊維のいずれでもよく、また
その混合物でもよく、親水性繊維または吸水性繊維を使
用した場合は、止水完了までの所要時間を短縮すること
ができる。また、弾性繊維は、損傷により生じた穴を小
さくするのに有利である。
【0013】上記の反応性化合物を含む反応層と上下の
遮水シートとの間に吸水材料を含有する高分子材料から
なる吸水膨潤層を介在させ、止水完了までの所要時間を
短縮することができる。上記の吸水材料としては、吸水
性に優れたパルプ、ベントナイト、デンプン類、セルロ
ース類などの天然材料、またはポリアクリル酸塩系、デ
ンプン・アクリル酸、酢ビ・アクリル酸共重合体、ポリ
エチレンオキサイド系、イソブチレン・無水マレイン酸
共重合体、PVA・無水マレイン酸共重合体、アクリル
酸塩・アクリルアミド共重合体、CMC系等の高吸水性
ポリマー類が例示され、これらが単独で、または2種以
上が併用して使用される。そして、高分子材料として
は、遮水シートと同様のゴムまたは合成樹脂が使用可能
である。なお、上記の吸水材料を反応層に添加して吸水
性を与え、止水の所要時間を短縮することができる。
【0014】前記重合触媒の存在下で水と反応、固化し
て耐水性構造を形成する液状の重合性化合物で上記の反
応層を形成した場合は、重合触媒を反応層とは別の吸水
膨潤層に分離して添加し、重合性化合物および重合触媒
を直に接触させないことが必要であり、こうすることに
より、遮水用複合シートの保管中または施工後において
も穴が開くまでは、大気中の水分で重合性化合物が重合
反応を開始することがない。
【0015】また、上記の重合触媒は、重合性化合物か
ら隔離するため水溶性の遮蔽材で被覆した形態で使用す
ることができる。例えば、重合触媒を上記の遮蔽材でカ
プセル化することができる。また、重合触媒を上記の遮
蔽材からなる鞘部で包んだ形の芯鞘繊維を紡糸し、その
まま使用してもよく、または短く切断してもよく、また
上記重合触媒を上記遮蔽材に練り込んで破砕し、粒状化
してもよい。また、上記の重合触媒からなる層の上下に
上記の遮蔽材からなる層を積層してフィルム化し、これ
を切断してもよい。これらの場合は反応層、吸水膨潤層
および遮水シートの任意の層に重合触媒を添加すること
ができ、しかも重合性化合物および重合触媒が直に接触
することを防ぐことができる。
【0016】一方、重合触媒を必要とせず、水と直接反
応し、硬化して耐水性構造を形成する液状の重合性化合
物としては、メチレンビスフェニルイソシアネート(M
DI)、2,4−トルエンジイソシアネート(TD
I)、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、
パラフェニレンジイソシアネート(PDI)、1,5−
ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレ
ンジイソシーネート(HDI)等のイソシアネート化合
物その他の液状のモノマー、オリゴマー、ポリマーが挙
げられ、特にMDI、TDIが好ましい。
【0017】そして、上記の重合触媒を必要とせず、水
と直接反応し、硬化して耐水性構造を形成する液状の重
合性化合物は、前記の重合触媒の存在下で水と反応し、
硬化して耐水性構造を形成する液状の重合性化合物と同
様に、上下2枚の遮水シート間に介在させた支持シート
の小室に収容させて反応層を形成することができる。そ
して、この支持シートとしては、耐水性を有する熱可塑
性合成樹脂フィルムで袋を作り、重合性化合物を封入し
た後、融着して多数の小室を作ったもの、上下の遮水シ
ート間を縦横に仕切って多数の小室を形成する耐水性の
網状シート、および繊維シートに網状シートの仕切り壁
に相当する部分を含浸して網状シートの小室に繊維を充
填した形とした複合シート等の支持シートを前記同様に
用いることができる。また、この反応層と上下の遮水シ
ートとの間に、前記同様に吸水膨潤層を介在させること
ができ、また反応層に吸水材料を添加することができ
る。更に、上記支持シートの一部を構成する繊維に前記
同様に吸水性繊維を用いることもできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施形態1 図1は、小室を形成する網状シート11の一例を示し、
未加硫のゴムシートに多数の方形孔を打抜いて格子の形
に作られており、桟11aが耐水性の仕切り壁を形成
し、方形孔11bが小室を形成している。この網状シー
ト11の上下両面に、図2に示すように不織布12を重
ね、加圧下で加硫し、図3に示すように、網状シート1
1および上下両面の不織布12が一体化された支持シー
ト13を作り、小室11b内の不織布12に触媒の存在
下で水と反応、硬化して耐水性構造を形成する液状重合
性化合物として分子鎖末端にシリル基を有する液状ポリ
マーを含浸させて図4に示す遮水用複合シート10の反
応層14を形成する。なお、不織布12は吸水性繊維で
作ることができる。
【0019】一方、ゴムに吸水性材料および重合触媒を
混合し、シート状に成形して吸水膨潤層15を製造す
る。そして、この吸水膨潤層15を、上記反応層14の
上下両面に重ね、更にその上下両面にゴムからなる遮水
シート16を重ね、加圧下で加熱して遮水シート16お
よび吸水膨潤層15を加硫し、5層構造の遮水用複合シ
ート10を得る。なお、得られた遮水用複合シート10
の四周には防水塗料を塗布することができる。
【0020】上記の遮水用複合シート10は、その上下
両面がゴム製の遮水シート16で被覆されているため、
廃棄物処分場等に遮水用として敷設し、その際に施工現
場の広さに応じて長さ方向および幅方向に接着剤や縫合
によって継ぎ足し、所望の面積にして使用することがで
きる。上記敷設の際、上記複合シート10が反応層14
内の繊維シート(不織布)で補強され、かつ遮水シート
16がゴム製であるため、敷設面の凹凸にフィットし易
く、かつ敷設面の岩石や砕石等の鋭角状物に接した場合
に破れ難く、さらに破損部分の拡大が防止される。そし
て、上記反応層14の不織布12に液状ポリマーが含浸
され、その上下両面の吸水膨潤層15に吸水性材料およ
び重合触媒が配合され、液状ポリマーおよび重合触媒が
分離しており、更にその上下両面が防水性遮水シート1
6で被覆されているため、液状ポリマーが大気中の水分
と反応して硬化することがない。
【0021】そして、施工後に上記の遮水用複合シート
10が釘その他で損傷され、漏水が始まると、2枚の吸
水膨潤層15が上記の水を吸収して膨潤し、この膨潤に
よって損傷部分の穴が塞がれる。すなわち、複合シート
10自体の自己修復力によって漏水を止める。そして、
上記漏水の開始と共に吸水膨潤層15中の重合触媒が反
応層14中の液状ポリマーの重合反応を促すため、上記
の穴を塞ぎながら液状ポリマーの硬化が進んで止水が短
時間で完了し、止水効果が持続する。
【0022】また、反応層14が耐水性のゴムからなる
仕切り壁11aで多数の小室11bに仕切られているた
め、任意の小室11bを貫通する穴が開いた場合は、そ
の小室11b内の液状ポリマーのみが水と反応して上記
同様に穴を塞ぎながら硬化し、この硬化反応が隣の小室
11bに波及することがない。したがって、上記小室1
1bの止水完了後に隣の小室11bに穴が開いた場合
は、後者の小室11bの液状ポリマーが反応して硬化
し、漏水を止める。
【0023】実施形態2 上記実施形態1の不織布(繊維シート)12を吸水性繊
維で作り、実施形態1と同様にゴム製の網状シート11
と複合して支持シートとし、小室11b内の不織布12
にイソシアネート化合物(触媒の不存在下で水と直接反
応する液状の重合性化合物)を含浸させて反応層14A
(図5参照)とする。一方、ゴムに吸水性材料のみを混
合し、重合触媒の混合を省略してシート状の吸水膨潤層
15Aを成形し、この吸水膨潤層15Aをゴムからなる
遮水シート16と重ね、加圧下で加熱して加硫接着し、
得られた積層体の吸水膨潤層15表面を上記反応層14
の上下両面に接着剤で接着して実施形態2の遮水用複合
シート20を製造する。なお、この遮水用複合シート2
0の四周には防水塗料を塗布することができる。
【0024】この実施形態2の遮水用複合シート20
は、実施形態1と同様に使用することができるが、反応
層14Aの不織布12が吸水性繊維で作られているた
め、止水が一層短時間で完了し、また反応層14Aに触
媒が不要なイソシアネート化合物を用い、触媒を使用し
ないので、実施形態1に比べて安価に製造することがで
きる。
【0025】
【実施例】 実施例1 図4に示される実施形態1の遮水用複合シート10を製
造した。先ず、未加硫のNBRで厚さ1mmのゴムシート
を成形し、図1に示すように、一辺長aが50mmの正方
形の小室11bを縦横等間隔に設けて幅bが5mmの仕切
り壁11aを形成した。得られた網状シート11の上下
両面に、図2に示すように、吸水性アクリル繊維(東洋
紡績株式会社製、商品名「ランシール」)からなるニー
ドリング不織布(目付量150g/m2 )12を重ね、
圧力5kg/cm2 、温度160℃の下で20分間加硫し、
ゴム製の網状シート11と不織布12とが一体化され、
仕切り壁11aを有する支持シート13を作り、小室1
1bの不織布12に触媒存在下で水と反応する液状の重
合性化合物としてメチルジメトキシシリル基末端ポリプ
ロピレンオキシド(鐘淵化学工業株式会社製「カネカロ
ール」)を1500g/m2 の割合で含浸させて反応層
14とした。
【0026】吸水膨潤層15は、下記表1の配合物をバ
ンバリーミキサーで混練し、押出機で厚み0.5mmに成
形した。ただし、表1において、TTはテトラチウラム
・ジスルフィド、PZはジメチルジチオカルバミン酸亜
鉛、Mは2−メルカプトベンゾチエゾールである。
【0027】 表 1 EPDM(三井石油社製、品番「3045」) 100重量部 亜鉛華 5重量部 ステアリン酸 1重量部 クマロン樹脂 3重量部 SRFブラック 50重量部 クレー 15重量部 プロセスオイル 20重量部 イオウ 2重量部 促進剤TT 1.5重量部 促進剤PZ 1.5重量部 促進剤M 1.0重量部 高吸水性樹脂(株式会社クラレ製、商品名 「KIゲル201K−F2」) 100重量部 アミン系重合触媒(日本油脂社製、商品名 「アミンBB」) 2重量部 スズ脂肪酸塩系重合触媒(堺化学社製、 商品名「CN−12」) 6重量部
【0028】上記反応層14の上下両面に吸水膨潤層1
5を積層し、更にその上下両面にEPDMからなる厚さ
0.5mmの遮水シート16を積層し、10kg/m2 の面
圧を加え、180℃で15分間加硫し、実施例1の遮水
用複合シート10を得た。
【0029】上記実施例1の遮水用複合シート10から
一辺長400mmの正方形を切り取って試験片25(図6
参照)とし、この試験片25の中央に直径10mmの孔2
5aを開け、図6の止水テスト装置30で止水テストを
行った。図6において、31は台板(直径320mm)、
32、33はタンク(高さ330mm)であり、下側タン
ク32と上側タンク33との間に試験片25が直径10
mmの中心孔25aを中央に位置させて挟持される。そし
て、上側タンク33に給水孔33aから水Wを供給し、
空気孔33bから内部空気を抜くと、水Wが上側タンク
33の底部開口33c、試験片25の中心孔25a、下
側タンク32の上面開口32a、下側タンク32内に充
填された珪砂34、多孔板35、底面開口32bおよび
台板31の中心孔31aを経て下方に流出する。
【0030】上記図6の止水テスト装置30において、
水圧を3kg/cm2 に設定したところ、台板31の中心孔
31aから下方に流出する水が20分で止まった。その
まま24時間放置して試験片25の反応層14内の液状
ポリマーを硬化させ、しかるのち試験片25を取出して
常温の室内に4週間放置したところ、孔25aは塞がっ
たままであった。そして、再び上記の止水テスト装置3
0に取付け、水圧3kg/cm2 で止水テストを行ったとこ
ろ、水洩れは皆無であった。
【0031】これに対し、上記実施例1の液状ポリマ
ー、重合触媒、網状シート11および不織布12を省略
した比較例について同様の止水テストを実施したとこ
ろ、最初の止水に要する時間が30分だった。しかし、
上記同様に4週間放置すると、孔が再び開き、止水テス
トをすると、上記同様に止水に30分を要した。
【0032】実施例2 図5に示される実施形態2の遮水用複合シート20を製
造した。先ず、実施形態1と同様にしてNBR製の網状
シート11と吸水性アクリル繊維のニードリング不織布
12とからなる支持シート13を作り、小室11bの不
織布12に触媒の不存在下で水と反応する液状の重合性
反応物としてMDI(三洋化成株式会社製「サンプレン
WE−106」)を1500g/m2 の割合で含浸させ
て反応層14Aとした。
【0033】吸水膨潤層15Aは、前記表1の配合物か
らアミン系重合触媒およびスズ脂肪酸塩系重合触媒を省
略する以外は全く同じ配合で厚み0.5mmに成形した。
そして、この吸水膨潤層15Aに実施例1のEPDMか
らなる厚さ0.5mmの遮水シート16を重ね、10kg/
2 の面圧を加え、180℃で15分間加硫して一体化
し、しかるのち上記吸水膨潤層15Aの表面および反応
層14Aの上下両面にそれぞれゴム系接着剤(東洋ゴム
工業株式会社製、「アクメボンドAD380」)を20
0g/m2 の目付量で塗布し、これらを重ね、プレスで
1 kgf/cm2 の面圧を加えながら150℃で5分間加熱
して実施例2の遮水用複合シート20を製造した。
【0034】この実施例2の遮水用複合シート20につ
いて前記同様の止水テストを行ったところ、水圧3 kgf
/cm2 において止水までの所要時間は20分であった。
そして、前記同様に常温の室内に4週間放置したが、孔
25aは塞がったままであり、再び上記の止水テストを
行ったところ、水洩れは皆無であった。
【0035】
【発明の効果】請求項1ないし8記載の発明は、施工後
に釘その他で穴が開いて漏水が始まった場合、穴が開い
た小室の反応性化合物が水と反応、硬化し、耐水性構造
を形成して穴を塞ぐ自己修復機能を備え、かつ止水完了
後に溶解したり、分解したりすることはなく、止水効果
が持続する。しかも、穴の開いた小室の反応性化合物の
みが水と反応し、他の小室の反応性化合物は水と接しな
いため、他の小室に水が浸透して自己修復機能が失われ
ることはない。そして、施工前の保存中に反応性化合物
が大気中の水分と触れて自己修復機能を失うこともな
い。
【0036】また、ミシン縫製で接合し、接合部にミシ
ン孔が形成された場合は、大気中の水分がミシン孔を通
じて反応性化合物と接するため、この反応性化合物が耐
水性構造を形成してミシン孔を塞ぎ、その後に再び開く
ことはなく、しかもミシン孔の生じた小室とは別の小室
内の反応性化合物が水分を吸収することはなく、自己修
復機能が保存される。そして、上記の小室が上下2枚の
遮水シート間に耐水性高分子材料からなる支持シートで
形成されるため、製造が容易であり、かつ遮水シート自
体に反応性化合物を支持させた場合のような強度低下が
ない。
【0037】請求項2記載の発明は、上記の支持シート
が網状シートで形成されるため、特に製造が容易にな
る。また、請求項3記載の発明によれば、上記網状シー
トの小室内の繊維シートに反応性化合物が含浸されるた
め、反応性化合物の保持および反応層の取扱いが一層容
易となる。請求項4記載の発明は、遮水シートと反応層
の間に吸水膨潤層を介在させるので、止水までの所要時
間が短縮される。また、請求項5記載の発明は、反応層
に吸水材料を添加するので、同様に止水までの所要時間
が短縮される。
【0038】請求項6記載の発明は、反応性化合物が重
合触媒の存在下で水と反応するものであって重合触媒が
反応層以外の層に添加されるので、重合性化合物が重合
触媒と直接に接触することはなく、そのため遮水用複合
シートの保管中または施工後においても穴が開くまで
は、大気中の水分で重合性化合物が重合反応を開始する
ことがない。また、請求項7記載の発明は、重合触媒が
水溶性の遮蔽材で被覆された形態で任意の層に添加され
るので、請求項6記載の発明と同様に穴が開くまでは、
大気中の水分で重合性化合物が重合反応を開始すること
がない。
【0039】請求項8記載の発明は、反応性化合物とし
て水と直接反応する液状の重合性化合物を用いるので、
重合触媒が不要であり、安価に反応層を作ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における網状シートの平面図であ
る。
【図2】網状シートと不織布(支持シート)を重ねた状
態の断面図である。
【図3】網状シートと複合した不織布(支持シート)の
断面図である。
【図4】実施形態1の断面図である。
【図5】実施形態2の断面図である。
【図6】止水テスト装置の断面図である。
【符号の説明】
10、20:遮水用複合シート 11:網状シート 11a:桟(仕切り壁) 11b:穴(小
室) 12:不織布 13:網状シートと不織布とを複合した支持シート 14、14A:反応層 15、15A:吸
水膨潤層 16:遮水シート 25:試験片 25a:試験片の中心孔 30:止水テスト
装置 31:台板 32、33:タン
ク 34:珪砂 35:多孔板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大西 晋央 大阪府大阪市北区堂島浜一丁目2番6号 東洋化成工業株式会社内 (72)発明者 河本 健一 大阪府大阪市北区堂島浜一丁目2番6号 東洋化成工業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B09B 1/00 E02B 7/02

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水と反応、硬化して耐水性構造を形成す
    る粉末状または液状の反応性化合物、この反応性化合物
    を大気中の水分から遮断して保護する高分子材料からな
    る上下2枚の遮水シートおよびこの2枚の遮水シート間
    に上記の反応性化合物を所定量ずつ分離して一様な分布
    密度に保持するための多数の小室を形成する耐水性高分
    子材料からなる支持シートを備え、この小室に上記の反
    応性化合物が収容されて上下2枚の遮水シート間に反応
    層が形成されていることを特徴とする遮水用複合シー
    ト。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の遮水用複合シートにおい
    て、支持シートが上下の遮水シート間を縦横に仕切って
    多数の小室を形成する耐水性の仕切り壁を備えた網状シ
    ートである遮水用複合シート。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の遮水用複合シートにおい
    て、支持シートが繊維シートに高分子材料を多数の小室
    の仕切り壁の形に含浸、硬化させて形成された遮水用複
    合シート。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の遮
    水用複合シートにおいて、遮水シートと反応層との間に
    吸水材料を含有する高分子材料製の吸水膨潤層を介在さ
    せた遮水用複合シート。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の遮水用
    複合シートにおいて、反応層に吸水材料が添加された遮
    水用複合シート。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の遮
    水用複合シートにおいて、反応性化合物が重合触媒の存
    在下で水と反応して耐水性構造を形成する液状の重合性
    化合物であり、上記の重合触媒が反応層以外の層に添加
    された遮水用複合シート。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の遮水用複合シートにおい
    て、重合触媒が水溶性の遮蔽材で被覆された形態で反応
    層、吸水膨潤層および遮水シートの任意の層に添加され
    た遮水用複合シート。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし5のいずれかに記載の遮
    水用複合シートにおいて、反応性化合物が水と直接反
    応、硬化して耐水性構造を形成する液状の重合性化合物
    である遮水用複合シート。
JP8220674A 1995-08-17 1996-08-01 遮水用複合シート Expired - Fee Related JP2905150B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8220674A JP2905150B2 (ja) 1995-08-17 1996-08-01 遮水用複合シート

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7-233504 1995-08-17
JP23350495 1995-08-17
JP8220674A JP2905150B2 (ja) 1995-08-17 1996-08-01 遮水用複合シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09109299A JPH09109299A (ja) 1997-04-28
JP2905150B2 true JP2905150B2 (ja) 1999-06-14

Family

ID=26523858

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8220674A Expired - Fee Related JP2905150B2 (ja) 1995-08-17 1996-08-01 遮水用複合シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2905150B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3945907B2 (ja) * 1998-05-15 2007-07-18 ユニチカ株式会社 廃棄物処分場における排水層を用いた遮水設備
JP2001321738A (ja) * 2000-05-16 2001-11-20 Shinichiro Hayashi 埋立地の浸出水漏れ防止施設
JP4387830B2 (ja) * 2004-02-23 2009-12-24 太陽工業株式会社 廃棄物処分場、及び遮水層
JP4951409B2 (ja) * 2007-05-17 2012-06-13 株式会社大林組 遮水シートの漏水検知方法
JP4951408B2 (ja) * 2007-05-17 2012-06-13 株式会社大林組 遮水シートの漏水検知方法
JP5570093B2 (ja) * 2007-09-28 2014-08-13 セーレン株式会社 建築下地用防水シート
CN114392518B (zh) * 2022-01-26 2023-03-24 山东昊月新材料股份有限公司 一种高吸水性树脂复合填充袋及其制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09109299A (ja) 1997-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8793862B2 (en) Water-tight membrane
US8454773B2 (en) Induction welded waterproofing
US5091234A (en) Composite water barrier sheet
US4239795A (en) Protective layer for surface seals in building construction, underground construction, and civil engineering construction
JP2905150B2 (ja) 遮水用複合シート
JP2017193952A (ja) 躯体の補修用接着剤シート、およびそれを用いた躯体の補修方法
JP3100872B2 (ja) 遮水シートの接合方法
JPH1067866A (ja) 土木用止水シート及び遮水シート
JP2767549B2 (ja) 自己修復性遮水用シートの接合方法
JP3060162B2 (ja) 吸水膨張性防水シート
JP2767548B2 (ja) 自己修復性遮水シートの接合方法
JPH06286063A (ja) 自己修復性遮水シート
JP2714921B2 (ja) 自己修復性遮水用複合シート
JP2714919B2 (ja) 遮水用自己修復性複合シート
JP3096977B2 (ja) 遮水シート
JP2581004Y2 (ja) 遮水シート
JP2816927B2 (ja) 遮水用自己修復性複合シート
JPH04128410A (ja) 遮水シート
JP3359967B2 (ja) 遮水用自己修復性複合シート
JPH05286036A (ja) 優れた接合性を有する遮水シートの接合方法
JP3029938B2 (ja) 土木建築用遮水シート
JP3876558B2 (ja) 遮水シート
JPH08333734A (ja) 遮水構造
JP3052200B2 (ja) 廃棄物処分場
JPH06240639A (ja) 遮水シートの固定方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees