JP2903658B2 - 弗素樹脂被覆物 - Google Patents

弗素樹脂被覆物

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    • C08L79/08Polyimides; Polyester-imides; Polyamide-imides; Polyamide acids or similar polyimide precursors
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、例えばジャー炊飯器、保温ジャー、炊飯
器、餅つき器等の内釜等用弗素樹脂被覆物に関するもの
であり、その中でもアルミニウムまたはアルミニウム合
金とステンレスのクラッド材を用いた電磁誘導加熱式調
理器の内釜等用に好適な弗素樹脂被覆物に関するもので
ある。
「従来の技術」 この種飯器内釜等分野の従来技術としては主に次の技
術がある。
アルミニウムまたはアルミニウム合金とステンレス
のクラッド材のアルミニウムまたはアルミニウム合金の
表面をエッチングした後、これにピュアーな四弗化エチ
レン樹脂ディスパージョンを塗布し、乾燥し、焼付けし
さらにプレス成形によって飯器内釜等を得る技術。
アルミニウムまたはアルミニウム合金とステンレス
のクラッド材のアルミニウムまたはアルミニウム合金が
内側にある様プレス成形し、アルミニウム面をブラステ
ィングした後、これにプライマーを塗布しさらに顔料、
マイカ等充填剤を含む四弗化エチレン樹脂をスプレー塗
布し、焼付けることによって飯器内釜等を得る技術。
その他ポリアリレンサルファイド樹脂、ポリアミドイ
ミド樹脂および/またはポリイミド樹脂、ならびに弗素
樹脂の少なくとも3成分を液体媒体中に分散させた弗素
樹脂被覆用組成物を金属基材に塗布し、乾燥後340〜400
℃の温度で焼成することにより接着塗膜を得る技術(特
公昭60−21193号)。
「発明が解決しようとする課題」 しかしながら、上記の様な従来の技術では以下の様な
問題点がある。
エッチング性の悪いアルミニウム材では、塗布した
樹脂の密着力が極めて低下する。このためアルミニウム
の調質度の制御、合金添加元素の調整等により均一なエ
ッチング面を得るためにはその表面状態を高度に制御す
る必要があり、このためコストアップとなったりまた限
られた成分のものしか使えないという問題があった。特
に電磁加熱式炊飯ジャーについてはアルミニウムと磁性
ステンレスとのクラッド材が使われ、この場合には特に
アルミニウム表面のエッチング性がクラッド工程によっ
て悪くなり、これをそのまま従来の技術でエッチングす
ると密着力が不十分であり、その結果耐食性等実用上問
題がある。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、あるいはエ
チレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)は柔
らかい樹脂でかつ透明ないし半透明なものであるため飯
器等使用中の蒸気等の浸透によるアルミニウムの変色が
目立つ。
プレス品にスプレーコートする場合、塗布むらが発
生し易く、その部分にピンホールが発生し耐食性に重大
な欠陥を及ぼす。
なお前記特公昭60−21193号は強固な接着塗膜を得る
ことを目的としているが、塗膜の伸びに問題がある。
上記に鑑み、本発明はこの様な問題点を解決するため
開発されたものである。
「課題を解決するための手段」 即ち本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金
とステンレスをクラッディングした板のアルミニウムま
たはアルミニウム合金の面をエッチングし、これに充填
剤としてポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(P
I)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、またはポリ
エーテルサルホン(PES)、あるいはこれらの混合物か
らなる耐熱性高分子を用い、これが弗素樹脂に対して0.
5重量%以上10重量%以下含む弗素樹脂を被覆したこと
を特徴とする弗素樹脂被覆物である。
なお上記本発明の実施の態様として少なくとも下記が
含まれる。
イ)さらに第2層として下地を充分に隠蔽できるだけの
顔料、マイカ等の充填剤を含む弗素樹脂を被覆した上記
本発明の弗素樹脂被覆物。
ロ)被覆した膜の伸びが200%以上である上記本発明の
又は上記イ)記載の弗素樹脂被覆物。
以下に詳細に本発明を説明する。
前記課題を解決するために本発明者らは、鋭意検討し
た結果本発明を完成した。
つまり本発明の特徴は、アルミニウム(アルミニウム
合金を含む)表面に充填剤として有機の耐熱ポリマーを
含む弗素樹脂層を設けたことである。
これにより樹脂の耐摩耗性を向上させ、アルミニウム
の変色という外観問題を解決し、さらにエッチング性の
悪いアルミニウム基材に対する密着性を向上させた。
「作用」 まず充填剤としてはポリアミドイミド(PAI)、又は
ポリイミド(PI)又はポリフェニレンサルファイド(PP
S)又はポリエーテルサルホン(PES)、あるいはこれら
の混合物からなる耐熱性高分子を用いる。
この充填剤を弗素樹脂に混合する事によりエッチング
性の悪い材料でも密着力が向上する。
この充填量としては弗素樹脂に対し0.5重量%以上10
重量%以下が好ましい。0.5重量%未満だと密着力が充
分向上せず従って耐食性も向上しない。また、この充填
剤を0.5重量%以上10重量%以下充填した場合、密着力
はかなり向上し、エッチング性の悪い材料でも充分な密
着性が得られる。
さて本発明の飯器等は通常平板の状態でコーティング
し、その後プレス成形によって飯器内釜等を得るもので
あるため、平板にコーティングした後の塗膜の伸びは20
0%以上が好ましい。
充填剤を弗素樹脂に対し10重量%を超えて混合する
と、密着性はさらに向上するものの塗膜の伸びは不充分
であり、プレス成形により塗膜の局部的な破断が発生し
耐食性等が低下する。
またこの充填剤を弗素樹脂に混合することにより実炊
飯時等に発生するアルミニウムの変色が目立ちにくくな
る。しかし塗膜の隠蔽性は完全でなく、エッチング性の
悪い材料ではエッチング性の良い材料に比べよりはっき
りした外観上のすじ、蒸気による色むらが発生し易く、
この充填剤を混合した塗膜では充分隠蔽できない。従っ
てさらに好ましくは、第2層としてアルミニウムの変色
を完全に隠蔽できるだけの、マイカ、カーボン、酸化チ
タン、酸化鉄等の無機顔料を含む樹脂層を設けることが
良い。これによりさらに耐食性も向上する。
また、この耐熱性高分子の中ではPAIが密着性、耐食
性の点で最も好ましい。
「実施例」 以下に本発明の実施例を述べる。
実施例1: 素材としてアルミニウムとステンレスをクラッディン
グした板厚2.0mmのものを用いた。これは(株)神戸製
鋼所製でアルミニウム合金(ASB材)(1)、アルミニ
ウム(2)、ステンレス(3)が第1図の様に3層にク
ラッディングされている。(t1=0.75mm,t2=0.75mm,t3
=0.5mm)。
まずこのアルミニウム面を陽極として塩化アンモニウ
ム水溶液中25クーロン/cm2の電気量で電気化学的エッチ
ング処理を行い表面に微細な凹凸を形成させた。
この面に第1表の実施例に示す樹脂配合のものをスピ
ンコートによりコーティングし、水分を乾燥したあと40
0℃で10分焼き付けた。
このものの樹脂厚は20μとなる様にコーティングし
た。この様にして得られたコーティング板をプレス成形
によって加工し本発明の飯器を得た。一方比較例は、上
記方法と同様のエッチング板に第1表の比較例に示す樹
脂配合のもの(PTFEディスパージョンのみも含む)を20
μコーティングし、同様の方法にて焼付プレス加工を実
施した。こうして得られた飯器の評価方法としては次の
項目を実施した。
密着性 コーティング面にナイフで下地に達する碁盤目(1mm
間隔の100ます)を入れ、この面にセロテープを押し付
け、ただちにひき剥がす。これを40回繰り返し100ます
の樹脂のうち残っている個数を数える。
実用時の変色 市販の炊飯ジャーを用い炊飯を300回繰り返し変色発
生の有無を調査する。
耐食性 ハウスおでんの素25gを水1に溶かしたおでんの素
液を作り、これを釜に8部程度入れ、途中で適宜液を補
充しながら8H煮沸しその後16H保温する。このサイクル
を繰り返し塗膜面に直径1mm以上のふくれが発生するま
での時間を測定する。
膜伸び 釜の側面部試片を8%HCl溶液中に入れ、アルミニウ
ム、ステンレスを溶解し塗膜のみを回収する。これを幅
10mmに切り、第2図の様に長さ30mmのチャックに両端を
はさむ。
このチャックの片端を固定し、もう片側の端を100mm/
minで引っ張り膜が破断した時の膜の伸びを測定する。
なお第2図中、(5)はチャック(上へ移動、矢
印)、(6)はチャック(固定)、(7)は塗膜、L=
30mmである。
ピンホール試験 ろ紙にアルミノン液をしみこませ、これを釜のコーテ
ィング面に貼りつけ、上からアルミニウム箔で押さえ付
ける。アルミニウム箔を−電極、釜を+電極として15V
の電圧を加える。塗膜にピンホールが有り、通電した部
分は、ろ紙に赤点が残る。
第1表の実施例、比較例でわかる様に、実施例では比
較例に比べて密着性と膜伸びがともにすぐれ、その結果
ピンホールも無く、耐食性もすぐれたものになってい
る。
実施例2: 実施例1と同様にクラッド板をエッチングし、この面
に第2表の実施例で示す樹脂配合のものを第1層目とし
てスピンコートによりコーティングし、水分を乾燥させ
る。このものの膜厚は20μとなる様にコーティングし
た。さらに第2層目として表に示す樹脂配合のものをコ
ーティングし水分を乾燥した後400℃で10分焼き付け
た。このものの樹脂厚は第1層、第2層合わせて約40μ
となる様にコーティングした。これらを実施例1と同様
に評価した。
第2表の様に第2層として下地を充分隠蔽できるだけ
の顔料、マイカを含む弗素樹脂をコーティングすること
により、密着性、膜伸びの特性を劣化させることなく、
実炊飯時の蒸気による色むらやエッチング後のすじを完
全に目立た なくする。さらに耐食性も飛躍的に向上する。
実施例3: 実施例2と同様の方法で、PAI以外の耐熱性高分子を
用いて第1層および第2層をコーティングした。この結
果を第3表〜第5表に示す。
「発明の効果」 以上の様に、本発明によれば密着性、耐食性に優れた
例えばジャー炊飯器等飯器内釜等用の弗素樹脂被覆物が
得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に於ける実施例の板素材を説明する断面
図、第2図は本発明に於ける実施例の膜伸びの評価方法
を説明する図を夫々例示している。 (1)……アルミニウム合金、(2)……アルミニウ
ム、 (3)……ステンレス、(5)……チャック(移動)、 (6)……チャック(固定)、(7)……塗膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 15/08 A47J 36/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウムまたはアルミニウム合金とス
    テンレスをクラッディングした板のアルミニウムまたは
    アルミニウム合金の面をエッチングし、これに充填剤と
    してポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポ
    リフェニレンサルファイド(PPS)またはポリエーテル
    サルホン(PES)、あるいはこれらの混合物からなる耐
    熱性高分子を用い、これが弗素樹脂に対して0.5重量%
    以上10重量%以下含む弗素樹脂を被覆したことを特徴と
    する弗素樹脂被覆物。
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