JP2897051B2 - 架橋粒子含有ポリマーおよびその組成物 - Google Patents

架橋粒子含有ポリマーおよびその組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ゴムおよび合成樹脂などの補強あるいは性
能改質に有用な架橋粒子含有ポリマーおよびその組成物
に関する。
〔従来の技術〕
従来、ゴム、合成樹脂などの補強あるいは性能改良を
企図し、カーボンブラック、シリカ粒子、タルク、炭酸
カルシウム、二酸化チタンなどの無機粒子、あるいは有
機ポリマー粒子を添加することが行われている。
しかしながら、これらの効果を出すためには、マトリ
ックスポリマーであるゴム、合成樹脂の中への粒子の良
好な分散性およびその界面での強い結合力が必要であ
る。
ところが一般に、粒子をゴムあるいは合成樹脂に混合
する場合には、上記の二つの条件は互いに相反するもの
であって、これを同時に満足させることは特別の条件下
でないと困難であった。
例えば、一般に無機粒子は、粒子径の制御が困難で粗
大粒子あるいは微小粒子が混入し、これらはポリマー組
成物の製品の品質を劣化させている。
また、有機ポリマー粒子は、強度、耐熱性および粒子
表面でのポリマーマトリックスとの結合力が不足してい
る。この有機ポリマー粒子にこれらの性能を付与するに
は、該粒子に高度の架橋を行うとともに、粒子表面に反
応基を付与する必要がる。しかしながら、有機ポリマー
粒子の有力な合成法の一つである乳化重合では、従来、
高い架橋度の粒子を該重合法で合成することは困難であ
る。
これは、乳化重合においては重合初期に多数の微小核
が形成されるが、すぐに合一して一定数の重合核とな
り、以降、これがモノマーを吸収しながら成長するとい
うメカニズム(スミス・エバート理論)で粒子形成がな
されるのに対し、架橋性モノマーが数重量%以上存在す
ると、微小核の合一が困難となり、また重合核のモノマ
ー吸収能力がなくなり、重合系に多数の微小核が形成さ
れて重合系のコロイド安定性が悪化し、重合を維持でき
なくなるためである。
一方、有機ポリマーの他の有力な合成法である懸濁重
合法で得られるポリマー粒子は、大粒径であるとともに
粒子径分布が非常に幅広いものであって、ゴムあるいは
合成樹脂への添加には好ましくないものである。
このため、従来は、一般に高度な架橋ポリマー粒子で
あって、かつマトリックスポリマーに対して性能を劣化
させる粒径5μm以上の粗粒のない有機ポリマー粒子を
得ることは困難であった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、前記従来技術の課題を背景になされたもの
で、ゴムおよび合成樹脂などの補強あるいは性能改質に
有用な架橋粒子含有ポリマー、ならびに該粒子をポリマ
ーマトリックス中に配合することにより、強度、伸び、
耐衝撃性、耐熱性および耐熱流動性に優れたポリマー組
成物を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、数平均分子量500〜20,000の実質的に非架
橋のビニル重合ポリマー粒子をシードにして架橋性モノ
マーを5重量%以上含有するモノマー成分をシード乳化
重合して得た架橋粒子の存在下に、スチレン系モノマ
ー、アクリル酸エステル系モノマー、メタクリル酸エス
テル系モノマーおよびジエン系モノマーから選ばれた少
なくとも1種のモノマー(以下「第3モノマー」という
ことがある)を重合して得られるポリマー(A)であっ
て、該ポリマー(A)中の架橋粒子の含有量が0.01〜50
重量%であることを特徴とする架橋粒子含有ポリマーを
提供するものである。
また、本発明は、前記ポリマー(A)と他の重合体
(B)とを主成分とする組成物(C)であって、組成物
(C)中の架橋粒子の含有量が0.01〜50重量%であるこ
とを特徴とする架橋粒子含有ポリマー組成物を提供する
ものである。
本発明において使用される架橋粒子は、特定の方法で
合成されたものである必要がある。
すなわち、本発明における架橋粒子は、数平均分子量
が500〜20,000、好ましくは700〜7,000、さらに好まし
くは900〜5,000の実質的に非架橋のビニル重合ポリマー
粒子をシードとして、前記架橋性モノマーを含有するモ
ノマー成分をシード乳化重合することにより得られるも
のである。
ここで、実質的に非架橋のビニル重合ポリマー粒子の
数平均分子量は、該ポリマー粒子の溶液の粘度測定ある
いは粘度測定に基づくゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー(ポリスチレン換算)などの通常の方法で測定
される数平均分子量である。
この実質的に非架橋のビニル重合ポリマー粒子の数平
均分子量が20,000を超えると、モノマー吸収能力が小さ
く、架橋性モノマー成分が該ポリマー粒子に吸収されな
いまま独自に重合するため、目的とするものとは異なる
粒子径のポリマー粒子(通常、0.5μm以下の微小粒
子)が大量に生産されるとともに、これらの異粒子のた
めに重合反応系の安定性が悪くなり、重合時に凝固物が
多量に発生するようになる。また、前記ビニル重合ポリ
マー粒子の数平均分子量が500未満では、分子量が小さ
すぎてやはり架橋性モノマーを含有するモノマー成分の
吸収能力が小さく上記と同様の問題が生ずる。
また、このシード粒子となるビニル重合ポリマー粒子
は、実質的に非架橋であることが必要であり、該粒子に
架橋構造が存在すると次工程での架橋粒子の合成におい
て重合安定性が低下する。
なお、このビニル重合ポリマー粒子の粒子径および粒
子径分布は、生成される架橋粒子の粒子径および粒子径
分布に影響を与えるので、できるだけコントロールされ
た狭い粒子径分布を有する、粒子径の揃ったビニル重合
ポリマー粒子を用いることが好ましい。具体的には、粒
子径が、0.07〜2μmのポリマー粒子であって粒子径分
布が狭いもの、例えばその変動係数が10%以下のものが
好適に用いられる。
このビニル重合ポリマー粒子の組成は、重合に用いる
架橋性モノマー含有成分に溶解または膨潤するものであ
れば特に制限されないが、重合に用いる該モノマー成分
と同系統のラジカル重合性のものであることが好まし
い。ビニル重合ポリマー粒子を構成するモノマーとして
は、具体的にはスチレン、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、ブタジエン、アクリロニトリル、酢酸
ビニルなどが挙げられ、さらにこれらにアクリル酸、メ
タクリル酸、スチレンスルホン酸などのラジカル重合性
官能基含有モノマーを併用することもできる。
このビニル重合ポリマー粒子を得る方法は特に制限な
いが、例えばメルカプタン系の分子量調整剤を比較的多
量に用いた乳化重合法あるいはソープフリー重合法によ
って合成することができる。
次に、本発明で使用される架橋粒子は、前記実質的に
非架橋のビニル重合ポリマー粒子をシードとして、架橋
性モノマーを含有するモノマー成分をシード乳化重合し
て得られるものである。
ここで、架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼン
に代表される非共役ビニル化合物、あるいはトリメチロ
ールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロ
パントリアクリレートに代表される多価アクリレート化
合物などの2個以上、好ましくは2個の共重合性二重結
合を有する化合物を好ましく用いることができる。
本発明に使用することのできる前記多価アクリレート
化合物の例としては、次の化合物を挙げることができ
る。
ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチ
レングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコ
ールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリ
レート、ポリプロピレングリコールジアクリレートなど
のジアクリレート化合物。
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチ
ロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタ
ントリアクリレートなどのトリアクリレート化合物。
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレング
リコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジ
メタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレ
ート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4
−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサ
ングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジメタクリレートなどのジメタクリレート化合物。
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメ
チロールエタントリメタクリレートなどのトリメタクリ
レート化合物。
以上のうち、特にジビニルベンゼン、エチレングリコ
ールジメタクリレートまたはトリメチロールプロパント
リメタクリレートを用いることが好ましい。また、これ
らの架橋性モノマーは、2種以上を混合して用いること
もできる。
本発明において、前記架橋性モノマーとともに用いら
れる重合性モノマーとしては、スチレン、α−メチルス
チレン、フルオロスチレン、ビニルピリジンなどの芳香
族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ルなどのシアン化ビニル化合物、ブチルアクリレート、
2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジル
メタクリレート、N,N′−ジメチルアミノエチルメタク
リレートなどのメタクリル酸エステルモノマー、アクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのモ
ノまたはジカルボン酸およびジカルボン酸の酸無水物、
アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド系モノ
マーを用いることができる。また、重合速度および重合
安定性の点で許容される範囲内において、ブタジエン、
イソプレンなどの共役二重結合化合物や酢酸ビニルなど
のビニルエステル化合物、4−メチル−1−ペンテン、
その他のα−オレフィン化合物を使用することもでき
る。
本発明においては、モノマー成分中の架橋性モノマー
の割合は、モノマー成分の全成分に対して、5重量%以
上、好ましくは5〜100重量%、さらに好ましくは10〜1
00重量%、特に好ましくは20〜100重量%であり、5重
量%未満ではマトリックスポリマーとなるゴムあるいは
合成樹脂への性能改良の効果が充分ではない。
なお、架橋性モノマーを含むモノマー成分の使用量
は、シードのビニル重合ポリマー粒子100重量部に対し
て、通常、3〜200重量部、好ましくは5〜30重量部程
度である。
本発明で使用される架橋粒子は、ビニル重合ポリマー
粒子をシードとして、前記モノマー成分をシード乳化重
合して得られる。
ここで、このシード乳化重合の具体例としては、シー
ドの水分散体に全ての架橋性モノマーを含有するモノマ
ー成分を加えてから行う、いわゆる一括重合でもよく、
また一部あるいは全部の該モノマー成分を重合の進行に
合わせて重合系中連続的もしくは間欠的に添加する重合
でもよい。
この重合に際しては、重合安定性を維持するために適
当量の界面活性剤あるいは分散剤などを使用することが
できる。
このようにして得られる架橋粒子は、架橋度が高く、
粒子表面に活性なビニル基が残っており、これが次工程
での第3モノマーとの重合において該第3モノマーのポ
リマーと強固に化学結合し、性能の向上に大きく寄与す
るものと考えられる。
本発明に使用する架橋粒子は、重合後さらに官能基含
有モノマーとの共重合、重合時の処理、重合後の表面処
理などにより、粒子表面にカルボキシル基、水酸基、ア
ミノ基、エポキシ基、スルホン酸基、アミド基、シリル
基、メルカプト基などの官能基を付与することにより、
本発明の効果をさらに増すこともできる。
本発明における架橋粒子は、平均粒子径が0.1〜3μ
m、好ましくは0.1〜2μm、さらに好ましくは0.1〜1
μmであり、0.1μm未満あるいは3μmを超えると、
マトリックスポリマーとなるゴムあるいは樹脂の物性改
良効果が充分でない場合がある。
本発明の架橋粒子含有ポリマーは、このようにして得
られる架橋粒子の存在下に、第3モノマーを重合するこ
とによって得られる。
ここで、第3モノマーとしては、スチレン系モノマ
ー、アクリル酸エステル系モノマー、メタクリル酸系モ
ノマーおよびジエン系モノマーから選ばれた少なくとも
1種のモノマーが挙げられる。
このうち、スチレン系モノマーとしては、スチレン、
α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、エチルビニ
ルベンゼン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、モ
ノクロルスチレンなどが挙げられる。
アクリル酸エステル系モノマーとしては、一般式
(I) (式中、R1は炭素数1〜18のアルキル基または置換アル
キル基を示す) で表される化合物であり、例えばメチルアクリレート、
エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチル
ヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレー
ト、N,N′−ジメチルアミノエチルアクリレートなどが
挙げられる。
メタクリル酸エステル系モノマーとしては、一般式II
I) (式中、R1は前記に同じ) で表される化合物であり、例えばメチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2
−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジ
ルメタクリレート、N,N′−ジメチルアミノエチルメタ
クリレート、シアノエチルメタクリレート、ジブロモフ
ェニルメタクリレートなどが挙げられる。
ジエン系モノマーとしては、1,3−ブタジエン、2−
メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、
2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタ
ジエンなどが挙げられる。
第3モノマー中には、前記のモノマーのほかにアクリ
ル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、ビ
ニルピリジンなどの官能基含有モノマー、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニルなど
のモノマーを併用することもできる。
ここで、架橋粒子の存在下に第3モノマーを重合する
方法としては特に制限はないが、ラジカル重合、カチオ
ン重合、アニオン重合あるいは遷移金属衝撃重合などを
挙げることができ、特に水系のラジカル重合が好まし
い。水系のラジカル重合では、架橋粒子が水系の分散体
として使用することができ好都合である。
なお、溶液重合あるいは無溶媒のバルク重合も可能で
ある。また、イオン重合あるいは遷移金属触媒重合で
は、架橋粒子は粒子単独でまたは溶媒あるいはモノマー
に分散した形で使用する。
さらに、本発明で架橋粒子を分散するマトリックスポ
リマーであるゴム・樹脂成分をなすこれらの第3モノマ
ーの重合には、通常の前記したような重合開始剤、重合
助剤が使用できる。
架橋粒子の存在下に第3モノマーを重合する具体的な
方法としては、通常の方法が適用でき、例えば水系のラ
ジカル重合では架橋粒子の水分散体の存在下に第3モノ
マーを乳化重合あるいは懸濁重合すればよい。
溶液重合あるいはバルク重合では、架橋粒子は溶媒あ
るいはモノマーに分散するのが好ましく、このためには
比較的高い剪断力で混合するのが好ましい。なお、ここ
でいう溶液重合には、溶剤がモノマーあるいはその重合
で得られるポリマーと不溶であるいわゆるスラリー重合
も含まれる。
本発明のマトリックスポリマーとなるゴム・樹脂成分
をなす第3モノマーの重合では、架橋粒子の存在下に重
合することが必要であり、これにより架橋粒子は重合系
のなかでできるだけ均一に実質的に粒子単位で分散する
ことになる。
ここで、使用される架橋粒子の量は、最終的に得られ
る架橋粒子含有ポリマー(A)の架橋粒子の含有量に合
わせて任意に選ぶことができるが、好ましくは第3モノ
マー100重量部に対して、架橋粒子0.01〜500重量部、好
ましくは1〜300重量部である。
また、最終的に得られる架橋粒子含有ポリマー(A)
中の架橋粒子の含有率は、0.01〜50重量%、好ましくは
1〜30重量%であり、0.01重量%未満では、架橋粒子の
添加効果が得られず、一方50重量%を超えると架橋粒子
以外のポリマー成分の効果が低下するので好ましくな
い。
かくて、このようにして得られる架橋粒子含有ポリマ
ー(A)は、架橋粒子の表面に残存する二重結合が第3
モノマーのポリマー成分であるゴム・樹脂成分にグラフ
ト反応し、架橋粒子がマトリックスポリマーである該ゴ
ム・樹脂成分と強固に結合する。
これにより、高いポリマー物性を有するゴム・樹脂成
分が得られる。なお、本発明では、引き続き別途の重合
を行って本発明のポリマー(A)をさらに改質すること
もできる。
本発明によって得られる架橋粒子含有ポリマー(A)
は、高い強度と弾性率を有し、マトリックスポリマーが
ゴムの場合にはカーボンブラック充填により得られるも
のに近い補強性が得られ、またtanδが大きく制振特性
に優れる。
また、マトリックスポリマーが樹脂の場合には、強度
および弾性率が高いのみならず、衝撃強度が高い点に特
徴を有する。
さらに、本発明の架橋粒子含有ポリマー(A)は、耐
熱性が高く、マトリックスポリマーが耐えられる範囲
で、成形・加工温度を上げることができる。
次に、本発明の架橋粒子含有ポリマー(A)は、該ポ
リマー(A)と他の重合体(B)を混合することによ
り、組成物(C)として用いることもできる。
ここで、他の重合体(B)としては、知られている全
ての樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマーが対象となる
が、好ましくは前記ポリマー(A)中のマトリックスポ
リマーの種類に近いか、あるいは同等のポリマーあるい
は該ポリマーと相溶性のあるポリマーである。
この他の重合体(B)としては、例えばポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレ
ン、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロ
ニトリルゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、ア
クリル系ゴム、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリ
ル樹脂、塩化ビニル樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジ
エン−スチレン樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイ
ロン4,6、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンオ
キサイドなどが挙げられる。
この他の重合体(B)の配合方法は特に制限はない
が、混合押しだし機、加熱ニーダーなどによる方法が好
適に用いられる。
このようにして得られる組成物(C)中の架橋粒子の
含有量は、前記したと同様の理由により、0.01〜50重量
%、好ましくは1〜30重量%である。
得られる組成物(C)は、高い生産性で架橋粒子を複
合したポリマー組成物が得られるほか、ポリマーの組合
せの選択範囲が広がるという効果が得られる。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
る。
なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重
量基準である。
実施例1 架橋粒子の製造 スチレン(ST)98部、メタクリル酸2部およびt−ド
デシルメルカプタン10部を、水200部にラウリル硫酸ナ
トリウム0.4部および過硫酸カリウム1.0部を溶かした水
溶液に入れ、攪拌しながら70℃で8時間重合してポリマ
ー粒子を得た。このポリマー粒子は、平均粒子径が0.35
μm、トルエン不溶分が3%、GPCによる数平均分子量
4,100、重量平均分子量と数平均分子量との比、Mw/Mn=
2.4であった。
次に、このポリマー粒子をシードとして用い、このポ
リマー粒子を固形分で10部、ポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテル0.1部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3部
および過硫酸カリウム0.5部を水400部に分散させた。
これにモノマーとして、ジビニルベンゼン(DVB)10
部(純品換算)および、スチレン90部を80℃で3時間か
けて滴下して重合を行った。重合収率99%で架橋粒子
を得た。
この架橋粒子Aは、重量平均粒子径が0.72μmであっ
た。
架橋粒子含有複合ゴムの製造 攪拌装置付きオートクレーブに、下記に示す仕込み組
成の重合モノマーおよび重合試薬を仕込んだ。仕込み組成 部 ブタジエン 68.6 スチレン 17.1 架橋粒子のラテックス(固形分) 40.0 ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ 3.0 n−ドデシルメルカプタン 0.5 硫酸第1鉄 0.01 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシド 0.05 パラメンタンヒドロペルオキシド 0.04 脱気水 200.0 以上の仕込み組成を用い、10℃で5時間反応させ、重
合収率が70%になったところで、N,N−ジエチルヒドロ
キシルアミンを加えて重合を停止させた。
その後、常法により得られた重合体を回収・乾燥し、
実施例1の架橋粒子含有複合ゴムを得た。
この架橋粒子含有複合ゴムを、常法により切断試料を
作製し、電子顕微鏡観察したところ、ゴム層中に架橋粒
子はほぼ単一粒子となって均一に分散していた。
なお、参考として、実施例1において、架橋粒子な
しのほかは同様にして比較のための比較試料を作製し
た。
次に、この架橋粒子含有複合ゴムおよび比較試料に、
第1表の配合処方でゴムを配合し、140℃×15分の加硫
をおこなったのち、物性の測定を行った。結果を第1表
(配合1〜6)に示す。
実施例1の架橋粒子含有複合ゴムは、充填剤を配合し
ない場合でも、炭酸カルシウムを充填剤とする明色配合
でも、カーボンブラックなどの補強性充填剤を配合した
ものに近い高強度のゴム配合物が得られることが分か
る。
実施例2〜4、比較例1 架橋粒子〜の製造 架橋粒子Aの製造において、モノマーとしてジビニル
ベンゼン(純品換算)/スチレンを、それぞれ40部/60
部、5部/95部、3部/97部にした以外は、同様にして架
橋粒子〜を得た。
架橋粒子の製造 架橋粒子Aの重合が終了したのち、さらにグリシジル
メタクリレート10部およびスチレン10部を加えて、さら
に80℃で2時間重合を行った。
この結果、粒子径0.74μmで、粒子表面をエポキシ基
で変性された架橋粒子を得た。
架橋粒子含有複合ゴムの製造 実施例1の架橋粒子含有複合物の製造において、架橋
粒子の代わりに前記のようにして得られた架橋粒子
〜を用いて架橋粒子含有複合ゴムを製造した。これら
を、それぞれ実施例2〜3、比較例1、実施例4とし
た。第1表に結果を示す。
実施例2〜3では、架橋粒子、を用いたものであ
り、実施例と同様の効果が得られている。
比較例1では、架橋粒子における架橋度および粒子表
面での残存二重結合が少なく、架橋粒子によるゴム物性
改良効果が小さい。
これに対し、実施例4では、架橋粒子表面がエポキシ
基で変性されていため、ゴムとの反応性が高く、ゴムの
物性改良効果がさらに大きい。
なお、第1表において、配合11は、架橋粒子をゴムに
配合する前の例として、次の配合を行ったものである。
すなわち、架橋粒子の粉末30部を少しずつ30分かけて
ロールで前記比較ゴム試料70部に添加・混入し、できる
だけよく練った。これにさらに亜鉛華および硫黄、加硫
促進剤を加えて練り、第1表の配合とした。
この配合物の物性を第1表に示すが、強度、伸びとも
良いものでないことが分かる。
比較例2、実施例5 実施例1の架橋粒子含有複合ゴムの製造において、架
橋粒子40部の代わりに100部とし、他は同一にして重
合し、比較例2の架橋粒子の多い架橋粒子含有複合ゴム
を得た(架橋粒子の含有量=62.5%)。
このゴム物性の評価を第1表に示す(配合12)。
次に、この比較例2の架橋粒子の多い複合ゴムに、前
記比較ゴム試料を等量ロールブレンドし、実施例5の架
橋粒子含有複合ゴムを得た(架橋粒子含有量=31.2
%)。
これらのゴムの物性評価を第1表に示す(配合13)。
比較例3 実施例1のシードのビニル重合ポリマー粒子の合成に
おいて、t−ドデシルメルカプタン10部となっているも
のを、同0.1部あるいは40部用いる以外は同様にして数
平均分子量が51,000および450のビニル重合ポリマー粒
子を得た。
次に、これらのビニル重合ポリマー粒子をシードに用
いて実施例1と同様にして架橋粒子の重合を行った。
いずれの重合も、重合安定性が悪く、重合途中で重合
系のコロイド安定性が維持できず、重合リアクター内で
固化してしまった。
実施例6、比較例4〜5 実施例1の架橋粒子を用い、スチレン、メチルメタ
クリレートおよびエチルアクリレートの重合を行った。
すなわち、攪拌装置付きオートクレーブに、下記に示
す仕込み組成の重合モノマーおよび重合試薬を仕込ん
だ。仕込み組成 部 架橋粒子のラテックス(固形分) 15.0 スチレン 35.0 メチルメタクリレート 55.0 エチルアクリレート 10.0 ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ 1.0 過硫酸カリウム 1.0 脱気水 400.0 以上の仕込み組成を用い、チッ素雰囲気下で80℃で6
時間反応させ、重合収率が99%になったところで、N,N
−ジエチルヒドロキシルアミンを加えて重合を停止させ
た。
その後、常法により得られた重合体を回収・乾燥・成
形し、物性測定用試料を得た(実施例6)。
一方、架橋ポリマー粒子を用いない以外は、実施例
6と同様の操作を行い、比較例3の樹脂を得た。また、
この比較例4の樹脂100部に、架橋粒子の粉体15部を
溶融混合したものを比較例5とした。これらの試料の評
価を第2表に示す。
第2表からも明らかなように、本発明の架橋粒子含有
ポリマーは、強度、特に耐衝撃強度が大きく、さらに熱
変形温度が高く、優れた樹脂成形材料である。
〔発明の効果〕 本発明は、特定の架橋粒子の存在下に特定のモノマー
の重合を行うことにより、マトリックスポリマーの中に
架橋粒子が理想的な状態で分散し、かつ該架橋粒子とマ
トリックスポリマーの界面が充分に強く結合されること
になる。
このため、本発明のポリマーおよびこれを用いた組成
物は、強度、伸びおよび耐衝撃性に優れ、さらに架橋粒
子に起因して耐熱性、耐熱流動性に優れる。また、無機
物充填剤と比較して上記の特徴のほかに色調に優れ、密
度が下がるなどの優位性がある。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】数平均分子量500〜20,000の実質的に非架
    橋のビニル重合ポリマー粒子をシードにして架橋性モノ
    マーを5重量%以上含有するモノマー成分をシード乳化
    重合して得た架橋粒子の存在下に、スチレン系モノマ
    ー、アクリル酸エステル系モノマー、メタクリル酸エス
    テル系モノマーおよびジエン系モノマーから選ばれた少
    なくとも1種のモノマーを重合して得られるポリマー
    (A)であって、該ポリマー(A)中の架橋粒子の含有
    量が0.01〜50重量%であることを特徴とする架橋粒子含
    有ポリマー。
  2. 【請求項2】請求項1記載のポリマー(A)と他の重合
    体(B)とを主成分とする組成物(C)であって、組成
    物(C)中の架橋粒子の含有量が0.01〜50重量%である
    ことを特徴とする架橋粒子含有ポリマー組成物。
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