JP2762488B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2762488B2
JP2762488B2 JP63275414A JP27541488A JP2762488B2 JP 2762488 B2 JP2762488 B2 JP 2762488B2 JP 63275414 A JP63275414 A JP 63275414A JP 27541488 A JP27541488 A JP 27541488A JP 2762488 B2 JP2762488 B2 JP 2762488B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は熱可塑性樹脂組成物に係り、特に特定のグラ
フト共重合体及び硬質共重合体を配合してなる耐衝撃
性、耐熱性、剛性、耐候性、及び落錘衝撃強度に優れた
熱可塑性樹脂組成物に関する。
[従来の技術] ABS(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重
合耐)樹脂等のスチレン系樹脂は、耐衝撃強度が大き
く、寸法精度が良好で、成形加工性等に優れていること
などから、従来より成形材料として広く用いられている
が、反面、耐熱性等に劣るという欠点があった。そこ
で、従来よりABS樹脂等のスチレン系樹脂の耐熱性を改
善し、また耐衝撃性を更に向上させるための研究が数多
く行われている。
例えば、共役ジエン系ゴム質重合体に、マレイミド系
化合物及び芳香族ビニル系単量体等をグラフト共重合さ
せて得られるマレイミド系グラフト共重合体が、耐熱性
及び耐衝撃性の改善に有効であることが報告されている
(特公昭46−34103,特開昭47−6891)。
また、ゴム状重合体に無水マレイン酸と他のビニル系
単量体をグラフトさせたグラフト共重合体を、アンモニ
ア又は第一級アミンでイミド化してマレイミド系グラフ
ト共重合体を製造する方法(特開昭57−100104,特開昭6
0−155216)、及びこの方法で得られるゴム変性マレイ
ミド系グラフト共重合体を、スチレン/アクリロニトリ
ル等の共重合体と配合した組成物(特開昭58−185642,
特開昭58−101141)が、優れた耐熱性、耐衝撃性を有す
ることが報告されている。
更に、耐衝撃性の向上を目的として、ゴム状重合体存
在下において、重合系に対するマレイミド系単量体の供
給速度を特定の範囲に規制して重合を行い、共重合組成
を均質に規制する方法(特開昭59−11322)が提案され
ている。
[発明が解決しようとする課題] 上記した従来技術のうち、共役ジエン系ゴム質重合体
に、マレイミド系化合物及び芳香族ビニル系単量体等を
グラフト共重合させる方法では、ゴム質重合体へ均質に
グラフト重合を行うことは困難であり、しかも、得られ
るマレイミド系グラフト共重合体を用いた樹脂組成物の
耐熱性及び耐衝撃性は、十分なものではないという欠点
がある。
また、ゴム状重合体に無水マレイン酸と他のビニル系
単量体をグラフトさせたグラフト共重合体をアンモニア
又は第1級アミンでイミド化する方法は、重合工程が複
雑である上に、高温の反応を必要とするという欠点があ
る。しかも、実際上、重合条件等に限定を受けるため、
ゴム含有量が40重量%以上のハイラバーマレイミド系グ
ラフト共重合体を製造することは、極めて困難である。
このため、この方法で製造されたゴム変性マレイミド系
グラフト共重合体を配合した組成物では、十分に満足し
得る特性が得られない。
更に、重合系に対するマレイミド系単量体の供給速度
を特定の範囲に規制して重合を行なう方法では、重合終
了までに長時間を有することとなり、工業的に不利であ
る。
本発明は上記従来の問題点を解決し、耐候性が良好
で、耐衝撃性、耐熱性、剛性に優れ落錘衝撃強度が高
く、これらの特性のバランスに優れる熱可塑性樹脂組成
物を提供することを目的とする。本発明は特に、特定の
乳化重合法により、高い重合安定性にて、また高収率で
製造されたマレイミド系グラフト共重合体を用いてこの
ように優れた特性を有する熱可塑性樹脂組成物を提供す
るものである。
[課題を解決するための手段及び作用] 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、下記(A)のマレイ
ミド系グラフト共重合体10〜60重量部及び下記(B)の
硬質共重合体90〜40重量部を含むことを特徴とする。
(A):エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体
100重量部に対して、変性低分子量α−オレフィン共重
合体0.1〜20重量部を含有するエチレン・プロピレン・
非共役ジエン共重合体含有架橋ラテックス40〜80重量部
(固形分として)の存在下、マレイミド系単量体5〜30
重量%、芳香族ビニル系単量体25〜80重量%、シアン化
ビニル系単量体5〜40重量%及びこれらの単量体と共重
合可能な単量体0〜50重量%を含む単量体混合物60〜20
重量部を、2種以上の乳化剤を使用して乳化重合させる
ことにより製造されたグラフト共重合体であって、上記
単量体混合物及びレドックス系開始剤を1時間以上にわ
たって連続的に重合系に添加すると共に、重合開始から
重合終了までの間、重合水相のpHを10.0〜7.0に保つよ
うにアルカリ水溶液を逐次的又は連続的に添加すること
により製造されたマレイミド系グラフト共重合体 (B):マレイミド系単量体5〜30重量%、芳香族ビニ
ル系単量体25〜80重量%、シアン化ビニル系単量体5〜
40重量%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体0〜
50重量%を含む硬質共重合体 即ち、本発明者らは、耐候性、耐衝撃性、耐熱性、剛
性及び落錘衝撃強度のバランスに優れる熱可塑性樹脂組
成物を得るべく鋭意検討を重ねた結果、特定のマレイミ
ド系グラフト共重合体及び硬質共重合体を特定割合で配
合することにより、極めて優れた特性を有する熱可塑性
樹脂組成物が得られることを見出した。
また、このような高特性熱可塑性樹脂組成物に用いる
マレイミド系グラフト共重合体を効率的に製造する方法
を得るべく、次のような検討を行なった。
マレイミド系単量体を用いて、マレイミド系グラフト
共重合体を製造する方法としては、溶液重合、バルク重
合、懸濁重合等が挙げられるが、これらのうち工程が単
純であること、グラフト成分の均質性のコントロールが
容易であること及びマレイミド系グラフト共重合体のハ
イラバー化が可能であることなどの点から、乳化重合法
が有利である。
しかしながら、乳化重合法により、芳香族ビニル系単
量体,シアン化ビニル系単量体及びマレイミド系単量体
等を、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体に
グラフト共重合させようとする場合、重合系に全単量体
を一度に又は極めて短時間で添加して、重合を開始する
とラテックスの安定性が悪化し、共重合不可能となる場
合がある。そして、たとえ重合が終了し、マレイミド系
グラフト共重合体が得られたとしても、重合収率が低
く、また、グラフト成分は不均一であるため、このよう
なマレイミド系グラフト共重合体を用いた樹脂組成物で
は良好な特性が得られない。
この理由について検討した結果、重合水相のpHを9以
上にすると、マレイミド系単量体が加水分解を受け易く
なり、重合系内のpH低下を引き起こし、乳化剤の界面活
性を低下させるため、ラテックスの安定性が悪化するこ
とを知見した。特に、EPDM(エチレン・プロピレン・非
共役ジエン共重合体)ラテックスは、pHの影響を受け易
く、不安定である。また、マレイミド系単量体と芳香族
ビニル系単量体は重合性が高く、優先的に重合すること
が知られているが、その重合速度は、重合水相pHの影響
を強く受ける一方、グラフト成分組成、グラフト率、グ
ラフト鎖分子量等に大きな影響を与えることを知見し
た。
このような知見に基き、重合安定性に優れ、重合収率
が高く、得られるマレイミド系グラフト共重合体を用い
た樹脂組成物の特性が良好になるような乳化重合方法に
ついて更に研究を重ねた結果、単量体の添加時間及び重
合水系のpHを特定することにより、高い重合安定性に
て、優れた特性を備えるマレイミド系グラフト共重合体
が高収率で得られることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて完成されたものであ
る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記(A)のマレイ
ミド系グラフト共重合体及び(B)の硬質共重合体を特
定割合で含有するものである。
(A)において、ゴム成分であるエチレン・プロピレ
ン・非共役ジエン共重合体(以下、「EPDM」と略称す
る。)は、エチレン・プロピレン及び非共役ジエンのゴ
ム状共重合体であるが、含有されるエチレンとプロピレ
ンとの重量比は85:15〜30:70の範囲にあることが好まし
い。また、非共役ジエン成分としては、1,4−ヘキサジ
エン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル
ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等が好ましい。
変性低分子量α−オレフィン共重合体としては、α−
オレフィン99.8〜80重量%及び不飽和カルボン酸系化合
物0.2〜20重量%を含む酸変性ポリエチレン等が挙げら
れる。ここで、α−オレフィンとしてはエチレン等が、
不飽和カルボン酸系化合物としてはアクリル酸、マレイ
ン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、
マレイン酸モノアミド等が挙げられる。
このような変性低分子量α−オレフィン共重合体を、
前記EPDM100重量部に対して0.1重量部以下配合すること
により、得られるEPDM含有架橋ラテックスの安定性を改
善することができ、また衝撃強度を高めることができ
る。その配合量が20重量部を超えると衝撃強度の著しい
低下を招く。このため、本発明において、EPDM含有架橋
ラテックスはEPDM100重量部に対して変性低分子量α−
オレフィン共重合体0.1〜20重量部を配合したものとす
る。
EPDMにグラフト重合させる単量体は、マレイミド系単
量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体
及び必要に応じてこれらの単量体と共重合可能な単量体
の混合物である。これらの単量体のうち、マレイミド系
単量体としは、マレイミド、N−メチルマレイミド、N
−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ラウ
リルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−
ブロモフェニル)マレイミド等が挙げられる。芳香族ビ
ニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン等が挙げられる。シアン化ビニ
ル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニ
トリル等が挙げられる。また、共重合可能な単量体とし
ては、メタクリレート、メチルメタクリレート等が挙げ
られる。
本発明において、単量体混合物はマレイミド系単量体
5〜30重量%、芳香族ビニル系単量体25〜80重量%、シ
アン化ビニル系単量体5〜40重量%、及び共重合可能な
単量体0〜50重量%を含有してなるものである。単量体
混合物中、特にマレイミド系単量体は、最終樹脂組成物
の衝撃強度と耐熱性とのバランスの改善に有効に作用
し、マレイミド系単量体が5重量%未満では、衝撃強度
と耐熱性とのバランスに優れた樹脂組成物が得られな
い。なお、共重合可能な単量体は必ずしも必要とされ
ず、本発明においては、これを用いなくても良い。
(A)のマレイミド系グラフト共重合体は、前記EPDM
100重量部に対して変性低分子量α−オレフィン共重合
体0.1〜20重量部を含有するEPDM含有架橋ラテックス40
〜80重量部(固形分として)に対して、上記単量体混合
物60〜20重量部を乳化グラフト重合して得られるもので
ある。マレイミド系グラフト共重合体のEPDM含有架橋ラ
テックスが40重量部未満で単量体混合物が60重量部を超
える場合、あるいは、EPDM含有架橋ラテックスが80重量
部を超え、単量体混合物が20重量部未満である場合に
は、最終樹脂組成物の衝撃強度と耐熱性とのバランスは
著しく悪化する。
一方、(B)の硬質共重合体は、マレイミド系単量体
5〜30重量%、芳香族ビニル系単量体25〜80重量%、シ
アン化ビニル系単量体5〜40重量%及び必要に応じてこ
れらの単量体と共重合可能な単量体0〜50重量%を含む
ものである。各単量体の好適な具体例としては、前記
(A)のマレイミド系グラフト共重合体に用いる単量体
混合物の単量体の具体例として挙げたものを用いること
ができ、またその組成比は、(A)のマレイミド系グラ
フト共重合体の組成比とほぼ等しいことが望ましい。
(B)の硬質共重合体において、マレイミド系単量体が
5重量%未満では、最終樹脂組成物の耐熱性が著しく低
下し、30重量%を超えると衝撃強度が低下するので、い
ずれの場合も好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した(A)のマ
レイミド系グラフト共重合体10〜60重量部及び(B)の
硬質共重合体90〜40重量部を含み、好ましくは(A)及
び(B)の合計が100重量部となるものである。マレイ
ミド系グラフト共重合体が10重量部未満で硬質共重合体
が90重量部を超える場合には耐衝撃性に劣り、また、マ
レイミド系グラフト共重合体が60重量部を超え、硬質共
重合体が40重量部未満である場合には耐熱性が劣り、い
ずれの場合も好ましくない。
このような本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)の
マレイミド系グラフト共重合体及び(B)の硬質共重合
体の所定量を更に必要に応じて酸化防止剤、滑剤、加工
助剤、顔料、充填剤等と共に混合し、例えば、押出機、
バンバリーミキサー、混練ロール等にて混練してペレッ
ト化することにより、容易に製造することができる。
以下に本発明で用いるグラフト共重合体の製造方法に
ついて説明する。
本発明に係るマレイミド系グラフト共重合体は、例え
ば、次の様にして製造するのが好ましい。
まず、EPDMと変性低分子量α−オレフィン共重合体を
用い、EPDM含有架橋ラテックスを製造する。即ち、EPDM
及び変性低分子量α−オレフィン共重合体の所定量を適
当な溶剤に溶解して、これに乳化剤を添加して乳化させ
る。この場合、溶剤としては、n−ヘキサン、シクロヘ
キサン等の脂肪族又は脂環族炭化水素溶剤を用いること
ができる。乳化剤としては特に制限はないが、例えばオ
レイン酸カリウム、不均化ロジン酸カリウム等のアニオ
ン系界面活性剤が用いられる。乳化剤の添加量は、EPDM
に対して1〜10重量部とするのが好ましい。なお、乳化
剤は、例えばオレイン酸をEPDMと変性低分子量α−オレ
フィンの溶液に混合しておき、これに水酸化カリウム水
溶液を添加して、オレイン酸カリウムを生成させること
により添加することができる。変性低分子量α−オレフ
ィンの配合量は、EPDMに対して0.1〜20重量部とする
が、このような割合で、変性低分子量α−オレフィンを
添加することにより、安定なグラフト共重合を行なうこ
とが可能とされ、また最終樹脂組成物の物性を改善する
ことができる。
EPDMと変性低分子量α−オレフィンの溶液を乳化剤に
より乳化させた後は、これを十分に撹拌後、溶剤を留去
することにより、粒径0.2〜1μm程度のラテックスを
得る。
次いで、このラテックスのEPDM100重量部に対して、
ジビニルベンゼン等の多官能性化合物を0.1〜5.0重量部
及びジ−t−ブチル−オキシトリメチルシクロヘキサン
等の有機過酸化物を0.1〜5.0重量部添加して、60〜140
℃で、0.5〜5.0時間程度反応させることにより架橋ラテ
ックスを調製する。
本発明において、このようにして調製されるEPDM含有
架橋ラテックスのゲル含量は40〜95重量%程度であるこ
とが好ましい。なお、架橋ラテックスのゲル含量は、こ
のラテックスを希硫酸にて水洗乾燥した後、これを1g採
取し、200mlのトルエン中に40時間浸漬し、次いで200メ
ッシュのステンレス金網にて濾過し、残渣を乾燥するこ
とによって求めることができる。
次いで、このようにして調製した架橋ラテックス40〜
80重量部(固形分として)と、マレイミド系単量体5〜
30重量%、芳香族ビニル系単量体25〜80重量%、シアン
化ビニル系単量体5〜40重量%及び必要に応じてこれら
の単量体と共重合可能な単量体0〜50重量%からなる単
量体混合物60〜20重量部を、2種以上の乳化剤を使用し
て適当な重合温度に加温してグラフト重合させる。ここ
で使用される乳化剤としては、オレイン酸カリウム、不
均化ロジン酸カリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ア
ルカリ金属塩、アルキルナフタレンスルホン酸アルカリ
金属塩、ラウリル硫酸アルカリ金属塩等のアニオン系界
面活性剤から選択するのが好ましい。
本発明において、このようにしてグラフト重合を行な
う際に、前記単量体混合物にレドックス系開始剤を混合
し、1時間以上にわたって連続的に重合系内に添加する
と共に、重合の開始から終了まで、重合水相pHを10.0〜
7.0に保つようにアルカリ水溶液を逐次的又は連続的に
添加し、重合系内のpHをコントロールする。
本発明においては重合水相のpHは10.0〜7.0に保つこ
とが必要であるが、特に重合開始10分後から重合終了ま
での間は、pHを9.0〜8.0に保つことが好ましい。
マレイミド系単量体は前述の如く、pH9.0以上の水溶
液中では、加水分解を受けやすいものであるが、実際
上、上記の方法においては、マレイミド系単量体の加水
分解はごくわずかである。なお、重合開始時の重合水相
のpHは10.0〜9.0であることが、ラテックス安定性の面
で好ましい。重合水相pHが7.0未満であれば、ラテック
ス安定性は極めて悪化する。
また、本発明においては、単量体混合物にレドックス
系開始剤を混合し、1時間以上にわたって連続的に重合
系内に添加する必要がある。この添加時間が1時間未満
の場合、ラテックス安定性は悪化し、重合収率が低下す
る。
なお、ここで使用されるレドックス系開始剤としては
油溶性の有機過酸化物が好ましく、通常の場合硫酸第一
鉄−キレート剤−還元剤の組合せで使用される。油溶性
開始剤としては、キュメンハイドロパーオキサイド、ジ
イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ターシ
ャリーブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物
が好ましい。キレート剤としては、ピロリン酸ソーダ、
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等が好ましい。還元
剤としては、ホルムアルデヒドスルホキシレートのナト
リウム塩、デキストロース、アスコルビン酸ソーダ等が
好ましい。
重合を終了して得られたマレイミド系グラフト共重合
体ラテックスには、必要に応じて酸化防止剤を添加す
る。次いで、得られたマレイミド系グラフト共重合体ラ
テックスから、樹脂固形物を析出させる。この場合、析
出剤としては、例えば硫酸、酢酸、塩化カルシウム、硫
酸マグネシウム等の水溶液を単独、又は併用して用いる
ことができる。析出剤を添加したマレイミド系グラフト
共重合体ラテックスは、加熱、撹拌した後、析出物を分
離し、これを水洗、脱水、乾燥することによりマレイミ
ド系グラフト共重合体を得ることができる。
なお、ここで本発明で用いられる(B)の硬質共重合
体の製造方法について説明する。
(B)の硬質共重合体の製造には、乳化重合、懸濁重
合等の重合法が採用される。
硬質共重合体は乳化重合で合成する場合、乳化剤とし
ては、ロジン酸カリウム、アルキルベンゼンスルホン酸
ナトリウム等の一般的な乳化重合用乳化剤を用いること
ができる。また、重合開始剤としては有機、無機の過酸
化物系開始剤が用いられ、連鎖移動剤にはメルカプタン
類、α−メチルスチレンダイマー、テルペン類等が用い
られる。
硬質共重合体を懸濁重合で合成する場合、懸濁剤とし
ては、トリカルシウムフォスファイト、ポリビニルアル
コール等が用いられ、懸濁助剤にはアルキルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム等を用いることができる。また、開
始剤としては、有機パーオキサイド類が用いられ、連鎖
移動剤にはメルカプタン類、α−メチルスチレン、テル
ペン類等を用いることができる。
硬質共重合体の合成には、これを構成する単量体を所
定量混合し、適当な乳化剤又は懸濁剤、開始剤、連鎖移
動剤を添加して重合させる。次いで、乳化重合により得
られた硬質樹脂ラテックスの場合には樹脂固形分を析出
させる。この場合、析出剤としては例えば硫酸、酢酸、
塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の水溶液を単独又
は併用して用いることができる。析出物は必要に応じて
水洗、脱水、乾燥して硬質重合体とする。
[実施例] 以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以
下において、「部」は「重量部」を示す。
製造例1 EPDM含有架橋ラテックスの製造 三井石油化学社製EPDM(EPT3045)100部をn−ヘキサ
ン566部に溶解した後、三井石油化学社製酸変性ポリエ
チレン(ハイワックス2203A)をそれぞれ第1表に示す
量添加し、更にオレイン酸を加え、完全に溶解した。別
に、水180部にKOH0.9部を溶解した水溶液を60℃に保
ち、これに調製した上記重合体溶液を徐々に加えて乳化
した後、ホモミキサー撹拌した。次いで、溶剤を留去し
て粒径0.2〜1μmのラテックスを得た。
このラテックスに、ゴム成分であるEPDM100部に対し
てジビニルベンゼン1.5部、ジ−t−ブチルパーオキシ
トリメチルシクロヘキサン1.0部を添加して、120℃で1
時間反応させて、EPDM含有架橋ラテックスNo.1−1〜1
−4を調製した。
なお、それぞれのEPDM含有架橋ラテックスを希硫酸に
て凝固させ、水洗乾燥した後、これを1g採取して200ml
のトルエン中に40時間浸漬し、次いで、200メッシュの
ステンレス金網にて濾過し、残渣を乾燥することによ
り、各ラテックスのゲル含量を求めたところ、第1表に
示す結果が得られた。
製造例2 グラフト共重合体の製造 撹拌機付きステンレス重合槽に、第2表のNo.2−1〜
2−16に示す処方で原料を仕込み重合を行なった。重合
温度は80℃で一定温度とした。
なお、成分(II)の添加時間150分、成分(III)の添
加時間は180分とした。ただし、No.2−13については、
成分(II)の添加時間を30分、成分(III)の添加時間
を60分とした。また、重合水相のpHは第2表に示す通り
とした。
重合後、酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出
を行い、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、マレイミド系
グラフト共重合体の粉末2−1〜2−5,2−8〜2−15
及びマレイミドの存在しないグラフト共重合体2−16を
得た。
なお、グラフト共重合体No.2−1〜2−5及びNo.2−
7〜2−16の製造における各々の単量体転化率を第2表
に示す。単量体転化率はラテックスの一部を採取してガ
スクロマトグラフィーを用いて求めた残存単量体から算
出した。
第2表より明らかなように、重合水相pHが7.0以下と
なったNo.2−6は重合開始後、95分で固結し、また重合
水相pHが10.0を超えたNo.2−7は、単量体転化率が低か
った。更に、モノマー及び開始剤の混合物を1時間未満
で重合系内に添加したNo.2−13も単量体転化率が低かっ
た。
製造例3 硬質共重合体の製造 撹拌機を備えたオートクレーブ内を十分に窒素置換し
た後、第3表に示すように、それぞれ所定量のモノマ
ー、蒸留水、界面活性剤、懸濁安定剤、有機過酸化物を
仕込み、350rpmの割合で撹拌しつつ内温を80℃まで昇温
し、この温度で9時間重合させた。次いで、2.5時間を
要して内温を120℃まで昇温し、この温度で2時間反応
させた。得られたスラリーを洗浄し、乾燥して、硬質共
重合体No.3−1〜3−6を得た。
実施例1〜8,比較例1〜8 製造例2で得られたグラフト共重合体と製造例3で得
られた硬質共重合体をステアリン酸カルシウム0.5重量
部、及びN,N′−エチレンビスステアリルアミド1.5重量
部と共に第4表に示す配合でバンバリーミキサーにて混
練し、260℃にて成形を行った。
得られた成形品No.4−1〜4−15について以下の条件
及び方法で諸特性を試験した。
アイゾット衝撃値(kg・cm/cm) =ASTM(D256)ノッチ付アイゾット、測定
温度23℃ 熱変形温度(℃) =ASTM(D648−56) 引張強度(kg/cm2) =ASTM(D638)1/8″ 測定温度23℃ 落錘衝撃値(kg・cm) =島津ハイドロショットHTM−1を用い、 撃芯速度:5.0m/sec プローグ:1/4″R 試料ホルダー:1″φ 測定温度:23℃ の条件で行なった。
また、実施例1〜8(No.4−1〜4−3及びNo.4−6
〜4−10)の成形体について、下記方法により耐候性を
調べた。
耐候性 試験片をウェザーメーター(スガ試験機製サンシャイ
ン・スーパーロングライフ・キセノン・ウェザーメータ
ーWEL−6XS−HCH−B)を用いて、ブラックパネル温度8
3℃(降雨なし)で200時間及び400時間後のアイゾット
衝撃値(ASTM D 256に準じた。−30℃、ノッチなし)を
測定し、この衝撃値にて評価した。
また比較のため汎用ABS樹脂(ゴム含量20重量%)に
ついても同様に耐候性を調べた(比較例8)。
結果を第4表に示す。
第4表より、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃
性、耐熱性、剛性、耐候性及び落錘衝撃強度等のバラン
スが良好で、極めて優れた特性を有することが明らかで
ある。
[発明の効果] 以上詳述した通り、本発明の熱可塑性樹脂組成物によ
れば、耐衝撃性、耐熱性、剛性、耐候性及び落錘衝撃強
度等の特性が著しく高く、またこれらの特性のバランス
が良好な、極めて優れた高特性熱可塑性樹脂組成物が提
供される。
このような本発明の効果は、特に、特定の乳化重合法
により、高い重合安定性のもとに、高収率で製造され
た、優れた特性を有するマレイミド系グラフト共重合体
を用いることにより、達成される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08F 212:08 220:44 222:40) (56)参考文献 特開 昭62−199645(JP,A) 特開 昭59−11322(JP,A) 特開 昭62−89716(JP,A) 特開 昭63−101404(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 35/06 C08L 25/08 - 25/14 C08L 51/06 C08F 255/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(A)のマレイミド系グラフト共重合
    体10〜60重量部及び下記(B)の硬質共重合体90〜40重
    量部を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 (A):エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体
    100重量部に対して、変性低分子量α−オレフィン共重
    合体0.1〜20重量部を含有するエチレン・プロピレン・
    非共役ジエン共重合体含有架橋ラテックス40〜80重量部
    (固形分として)の存在下、マレイミド系単量体5〜30
    重量%、芳香族ビニル系単量体25〜80重量%、シアン化
    ビニル系単量体5〜40重量%及びこれらの単量体と共重
    合可能な単量体0〜50重量%を含む単量体混合物60〜20
    重量部を、2種以上の乳化剤を使用して乳化重合させる
    ことにより製造されたグラフト共重合体であって、上記
    単量体混合物及びレドックス系開始剤を1時間以上にわ
    たって連続的に重合系に添加すると共に、重合開始から
    重合終了までの間、重合水相のpHを10.0〜7.0に保つよ
    うにアルカリ水溶液を逐次的又は連続的に添加すること
    により製造されたマレイミド系グラフト共重合体 (B):マレイミド系単量体5〜30重量%、芳香族ビニ
    ル系単量体25〜80重量%、シアン化ビニル系単量体5〜
    40重量%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体0〜
    50重量%を含む硬質共重合体
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