JP2904043B2

JP2904043B2 - 複合架構の構築方法

Info

Publication number: JP2904043B2
Application number: JP2777095A
Authority: JP
Inventors: 美一三木; 功成本岡; 仁後藤; 峯青本島
Original assignee: Taisei Corp
Current assignee: Taisei Corp
Priority date: 1995-01-25
Filing date: 1995-01-25
Publication date: 1999-06-14
Anticipated expiration: 2014-06-14
Also published as: JPH08199679A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、柱間の一の方向に鉄骨
大梁が架設され、かつ他の方向にプレキャスト大梁が架
設された複合架構の構築方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、鉄筋コンクリート（以下、ＲＣ
と略称する。）造の建築物にあっては、これを構築する
際に、特に柱梁の交差するパネルゾーンにおいて鉄筋が
複雑に交差し、よって施工に多大の手間を要することか
ら、近年、柱間の一の方向にＲＣ造の大梁を架設し、他
の方向に鉄骨大梁を架設した各種の複合架構が提案され
ている。図１０は、従来の一般的なこの種の複合架構を
示すもので、この複合架構は、所定位置にＲＣ柱１を立
設した後に、これらＲＣ柱１、１間の一の方向に、当該
ＲＣ柱１、１間の１スパンの長さを有するプレキャスト
（以下、ＰＣと略称する。）大梁２を架設し、次いで上
記ＲＣ柱１の上端部側面にガセットプレートや接続金物
等の接続部材３を取り付けるとともに、これら接続部材
３、３に上記１スパンよりも長さの短い鉄骨大梁４の各
端部を接続することにより、上記柱１、１間の他の方向
に鉄骨大梁４を架設し、さらにこれら鉄骨大梁４、４間
の所定位置に鉄骨小梁５を架設することによって構築さ
れたものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
従来の複合架構の構築方法にあっては、鉄骨大梁４を接
合するための接合部材３を、各柱１に溶接等によって取
り付けておく必要があるために、その施工に手間を要す
るとともに、鉄骨大梁４や鉄骨小梁５の接合箇所数が多
く、しかも上記鉄骨大梁４の架設時に当該鉄骨大梁４を
支保工等の仮設材によって支持しておく必要が有るた
め、架設時の安定性および施工精度に劣り、総じて構築
時の省力化が困難であるという問題点があった。

【０００４】また、上記接続部材３を用いずに、柱１の
上端面に鉄骨大梁４を直接載架する方法も知られている
が、当該構築方法にあっては、柱梁接合部において上記
鉄骨大梁４の底面と柱１の上端面との間に充分にコンク
リートが充填されず、この結果所望の接合強度が得難い
という問題点があった。さらに、ＰＣ大梁２を架設した
方向については、当該ＰＣ大梁２自体が耐曲げ強度に優
れるために長スパン化が容易であるのに対して、これと
直交する鉄骨大梁４を架設した方向については、その強
度上、長スパン化が難しいという問題点があった。

【０００５】本発明は、上記従来の複合架構の構築方法
が有する課題を有効に解決すべくなされたもので、鉄骨
大梁の接合箇所が少なく、かつその架設時に支保工等の
架設材を必要とせず、よって鉄骨大梁の施工における省
力化と安定性および施工精度の向上とを図ることができ
るとともに、併せて強固な柱梁の接合強度が得られ、か
つ上記鉄骨大梁の延在方向についても長スパン化を図る
ことが可能となる複合架構の構築方法を提供することを
目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項１に記載の本発明に係る複合架構の構築方法
は、先ずＲＣ柱を構築するとともに、柱の上面の一の方
向の両端部に梁受け部材を設置した後に、内部にその延
在方向と交差する方向に鉄骨小梁の一部を埋設し、かつ
柱梁接合部を打ち残した半ＰＣ大梁を上記柱間の他の方
向に架設し、上記柱間の１スパン以上の長さを有し、か
つ上記半ＰＣ大梁よりもせいの小さい鉄骨大梁を、その
端部を上記柱間に位置させて上記梁受け部材上に載置す
ることにより、上記柱間の一の方向に架設し、次いで上
記半プレキャスト大梁から突出する鉄骨小梁の一部の端
部に鉄骨小梁を接続した後に、上記柱梁接合部および半
ＰＣ大梁上端並びに床スラブのコンクリートを打設する
ことを特徴とするものである。

【０００７】また、請求項２に記載の発明は、上記請求
項１に記載の柱の構築時に、その上面の上記他の方向の
両端に、当該柱から上記他の方向に突出して半ＰＣ大梁
の端部を支持する受け座部を、上記柱と一体に形成する
ことを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】請求項１に記載の発明によれば、柱間の１スパ
ン以上の長さを有する鉄骨大梁を、その端部を上記柱間
に位置させて一の方向に架設しているので、従来のもの
よりも鉄骨大梁における接続箇所が少なくなり、この結
果当該鉄骨大梁の接続に要する手間が低減化する。ま
た、上記鉄骨大梁を、柱の上面の両端部に設置した梁受
け部材上に載置することにより上記柱間に架設している
ので、柱梁接合部にコンクリートを打設する際に、コン
クリートが、鉄骨大梁の下端面と柱の上面との間に確実
に充填されて鉄骨大梁が当該コンクリートにより完全に
囲繞され、この結果強固な柱梁の接合が行なわれるとと
もに、鉄骨大梁の架設時に、支保工等の仮設材を必要と
しない。しかも、鉄骨大梁のせいを半ＰＣ大梁よりも小
さくなるように設定しているので、上記鉄骨大梁と半Ｐ
Ｃ大梁との互いの上端面を一致させることが容易とな
る。

【０００９】さらに、上記柱間の他の方向に柱梁接合部
を打ち残した半ＰＣ大梁を架設しているので、当該方向
においてＰＣ梁特有の高い強度が得られるうえに、現場
における大梁構築のためのコンクリート打設作業が不要
となる。以上の結果、両方向の大梁の架設において、そ
の施工の省力化と安定性および施工精度の向上とが図ら
れる。加えて、半ＰＣ大梁の内部に埋設した鉄骨小梁の
一部が、上記半ＰＣ大梁と一体となった固定梁として機
能するために、従来の単純梁と比較してより高い耐曲げ
強度が得られる。したがって、上記半プレキャスト大梁
から突出する鉄骨小梁の端部に上記鉄骨大梁に沿って鉄
骨小梁を架設することにより、上記鉄骨大梁の架設方向
についても剛性および耐力を向上させて、より長スパン
化を図ることが可能となる。

【００１０】この際に、請求項２に記載の発明によれ
ば、半ＰＣ大梁の架設時に、この半ＰＣ大梁の端部を柱
の上面の両端に一体に形成した受け座部によって支持す
ることにより、当該半ＰＣ大梁を支持するための支保工
等が不要となり、よって半ＰＣ大梁の架設においても省
力化が図られる。

【００１１】

【実施例】図１〜図９は、本発明に係る複合架構の構築
方法の第一実施例を経時的に説明するためのもので、以
下これらの図に沿って上記一実施例について説明する。
先ず、図１および図２に示すように、所定の位置にＲＣ
柱１０…を梁の下端レベルまで構築し、その上面１１か
ら柱主筋１２…を突出させておく。なお、コンクリート
を打設して上記ＲＣ柱１０を構築する際に、上記ＲＣ柱
１０の鉄骨大梁を架設すべき一の方向の両側部に、これ
から上面１１の上方に突出するチャンネルからなる梁受
け金物（梁受け部材）１３、１３を設置するとともに、
上面１１の他の方向の両端に、ふかしコンクリートによ
ってこのＲＣ柱１１から上記他の方向側に突出する受け
座部１４、１４を一体に形成する。次いで、図３に示す
ように、先ず梁接合部を打ち残して両端面から下端筋１
６を突出させ、かつ上面に肋筋の上端部分１７を突出さ
せた１スパンの長さを有する半ＰＣ大梁１５を、上記Ｒ
Ｃ柱１０、１０間の上記他の方向に架設する。この際
に、上記半ＰＣ大梁１５の両端部を、ＲＣ柱１０の上面
１１に形成した上記受け座部１４上に載置することによ
って、上記ＲＣ柱１０に支持させる。ここで、上記半Ｐ
Ｃ大梁１５には、図５および図６に示すように、予め内
部の所定位置にその延在方向と直交する方向に複数（図
では２本）の鉄骨小梁用ブラケット（鉄骨小梁の一部）
２６を、その両端部２６ａ、２６ａを側面１５ａから突
出させて埋設しておく。

【００１２】次に、図４および図５に示すように、上記
ＲＣ柱１０、１０間の上記一の方向に、１スパン以上の
長さを有するＨ形鋼からなる鉄骨大梁１８を、その端部
が上記ＲＣ柱１０、１０間に位置するようにして、上記
梁受け金物１３上に載架する。これにより、上記鉄骨大
梁１８の下端面とＲＣ柱１０の上面との間には、梁受け
金物１３の高さ寸法に相当する隙間部１９が形成され
る。ちなみに、上記鉄骨大梁１８は、そのせいが半ＰＣ
大梁１５よりも小さいものが用いられており、かつ上記
梁受け金物１３の寸法は、この鉄骨大梁１８を梁受け金
物１３上に載架した際に、鉄骨大梁１８の上端面と上記
半ＰＣ梁１５の上端面とがほぼ面一になるように設定さ
れている。

【００１３】次いで、図６および図７に示すように、上
記鉄骨大梁１８の端部１８ａ同士を接続するとともに、
さらに上記半ＰＣ大梁１５から突出する鉄骨小梁用ブラ
ケット２６の端部２６ａ、２６ａ間に、継手板２７を介
して鉄骨小梁２０をボルト接続して、当該鉄骨小梁２０
を上記鉄骨大梁１８と平行に半ＰＣ大梁１５間に架設す
る。このようにして、半ＰＣ大梁１５、鉄骨大梁１８お
よび鉄骨小梁２０の架設が完了した後に、図８に示すよ
うに、上記鉄骨小梁２０上にスチールデッキ２１…を敷
き込む。また、これと並行して、柱梁接合部にこれを囲
繞するようにして分割型の型枠２２を施工する。ここ
で、チャンネルからなる上記梁受け金物１３の背面は、
上記型枠２２の一部を画成する。そして、上記スチール
デッキ２１…の敷き込みが完了した後に、図９に示すよ
うに、ホッパ２３により柱梁接合部の上記型枠２２内に
コンクリートを先行打設し、次いで床スラブ２４および
半ＰＣ大梁１５の上端部にコンクリートをポンプ打ちす
る。これにより、一の階層の構築が完了し、次いで以上
の工程を繰り返すことにより、順次上方に向けて多層の
複合架構を構築して行く。

【００１４】このような構成からなる複合架構の構築方
法にあっては、ＲＣ柱１０間の３スパン強の長さを有す
る鉄骨大梁１８を、その端部１８ａが上記ＲＣ柱１０、
１０間に位置するようにして一の方向に架設しているの
で、従来のものよりも鉄骨大梁同士の接続箇所が大幅に
少なくなり、しかも上記鉄骨大梁１８を梁受け金物１３
上に載置しているので、当該鉄骨大梁１８の架設時に、
支保工等の仮設材を必要とせず、よってこれら鉄骨大梁
１８の接続に要する手間を大幅に低減化させることがで
きる。

【００１５】加えて、ＲＣ柱１０の上面１１の両側部に
チャンネルからなる梁受け金物１３を設置し、この梁受
け金物１３上に上記鉄骨大梁１８を載置しているので、
上記梁受け金物１３の背面によって型枠２２の一部を画
成することができるとともに、上記鉄骨大梁１８の下端
面とＲＣ柱１０の上面との間に、梁受け金物１３の高さ
寸法に相当し、かつコンクリート打設時にコンクリート
流入の障害となるものがない隙間部１９を形成すること
ができる。このため、柱梁接合部にコンクリートを打設
するに際して、上記鉄骨大梁１８の下端面とＲＣ柱１０
の上面１１との間に確実にコンクリートを充填すること
ができ、よって上記鉄骨大梁１８を当該コンクリートに
よって完全に囲繞することができるため、強固な柱梁の
接合を行うことが可能となる。しかも、鉄骨大梁１８の
せいを半ＰＣ大梁１５のせいよりも小さく設定している
ので、上記梁受け金物１３の高さ寸法を適宜寸法に設定
することにより、容易に鉄骨大梁１８と半ＰＣ大梁１５
との互いの上端面を一致させることができる。

【００１６】さらに、上記ＲＣ柱１０間の他の方向に、
柱梁接合部を打ち残した半ＰＣ大梁１５を架設している
ので、当該方向においてＰＣ梁特有の高い強度が得られ
るとともに、現場における大梁構築のためのコンクリー
ト打設作業が不要となる。加えて、ＲＣ柱１０の上面１
１の両端に受け座部１４を一体に形成し、この受け座部
１４に半ＰＣ大梁１５の端部を支持させているので、上
記半ＰＣ大梁１５の架設時に、当該半ＰＣ大梁１５を支
持するための支保工等が不要となり、よって半ＰＣ大梁
１５の架設においても一層の省力化を図ることが可能と
なる。したがって、上記複合架構の構築方法によれば、
これら半ＰＣ大梁１５および鉄骨大梁１８を架設するに
際して、共に従来のものよりも大幅な省力化を図ること
ができ、併せて施工の安定性および施工精度の向上をも
図ることができる。

【００１７】加えて、半ＰＣ大梁１５の内部に、その延
在方向と直交する方向に埋設した鉄骨小梁用ブラケット
２６が上記半ＰＣ大梁１５と一体となった固定梁として
機能するために、従来の単純梁と比較してより高い耐曲
げ強度を得ることができ、よって、上記半ＰＣ大梁１５
から突出する鉄骨小梁用ブラケット２６の端部２６ａに
上記鉄骨大梁１８と平行に鉄骨小梁２０を架設すること
により、上記鉄骨大梁１８の架設方向についても剛性お
よび耐力を向上させて長スパン化を図ることができる。

【００１８】なお、上記実施例においては、１スパンの
長さを有する半ＰＣ大梁１５をＲＣ柱１０間に架設する
場合について説明したが、これに限定されるものではな
く、２スパンあるいはそれ以上の長さを有し、かつ上記
柱梁接合部を打ち残して下端筋を露出させるとともに、
所定箇所にその延在方向と交差する方向に複数の鉄骨小
梁用ブラケットを埋設した長尺物の半ＰＣ大梁も、同様
に適用することが可能である。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１に記載の
発明によれば、従来のものよりも鉄骨大梁同士の接続箇
所が少なくなり、よって当該鉄骨大梁の接続に要する手
間を低減化することができるとともに、強固な柱梁の接
合が得られ、かつ鉄骨大梁と半ＰＣ大梁との互いの上端
面を一致させることが容易となる。加えて、鉄骨大梁の
架設時に、支保工等の仮設材を必要とせず、しかも半Ｐ
Ｃ大梁の架設方向において高い強度が得られるため、総
じて当該複合架構の構築時における施工の省力化と安定
性および施工精度の向上とを図ることができる。さら
に、半ＰＣ大梁の内部に埋設した鉄骨小梁の一部によっ
て、上記鉄骨大梁の架設方向についても剛性および耐力
を向上させて、より長スパン化を図ることが可能とな
る。

【００２０】また、請求項２に記載の発明によれば、半
ＰＣ大梁の架設時に、当該半ＰＣ大梁を支持するための
支保工等が不要となり、よって半ＰＣ大梁の架設におい
ても省力化が図られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の複合架構の構築方法の実施例において
立設したＲＣ柱の要部を示す斜視図である。

【図２】図１のＲＣ柱を立設した状態を示す全体斜視図
である。

【図３】図１のＲＣ柱に半ＰＣ大梁を架設した状態を示
す要部の斜視図である。

【図４】図３のＲＣ柱に鉄骨大梁を架設した状態を示す
要部の斜視図である。

【図５】図１のＲＣ柱に半ＰＣ大梁および鉄骨大梁を架
設した状態を示す側面図である。

【図６】図５のＶＩ−ＶＩ線視断面図である。

【図７】本実施例の半ＰＣ大梁、鉄骨大梁および鉄骨小
梁を架設した状態を示す平面図である。

【図８】図７のＲＣ柱および鉄骨大梁の周囲にデッキを
敷き込んだ状態を示す要部の斜視図である。

【図９】図８のデッキ上等にコンクリートを打設する状
態を示す全体斜視図である。

【図１０】従来の複合架構の概略構成を示す平面図であ
る。

【符号の説明】

１０ＲＣ柱１１上面１３梁受け金物（梁受け部材）１４受け座部１５半ＰＣ大梁１８鉄骨大梁１８ａ端部１９隙間部２０鉄骨小梁２２型枠２４床スラブ２６鉄骨小梁用ブラケット（鉄骨小梁の一部）２６端部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者本島峯青東京都新宿区西新宿一丁目25番１号大成建設株式会社内 (56)参考文献特開昭62−178633（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) E04B 1/16 E04B 1/30

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】鉄筋コンクリート柱を構築するととも
に、上記柱の上面の一の方向の両端部に梁受け部材を設
置した後に、内部にその延在方向と交差する方向に鉄骨
小梁の一部を埋設し、かつ柱梁接合部を打ち残した半プ
レキャスト大梁を上記柱間の他の方向に架設し、次いで
上記柱間の１スパン以上の長さを有し、かつ上記半プレ
キャスト大梁よりもせいの小さい鉄骨大梁を、その端部
を上記柱間に位置させて上記梁受け部材上に載置するこ
とにより、上記柱間の上記一の方向に架設し、次いで上
記半プレキャスト大梁から突出する上記鉄骨小梁の一部
の端部に鉄骨小梁を接続した後に、上記柱梁接合部およ
び半プレキャスト大梁上端並びに床スラブのコンクリー
トを打設することを特徴とする複合架構の構築方法。
【請求項２】上記柱の構築時に、その上面の上記他の
方向の両端に、当該柱から上記他の方向に突出して上記
半プレキャスト大梁の端部を支持する受け座部を上記柱
と一体に形成することを特徴とする請求項１に記載の複
合架構の構築方法。