JP2898133B2 - 熱可塑性ポリエステル組成物 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル組成物

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JP2898133B2
JP2898133B2 JP3274454A JP27445491A JP2898133B2 JP 2898133 B2 JP2898133 B2 JP 2898133B2 JP 3274454 A JP3274454 A JP 3274454A JP 27445491 A JP27445491 A JP 27445491A JP 2898133 B2 JP2898133 B2 JP 2898133B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、変形時の強度が小さ
く、平均粒径の異なる有機高分子微粒子を含有するため
に成型品にした際の易滑性、耐削れ性などに優れる熱可
塑性ポリエステル組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に熱可塑性ポリエステル、例えばポ
リエチレンテレフタレートは、優れた力学特性、化学特
性を有しており、フィルム、繊維等の成形品として広く
用いられている。そして、熱可塑性ポリエステルを成形
品に加工して使用する際には、その滑り性や耐削れ性
が、製造工程、各種用途における加工工程での作業性に
大きな影響を及ぼすことになる。例えば磁気テープのベ
ースフィルムとして使用する際に、それらの特性が不足
すると、磁気テープの製造工程中にコーティングロール
とフィルムとの間の摩擦が大きくなり、フィルムにしわ
や擦り傷が生じたりする。また、フィルムの摩耗粉が発
生しやすくなり、磁性層を塗布する工程で塗布抜けが生
じ、その結果磁気記録の抜け(ドロップ・アウト)等を
引き起こす原因となる。
【0003】従来、フィルムの滑り性を向上させる方法
としては、二酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化珪素
などの無機粒子をポリエステル中に含有させることが数
多く提案されている。しかし、これらの無機粒子は、硬
く、かつポリエステルとの親和性が低いために、例えば
フィルムとして使用する際に、磁性層を塗布する工程で
のカレンダー処理やフィルム走行時のロールとの接触、
巻き取り時のフィルム同士の接触などによる外力が加わ
ると、容易に脱落を生じ、削れ物の発生、滑り性の悪化
や表面の傷の発生の原因となる。しかも脱落した粒子自
体が硬いために、削れ物や表面の傷は時間と共に相乗的
に増加することになる。そして、このように削れ物の発
生が多く、表面に傷が生じると、磁性層を塗布する工程
で塗布抜け、ドロップ・アウトの原因となる。さらに、
磁性層を塗布する工程でのカレンダーロールの汚れは磁
気記録フィルムを製造する上で作業性を著しく悪化させ
る。つまり、無機粒子のような硬い粒子では外力を真面
に受けやすく、耐削れ性を向上させる点で解決すべき問
題である。
【0004】粒子とポリエステルの親和性を改良するた
めの手法としては、無機粒子の表面処理、有機粒子の使
用などが提案されている。無機粒子の表面処理として
は、例えば特開昭63−128031号公報にポリアク
リル酸系ポリマによる表面処理、特開昭62−2353
53号公報、特開昭63−234039号公報にリン化
合物による表面処理、特開昭62−223239号公
報、特開昭63−312345号公報にカップリング剤
による表面処理、特開昭63−304038号公報にシ
ラン化合物による表面処理、特開昭63−280763
号公報にグリコールによるグラフト化での表面処理がそ
れぞれ提案されているが、これらの方法を採用しても耐
削れ性はいずれも十分でない。また、有機粒子として
は、特公昭63−45409号公報、特開昭59−21
7755号公報、特開平2−189359号公報に、架
橋高分子微粒子が提案されているが、これらの方法を採
用しても耐削れ性はいずれも十分でない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、鋭意検
討した結果、柔らかく、平均粒子径の異なる有機高分子
微粒子を使用することによって、易滑性、耐削れ性を大
幅に改良することができることを見い出した。本発明の
目的は、前述の従来技術の欠点を解消することにあり、
フィルムや繊維に成形した時に、易滑性、耐削れ性に優
れた熱可塑性ポリエステル組成物を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は、粒
子を10%変形させた時の強度(S10)が次式(1)
を満たし、かつ第1成分として平均粒子径が0.1μm
以上0.6μm未満であり、かつ第2成分として平均粒
子径が0.6μm〜2.0μmである有機高分子微粒子
を含有してなる熱可塑性ポリエステル組成物によって達
成できる。 0<S10≦10 (kgf/mm) (1)
【0007】本発明において用いられるポリエステル
は、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とするジカルボ
ン酸およびそのエステル形成性誘導体とグリコールから
製造される。本発明における芳香族ジカルボン酸として
は、例えばテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、ジフェニルジカルボン酸、イソフタル酸などを挙
げることができる。本発明におけるグリコール成分とし
ては、例えばエチレングリコール、ブタンジオール、テ
トラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールな
どの脂肪族グリコール、あるいはシクロヘキサンジメタ
ノールなどの脂環族ジオールなどを挙げることができ
る。本発明におけるポリエステルとしては、例えばアル
キレンテレフタレートまたはアルキレンナフタレートを
主たる構成成分とするものが好ましい。また、これらの
ポリエステルは、ホモポリエステルであってもコポリエ
ステルであってもよい。共重合成分の例としてはアジピ
ン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒ
ドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂
環式ジカルボン酸、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコールなどが挙げられる。
【0008】本発明における有機高分子微粒子は、例え
ばポリスチレンもしくは架橋ポリスチレン粒子、スチレ
ン・アクリル系及びアクリル系架橋粒子、スチレン・メ
タクリル系及びメタクリル系架橋粒子などのビニル系粒
子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド、シリコー
ン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニルエステ
ル、フェノール樹脂などの粒子が挙げられるが、これら
に限定されるものではなく、粒子を構成する部分のうち
少なくとも一部がポリエステルに対し不溶の有機高分子
微粒子であれば如何なる粒子でも良い。好ましくは、一
般に分子中に唯一個の脂肪族の不飽和結合を有するモノ
ビニル化合物(A)と、架橋剤として分子中に2個以上
の脂肪族の不飽和結合を有する化合物(B)との共重合
体が挙げられる。
【0009】上記共重合体における化合物(A)の例と
しては、スチレン、α−メチルスチレン、エチルビニル
ベンゼン、フルオロスチレンなどの芳香族モノビニル化
合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシ
アン化ビニル化合物、メチルアクリレート、エチルアク
リレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、ヘ
キサデシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル
アクリレート、N,N′−ジメチルアミノエチルアクリ
レートなどのアクリル酸エステルモノマー、メチルメタ
クリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリ
レート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリ
レート、sec−ブチルメタクリレート、アリルメタク
リレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリ
レート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、N,N′−ジメチルアミノエチルメタクリレートな
どのメタクリル酸エステルモノマー、アクリル酸、メタ
クリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのモノまたはジ
カルボン酸およびジカルボン酸の酸無水物、アクリルア
ミド、メタクリルアミドなどのアミド系モノマーを使用
することができる。
【0010】上記化合物(A)としては、下記の構造式
を有するものが望ましく、Rの炭素数が4以上のもの
は柔軟なセグメントを付与するのに好ましい。特に好ま
しくは、化合物(A)が単一成分で重合体の構造をとっ
た際、そのガラス転移温度が本発明で使用するポリエス
テルのガラス転移温度以下であることが望ましく、さら
にはそのガラス転移温度が50℃以下、好ましくは20
℃以下、さらに好ましくは0℃以下であるものが望まし
い。具体的には、ブチルアクリレート、オクチルアクリ
レート、ドデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル
酸エステルモノマー、ブチルメタクリレート、sec−
ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘキ
サデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリ
レートなどのメタクリル酸エステルモノマーなどが好ま
しく用いられる。
【0011】
【化1】
【0012】化合物(B)の例としてはジビニルベンゼ
ン化合物、あるいはトリメチロールプロパントリアクリ
レート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、
あるいはエチレングリコールジアクリレート、エチレン
グリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール
ジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレ
ート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメ
チロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプ
ロパントリメタクリレートなどの多価アクリレートおよ
多価メタクリレートが挙げられる。化合物(B)のう
ち、特にジビニルベンゼン、エチレングリコールシメタ
クリレートまたはトリメチロールプロパントリメタクリ
レートを用いることが好ましい。
【0013】これら化合物(A)、(B)はそれぞれ2
種以上を混合して用いることもできる。また、本発明の
ように比較的低い強度を有する有機高分子微粒子を製造
するには有機高分子微粒子中の純分の架橋剤の割合が1
〜60重量%、好ましくは2〜50重量%、より好まし
くは5〜40重量%であることが望ましい。さらに、化
合物(A)、(B)以外の成分を添加してもよく、耐熱
性、分散性を向上させるために微量の無機物で被覆、親
和性を向上させるための表面処理などを実施してもよ
い。
【0014】本発明の有機高分子微粒子の組成として好
ましいものを例示すると、ブチルアクリレート−ジビニ
ルベンゼン共重合体、オクチルアクリレート−ジビニル
ベンゼン共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート−
ジビニルベンゼン共重合体、2−エチルヘキシルアクリ
レート−エチレングリコールジメタクリレート共重合
体、ヘキシルメタクリレート−ジビニルベンゼン共重合
体、2−エチルヘキシルメタクリレート−ジビニルベン
ゼン共重合体などの架橋高分子微粒子が挙げられる。特
に好ましくは、ブチルアクリレート−ジビニルベンゼン
共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート−ジビニル
ベンゼン共重合体が挙げられる。また、スチレン−ブチ
ルアクリレート−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン
−ヘキシルメタクリレート−ジビニルベンゼン共重合体
などのように3成分系で微粒子を製造してもよい。本発
明に用いる有機高分子微粒子は易滑性、耐削れ性の点か
ら粒子形状が球形状均一な粒度分布のものが好ましい。
すなわち、体積形状係数が0.35〜0.52のものが
好ましく、さらには0.45〜0.51のものが好まし
い〔ただし、体積形状係数fは次式で表わされる。f=
V/D。ここで、Vは粒子体積(μm)、Dは粒子
の投影面における最大径(μm)〕。しかしながら、特
開昭55−158937号公報などに開示されている粉
砕して微粒子化する方法では粒子形状が不定形で均一な
粒度分布のものが得られにくく粗大粒子が存在して、特
にフィルムに成形する場合製膜時にフィルターの目塞
り、ドロップアウトの大きな原因となるので好ましくな
い。
【0015】本発明の有機高分子微粒子の製造方法を、
架橋高分子微粒子の製造方法を例として説明すると、例
えば化合物(A)、(B)を混合し、以下のような乳化
重合により製造する方法がある。 (a)ソープフリー重合法、すなわち乳化剤を使用しな
いか、あるいは極めて少量の乳化剤を使用して重合する
方法。 (b)乳化重合に先だって重合系内へ重合体粒子を添加
しておいて乳化重合させるシード重合法。 (c)単量体成分の一部を乳化重合させ、その重合系内
で残りの単量体を重合させるコアーシェル重合法。 (d)特開昭54−97582号公報および特開昭54
−126288号公報に示されているユーゲルスタット
等による重合法。 上記のうち、特に(c)および(d)の方法は柔らか
く、均一な粒度分布を持つ有機高分子微粒子を製造する
上で好ましい。
【0016】本発明の有機高分子微粒子は、粒子を10
%変形させた時の強度(以下S10と記す。)が前述の
式(1)を満たしている。成形品の耐削れ性、滑り安定
性を特に良好にするには、S10の上限が8kgf/m
、好ましくは6kgf/mm、さらに好ましくは
4kgf/mmであることが望ましい。特にS10
値が3kgf/mmより小さく、ポリエステルとの親
和性に優れる有機高分子微粒子においては、耐削れ性が
大きく向上するので好ましい。
【0017】ここで、粒子のS10とは、粒子の柔らか
さの指標となるものであり、例えば図1に示すような方
法で粒子の外力による変形挙動を測定することにより得
られるものである。図1に示す方法では、まず下部加圧
圧子1上に粒子を分散させ、上部加圧圧子2と下部加圧
圧子1の間に微粒子3を1個固定する。そして、一定の
増加割合で負荷力を与え、微粒子の変形量と負荷力を自
動計測し、粒子が10%変形した時の荷重P(kgf)
から、次式(2)に従い、S10(この測定を計10回
行ない、10回の平均値をS10とした。)を計算す
る。 S=2.8P/πd(kgf/mm) (2) ここで、dは粒径(mm)を表している。
【0018】本発明の有機高分子微粒子は平均粒子径が
それぞれ0.1μm以上0.6μm未満、好ましくは
0.2μm以上0.6μm未満、さらに好ましくは0.
25μm以上0.5μm未満のものと、平均粒径が0.
6μm〜2μm、好ましくは0.6μm〜1.5μmの
ものとの2種類である。第1成分としての有機高分子微
粒子の平均粒径が0.1μm未満になると滑り性向上効
果が不充分となり、好ましくない。一方0.6μm以上
になると表面平坦性が不充分となり好ましくない。ま
た、第2成分としての有機高分子微粒子の平均粒径が
2.0μmを越えると表面平坦性および削れ性が不充分
となり好ましくない。
【0019】本発明において第1成分としての有機高分
子微粒子の添加量はポリエステルに対して0.001〜
2重量%が好ましく、さらに好ましくは0.005〜1
重量%である。また第2成分としての有機高分子微粒子
の添加量は、ポリエステルに対して0.001〜2重量
%が好ましく、さらに好ましくは0.005〜1重量%
であって、第1成分の量以下が好ましい。
【0020】本発明の2成分からなる有機高分子微粒子
を用いると、有機高分子微粒子は粒度均一性、親和性も
良好で、これを2成分にすることでフィルムにした場
合、ボイドが少なく、均一な凹凸表面が得られ易滑性、
耐削れ性を満足させることができる。また、ポリエステ
ルとの親和性をさらに向上させるために、ポリエステル
と反応し共有結合を形成しうる基を有機高分子微粒子に
導入することがさらに好ましい。例えばカルボキシル
基、水酸基、スルホン酸基、エステル基等を挙げること
ができ、カルボキシル基を導入するにはメタクリル酸、
水酸基にはアクリル系モノマー、スルホン酸基にはスチ
レンスルホン酸を用いるのが好適であるが特に限定され
ない。これらの活性基を導入するためのモノマー量は粒
子に対して1〜10重量%が好ましい。
【0021】本発明の有機高分子微粒子のポリエステル
への添加方法は特に限定されず、例えばポリエステル原
料のグリコールスラリーとしてポリエステル製造工程す
なわちエステル交換、エステル化、重縮合反応中に添加
したり、溶融ポリエステルの混練中に添加することがで
きる。そのスラリー濃度としては、0.5〜20重量%
程度が適当である。
【0022】このように低強度で平均粒子径が2成分か
らなる有機高分子微粒子をポリエステル中に添加する
と、粒子の脱落が起こりにくく、フィルムにした際に耐
削れ性、易滑性、電磁変換特性に優れたポリエステル組
成物を得ることができる。
【0023】さらに、本発明のポリエステルにはポリエ
ステルの製造時に通常使用されるリチウム、ナトリウ
ム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、アン
チモン、ゲルマニウム、チタン等の化合物の金属化合物
触媒、着色防止剤としてのリン化合物、有機高分子微粒
子以外の不活性粒子等を含有していてもよい。
【0024】〔物性の測定ならびに効果の評価方法〕本
発明における物性値の測定方法ならびに効果の評価方法
は次の通りである。
【0025】A.平均粒径 粒子を電子顕微鏡で写真撮影後、粒子の直径を個々につ
いて測定し、50体積%にあたる粒子等価球直径を求
め、平均粒径とした。
【0026】B.粒子の強度(S10) 島津製作所(株)製の微小圧縮試験機(MCTM−20
1型)を使用して、負荷速度:0.0145gf/s、
0〜1gfまでの負荷を加えて変形量を測定した。そし
て、粒子が10%変形した時の荷重P(kgf)から、
前述の式(2)に従い、S10(この測定を計10回行
ない、10回の平均値をS10とした。)を計算した。
【0027】C.ポリマの極限粘度 o−クロロフェノールを溶媒として25℃にて測定し
た。
【0028】D.耐削れ性 テープ走行性試験機TBT−300((株)横浜システ
ム研究所製)を使用し、25℃、50RHの雰囲気で
2000回繰り返し走行させた後、ガイド部に付着した
白色の削れ粉(白粉)を目視にて判定する。ここで、ガ
イド径は8mmφであり、ガイド材質はSUS27(表
面粗度0.2S)、巻き付け角は180°、テープ走行
速度は3.3cm/秒である。評価基準は次のとおりで
ある。 ◎:白粉発生量が非常に少なく、目的を達成する。 ○:白粉発生量が少なく、目的を達成する。 △:白粉発生量がやや多く、目的を達成しない。 ×:白粉発生量が非常に多く、目的を達成しない。
【0029】E.滑り性(摩擦係数μk) フィルムを1/2インチにスリットし、テープ走行性試
験機TBT−300型((株)横浜システム研究所製)
を使用し、20℃、60%RH雰囲気で走行させ、初期
のμkを下記の式より求めた。 μk=0.733log(T/T) ここでTは入側張力、Tは出側張力である。ガイド
径は6mmφであり、ガイド材質はSUS27(表面粗
度0.2S)、巻き付け角は180°、走行速度は3.
3cm/秒である。上記μkが0.35以下であるもの
が滑り性良好である。ここで、μkが0.35はフィル
ム加工時または、製品としたときの滑り性が極端に悪く
なるかどうかの限界の値である。
【0030】
【実施例】以下、実施例で本発明をさらに詳述する。な
お、実施例中に部とあるのは、特に断りがない限り、重
量部を示すものである。
【0031】実施例1 (ポリエステル組成物及びフィルムの製造方法)テレフ
タル酸ジメチル100部、エチレングリコール70部、
触媒として酢酸マグネシウム0.06部を添加し、23
0℃まで昇温しながらメタノールを留去し、エステル交
換反応を行う。その後、トリメチルホスフェートを0.
05部添加し、5重量%濃度のエチレングリコールスラ
リーとして分散させたS10:4.5(kgf/m
)、平均粒径0.3μmのブチルアクリレート−ジ
ビニルベンゼン共重合体粒子(共重合比7:3、体積形
状係数0.51)0.5部とS10:4.7(kgf/
mm)、平均粒径0.6μmのブチルアクリレート−
ジビニルベンゼン共重合体粒子(共重合比7:3、体積
形状係数0.51)0.02部を添加する。その後、重
縮合反応槽に移行して、三酸化アンチモン0.03部を
添加し、290℃まで昇温しながら減圧し重縮合反応を
行った。得られたポリマは極限粘度0.617であっ
た。得られたポリマを無粒子系ポリエチレンテレフタレ
ートで3/10倍希釈して290℃で押出機により溶融
押し出しし、キャスティングドラムで冷却し未延伸シー
トを得た。引き続きこれを90℃で縦および横方向に各
々3.4倍に延伸し、厚さ15μの二軸延伸フィルムを
得た。粒子特性、ポリマ特性、フィルム特性は表1に示
すとおりであり、易滑性、耐削れ性が良好なフィルムで
あった。
【0032】実施例2〜5、比較実施例1〜5 有機高分子微粒子の組成、S10、平均粒径(体積形状
係数はいずれも0.51)、添加量を変更し、実施例1
と同様にしてポリエステル組成物およびフィルムを得
た。表1に示すように本発明の範囲内であるものは、易
滑性、耐削れ性ともに満足することができた(実施例2
〜5)。しかし、有機高分子微粒子のS10、平均粒径
(体積形状係数はいずれも0.51)が本発明外である
場合、単一成分からなる有機高分子微粒子を用いた場合
はいずれも易滑性、耐削れ性をともに満足させることは
できなかった(比較実施例1〜5)。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明の熱可塑性ポリエステル組成物
は、低強度および特定粒径の2成分からなる有機高分子
微粒子を含有しているので、ポリエステルとの親和性に
優れ、外力を受けた際に粒子が脱落しにくく、2成分系
にすることで均一な表面特性、優れた易滑性を有する。
したがって、従来無機粒子を添加した時に問題となって
いた粒子の脱落による白粉の発生、滑り性の悪化を防止
することができ、フィルム、繊維などの製造時の工程汚
染の防止や、特に磁気テープなどの製品としての好適な
使用を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における粒子の強度(S10)の測定方
法を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 下部加圧圧子 2 上部加圧圧子 3 微粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 勝 静岡県三島市4845番地(町、丁目表示な し) 東レ株式会社三島工場内 (56)参考文献 特開 平1−292059(JP,A) 特開 平3−239731(JP,A) 特開 平3−221556(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子を10%変形させた時の強度(S
    10)が次式(1)を満たし、かつ第1成分として平均
    粒子径が0.1μm以上0.6μm未満であり、かつ第
    2成分として平均粒子径が0.6μm〜2.0μmであ
    る有機高分子微粒子を含有してなる熱可塑性ポリエステ
    ル組成物。 0<S10≦10 (kgf/mm) (1)
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